2機同時の粒剤農薬散布を公開 DJIとシンジェンタが茨城・龍ヶ崎の水田で

2019.06.27

  DJI JAPAN(東京)とスイスを本拠に農薬や種子などのアグリビジネスを世界で展開するシンジェンタの日本法人、シンジェンタ ジャパン(東京)は6月25日、茨城県龍ヶ崎市で、2機の農薬散布ドローンを自動航行させて粒剤の農薬を散布する様子を公開した。2機は自動で飛行し短時間で散布を終え、生産者が散布機を背負って水田に入ることなく、散布を終えることができることを確認した。散布会場となった水田を保有する有限会社横田農場の横田修一社長は「これを起点に新しい取り組みが始まるのではないかと期待している」と話した。

生産者・横田農場の横田修一社長「変わる環境には新しい技術。ドローンには期待」

2機同時の自動航行による散布を公開

  今回の公開は、DJI JAPAN、シンジェンタ ジャパンが、深刻な労働力不足に陥っている農業の省力化と安全確保をめざす取り組みの一環で、「編隊自動航行による農薬散布実証試験」として実施した。DJIの農業用ドローン「AGRAS MG-1 P RTK」と粒剤の農薬や肥糧を散布したり種子をまいたりするために開発されたタンク「GS110」を使い、この日はシンジェンタの水稲用除草剤「アクシズMX」を散布した。会場となった横田農場のライスセンターには、GPSによる測定で生じる誤差を補正するRTK固定局が設置され、ドローンの飛行位置と、目標とする位置のずれを補正する体制が整えられた。

 

  自動航行による散布は、事前に散布する圃場を測量し、地頭をつくり、散布ルートを設定し、散布する、という流れで行われる。この日は、流れを確認するために、空撮ドローンを使って測量する様子と、それによって得られたデータで地図を作り、ルートを設定する様子、それに従ってドローンが飛行する様子と、一連の流れを最初に実演した。担当者は「10~20ヘクタールの測量は10~20分でできる」と説明した。一連の流れを確認したうえで、2機による散布を公開した。

 

  2機による自動航行の散布では、2機とも「アクシズMX」をつめた粒剤散布装置「GS110」を搭載した。散布予定の水田には、安全のための管理者も配置した体制で行われた。オペレーターの合図とともに、「AGRAS MG-1」が出発すると、圃場の上空2メートルの位置をほぼ同じ速度で滑らかに飛行。粒剤を散布しながらの飛行のため、搭載しているタンクの重さは飛行中に変化してるはずだが、機体にゆれ、ぶれはみられなかった。2機の飛行ルートが異なるため、先に作業を終えた1機が先に帰還し、もう1機ももう一往復して作業を終え帰還した。この間、5分足らずだった。

DJI呉氏「農業に貢献したい」シンジェンタ的場氏「カッコいい農業に」

この日の公開に参加し、あいさつをするDJI JAPANの呉韜代表


  この日の公開に参加したDJI JAPANの呉韜代表は「つい2週間に前も田植えをしてきました。私は8年以上、田植えをしていて、周辺の農家が高齢化していることを実感しています。1人の人間として農業に貢献したいと思い、5年前に社内で農薬散布ドローンを提案しました。安全で、簡単に、自動にできれば。そんな思いでした。3年間の開発期間を経てAGRAS MG-1をリリースしました。あとは、使える農薬があること、使い方が分かることが大切です。今年の4月にシンジェンタ ジャパンと業務提携をしたことで、知見を持ち寄ることで農業に貢献できると確信しました。今回はその提携後、初のプロジェクトです。2機が飛んで自動で散布をすること。これがあるべき姿ではないかと思っています」と話した。

 

  公開の会場を提供し、全国稲作経営者会議で顧問も務める横田農場の横田修一さんは「水田は高齢化が進み、担い手が減っている。放棄された農地を引き受けるので、地域の担い手の管理する農地は年々増えています。これまでと同じ技術、やりかたではやっていくのは難しくなります。スマート農業の導入はすすんでいて、私も関心を寄せています。とくにドローンには期待しています。自動で、複数機同時で散布できるとなると、これまでの産業用無人ヘリとは違う使い方が期待できるのではないかな、とも思っていますご覧いただいているこの田んぼでは、自動運転田植え機で田植えをしました。自動で植えて、自動で散布できれば未来が見えてきます。あとは、それを実際に応用できるのかどうか。たとえば、50ヘクタールにどう対応するのか。そんなことも関心を持ちながら、期待しています」と期待を表明した。

 

  シンジェンタ ジャパンはこの日、水稲用初の散布適期の長い「一発処理除草剤」に分類される序造材「アクシズMX」を散布に使った。同社はさらにドローンに適した開発を進めていて公開の中では、水にまかれると水面を動いて事故拡散能力のある薬剤「ジャンダルム」も紹介。これを使えば、薬剤の拡散性が期待できるため、ドローンそのものの飛行ルートはさらに短縮化できるという。

 

 一連の作業を視察したシンジェンタ ジャパンの的場稔社長は「2機による自動航行はインパクトがあり、カッコいいな、と思いました。農作業がカッコよくなり、魅力的になれば、農業全体の雰囲気がよくなると思っています。その意味からも、ドローンの革新をわたしたちも支えたいと思います。この取り組みはまだ始まったなかりです。みんなで研究していければいいなと思います」と抱負を述べた。


DJI JAPAN:https://www.dji.com/jp
シンジェンタ ジャパン:http://www.syngenta.co.jp/
全国稲作経営者会議:http://inakeikaigi.jp/group/
横田農場:https://www.yokotanojo.co.jp/

公開後の質疑応答に応えるDJI JAPANの呉代表、横田農場の横田社長、シンジェンタ ジャパンの的場社長(左から)
概要説明の会場の様子
この日使われたドローン「AGRAS MG-1」、タンク「GS110」、RTK固定局
この日使われた農薬「アクシズMX」
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