一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は2月21日、認定スクールの秋葉原ドローンスクール(運営は田中電気株式会社)が4人の「一等無人航空機操縦士技能証明書」取得者を輩出したと発表した。国交省航空局は2月14日14時に一等の初交付を発表している。航空局によると2月14日午前中時点での一等取得者は4人で、その後随時、更新しているという。JUIDAの発表は以下の通りだ。
一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(所在地:東京都文京区、理事長:鈴木真二 以下
JUIDA)は、2022 年 12 月に施行された改正航空法に基づき、ドローンの「レベル 4」飛行(有人地帯での目視外飛行)で必要となる「一等無人航空機操縦士技能証明書」取得者が、
JUIDA 認定スクール・国の登録講習機関である秋葉原ドローンスクール(運営:田中電気株式会社、所在地:東京都千代田区、代表取締役社長 田中良一 以下、秋葉原ドローンスクール)から輩出したことをご報告いたします。
1.国土交通省 我が国初の「一等無人航空機操縦士技能証明書」の交付
国土交通省は 2023 年 2 月 14 日付で、無人航空機のレベル 4 飛行を行うために必要な知識及び能力を有することについて学科試験、実地試験等により確認を行い、一等無人航空機操縦士の技能証明書を初めて交付したことを発表しました。
(国土交通省 我が国初の「一等無人航空機操縦士技能証明書」の交付:国土交通省ホームページ 報道発表 https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000229.html)
「一等無人航空機操縦技能証明書」は、秋葉原ドローンスクールで実施された修了審査に合格した 4 名に対して国土交通省から交付されました。
2.JUIDA の取組
①JUIDA 認定スクール向け「JUIDA 国家ライセンススクール運営支援プラン」
JUIDA は、国が発行する無人航空機操縦技能証明(以下、「国家ライセンス」)の講習を行うJUIDA 認定スクールに対して「JUIDA 国家ライセンススクール運営支援プラン(以下、「サポートプラン」)」(図 1)の提供を行っています。
国土交通省の「ドローン情報基盤システム」(通称:DIPS)上にて公表されている登録講習機関数 352 校(2023 年 2 月 20 日時点)のうち、66 校が、サポートプランを利用した JUIDA認定スクールになります。(JUIDA 認定スクール登録講習機関リスト:https://uas-japan.org/rta/)
②JUIDA 特別講師によるサポート
JUIDA では、JUIDA 認定スクール向けに、JUIDA 特別講師(国や自治体の要請による測量・点検業務、TV ドラマや映画の空撮など、多数の経験を有する業界の一線で活躍するベテラン講師を JUIDA が認定。国家ライセンス対応「講師養成講座」の指導員として、実践に基づいた質の高い安全教育を行っています。)による高品質な講師養成講座を実施し、独自の質の高い支援を提供しています。
(航空局の2月14日の発表は以下の通り)
無人航空機のレベル4飛行(有人地帯(第三者上空)における補助者なし目視外飛行)を行うために必要な一等無人航空機操縦士の技能証明書を本日(編集注:令和5年2月14日)初めて交付しました。
航空法等の一部を改正する法律(令和3年法律第 65 号)による航空法(昭和 27 年法律第 231 号。)の改正により、令和4年 12 月5日から無人航空機操縦者技能証明制度が開始されました。改正後の航空法に基づき、無人航空機のレベル 4 飛行を行うために必要な知
識及び能力を有することについて学科試験、実地試験等により確認を行い、本日、一等無人航空機操縦士の技能証明書を初めて交付しました。
なお、令和4年 12 月5日以降、指定試験機関((一財)日本海事協会)への受験申請や登録講習機関への受講申請が行われており、14 日(9:00 時点)で、458 件の一等無人航空機操縦士の学科試験申請を受け付けています。
国土交通省では、指定試験機関や登録講習機関と連携し、無人航空機の操縦ライセンスの普及を進めることで、無人航空機の安全な社会実装を促進していきます。
一般財団法人運輸総合研究所(東京)は11月28日「物流分野におけるドローンの社会実装」をテーマに、「第87回運輸政策セミナー」を開催する。国土交通省航空局の梅澤大輔安全部無人航空機安全課長のほか、楽天グループ株式会社の谷真斗氏、株式会社スカイピーク代表取締役の高野耀氏、一般財団法人運輸総合研究所ワシントン国際問題研究所主任研究員の藤巻吉博氏らが登壇し、ドローン物流に期待される効果や社会実装のための課題の整理、普及に向けた今後の取り組みを考察する。参加は無料。
セミナーの概要と式次第は以下の通り。
・日時:2022年11月28日(月)15:00~17:30
・会場:運輸総合研究所 2 階会議室およびオンライン配信(Zoom ウェビナー)
・テーマ:「物流分野におけるドローンの社会実装」~ドローン物流が当たり前になる時代に向けて~
式次第
1.開会挨拶
宿利正史 一般財団法人運輸総合研究所 会長
2.講演
テーマ:「ドローンのレベル4飛行に係る環境整備」
講師:梅澤大輔・国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長
テーマ:「ドローン物流実証の現状と課題」
講師:谷真斗・楽天グループ株式会社ドローン・UGV事業部ドローン事業課シニアマネージャー
テーマ:「ドローン活用を支える人材育成の現状と課題」
講師:高野耀株式会社スカイピーク代表取締役
テーマ:「ドローン物流の普及に向けた世界の潮流」
講師:藤巻吉博・一般財団法人運輸総合研究所・ワシントン国際問題研究所主任研究員
3.パネルディスカッション
コーディネーター:根本 敏則 敬愛大学経済学部教授、一橋大学名誉教授
パネリスト:講演登壇者、平澤崇裕・国土交通省総合政策局物流政策課長
4.閉会挨拶
佐藤善信・一般財団法人運輸総合研究所理事長
参加費:無料
申込:専用URLから(申込は11 月 24 日まで)
※11月25日(金)午後に視聴用URLを送付
建築業界でのドローン利用促進を図る一般社団法人日本建築ドローン協会(JADA東京都千代田区)と一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京都文京区)は6月9日、高層ビルを含む建築物の外壁点検・調査にドローンを運用できる技能者を育てるため、新たに民間資格として「ドローン建築物調査安全飛行技能者」を創設すると発表した。両者はこの事業の推進に取り組むためこの日、東京都奈のJUIDAのオフィスで覚書に署名した。建築基準法は2022年4月に一定の条件を満たせば赤外線搭載ドローンを点検に活用できることを明記した。JUIDAとJADAはこの条件を満たす技能者の育成を目指す。JUIDAにとっては「プラント点検」、「森林測量」に続く“応用教育事業”の第三弾となる。今後、カリキュラムや講習の提供体制を整備し、2022年中の体制整備を目指す。
新しいビル外壁点検資格「ドローン建築物調査安全飛行技能者」は、JADAとJUIDAが連携して新設する専用の講習「ドローン建築物調査安全飛行技能者コース」で、基本的なドローンの知識、技能の保有者が、建築基準法や航空法の内容や現場で必要となる技量などを座学、実技で学んだうえ考査を受けて合格することで取得できる。コースの実技ではドローンをロープなどに係留した飛行、等間隔での撮影、飛行計画書の作成など、外壁点検の実務で必要な技能を身に着ける。受講できるのはJUIDAの「無人航空機操縦技能証明証」「無人航空機安全運航管理者証明証」を取得し、JADAの「建築ドローン安全教育講習」を修了していることが条件。コースは3日間を想定している。
この事業を推進するため、JADA、JUIDAは6月9日、都内で覚書に署名した。この席でJADAの本橋健司会長は「今回の告示改正に無人航空機員搭載された赤外線装置の明記や、係留ドローンの許可・申請の不要にする規制緩和は業界にとっての追い風で、建築分野でのドローンの活用は本格化することになります」と活用の拡大に期待を寄せた。またJUIDAの鈴木真二理事長も「会員が2万人を超えたのも多方面でドローンが利用されているからだと考えています。JUDAの2022年のスローガンは人口集中地区での目視外飛行が可能となるレベル4の解禁を見据えて『ドローン社会実装元年』としております。今回の覚書も大きな柱になると思っています」と述べた。
新資格を創設した背景には、建築分野でのドローン操縦者の幾瀬が急務になっていることと、ドローンの活用を建築基準法に基づく告知に明記された事情がある。
国土交通省は2021年9月、ドローンを係留するなど一定の条件を満たした場合、人口集中地域で飛行させる場合に必要となる国交省航空局への許可・承認を不要とすることを、航空法施行規則の一部改正で盛り込んだ。
また2022年4月には国交省は、建築基準法第12条第1項の定期報告制度の告示改正を施行し、赤外線装置を搭載したドローンによる外壁調査を認めた。定期報告が義務化されている建築調査のうち、タイル、石貼り、モルタルなどの劣化や損傷については、調査方法が「打診等」と指定されている。これについて従来は「打診等」の「等」の中に、赤外線カメラの調査が含まれると解釈してきた。今回の告示改正ではここが「テストハンマーによる打診等(無人航空機による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを含む)」となり、「テストハンマーによる打診と同等以上の精度」の条件がつくものの、ドローンの活用が明記された。
「ドローン建築物調査安全飛行技能者コース」では、「テストハンマーによる打診と同等以上の精度」を身に着けることで、告示の条件を満たすことを目指す。
なおコースの終了で取得できる「ドローン建築物調査安全飛行技能者」は、この資格を持たなければ業務ができない業務独占の資格ではなく、あくまでも民間として技能を備える講習を修了したことをさす資格だ。
告示改正をうけて、一部のドローンスクールや民間事業者が独自に条件を満たすカリキュラムを組み講習を実施するなど、今後見込まれる外壁点検の需要拡大に対応している。JADA、JUIDAは講習開始に向けて週明け以降、ドローンスクールへの概要説明、募集などの作業を進めることになる。早ければこの冬にも開講する「ドローン建築物調査安全飛行技能者」が具体的に動き出せば、赤外線ドローンによる外壁点検の取組がさらに加速することになりそうだ。
国土交通省は3月18日、東京・豊洲のオフィスビル、ホテル、バスターミナルなどを備える豊洲スマートシティの核施設、「ミチノテラス豊洲」で、災害発生を想定した船舶と陸上との間をつなぐドローンによる物資配送の実証を実施した。行政活用ドローンの標準仕様を規定化するプロジェクトの一環で、東京湾内に物資を運んできた舶から、ミチノテラスのデッキに備えたドローンポートまで、ドローンで飲料水などの物資を届ける物資輸送の実証を行った。国交省総合政策局技術政策課の斎藤輝彦技術基準企画調整室長は「飛行に最適な天候と言えない中での飛行で貴重なデータを得ることができました」と実証の意義をあいさつした。
この日の実証は、都心機能が集積し、滞在者が多く、ビルなどの構造物が立ち並ぶ臨海エリアで、ドローンが安定して飛行するための環境や条件、課題などを洗い出すことを目的に行われた。
実証が行われたミチノテラス豊洲は、清水建設が開発したオフィスビル「メブクス豊洲」と4月15日に開業予定のホテル「ラビズタ東京ベイ」をつなぐエリアに設けられたデッキ状の空中広場で、周辺にはゆりかもめの市場前駅、豊洲市場、高層住宅などが集まる。交通広場は、日本初の都市型道の駅「豊洲 MiCHiの駅」として、地域の賑わい創出と防災拠点の機能を持つ。海抜ゼロメートルエリアの周辺地域の滞在者が、災害発生時に身を寄せる場所として想定されている。オフィスビルには清水建設が独自開発した建物オペレーションシステム「DX-Core」を実装していて、ビル共用部のエレベーターや自動ドアの制御と、自動搬送ロボットの制御をデータ連動させ、郵便物などの館内配送の無人化を実証させる計画だ。ドローンの運用が実装になれば、エリアの滞在満足度や安心感を飛躍的に高めるとみられている。
実証では、災害発生で水があふれ陸路が機能しなくなったミチノテラスに、支援物資を積んだ船が東京湾内の敷地のわきまで航行し、そこからミチノテラスまでドローンで物資を運ぶシナリオを想定した。海風が舞い、GPS環境にも難があるうえ、当日はときおり雨脚が強くなるあいにくの環境での実証だったが、船から離陸したドローンは、ほぼ自動飛行でミチノテラス上空まで飛行すると、デッキに設置されたドローンポートに着陸した。ドローンは日本の企業が開発した機体が使われた。
またミチノテラス側から東京湾に浮かぶ船に向けた飛行も実施。ここでは別の日本企業が開発した機体が使われるなど複数の機体の運用を確かめた。さらに、情報漏洩などのセキュリティ対策が強化された日本製の機体も飛行し、厳しい環境の中で安定した飛行を見せた。
午後になると雨脚がさらに強まり、再度、船からミチノテラスまでの飛行を試みようとしたが、周辺への影響なども考慮し、その場では飛行を断念した。
この日は内閣官房、防衛省なども現地を視察した中で実証が行われた。
実証を主催した国交省の伊藤真澄技術政策課長は「国土交通省は平時、有事のさまざまな場面でドローンを活用しています。その中で行政ニーズに適したドローンはどのような性能を持つことが必要なのかをまとめておくためこの実証をすすめております。たとえば、観測にはどういう能力が必要か。また災害時であれば、悪天候の中で飛す必要がございますので、雨や風に強い対候性がどれだけあればよいのか。どれだけ長時間、長距離を飛べるのか。さらに物資輸送であれば高いペイロードがあるのか。一方で、平時に点検に活用する場合であれば、非GPS環境下でもどの程度飛べるのか。あるいは自動航行で取得したデータをAI解析できないか。来年度も同様の実証を続けていくつもりです」と趣旨を説明し、新年度も継続する意向を表明した。
また斎藤室長は「気温が低く雨も降るというドローンの飛行にとって適したとはいえない、普通だったらやらないだろうという状況で、ぜひお願いします、ということで実施して頂きました。我々にとっては、限界がどこかを知っておくことはとても大事です。災害救助には、物資輸送などは真剣な場所です。人の生き死にに関わります『できる、できる』と言いながら、実際に運用できなかった、となると、行政としては取り返しがつかないことになってしまいます。われわれのニーズが現実にできるのか、できないのか。そういった意味でも実証をやらせていただいているわけです。その意味ではこうした環境の中で実証ができましたことは、貴重なデータを得ることができたので、大変有意義だったと思っています。今後も引き続き、取り組みを進めて参ります」と話した。
国土交通省は4月1日付でドローンや空飛ぶクルマなどの事務を担う「次世代航空モビリティ企画室」を航空局安全部に設置すると発表した。活用ニーズを踏まえた安全基準の整備などの制度構築を推進する。大臣官房参事官の次世代航空モビリティ担当を新設し、22人の専従職員を配置する。安全基準の検討、登録制度の導入準備と運用、関連システムの整備と運用などを業務とする。
業務にあたり福島ロボットテストフィールド(RTF、福島県南相馬市、浪江町)や航空機技術審査センター(TCセンター、愛知県西春日井郡豊山町)との連携を図る。RTFには4月に職員を派遣し、飛行試験などでの規制面のサポートをし、技術開発の促進を支援する。TCセンターとは安全審査の円滑な遂行や、製造事業者などへの助言で連携する。
ドローンについては2022年度を目途にレベル4飛行実現に向けて、機体認証制度や操縦ライセンスの導入を柱とした航空法の改正案が閣議決定された。空飛ぶクルマも2023年の事業開始を目標とするロードマップが定められていて、実現のための取組が進んでいる。次世代航空モビリティ企画室」はこれらに向けて制度設計、運用などを担う。
国交省航空局がドローン情報基盤システムDIPSで公表しているドローンの技能認証を提供する講習団体と、講習団体を管理する管理団体情報は、5月1日時点で更新されていて、講習団体は765件と、4月1日時点の735件から30件増加した。31件が5月1日に新規に登場し、1件が姿を消した。また、管理団体は前月と変わらず変わらず48だった。
管理団体を管理する講習団体数で整理すると、上位は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の160、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の135、DJI JAPAN株式会社の114だった。これに続く一般社団法人農林水産航空協会は、講習団体のうち農業関連講習を2体系持っていた団体について1体系に整理したため、前月の111から37減って74となっている。。
また複数の技能認証を掛け持ちしている講習団体の中では、株式会社スペースワン(福島県)、日本ドローンビジネスサポート協会(岡山市)、株式会社ビットモーターズジャパン(さいたま市など)の3団体が、4つの技能認証を提供する“4刀流”となっている。
国交省航空局による講習団体、管理団体のホームページでの公表は2017年6月1日に開始した。このときの公表内容は、「所要の要件を満たすことが確認できた『無人航空機の操縦技能講習を行う民間講習団体(43団体)』及び『講習団体を指導し管理する団体(4団体)』を航空局ホームページに掲載しました」だった。