一般社団法人日本ドローンコンソーシアム、一般社団法人日本能率協会が大阪で開催した「第6回国際ドローン展」は、7月29~31日の3日間で1192人の来場登録者(速報)を数えた。コロナ騒動が再浮上する中、併催イベント目当ての来場者の回遊もあり、各ブースには多くの来場者が足を止めた。マスク着用、会場の換気、出入り口での検温、距離確保などの感染対策が見られる一方、会場内で間近で談笑する光景も多くみられた。
「国際ドローン展」は、「インフラ検査・維持管理展」「i-construction推進展」「事前防災推進展」など、20以上の展示とともに、大阪の展示会場「インテックス大阪」(一般財団法人大阪国際経済振興センター、大阪市住之江区)の7月29~31日に開催された。この期間に開催されたイベントは、会場の1~6号館を使い、「国際ドローン展」は3号館の入り口に近い一角にまとめられた。この一角には15の団体、企業などが出展した(下図参照)。そのほか、ドローン関連企業の中には、自社が手掛ける事業とかかわりの深い併催展に出展していたドローン関連企業もあった。
感染対策と催事の両立の難しさが顕在化する中での開催で、主催者としては来場者の獲得に不安を抱える中での開催となったが、初日の7月29日の午前中から客足はあり、出展者は「来場者が少なくても仕方がないと思ってはいたが、フタをあけてみたらそこそこ来場者がいて驚いた。併催展をめざしてこられた来場者とも情報交換もできた」などと手ごたえを口にしていた。
今年2020年7月1日に株式会社ミライト・テクノロジーズから独立したばかりの、ドローン事業専門子会社、株式会社ミラテクドローン(東京)は「インフラ検査・維持管理展」に出展。ハード事業者を問わず、センサーを活用したソリューション構築などに定評があり、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA) 認定スクールも運営する。2019年の「Japan Drone2019」に開催された「School Award」では金賞(GOLD)が贈られた実績も持つ。ブースではパネルを展示して同社の取り組みを披露。同社の本田信夫取締役は、初日の午前中の時点で「すでに来場者との情報交換ができた。目的を持っている来場者と交流できることは意義がある」と話していた。
水中ドローンと空を飛ぶドローンを自在に使い分けて撮影、点検などのソリューションを提供する株式会社ジュンテクノサービス/ドローンテクニカルファクトリー川越(埼玉県)は、「インフラ検査・維持管理展」に出展し、大型の水槽を設置して水中ドローンのデモンストレーションで注目されていた。パーソルプロセス&テクノロジー株式会社(東京)は「事前防災・減災対策推進展」でドローンの活用手順などをパネルで紹介。3Dマッピングソリューションの株式会社サイバネテック(東京)、地図データ作成の株式会社みるくる(東京)は「i-construction推進展」などで取り組みを来場者に紹介していた。
「国際ドローン展」は3号館の入り口に近い場所で開催。日本一ドローンの飛ぶ町を目指している徳島県那賀町は、町の取り組みをパネル展示し、那賀町の活用を訴えた。機体や無線操縦装置、フライトコントローラーなどを自前開発する技術集団、株式会社TKKワークス(大阪市北区)は、無人移動体画像伝送システムの周波数帯を使用した169MHzの操縦機(プロポ)や2.4GHzのテレメトリ無線機の実機を展示。ArduPilotを駆使したソリューションの一端を紹介しながら、利用者の要望に応じた機体開発を請け負う取り組みをアピールした。
株式会社アイ・アール・システム(東京)は、ブース内にフライトエリアを設置し、スイスフライアビリティ社製の球体ガードのついたドローン「ELIOS」をときおりフライトさせるなどして紹介していた。屋内の狭小空間内での点検に必要となる、壁面に接触させて損傷を生じさせない機能や、壁面に設置しても落下しない機能などを伝えていた。また、“はかる”ことで高い専門性を持つ有限会社タイプエス(群馬県前橋市)は、取引先でもある株式会社自律制御システム研究所(ACSL、東京)の「PF2」「MINI」といった機体や測量のためのデバイスを展示し来場者の関心を引いた。
測量事業に力をいれる株式会社オリエンタルコンサルタンツホールディングスの子会社、株式会社エイテック(東京)は、DJIの空撮機の頭上にInsta360の360度カメラを固定し、おなかにかかえるカメラをはずしたうえでPAUI株式会社(福岡市)製の球体ガードを装着したカスタマイズ機を展示。利用者の用途にあわせて機体をアレンジする姿勢をアピールした。テクノドローン株式会社(岡山市)は、市販機と独自開発機を展示。高さ200メートルのエントツも安定飛行させ、3Dモデルを作ることができる技術をアピールした。各ブースとも併催展からの回遊客の来場などもあり、ブース前では初日から情報交換をする姿が見られた。
今回の開催について主催者は現在、来場者向けアンケートの回収、集計を進めている。開催の総合評価について、国際ドローン展事務局は「主典者へのアンケートを集計したうえで見極めて判断したい」と話しており、現時点での評価はしていない。アンケートから読み取れる部分と、そこからは読み取れない部分も含めた評価がなされることが期待される。 特に感染対策の是非は、今後の催事の貴重な判断材料になりうる。
国際ドローン展をはじめとするこの期間のイベントにあたり、主催者は感染対策を工夫した様子が見られた。
会場に入るまでの導線では、入場ゲート前で来場者同士の間隔を確保するよう足もとにラインを設けたり、来場者に呼びかけたりと距離確保に力を入れている様子が確認できた。入口では検温、来場登録の確認、マスク着用の確認などがなされた。報道陣の作業向けに準備されたプレスルームの受付では、2枚の名刺の提示を求められ、その際にも受け渡しをトレーの上で行い、直接の接触を回避する工夫がされていた。
会場とJR大阪駅桜橋口との間を往復するシャトルバスの料金600円の受け渡しでも工夫がされていた。現金決済だけだが、1000円札での支払いに備え、つり銭の400円を小さいトレーに入れて用意してあり、1000円札で支払う来場者にはそのトレーを差し出してお釣りを渡し、接触せずにすむ対応をしていた。
一方、課題があるとしたら、展示会の会場内部での距離確保や会話だろう。
初日の午前から午後にかけて、併催イベントも含めて会場に滞在していたが、出展者や来場者の間で、間近で会話を交わすシーンはそこここでみられた。いつもの展示会であれば活発な交流は展示会としてあるべき姿だが、感染対策下ではリスクのあるシーンと受け止められる。来場者は全員がマスクやフェイスシールドを着用してはいる。しかし、興が乗ると話がはずみ、距離が縮まる様子に、感染対策意識が薄らぐようにもみえた。主催者による距離確保は入口ではかなり徹底していた。しかし会場内に入ると、意識が緩む印象だ。
実際、期間終了後に事務局に確認したところ、「そこは出展企業、来場者のご判断になる。われわれは入場前に登録頂く際に、注意事項に納得頂いたうえで登録、来場頂いている。出展企業にもガイドラインにそった対応をアナウンス(お知らせし)している」という。
一方、会場内を巡回するスタッフが距離確保を促すため声を掛けることにもなっていたという。「1対1で話をしているときに注意をするというのはどうかな、という思いもあるが、いわゆる“密”になっている現場を発見したさいには、巡回スタッフが声をかけて注意を促すことになっていた。国際ドローン展以外のところで、実際に注意をしたという報告もあった」という。
開催にあたり、事務局は感染対策など会場の保安のため、例年より多くのスタッフを採用した。どこまでの準備をして、どこまでできたのか、限界はどこか。感染対策は実行が目的でなく、感染防止が目的であるなら、今回の経験がその観点からも分析され、今後の開催可否判断や、開催時の運用に生かされることをのぞみたい。
大阪府の吉村洋文知事は11月26日、なんば駅前広場で開催2日目を迎えた「道頓堀リバーフェスティバル2023」(一般社団法人大阪活性化事業実行委員会主催)の会場を訪れ、メインステージの隣に設置、展示されたテトラ・アビエーション株式会社(東京)の1人乗りeVTOL機、Mk-5(マークファイブ)の座席に乗り込む場面があった。吉村知事はいわゆる空飛ぶクルマの実現に積極的で、たびたび「乗りたい」と発言していることで知られる。
吉村知事がテトラのMk-5に乗ったのは26日午前11時半ごろ。道頓堀リバーフェスティバルの2日目の主要行事「第13回よさこい大阪大会」のあいさつのためステージにあがり、「ここミナミは大阪の個性です。ミナミが元気なら大阪が元気になる。大阪が元気なら日本が元気になる。元気な大阪を引き継いでいきたい。そして2025年に大阪・関西万博をやります。批判されている部分もありますが、それを乗り越えてベイエリアで160か国が集まる未来を見据えた万博をやりたいと思います」と、空飛ぶクルマの実現が見込まれる大阪・関西万博をアピールし大きな拍手を浴びた。
吉村知事はあいさつ後にステージからおり、よさこいのパフォーマンスを見学したあと、ステージわきのMk-5に近寄りシートに乗り込んだ。様子を見ていた来場者から「吉村さーん」などと歓声があがり、吉村知事が声の方に向かって手を振った。
吉村知事は2021年9月14日、大阪府、大阪市、株式会社SkyDriveがいわゆる空飛ぶクルマについて「実現に向けた連携協定書」を締結したさい、大阪・天保山の調印式会場に置かれたSkyDriveの前モデル「SD03」に、松井一郎前大阪市長とともに乗りこんだ経験がある。このため吉村知事は国産2機の乗り心地を体験したことになる。
またこの日の会場では前日に続き、VRコーナーに多くの来場者が詰めかけ、参加者がVRゴーグルを装着して空クルの疑似体験を楽しんだ。
大阪・ミナミの玄関口、難波駅前に11月23日に誕生したばかりの「なんば駅前広場」で11月25日、「道頓堀リバーフェスティバル2023」(一般社団法人大阪活性化事業実行委員会主催)が始まり、メインステージのすぐ横にテトラ・アビエーション株式会社(東京)の1人乗りeVTOL機、Mk-5(マークファイブ)が展示され、フェスに訪れた多くの来場者の目を引いた。フェス会場内で行われているいわゆる空飛ぶクルマの疑似搭乗体験ができるVRコーナーにも参加者が集まり、関心の高さを示した。
テトラのMk-5はフェス会場のメインステージの横に設置され、ステージイベントの観覧者はMk-5の機体を背景にパフォーマンスを見る形だ。開幕500日前を控え、機運醸成に一役買った。会場周辺を往来する人々も足をとめてスマホで撮影するなどの姿が見られた。
VRコーナーは、大阪府が力を入れている空の移動革命社会受容性向上事業のひとつで、参加者はVRゴーグルを装着することで空クルの疑似体験ができる。ゴーグルで流される映像は5種類あり、大阪市内から関西国際空港まで渋滞を回避してストレスなく移動するコース、兵庫・淡路島から大阪・中之島までの快適通勤コースなどで、利用シーンを思い描きやすくなっている。対象は13歳以上。参加希望の場合時間枠を予約する必要があり、午前10時の開場以降、続々と予約枠が埋まっていた。
また空飛ぶクルマに関する情報をわかりやすく説明したパネルも設置してあり、足を止めた来場者に担当者がていねいに説明する姿もみられた。
25日のVR体験者は「これはいい。早く乗れるようになってほしい」と期待を寄せた。テトラ機を眺めていた来場者は「実物はかっこいい。いまのうちにこの大きさにあわせた駐車場を準備しないと」と話していた。
初日のステージのオープニングセレモニーには、主催者など多くの関係者が列席。お笑いタレントの間寛平さん、横山英幸大阪市長、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の堺井啓公機運醸成局長もあいさつし会場を盛り上げた。
フェス会場の「なんば駅前広場」は、南海電車難波駅・高島屋大阪店となんばマルイ前のに地域主導で整備された広場で、11月23日に完成したばかり。「道頓堀リバーフェスティバル2023」はステージでのパフォーマンスや屋台が11月26日午後5時までにぎわいを演出する。
道頓堀リバーフェスティバル2023には大阪市商店会総連盟、産経新聞大阪本社、なんば安全安心にぎわいのまちづくり協議会が共催している。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は11月25日に都内で開催される学生向けの航空業界セミナー「航空技術産業セミナー」(公益社団法人日本航空技術協会など主催)に参加する。航空業界にとって急務な人材確保と、学生の航空業界への就職希望などを叶えることを目指すための開催で、JAXA、ANA、IHIなど航空宇宙関連企業や研究機関、官公庁などが参加する。JUIDAも学生に向けて取り組みをアピールし浸透を図る。
参加リストにはIHI、朝日航洋、JAXA、海上保安庁、川崎重工業、国土交通省航空局、ジェットスター、ジャムコ、スカイマーク、SUBARU、ANA、電子航法研究所、中日本航空、日本航空、日本飛行機、JUIDA、ピーチアビエーション、三菱重工業の18団体の名が並ぶ。場所は東京・飯田橋の会議場「ベルサール飯田橋ファースト」(東京都文京区後楽2-6-1住友不動産飯田橋ファーストタワーB1)で、12:30~18:30。
各機関が業務内容を紹介するブースを設置するほか、国交省航空局、川崎重工、ANAは特別講演も行う。日本航空技術協会によると、航空業界にフォーカスした学生向け産業セミナーの開催は今回が初めてという。
ロボット・航空宇宙に関連する製品や技術が一堂に集まる「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2023」は11月22日、福島県郡山市の展示場、ビッグパレットふくしまで開幕した。75のロボット関連企業・団体、56の航空宇宙企業・団体が出展するほか、第一線で活躍する論者が講演する。22日がビジネス向け、23日が一般向けで入場は無料。ステージでの講演はライブ配信する。
出展内容は年々充実していて、主催者が「進化が目覚ましい」と驚くほどだ。
株式会社スペースエンタテインメントラボラトリー(東京)は、翼幅約3mの飛行艇型ドローン「HAMADORI3000」翼幅約3mの「HAMADORI6000」のほかに、開発中の双胴船型飛行艇ドローンの20分の1モデルを展示している。荷物を機体の中央に積むためで、順調に開発が進んでいるという。
柳下技研株式会社と長岡商事株式会社は小型・高出力ガスタービン発電機搭載の荷重300kgのハイブリット大型ドローンの試作機を展示。ブースでは福島ロボットテストフィールドでダンベルのおもり300㎏をつんで飛行している動画を公開している。躯体の強度やFCの設置場所などに工夫をしたと話している。
テトラ・アビエーション株式会社はパーソナルeVTOL Mk-5の実機を展示。来場者に囲まれていた。実機展示については各地から声がかかり、今回の郡山での「ロボット・航空宇宙フェスタ」が23日に終了したあと、分解してトラックで積み、翌々日の25日に大阪・ミナミで開幕する「道頓堀リバーフェスティバル2023」に向かう。2025年の大阪・関西万博で飛行が見込まれているいわゆる「空飛ぶクルマ」の市民の認知度や受容性、機運を高める役割を担う。
このほか埼玉県産業労働部は埼玉県が圏央道圏央鶴ヶ島IC近くに整備を進めている複合実証フィールド「SAITAMA ロボティクスセンター(仮称)」の概要をパネルなどで紹介、Zip Infrastructure株式会社(秦野市<神奈川県>)は2024年度に南相馬市で実験予定の独自開発の自走式ロープウェイ「Zippar」を紹介している。株式会社ダイモン(東京)は2024年初頭に月に向かう超小型月面探査車YAOKIを展示し、学生たちに囲まれている。
田村市(福島県)を拠点に活動するドローン活用団体、ドローンコンソーシアムたむらと株式会社manisonias(田村市)は、センシング機材、ドローンによる空中散種機材や3D地形モデルなどを展示。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)も、幅広い活動やライセンス制度などを説明する。
ステージも、3カ所に設置され講演が充実。初日は、インターステラテクノロジズ株式会社の稲川貴大代表取締役社長が「宇宙産業の展望と民間企業開発」、イームズロボティクス株式会社の曽谷英司代表取締役社長が「型式認証とドローン活用の最新動向」をテーマに講演するなど多くの講演が予定されている。
ステージの様子はライブ配信される。フェスタは23日まで
サイエンスを楽しむイベント「サイエンスアゴラ2023」(国立研究開発法人科学技術振興機構=JST=主催)の会場開催イベントが11月18日、東京・青海(あおみ)のテレコムセンターではじまり、ユーザー体験デザインの株式会社ORSO(オルソ、東京)が開発した重さ50.5gの部屋で楽しめるドローン、DRONE STAR PARTYを使ったプログラム飛行体験「小型ドローンでミッションにチャレンジ!」が親子連れなどに大人気だ。設定された着陸場所にたどりつけるようタブレットでプログラムし、実際に飛ばして試す体験に、参加した子供たちは没頭し、見守る親も手に汗を握り声援を送っている。サイエンスアゴラは19日まで。参加希望者で事前予約をしていない場合はキャンセル待ちを狙うことになる。
プログラム飛行体験は、研究知シェアリングを手掛ける株式会社A-Co-Labo(エコラボ、東京)と、DRONE STAR PARTY を開発したORSO、サイエンスアゴラを主催するJSTがテレコムセンター1階に設置したブースで実施している。大人も子供も参加できるが、参加者は主に小学生だ。事前予約を済ませた参加者が予定の時間に集まると、先生役のA-Co-Labo代表取締役CEOの原田久美子さんが、ドローンの仕組み、飛ばし方などを説明する。参加者用の席には1人1台、DRONE STAR PARTYとタブレットが置いてあり、参加者はドローンやタブレットに触れながら、原田さんの説明に耳を傾ける。
「飛び上がることを『りりく』といいます。タブレットにりりく、と書いてあるブロックありますか」
「前に進む前進もできるし、宙返りをするフリップもできます」
「計算機のような画面で数字をいれると、どのぐらい進むかを決めることができます」
「電波の関係や、空気の流れの関係でプログラムした通りにいかないこともあります」
「最後にかならず『ちゃくりく』をいれてくださいね。そうじゃないと飛びっぱなしになったいます。じゃあ、やってみましょう。できたら隣で実際に飛ばしてみましょう。今回は2回まで飛ばせます」
参加者はすぐに没頭する。親や見物者が成り行きを見守る。子供にサインをおくったり、助言したりする姿もみられた。
説明をはじめてから10分ほどで、飛行に挑む参加者が出始める。ふたつある飛行場所には、ORSOのスタッフが待機し、子供たちをサポート。「お、はやいね」「おっと、フリップがいっぱいはいってるね」などと盛り上げる。子供の横で様子を見る親もいれば、ネットの裏にまわって子供の雄姿を正面からおさえようとする親もいる。
飛ばしてみると、うまくいこうが、いくまいが親も子も「あー」などと声があがる。中には1回目でゴールにじょうずに着陸させることができる参加者もいて、そのときには拍手があがる。2回まで飛ばせるので、1回目で思い通りの軌道をたどらなかったら、プログラムを修正して再チャレンジができる。2回を飛ばし終えると参加者は「楽しかった。ありがとうございました」とスタッフに笑顔を残していく。
指導役のA-Co-Laboの原田代表は「体験に没頭している表情をみると、私も楽しくなります。楽しいと思ってもらえると嬉しい」と話している。
プログラム飛行体験で使われているDRONE STAR PARTYは、ORSOが「おうちで飛ばせる」を掲げて開発した直径12cm、重さ50.5gの小型ドローン。プロペラガードを標準で装備していて1回の最大飛行時間は7分。撮影可能なカメラもついている。この日の飛行体験中も、ドローンのカメラがとらえた動画が確認できる。
プログラム飛行体験「小型ドローンでミッションにチャレンジ!」の参加者は10月に募集し、募集開始から15分で全枠が埋まる人気ぶりだった。参加者は事前予約が必要だが、回によっては欠員がでることもある。ブースではキャンセル待ちを受け付けていて、18日も、欠員枠に参加したケースがあった。
サイエンスアゴラ2023は社会と科学をつなぐ5日間を掲げ、科学者のキャリア、いきもの、STEAM、ロボット・AI・プログラミング、健康、実験、数学など多角的なテーマを扱い150以上のプログラムを提供する。すでに10月にオンラインイベントが3日間開催されている。18、19日が会場での開催となる。入場は無料だ。
日用品大手の花王株式会社(東京)は11月9日、中津川市(岐阜県)で荷物を積んだドローン3機を自動で編隊飛行させ、そのうち1機から降ろされた荷物を自動配送ロボットに載せ替え、50mほど離れた目的地に無人で届ける自動ラストワンマイルの実証実験を行った。3機の編隊飛行は1機で載せきれない場合複数機にわけて貨物列車のように運ぶことを想定した。ドローンが荷物を下ろせる場所でおろしたあと、人の手を介して載せ替えることなく最終目的地まで運ぶ実用性や経済性、技術的な改善点などを探ることが目的で、実験は予定通りに進行した。今後、関係者が結果を解析する。実験にはイームズロボティクス株式会社(南相馬市<福島県>) ブルーイノベーション株式会社(東京)、NTTコミュニケーションズ株式会社(東京)が技術や知見を持ち寄った。
実験は国土交通省の国土交通省の「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」の採択を受けて、花王が統括した。無人で最終目的地まで届ける技術として、ブルーイノベーションのドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」や自動配送ロボット運航を担った。ドローンはイームズロボティクスのヘキサコプターE6106を3機活用、1機をリーダー機、2機を追従機として編隊飛行させた。イームズは編隊飛行の経験を豊富に持つが、試験場ではなく、導入が検討される現場で一般道をまたぐルートで編隊飛行が行われたのは今回が初めてだ。またドローンの長距離飛行に必用な上空LTE技術をNTTコミュニケーションズが提供した。
実験会場は、地域の観光スポット、椛の湖(はなのこ)のほとりに広がる椛の湖オートキャンプ場で、荷物を受け取る目的地になった。物流用ドローンポートを搭載した自動走行ロボットもここで待機する。出発地点は直線距離で1,9㎞離れた中津川市立坂下小学校のグラウンドだ。標高差は200mあり、小学校から目的地のオートキャンプ場までは、180度折り返す急カーブがくねくねと4,6㎞にわたり続く。直線では105パーミル、陸路でも43パーミルといずれも急こう配だ。
実験では出発点の小学校のグラウンドで、ドローン3機に、日用品を中心に2㎏ずつの密が積み込まれた。飛行ルートは予め決められた。出発の合図とともに、3機が1機体ずつ、1秒ほどの間隔で離陸した。3機は上昇すると地表から110mの高さで目的地に向かった。標高差があるので、斜面をなぞるように高度をあげながら進んだ。
目的地では、実験の関係者、地元行政、議会関係者、離陸地となった坂下小学校の児童らが空を見上げドローンの到着を待った。週っ発の合図から3分ほどでプロペラの回転音と3機の姿を確認すると、小学生から「来た」「あそこだ」などの声があがり、関係者も場所を確認しあった。
機体は目的地上空でホバリングをしたあと下降を開始した。編隊飛行を船頭してきた1機が、目的地に待機していたドローンポート付き自動配送ロボットのうえに着陸すると、居合わせた生徒や関係者から拍手があがった。飛行時間は約5分だった。残る2機もすぐそばに着陸した。ポート上に着陸した機体は、積み荷を自動で切り離し、再び浮上してポートから離れた着陸した。荷物を受け取った自動配送ロボットは、決められたルレーンを50mほど走り、受け取り地点で止まり、任務を終えた。
最終目的地に荷物を運んだ自動配送ロボットは、ブルーイノベーションが開発したデバイス統合基盤技術BEP(べっぷ=Blue Earth Platformの略称)が組み込まれていることが特徴だ。物流用のドローンポートのシステムについては、国際標準化機構(ISO)が設備要件を国際標準規格ISO5491として発行しており、今回の実験では、ブルーイノベーションがISO5491に準拠して開発したドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」を使った。関連する運航管理気象センサー、障害物検知、侵入検知などの機能を持つ。センサーから得た情報はVISで一元管理された。
ブルーイノベーションの田中建郎取締役は「今回の実験で満足することなく、今後もさらに利便性、安全性など改善を図っていきたい」と述べた。
イームズロボティクスの 曽谷英司代表取締役は「1台で運びきれない場合に、複数台を1人で運用できればより多くのものを運べる。機体開発や編隊飛行には現在も取り組んでおり、今後、1人が運用できる台数の拡大や、1台あたりの積載能力の大きい機体開発を通じて、ドローン物流が広がることを期待している」などと述べた。
今回の実験の会場となった中津川市は花王の創業者、長瀬富郎(ながせ ・とみろう)の生家の造り酒屋がある縁の深い場所だ。実験には恵那醸造(えなじょうぞう)株式会社の長瀬裕彦代表取締役も立ち会い、荷物の受け取り役を引き受けた。裕彦氏は「いまあるのも花王がここまでになってくれたから。その花王が地元で実験をしてくれるのは感慨深い」と話した。
今回の実験で花王のスタッフは、「かおぞら」と白く染め抜かれた色違いのジャケットを着用してのぞんだ。花王のドローン物流推進事業は、同社が「01KAO(ゼロワン花王)」と呼ぶ社内の2021年7月に導入した事業提案制度から発足した事業で、実質的に稼働をはじめた2022年以降、「かおそら」を使いドローン物流に取り組んでいる。今年(2023年)9月には養父市(兵庫県)で15㎏の荷物を空送する実験を実施した。
花王SCM門ロジスティクスセンターの山下太センター長は「花王は日用品メーカーとして多様化するニーズにこたえるために、マーケティング、生産、物流、販売の船体最適のサプライチェーンの構築に取り組んでいる。創業者、長瀬富郎の有名な言葉に『天祐は常に道を正して待つべし』があり、花王はそれを今も理念と考えている。今回はその志を持つメンバーがこのプロジェクトに集まっており、その気概と熱意を届けたい」と中津川での実験に寄せる思いを伝えた。
プロジェクトリーダーの一人、是澤信二氏は「花王は全国に工場、配送センターを構えており、これらの物流資産をドローン物流に生かしたいと考えている。工場やターミナルにドローンデポと呼ばれる基地を整備し、そこから一括で供給する物流を目指したい。2024年問題もあり、無人化にこだわりたい」と意気込みを伝えた。
もう一人のプロジェクトリーダー左藤真彦氏も「最終的に届くまで多くの人の手を介するいまの物流をできるだけ無人化したい。今回も荷下ろし、詰め替えの作業をせず、そのまま届ける。こうしたシンプルな物流を実装したい」と述べた。
実験には、事業者、メディアのほか国交省中部運輸局、経産省中部経済局、岐阜県、岐阜県議会、中津川市などが立ち合い、実験の様子を見守り、関係者の話に耳を傾けた。中津川市の青山節児市長は「私たちは環境に恵まれた土地で生まれ生活していると思っている。私はストレスマネジメントのできる地域と形容している。恵まれた環境が当たり前になる中、人口減少に歯止めはかからない。いなかでもしっかりと生活できるようになってほしいし、そのための取り組みには市としても積極的に参加したい。それを通じて自分たちの郷土にほこりを持って頂けるようになればいいと思っている」とあいさつした。また実験後には、「子供たちの歓声がすべてを物語っている。この地でカタチができていくと確信した」と感想を述べた。