株式会社センシンロボティクス(東京都渋谷区)と株式会社ACSL (東京都江戸川区)は11 月25日、センシンの「SENSYN CORE」とACSLの小型機「Mini」を組み合わせて屋内自律飛行システムを開発したと発表した。工場、建設現場の点検、巡視活動の効率化を支援する。
屋内自律飛行システムは、センシンの業務自動化プラットフォーム「SENSYN CORE」上に工場の屋内など点検対象の3Dマップを作り、マップ上に設定した点検ルートを「Mini」が自動で飛行する仕組み。自動飛行から、データ取得、取得データのアップロード、管理、見える化までを自動で完了させ、業務のリモート化を図る。。
工場内の大型装置点検、物流倉庫棚卸し、大型商業施設警備、建設中物件の進捗管理などでの活用を想定している。
株式会社自律制御システム研究所(ACSL、東京都江戸川区)と、ブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は、ACSL製産業用ドローン「Mini」と、ブルーイノベーションが開発したソフトウェアプラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」を活用した屋内作業のDXソリューション2種を共同開発し、1月にリリースを開始したと発表した。2種類はそれぞれ5G通信、エッジAIを融合させた「プラント自動点検」と、RFIDリーダーを搭載した「倉庫内自動在庫管理」で、京セラ株式会社、トッパン・フォームズ株式会社が協力している。
「プラント自動点検ソリューション」は、プラント内の点検作業を自動化させるソリューションで、AIや京セラ製の5G通信デバイス(5Gコネクティングデバイス)を搭載したMiniが設備内を巡回して点検する。必要なデータはデジタル化され、ドローン側でリアルタイムにAIで解析される。結果はその場で把握できる。取得したデータはBEPで高速に、セキュリティが守られた状態で共有、蓄積される。解析結果に応じてBEPからドローンやそれ以外のデバイスに新たなミッションを自動で遂行させる。これにより、人手を介する点検に比べ、迅速化、効率的、低コスト化を実現できる。
「倉庫内在庫管理ソリューション」は、倉庫内棚卸作業を自動化、デジタル化、効率化するソリューションです。トッパン・フォームズのトッパン・フォームズ株式会社が倉庫内を巡回し、在庫のタグ情報を読み取り、棚卸作業のデジタル化、効率化をする。BEPの活用でいくつかのドローンと同時に棚卸作業をすることや、AGVやロボットなどと連携させて情報集流とは別の作業を指示するなどの統合管理が可能となる。倉庫が稼働していない夜間に自動で在庫棚卸をすませ、翌朝に担当者が結果を確認するなどの使い方も可能になる。
ACSLのMiniはほぼ1年前の2020年1月23日、従来の主力機「PF-2」に比べ大きさで4割、重量でバッテリー含めると半分に小型化した産業機として登場した。最大で48分の継続飛行が可能なうえ、通信、センシングなどに関わる主要技術、モジュールを日本開発、日本製でそろえた国産機で、ブルーイノベーションとソリューションの開発を進めてきた。
ACSLの鷲谷聡之代表取締役社長兼COO、ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長はそれぞれ談話を発表している。
【ACSL・鷲谷聡之代表取締役社長兼COOの談話】 2021年はACSLにとって飛躍の年になります。ドローンのセキュリティに対する関心が高まり、国産ドローンが注目されています。その中でACSLは、セキュアで安心な国産ドローンの開発や量産化体制の構築を進め、順調に進捗しています。そうした取り組みを出口に向けて集約させ、一気に飛躍する年にしたいと考えています。その始まりとして、今回2つのソリューションをブルーイノベーションとリリースしました。新型コロナウイルスの感染拡大で、ドローンによる業務の省人化、省力化のニーズは確実に高まっています。この2つのソリューションのポイントは、屋内等の非GPS環境でもドローンが自律飛行し、画像撮影や在庫管理が自動でできるということです。これらのソリューションを社会実装していくことで、屋内作業を効率化したい、低コスト化したいという皆様の悩みを解決できるものと確信しています。
【ブルーイノベーション・熊田貴之代表取締役社長の談話】 ブルーイノベーションは、ドローン・ロボット×AI×自動化によるソリューションをBEPでつなぎ、来るべき自律分散型社会のインフラを支えるべく、プラットフォームのリーディングカンパニーとして邁進しています。今回、複数のドローン・ロボットを協調・連携させて複雑な業務を遂行させる「BEP」と、ACSLの国産ドローンが融合したことで、物流やプラントでの課題を解決するソリューションの社会実装がいよいよ開始します。今後、非GPS環境下でのソリューションに強みを持つ両社がさらに協業していくことで、自動点検や棚卸に留まらないドローンによる屋内作業向けDXソリューションの開発、そして社会実装は確実に広がるものと期待しています。
・Blue Earth Platform(BEP)の紹介ページはこちら
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VAIO株式会社のドローン子会社、VFR株式会社(東京)は5月11日、株式会社自律制御システム研究所(ACSL)と国内市場向けの用途別産業用ドローンの機体開発で5月に協業を開始したと発表した。両者の強みを持ち寄り、ACSLの主力機体「PF-2」、「MINI」のアップデートと、用途別に最適化した新機体の共同開発を行う。2021年以降の導入を目指す。
両社は機体開発のほか、高度な産業用ソリューション開発も視野に入れ、共同調査を始めるという。またVFRはその他のパートナーシップの構築も随時検討する。協業について「VFRとACSL は共に、国内における産業用ドローンの本格的な普及には、用途別に性能・機能が最適化された社会実装可能な量産機体及びソリューションの開発が急務であるという課題意識を持っています。両社の知見や技術的な強みを掛け合わせることでその解決により大きく貢献していきたいという考えが一致したことから、今回の協業が実現いたしました」とコメントを寄せている。
今回の協業ではVFRがVAIOで磨いたコンピューティング技術、ロボティクス技術などを持ち寄り、ACSLの機体開発技術、自律制御技術等と融合することを目指す。開発する用途は今後検討することとしているが、橋梁、送電線、鉄塔の点検、運送などが有力だ。
両者は関連する規制や経済動向などの環境変化や推移を注視しながら役割分担などを具体化させる方針だ。
自律飛行ドローン開発を手掛ける株式会社自律制御システム研究所(本社:千葉市、ACSL)は1月23日、屋内外での運用に対応した自律飛行ドローン「Mini」の発売を発表した。同社主力機より大幅に軽量化、小型化し、無積載の場合は48分の継続飛行が可能なほか、通信、センシングなどに関わる主要技術、モジュールを日本開発、日本製でそろえた“日本品質”を前面に押し出した。価格は税、オプションを含めず80万円。同社の鷲谷聡之COOは「1年半前から会社をあげて全力で開発を進めてきた産業用途のドローン」と紹介した。またブルーイノベーション株式会社が提供する複数デバイスを連携して遠隔制御する「ブルー・アース・プラットフォーム(BEP)」とも連携し、ソリューションを提供する方針だ。
「Mini」は、プラント、倉庫といった屋内の点検、撮影、状況確認に適した機体の要望が高かったことから1年半ほど前から開発に着手した機体。広いスペースがとりにくい屋内空間を想定し、プロペラ回転域を含めた縦、横の寸法を70.4センチと、同社の主力機「PF-2」の117.3センチより4割の小型化を実現した。重量もバッテリー1本を搭載して3.15キロと、PF-2が飛行に必要なバッテリー2本搭載の7.7キロに比べて半分以下に軽量化させた。バッテリーも見直し、無積載であれば48分、カメラ、ジンバルを搭載しても最大33分と、トップクラスの継続飛行が可能だ。
またGPSの届かない屋内での利用を可能にするため、機体自身が飛行しながら自己位置を推定したり周辺地図を作製したりする技術、Visual SLAM(ステレオカメラ)を採用したほか、前方カメラと6つのセンサーで上下、左右、前後の障害物を検知し、衝突回避を徹底した。屋外でもGPSで自己位置の座標を取得して飛行できるため、1機で屋内外対応が可能な2役のドローンを目指した。屋外では秒速10メートルの風の中での飛行が可能で、IP43の防水防塵機能を備えていて「雨の中でも飛ばせる」という。
さらに工場、倉庫、研究室などの施設を抱える事業主は、点検、状況確認で取得したデータの取り扱いには繊細に注意を払うため、Miniの開発ではセキュリティ対応を特に重視。通信、画像解析などにかかわる部品や技術は、ACSLの自社開発を中心に、国内で開発した技術、日本製の部材、モジュールを採用した。フライトコントローラーも自社開発の「ACSL AP3」だ。
そうした「国産」、「安全」、「小型トップクラスのスペック」に加え、「使い勝手の良い機体設計」も特徴として説明した。
ジンバルを本体の上下に取り付け可能なうえ、プロペラもねじ止めではなく、押し込んでまわすだけのワンタッチで脱着できる機構を採用した。発表会ではACSLの六門(むかど)直哉事業開発本部長が、説明しながら脱着の様子を実演した。
Miniは産業用途のうち、送電線の点検、トンネルの壁の亀裂の有無確認、災害時の状況確認などセンシングの利用を主に想定している機体だ。それぞれの用途によって求められるセンサー、カメラなどが異なることを考慮し、多用なセンサーに対応できる用にしたことも開発のポイント。利用者が積載するセンサー、カメラの需要の範囲を考慮し、最適な小型化を両立したことが、Miniの特徴ともいえる。
この日の発表会にはブルーイノベーションの熊田貴之社長も登壇。同社が開発、展開している複数デバイスを遠隔制御する技術ブルー・アース・プラットフォーム(Blue Earth Platform、BEP)との連携について言及。「これまでもACSLと協業を模索してきた経緯がある。Miniを軸に、ソリューションの開発を検討する。春先には紹介できるようにしたい」と述べた。
鷲谷COOは「ドローンの可能性は無限大。『技術を通じて人をもっと大切なことへ』を掲げて開発している。これからもタフな要望やミッションに、日本品質にこだわってこたえていきたい」と話した。