一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月27日、東京・丸の内の東京會館で新年の集いを開催した。来賓や会員、報道関係者など150人が新年のあいさつを交わした。JUIDAの鈴木真二理事長は毎年恒例になっている年間スローガンを「未来創生元年」と発表した。
鈴木理事長はあいさつの中で、海外28か国・地域と41の連携を結ぶなど国際活連携を積極していることなど主な活動や現状を紹介した。
昨年(2024年)12月時点では会員が27875、認定スクールが233校で、今年(2025年)1月15日に加賀(石川県)にドローン用飛行場を新規にオープンさせたほか、ドローン防災スペシャリスト教育講座も開始したことを報告。11月17日には東京でドローンに関わる国際標準を検討する「ISO/TC20/SC16」東京総会が開かれることや、JUIDAがその事務局を担うことも伝えた。ここではフライトシミュレーター規格づくりが進められているという。
さらに4月に開幕する大阪・関西万博でのドローン利用に関わる安全運航ガイドラインづくりを万博のオフィシャルスポンサーとして担っていること、現在3つの自治体と結んでいる防災協定について、7つの広域自治体、2つの政令指定都市と締結準備に入っていることも発表した。
毎年この時期に公表しているスローガンについては、「JUIDAが11年目に入り、新たなスタートを切ったという趣旨で、『JUIDA未来創生元年』と発表させて頂きます」と述べた。
鈴木理事長のあいさつに続き、国会議員、中央省庁の代表らによるあいさつが行われた。自民党の田中和則元復興相は前年までドローン議連(無人航空機普及・利用促進議員連盟)の会長代理としてあいさつしてきたが、今回初めて会長としてあいさつ。「今日、ドローンは各分野で大活躍しています。中国が先行しているといわれますが、日本は日本独自の知恵を絞りメーカーとしても運用としても世界に発信できればいい。ドローンに携わるみなさまがこの仕事を選んでよかったと思えるようになればいいという思いでおります」などと述べた。
山東昭子元参議院議長はドローン議連顧問として登壇し、「10年前には多くの方が知らなかったものが、今はなくてもならないものになりました。平和を前提にビジネスをしたために世界のマーケットへの道が狭くなってしまっている気もします。技術はすばらしいので、軍事、というと語弊があるかもしれませんが、防衛の面でも国益を守る意味で、開発、研究が進むことを期待しています」などと述べた。
このほか鶴保庸介元特命担当相がドローン議連会長代理として登壇しドローン議連が発足した経緯などについて説明した。「環境変化が激しく速い。みなさんの提案を受けて政策に反映させていきたい」とあいさつした。牧島かれん元デジタル相がドローン議連副幹事長として寄せたメッセージを司会が代読した。
このほか、経済産業省製造産業局航空機武器産業課次世代空モビリティ政策室の滝澤 慶典(たきざわやすのり)室長、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の斎藤賢一課長があいさつした。
このあと関係者、来賓、JUIDA幹部らが乾杯し、これを合図に会員同士の懇親が進んだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月30日、東京・丸の内の総合宴会場、東京會館で「JUIDA新春パーティー2023」を開催した。会場での開催は2020年以来3年ぶりの会場開催で、会員、産業関係者、中央府省庁、国会議員らが賀詞を交換した。JUIDAの鈴木真二理事長は2023年のスローガンとして「レベル4実現元年」を掲げ、「レベル4実現させるべくJUIDAとしても貢献したい」と抱負を述べた。またレベル4で義務付けられる飛行日誌に関する情報管理サービスを準備しており、JUIDA会員に無料で提供すると発表した。
新春パーティーでは、鈴木理事長のほか、国会議員関係で無人航空機普及・利用促進議員連盟の田中和德元復興大臣、同議連顧問の山東昭子元参院議長、同議連副会長の櫻田義孝元東京オリンピック・パラリンピック担当相、同議連事務局長の山際大志郎前経済再生担当相、同議連幹事長の鶴保庸介元内閣府特命担当大臣が出席してあいさつをしたほか、同議連幹事の牧島かれん元デジタル相、同議連幹事の大野泰正国土交通大臣政務官がメッセージを寄せ会場で代読された。中央省庁関係では経済産業省製造産業局次世次世代空モビリティ政策室の宇田香織室長、国土交通省航空局の新垣慶太次長があいさつした。
鈴木理事長はあいさつの中でJUIDA会員が法人、個人あわせて24,845、操縦技能証明取得者が26,192人、安全運航管理者証明の取得者が22,828人となり「最近の伸びが大きい。ことがわかります」と説明した。
また鈴木理事長は昨年(2022年)12月5日の改正航空法施行に伴い整備された国家資格としての操縦ライセンスに関連し、「JUIDA認定スクールの中で、国家資格取得のための登録講習機関に登録を希望するスクールに対して、JUIDAも支援しています」と支援体制を構築している乗用を報告した。そのうえで「国家資格はクルマでいえば普通免許。業務に適用するには専門分野ごとの教育が必要になりその部分を充実させていきます」と、専門教育に力をいれる方針を述べた。
JUIDA会員向けのサービスとして、飛行日誌サービスを会員に対して無料で提供する準備をしていることも報告した。2023年のスローガンには「レベル4実現元年」を掲げ、「JUIDAとしても貢献したいと考えております」とレベル4実現を展望した。
会場では出席者が旧交を温め、情報交換をしたり談笑したりし、3年ぶりの開催を祝った。
埼玉県は10月14日、「第2回ロボティクスセミナー~ドローンの研究開発と活用の潮流~」を開催した。埼玉県が2026年度の開所を目指すロボット開発支援施設「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」への興味や期待を喚起することが目的で、福島県南相馬市にあるロボットの開発支援拠点、福島ロボットテストフィールドの所長で一般社団法人日本UAS産業振興協議会の理事長を務める鈴木真二氏ら、ドローン事業で名の知れた関係者が登壇した。鈴木氏は、「埼玉と連携したい」と話し、SAITAMAロボティクスセンターへの期待を表明した。
登壇したのは鈴木氏のほか、ドローン物流の実現に向けた動きを加速させている秩父市産業支援課の笠井知洋氏、秩父市の実験でドローンの運用を担い、物流へのドローン活用に取り組む楽天グループ株式会社(東京)ドローン事業課の谷真斗氏、埼玉県内に本社を構え地元にフライトスペースを構え、農業、空撮などの地元貢献にも力を入れる株式会社NTTe-Drone Technologyの山崎顕代表取締役、ドローンやロボットなどの人手を自動化するデバイスを制御するプラットフォーム関連技術を手がけるブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之代表取締役らで、それぞれが近況や埼玉との関係などについて述べた。
鈴木氏は、「レベル4実現に向けたドローンの新制度と今後の展望」の演題、ドローンの歴史、用途、市場の成長、理事長をつとめるJUIDAの事業や、会員の推移、所長を務める福島ロボットテストフィールドの役割などを説明し、「埼玉県もSAITAMAロボティクスセンターをつくるということなので、今後連携をとらせて頂きたいと思っています」と期待を表明した。また、JUIDAの理事長として毎年、年頭に公表しているスローガンを振り返り「来年のスローガンをどうするか、みなさんと考えたいと思っております」とアイディアを募った。
秩父市の笠井氏は、秩父市が埼玉県で最も広い市であることや、年間の観光客数ガパリのエッフェル塔に匹敵するなどのエピソードで関心を引き、ドローンでは、物流、遠隔医療、MaaSなどに取り組んでいることを説明した。関わり方については「行政として使命感をもって取り組んでいる」と明言した。市内で行われた物流の様子については動画を披露し「未来技術で住み続けたいまちを目指します」とメッセージを寄せた。
秩父市での物流事業にも参加した楽天グループの谷氏は、ドローン配送に取り組む背景を、宅配の増加と担い手の減少がもたらす将来不安の解消をあげ、「不便解消のひとつの手段がドローン」と説明した。三重県志摩市の離島物流や、長野県白馬村での山小屋への荷物配送などの事例を紹介し、「過疎地物流が地域に根付けば地域の外からその仕事に関わるために人材が流入する可能性があります。ポジティブなスパイラルを生み出す起爆剤になると思っています」と述べた。
ブルーイノベーションの熊田氏は、ひとつの作業で複数の業務をこなす制御技術、Blue Earth Platform(BEP)技術を紹介し、用途別にプラント点検、送電線点検など用途ごとにカスタマイズしたソリューションを用意していることやスイスFlyability社製の球体ドローンELIOSシリーズを使った点検など事業概要を説明。送電線点検では、送電線のドローン点検の悩みの種である送電線のたわみに追随した撮影を可能にするため、たわみにそってドローンが飛行するためにセンサーを組み合わせたモジュールを開発した実例を紹介した。送電線点検は「東京電力グループの中で22の支社が検討を進めているか、すでに実用化しているかしています」と拡大している現状を報告した。またドローンなどの離着陸に用いるポートについて、固定式、可搬式のそれぞれの開発に取り組んでいるほか、国際標準を定めるための会議でリーダーシップをとっていることなども紹介した。熊田氏は「今後のものづくりは自律分散がテーマになっています。そこに貢献するプラットフォーマーを目指します」と決意を表明したあと、「最初にお伝えしようと思ったのですが、私は埼玉県和光市の出身です」と埼玉県とのつながりを伝え、会場をなごませた。
埼玉県朝霞市に本社を構えるNTT e-Drone Technologyの山﨑氏は、主力事業である農業、点検のほかに、NTTグループの光ファイバーをひくために特殊なドローンを使ってる事例などを紹介した。山﨑氏は事業として機体を扱うことの意義について「機体を理解しないとエコシステムの運営はできない」と解説した。また、埼玉県川島町、埼玉県坂戸市でコメづくりの手伝いをしていたことや、朝霞市の茅葺の農家建築で、平成13年に国の重要文化財に指定された「旧高橋家住宅」をドローンで撮影して「文化財デジタルアーカイブ」として保存しているなど、地元密着の取り組みを進めていることも明らかにした。さらに「すぐにではないですが」と前置きをして「将来的にローカル5Gを介し、ドローンとクラウドが常時接続するコネクテッドドローンを展望しています」と今後を見据えていることを明らかにした。
講演にあたり埼玉県の村井秀成次世代産業幹が「埼玉県はロボティクスに取り組んでいて、“ロボットといえば埼玉県”と言われるように取り組んでいきたい」と強調。次世代産業拠点整備担当の新井賢一主査はSAITAMAロボティクスセンターの概要や整備状況について「インターチェンジ直結のテストフィールド」と特徴を強調し、「詳細を検討中で、模擬住宅をどうするかなど、ご意見があれば伺いたい」などアイディアも募った。
当日の様子は、10月21日からオンデマンド配信(11月4日まで)を予定している。配信の申し込みフォームはこちらから。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月21日、インターネットを通じてオンライン記者会見を開き、2021年の抱負や重点事業の説明、最近の活動などについて説明した。プラント点検や森林など業種別の専門操縦技能での人材育成、地方事業などに力を入れる。また鈴木真二理事長は毎年恒例になっている新年のスローガンとして、2021年を「災害活躍元年」と表明した。
会見は鈴木理事長が説明し、その後、参加者からの質問に応じる形で進んだ。説明の中で鈴木理事長は2021年の重点事業を、新市場創出、雇用創出、地方創生、国際展開、社会貢献の5点に整理。新市場創出はJUIDAが「応用教育」と呼ぶ「専門操縦士証明証」の発行が柱で、すでにプラント点検について運用を初め、森林測量についても運用準備に入っている。鈴木理事長は「スクールの力も借りて広めたい」と説明した。対象領域の拡大の可能性については、「国の制度設計とかみあう必要がある。トレーニングする動きが出てくれば可能性がある。物流や点検などで可能性があると感じる」と話した。
またジュニア世代向けのドローンを活用してプログラミングの知識を身に着ける「ドロミングラボ」を監修したことにも触れ「若い方々に親しんで頂ければと考えている」と述べた。
雇用創出では、専門操縦士証明証を取得した操縦士向けのビジネスマッチングや、6月の開催を準備している大規模展示会「JapanDrone2020」の活用などを検討していることを明かした。
そのほか、地方創生ではJapanDroneスタイルの展示会の地方開催、国際展開では、認定スクールの海外展開、社会貢献で自衛隊と締結した包括災害防災協定の活動強化などをあげた。国際展開の中では、操縦トレーニングの国際標準化に向けた活動が紹介された。
毎年年頭に公表しているその年のスローガンについて、鈴木理事長は「2021年は災害活躍元年、としてみました」と発表。「豪雨、豪雪などの中でいかに活用するか。一部ではすでに災害対策が始まっており、実際に本格的に活用する年になってほしい。コロナも災害。災害時に人を明日けるドローンであってほしいと考えている」と述べた。
質疑応答では、レベル4環境の整備について、鈴木理事長は「ドローンがフレキシブルに飛ばせるようになることがメリット」と指摘。環境の一環として国家資格となる操縦ライセンスについては「どのような方策がよいか検討しているところ」と述べた。一方、実際に有人地帯を目視外での飛行が実現するかどうかについて「国と進めているのは、(レベル4飛行の)制度をつくること」と述べ、具体的な機体の飛行については「個人的には2022年には難しいのではないかと思う」と、実際の飛行は数年先ではないかと予想した。
新型コロナウィルスの感染が広がる中でのドローンの役割については、各国で啓蒙や消毒液散布などにドローンが活用されている事例を紹介し、「物流面でも自治体主導で出始めており事業として成長されるのではないか」と期待した。
JUIDAは例年、例年1月に「新春パーティー」を開催し、会員や関係者があいさつを交わし情報交換をしている。2021年は新型コロナウィルスの蔓延による感染拡大対策を徹底するために、開催を見送り、それに代わり新年の記者会見を開催した。