ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

システムインテグレーター大手、株式会社インテック(富山県富山市)とデバイス制御のブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は、3月から今月にかけて相次いで資本提携、業務提携を締結した。資本提携は3月18日に結んだ。インテックがブルーイノベーションに出資する内容で金額は非公表だ。業務提携は5月13日で、両者が強みを持つ技術を持ち寄り「ドローン・ロボットDXソリューション」の開発や事業の共創を進める。2023年度には、双方の顧客基盤を生かしたプロダクトの相互販売に踏み切る計画だ。

ドローン・ロボットDXソリューションの第一弾として、倉庫内での棚卸や搬送業務のロボット化・自動化を進める。ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長CEOは提携により「ドローンやロボット利活用シーンの拡大、新たなソリューション開発が加速する」と談話を発表している。インテックの今里直人専務執行役員も「空間や場所を問わないソリューションを幅広く展開する」とコメントしている。
発表文は以下の通り
TISインテックグループの株式会社インテック(本社:富山県富山市、代表取締役社長:北岡隆之、以下インテック)とブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田貴之、以下ブルーイノベーション)は、業務・資本提携契約を締結しました。
本業務提携において、両社は共同で以下に取り組みます。
1.インテックの IT プラットフォームサービスや業種に特化したソリューションと、ブルーイノベーションの複数のドローンやロボット、各種センサーなどさまざまなデバイスを遠隔で一括制御・統合管理する独自のデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform®(BEP)※1」を組み合わせたビジネスの共創
2.ブルーイノベーションが有するドローン業界の先進的情報と、インテックが有する全国的な顧客基盤を活かした共同マーケティングの実施
3.両社の顧客に対する互いのソリューション・サービス販売と、個別システムの企画・開発
■背景
少子高齢化や人手不足といった社会課題が深刻化する中、ドローンやロボット導入による業務の省人化、自動化が期待されています。
インテックは金融や製造、流通、公共など、幅広い分野のお客様のビジネスを支える広域仮想ネットワークを提供しています。2021年からはローカル 5Gなどのマルチワイヤレスネットワークにも注力し、ワイヤレスDX(※2)を展開するとともに、お客様現場のDXを支えるインフラ機能の拡張を図っています。
ブルーイノベーションは、複数のドローンやロボット、各種センサーなどさまざまなデバイスを遠隔で一括制御・統合管理するデバイス統合プラットフォーム「BEP」を独自開発。「BEP」はネットワークを介して建物や通信といった既存インフラシステムと連携し、インフラ点検や物流・運搬、防災、警備、清掃などの分野を中心に、ドローンやロボットによる業務の省人化、自動化やDX化を支援しています。両社は双方の技術を融合し、空間や場所を問わず、常にドローンやロボットが最適に稼働するネットワーク環境を基盤とした各分野のDXソリューションを共同で開発・提供することで、社会課題の解決に寄与すると考え、業務提携を決定しました。
■今後の展開
ドローン・ロボットDXソリューションの第一弾として、物流業界を対象に倉庫内での棚卸および搬送業務のロボット化・自動化を進め、今後はさらにドローンによる屋外業務なども含めた物流倉庫内のDXソリューションへと拡張し、サービス展開を図っていきます。
両社は、ドローンやロボットが最適に稼働するネットワーク基盤を活かした新たなソリューション開発とその社会実装を加速させ、各産業分野の DX 推進と地域課題の解決、ひいてはヒトとロボットが共生するスマートシティの実現に貢献していきます。
■ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長CEOの談話
ブルーイノベーションが提供している、BEP を軸とした「スマートシティ・ロボティクスプラットフォーム」は、環境に適した通信が欠かせません。今回の協業で、インテックのマルチワイヤレスネットワークの技術とブルーイノベーションのBEPの技術がコラボすることで、ドローンやロボット利活用シーンの拡大、新たなソリューション開発が加速し、「スマートシティ・ロボティクスプラットフォーム」を共に創り上げていきたいと考えています。
■インテックの今里直人専務執行役員の談話
インテックはこれまで、お客様の経理、人事、営業等業務での IT 活用支援を行ってきましたが、昨今では点検、観測、監視等業務での IT 活用や、AI・ロボットを活用した現場の DX 化支援のご要望が増えています。ブルーイノベーションは、ドローンやロボットを利用した先進的なサービスや実証実験を数多く手がけています。今回の業務提携により、空間や場所を問わないソリューションを幅広く展開することで、お客様のさらなる DX 化を支援していきます。
【用語説明】
※1)デバイス統合プラットフォーム 「Blue Earth Platform®(BEP)」複数の自律移動ロボットや各種センサーを協調・連携させて複雑な業務を達成させるためのソフトウェアプラットフォームです。「ロボットを動かす」「情報を集める」「情報を管理する」にフォーカスしており、利用者は自律移動ロボットのスペックや制御方法等を意識することなく、ネットワーク上で繋がった複数のドローンやロボットが、ひとつの命令で複数の業務を自動で遂行します。
※2)ワイヤレスDX
行政や医療、製造など8 つの産業分野でケーブルや端末、空間や場所などに制約のない環境を創出し、お客様の課題解決を支援するインテックの新しいソリューションの総称

ブルーイノベーション株式会社(東京、BI)は、物流高度化サービスを手掛ける独ドックスイノベーション社(doks. innovation GmbH、ヘッセル州カッセル)と業務提携契約を締結したと発表した。自走式ドローンと、自動航行するドローンを組み合わせたドックスイノベーションの在庫確認システム「インベントエアリ・エックス・エル(inventAIRy XL)」に、ブルーイノベーションの統合管理プラットフォーム「BEP(BlueEarthPlatform)」を接続し倉庫内完全自動棚卸ソリューションを開発し、12月からサービスの提供を始める。ブルーイノベーションは、運用されているシステムとしては、完全自動棚卸ソリューションは世界で初めてという。
両社が提供する「完全自動棚卸ソリューション」は、AGVとドローンの自動稼働、営業時間外の稼働、取得情報の自動解析などが可能になるという。具体的な機能や詳細は、9月29日、30日に千葉・幕張メッセで開催されるドローンの展示会、Japan Drone 2020に出展されるブルーイノベーションのブースで明らかになる見込みだ。
国内の倉庫業界は、ネット通販利用の急拡大で、小口化、多頻度化、再配達需要の拡大など、業界環境が急激に変化、複雑化している。事業を支える労働力も人材の高齢化、人手不足など深刻で急務な問題を抱えており、複雑で高度な要求にこたえられるオートメーションシステムをめぐり、世界各国のIT企業、テクノロジー企業がソリューションの開発にしのぎを削っている。今回の「完全自動棚卸制御ソリューション」には、こうした課題解決の期待がかかる。
ブルーイノベーションが提携したドックスイノベーションは、倉庫を含む物流の高度化を手がけるテクノロジー企業で、在庫管理、棚卸しプロセス、マスターデータ管理、短距離運搬のデジタル化に力を入れている。
同社の倉庫ソリューション「インベントエアリ・エックス・エル」は、地面を自律走行するAGVに、14mのケーブルでつながれたドローンを搭載した移動装置が特徴的だ。在庫確認など必要な業務が発生すると、ステーションに待機していた装置が倉庫内の目的地に向かい、目的地に到着するとドローンがフライトをし、目的のパレットの状況を読み取ることができる。同社の公開情報によると、目的地の温度、包装状況、破損の有無に関する情報を取得できるという。また、機械学習を組み込み、業務街時間や人件費の大幅圧縮が可能で、作業時間を最大80%、棚卸コストを最大90%削減できる触れ込みだ。



ブルーイノベーション株式会社(東京)は、ドローンスクールの運営も手掛ける物流業、五光物流株式会社(茨城県)と、ソリューションの共同開発に向けた業務提携を締結したと発表した。ドローンの高精度離発着システム「BIポート」などスマートシティ向けのドローン物流ソリューションを共同で開発する。


両社は6月10 日に資本提携も結んでおり、今後、資本、業務の両面での提携を強化する。
両社は今回の業務提携で、IoT技術を実装する快適都市「スマートシティ」の開発を見据え、域内の輸送、配送、格納、保管などの住民の生活や事業を支える物流を、効率的で安全に機能させるドローン物流ソリューションを、ブルーイノベーションが開発しているドローンの高精度離着陸システム「BI(ビーアイ)ポート」の技術を軸に開発する。
開発には、ドローン、機械、ロボット、ヒトを接続し社会課題を解決する基盤プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」を活用し、人間が対応することが不適切な作業の無人化、省人化を図る。

AIドローン開発の米Skydio.Incは1月22日、株式会社NTTドコモと、日本、東南アジアでのソリューション開発と販売での協業について検討に入ることで合意したと発表した。Skydioはインフラ点検ソリューションを手がけるNTT西日本系の株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク株式会社(JIW)と、点検仕様機「Skydio R2 for Japanese Inspection」(J2)の開発完了や、日本、東南アジアでの点検についての独占的パートナーシップ締結を発表しており、NTTグループとSkydioとの関係構築が進んでいる。

ドコモが協業検討を発表したのは、JIWの発表と同日。ドコモは検討のうえで協業が実現で、Skydioのドローンを活用したソリューションの開発や、新事業創出などに取り組むことになる。
ドコモはドローンを使って画像などのデータを収集する場面で、飛行準備から取得データの解析までを一貫して提供するためのプラットフォーム「docomo sky」を開発するなど、ドローンでのソリューション開発に取り組んでいる。また輸入、在庫管理、品質保証などでも経験があり、販売面での協業に生かせる。
ドコモは「これまでドコモが国内外で実施したdocomo skyの取り組みをさらに発展させ、日本および東南アジア市場への展開をめざしてまいります」とコメントしている。また、Skydio社のドローンを1月23、24日に東京ビッグサイトで開催するドコモのイベント「DOCOMO Open House 2020」で展示する。
