Skydio X10 の記事一覧:3件
  • 2025.9.18

    NTTイードローンが「ELIOS 3」紹介イベント 下水管の損傷検知サービス来年度提供へ

    account_circle村山 繁
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    ドローンの運用と開発、AIによる画像解析技術開発などを手がける株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、朝霞市<埼玉県>)は9月9日、「ELIOS 3活用術まる分かりイベント」をNTT中央研修センタ(東京)で開催し、スイスFlyability社製の球体ドローンELIOS3の性能や事例を紹介した。この中でイードローンは、下水道点検で取得した画像から損傷の進行具合を把握するサービスを2026年にも提供する方針を表明した。イベントでは操縦体験も行い、ELIOSシリーズの代理店であるブルーイノベーション株式会社(東京)も技術協力として参加した。

    参加者も操縦体験 イードローンは今後同軸型ドローン「SPIRIT」「Helius」も取り扱いへ

     イードローンは7月23日にブルーイノベーションと販売パートナー契約を締結しており、ブルーイノベーションの扱うELIOS 3がイードローンの取り扱う製品群に並んだ。この日はイードローンが下水道点検に活用できるドローンとして、米Skydio社の産業用AIドローン、Skydio X10と大きさや特徴を比較しながらELIOS 3を紹介した。特定の製品に焦点をあてたイベントの中で、他の製品と具体名を表に出しながら比較するのは珍しく、利用者がメモを走らせていた。狭小空間ドローンとして知られる株式会社Liberaware(千葉市)との比較はなかったが、参加者からの質問に対し多角的な検討を進めていると回答する場面があり、3製品の比較が実現する可能性もある。

     イードローンは会社紹介として、海外製やメーカーの製品を仕入れるだけでなくものづくりの側面も持つと説明。オペレーターを育成するひとづくり、地域活性化に役立たせる地域づくりとともに、事業の3本柱として紹介した。

     取り扱っている製品として、農業で作物の生育状況や土壌のばらつきに合わせて、場所ごと肥料をまく量を調整する可変施肥支援機能を搭載した自社開発製品「AC102」や、Skydio、ANAFI、エアロセンスなどの機体を紹介。今後、米アセント社(Ascent Aerosystems)の全天候対応同軸型ドローン「SPIRIT」や250g未満の「Helius」などもラインナップに加える方針であると説明した。

     ELIOS3の特徴については1mの幅、高さがあれば点検可能と、実質3mほどの空間で運用しているSkydio X10との使い分けの判断基準のひとつと紹介した。

     イードローンのAIサービスについては、ドローンによるインフラ点検で、取得した画像から損傷の有無を検知する「eドローンAI」を今年4月にサービスを始めたと紹介。そのうえで、「コンクリートのひびは場所をマーキングしたうえで、幅、長さを算出します。鋼材のサビは面積を算出します。精度は95%です」と述べたうえで、鋼材のサビ検出で、国交省の技術カタログに掲載された初めての技術であることを紹介した。サービスとして低価格であり、ワンストップで運用できるなどのメリットにも言及した。

     とくに、ワンストップについては、AIが検出するために画像に要求する仕様を満たしているかどうかが重要になる点を指摘。イードローンはドローンの撮影もし、その画像をAIで検出もできることを紹介し「安心してまるなげしてほしい」などとアピールした。

     AI開発の今後の展開として、ひび、サビの検出パターンを拡大する方針だ。サビについては、面積に加え、深さを検出し鋼材の腐食の進行度を色でわかる技術を開発中だ。サビによる減肉が進めば鋼材の厚さが減って強度が落ちたり、構造物の危険度が高まったりするため、点検現場からは素早く検知できる技術の開発が求められている。イードローンはこの技術を2025年度後半にもリリースする計画だ。

     さらにコンクリートでも、サビの幅、長さに加え、剥離、露筋、漏水、遊離石灰の検出技術を開発中だ。

     こうしたAI解析の技術を今後、ELIOSとも組み合わせる方針で、下水道管路の壁面の損傷を検知する技術を2026年にもリリースできるよう開発を進めている。管理の壁面に使われているコンクリートは、橋梁のコンクリートと異なるため、橋梁点検で磨いた損傷検知技術が、そのまま下水道現場で転用できるとは言い切れない側面があるため、イードローンは下水道の管理者などに協力を求め、サンプルを集めてAIの再学習を進める方針だ。

     イベントではこのあと、ELIOS3についてブルーイノベーションが説明した。機能、性能、特徴に加え、プラントの点検で作業時間を大幅に短縮した実例なども紹介した。また会場内で机の下などの狭い空間を飛ぶ様子を実演したり、参加者に操縦を体験してもらったりとELIOS3への理解を深めた。

     イベントは2回行われ、あわせて100人の希望者が参加した。

    NTT中央研修センタで行われたイベントの様子
    机の下の空間を照らしながら飛ぶELIOS3
    ブルーイノベーションによるELIOS3の飛行実演
    下水道点検機としてELIOS3をSkydioX10と比較しながら紹介
    ELIOS3の説明
    イードローンは2026年度に下水道調査サービスの提供を表明
    イードローンの方針などを説明するイードローンサービス推進部ソリューション部門の田部井覚事業開発担当部長

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2024.5.31

    デジタルツインTRANCITY、7月にSkydio対応 Skydio 2+、Skydio X10が対象

    account_circle村山 繁
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    デジタル化事業を手掛けるCalTa株式会社(カルタ、東京)は、同社が提供しているデジタルツインソフトウェア「TRANCITY」を、7月をめどにAIドローン、Skydioの2機種を対応させる。Skydio 2+、Skydio X10が対象で、取得したデータをTRANCITYにアップロードすれば、3D・点群データの生成が可能になる。すでにCalTaと米Skydio社の日本法人、Skydio合同会社(東京)は技術連携を進めていて、ドローンの映像特性の解析や、それに基づくアルゴリズム調整などの技術連携を進めている。

    CalTa、Skydioが連携 映像特性解析、アルゴリズム調整を推進

    TRANCITY の対象拡大は、Skydio合同会社、CalTa株式会社が5月29日に発表した。DroneTribuneが内容を確認した。TRANCITYはドローンやスマートフォンなどの動画データから3D・点群データを地図基盤の当該位置に自動生成するソフトウェア。データをアップロードするデバイスごとに特性があるため、最適なデータにするため、ドローン等のカメラ特性に応じた最適化処理も可能だ。

    現在両社が進めている連携作業で、Skydio 2+、Skydio X10のデータをアップロードすることで、最適な3D・点群データの生成が可能になる見通しだ。

    両者の発表は以下の通り

    CalTaとSkydio、ドローンを活用したデジタルツインの高精度化に向け、技術連携を開始

    デジタルツインソフト「TRANCITY」がSkydio製ドローンの映像データに対応!点検・維持管理などの業務を効率化

     自律飛行技術におけるグローバルリーダーである、米国のドローンメーカーのSkydio, Inc.(スカイディオ、本社:米国カリフォルニア州)の日本法人Skydio合同会社(所在地:東京都港区、代表:柿島英和、以下「Skydio」)と、鉄道をはじめとするインフラ業界を中心に、製造、プラント業界などあらゆる業界のデジタル化を進めるCalTa株式会社(カルタ、本社:東京都港区、代表取締役CEO:高津 徹、以下「CalTa」)は、Skydio製ドローンで取得した映像データを活用し、CalTaが開発したデジタルツイン※1ソフトウェア「TRANCITY」(トランシティ)上で3D・点群データを最適に生成できるよう、技術連携を開始したことをお知らせいたします。AIを活用した自律飛行技術に優れるSkydio製ドローンにTRANCITYを対応させることで、従来のドローンでは自律飛行が困難だった高架下などの非GNSS環境下※2でも安定的にドローンを飛行させ、対象物をより確実に撮影しデータを取得できるため、デジタルツインの高精度化につながります。これにより、現地の状況把握や施工の進捗管理などの更なる業務効率化に貢献できます。連携対象はSkydio 2+とSkydio X10の機体で取得したデータで、機能検証を進め、2024年7月からの提供を予定しています。

     TRANCITYは、スマートフォンやデジタルカメラのほか、ドローンで撮影した動画をアップロードするだけで、3D・点群データを自動生成し、可視化できるソフトウェアです。インフラ業界をはじめとしたさまざまな業界における、現地の状況把握や施工の進捗管理などの更なる業務効率化に期待されるデジタルツインですが、安定的なデータの収集が課題となります。

     従来のドローン技術では、高架下などの非GNSS環境下における飛行や近接撮影が難しく、撮影データの取得方法が限られていることが課題でした。Skydio製ドローンにはAIを活用した自律飛行技術が搭載されており、非GNSS環境であっても、特定のラップ率※3 を確保し映像品質を担保したうえで、障害物を回避しながら自律的かつ安定的に飛行することができます。Skydio製ドローンでは従来のドローンでは困難だった場所のデータ収集も可能であるため、安定的なデータの収集ができ、そのデータをTRANCITY上でデータ連携できるようにすることで、より高精度なデジタルツインを構築することができます。

     ドローンで撮影した映像データには、それぞれの機種特有の性質があるため、高精度なデジタルツインを構築するには、機種の特性に合わせたデータの処理が必要不可欠です。CalTaとSkydioはこの課題に対処すべく、以下2つの機能検証を実施し、Skydioの機体で取得できた高品質な映像データから、TRANCITYにより最適な3D・点群データの生成を可能にしました。

    ■検証1:Skydio製ドローン「Skydio 2+」と「Skydio X10」のカメラ検証

    「Skydio2+」「SkydioX10」のカメラで撮影された映像データから、カメラレンズのゆがみや画角などをはじめとする映像特性を解析。

    ■検証2:Skydio 製ドローンの映像データを使用したTRANCITYの3D化・点群処理の最適化

    検証1で解析した映像特性を踏まえ、TRANCITYのSfM※4 アルゴリズムを調整し、Skydio製ドローンで撮影した映像データを最も高品質に3D化・点群処理できるようプログラムを最適化。

    これまでの検証を通じて、2024年7月からSkydioに最適化されたTRANCITYを提供する予定です。

    ※1 デジタルツイン:現実空間で収集したデータを基に、現実空間を仮想空間に再現する技術。

    ※2 非GNSS環境下:ドローンの位置情報を特定する測位衛星システム「GNSS」の信号が受信できない環境。

    ※3 ラップ率:写真測量における撮影された画像やデータの隣接するエリアがどれだけ重なっているかを示す割合。

    ※4 SfM:「Structure from Motion」の略。映像から特徴点を抽出し、対象物の仮想空間における位置座標を算出する技術。

    • Skydio 2+について:

    Skydioの主力機体として、建設現場やケーブル点検など重要な社会インフラの点検においても用いられるなど、土木建設、電力、製造業、通信など多様多種の業界において活用されています。(詳細:https://www.skydio.com/ja-jp/skydio-2-plus-enterprise)

    • Skydio X10について:

    エンタープライズ向けの最新ドローン。従来のモデルよりセンサー機能とインテリジェンスが改良され、電力をはじめとする他の重要インフラの点検ツールとしても活用が期待されています。(詳細:https://www.skydio.com/ja-jp/x10)

    • TRANCITYの主な特長:

    ドローンやスマートフォンなど様々なデバイスで撮影された動画データをアップロードするだけで、3D・点群データを地図基盤の当該位置に自動生成できます。その際、ドローン等のカメラ特性に応じた最適化処理も可能です。生成した3D・点群データから、実物の寸法や面積、体積の計測も可能です。取得時期の異なる3D・点群データやBIM(Building Information Modeling)の略で、様々な情報を結び付けた三次元構造物モデル)データを重ねて表示し、時期の異なる現場状況の確認や、計画構造物との比較が可能です。また時系列バーを備えており、各データの取得時期を時系列に沿って簡単に管理できます。撮影動画から切り出した写真を表示できるほか、3D空間内にメモやURLを保存して、関係者間での情報共有や各種資料への紐付けが可能です。スマートフォン感覚で直感的に扱えるユーザーインターフェースを搭載し、ブラウザー上で複数人が同時にアクセス可能です。また、専用の高機能なパソコンを用意する必要はなく、一般的なパソコンやスマートフォン、タブレットで操作することが可能です。

    (詳細:https://calta.co.jp/service/

     

    Skydioについて

    Skydioは、米国最大のドローンメーカーで、自動飛行技術のグローバルリーダーです。AIを活用した自律飛行技術を搭載するドローンとそのソフトウェアを開発・製造しており、導入実績はエンタープライズや政府機関向けなど多岐にわたります。Skydioは「自律飛行により、世界をより生産的に、よりクリエイティブに、そしてより安全にする(Make the world more productive, creative, and safe with autonomous flights.)」ことをミッションとして掲げています。日本では、国内におけるドローン飛行の安全性向上ならびにドローンを活用した業務全体の高度化・効率化の実現を目指し、エンタープライズ向けに事業展開しています。Skydioの製品・技術は国内でも、土木建設、電力、製造業、通信など多様多種の業界において活用されています。https://www.skydio.com/ja-JP

     

    CalTaについて

    CalTaは、JR東日本スタートアップ株式会社などが出資した、鉄道をはじめとするインフラ業界のデジタル化を進めるスタートアップ企業であり、2021年7月に設立されました。インフラ管理の効率化に向けて、ドローンやロボット技術を活用した現地調査およびデジタルツインを活用した管理手法をお客さまへ提供しています。

    TRANCITYはCalTaが開発したデジタルツインソフトウエアで、インフラ業界だけにとどまらず、製造業やプラント業界といった設備管理が必要な業界でも活用が進んでいます。https://calta.co.jp/

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.9.21

    米Skydioが新製品「Skydio X10」発売 日本では年内予約受付

    account_circle村山 繁
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     自律飛行技術を備えたAIドローンを開発の米 Skydio(スカイディオ、米国カリフォルニア州)は9月20日、照明がない環境でも自律飛行する新製品「Skydio X10(エックステン)の発売を発表した。日本法人であるSkydio 合同会社(東京)も9月21日に発表した。日本国内では2023年中に予約の受け付けを始め、2024年前半の出荷する見込みだ。「X10」は産業利用を前提としていて、照明がない環境でも自律飛行が可能になる新機能「Night Sense」(ナイト・センス)や、200mを超える高さからクルマのナンバープレートを読みとれる高解像度の三眼カメラを装備する。コンピュータの処理能力や、ナビゲーションカメラの精度が前モデルより10倍向上させたという。折りたたみができ、可搬性も高めた。

    処理能力10倍 無照明環境の自律飛行を可能にする「Night Sense」新搭載

    Skydio 合同会社の発表文は以下の通り。製品仕様は紹介サイトに掲載してある。

    (以下リリース引用)

    Skydio、エンタープライズ向けの新ドローン「Skydio X10」を発売

    ~センサー機能とインテリジェンスを改良し、用途をさらに拡大~

    自律飛行技術におけるグローバルリーダーである、米国のドローンメーカーの Skydio(スカイディオ、本社:米国カリフォルニア州、日本代表:柿島英和)は、米国時間2023年9月20 日に、エンタープライズ向けの新ドローン製品「Skydio X10」(スカイディオ・エックステン)の販売を開始したことをお知らせいたします。Skydio X10 は、最新のデータキャプチャ用カメラを搭載しているほか、これまでにない高い自律性を兼ね備えています。さらに、汎用性の高い機体となっているため、エネルギー、公共、輸送、建設、通信などさまざまな業界に活用できます。

    Skydio X10 は、従来単独としての製品にはなかった、幅広い機能や特長を備えています。

    Skydio X10 の機体は自律飛行技術の搭載はもちろん、ユーザーが求めるデータを柔軟に取得できるように、センサーを必要な場所やタイミングに応じて自由に機体と組み合わせることが可能です。また、Skydio X10 は、従来の主要なマニュアル操作ドローンに要求されるすべてのことをこなすことができるに加え、搭載されている自律飛行技術により、これまでドローン業界では実現が困難とされてきた規模や範囲での飛行ミッションを遂行し、今までにないインパクトをもたらすことができます。Skydio X10 単独で提供される特長と機能には、以下が含まれます:

    • 高解像度カメラ: SkydioX10には、カスタム設計の高解像度カメラが装備されています。このカメラには、48メガピクセル(4,800万画素)のズームカメラが備わり、800フィート(約244メートル)の高さからナンバープレートを読み取ることができます。また、50メガピクセル(5,000万画素)の広角カメラも搭載されており、コンクリートにある0.1ミリメートルの亀裂など微細な情報を検出できます。さらに、解像度 640 x 512ピクセルを誇る TeledyneFLIR Boson+の放射分析サーマルカメラも内蔵されており、点検作業中の温度差計測や、暗闇での行方不明者の捜索などにも活用できます。
    • 汎用性の高い機体: Skydio X10の機体は、耐久性と適応性を考慮したモジュラー型(組み合わせ型)の機体設計となっており、4つのペイロードベイ(貨物収納スペース)と、交換可能なジンバルセンサーのセットを備えており、IP55 規格に準拠した耐候性をもっています。さらに、さまざまな接続方法に対応できる「Skydio Connect」(スカイディオ・コネクト)が搭載されており、再設計されたポイント・ツー・ポイント接続(2箇所を一対一で結ぶ接続方式)、さまざまな通信が干渉したり滞ったりする環境に対応できるよう設計されたマルチバンド接続(複数の異なる周波数帯域を使用した接続方法)、そしてモバイル通信がある場所であれば無制限の範囲で使用できる 5GおよびLTEの中から、接続方法を選ぶことができます。
    • AIを活用した自律飛行技術:SkydioX10に搭載されたAIは、コンピュータの処理能力を 10倍向上させ、10倍の高精度を実現したカスタム設計のナビゲーションカメラを活用。これにより、より確実に飛行し、厳しい条件下でも障害物により近接して障害物を回避することができます。また、照明がない環境でも自律飛行が可能になる新機能「Night Sense」(ナイト・センス)が加わり、光が一切ない場所でも 24 時間年中無休で業務を遂行できるようになりました。さらに、既存のソフトウェアである Skydio 3D Scan(スカイディオ・スリーディースキャン)やOnboard Modeling(オンボード・モデリング)と組み合わせ、リアルタイムの環境マッピングと完全自動のモデリングを可能する AI エンジン「Skydio X10 Spatial」も新たに追加されました。
    • 前例のない、優れた可搬性:前述にあるさまざまな高度機能を搭載しているのにも関わらず、SkydioX10は非常に持ち運びがしやすいのも特長です。折りたたんでカバンにしまってある状態から飛行するまで、40秒もかかりません。

    Skydio Inc.の CEO 兼共同創業者の Adam Bry(アダム・ブライ)は、次のように述べています。

    「SkydioX10は、過去3年間でお客様から学んだことや10年に亘る研究開発の技術基盤、さらにはSkydioで驚くべき才能と献身的姿勢をもったチームの努力を反映しています。Skydioとして抱く最終的な目標は、ドローンを作ることではなく、優れたドローンのプログラムを作ることです。その目標への道は、まだ始まったばかりです」

     

    市場背景にある、重要なトレンド

     

    SkydioX10の発表は、ドローン業界にとって非常に重要な時期と重なっています。今日においてドローンは、文明社会を支える中核産業において重要なツールとなりつつあり、現在では、偵察から包括的なインフラ点検まで多岐に渡って活用されています。さらに、人工知能が変革の時代を迎え、さまざまな作業をシームレスに行うことができるようにドローンを高知能化させています。また、特に米国においては、安全保障上の懸念から、中国製ドローンからの転換が高まっており、あらゆる業界でドローン技術のセキュリティと主権を確保できる代替案を積極的に模索しています。このような背景から、SkydioはAIと米国製造にこだわるというビジョンとコミットメントを抱き続け、SkydioX10という画期的な製品開発につながりました。SkydioX10はこのような業界の状況に対応し、高度かつ安全で、自律的なツールである未来のドローンの道を切り開き、進化し続ける現代産業の要求に応え続けていきます。

     

    多様な活用事例

     

    SkydioX10は、さまざまな業界であらゆる活用方法が期待されてます:

    • 初期対応としてのドローン活用:SkydioX10は、Drone as First Responder(初期対応としてのドローン)のシナリオに理想的な製品です。非常にコンパクトで使いやすいため、すべての巡回警官に分配して使ってもらうことが可能です。また、5GおよびLTE機能を搭載しているため、遠隔の地点からドローンを起動させたり、その他の操作をしたりすることが可能です。そのため、優れた状況認識を行うほか、あらゆる任務の支援に役立ちます。
    • 重要インフラの点検:電力をはじめとする他の重要インフラの事業者にとって、SkydioX10は点検ツールとして優れた性能を発揮します。高度なセンサーと障害物回避機能により、電磁干渉のある厳しい環境下でも安心で安全な飛行が可能です。X10 は比類のない精度で故障や欠陥を検出でき、そのAI機能は自動検査への道を開きます。

    SkydioX10は、これまで比類のない精度で故障や欠陥を検出できるため、同製品に搭載されているAI機能は今後、自動点検への道をさらに切り開いていくことが期待されています。

    Skydioは引き続き、自律飛行型のドローン技術の限界を押し広げ、業界全体において空中知能のインパクトをもたらすことを目指してまいります。また、あらゆる業界における現場において、ドローンを貴重なアセットとして確立できるように取り組んでいきます。 Skydio の自律飛行技術は依然として唯一無二のものとなっています。SkydioX10を採用することにより、自律飛行型の製品と重要なハードウェアとして求められる機能が始めて両立できるようになり、よりスマートで安全かつ高い能力を備えた製品を提供することができるようになりました。Skydioは今後も、あらゆるインフラの運用組織が従業員や一般人の安全を確保し、インフラを中断せずに業務のインパクトや規模を最大化できるようなソリューションを提供できるよう目指してまいります。

    紹介サイト:https://www.skydio.com/blog/introducing-X10

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。