ドローンの空を舞う様子を見せる展示会「UAVデモンストレーション」が今年も11月3日に静岡県御殿場市の御殿場市陸上競技場で開催されることが公表されました。主催する慶應義塾大学SFC研究所・ドローン社会共創コンソーシアムが現在、出展者を募っています。出展料は今回に限り、無料です(!)。参観者は晴れていれば富士山を背景にした飛行風景を拝むことができます。過去2回に多くの反響を呼んだ名物企画に出展するなら、この機会を検討してみては。また、ドローンに関心がある方はぜひ参観を!
UAVデモンストレーションでは、機体は陸上競技場のフィールド(トラック)内を離発着し、フィールド上空を飛びます。出展者1組あたり原則、20分が割り当てられる予定で、割り当てられた時間内はフィールド上空を専有的に飛ばすことができます。会場にはマイク、デフィスプレイが用意され、カメラがとらえた映像を投影したり、出展者が説明したりすることもできる予定です。参観者は観客席(エリアは現在検討中)からその様子を見学します。当日は、インターネットを通じた動画配信も計画されています。
そのほか出展ブース(3000mm✕3000mm 程度の屋内スペースと、1800mm×600mmの長机、椅子等を用意)を準備し、これも無償で貸与されます。飛行させる機体を来場者に間近で見せたり、説明をしたりすることができます。屋外機、大型機がフィールド上空を舞うと同時に、屋内機、小型機を展示ブースで出店し、ドローンへの感度の高い参観者に展示することが可能です。
UAVデモンストレーションは2018年に、慶応義塾大学ドローン社会共創コンソーシアムが、飛行展示による社会受容性の醸成を実践する目的でスタートしました。企画した同コンソーシアムの南政樹副代表は「ドローンがのびのびと大空を飛んでいる様子やミッションをしっかり実行する姿をみて、無人航空機の可能性を感じてもらうことが、社会的受容性を醸成するために必要」と話しています。
第1回は神奈川県藤沢市の鵠沼海岸で、第2回は御殿場市「馬術・スポーツセンター」で開催され、それぞれ個性ある、中にはここでしたフライト風景を間近で見ることができない機体が飛ぶ姿を参観者、見物客に披露してきました。今回は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い開催時期を調整し、11月に開催することになりました。
9月29、30日には千葉・幕張メッセで大型展示会「Japan Drone 2020」が開催され、100組内外のドローン関連事業者がプロダクトやサービスを持ち寄ります。最新情報を交換しあうカンファレンスも開催されます。会場内のブース、フライトエリア、カンファレンスで感じたドローンの可能性を、11月の「UAVデモンストレーション」で確信に切り替える機会になりそうです。
■UAVデモンストレーション公式サイトはこちら。
以下に主催者が発表した今回の開催要領を引用します。
<今年の出展条件を以下の通りとします>。 ・出展は無料です(2021年度からはドローン社会共創コンソーシアムの会員企業(幹事・一般)は無料、それ以外は有料)。 ・出展者の製品告知や紹介などビジネスの場としてご活用いただけます。ただし、外部への告知などでイベントを紹介刷る際には、主催者は「慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアム」である旨、必ず記載して頂くように御願い申し上げます。 ・どのような内容を展示されるかは各出展者の裁量とします。できる限り魅力的に見られる展示を心がけてください。 ・機材の運搬等に掛かる費用、デモフライトに掛かる人件費などはすべて出展者が負担してください。 ・主催者は御殿場市陸上競技場を離発着地点として提供いたします。その上空(DID地区外)で飛行するための調整(国土交通省航空局への飛行申請は人・モノ30m、イベント上空を取得します。危険物搬送や物件投下については個別にご相談ください)を行うと共に、出展ブース(3000mm✕3000mm 程度の屋内スペースと、1800mm×600mmの長机、椅子等を用意)を無償貸与いたします。 ・出展者には持ち時間として「20分」の間、上空を専有的に使っていただきます。陸上競技場トラック内・トラック等はご自由にお使いいただけます。観覧席ならびにトラック横にいる観客の皆さんによく分かるようなデモンストレーションを実施してください。 ・会場内で使えるマイクを用意します。操作画面や飛んでいる様子を捉えたカメラ画面に投影できるようHDMI入力できるディスプレイを準備いたします。また、ネットへの配信も予定しております。 ・デモ時間以外は、展示ブースで来場者への対応を御願いいたします。
2019年 富士山UAVデモンストレーションに関する情報
大型ドローンの可能性:富士山UAVデモンストレーション
汎用マシン「キングフィッシャー」を公開! 「富士山UAVデモンストレーション」開催
2018年 湘南UAVデモンストレーションに関する情報
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/special/1130760.html
最新鋭機の飛行姿を鑑賞できる「富士山UAVデモンストレーション2019」が9月22日、静岡県御殿場市の御殿場市馬術・スポーツセンターで開催され、富士山を背景に種類の異なる3種の機体のフライトが披露された。ドローン研究に力を入れている大学や機体、レンズ、バッテリー、運用など必要な技術を備える専門事業者が知見を持ち寄って製作した機体「キングフィッシャー」が初めて一般公開された。パラシュートを備えたセスナ型の機体や、条件次第では1回のフライトで80分間飛び続けることもできるバッテリー機が御殿場の空を彩った。
「UAVデモンストレーション」は、ドローンが最も真価を発揮する飛行風景の一般公開が目的で、2018年6月に湘南海岸で開催されたのに続き、今回が2回目だ。慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムが組織する無人航空機デモンストレーション実行委員会が主催し、御殿場市が共催したほか、防衛省南関東防衛局が後援した。冒頭に慶大ドローン社会共創コンソーシアムの古谷知之代表が「目新しい機体や、これから開発に使われる最先端の機体が飛びます」とアナウンス。また会場に足を運んでいた御殿場市の若林洋平市長も「きょうご来場のみなさんはこの日の証人。新しい世界を目に焼き付けてどんどん発信してほしい。今後さらに便利で安心な社会に導き、夢を運んでくれる。応援していきたい」とあいさつした。
フライトに参加したのは、フジ・インバック株式会社(横浜市)、株式会社トラジェクトリー(東京)、キングフィッシャープロジェクトなど3チームだ。3チームの機体はいずれも個性が強く、来場者は日常生活の中ではなかなか目にしない機体のフライトを目の当たりにした。
最初に登場したフジ・インバックはコントロール可能なパラシュートを備えたセスナ型のエンジン機「W-T3型機」で参加した。スタッフが機体を運びこむと、緑の芝に、白とオレンジ色の機体が映え会場の期待を高めた。フライト前のチェックを済ませ、風向や強さを確認するなど準備を整え、エンジンを始動させると会場に小気味よい音が響いた。スタートの合図とともに機体が滑走するとすぐにふわりと浮き上がり、ゆったりと上昇。来場者はその様子を目で追い、機体が会場を旋回した。
同社の田辺誠治代表が「この機体はセスナのような固定翼機とマルチローター型の機の両方の長所を兼ね備えた機体。パラシュートで浮力を得ているので墜落のおそれが限りなく低い。物資輸送、イノシシ観測にも使われたこともあり、街の上を飛んだこともあるなど用途はさまざまだ。最大の特徴は、ほぼ自社製である、ということ。全自動で運用できる」などと機体の特徴を説明した。
二番目に登場したトラジェクトリーが持ち込んだ機体は、丸みを帯びたスタイルと、周囲の溶け込みそうなグレーの色が特徴の、バッテリーで飛ぶ4ローターのマルチコプター。イスラエルのドローンメーカー、エアロセンティネル社製の「G2」だ。スタッフがランディングパットで準備をして離陸させると、マルチコプターに特有のプロペラが風を切る音を軽やかに放ち、そのまま浮上した。上空から、機体に搭載したカメラで来場者を映して、会場のモニターに映し出すと、来場者が機体に手を振って応じた。
同社の小関賢次代表は「G2という機体は、イスラエルのメーカーが軍からの委託で作ったもの。音が静かだと気づいた思うが悟られにくい工夫でもある。空力設計、軽量デザインなど工夫をこらしていて長時間飛べることが最大の特徴。一般に使われるものと同じバッテリーを使っても80分飛ばすことができる。われわれの会社は本来、こういった機体などのハードウェアを扱うことが事業の中心ではない。ドローン向けの航空管制が中心。システムの検証には長時間飛行できる機体がよいため、適切な機体を探しているときにこの機体と出会った。もともと軍用だが東日本大震災のときには救援にかけつけてくれた機体でもある。災害の多い日本では防災などに活用できるのではないか、ということでわれわれで預かることになった。日本とイスラエルの友好の証としてしっかり平和利用したい」などと説明した。
最後に登場したキングフィッシャーは、慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム、徳島大学、下田商会無人航空機開発班、Dアカデミー、D-eyes、マクセル、クイック、ドローンかまくら、シアンなど、研究開発や、機体製造、運用などそれぞれのドローンに関わる専門分野を持つ企業、団体の枠をこえて集まった専門集団の機体開発プロジェクトが作り上げた機体だ。6つのローターを持つマルチコプターで、機体をのぞくと参加各社、団体のロゴが見当たる。
ランディングパットに設置された機体は、慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表の操縦で浮き上がると、安定した飛行を披露した。フライトの最中には空を覆っていた雲が薄れ、姿をみせた富士山を背景フライトするシーンも見られた。また、機体に搭載したズームカメラでとらえた映像もモニターに映し出し、来場者が見入っていた。
南副代表は、「開発のきっかけは汎用的に研究開発に使える機体が欲しい、と思ったこと。空撮機、農薬散布機など用途に分かれた目的を限定した機体は、それ以外の用途に使いにくい現実がある。汎用的に使えればドローンを活用したサービスの活発化につながると感じており、それをみなさんの協力を仰ぎながら、自分たちで開発しようと取り組んだ。やがて、パソコンのように、カスタマイズを加えることで自分用に用途を広げられるようになっていけばよいと思う。日本のドローン産業を成長させていく一助になればという思いで、ドローン事業に取り組むみなさんが実験などに簡単に使えるものを目指して作った。今回は映像をズームでとらえてお見せしたが、今後はそれ以外の、たとえばモノを落下させる、画像解析をしながら自律的に飛ぶ、などにも取り組みたい」と述べた。
会場ではこのほか、固定翼機、水中ドローンなどが展示され、来場者は展示されている機体も見入っていた。フライト後は来場者が興味津々で関係者に話しかけ、交流をしていた。参加チーム代表者が参加した公表会にも来場者が参加し、衝突回避策や、日本のドローンの展望などについて意見交換が行われた。
また、慶大SFCでドローンの研究、活用に取り組んでいる学生数人が参加し、体験会を開催。ドローンのフライト未経験の来場者や親子連れなどにトイドローンの操縦を体験してもらい、空間を自在に移動できる楽しさをアピールしていた。
最新鋭機や軍用ドローンの飛行風景を観覧できる「富士山UAVデモンストレーション2019」が9月22日、神奈川県御殿場市の御殿場市馬術・スポーツセンターで開催される。「UAVデモンストレーション」は昨年6月、神奈川県立湘南海浜公園で初開催され、江の島を背景にフライトする様子が話題になった。今年は会場を富士山の裾野の移し、ドローンと名峰との共演が期待される。
※追加:降雨、強風などの理由で屋外でのフライトができない場合には、屋内でのフライトと機体展示を実施する。
「UAVデモンストレーション」は、空を飛ぶドローンが最も真価を発揮するフライト中の様子を広く公開する目的で、昨年初開催された。日本では初めて一般公開される機体のフライトや、江の島を背景にしたフライトシーンが話題を呼んだ。
主催は慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムなどが組織する無人航空機デモンストレーション実行委員会。御殿場市が共催し、防衛省南関東防衛局が後援する。会場は馬術競技でナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点に指定されている御殿場市馬術・スポーツセンター。「天高く馬肥ゆる秋」のことわざが似合う季節、会場で、昨年の江の島に代わり、富士山がフライトを彩る。完全自律のドローンが、人馬一体ならぬ、人機一体のフライトも見どころとなりそうだ。
現時点でNEトラジェクトリー、株式会社J.ドローン、キングフィッシャー、フジ・インパックの出展が決まっており、軍用機のフライトがみられるほか、著名メーカーのフライトも調整中という。
観覧は無料。事務局は観覧希望者に、荒天に伴う中止連絡などのためフォームでの事前登録を呼びかけている(参加申し込みフォームフォーム)
■概要は以下の通り
・開催日時:2019年9月22日、11時00分~17時頃
・会場:御殿場市馬術・スポーツセンター(御殿場市仁杉1415-1)
・問い合わせ:御殿場市未来プロジェクト課(0550-82-4349)
・主催: 無人航空機デモンストレーション実行委員会
(慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム)
・共催:御殿場市
・後援:防衛省南関東防衛局
※以下、追加情報
なお、降雨、強風や、天気が崩れる恐れがある場合などの対応は、出展者、主催者が協議のうえ、当日の状況に合わせて弾力的に判断する。屋外でのフライトデモンストレーションができない場合は、屋内馬場でのフライトデモンストレーションと、本部棟内での機体展示に切り替える。