Next DELIVERY の記事一覧:15件
  • 2025.10.10

    足利市で地元主体の新スマート物流実現に向け社会実験覚書 市、両毛丸善、NEXT DELIVERYが調印

    account_circle村山 繁
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    ドローン物流と既存物流を融合させた「新スマート物流」を提唱、展開している株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>、田路圭輔代表取締役)は10月8日、足利市<栃木県>、足利市内で燃料小売などのカーライフサポートを手がける両毛丸善株式会社 (河内覚代表取締役)と3者で、足利市内での新スマート物流の実施を見据えて「新スマート物流社会実験に関する覚書」を交わした。ドローン事業専門の部署を持つ両毛丸善がドローンの運航を担う。災害時にも通常時にも物流機能を担う運用を目指し、飛行ルートの検証などの可能性を探る。早ければ来年(2026年)1月にも運航に着手する。

    新たな事業モデルとなる可能性も 早川市長「まち全体を実験場に」

    3者による覚書の締結は足利市役所内で行われた。新スマート物流の可能性について研究するため相互に協力する。具体的には足利市内で新スマート物流の拠点整備や災害発生時にも緊急物資輸送に使えるルートを検証したり、中山間地などの物流困難地域への物資輸送をしたりすることなどを盛り込んでいる。

    地元の企業、両毛丸善が新スマート物流の社会実験を推進し、足利市が地域コミュニケーションやフィールド調整など行政としてサポートする。これまで新スマート物流はNEXT DELIVERYが中心に運用してきたが、今回は地元企業が中心となる点が特徴で、地元企中心のフェーズフリー型新スマート物流のモデルケースを目指す。

    NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は「両毛丸善さまという地元企業とパートナーを組むことができました。このように地元主導でしっかり新スマート物流を実装に向けて進めるのは、今回がはじめてのケースになると思います。ドローンの運航というのは機体の操縦だけではなくて、運航、システム、着陸地点の調整などすべきことがいろいろとあります。それをわれわれと同じクオリティで担える地元の事業者を探しておりましたが、両毛丸善さまはすごいチームもありビジョンも持っていて、展開できると確信しています。必ずや成功させたいと思っていますし、そのためにわれわれが持つ技術やノウハウを注ぎ込み、われわれのオペレーションを完全に移植して参ります」とあいさつした。

    両毛丸善の河内覚代表取締役は「ドローンの利便性、将来性に着目し4年前にドローン事業の準備に入り、3年前に事業に着手しました。空撮、農薬散布に取り組みながら、究極の目的であった物流への参入が難しかったところで、今回、覚書を締結できることになり嬉しく思っております。ハードルは高いですが、災害時も平時も使えるようドローンを使った物流で地域貢献、地域課題解決にさらに力をいれて参ります」と応じた。

    足利市の早川尚秀市長は、「NEXT DELIVERYさまとは2年前に実証実験を共同で行いました。今回は両毛丸善さまに入って頂いたことが大きいです。両毛丸善さまの大きな決断で覚書が買わせました。われわれも全力で支えます。まずは実験を積み重ね、近い将来ドローンも使った物流に向けた大きな一歩になると思っています。足利のような歴史ある町で、ドローンの先端の取り組みが行われ、地域課題の解決につなげることが大切だと思っています。まち全体が実験場というつもりで、市としても実装までしっかり役割を果たし、協力しながら成功に導いていきたいと考えています」と抱負を述べた。

    締結式の会場には、足利市の実験に投入される機体「PF4」も持ちこまれた。PF4はNEXT DELIVERYがモンゴルで活用していて、日本国内の連携協定などの提携の会場で公開されたのはこの日が初めてだ。5㎏の荷物を往復40㎞の範囲を自動航行で飛行させることができる。NEXT DELIVERYの田路代表は「それまでのAirTruckという機体より詰める箱が大きくなり飛行速度も速くなりました」と説明した。さらに、「ドローン配送は、定期配送の可否が社会実装のカギだと思っています。たとえば毎日午後4時に必ず1便飛ぶ、と決めてそこに地域の荷物を持ちこんでもらって飛ばす。災害があったときに避難生活を送っている方に届けるようなものを普段からそのルートで運び続けるわけです。一日1便から2便、3便、4便と増え、その地域では両毛丸善さんのドローンが毎日飛ぶようになると、それまでとはまったく違う世界になると思っています」と展望した。

    足利市は2021年の山林火災対応をきっかけに、災害時の空のトラブルを防ぐための

    「緊急用務空域」の仕組みが創設されるきっかけとなった地域で、ドローンの運用にとって新たな枠組みが生まれた地域として知られている。

    公表されたプレスリリース文はこちら

    覚書を交わして記念撮影。左から両毛丸善の河内覚代表取締役、足利市の早川尚秀市長、NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役
    覚書をかわし記者会見にのぞむ3者
    調印の準備
    機体の荷室を見入る関係者

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2025.2.3

    エアロネクスト、セイノーラスワンなど4社が業務提携 新スマート物流の長野県全域展開視野

    account_circle村山 繁
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    株式会社エアロネクスト(東京)、セイノーラストワンマイル株式会社(東京)など4社は、ドローン配送と既存の陸上配送などを融合させた新スマート物流の長野県全域への拡大と地域課題解決、地域経済活性化に向けて業務提携を締結した。

    フェーズフリーな地域物流インフラの構築を

    提携したのは、エアロネクスト、セイノーラストワンマイルのほか、交通、観光事業が柱のアルピコホールディングス株式会社(松本市<長野県>)、エアロネクストの物流子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)の4社。平常時の物流ネットワーク強化、買い物弱者対策、災害時の被災地への迅速な物資輸送をともに可能とするフェーズフリーな地域物流インフラの構築を目指す。

    プレスリリースで提携内容を発表している。

    内容は以下の通り。

    アルピコホールディングス、セイノーラストワンマイル、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、新スマート物流の長野県全域への拡大と地域課題の解決や地域経済の活性化に向け業務提携

    アルピコホールディングス株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役社長:佐藤裕一、以下アルピコホールディングス)とセイノーラストワンマイル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:河合秀治、以下セイノーラストワンマイル)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路圭輔、以下エアロネクスト)および株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路圭輔、以下NEXT DELIVERY)は、2025 年1月31日に、新スマート物流の長野県全域への拡大と、新スマート物流を通した地域課題の解決や地域経済の活性化に向けた業務提携を締結しました。

    アルピコグループは、長野県を中心に交通、観光、流通等広く事業を展開しており、2023年9月に新規事業としてドローン事業を立ち上げ、既存事業とのシナジー創出により、地域課題の解決や豊かな地域社会の実現に貢献しています。

    エアロネクストとセイノーラストワンマイルの親会社のセイノーホールディングス株式会社(以下セイノーHD)は、トラックや軽バン等の陸上配送にドローン輸送を組み合わせ、独自の輸配送管理システムをベースに、物流を効率化する新スマート物流SkyHub®を、山梨県小菅村、北海道上士幌町など、全国9ヶ所で展開しています。

    エアロネクストとNEXT DELIVERY は、2024年1月に起きた能登半島地震において、孤立集落・避難所へのドローンによる医薬品の物資輸送を国内で初めて実施した経験を踏まえ、平時、有事を問わず、ドローンを活用したフェーズフリー型統合ソリューションの構築が必須であり、そのためには新スマート物流 SkyHub®が基盤になると考え、国や自治体と前向きな会話を進めています。

    2023年9月には、アルピコグループとNEXT DELIVERYは、茅野市蓼科地区の別荘地エリアにおいて、新しい食品・日用品配送サービスの構築を目指し、ネットスーパーと連携したドローン配送の実証実験を実施しました。

    今回、4者が相互の連携・協力により、長野県における 2024年問題など平常時の地域の物流ネットワークの強化や買い物弱者対策、並びに災害時の被災地への迅速な物資輸送を可能とするフェーズフリーな地域物流インフラの構築を促進し、県民生活や地域経済基盤の強靱化を図ってまいります。

    <連携協定の概要>

    1.締結日 2025年1月31日

    1. 協定の目的と内容

    (1) 長野県全域における新スマート物流の導入、推進

    (2) 長野県全域における新スマート物流(お買物支援、共同配送、ドローン配送を含む)の拠点および体制整備

    (3) SkyHub® Emergency Packageの構築と運用

    1. 各者の役割

    (1)4 者共通の役割

    ・長野県庁、長野県内の基礎自治体との関係構築全般

    (2)アルピコホールディングスの役割

    ・長野県全域における買物支援、夕食難民対策等、SkyHub®TMS を活用した新スマート物流の実装

    ・グループのアセットを活用した共同配送の拠点づくり、インフラ、防災目的の支援物資等の提供

    ・グループのアセットを活用した新スマート物流における新サービス開発

    (3)セイノーラストワンマイルの役割

    ・長野県全域における物流事業者の取りまとめ、荷物の集約

    ・長野県全域における共同配送の体制づくり

    ・SkyHub® Emergency Package 構築

    (4)エアロネクストおよび NEXT DELIVERY の役割

    ・ドローン運航体制(物流専用ドローンの提供を含む)の構築

    ・全国展開している新スマート物流の運営ノウハウの提供

    ・アルピコホールディングスに対する SkyHub® Provider Licenseの提供

    各社のコメント

    <アルピコホールディングス 代表取締役社長 佐藤 裕一のコメント>

    アルピコグループは、長年にわたり地域社会に根ざしたサービスを提供してまいりました。また昨年からアルピコドローンアカデミーを開校し、ドローン事業にも参入いたしました。一方、セイノーラストワンマイル・エアロネクスト様は、ドローンを活用した先進的な技術やノウハウを持つ企業として、業界をリードしています。この提携により、私たちは新たな価値を創造し、地域社会とお客様にさらなる貢献ができると考えております。

    <セイノーラストワンマイル代表取締役社長 河合 秀治のコメント>

    今後、ラストワンマイルに求められる機能やご期待はさらに大きく、幅広くなることが予想されます。顧客ならびに様々なパートナーとの連携を強化し、チーム一丸となって社会課題を解決しつつ、未来のインフラ構築として、ラストワンマイル領域にて新たなチャレンジを続けていきます。

    <エアロネクスト代表取締役 CEO/NEXT DELIVERY 代表取締役 田路 圭輔のコメント>

    新スマート物流の長野県全域展開のパートナーとして、アルピコグループ様とタッグが組めることを本当に嬉しく、心強く思います。長野県の地域資源とアルピコグループ様の様々なアセットやネットワークと我々のこれまでの経験、システム、サービスを統合して、長野県全域の地域生活インフラを持続可能にしていくための活動にしっかり取り組んでいきたいと思います。

    参考

    1 新スマート物流

    物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX 化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための取り組みで、特に地域物流の効率化と地域社会の課題解決を推進する。地域の状況やニーズに応じて、ラストワンマイルの共同配送、車による陸送・ドローンによる空送のベストミックス、災害対応も含むフェーズフリー型物流、貨客混載、自動化技術等を官民、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム( O.P.P.)による共創で検討し、実現を目指すものである。

    2 新スマート物流 SkyHub®

    エアロネクストとセイノーHD が共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ®を拠点に、車とドローンを配送手段として、SkyHub®TMS をベースに、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送、SkyHub®Delivery(買物代行)、SkyHub®Eats(フードデリバリー)、SkyHub®Medical(医薬品配送)など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供する。SkyHub®の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流 2024 年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。

    3 SkyHub® Emergency Package

    平時はもとより、災害時にも物流ドローンなどを活用して緊急物資配送をスムーズに実現することができるフェーズフリー型の SkyHub®のこと。

    4 SkyHub® TMS

    地域物流を効率化する新スマート物流のベースとなる輸配送管理システム。

    5 SkyHub® Provider License

    新スマート物流 SkyHub®のノウハウやツール、オペレーションの一部を第三者にライセンス提供する仕組み。

    【アルピコグループとは】

    アルピコグループは、長野県を中心に事業を展開している企業グループで、主に流通(スーパーマーケット)、交通(バス・鉄道・タクシー)、観光(ホテル・旅館・旅行)等を手掛けているコングロマリットグループです。2024 年 1 月に新規事業としてアルピコドローンアカデミーを開校し、既存事業とのシナジー創出により、地域課題の解決や豊かな地域社会の実現に貢献することに努めています。

    *会社概要は https://holdings.alpico.co.jp/company/をご覧下さい。

    【株式会社エアロネクストとは】

    IP 経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップ、エアロネクストは、「新しい空域の経済化」をビジョンに、空が社会インフラとなり、経済化されて、ドローンで社会課題を解決する世界を生み出すために、産業用ドローンの技術開発と特許化、ライセンスビジネスを行っています。コアテクノロジーは、重心、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる、独自の構造設計技術 4D GRAVITY®。この 4DGRAVITY®を産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構築し、4D GRAVITY®ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに展開しています。また、ドローンを活用した新スマート物流 SkyHub®の実現のために戦略子会社 NEXT DELIVERY を設立し、ドローン配送サービスの社会実装、事業化にも主体的に取り組んでいます。

    *会社概要は https://aeronext.co.jp/about/company/をご覧下さい。

    【株式会社 NEXT DELIVERY とは】

    エアロネクストグループのミッション「人生 100 年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界へ」に基づき、2021 年に山梨県小菅村に設立されたドローン配送を主事業とするエアロネクストの戦略子会社。エアロネクストとセイノーHD が共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこんだ新しい社会インフラとなる新スマート物流の仕組み SkyHub®の企画運営、全国展開を推進しており、共同配送とドローン配送に関わるハード及びソフトウェアの開発、販売、運用及び保守事業等の周辺事業も展開しています。山梨県小菅村を皮切りに、北海道上士幌町、福井県敦賀市等、全国各地で地域物流の効率化と地域社会の課題解決に取り組んでいます。

    *会社概要は https://aeronext.co.jp/about/company/をご覧下さい。

    【セイノーラストワンマイル株式会社とは】

    セイノーラストワンマイル株式会社は 2024 年 4 月にセイノーホールディングスの子会社として誕生しました。「ラストワンマイル」と言われる”お客様にとって物流サービスの最後の接点”となる領域は今後もさらに拡大すると予測されており、「お客様のご要望に柔軟にお応えできるように」と新たに設立する運びとなりました。現代の日本における物流課題は多岐にわたり、具体的には買い物弱者問題、過疎地域問題、荷物再配達の問題、宅配クライシス問題などが挙げられます。セイノーラストワンマイル株式会社は、それらの

    社会課題に対してビジネスの手法を使ってアプローチしていく「社会課題解決型ラストワンマイル」を担っています。

    *会社概要は https://slo.co.jp/company/をご覧下さい。

    (左から)セイノーラストワンマイル 代表取締役
    社長河合秀治さん、アルピコホールディングス代表取締役社長佐藤裕一さん、エアロネクスト代表取締役CEO/NEXT
    DELIVERY代表取締役田路圭輔さん
    挨拶する佐藤裕一アルピコホールディングス代表取締役社長
    挨拶する河合秀治セイノーラストワンマイル代表取締役社長
    挨拶する田路圭輔エアロネクスト代表取締役CEO/NEXT DELIVERY代表取締役

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2025.2.3

    木曽3町村で配送デモ エアロネクスト、NEXT DELIVERYが物流機AirTruckで

    account_circle村山 繁
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    株式会社エアロネクスト(東京)、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)は長野県南西部の木曽エリア3町村でドローン配送を実演した。エアロネクストなどは3町村を含む木曽郡でドローン配送ルートの策定や離着陸座標設定などのドローンインフラ整備を進めていて、今回もその一環として大規模災害への備えに向けて行われた。

    災害支援物資を孤立の可能性あるエリアへ

    フライトは1月28日、木曽郡内の上松町、大桑村、南木曽町(木曽郡はこのほか木祖村、王滝村、木曽町の6町村で構成)で行われ、長野県木曽地域振興局、木曽広域連合も参加した。大規模災害対応を念頭に、災害時に孤立集落となる可能性のある地域に災害支援物資を配送した。

    実施後にプレスリリースが公表され、その様子を報告している。発表は以下の通り。

    長野県木曽郡3町村における災害時対応を想定したドローン配送のお披露目フライト実施

    上松町(町長:大屋 誠)、大桑村(村長:坂家 重吉)、南木曽町(町長:向井 裕明)、長野県木曽地域振興局(局長:渡邉 卓志)、木曽広域連合(連合長:原 久仁男)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下エアロネクスト)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下NEXT DELIVERY)、は、2025年1月28日(火)に、上松町、大桑村、南木曽町において 木曽郡における災害時対応を想定したドローン配送 お披露目フライトを実施し、報道関係者に公開しました。

    木曽郡では、郡内でのドローン活用、災害時の迅速な支援につながる取組として、木曽町、上松町、南木曽町、木祖村、王滝村、大桑村、長野県、木曽広域連合、エアロネクスト、NEXT DELIVERYが共同し、郡内6町村を対象に、ドローンインフラ整備(ドローン配送ルート及び離着陸座標設定)を進めています。 

    今回のお披露目フライトは、その一環として大規模災害への備えに向けて行われたもので、具体的には、上松町、大桑村、南木曽町の災害時に孤立集落となり得る地域に災害支援物資を配送いたしました。

    4人その3:写真向かって左より木曽広域連合 楯憲吾、長野県木曽地域振興局 局長 渡邉卓志、南木曽町副町長 向井 庄司、NEXT DELIVERY 取締役 運航統括責任者 青木孝人(南木曽町)

    飛行:物流専用ドローンAirTruckによる災害支援物資を搭載した飛行を見守る住民(南木曽町 大野正兼集会所)

    大桑村:災害支援物資を搭載して着陸する物流専用ドローン”AirTruck”(大桑村 野尻向分館)

    大桑受け取り:物流専用ドローンAirTruckにより置き配された災害支援物資を受け取る住民(大桑村 野尻向分館)

     

    左から木曽広域連合の楯憲吾さん、上松町長の大屋誠さん、長野県木曽地域興局副局長の大日方明実さん、NEXT DELIVERY取締役、運航統括責任者の青木孝人さん=上松町で
    左から木曽広域連合の楯憲吾さん、長野県木曽地域振興局局長の渡邉卓志さん、大桑村副村長の中田陽一さん、NEXT DELIVERY取締役運航統括責任者の青木孝人さん=大桑村で
    左から木曽広域連合の楯憲吾さん、長野県木曽地域振興局局長の渡邉卓志さん、南木曽町副町長の向井庄司さん、NEXT DELIVERY取締役運航統括責任者の青木孝人さん(南木曽町)
    災害支援物資を搭載した物流専用ドローン AirTruck =南木曽町大野正兼集会所で
    災害支援物資を積載した物流専用ドローン AirTruck=南木曽町大野正兼集会所で
    物流専用ドローン AirTruck で置き配された災害支援物資を受け取る=大桑村野尻向分館前で

    1.背景と目的
    木曽郡は総人口 23,781 人(2025 年 1 月 1 日現在)。長野県の南西部に位置し、美しい木曽川を中心に豊かな森林や山々に囲まれた自然環境が広がっています。木曽川の支流や山間部からの湧水は、地域の農業や生活用水として利用されるだけでなく、周辺の生態系を支えています。一方で、自然災害の
    リスクが高く、大雨や土砂災害、地震による道路寸断など、有事の際には集落が孤立する可能性が指摘されています。特に中山間地域では、地理的条件からアクセスが制限される場合が多く、緊急時の物資輸送や医療支援が大きな課題となっています。また、木曽郡内では、地域住民の高齢化が進む中、災害発生時の迅速な支援体制の構築や、孤立集落の発生を防ぐための新たな取り組みが求められています。こうした状況に対応するため、ドローン技術の活用が注目されており、地域住民の利便性向上や有事の際の迅速な対応を目指し、DX 技術を活用したドローンの導入が模索されています。
    このような背景を踏まえ木曽郡では、災害発生時に孤立地域へ迅速に物資を届ける仕組みとしてドローンを活用した防災インフラの構築を実施しました。
    2.実施内容
    災害時に孤立集落となり得る地点に向け、災害時を想定した物資輸送の実証実験を実施しました。事業概要やドローン機体の説明後、以下3つのドローン配送のデモフライトを実施しました。
    1上松町 よろまいか駐車場⇒台生活改善センター/

    2大桑村 大桑村役場駐車場⇒野尻向分館 /

    3南木曽町 渡島総合グラウンド⇒大野正兼集会所 ※計 3 ルート
    【1ルート】上松町で孤立が想定される台生活改善センターに向けて災害物資輸送を想定したドローン配送を実施します。飛行距離約 4.6 kmを約 12 分かけて配送。
    【2ルート】 大桑村で孤立が想定される野尻向分館に向けて、災害物資輸送を想定したドローン配送を実施します。 飛行距離約 4.1 kmを約 10 分かけて 配送。
    【3ルート】 南木曽町で孤立が想定される大野正兼集会所に向けて、災害物資輸送を想定したドローン配送を実施します。飛行距離約 6.1 kmを約 15 分かけて配送。
    機体はエアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruckを使用しました。上松町では、よろまいか駐車場から台生活改善センターまでの片道約4.6 km・約 12 分を、災害支援物資を搭載してドローン配送しました。ドローン配送で災害支援物資を受け取った田中秀子さんは、「素晴らしい。置いて行ってもらえれば、非常に楽。もしもの時にはとても助かる」とコメントしています。今後も災害時対応用のドローン配送ルートの構築及び座標設定を拡大していき、ドローン配送用のインフラ整備・構築をさらに進め、災害時の迅速な対応ができる地域づくりを進めてまいります。
    ※本実証実験は「令和6年度 木曽郡におけるドローンを活用した災害対策インフラ整備業務委託」として採択されています。
    ※本事業は「令和 6 年度長野県地域発 元気づくり支援金」を活用した事業です。

    地域在住の田中秀子さんが配送された災害支援物資を受け取った=上松町台生活改善センター

    1 物流専用ドローン AirTruck
    次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストが ACSL と共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン。エアロネクスト独自の機体構造設計技術 4D GRAVITY® により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機です。日本では各地の実証地域や実証実験で飛行しトップクラスの飛行実績をもち、海外ではモンゴルで標高 1300m、外気温-15°Cという環境下の飛行実績をもつ(2023 年 11 月)。最大飛行距離 20km、ペイロード(最大可搬重量)5kg.
    2 機体構造設計技術 4D GRAVITY®
    飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し 4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4DGRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。
    【上松町とは】
    上松町は長野県の南西部、木曽郡のほぼ中央部に立地し、東西 24.5km、南北 13km、総面積 168.42km2 の東西に長い地形です。そして、東には木曽駒ヶ岳(2,956m)を主峰とする中央アルプス山系が連なり、西には卒塔婆山(1,541m)、台ヶ峰(1,503m)などの山々が連なっています。町の中央部を北から南へ木曽川が貫流し、それに沿って国道 19 号、木曽川右岸道路、JR 中央本線が並行して走っています。木曽川左岸には木曽駒ヶ岳に源を持つ滑川、十王沢ほか中小河川の急流が木曽川に注ぎ、右岸にも国有林から小川が流入しており、いずれも急峻な地形を呈しています。これらの河川は幽玄な渓谷
    を形づくり、木曽五木の森林地帯を流れ、奇勝絶景をなしています。
    また、総面積の 95%が森林であり、そのうち 69%と大半を国有林が占めています。耕地や宅地は、合わせてもわずか3%しかありません。この耕地や宅地は主に、河川沿いの台地、標高 550mから 1,100mの地域に集積しています。国内森林浴発祥の地として名をはせる赤沢自然休養林では、施設・エリアが「森林セラピー基地」として認定を受け、赤沢の森林浴が医学的にもリラックスできることが実証されました。
    *詳細は https://www.town.agematsu.nagano.jp/をご覧下さい。
    【大桑村とは】
    長野県の南西部に位置する大桑村は、東西 30km、南北 10km、総面積 234.47 平方 km の山村です。東は南駒ヶ岳をはじめとする中央アルプスの山々、南は南木曽町、北は上松町、西は岐阜県中津川市及び王滝村へ隣接。地形は急峻で、村の総面積の 96%を山林が占めています。中央部を北東から南西に流れる木曽川に沿って国道 19 号、JR 中央線が走っています。集落及び耕地は、木曽川とその支流の伊奈川などの流域(標高 500~800m)に点在しています。
    *詳細は https://www.vill.okuwa.lg.jp/をご覧下さい。
    【南木曽町とは】
    南木曽町は、長野県の南西部・木曽谷の南端に位置し、岐阜県との県境にある町です。総面積は 215.93k m2で東西20km、南北 15km、周囲 70km の山間地であり、木曽川とその支流の与川・柿其川・蘭川・坪川等により形成された狭い段丘上に、与川・北部・三留野・妻籠・蘭・広瀬・田立の7集
    落と農用地が細長く点在し、各集落の標高は約 300m から約 950m におよんでいます。また、町の面積の9割は森林で占められており、そのうち約 70%が国有林です。町の中心部を流れる木曽川沿いには南北に JR 中央線と国道 19 号が走り、東西には国道 256 号が伊那谷に通じています。隣県の中津川市中心部まで約 20km、県内近隣市町村の木曽町まで約 35km、飯田市まで約35km の距離にあり、古来より伊那谷、木曽谷を結ぶ交通の要衝でした。急峻な斜面が多く平坦面が少ない地形を作っています。また気候的には温暖ながら雨量が多く、年間降水量は多い年で 2,500mm から 3,000mm に達します。このような地形と気候により、過去より幾多の土石流災
    害を引き起こす一方で豊かな森林資源を育み、町は古くから木材生産・木工業を基幹産業としてきました。国選定重要伝統的建造物群保存地区の妻籠宿や、国の近代化遺産に指定された桃介橋をはじめとする恵まれた文化遺産等をはじめとする観光産業が町の主要産業に位置付けられています。
    *詳細は https://www.town.nagiso.nagano.jp/をご覧下さい。

    【木曽広域連合とは】
    長野県木曽地域の特別公共団体です。介護保険・消防・環境・地域振興・森林経営管理・文化教育・ケーブ
    ルテレビなど、規約により 31 の広域行政を担っています。
    *詳細は https://www.kisoji.com/をご覧ください。
    【長野県木曽地域振興局とは】
    木曽地域振興局は、長野県が設置する現地機関です。木曽町・上松町・南木曽町・木祖村・王滝村・大桑村の 6 町村で構成される木曽地域で生じている課題やニーズを的確に把握し、関係機関と連携してスピード感を持って主体的・積極的に課題解決に当たる組織です。
    *詳細は https://www.pref.nagano.lg.jp/kisochi/somu-kankyo/をご覧ください。
    【株式会社エアロネクストとは】
    IP 経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップ、エアロネクストは、「新しい空域の経済化」をビジョンに、空が社会インフラとなり、経済化されて、ドローンで社会課題を解決する世界を生み出すために、産業用ドローンの技術開発と特許化、ライセンスビジネスを行っています。コアテクノロジーは、重心、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる、独自の構造設計技術 4D GRAVITY®。この 4D GRAVITY®を産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構築し、4D GRAVITY®ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに展開しています。また、ドローンを活用した新スマート物流 SkyHub®の実現のために戦略子会社 NEXT DELIVERY を設立し、ドローン配送サービスの社会実装、事業化にも主体的に取り組んでいます。
    *会社概要は https://aeronext.co.jp/about/company/をご覧下さい。
    【株式会社 NEXT DELIVERY とは】
    エアロネクストグループのミッション「人生 100 年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界へ」に基づき、2021 年に山梨県小菅村に設立されたドローン配送を主事業とするエアロネクストの戦略子会社。エアロネクストとセイノーHD が共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこんだ新しい社会インフラとなる新スマート物流の仕組み SkyHub®の企画運営、全国展開を推進しており、共同配送とドローン配送に関わるハード及びソフトウェアの開発、販売、運用及び保守事業等の周辺事業も展開しています。山梨県小菅村を皮切りに、北海道上士幌町、福井県敦賀市等、全国各地で地域物流の効率化と地域社会の課題解決に取り組んでいます。
    *会社概要は https://aeronext.co.jp/about/company/をご覧下さい。
    *エアロネクストおよびエアロネクストのロゴ、NEXT DELIVERY、並びに「4D GRAVITY(R)」「SkyHub(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。
    *その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2024.9.25

    JUIDA、能登豪雨対応活動を開始 NEXT DELIVERYなどと輪島市で生活物資輸配送へ

    account_circle村山 繁
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    一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が能登半島の豪雨災害への対応を開始した。自衛隊と連携し孤立集落へのドローンによる物資配送などにあたる。株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)、株式会社ACSL(東京)がすでに現地入りし、株式会社エアロジーラボ(AGL、箕面市<大阪府>)、株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)が近く合流する。ブルーイノベーション株式会社(東京)も一両日中に加わる。

    石川県が支援を要請 ACSL、AGL、SkyDrive、ブルーなども合流

     JUIDAは9月23日に被害の大きい輪島市に入った。翌9月24日にはNEXT DELIVERY、ACSLが合流した。株式会社エアロジーラボ(箕面市<大阪府>)、株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)も9月25日中に現地入りし、ブルーイノベーション株式会社も追って合流する見通しだ。

     このうち事業者として現地にもっともはやく合流したNEXT DELIVERYは小菅村、小松市(石川県)のそれぞれから現地で運用していた物流用機Air Truckを持ちこんだ。2機を持ちこんだのは、孤立集落への物資配送の輸送頻度が高くなることが見込まれるためだ。1月に発生した能登半島地震の震災対応のさいには小菅村の機体を持ちこみ、医薬品の輸送で被災地を支援した。同社はドローン配送を平時と有事の両面で活用するフェーズフリー活用に取り組んでいる。

     輪島市中心部では9月21日午前9時10分までの1時間に120ミリの大雨が記録され、気象庁が輪島市、珠洲市、能登町に大雨特別警報を発表した。その後22日午前10時10分、気象庁金沢地方気象台が大雨特別警報を大雨警報に切り替えたと発表した。

     国土交通省は9月22日午後3時に輪島市、珠洲市、穴水町、能登町を国土交通大臣による航空法第132条の85による緊急用務空域公示第2号に指定した。ドクターヘリや救急搬送などの活動を妨げることにならないよう、国、地方などの要請を受けていないドローンは現地での飛行させることができない。一方、孤立集落への物資搬送などにドローンの活用は期待されていて、石川県は9月24日、JUIDAに対し支援を要請した。

     JUIDAは石川県の要請より前に現地への急行を準備し、9月23日には現地に入りし、自衛隊など関係機関と調整を開始。24日の石川県からの要請を受けて具体的な取り組みを進めることになった。25日にはひとつの孤立集落への物資輸送を開始する準備を進めていたが、幸いにもこの集落への陸路が開通したためこの集落への配送は陸路にまかせ、ドローン配送は別の集落への取り組みに切り替えることを決め、次の対応を練っている。
     JUIDAのもとにはドローン事業者から協力の申し入れも届いており、JUIDAが現地の需要とすりあわせながら、対応を検討している。

     能登地方では9月25日も不明者の捜索が続けられ、この日輪島市で3人がみつかり、いずれも死亡が確認されたことから、豪雨の死者は計11人となった。午後4時現在、5人の行方がわかっていない。また輪島市、珠洲市、能登町の16カ所の集落が孤立し、157人が取り残されている。

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2024.9.13

    山梨県とNEXT DELIVERYなど3社が協定締結 「新スマート物流」のフェーズフリー活用推進へ

    account_circle村山 繁
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    ドローン配送を既存物流と融合させる「新スマート物流」を進めている株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)など3社は、山梨県と、新スマート物流の広域化と県全域での整備と、災害時に物資輸送などを担う平時と有事との両用化を推進し、地域物流インフラを強靭化する連携協定に締結した。新スマート物流は2021年に山梨県小菅村で発足し、これまでに市町村単位での連携で実績を積み上げ全国各地に広がってきた。今回の山梨県との締結は、新スマート物流の都道府県単位で協定としては初めてで、山梨県の長崎幸太郎知事は、県内生まれのプロジェクトで協定を締結することに「子供が立派になって戻ってきてくれたよう」と目を細めた。

    「ポート設置は早急に。ふだん使いも災害時も」 長崎幸太郎・山梨県知事

    協定の締結式は8月28日に、山梨県庁内で行われた。山梨県と協定を締結したのはNEXT DELIVERYのほか、セイノーラストワンマイル株式会社(東京)、富岳通運株式会社(甲府市)の3社。締結式では各社の代表が協定に署名し、抱負を述べた。

    協定は「山梨県におけるフェーズフリーな地域物流インフラの構築を促進し、もって県民生活や地域経済基盤の強靱化に資すること」が目的で、2024年問題など地域の物流課題、災害時の物資輸送など防災インフラづくりなどで協力して進めることが記されている。具体的な内容や進め方は今後、3社と県が検討を進める。

    NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は6月28日に修正された防災基本計画が、「交通の途絶等により地域が孤立した場合でも食料・飲料水・医薬品等の救援物資の緊急輸送が可能となるよう、無人航空機等の輸送手段の確保に努めるものとし」など、ドローンの積極活用が明記されたことを引き合いに「平時、緊急時をまたいでドローンをしっかり活用する国の方針は心強く思いました。小菅村、丹波山村(ともに山梨県)で始めた新スマート物流を山梨県全域に広げ、緊急時にもしっかり地域を支えるインフラにしたいと思っています」と決意を述べた。

    また、「新スマート物流のアップデートには山梨県のお力添えが不可欠だと思っています。最初に提携したかったのは、小菅村での活動のベースである山梨県でしたので、一番早く協定を結んで頂きました」と付け加えた。

    山梨県の長崎知事はこれを受けて「大変、親孝行な子供をもって幸せだと思います」と笑顔を見せた。さらに「山梨県には災害がおきると孤立集落になるおそれのある場所があります。医薬品や食品の輸送などの課題がありますので、その解消をどうするか。有事対応が前提ですが、平時に使い慣れていないと機能しないとも思います。(離発着場となる)ドローンポートは孤立の恐れのあるところに設置する必要があると思います。これは急いでやりたい。設置した住民に『ここにドローンが来ますからびっくりしないでくださいね』と伝えて、普段使いもしていただいて。災害がおきたときにも物流にあてられるようにしたいですね」と述べた。

    協定締結を受けて公表されたプレスリリースの内容は以下の通り

     

    株式会社NEXT DELIVERY、セイノーラストワンマイル株式会社、富岳通運株式会社が山梨県におけるフェーズフリーな地域物流インフラの構築に向けた連携協定を締結

    ~県民生活や地域経済基盤の強靱化を目指して~

    写真向かって左より山梨県知事 長崎幸太郎、NEXT DELIVERY 代表取締役 田路圭輔、セイノーラストワンマイル 代表取締役社長 河合秀治、富岳通運 代表取締役 浅沼 克秀

    山梨県(知事:長崎幸太郎)と株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下NEXT DELIVERY)、セイノーラストワンマイル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:河合 秀治、以下 セイノーラストワンマイル)および富岳通運株式会社(山梨県甲府市、代表取締役:浅沼 克秀、以下富岳通運)は、2024年8月28日に、山梨県におけるフェーズフリーな地域物流インフラの構築に向けた連携協定を締結いたしました。

    NEXT DELIVERYの親会社である株式会社エアロネクスト(以下 エアロネクスト)とセイノーホールディングス株式会社(以下 セイノーHD)は、トラックや軽バン等の陸上配送にドローン輸送を組み合わせて物流を効率化する新スマート物流SkyHub®を、山梨県の第1期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業による試験的運用を経て、2021年10月から日本で初めて小菅村にて社会実装し、現在では北海道上士幌町や福井県敦賀市をはじめ全国10ヶ所で展開しています。

    その後NEXTDELIVERY、セイノーHD、富岳通運等は、2024年問題対策として各社のリレー方式で物流の効率化を図る共同配送を、2023年8月から小菅村・丹波山村においていち早く開始しています。中山間地域の物流において、大手物流会社含む複数社での共同配送を実施する事業は全国でも珍しい事例です。

    富岳通運は、2022年8月に山梨県と災害時における山梨中央ロジパークの施設使用に係る連携協定を締結するとともに、県下27市町村と災害時の連携協定を締結しています。

    エアロネクストとNEXT DELIVERYは、2024年1月に起きた能登半島地震において、孤立集落・避難所へのドローンによる医薬品の物資輸送を国内で初めて実施した経験を踏まえ、平時、有事を問わず、ドローンを活用したフェーズフリー型統合ソリューションの構築が必須であり、そのためにはこれまで推進してきた新スマート物流SkyHub®が基盤になりえると考え、国や自治体と前向きな会話を始めています。

    今回、4者が相互の連携・協力により、山梨県における2024年問題など平常時の地域の物流ネットワークの強化や買い物弱者対策、並びに災害時の被災地への迅速な物資輸送を可能とするフェーズフリーな地域物流インフラの構築を促進し、県民生活や地域経済基盤の強靱化を図ってまいります。

    <連携協定の概要>

    1.締結日     2024年8月28日

    2.協定の目的

    本協定は、山梨県におけるフェーズフリーな地域物流インフラの構築を促進し、もって県民生活や地域経済基盤の強靱化に資することを目的とする。

    3.協定の内容

    上記目的を達成するため、以下の事項について相互に連携・協力する。

     (1)2024年問題など地域の物流課題の解決に関すること

     (2)災害時の物資輸送など防災インフラづくりに関すること

     (3)その他、目的を達成するために必要な事項

    8月28日に実施された連携協定締結式において、代表4者が以下のとおりコメントしています。

    <山梨県知事 長崎幸太郎のコメント>

    NEXT DELIVER、セイノーラストワンマイル、富岳通運の3者の皆さまと連携協定を締結することができ、心より感謝申し上げます。山梨県小菅村での実証実験からスタートした「新スマート物流」は、すでに全国各地に展開されており、このたびのフェーズフリーな地域物流インフラの構築は、山間部など人口減少エリアを数多く抱える本県にとって、非常に重要な課題であります。また、先般の「南海トラフ地震臨時情報」を機に災害への備えを見直すなかで、ドローンの活用が非常に有効なものと改めて認識したところです。このたびの協定は山梨県にとっても大変意義深いものであり、3社の皆さまと県民生活の強靱化に向けた取り組みを加速して参ります。

    <NEXT DELIVERY代表取締役 田路 圭輔のコメント>

    2021年1月に小菅村にNEXT DELIVERYを設立し、ドローン配送をスタートしたのも山梨県、共同配送をスタートしたのも山梨県で、山梨県は様々な新スマート物流の取り組みの起点になってきました。この度、山梨県とこのような新たな取り組みをスタートできることを本当に光栄に思います。地元の運送会社様との連携をベースにして、平常時と緊急時をフェーズフリーに利活用できる地域物流インフラを構築していく今回のプロジェクトを全都道府県に拡げていきたいと思います。

    <セイノーラストワンマイル代表取締役社長 河合 秀治のコメント>

    セイノーHDは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。山梨県小菅村、丹波山村においては、物流会社が抱える2024年問題や地域課題に対して、富岳通運様をはじめとする物流各社様と連携して共同配送を構築、また、この配送インフラを緊急時は物資輸送に利活用できるしくみとしています。今後も同じ課題をもつ全国の地域にこの小菅・丹波山モデルを展開し、住民の皆様が持続的に安心して暮せる環境づくり、住民サービスの維持、向上を進めてまいります。

    <富岳通運 代表取締役 浅沼 克秀のコメント>

    提携協定を契機に、更なる地域の物流ネットワーク構築及び課題解決に向けた取り組みを協同して参りますのでよろしくお願い致します。

    (左から)長崎幸太郎・山梨県知事、田路圭輔・NEXT DELIVERY代表取締役、河合秀治・セイノーラストワンマイル代表取締役社長 、浅沼克秀・富岳通運代表取締役=8月28日、山梨県庁
    協定書に調印
    長崎幸太郎・山梨県知事
    田路圭輔・NEXT DELIVERY代表取締役
    河合秀治・セイノーラストワンマイル代表取締役社長
    浅沼克秀・富岳通運代表取締役

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2024.4.22

    小菅村の「新スマート物流」協定3年半ぶりに更新 セイノーHD加わりエアロネクスト、NEXT DELIVERYと結束  

    account_circle村山 繁
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    「新スマート物流」実用化の原点である小菅村(山梨県)で4月17日、この取り組みの土台となってきた連携協定が、ほぼ3年半越しに新たな協定に更新された。新協定にはセイノーホールディングス株式会社(大垣市<岐阜県>)が加わり、小菅村、株式会社エアロネクスト(東京)、エアロネクストの子会社である株式会社NEXT DELIVERY(小菅村)を含む4者が小菅村役場で締結式に臨んだ。協定の有効期限は5年間。今後は結束して、新たなテクノロジーの導入も見据え、オープンイノベーションで地域物流の高度化にあたる。締結式では各代表が書面ではなく分厚い無垢材の協定書を受け取った。小菅村の舩木直美村長は「ここは人口減少の先進地。この村がなんとかなれば日本はなんとかなる」と決意を新たにした。

    舩木直美村長「小菅がなんとかなれば日本はなんとかなる」

    新協定は「ドローン配送事業を含む次世代高度技術の活用による新しい地域物流のビジネスモデルの構築に向けた包括連携協定」で、農業、観光などの産業振興から雇用、人材育成、環境負荷低減との両立、防災、新しいインフラ整備まで幅広く盛り込んだ。次世代高度技術について、「人、モノを区別した現在の移動の形は変わっていく必要がある考えています。ドローン、トラック以外に、自動運転なのか、ロボットなのか、あらゆるテクノロジーの活用を、みなさんの声を聞き、相談しながら検討したい」(エアロネクストの代表取締役CEOでNEXT DELIVERYの代表取締役も務める田路圭輔氏)や、「荷物をパケットに例えて革新的な物流をを示す『フィジカルインターネット』という言葉が物流の世界で幅広く使われているが、まだ具体例はない。高度技術が必要なフィジカルインターネットを進めたい」(セイノーHDの河合秀治執行役員)などと意欲を示した。

    新協定への期待について小菅村の舩木村長は「2024年問題もあり物流が滞ることになれば、ここは一番先に切られる可能性のある地域だと思っています。これまでなんとかみなさんのお力をお借りしてありがたくおもっています。うちの村は課題が多いので、課題解決のために、お知恵とお力を貸して頂き、新しいモデルを作って頂きたいしもうけにもつなげて頂きたい。そのためにどんどん小菅村を使って頂きたい」と展望を述べた。

    エアロネクストの田路CEOも「新スマート物流は全国で17の自治体と連携協定を結び、これまでに9地区、現時点では8地区で社会実装をしています。これは小菅村が原点。協定の更新ができ、ますますがんばりたいと気持ちが固まりました。次々と『日本初』の事例をここであみだしたい」と抱負を述べた。

    セイノーHDの河合秀治執行役員は「2023年8月に小菅村で始まった複数の物流会社が一本にまとまった共同配送は継続的に行われている全国でも非常に珍しいももっとも先進的な事例で、全国の過疎地で共同配送の検討が進みはじめていて、そのお手本となるプロジェクトとしてしっかり進めたい。モデル化して標準化することが重要で、継続できるビジネスにするためには環境負荷低減が不可欠。共同配送は5社分を1社で扱えば環境負荷も5分の1になるのでグリーンという領域も取り組みたい」と持続可能なモデルづくりに意欲を示した。

    会見では、エアロネクストが開発した物流用ドローンが1月に発生した能登半島地震の被災地で活動した話題に展開。来賓としてあいさつした小菅村議会の青柳諭議長が「議会としても何度も見学をさせていただいたので、テレビで薬を配送しているのをみたときにすぐにわかりました。石川県に小菅のドローンが行ってると」と言及した。石川県でドローンの運航を担ったNEXT DELIVERYの青木孝人取締役が「小菅村での経験が役に立ちました。日頃から飛ばしていたことが現場力になることが証明できたと思っています」と応じた。一方、「課題も分かりました。みなさんが不慣れなので、ドローンを飛ばす前に、現地のみなさまや担当者にこのように飛んできて『置き配』をします、などと説明をしないといけなくい。機体も現地にないので、この小菅村から現地に20時間ほどかけて運びました。慣れていれば、現地にあれば、と感じました」と、小菅で得た機会がいきたこととと、教訓についても披露した。

    エアロネクストの田路CEOはこれを受けて、「青木さんの話からも、ドローンは配送手段でありながら社会インフラであることがわかります。震災は痛ましい出来事ですが、ドローンという日本の強靭性を担うインフラが存在することも証明したと思っています」とインフラとしてのドローンの認知の拡大と整備の推進に期待を寄せた。

    また、連携協定が継続できている背景については、登壇者全員が「信頼関係」と回答。小菅村の舩木村長は「人です。信頼関係あってこそ。私は田路さん、河合さんを会ったときから信じていますしかれらも信じてくれています」と話すと、田路CEOも河合執行役員もうなずいた。河合執行役員は「村長のイニシアチブがすごいし、支える役場のみなさん、ご担当のみなさん、議会のみなさんのサポートも非常に大きい。なにより小菅村への視察の数の多さがその証左」と応じた。

    4月27日には、先行で稼働している無人コンビニ「SkyHubスマートストアこすげ」が、村内の「道の駅こすげ」に正式にオープンし、連携協定による過疎対策がさらに充実する。

    プレスリリースにはこれまでの経緯や談話が掲載されている。内容は以下の通りだ。

    締結式で結束を確認した3人。左からエアロネクスト代表取締役CEO兼NEXT DELIVERY代表取締役の田路圭輔氏、舩木直美小菅村長、セイノーHDの河合秀治執行役員
    協定書は紙ではなく小菅村産の分厚い無垢材
    締結式では終始、笑顔が絶えなかった
    能登半島支援で医薬品を搬送した機体は小菅村で運航している機体だった
    能登半島支援のため現地に出向き医療物資搬送に尽力したNEXT DELIVERYの青木孝人取締役も締結式で小菅村での経験が生きたことなどについて話した
    関係者全員が登壇した記念撮影
    小菅村のドローンデポ
    4月27日に正式にオープンする無人コンビニ「Skyhubスマートストアこすげ」

    小菅村、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、セイノーHDがドローンを含む次世代高度技術の活用による地方創生に向けた包括連携協定を締結

    ~地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築を目指して~

    山梨県小菅村(村長:舩木直美)と株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下エアロネクスト)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下NEXT DELIVERY)、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下 セイノーHD)は、2024年4月17日に、ドローンを含む次世代高度技術の活用による地方創生に向けた包括連携協定を締結いたしました。

    エアロネクストと小菅村は、2020年11月に、ドローン配送事業の実現化およびドローン配送導入による地域活性化に向けた連携協定を締結し、ドローン配送導入による産業振興、地域雇用・人材育成等への貢献および社会・インフラの整備を推進してまいりました。

    具体的には、小菅村ならびに村民の理解と協力のもと、2021年1月に小菅村内に設立した戦略子会社NEXT DELIVERYが、セイノーHDと連携し、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこんだ地域の新たな物流インフラ、新スマート物流SkyHub(R)を、日本で初めて2021年4月から試験的運用を開始し、2021年10月からは社会実装フェーズに移行させました。

     

    橋立地区の閉店した商店の建物内を整えて新スマート物流SkyHub(R)の拠点、ドローンデポ(R)とし、現在は、SkyHub(R)Delivery(買物代行)、SkyHub(R)Eats(フードデリバリー)、SkyHub(R)Store (オンデマンドドローン配送)を展開しています。昨年8月からは、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送も開始するなど、小菅村の課題やニーズに合わせた配送サービスを提供しています。

    さらに、住民の利便性、ならびに地域活性化による関係人口の増加に貢献するため、4月27日には、SkyHub(R)スマートストアこすげ(無人コンビニ)を道の駅こすげの物産館横に正式にオープンいたします。

    なお、小菅村における新スマート物流SkyHub(R)の取組みは、デジタル田園都市国家構想の優良事例に採用され、全国で横展開が進んでいます。

    本協定は、今後もさらにこのドローンをはじめとする次世代高度技術を活用した活動を推進し、相互の連携・協力により、地域発展に資する施策の推進を目的に締結するものです。

    写真向かって左より写真向かって左よりエアロネクスト代表取締役CEO兼NEXT DELIVERY 代表取締役 田路圭輔、小菅村長舩木直美、セイノーHD 執行役員 河合秀治
    2023年8月に実施した共同配送出発式の様子 (道の駅こすげ)
    2024 年4月27日に正式オープン予定の「SkyHub(R)スマートストアこすげ」(道の駅こすげ)

    <連携協定の概要>

    1.締結日

    2024年4月17日

    2.協定の内容

    ドローンをはじめとする次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。

    (1)農業・観光・産業・経済の振興に関する事項

    (2)地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関する事項

    (3)カーボンニュートラルと利便性が両立した持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくりに関する事項

    (4)地域防災への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項

    (5)その他、全ての当事者間にて協議し必要と認める事項

     

    4月17日に実施された連携協定締結式において、代表三者が以下のとおりコメントしています。

    <小菅村長 舩木 直美のコメント>

    2020年11月より株式会社エアロネクストと連携協定を締結し約3年半が経過しましたが、その間多くの皆様のお力をお借りし、小菅村を取り巻く諸課題の解決にご尽力いただきました。その中心的な役割を担っていただいておりました株式会社NEXT DELIVERY、セイノーHDの皆様方と、改めて包括連携を締結できることを大変嬉しく、また心強く感じております。小菅村は全国の過疎、少子高齢化の先進地であります。小菅村がなんとかなれば日本は何とかなる。その想いで4者が今まで以上に強固な連携を図り、課題解決に取り組んで参ります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

    <エアロネクスト代表取締役CEO/NEXT DELIVERY代表取締役 田路 圭輔のコメント>

    2020年11月に連携協定を締結させていただき、2021年1月にNEXT DELIVERYを設立して以来、小菅村とは二人三脚で新スマート物流SkyHub(R)︎の社会実装を進めてきました。小菅村との出会いがなければエアロネクストグループの成長はもっと限定的なものになっていたと思いますし、感謝してもしきれない恩を感じています。この度、光栄にも連携協定を更新し、次のステージに進めることを心より嬉しく思います。しっかり小菅村の皆さまに寄り添って、新しい社会インフラの創造でお役に立つことができればと思います。

    <セイノーHD執行役員 河合 秀治のコメント>

    セイノーHDは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。小菅村においては、物流2024年問題にいち早く対応し、昨年8月より、地域の物流各社様と中山間地域における物流の効率化、持続性の確保という共通認識のもと、小菅村におく旧商店を活用したデポ(集約拠点)に各社の荷物を集め、共同で配送するしくみを構築してまいりました。今後も同じ課題をもつ全国の地域にこの小菅モデルを展開し、住民の皆様が持続的に安心して暮せる環境づくり、住民サービスの維持、向上を進めてまいります。

    この連携協定により、4者が相互に連携、協力し、村の課題や住民のニーズに沿って、ドローンを含む次世代高度技術の活用により、小菅村における地域の課題解決と地方創生に寄与してまいります。

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。