ブルーイノベーション株式会社(東京)は2月12日、千葉市の大型展示場、幕張メッセで開幕した食品流通業界の商談展示会「スーパーマーケット・トレードショー」で、ドローンやAGV(無人搬送車)で、店舗や食料倉庫などの陳列状況、在庫状況などを遠隔で一括管理する様子を披露するデモンストレーションを実施した。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が出展したブースで、半導体、センサー事業を手掛ける株式会社レスターエレクトロニクス(東京)と共同で運用した。
デモンストレーションでは、ブルーイノベーションが開発した屋内の自動飛行ドローン「BI AMY(ビーアイ・エイミー)」と米temi社が開発したAGV「temi」を活用。会場の「幕張イベントホール」にドローンを飛ばせるように設置したケージ内に、店舗の中に見立てた商品陳列棚や、倉庫に見立てたQRコードが張り付けられたケースを用意して物流現場を再現し、ドローンとAGVを待機させた。
合図とともに「BI AMY」が離陸し、店舗の陳列棚に置かれた商品や、倉庫のQRコードを確認しデータを収集。続いてtemiがケージ内を走り回りデータ収集をした。Temiがとらえた映像はケージの外に設けられモニターに映し出され、多くの来場者がモニターをのぞきこんでいた。
ブルーイノベーションは、複数の機械、デバイスを連携させ、ひとつの指示で役割を果たしきる遠隔管理システム技術「ブルー・アース・プラットフォーム(=Blue Earth Platform、通称BEP)を開発していて、今回のデモンストレーションは、倉庫内の在庫状況の確認指示で、ドローン、AGV、場合によってはそれ以外のロボット、デバイスが連携して在庫状況を確認するBEPの機能性を示した。
デモンストレーションではブルーイノベーションの田村美樹さんが、「BEPは複数のロボットを遠隔で一括制御することが可能。既存システムやAI、画像処理技術と連携させることで、すべてのデータの統合管理が可能です。「BIAMY」は屋内でも自動飛行が可能で、BEP とつなぐことで、画像情報やRFIDタグ情報の読み取り、BEPを通じてOCR技術や画像認識技術と組み合わせることが可能で、倉庫や店舗の在庫管理をオートメーション化することができます。また、通路幅に余裕がない小売店などでは小型のAGVを連携させれば、同様に在庫管理が可能です」などと説明。来場者からは、「これでうまくいけば人件費の削減につながりますね」などと興味深そうに話していた。
デモンストレーションは会期中の14日まで、毎日開催される予定だ。
ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジートレードショードCES2020で、ブルーイノベーション株式会社(東京)は、ドローンの屋内飛行をより高い精度で実現させる「BI AMY2(ビーアイエイミー・ツー)」の発売と、京セラとの移動通信中継局の共同開発方針を1月9日に発表した。
同社が発売を発表したBI AMY2は、工場や倉庫など屋内でのドローンの飛行を精密に遂行させる同社のプラットフォーム「BI AMY」の刷新版。ドローン本体と運用に必要なソフトウェアなどを一体化させたシステムで、ドローンの屋内業務に不可欠な、自分の居場所を正確に割り出す自己位置推定機能を飛躍的に向上させた。
自己位置推定機能の向上に採用されたのが、複数のセンサーを接続させる「マルチセンサーポジショニング」で、この技術の搭載により「世界トップレベル」(同社)の誤差1センチの精度を実現したという。
最適なルートを自動で設定する「セルフナビゲーション」を搭載したほか、同社の基幹技術である他のロボットやドローンを連携して制御、管理し、ひとつの判断で最終的なミッションをこなす「One Command Full Mission」をこなすクラウドシステム「Blue Earth Platform」(BEP)の一環で運用されることも特徴だ。
また京セラと共同開発をする移動通信中継局は、災害現場など携帯電話の電波が届かないエリアで、ドローンの飛行で携帯電話の通信を可能にする技術。ドローン内の通信ユニットが自動で通信網を形成する。ブルーイノベーションがサーバー対応やインタフェースの構築を担い、京セラが通信ユニットの開発を担う。CESではブルーイノベーションブースで参考出品。今後の法令改正などをふまえ2021年度中の商用化を目指すという。
ブルーイノベーションはCES2020で日本のドローンスタートアップとして初めて、単独でブースを出展した。