ビジネスでのリスク管理の重要性を指摘 PwCコンサルティングが「変革のすすめ」セミナーで

2019.10.23

  ドローンの活用拡大に力を入れるPwCコンサルティング合同会社(東京)は、「ドローンを利用した次世代のビジネスの変革のすすめセミナー~規制緩和によるビジネス活用と考慮すべきリスク要因」と題したセミナーの中で、ドローンビジネスを推進する上でのリスク管理の重要性を指摘している。政府の規制緩和に伴いビジネスチャンスが広がる中で、最新情報のアップデートと合わせ、安全リスク管手法の導入や、プロジェクトマネジメントの体制整備が重要になるという。

安全リスク管理プロセスを活用し、リスクの低減を図る

PwCコンサルティングの岩花修平シニアマネージャー

  PwCコンサルティングのシニアマネージャー、岩花修平氏、佐々木智広氏が「無人航空機のビジネス活用で考慮すべきリスクとその対策」についての考え方を披露した。岩花氏は「ドローンに関する市場の期待値は高いが、インシデントによる影響度を踏まえ、徹底したリスク管理により市場拡大につなげていくことが重要だ」と述べたうえで、安全リスク管理(SRM)プロセスによって、具体的にリスクをどう軽減するかを指南した。

  安全リスク管理プロセスでは、ドローンの機体が及ぼすリスクと運用上想定されるリスクを洗い出し、影響度や発生確率でリスク評価し、対策を打つことでリスクを可能な限り提言することが重要になる。想定しうる事象を特定し、影響度や重要性を評価、影響を最小化または排除する手段を決定するためにこのアプローチを活用する。

  この時、必要となるのは、重要度と発生可能性の組み合わせにより、リスクレベルを「高い」「中間」「低い」などの段階によって評価し、必要な対策、要件を決めること。リスクレベルが高い場合は、事前にリスクレベルを「中」もしくは「低」に引き下げておくことが求められ、リスクレベルが中間の場合は、安全マージンを増やすための安全要件が必要になる。リスクレベルが低いと評価された場合でも、最低限の安全目標は必要になるという。

  具体的なリスクの低減方法としては、「安全性を評価する目標を定義」「実行可能なリスク低減対策のオプションを設定」「リスクのコントロール方法と安全要件を検討する」「予測される残余リスクを評価」「監視計画を作成」といった段階を踏んで進めることが重要になる。さらに、対策の効果の目標としては「残余リスクを検討するために測定可能な指標を設定」するほか、「安全リスク管理前のデータ分析は、実装後のデータと比較するためのベースとする」ことを確認した。

  岩花氏は「危機管理力が高い企業ほど継続的に収益性が高いという調査があり、リスクマネジメント=経営力です」と述べ、リスク管理力向上の重要性を指摘した。

リスク対策を網羅的に洗い出し、それぞれの担当に割り振る

PwCコンサルティングの佐々木智広シニアマネージャー

  続いて登壇した佐々木氏は、ドローンを導入・活用し効果を創出するまでに乗り越えるべきリスクとして、「安全性」「コンプライアンス」「セキュリティ」「プロジェクトマネジメント」の4つを挙げた。とりわけ、「プロジェクトマネジメント」が極めて重要になるとの考え方を示し、業務要件を充足していない機体の導入や操縦士のスキル不足などに伴う品質問題、開発費の膨張による事業性の悪化などコストの問題、スケジュールの問題などのリスクの存在を指摘した。

  この中で、ドローン活用に関するプロジェクトマネジメントを実施している企業の例をあげ、体制整備の具体的なケースについても紹介。佐々木氏は「ドローン活用に必要なケイパビリティ(能力)を有する専門家の参画が成功のカギとなる」と述べ、必須とされるコアケイパビリティを備えた体制整備についても解説した。

  さらに、ドローン活用におけるプロジェクト・マネジメント・リスクに対処するには、ビジネス、プロセス・統制、テクノロジー、体制、データの5つの領域から網羅的にリスク対策を洗い出し、プロジェクトの各担当チームに割り振る役目が重要になるという。佐々木氏は、「リスク体制の構築」「プロセス・マニュアル整備」「インフラ整備」「運用定義」のステップを踏み、リスク対策の成熟度を高めることが重要になるとの見解を披露した。

ドローンに関するルールなどをアップデート

  セミナーでは、規制当局である国土交通省航空局安全部の専門官や法律実務の専門家も登壇し、ドローンに関するルールをめぐる最新の動向を紹介。国土交通省航空局安全部安全企画課の伊藤康浩専門官は「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」と題して基調講演、ドローン活用に関する規制やルールに関する最新情報について紹介した。

  また、ドローンビジネスに関わる論文を発表しているTMI総合法律事務所の弁護士、波多江崇氏は「最新ドローン関連規制と実務」と題して講演し、ドローンに関する法的責任の整理やドローンを使ったビジネスを行う際の注意点などを解説した。

  セミナーには、メーカー、ソリューションプロバイダーなどドローン関連事業を展開している企業や事業主、参入を検討中の企業や事業主、関係者など約50人が参加した。PwCコンサルティング合同会社テクノロジーコンサルティング事業部常務執行役パートナー、桂憲司氏は「ドローンというテクノロジーを使って、新しい世界をつくっていくとき、その世界のルールの背景にある考え方を理解することが重要になる」と話した。

国土交通省航空局安全部安全企画課の伊藤康浩専門官
TMI総合法律事務所の波多江崇弁護士
PwCコンサルティングの桂憲司パートナー
PwCコンサルティングのセミナーにはドローン事業のリスクに関心のある多くの関係者が詰めかけた
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