ドローンの活用拡大に力を入れるPwCコンサルティング合同会社(東京)は、「ドローンを利用した次世代のビジネスの変革のすすめセミナー~規制緩和によるビジネス活用と考慮すべきリスク要因」と題したセミナーの中で、ドローンビジネスを推進する上でのリスク管理の重要性を指摘している。政府の規制緩和に伴いビジネスチャンスが広がる中で、最新情報のアップデートと合わせ、安全リスク管手法の導入や、プロジェクトマネジメントの体制整備が重要になるという。
PwCコンサルティングのシニアマネージャー、岩花修平氏、佐々木智広氏が「無人航空機のビジネス活用で考慮すべきリスクとその対策」についての考え方を披露した。岩花氏は「ドローンに関する市場の期待値は高いが、インシデントによる影響度を踏まえ、徹底したリスク管理により市場拡大につなげていくことが重要だ」と述べたうえで、安全リスク管理(SRM)プロセスによって、具体的にリスクをどう軽減するかを指南した。
安全リスク管理プロセスでは、ドローンの機体が及ぼすリスクと運用上想定されるリスクを洗い出し、影響度や発生確率でリスク評価し、対策を打つことでリスクを可能な限り提言することが重要になる。想定しうる事象を特定し、影響度や重要性を評価、影響を最小化または排除する手段を決定するためにこのアプローチを活用する。
この時、必要となるのは、重要度と発生可能性の組み合わせにより、リスクレベルを「高い」「中間」「低い」などの段階によって評価し、必要な対策、要件を決めること。リスクレベルが高い場合は、事前にリスクレベルを「中」もしくは「低」に引き下げておくことが求められ、リスクレベルが中間の場合は、安全マージンを増やすための安全要件が必要になる。リスクレベルが低いと評価された場合でも、最低限の安全目標は必要になるという。
具体的なリスクの低減方法としては、「安全性を評価する目標を定義」「実行可能なリスク低減対策のオプションを設定」「リスクのコントロール方法と安全要件を検討する」「予測される残余リスクを評価」「監視計画を作成」といった段階を踏んで進めることが重要になる。さらに、対策の効果の目標としては「残余リスクを検討するために測定可能な指標を設定」するほか、「安全リスク管理前のデータ分析は、実装後のデータと比較するためのベースとする」ことを確認した。
岩花氏は「危機管理力が高い企業ほど継続的に収益性が高いという調査があり、リスクマネジメント=経営力です」と述べ、リスク管理力向上の重要性を指摘した。
続いて登壇した佐々木氏は、ドローンを導入・活用し効果を創出するまでに乗り越えるべきリスクとして、「安全性」「コンプライアンス」「セキュリティ」「プロジェクトマネジメント」の4つを挙げた。とりわけ、「プロジェクトマネジメント」が極めて重要になるとの考え方を示し、業務要件を充足していない機体の導入や操縦士のスキル不足などに伴う品質問題、開発費の膨張による事業性の悪化などコストの問題、スケジュールの問題などのリスクの存在を指摘した。
この中で、ドローン活用に関するプロジェクトマネジメントを実施している企業の例をあげ、体制整備の具体的なケースについても紹介。佐々木氏は「ドローン活用に必要なケイパビリティ(能力)を有する専門家の参画が成功のカギとなる」と述べ、必須とされるコアケイパビリティを備えた体制整備についても解説した。
さらに、ドローン活用におけるプロジェクト・マネジメント・リスクに対処するには、ビジネス、プロセス・統制、テクノロジー、体制、データの5つの領域から網羅的にリスク対策を洗い出し、プロジェクトの各担当チームに割り振る役目が重要になるという。佐々木氏は、「リスク体制の構築」「プロセス・マニュアル整備」「インフラ整備」「運用定義」のステップを踏み、リスク対策の成熟度を高めることが重要になるとの見解を披露した。
セミナーでは、規制当局である国土交通省航空局安全部の専門官や法律実務の専門家も登壇し、ドローンに関するルールをめぐる最新の動向を紹介。国土交通省航空局安全部安全企画課の伊藤康浩専門官は「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」と題して基調講演、ドローン活用に関する規制やルールに関する最新情報について紹介した。
また、ドローンビジネスに関わる論文を発表しているTMI総合法律事務所の弁護士、波多江崇氏は「最新ドローン関連規制と実務」と題して講演し、ドローンに関する法的責任の整理やドローンを使ったビジネスを行う際の注意点などを解説した。
セミナーには、メーカー、ソリューションプロバイダーなどドローン関連事業を展開している企業や事業主、参入を検討中の企業や事業主、関係者など約50人が参加した。PwCコンサルティング合同会社テクノロジーコンサルティング事業部常務執行役パートナー、桂憲司氏は「ドローンというテクノロジーを使って、新しい世界をつくっていくとき、その世界のルールの背景にある考え方を理解することが重要になる」と話した。
有人地帯での目視外飛行に向けたルール整備の検討が進むなど、ドローン運用ルール、制度の検討が急ピッチで進む中、最新の動向を紹介、分析、解説し、ビジネスのヒントとリスクを提示するセミナー「ドローンを利用した次世代のビジネスの変革のすすめセミナー~規制緩和によるビジネス活用と考慮すべきリスク要因」が9月18日、東京・大手町で開催される。ドローンの活用拡大に力を入れるPwCコンサルティング合同会社(東京)の主催で、規制当局である国交省航空局安全部の専門官、法律実務の専門家、PwCのコンサルタントが登壇する。最新情報のアップデートや、ビジネス拡大にあたっての注意点の確認など、ビジネスに直結するここだけの情報が提供される見込みだ。参加は無料で事前申請が必要だ。
セミナーには、規制当局である国土交通省航空局から、安全部安全企画課の伊藤康浩専門官が登壇し、「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」の演題で、最新動向をふまえて基調講演をする。また、ドローンビジネスに関わる論文を発表しているTMI総合法律事務所の弁護士、波多江崇氏が「最新ドローン関連規制と実務」の演題で、審査要領の改訂なども含めた特別講演を行う。PwCコンサルティングのシニアマネージャー、岩花修平氏、佐々木智広氏も「無人航空機のビジネス活用で考慮すべきリスクとその対策」について見解を披露する。
メーカー、ソリューションプロバイダー、関連サービス、スクール運営などドローン関連事業を展開している企業や事業主、参入を検討中の企業や事業主が対象で、経営企画、事業企画、営業推進(戦略)、法務部門、IT部門などに携わるリーダーに向けてセミナーが行われる。参加は無料で定員は60人。ただし主催者との同業者の参加は認められないという。
セミナーの開催について主催するPwCは「目視外飛行などをはじめとした法規制や技術的な制約など、ドローンの利活用には現状、さまざまなリスクが存在しています。今後確実に進む航空法などに関する法規制の緩和や、関連する技術の急速な進歩が見込まれる中での利活用の広がりについて理解し、今後の事業推進の方向性を見極めることで、関連するビジネスのさらなる発展のチャンスを得ていただくことを本セミナーの趣旨としています」と説明している。
ドローンの飛行に関する制度整備について政府は、安全性確保を前提に、有人地帯での目視外飛行のめどを2022年度中と設定し、それに向けて2019年内に制度設計の基本方針を決定することにしている。これを踏まえ現在、「目視外・第三者上空飛行に関する官民連絡協議会」の下部組織として、機体の安全性確保、操縦者などの技能確保、運航管理システム、機体登録制度、全体統括の5つのワーキンググループで検討を進めている状況で、制度整備が急ピッチで進められている。
■概要
・開催日時:2019年9月18日(水)14:00–17:00(13:30 受付開始)
・会場:PwCコンサルティング合同会社 セミナールーム
(東京都千代田区大手町1‐1‐1 大手町パークビルディング15F、地図)
対象:経営企画、事業企画、営業推進(戦略)、法務部門、IT部門などに携わるリーダー
定員:60人
費用:無料(事前申込制)
問い合わせ:PwCコンサルティング合同会社セミナー事務局まで、セミナー案内ページからメールで問い合わせ
■プログラム
14:00‐14:10 開会挨拶
PwCコンサルティング合同会社
テクノロジーコンサルティング事業部
常務執行役パートナー、桂憲司氏
14:10‐15:00 基調講演
「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」
国土交通省 航空局 安全部 安全企画課
専門官、伊藤康浩氏
15:00‐15:50 特別講演
「最新ドローン関連規制と実務」
TMI総合法律事務所
弁護士、波多江崇氏
15:50‐16:10 休憩
16:10‐17:00 PwCセッション
「無人航空機のビジネス活用で考慮すべきリスクとその対策」
PwCコンサルティング合同会社
シニアマネージャー、岩花修平氏
シニアマネージャー、佐々木智広氏