国土交通省は3月13日、ACSLの「PF2-CAT3」に対し、「わが国初となる第一種型式認証を行った」と発表した。ACSLも同日、「第一種型式認証書を日本で初めて取得した」と発表した。3月中に第一種機体認証も取得し、レベル4飛行を実現させる方針だ。さらに、日本郵便株式会社(東京)、日本郵政キャピタル株式会社(東京)と開発する物流ドローンの第一種型式取得も目指す。
「PF2-CAT3」はACSLがレベル4飛行を見据えて開発した機体だ。同社の主力機「PF2」の派生機だが、レベル4飛行で求められる安全性能を求めるため冗長性を高めたり、非GPS環境下でも自動航行のできる機能を誇る機体にGPSアンテナが2つ搭載されていたりと、安全性能を最優先した。日本化薬株式会社製のパラシュートも備わる。サイズは外周はPF2とほぼ同じだ。ペイロードは1㎏だ。
レベル4飛行は、日常生活が営まれるなど生活者がいることが想定される有人地帯の上空を、操縦者が機体を肉眼で確認することも、補助者を配置することもなく飛ばす方法で、国は昨年12月5日の航空法改正施行で、実現に道筋をつけた。そのうち、操縦士が備えているべき技能を持つことを証明する「一等無人航空機操縦士技能証明書」は、2月14日以降、取得者が誕生している。一等操縦士が、一種機体認証を取得した機体を、許可・承認を得た場合などに、レベル4飛行が可能になる。
ACSLが機体認証の取得に近づく第一種型式認証を取得したことで、レベル4飛行が一気に現実味を帯びたことになる。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は、1月に開催した新春パーティーで、2023年のスロ-ガンを「レベル4実現元年」を掲げているが、順調にいけば2023年が3カ月もたたないうちに、実現することになる。
ACSLの発表は以下の通りだ。
■ 航空法等の一部を改正する法律が昨年12月5日より施行され、無人航空機(ドローン)の型式認証制度が開始
■ ACSLは、レベル4(有人地帯での目視外飛行)に対応したドローンの開発を行い、3月13日に国土交通省より日本で初めて第一種型式認証を取得
■ 2023年3月末までに日本初のレベル4飛行を実施予定
株式会社ACSL (本社:東京都江戸川区、代表取締役社長:鷲谷聡之、以下、ACSL)は、昨年12月5日より開始された無人航空機(ドローン)の型式認証制度※1において、本日、第一種型式認証書を日本で初めて取得しました。ACSLは今後、2023年3月末までに日本初のレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)を実施すべく、型式認証を取得したACSL式PF2-CAT3型(以下「PF2-CAT3」)の第一種機体認証申請※2を進めてまいります。
代表取締役社長 鷲谷 聡之 コメント
本日、日本で初めて、第一種型式認証書を国土交通省様から交付いただきました。
昨年12月5日に制度が開始して以来、国土交通省様やあらゆる関係者の皆様にサポートいただきながら、レベル4対応機体の安全性や均一性を証明するための検査や試験を社員一丸となって進めてきた成果といえます。
レベル4飛行においては、生活者の上空を飛行することを想定した機体開発が必要となり、今まで以上に安全な機体であることが求められます。PF2-CAT3は、あらゆる環境や条件での試験を実施し、航空法に基づく安全基準及び均一性基準に適合したと判定いただきました。
ACSLは、新たな市場を創っていくこと、そしてドローン業界をリードしていくことが使命であると考えています。日本初の第一種型式認証書を取得したことにより、今後ドローンがますます生活者に身近なものとして社会実装されていくことを、推進していきたいと考えています。
そして、社会インフラに革命を起こし、重労働で危険な業務を無人化していくという目標を実現するため、これからも安全、安心なドローンを開発し提供してまいります。
■参考
※1無人航空機の型式認証制度
型式認証制度とは、国土交通省が航空法に基づき、特定飛行に資することを目的とする型式の無人航空機の強度、構造及び性能について、設計及び製造過程が安全基準及び均一性基準に適合するか検査し、安全性と均一性を確保するための認証制度です。昨年12月5日より開始されました。
※2第一種機体認証申請
特定飛行を行うことを目的とする無人航空機の強度、構造及び性能について、設計、製造過程及び現状が安全基準に適合するか検査し、安全性を確保するための認証制度です。型式認証を受けた型式の無人航空機は、機体認証の検査の全部または一部が省略されます。
石油元売の国内最大手、ENEOS株式会社(東京)と自動化テクノロジー開発の株式会社センシンロボティクス(東京)は、自動航行ドローンを活用したプラントの配管点検データ取得技術を共同開発したと発表した。点検対象のデータをドローンが自動航行して取得する。同じ点検対象に対してルートを同一ルートを航行することで、過去データと比較が可能になる。自動航行のため操縦者の習熟の差が出にくい。また危険区域や障害物を考慮した飛行ルートを自動で割り出すため、手動での設定も不要だ。ENEOSは川崎製油所で運用を始めており、2024年3月末までに、仙台(宮城県)、鹿島(茨城県)、根岸(神奈川県)、堺(大阪府)、水島(岡山県)、 麻里布(山口県)、大分(大分県)の7製油所に導入する計画だ。発表は以下の通り。
ENEOS株式会社(代表取締役社長:齋藤猛、以下「ENEOS」)と株式会社センシンロボティクス(代表取締役社長 CEO:北村卓也、以下「センシンロボティクス」)は、自動航行ドローンを活用した配管点検データ取得技術を共同して開発し、ENEOSの川崎製油所で導入を開始しましたので、お知らせいたします。
ENEOSとセンシンロボティクスは、約3年にわたり配管点検データの取得に関する検証を行い、開発を重ねてきました。今回開発した技術では、配管検査として撮影を行うドローン航行の自動化を図ることで、撮影品質の均質化と検査実施者の操縦技術への依存低下が可能となりました。
■開発の背景
製油所内には膨大な数の配管が存在し、重点箇所を中心に日々検査が行われていますが、近年では設備の高経年化に伴い、従来以上に検査の重要性が増してきています。また、熟練エンジニアの退職に伴う世代交代における技術伝承の難しさなどの課題も浮き彫りになっている中で、検査による不具合の発見遅れは設備停止や計画外修繕に至る場合があり、設備保全費用の増加や設備保全担当者の負荷につながります。これら課題の解決手法としてドローンの活用が注目を集めていますが、操縦技術を持った人材を育成するためには時間・コストともに発生することから、導入にあたってのハードルが高くなっています。
■開発技術の特徴
自動航行ドローンは、ドローン操縦者の技量によらず、対象物に対して同一ルートでドローンを航行させられることから、均質な撮影データの取得が可能となり、過去データとの比較を容易に行うことができます。また、従来はドローンの航行ルートを人が指定することが大半でしたが、今回開発した技術では、障害物・危険区域などを考慮した上で、ソフトウェアがドローンの航行ルートを自動で算出・作成します。これにより、誤って航行ルートを危険区域に設定するなどのヒューマンエラーを防ぐことができ、より安全な航行を実現します。
■今後の予定
2024年3月末までに、同技術をENEOSの7製油所(仙台、鹿島、根岸、堺、水島、 麻里布、大分)へ導入することを予定しています。 取得した配管点検データを基に配管の劣化傾向の定量的な把握が可能となり、劣化予測や最適 な保全計画の立案につなげ、点検業務におけるDXの実現を目指します。
※センシンロボティクスについて
センシンロボティクスは、『ロボティクスの力で、社会の「当たり前」を進化させていく。』を ミッションに掲げ、企業や社会が抱える課題を、ドローンをはじめとするロボティクス技術で 解決する社会インフラDXのリーディングカンパニーです。 設備点検・災害対策・警備監視・現場管理など、業務における「労働力不足・ミス防止・安全 性の向上・時間・コスト」や災害発生時の迅速な対応など企業や社会が抱える様々な課題を解決 するためのテクノロジーとソリューションを提供しています。 豊富なプロジェクト実績から得られたノウハウを活用し、シナリオ策定から実証実験、実業務 への定着化まで一気通貫で支援し、老朽化する産業インフラや社会インフラの点検や、少子高齢 化による労働人口の減少、激甚化する災害対策といった社会課題の解決を目指します。
風況観測技術の開発を手掛けるメトロウェザー株式会社(京都府宇治市、古本淳一代表取締役)は4月11日、海運、鉄道、物流、金融など12社から約7億円を調達したと発表した。調達先は既存株主のリアルテックファンド、DRONE FUNDのほかヤマトホールディングス系やJR東日本系のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などが名を連ねる。調達した資金を体制の構築や開発にあてるほか、事業の現場も抱える出資企業と連携を深め、海外も含めた事業展開の加速化を図る。
調達は12社を引受先とした第三者割当増資等でシリーズAラウンドとして実施し。メトロウェザーは京都大学発スタートアップで、風向きや風速を三次元でとらえリアルタイムで可視化する小型・高性能ドップラー・ライダー・システムを持つ。風況観測はドローンや空飛ぶクルマの自律飛行の実装に欠かせない技術で、出資企業と連携し実証実験を重ねる。
発表は以下の通り(以下、引用)
風を3次元に可視化する小型・高性能ドップラー・ライダー・システムを擁するメトロウェザー株式会社(本社:京都府宇治市、代表取締役 古本淳一、以下「メトロウェザー」)は、このたび 既存株主であるリアルテックファンド、DRONE FUND 及び新たにグローバル・ブレインが運営するCVCファンドをはじめとした、VC及び事業会社計12社を引受先とした第三者割当増資等により、シリーズAラウンドにおいて総額約7億円の資金調達を実施したことをお知らせします。
メトロウェザーは、小型高性能ドップラー・ライダーにより空の風況を立体的に把握し、可視化することで「風」の課題を解決し、「エアモビリティー社会」と「安全安心な都市生活」の実現に貢献することを目指しております。シリーズAラウンドの資金調達により、各株主企業様との連携をより一層深め、国内のみならず海外展開を視野に入れた組織体制の構築と、さらなる事業展開を加速させてまいります。
メトロウェザーは、ドップラー・ライダーの活用により、ドローンの運行に必要不可欠となるリアルタイムでの高精細風況情報の提供を実現します。これによりレベル4飛行の大きなハードルとなっている「高度な安全性の確保」を達成し、ドローン前提社会における必須のインフラとなることを目指します。
さらに、独自の気象予測シミュレーションを組み合わせることで、都市防災・風力発電・航空・海運・鉄道領域等、ドローン関連のみならず弊社技術に関連する幅広い分野の市場への参入を進めてまいります。
■ シリーズA資金調達先 計12社
(既存先)
・リアルテックファンド
・DRONE FUND
・株式会社日本政策金融公庫(資本性ローン等)
(新規先)
・JGC MIRAI Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)
・KURONEKO Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)
・株式会社MOL PLUS(株式会社商船三井100%出資CVC)
・JR東日本スタートアップ株式会社
・ACSL1号有限責任事業組合
・鐘通株式会社
・三菱UFJキャピタル株式会社
・SMBCベンチャーキャピタル株式会社
・京銀リース・キャピタル株式会社
<各社のコメント>
■リアルテックホールディングス株式会社 永田暁彦代表取締役
言語の壁を超えて全世界70億人にイノベーションを提供する、これを実現できるのがリアルテックの価値です。メトロウェザーはこの実現に大きく近づきました。同社のドップラーライダーを活用したユースケースの拡大、そして空のインフラ構築を、今回参画頂いた事業会社等の力強い仲間と共に、今後もリード投資家として全力で支援して参ります。
■DRONE FUND 大前創希共同代表パートナー
ドローン・エアモビリティの社会実装の機運を受け、メトロウェザーの存在感が高まっており、大変頼もしく感じます。人々の頭の上をドローンやエアモビリティが飛び交うレベル4の実現には、メトロウェザーの技術は不可欠なものになっていくと確信しています。本ラウンドでは新たに参画頂いた日本を代表する事業会社の方々と事業を一層加速できるよう、 DRONE FUNDとして全力で支援していきます!
■グローバル・ブレイン株式会社(JGC MIRAI Innovation Fund・KURONEKO Innovation Fundを運営) 百合本安彦代表取締役社長
メトロウェザー社のドップラーライダーは、海外含めた競合他社と比較して高スペックであり、また圧倒的な小型サイズと低製造コストを実現しています。風力発電量予測等いくつかの用途での活用が期待されておりますが、特にドローン自動運行への風況予測データ提供において高いポテンシャルを見ています。ドローン自動運行で不可欠となる高い時空間解像度のデータを提供する上で、メトロウェザー社の技術が唯一無二のソリューションとなりうると考えています。グローバル市場を取れるポテンシャルを持つ当社の今後の事業成長に貢献すべく、弊社としてもしっかり支援してまいります。
■日揮株式会社 未来戦略室 / JGC MIRAI Innovation Fund CVCフロントチームリーダー 坂本惇氏
日揮グループは安全・安心で持続可能な社会システムの実現に向けて、革新的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップ企業への投資を行っています。今回の出資に際して、メトロウェザーが目指すビジョンに強く共感し、また、下支えとなる優れた信号処理、風況観測・予測シミュレーション技術を高く評価致しました。今後、日揮グループが培ってきたエンジニアリング技術や各領域の知見を融合させる事で、産業プラント、風力発電領域に加え、新たな社会インフラ構築に向けたイノベーションを起こす事を期待しています。
■ヤマトホールディングス株式会社イノベーション推進機能/KURONEKO Innovation Fundシニアマネージャー足立崇彰氏
風況計測は、 安全なドローン運行にとって重要な要素です。メトロウェザー社のドップラー・ライダーは、観測技術の高さとコスト面で高い優位性を持っています。ヤマトグループは、ドローンを活用した「新たな空の輸送モード」を現在構築しており、そのなかでドップラー・ライダーは、必要不可欠なテクノロジーです。今後、協業を通じて、両社がより事業成長できるよう取り組んでまいります。
■株式会社MOL PLUS 阪本拓也代表
メトロウェザー社の事業ビジョンに共感し、また直近1年間で多様な産業へのソリューション展開をスピーディーに推進されていることに可能性を感じ、この度他の多くの出資者の皆様とともに、ご一緒させていただくことになりました。MOL PLUS はメトロウェザー社が実現を目指す風況予測ソリューションの各産業への社会実装に貢献します。とりわけ海運や海洋事業領域での社会実装について推進させていただきます。具体事例として、今回の出資に際し商船三井の『ウインドハンタープロジェクト』においてドップラー・ライダーを用いた風況予測の実証実験を共同で取り組みます。今後の取り組みを楽しみにしております。
■JR東日本スタートアップ株式会社 柴田裕代表取締役社長
ドップラーライダーのテクノロジーを応用して、鉄道工事の課題を解決する…。 そんな無謀…否、果敢なチャレンジをいま、メトロウェザー社と一緒に進めています。場所はリアルの鉄道路線(休止線)。そこにドップラー・ライダーを持ち込んで支障物を検知する実証実験は、なんともダイナミックで斬新なものでした。まだ課題は山積ですが、この技術は未来の鉄道現場に広く活用できると思っています。共創パートナーのメトロウェザー社を、私たちはこれからも応援していきます。
■株式会社ACSL 早川研介取締役CFO
株式会社ACSLはドローンメーカーとして、ドローンを活用した社会課題の解決に向けた取り組みを進めております。レベル4の法規制整備やデジタル田園都市国家構想の推進、脱炭素化に向けた動きの加速などによりドローンが活用される場面が増えていくことが想定されるなかで、空の風況を適時かつ正確に把握することは、ドローンが安全に飛行するうえで無くてはならないものであると考えております。今後もメトロウェザー社と連携し、ドローンの社会実装に向けた取り組みを進めてまいります。
■鐘通株式会社 松井宏記代表取締役社長
地球温暖化等による様々な自然災害に対し、現在の技術力をもってしても人類は無力です。そのような得体の知れない巨大な敵に対し立ち向かうメトロウェザー株式会社。様々な視点から自然の可視化に挑む産まれたての企業に無限の可能性を感じ出資させて頂きました。同じ京都の企業という事もありますので弊社としても部材調達や最新の製品情報提供等のサポートを全力でさせて頂きます。共に京都から世界へ、これまでに無かった新たな価値を提供して参りましょう。
■三菱UFJキャピタル株式会社 矢野潤大阪投資部次長
「風を制し空の安全を守る」を企業Visionとして2015年に設立された京都大学発スタートアップ企業です。これまで培ってきた独自のリモートセンシング技術と信号処理技術に気象情報を組み合せ、高精度の風況観測を実現する小型ドップラー・ライダーを開発しました。ドローン運行のための風況情報提供に加え、都市防災、風力発電など、幅広い分野への展開を目指します。当社の技術が、未来社会における大事なインフラになっていく事を期待して、全力で支援してまいります。
■SMBCベンチャーキャピタル株式会社 池田一生関西投資営業部副部長
空を見上げれば物を運んだり測量をしたりしているドローンが当たり前に見える未来、メトロウェザー社の風況計測技術はそのような未来を実現する基礎インフラになり得る技術と感じ今回初めて出資をさせて頂きました。新しい未来の実現の一助になればと思い全力で今後も支援させて頂きたいと思います。
■京銀リース・キャピタル株式会社 村田義樹氏
「エアモビリティ―社会」と「安心安全な都市生活」の実現に対し、京都大学発ベンチャーとして非常に高い技術力をもって貢献される当社の取組や姿勢に共感し、今回投資を行いました。京都銀行グループとして、今後の当社の成長と発展を支援してまいります。
■メトロウェザー株式会社 古本淳一代表取締役
この度は既存投資家様をはじめ多くの事業会社様を中心にシリーズAラウンドの資金調達が完了できましたこと皆様に心より御礼申し上げます。弊社のドップラー・ライダーは商用ベースでドローンが安全・安心に飛行するために必要不可欠である3次元の風情報をリアルタイムに提供し、高度なオペレーションが要求されるレベル4運航実現の切り札になるものと考えております。このラウンドを機に事業会社様との連携をさらに深め、 幅広い市場への参入を図るとともに国内はもとより海外展開の礎を構築し、 次のラウンドで本格的な海外展開を果たすことを目指してまいります。
■ メトロウェザー概要 設立 : 2015年5月 代表者 : 代表取締役 古本 淳一 URL : https://www.metroweather.jp 所在地 : 京都府宇治市大久保町西ノ端1-25宇治ベンチャー企業育成工場6号 事業内容 : 弊社は、赤外線を用いて風に舞った大気中の塵や微粒子を散乱体として反射光を受信し、ドップラー効果を利用した解析を実行することで、 風況をリアルタイム・3次元に把握・可視化するドップラー・ライダーの開発・販売及びデータ提供を行っております。京都大学で長年培った大気リモートセンシング技術の開発・解析技術をベースに弊社が開発した小型高性能ドップラー・ライダーは、従来の大型ドップラー・ライダーと同等の性能を維持しつつ、低価格を実現しております。弊社ドップラー・ライダーを活用した社会課題の解決に向け、弊社は国内外で複数の企業様・研究機関様との共同研究や実証を進めており、2021年からはNASAの研究開発プロジェクトにも参画しております。
DJIは7月10日、Pantom4シリーズ向けに自動飛行業務が可能にするなどの業務効率化ソフトウェア「DJI Terra」を買い切り可能な永久ライセンスとして再リリースしたと発表した。DJI Terraは2019年3月にサブスクリプションとして発表されていた。利用にあわせてプランを選ぶ。プランのうち「永久ライセンスProバージョン(1 デバイス)」の参考価格は48 万円前後。ただし2年目以降、15%の年間更新費がかかる。7月28日に内容を説明するオンラインセミナーを開催する。
「DJI Terra」はDJIのPhantom4RTK(送信機)、Phantom4ProV2.0、Phantom4Pro+V2.0、Phantom4Pro、Phantom4Advanced、Phantom4に対応するソフトウェア。ドローンデータをデジタル3D モデルやマップに変換し、パイロットの意思決定に役立つ。ミッションプランはMapping (マッピング) 、Waypoint(ウェイポイント) 、Oblique (オブリーク)、Corridor (コリドー) の4種類があり、撮影したいエリアや対象、作成したい地図や3Dモデルなどに応じて、パイロットが自動飛行を計画できる。
車両衝突事故現場の再現、建設プロジェクトの進捗追跡、橋、道路などの点検のほか、広く公共安全、農業、映画産業などでの用途が想定されている。
利用には対応するPhantom 4シリーズドローンのほか、バッテリー、ノートパソコン、microSDカード、カードリーダー、対応ケーブルなどが必要だ。
DJI Terraのライセンスプランは「アドバンスト」と「プロ」があり、共に1年間有効。プランのうち「永久ライセンスProバージョン(1デバイス)」の参考価格は48 万円前後。ただし2年目以降は、15%の年間更新費がかかる。
注文は DJI Enterprise 正規代理店で受け付ける。またDJI Terra の体験版をダウンロードすれば、ミッションプラン作成、特定機体の自動航行などが体験できる。
DJIはDJI Terraのオンラインセミナーを開催する。現在登録を受け付けている。
DJI Terraオンラインセミナーの概要 ■日時:7月28 日(火)14:00~ ■会場:オンライン ■受講料:無料 ■事前登録が必要:登録はこちら
自動帆走船の開発を手掛けるエバーブルーテクノロジーズ株式会社(東京)は、同社が開発した全長2メートル級のヨット型ドローン実証機「Type-A」などで海上の自動操船、長時間自律航行を実施した。動力は自然風のみで、Type-Aは出発点から複数の経由地をたどり自動で戻る機動性を証明。全長1メートルの実証機は神奈川県の葉山~江ノ島間の海上7キロの自動操船を実施した。同社は新サービスの開発に着手。今後、漁業、観光業などの課題解決を目指す。
「Type-A」は同社が独自開発した帆船型ドローンで、ソナーを標準装備し、各種IoT機器の搭載が可能。基本設計は、世界的ヨットレース「アメリカズカップ」のレース艇をデザインした金井亮浩氏が手掛けた。また現役カーデザイナーや3Dモデラーが知恵と技術を持ち寄り、自動操船に適した構造を開発した。動力は自然風のみ。電力は通信とセール、ラダーの制御にだけ使う。ただ、緊急時のモーターを補助用に搭載している。さらに操船の制御ソフトウェアにはオープンソースプロジェクト「Ardupilot」をベースに開発した技術を実装した。
Type-Aの実験は3月を中心に神奈川県逗子市の逗子海岸などで行った。実験は、港湾内での移動や着岸を想定し、狭い範囲での小回りなど機動性を確認するマニューバビリティテスト(機動性テスト)が中心。スタート地点から出発すると、海上に設定した2か所のウェイポイントを5メートル以内ににまで接近したうえで通過し、スタート地点にまで戻ってきた。出発から到着まで人が指示を出さない自動航行で、約200メートルをほぼ自然風だけで帆走した。
また同社は2019年から全長1メートルのRCヨットモデルを改造した自動航行実証機の実験も実施している。神奈川県の葉山港~江ノ島の海上7キロメートルを、ウェイポイントを経由したうえで自動航行させることに成功した。
これらの結果をふまえ、同社はサービスの提供に取り組む。魚群探査などの漁業、海洋調査のほか離島、半島の渡船用途を想定し、スマートフォンで利用できる2~6人乗りの海上タクシー開発も進める。エネルギー問題や環境負荷などでの利点も訴えていく方針だ。
エバーブルーテクノロジーズは自動航行ヨットの開発でエネルギー問題を解決することを目指し、2018年12月に操業。神奈川県の葉山、逗子、二宮漁場、ハワイ、シンガポールなどを活動拠点にしている。孫泰蔵氏が代表を務めるMistletoe株式会社(東京)から1億円を調達している。