(プレスリリースをそのままお届けします)ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、以下ブルーイノベーション)は、株式会社東京設計事務所(本社:東京都千代田区)と共同で、下水管内でのドローンによる効率的な点検業務の実現に取り組んでおります。この度、球体ドローン ELIOS2 に小型ガス検知器を搭載し、喫緊の課題である下水管内のガス濃度測定の実証実験を、雨天時の下水貯留施設である篠籠田貯留場 (千葉県柏市篠籠田 593-2)内において行いました。ドローンが内部 100m まで飛行してガス発生状況を確認できましたが、作業員が入孔することなく下水管内部までガス濃度を測定できたのは初*となります。*当社調べ
老朽化するインフラの点検には、調査困難な箇所や危険を伴う点検作業などの課題を抱えています。下水道では、内部で発生するガスに維持管理や点検作業の上で大きく悩まされています。下水中の微生物が繫殖することで生成される硫化水素が高濃度化し、管の腐食・破損や道路陥没の原因となっていますが、硫化水素は 100ppmを超えると呼吸器損傷の危険があり、また、下水中の微生物の呼吸や酸化等で酸素欠乏状態にもなり、大気中約21%の酸素濃度が 10%に低下すると死の危険にさらされます。実際に硫化水素や酸素欠乏による死亡事故も発生しているため、作業員の安全が確保できず立入困難な箇所が多くあります。今まで投入口付近のガス濃度しか測定出来ず、危険度を判断できない状況で作業員が入っており、下水施設内部の硫化水素、酸素等のガス濃度の状況確認は喫緊の課題となっていました。今回、ELIOS2 に小型ガス検知器を搭載することで、作業員が入孔することなくガス濃度の発生状況を確認でき、安全で経済的な調査を可能にしました。
実験では、約 45 グラムの小型ガス検知器(理研計器株式会社製)を ELIOS2 に搭載し、雨水管渠内を飛行させ、飛行地点の酸素濃度および温度検知を実験しました。その結果、それぞれの地点での酸素濃度と温度を確認することができました。また、別の人孔において、硫化水素濃度を測定いたしましたが、冬季で低温のため検出されませんでした。
ブルーイノベーションでは、安全で、スピードが早く、低コストで調査可能なドローンに着目し、下水道を含めたインフラ点検の課題の解決に取り組んでおります。今後も、下水道管路や処理場内のみならず、ボイラー内の一酸化炭素濃度、タンク内の酸素濃度など、測定ソリューションの開発に取り組んでまいります。
■実証実験結果
12 月 10 日、柏市篠籠田貯留場内において、川へと雨水を放流するボックスカルバートタイプの雨水管渠内にガス検知器を搭載した ELIOS2 を飛行させ、約 100m の地点まで進入して酸素濃度を測定しました。その結果、人体に無害な程度ではありますが、通常濃度より 0.3%(3,000ppm)の濃度低下が確認できました。また、2 回目の測定では、データ値に変化はなく均一な数値でした。これは 1 回目の飛行の際に内部の空気が攪拌され均一化されたためと考えられ、1 回目の飛行で測定することが重要だと分かりました。また、別の人孔において、硫化水素濃度を測定しましたが、冬季で低温のため、硫化水素の発生は確認できませんでした。
■ELIOS2 を活用した、屋内狭小空間の点検ソリューションについて
ブルーイノベーションでは、2018 年、Flyability SA(本社:スイス ローザンヌ、共同創業者兼 CEO:PATRICK THÉVOZ、以下 Flyability)と業務提携し、屋内狭小空間での飛行に最適な性能を持つ Flyability のELIOS2 を採用し、これまでにない屋内点検分野での新たなソリューション・サービスを展開してまいりました。Flyability は点検分野に特化したドローン機体開発のベンチャー企業です。同社の機体は、これまで屋内で懸案のコンパスエラーがなく、パイプラインや狭小空間で安定した飛行が可能です。ブルーイノベーションでは、この機体を活用し、ボイラーやタンク、工場の高所等、狭小空間の点検において着実にユーザー層を広げ、2018 年 6 月からプラント、発電所、大型の工事、下水道等を中心に約 120 現場以上の屋内施設で導入を進めてまいりました。
https://www.blue-i.co.jp/bi-inspector-elios2/
映像にガードが映らず、2D 距離計測が可能。
補助センサにより高い飛行安定性を実現。
■ブルーイノベーション株式会社 概要
所在地:東京都文京区本郷 5-33-10 いちご本郷ビル 4F
設立:1999 年(平成 11 年) 6 月 10 日
事業内容:「ドローン・ロボットを通じて、世界に貢献するグローバルカンパニーになる」をビジョンに掲げ、ドローンの先駆的サービス・プロバイダーとして、複数のドローン・ロボットを遠隔で制御し、統合管理するためのベースプラットフォームである Blue Earth Platform(BEP)を基軸に、点検、警備、物流、教育・安全の 4 つの分野でサービス展開しています。
■株式会社東京設計事務所 概要
所在地:東京都千代田区霞が関 3-7-1
設立:1959 年(昭和 34 年) 8 月
事業内容:上水道、工業用水道、下水道における調査、計画、設計、工事監理から、水資源開発、水質汚濁解析、環境アセスメントまで水に関する幅広い分野のコンサルティング業務及び関連のコンピュータシステムの調査、計画、設計、構築、ならびに管理の業務
ドローン運用のプラットフォーム開発を手掛けるブルーイノベーション株式会社(東京)は2月7日、静岡市にある点検困難な下水管内をドローンで点検し、存在が未確認だったマンホールが実在したことを確認したと発表した。点検は昨年12月25日、スイスのドローンメーカー、Flyability社製の「ELIOS2」を使って行われたという。
点検が行われたのは、静岡市駿河区のJR静岡駅から南に約1キロ、静岡市立中田小学校に近い住宅街の市道の地下を走る下水管を対象に行われた。下水管は昭和30年代に、汚水、雨水の両方を浄化センターまで流す合流式の下水管として建設された、その後、下水道のルート変更で近年は使われていなかい。市はこの下水管の取り扱い方針を策定するため、状況確認が必要となっていた。
ただ、下水管の底には場所によって汚泥が約60センチ体積しており、作業員が立ち入ると足がとられ身動きができなくなる恐れがある。また建設時の台帳に記録が残るマンホールの存在も確認されておらず、換気ができてなければ硫化水素などの有毒ガスが発生している危険性もある。そこで作業員が入る代わりにドローンで点検することにした。
下水管は断面が長方形で、高さ3メートル、幅3メートル89センチ。汚泥の体積分、空洞部が狭くなっている。ブルーイノベーションは地表から球形ガードに覆われた点検用ドローンELIOS2をフライトさせて管内を70メートルにわたり点検。カメラがとらえた映像で陥没を招きそうな損傷が見当たらないことや、台帳に記録されていながら未確認だったマンホールについても、埋め戻された状態だったが、実在したことを確認できた。ドローンも安定飛行し、地下の配管での点検に機能することを裏付けた。
静岡市上下水道局は、「これらの結果をもとに今後、この配管の取り扱いについて策定する方針だ」と話している。
株式会社Liberaware(リベラウェア)は2月4日、千葉市から受託した事業として、同市花見川区で直径約1メートルの下水管を、同社の狭隘部点検専門の小型ドローン「IBIS」を使って点検した。道路の下をくぐる約40メートルの区間をIBISが往復し、リアルタイムで管内の映像を地上のモニターに伝送。映像は千葉市建設局の専門家が立ち合い「ひびがよく見えますね」「粉塵でみえなくなることもないですね」などと状況を確認した。
点検は千葉市による地元企業の産業支援事業の一環。千葉市に本社を置くLiberawareが、点検専用に開発し、その後もアップデートを重ねているIBISが、点検の有用性を確認する目的で実施した。
点検対象の配管は、JR新検見川駅から北に約3キロの住宅街に設置された、通常は水が流れていない下水管。道路わきでは天井部がふさがっておらずのぞきこめるが、道路をくぐるところは地中に潜っている。この道路をくぐる約40メートルの区間が今回の点検対象だ。
千葉市建設局下水道管理部の西川勝課長は「配管の中でドローンを飛ばすと粉塵がまきあがって画像がみえなくなったり、気流が安定せずドローンの飛行が不安定になったり、電波が途切れたりすることがあります。今回は狭いところを点検するための特殊なドローンの事業者なので、その有用性を確認することができるための試験的にこの場所にしました」と選定理由を説明した。
点検に使われるIBISはLiberawareが開発した19センチ×18センチ、重さはバッテリーを含めて170グラムの小型機。壁や天井に吸いつくことがないよう、狭隘部点検のための制御を搭載している。無線周波数は操縦で2.4GHz、映像伝送で5.7GHz。点検では、配管内でも安定することができるよう延長アンテナを採用した。LEDライトを搭載し暗い場所を照らすことができる。
実験では、Liberaware技術開発部の野平幸佑シニアマネージャーが操縦を担当。モニターをのぞきこみながらフライトをさせると、地上に設置されたモニターにIBISに搭載されたカメラからの映像が送られてきた。その様子は西川課長ほか、点検に立ち会った千葉市建設局の担当者がのぞきこんだ。西川さんが「左を見れますか」というとIBISの画面が配管の左壁のひびらしい筋を映し出した。千葉市の西川課長は「ひびがはっきり、よく見えますね。粉塵がまってしまうこともないし、見えなくなることもないですね」と感心しながら話した。
西川さんによると、千葉市内には雨水、汚水などの下水管が3700キロあり、そのほかにも排水管などがある。下水管は内部からの点検は必要で、直径25センチから80センチの配管の場合は自走カメラを活用するなどして確認する。それ以上の中口径、大口径は人が入るのが基本だが、直径5メートルほどのものもあり、大きくなると、足場を設置する手間、転落のリスク、有毒ガス発生のリスクがある。効率化の要求の大きくなり、テクノロジーの活用に解決を見出そうとしている。ドローンの活用はその中で大きな期待を担う。
Liberawareの閔弘圭代表は「われわれが求められていることは、点検すべき個所があるかどうかを発見することであって、ドローンを飛ばすことではありません。最近われわれは、点群化など三次元化に力をいれています。重ね合わせて形状変更やひびの増減が分かるからです。キツい、きたない、狭い、暗い空間をデータ化するデジタルトランスフォーメーションで課題を解決していきます。今回の点検の意義も解決に有用かどうかを示すことあります」と意義を説明。
また「IBISは販売ではなくレンタルなので、改善要望は次のバージョンアップに生かせます。実際、常にバージョンアップしていて、7月には次のバージョンアップをします。天井裏の点検には主に特定天井の問題、リニューアルの問題、ゼネコン関連の問題と3種類の課題があり、それを解決したい」と課題解決への意欲を述べた。。
点検に立ち会った千葉市の西川課長は、「ドローンの点検は平成29年度の水路点検、30年度の点検に次いで3年目。下水道点検の課題である調査困難箇所の点検を克服できればいいと思っています」と話した。