日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月24日、明治記念館「蓬莱の間」で「新春パーティ」を開催し、JUIDA会員、ドローン産業の関係者、国会議員、中央府省関係者らが新年のあいさつを交わした。毎年その年のスローガンを発表しているJUIDAの鈴木真二理事長は2020年を「ドローンセキュリティー元年」と位置付けた。
鈴木理事長は、JUIDAは1月1日現在で、会員が現在11663人、JUIDA認定校は222校、操縦技能証明証授与は10716人、安全運航管理者証明証が9441人と拡大基調であると報告。「使う人が増えることが産業振興の基礎になります」と、今後も担い手の拡大に力を入れる方針を表明した。
毎年恒例のスローガンについて、「2020年は子年です。どんなスローガンがふわさしいと思いますか?」と会場にアイディアを募った。会場から「ネズミのように広がるように、という意味をこめて“ドローン拡散元年”」という声が上がると「私のよりもいいですね」と賛辞を送りつつ、「残念ながら私の考えとは違います」と判定。
鈴木理事長は「ネズミはチューとなきます。チューということで、連想できないでしょうか。チューです、チュー。注意のチューということなんですが」と、「チュー」を6回連呼してヒントとしたうえで、「それでは私の答えですが、“ドローンセキュリティー元年”です」と明かした。答えを示したあと、「登録制度が日本でも導入されます。空を飛ぶ機械ですから細心の注意を払う。そんな意味を“注意”の“チュー”にこめてスローガンを作りました」と解説を加えた。
鈴木理事長に続いて、無人航空機普及・利用促進議員連盟(会長:二階俊博自民党会幹事長・通称:ドローン議連)会長代理の田中和徳復興相(衆院、自民、神奈川<出身は山口県>)が登壇。「東日本大震災の復興はようやく緒に就いたところ。福島ロボットテストフィールドの在り方が大きな位置を占めていて、そのリードを鈴木理事長にお願いをしている。ここを世界の科学技術の粋を集めた場所にしたいし、意欲を持つベンチャーのベースにしたい。日本の新しい時代を切り開くカードはドローンでなければならないと思っています」とドローンへの期待を込めてあいさつした。
新春パーティにはドローン議連の国会議員やドローンに関係する中央府省の幹部らも参加。冨岡勉ドローン議連副会長(衆院、自民、長崎県)は、選出された地元、長崎県で離島間の物資輸送、生簀の漁業監視、橋梁の監視で活用されていることを紹介し「ドローンはますます発展します」と述べた。また、武部新ドローン議連事務局次長(衆院、自民、北海道)は、開会中の国会で、ドローンに関連する法案が2本あることを紹介し、「生活になくてはならない技術。さらに広げ、安全に使えるための法整備も進むと思う」と展望した。山際大志郎ドローン議連事務局長(衆院、自民、神奈川県)も「国会に身を置くものとしてみなさまの業界を支えたい」とあいさつした。
中央府省からは、経済産業省の玉井優子産業機械課長は「ドローンを取り囲む産業は、今後のふたつのキーであるデジタル技術とコネクテッドインダストリーズの両方を兼ね備えていてイノベーションの発信源」とドローンを産業政策の要と位置付けた。総務省の片桐広逸基幹衛星移動通信課長は、「電波の有効活用を通じて健全な産業振興に協力させて頂きたい」電波行政の立場からの支援を表明した。
内閣官房小型無人機等対策推進室長の長崎敏志内閣参事官は「国会審議も始まり、制度化に向けた議論も大きな節目を迎えた。関係者にはぜひ社会における有用性を理解頂くなか、精度かに一丸となって取り組んでいきたい」、国土交通省航空局安全企画課の英浩道課長も「レベル4に向けた議論が進み、ドローンが社会に受け入れられる中で、広がっていくことになる」と、それぞれドローンの社会への浸透に言及した。
JUIDA顧問の青木義男日本大学教授の発声で乾杯が交わされると、参加者同士があいさつをかわし、歓談を繰り広げた。また俳優の渕真弥子さんが特別ゲストとして来場し、小噺と踊りで華やかに盛り上げた。
株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
ACSLが7月1日に発表した「お知らせ」はこちら