GMOインターネットグループ(東京)は6月18日、100%子会社としてGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR=ジーエムオーエアー、東京)を設立した。GMOが高いシェアを持つインターネットのインフラサービス、金融、AI活用ノウハウをベースに導入や活用のコンサルティングなどのサービスを提供し、開発事業者とユーザーとをつなぐ。事業を通じて急速に進むと見込まれるAIとロボットの融合を支え日本経済で予見される課題解決を目指す。都内で開かれた発表会には株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)、イームズロボティクス株式会社(南相馬市<福島県>)など国内外の事業者が開発または運用する8基のロボット、ドローンも登場し発表に花を添えた。
発表は東京・用賀のGMOインターネットTOWER(世田谷ビジネススクエア)で行われた。
新会社GMO AIRは、AI活用コンサルティング、AI人材育成、AI導入支援、ロボット・産業用ドローン導入・活用支援、メンテナンスなど技術、ノウハウ、金融のサービスを提供し、国内外のAI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとユーザーとをつなぐ。自社開発はせず、開発事業者の事業を支えることで日本のAI、ロボットの融合を促す。
キャッチコピーとして「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動する。資本金は1億円。年内をめどに売上高などKPIの策定を目指す。当面は「お客様の声に耳を傾けることに集中する」方針だ。事業は開発したプロダクトを市場に投入するプドダクトアウト型のスタイルではなく、需要に応じてプロダクトを開発して提供するいわゆるマーケットイン型をとる。同社の公式サイトも同日、公開された。
役員構成はGMOインターネットグループ株式会社でグループ代表を務める熊谷正寿氏が会長に、グループ常務執行役員の内田朋宏氏が代表取締役社長に就任するなど7人が役員をつとめる。また千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏、東京大学大学院教授の松尾豊氏ら4人が顧問、専門家4人がアドバイザーとして支える。AIをフル活用することで社員数は「必要最小の人数で運営」(内田社長)する方針だ。
新会社GMO AIRの果たす役割については、同社会長でグループ代表である熊谷正寿氏が「縁結び」と説明した。その中で熊谷氏は「AIとロボットは相思相愛です。今後は急速に融合します。AI産業はかつてテキストだけ、画像だけなど単一のデータ処理に特化していましたが、現在は、音声も動画も核種センサーのデータも取り込むなど複数のデータを統合して処理するマルチモーダルAIとして発展しています。ロボット産業もかつてはプログラムされた動作の繰り返しに特化してきましたが、今後はAIの搭載で自律学習し環境に適応して動き目標を達成することを目指しています。両産業の融合にはインターネットインフラと通信が必要です。われわれは30年間、接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなどインターネットインフラに携わってまいりました。そこで私たちが両産業の縁結びをします」と述べた。
説明の中では、縁結び方法の一例として、ロボット、産業用ドローン、AI機材の購入者の立場を紹介した。高額機材は現金で一括購入するケースは考えにくいため、レンタル、ローン、リース、助成金活用などでGMOグループが金融サービスで培ったノウハウの活用場面が生まれる。また業務効率化についても、GMOが11年前から進めてきたAI活用で1カ月間で10万6000時間の業務削減した実績、年間18億円のコスト削減を達成した実績がノウハウとして付加価値になると見込んでいる。そのうえで、「インターネットのインフラ商材、インターネットの金融サービス、AI活用ノウハウの3つの付加価値を自社グループのサービスとして提供できる」ことを、差別化ポイントに掲げた。
中長期的にインタラクションデータのプラットフォーム構築を目指すことも表明した。ロボットに搭載されたAIが、学習していない作業に直面しても解決策を見出だせるAGI(汎用人工知能)、人間の知能を超えたレベルの知能を持つASI(人工超知能)に進化することを展望し、「そうなればユーザーはロボットを購入するのではなく必要な時にロボットの機能を利用するようになる。ビジネスはロボットの物販ではなく人材派遣と同じビジネスモデルに変化します」(熊谷グループ代表)と見通した。
発表会には脚型ロボットを含む8基が「応援のため」に会場にかけつけステージを彩り、一部はデモンストレーションを披露した。
JIWはアームを備えて移動するアバターロボットとAIドローンSkydioの機体を融合させた「ugo+drone(ユーゴープラスドローン)をデモンストレーションし、ドローンの離着陸も実演した。JIWはGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(東京)が提供するAIによる画像認識サービス「hakaru.ai」(ハカルエーアイ)を利用していることも紹介された。イームズロボティクスは第⼀種型式認証を取得した「イームズ式E600-100型」を持ちこみ、ステージ上で展示した。
また顧問に就任した千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏も、開発した脚型ロボットを実演。目隠しされた状態と同じ状況で、「前進」の指示で段差をのぼったり、落ちても態勢を立て直したりしてみせた。古田氏は「これからのロボットの考え方ですが、ロボットに AI を与えるのではなく、育てたAIにボディを与えることが重要。パソコン開発の主役がハードウェアの作り手からソフトウェア開発者やクリエイターに移ったように ロボットの普及には、搭載するAIを含むソフトウェアベンダー、サービスプロバイダーに移ります。GMO AIRはそれを担う唯一無二の会社です。この会社の設立は時代の転換点です」と述べた。
会見に先立ち投影されたプロモーション動画もすべてAIで作られ、エンドロールには、脚本、映像、ナレーション、ディレクションがすべてAIと映し出された。最後に「Produced by Humans」と映し出し、人の意志をAIがサポートする様子を象徴した。
また、顧問に就任した東京大学大学院の松尾豊教授もビデオメッセージを寄せ、「AIロボットに関して、技術データとお金の流れをつなぐ商社機能が大変重要であると以前から思っておりました。日本ではこうした機能が十分でないと思っていたのですが今回新しい会社がまさにその部分を実現されようとしているということで大変楽しみにしております」と期待を寄せた。
(GMOによる設立案内は以下の通り)。















GMO AI&ロボティクス商事株式会社設立
AIとロボットをすべての人へ。
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(以下 GMO AIR)を設立しました。これにより、AIとロボット・ドローンの導入・活用支援を軸とした新たな事業を開始します。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。

・【事業概要】
GMO AIRは、世界中のネットワークを駆使して国内外からロボットを調達するだけでなく、GMOインターネットグループが30年来培ってきた インターネットインフラ商材 (ネット接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなど)をあわせて提供します。また、 金融事業 の強みを活かし、レンタル、リース、ローン、保険、助成金の活用支援などのサービスも展開します。さらに、2013年から進めているAIの研究・活用を基に、月間10万6千時間の業務削減や年間18億円のコスト削減を実現する AI活用ノウハウもお客様に提供します。
GMO AIRは、これらの商材とサービスを通じて、お客様に包括的なソリューションを提案する AIとロボットの総合商社 を目指します。
1.AI導入・活用支援
お客様の業務に最適なAIソリューションを提供し、業務効率の向上と生産性の最大化を実現します。
・コンサルティング&ソリューション
GMOインターネットグループのエキスパートにより、AIの導入から活用までをトータルでサポートします。それぞれの課題解決に向けたコンサルティングと最適なソリューションをご提案します。
1. AI導入コンサルティング
2. データ分析・予測サービス
3. 業務自動化ソリューション
4. AIシステム開発
5. AIセキュリティ
・製品販売&インテグレーション
クラウドベースのAIプラットフォームの提供や、AI搭載ソフトウェア・サービス、AIの処理に最適化されたハードウェアの販売やレンタル、ロボットシステムのインテグレーションを提供します。
1. AIプラットフォーム提供
2. AI搭載ソフトウェア・サービス
3. AIハードウェア販売・レンタル
4. ロボットシステムインテグレーション
・教育&リサーチ
GMOインターネットグループは、これまで約7,800人のパートナー(従業員)に対しAI活用を促進し、非エンジニアに対するリスキリングを推進することなどを通して、月間で10万6千時間の業務時間削減を実現し、2024年度は18億円のコスト削減を見込んでいます。このような、これまで培ったAI活用のノウハウを皆様にご提供し、AI人財の育成のお手伝いをいたします。また、GMOリサーチ&AI株式会社による最新のAI動向のリサーチなども可能です。
1. AI人材育成
2. AIリサーチ・情報提供
・スタートアップ支援&エコシステム形成
GMOインターネットグループで投資事業を展開する、GMO VenturePartners株式会社や、GMO AI&Web3株式会社を通じ、世界中のAI、ロボット企業への出資・支援を実施し、AIのエコシステム形成も進めてまいります。
1. AIスタートアップ支援
2. AIエコシステム形成
2.ロボット、ドローン導入・活用支援
ロボットやドローンの導入から活用までをトータルでサポートし最適な機器選定、設置、運用を支援します。
・提案するロボットの例
・ アーム型 :組み立て、溶接、塗装、搬送、ピッキング、検査 等
・ 人間型(ヒューマノイド) :接客、案内、介護、災害援助、エンターテイメント 等
・ 多脚型(クローラ型含む) :警備、パトロール、災害救助、測量、農業 等
・ 車輪型: 移動、搬送、案内、警備、点検 等
・ クローラ型: 建設現場、災害現場、農業、プラント設備点検 等
・ ドローン・飛行型: 空撮、監視、検査、物流、農薬散布、災害対応 等
詳細:URL:公式サイト https://ai-robotics.gmo/


■GMO AIRのビジネスモデル図

・【将来ビジョン】
「インタラクションデータプラットフォーム」の構築と、「金融サービス・LaaS合弁設立(融資、IPO支援、助成金活用支援・Labor as a Service コンサル)」を国内外のロボットメーカー、産業用ドローンメーカーに提供することを目指しています。ロボットやドローンから得られる行動や観測のデータ(インタラクションデータ)を、高精度で安全性、信頼性の高い全体データとしてまとめ、国内外のロボット・産業用ドローンメーカー、AI関連企業にフィードバックします。これは、AIとロボット産業発展の大きな基盤になると考えています。

【新会社設立の意義】
AIロボット市場はCAGR(年平均成長率)で38.6%の増加が見込まれ、2021年の69億米ドルから、2026年には353億米ドルの規模に成長すると予測されています。(※1)これはGPUの進化などによるAIの加速度的進化に伴い、AIと親和性が高いといえるロボットの開発も急速進んでいくことを表しています。
GMOインターネットグループは、約55年周期で産業革命が進行していると考えています。1995年をインターネット革命の始まりと捉えると、29年経過した2024年はインターネット革命の後半戦に入っていると言え、ここでの主人公は「AIとロボット」になると確信しています。
そのような中、生成AIの利用に慎重な人はいまだ多いというデータもある一方(※2)、今後の日本は2040年には働き手が1,100万人不足(※3)するとの予測も出ています。このようなデータから予見される近未来の状況を打破し日本経済の成長を促すため、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しする目的でGMO AIRを設立するに至りました。
(※1)人工知能ロボットの市場規模、シェア、業界の成長、動向、分析(2030年)
(※2)勤務先での生成AI活用に対して肯定的な人は否定的な人の2倍以上 | GMOリサーチ&AI調べ
https://www.gmo.jp/news/article/9016/
(※3)書籍「「働き手不足1100万人」の衝撃」(古屋星斗 著/リクルートワークス研究所 著)
(GMOが発表した記者会見レポートは以下の通り)
GMO AI&ロボティクス商事株式会社 設立記者会見を実施
~グループ代表熊谷による挨拶のほか、最新の人型ロボット等8体も集結!~
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(URL: https://ai-robotics.gmo/ 以下 GMO AIR)の設立記者会見を実施しました。当日は、全8体のロボットやドローンが集結したこれまでにない記者会見となりました。
オープニングではすべてAIによって制作された映像を放映し、GMOインターネットグループが考える、AIとロボットが活躍する近未来のイメージを、ご来場いただいた皆様にご覧いただきました。(URL)
そして、グループ代表の熊谷 正寿からのご挨拶と今後の展望、GMO AIRの代表取締役社長に就任した内田 朋宏から新会社の概要説明が行われました。
また、東京大学大学院の松尾 豊教授から、新事業に対してのビデオメッセージを頂戴し、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田 貴之氏による、AIを搭載したロボットのデモンストレーションが行われました。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。

【GMOインターネットグループ グループ代表 熊谷 正寿】
GMOインターネットグループは、AI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとお客様をつなぐ商社「GMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR)」を設立しました。
日本社会が2040年には働き手が1100万人不足し、生活維持サービスの崩壊が懸念される中、AIとロボットの普及が解決策の一つとされています。AIとロボットは相思相愛です。GMO AIRは、AI産業とロボット産業の融合を見据え、インターネットインフラ商材、金融サービス、AI活用ノウハウの3つの強みを活かし、包括的なソリューションを提案する「AIとロボットの総合商社」を目指します。将来的には、ロボットの行動・観測データを活用した「インタラクションデータプラットフォーム」の構築や、ロボットの販売方法が「物販型」から「人材派遣型(LaaS/RaaS)」に変化することを見据えています。
GMOインターネットグループは、GMO AIRを通じて、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しし、日本経済の成長に貢献していきます。

【GMO AI&ロボティクス商事株式会社 代表取締役社長 内田 朋宏】
本日、新会社「GMO AIR」を設立しました。株主はGMOインターネットグループ100%で、AI・ロボット導入支援サービスを提供します。
役員には、グループ代表の熊谷をはじめとする7名が就任し、ロボット・AI・法律の専門家も顧問として迎えています。サービスメニューは「AI導入・活用支援」と「ロボット・ドローン導入・活用支援」の2つで、お客様の課題をお聞きし、最適なソリューションを提案します。 特に、AIの活用方法がわからない企業への提案や、グループ内での実績を活かしたAI人材育成などのニーズが高いと考えています。
このようにGMOインターネットグループの総合力を駆使して、お客様・AIロボット産業に対する付加価値貢献を、GMO AIRで加速してまいります。

【千葉工業大学 未来ロボット技術研修センター所長 古田 貴之氏】
今日は、AIとロボットが作る未来についてお話します。私たちは長年、AIとロボットの融合を研究開発してきました。しかし、今日お話しするのは、ロボットそのものではなく、AIについてです。これから重要なのは、ロボットにAIを与えるのではなく、育てたAIにボディを与えるということです。
私は、今日を時代の転換点だと考えています。これまで、ロボット研究者やメーカーがロボットを作ってきました。しかし、それではロボットは真に普及しません。主役はソフトウェアクリエーターやサービスベンダーになります。彼らによって、ロボットは真にビジネスとして普及していくと信じています。ロボットはAIにボディを与えるための存在となり、AIが実社会で活動するためのインターフェースとなるのです。
さらに、自動運転などにおけるネットワークのハッキングは大きな問題です。ネットワークの問題、そしてリースや保険といった現実的な問題をクリアしてこそ、ロボットは社会に普及します。
今日という日は、多くのロボットが世に送り出され、大きな発展を遂げる、まさに時代の転換点となるでしょう。

【東京大学院教授 松尾 豊氏】(ビデオメッセージ)
今回新たにGMO AI&ロボティクス商事株式会社の顧問も担当することになりました。技術データとお金の流れをつなぐ”商社の機能”はとても重要ですが、日本では不足していると感じていました。この新会社がその部分を実現しようとしていることに非常に期待しています。生成AIの進展により、AIロボットの領域は急成長するでしょう。そして、実世界のインタラクションデータを共有するプラットフォームの意義も大きいです。この取り組みが日本や世界全体の発展に寄与することを期待しております。

【登壇ロボットの紹介】
記者会見の会場には、8体のロボットが集まり、それぞれをご紹介いたしました



都心上空に巨大「Oasis」ロゴ登場 来日公演前に再結成祝うドローンショー
モビショー10月31日一般公開 SkyDrive、KDDI、ミズノの履物ギア、『トロン:アレス』のバイクも
所信表明演説でドローン、AIに言及 「世界で最もAIを活用しやすい国に」
えりんぬが中学生にドローン授業 「かわいいっ」「おおっ」連発の盛況
VTOLレース「VTOL-1」 ハウステンボスで11月29日に開催へ
DJI、航空LiDAR「Zenmuse L3」発表 国内でも販売開始、セミナーや対応ソフト発表も
エアロネクスト,和歌山の市街地(DID)含むルートで補助者なし飛行
Dアカデミー、2度目の理事長賞 スクールフェスタで表彰と発表と報告
仙台市が11月5日、ドローン使い津波避難訓練 ブルーのBEP技術活用
DPCAが設立10周年記念シンポジウム開催へ 12月10日にロームシアター京都で
DJIが11月13日、151 gの新型手のひらサイズドローン「DJI Neo 2」を発表し、株式会社セキド、株式会社システムファイブなども同日、販売開始を発表した。軽量でジェスチャー操作や4K撮影ができ、全方向障害物検知の機能を備える。旅行やアウトドア、Vlogなどでの活用を想定している。セキド、システムファイブはそれぞれ公式サイトでレビュー動画なども公開している。
DJI Neo 2は、151 gと初代Neoの135gよりやや大きくなったものの、DJI製ドローンで最軽量・最小クラスで、バッグやリュックの隙間に収まりやすい携帯性が大きな特徴だ。手のひらに乗せられ、カメラを自分に向けたままテイクオフボタンを押すと離陸する。終了後には手を差し出すと手のひらに戻る。機体の真下にてのひらをさしだす必要はなく、離れた場所でてのひらを示せば戻ってくる。左右前後の移動、距離の調整は送信機を使わないジェスチャー操作もできる。
Neo2は音声操作ができるほか、スマートフォン、ゴーグル、モーションコントローラーにも対応し、FPVで飛行させることも可能だ。Neoからの性能の強化ポイントのひとつだ。
カメラとしては12 MPの1/2インチCMOSセンサーとf/2.2のレンズ、2軸ジンバルを搭載し、動画解像度は4K/60fps、4K/100fpsと、従来機Neoから大幅に向上した。4Kスローモーション動画や2.7K縦向き動画を撮影できる。被写体追従機能は追尾速度がNeoの8m/秒から最大12 m/秒に増強した。ランニング、サイクリングの動きを納めることが可能だ。
全方向障害物検知機能、前方LiDAR、下方赤外線センサー、および全面保護プロペラガードも採用し、初心者の安心に配慮した。
日本国内でもすでに各社が取り扱いをはじめている。セキド、システムファイブはそれぞれの公式サイトで複数のレビュー動画を公開している。






三井不動産株式会社(東京)とKDDIスマートドローン株式会社(東京)が11月13日、東京・日本橋の高層ビル「日本橋三井タワー」屋上にドローンの離着陸場となるドックを設置し、遠隔操作のドローンで周辺の情報収集に役立てられるかどうか検証する実験を公開した。ドローンには米Skydio社のAIドローン「Skydio X10」を使い、専用の格納庫「Dock for X10」に格納して屋上に設置した。ドローンは垂直離陸し上空約200mから橋や建物、道路の状況をリアルタイムでとらえた。今後、取り組みの有効性を検証する。
実験場となった日本橋三井タワーは東京・日本橋にある高さ約200m(公式サイトでは「最高高さ194.69m」)と、現時点では日本橋エリアで最も高い建物だ。屋上にSkydio X10を格納したDock for X10を設置し、通信環境を整えるため衛星通信「Starlink Business」を準備した。隣の日本橋室町三井タワー5階に運航管理責任者が待機した。
実験は大規模災害発生を想定して実施。遠隔操作で起動したX10はDockから離陸すると8m上昇し、搭載されたカメラで周辺の様子をとらえた。ドローンの飛行はタワー屋上での垂直離着陸に限られ、目的地に向かうなどはしなかった。ドローンでとらえた映像は、運航管理者が待機する隣のビルのモニターにリアルタイムで映し出された。離陸地点から地上距離にして1.3㎞離れたビルなどもズームで、人がいる様子まで確認できた。
両社は「都心エリアで高層ビル屋上に設置したAIドローンの遠隔飛行の実証実験は初の取り組み」と話している。
三井不動産日本橋街づくり推進部の吉田信貴氏は、同社と日本橋活性化の取り組みや、産業創造とモビリティの関係などを踏まえてこの実験の意義を説明。「日本橋にとってレジリエントな街づくりを推進するうえで防災機能を高めることは欠かせない。今回は防災機能向上の実証実験で、遠隔操作で周辺の被災状況が把握できるのではないかと仮説をたてた。有効な情報なら従業員、テナント、帰宅困難者に判断材料となりうるし、行政や消防機関との連携も検討する。直接の収益事業ではないがテナントの物件価値の向上につながる面はある」と述べた。
KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進1部の福井悠貴氏は、KDDIグループやKSDの強みを説明したうえで、「人流の多い東京駅前の八重洲交差点、増水などに注意を払いたい墨田川の湊橋(1928年竣工)、離陸地点から1.3㎞離れている浜町センタービルで見えるかどうかを検証ポイントにします」と述べた。
今回得られた成果は今後の検証に活用する。三井不動産の吉田氏は、「有効であれば他のエリア、他の物件への展開の推進も検討したい」と展望した。
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DJIは今年7月に発売したDJI Agricultureの農業用ドローン「DJI Agras T70P」と「DJI Agras T25P」を日本でも11月10日販売を始めた。DJI Agriculture認定代理店で購入できる。
| Agras T70Pは最大飛行速度が20m/s、積載能力は、散布時で最大70L、撒布時で最大100L、リフティング作業では最大65kgに対応する。より大きな流量と微かいミスト粒径の散布システムを備えた。また新しい安全性システム3.0を搭載し、ミリ波レーダーとTri-Visionシステムで高精度に障害物を検知し、ルート選択をよりスマートにし、障害物回避性能も向上させた。 |
| Agras T25Pで単独操作もコンパクトかつ柔軟に |
| Agras T25Pは、従来機のコンパクトで折りたたみ可能な設計を引き継ぎながら、20kg高精度スクリュー式散布システム4.0と安全性システム3.0を搭載している。散布作業時の最大積載量は20kg、流量は16L/分で、液滴サイズは50~500μmの範囲をカバーする。空中マッピングや作物保護の完全自動運用にも対応するほか、圃場や果樹園の測量をプログラムしたり、山間地の斜面で地形追従散布を行ったり、複数区画で連続的に散布・散剤処理をしたりすることができる。 |
いずれもDJI Agriculture認定代理店を通じて購入できる。Agras T70Pの公式サイトはこちら
Agras T25Pの公式サイトはこちら

インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開し、ドローン事業、AAM(いわゆる空飛ぶクルマ)に積極的に関わっているGMOインターネットグループ株式会社(東京、熊谷正寿グループ代表)は、2025年12月3~6日に、東京の大規模展示会場「東京ビッグサイト」で開催される「2025国際ロボット展」(主催:一般社団法人 日本ロボット工業会/日刊工業新聞社)に出展すると発表した。GMOの同展示会への出展は初めてだ。GMOは「すべての人にインターネット」を掲げ、インターネットに関わるインフラ、セキュリティ、フィンテック、メディアなどの事業を展開しつつ、AI、ドローン、エアモビリティ、ヒューマノイドでの取り組みも広げている。2026年を「ヒューマノイド元年」と位置付けるなど、今後も取り組みを拡大させる方針だ。
GMOは国際ロボット展に出展するブースで、グループ会社のGMO AI&ロボティクス商事株式会社(東京、内田朋宏代表取締役社長、GMO AIR)による人とロボットが共存する未来の体験を提供する方針だ。現時点では最新ヒューマノイドロボットの実機デモンストレーションのほか、AI・インターネットインフラ・セキュリティ技術を融合した新しいロボットソリューションや「ロボット人材派遣型サービス」の活用事例の紹介、労働力不足を解決する実証実験の成果展示などを行う予定だ。展示会の出展に関わる特設ページも開設した。
GMO AIRはすでに「ロボット人材派遣型サービス」を展開している。2025年4月に提供を始めたこのサービスでは、Unitree社「G1」を中心に、エンターテインメント領域、研究機関、実証実験現場に派遣している。用途や目的に応じて動作プログラムを実装し、多様なニーズに対応できる特徴を持つ。
日本のヒューマノイドロボット開発企業支援のため、GMOインターネットグループとして、ロボット開発企業向けにクラウドサーバー、セキュリティサービスなどを一定期間提供するなどのインフラ商材の提供支援や、開発支援基金の設立を通じた日本発のロボット技術開発の資金面での支援、GMOグループのAI・セキュリティ技術との連携による開発支援を進める方針で、同社は「日本をヒューマノイドロボット産業における先進国へと押し上げることを目指してまいります」とコメントしている。





GMOのAIやロボティクスへの取り組みは加速している。
今年(2025年)9月25日にはAIやロボティクスの第一人者が登壇する大規模シンポジウム「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」を開催した。熊谷正寿グループ代表は開会挨拶の中でAIとロボット、ヒューマノイドとの関係や、AI搭載のヒューマノイドの進化、その速度に対する恐怖感などに触れたうえ、1000人の来場者を前に「間違いなく来年は世界産業史上、『ヒューマノイド元年』と言われるようになると思います」と述べ、来場者に対しヒューマノイドへの関心と注意を喚起した。
同社は昨年(2024年)9月にGMO AIRを設立して、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動することを公表した。12月には、熊谷代表の思考やフィロソフィー、GMOインターネットグループのカルチャーを学習した社内向けバーチャル知的ナビゲーター「AI 熊谷正寿」を発表し、今年(2025年)9月24日には、そのAIをヒューマノイド「Unitree G1」に搭載した「ヒューマノイド 熊谷正寿」を発表した。「ヒューマノイド 熊谷正寿」は投げかけられた質問に対し熊谷代表の思考に基づいて回答できる。「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」でお披露目されたほか、終了後の報道陣の取材には、生身とヒューマノイドの“2人の熊谷正寿”がそろって記者団からの質問に答えてみせた。
大会議の冒頭のあいさつの中で、熊谷代表は「AIはパソコンやスマホの画面の中だけですが、ロボットに搭載されてフィジカルに世の中をかえていきます」とAIがロボットに搭載されることの意義を確認。「ヒューマノイド 熊谷正寿」についても「私は寝て食ってサボりますが、彼は電池を食わせれば24時間365日働けます。また私は年を取りますが彼は無限にコピーできます。無限の可能性を秘めているのがヒューマノイドだと感じています」と述べていた。
すでにドローンやAAM市場へのかかわりも強く持っている。ドローンについてはハッキングなどへの対策として、サイバーセキュリティ、情報セキュリティの点から関わっていて、ドローンの大規模展示会Japan Droneにスポンサーに名乗りを上げ、ブースも出展してきた。
AAMについては2023年1月23日に、熊谷代表が、アメリカの1人乗りAAMの開発を手掛けるLIFT社(LIFT Aircraft INC.)から操縦士証「BEGINNER PILOT CERTIFICATE」を日本人として初めて取得したと発表し、3月15日には丸紅株式会社(東京)が大阪城公園(大阪市)で行った実証実験で熊谷代表自身が、LIFT社の1人乗り乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)の操縦する様子を公開した。その後もGMOがスポンサーとしてかかわったJapan DroneのブースにHEXAを展示するなど、エアモビリティの社会受容性向上に貢献した。
GMOインターネットグループは「現在、ヒューマノイドロボットの技術革新は急速に進み、将来的には自動車産業を超える規模の産業革命をもたらす可能性があります。一方で、日本は中国・米国・欧州諸国に比べ、この分野での産業化分野において遅れをとっている状況にあります。他国では産官学が一体となってヒューマノイドロボット産業の育成に注力しており、日本においても同様の取り組みが急務となっております」と課題を指摘し、「GMOインターネットグループは、AI技術、堅牢なインターネットインフラ、高度なセキュリティ技術を融合し、ロボット社会実装の安全性と信頼性を支える基盤を提供することで、日本の社会課題解決に貢献してまいります。今回の出展は、日本のロボット産業の発展を後押しし、産官学連携による社会課題解決を推進するという、GMOインターネットグループの姿勢を示すものです」と出展の意義を伝えている。
参考「2025 国際ロボット展」(https://irex.nikkan.co.jp/)



一般社団法人DPCA(ドローン撮影クリエイターズ協会)は設立10周年を記念するシンポジウムを2025年12月10日、京都で開催する。国交省、JAXA、海事協会などが登壇する。参加は事前申し込みで無料になる。
シンポジウムのタイトルは「ドローンと共に紡ぐ、“災害対応の未来”と“産業の確立”に向けて〜人とドローンが共に生きる時代へ『守る・伝える・創る ドローンが拓くこれからの未来〜』。一般社団法人 地域再生・防災ドローン利活用推進協会 ( RUSEA )が共催、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)などが協賛し、京都市にある多目的ホール「ロームシアター京都サウスホール」で行われる。会場にはデモブースが設置され、ドローンやロボットが展示される。午前11時半に開場し、12時半からステージで講演、パネルディスカッションなどが行われる。
国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の江口真氏、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小林啓二氏、一般財団法人日本海事協会の平田純一氏が講演し、登壇者とドローン事業者によるパネルディスカッションやDPCAのこの10年の歩みと今後の展望についてのプレゼンテーションが行われる。
DPCAは「改めてドローンの価値と社会的役割を見つめ直し、未来への提言を行います。2026年以降に向けたドローンの制度改正や新たな防災活用の潮流、業界の方向性を、行政・研究機関・指定試験機関・産業界・教育界の視点から多角的に議論・共有するシンポジウムです」と話している。
DPCAの発表はこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000077546.html
参加申込はこちら:https://dpca10th-symposium.peatix.com/
協賛やデモブース出展の問い合わせはこちら:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc77ZWE8A9-bGT69UBGfiwRil35qi68BT-zsnmLJVOKUrLRSw/viewform



一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、2025年11月26、27日に大阪で「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」を開催する。ドローンとエアモビリティの産業応用、地域実証、自治体連携をテーマにした展示やセミナーを展開する。台湾の電子機器受託製造大手Wistron、米Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800」などを扱う株式会社栄光エンジニアリングが出展するほか、自治体、水中ドローンなどの展示も見込まれる。入場は無料で、会員登録と来場登録が求められる。
Japan Drone in 関西はJUIDAが主催し、株式会社コングレが共催する大規模展示会JapanDrone(本開催は例年、千葉・幕張メッセ)の関西版で、JR大阪駅の玄関口に広がるグランフロント大阪にあるナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターで行われる。地方イベントでありながら初出展の団体や初公開のプロダクトが登場することもあり、多くの関係者が出展の動向に関心を寄せている。大阪では二年連続でJapanDroneの地方開催が二度目を数える初のケースとなる。前回の2024年開催時には株式会社ORSO(東京)が新製品をお披露目し会場を活気づけた。
展示では測量、点検、防災、物流などのドローン関連のソリューション展示が中心になるとみられる。エアモビリティ(いわゆる空飛ぶクルマ)関連では、空港連携やモビリティハブ構想など、地域発の実証構想が出展されるとみられる。
出展企業のうち、株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)は、米Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800」「IF1200」を紹介することを公表している。同社はInspired Flight社の日本国内代理店だ。またExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」を展示する予定だ。
株式会社ユニック(東京都足立区)は陸上ドローンとしてオール電動ラジコン草刈り機 「ユニモワーズ モデルS」を出展する。最大45度の急傾斜で安定走行し、特許取得済みの刈刃機構で草丈1mを超える雑草を効率的に粉砕する。前後カメラの映像を確認しながら遠隔操作が可能だ。ほかにコンパクト電動ミニブルドーザー「ユニドーザー」も展示する見込みだ。
台湾の大手電子機器受託製造企業(EMS )Wistron(ウィストロン)も出展企業に名を連ねている。コンピューター、通信、家電などの電子製品を、研究開発から製造、販売まで手がける台湾のODM(Original Design Manufacturer)で、ドローンとの関連では、台湾のドローン開発企業である経緯航太科技(GEOSAT Aerospace & Technology Inc.)に出資している。展示内容は今後公表される見通しだ。GEOSATは外為法上の輸出管理コントロールリストに掲載されている企業であることも注目ポイントだ。
ほかにも、ドローンなどの受託造形サービスを手掛けるYokoito Additive Manufacturing(株式会社YOKOITO)イタリアの総合測量、TAKE OVER RILIEVI INTEGRATI S.R.L、水中ドローンの運用、普及促進で知られる株式会社ジュンテクノサービス(埼玉県)、トヨタ自動車株式会社が100%出資するソフトウェア開発やエンジニアリングの株式会社トヨタシステムズ(名古屋市)、水素燃料電池ドローン用の高圧ガスCFRP容器等を製造販売JFEコンテイナー株式会社(東京)などが話題を集めそうだ。
自治体の出展が目立つことも特徴だ。「主催者展示ゾーン」と名付けた展示エリアを設置しており、ここに愛知県、愛媛県、大分県、大阪府、香川県、東京都、長崎県、兵庫県、福島県、今治市(愛媛県)、加賀市(石川県)が取り組みなどを展示する。国土交通省、経済産業省も出展予定だ。なお福島県はこことは別のブースも出展する。
なお入場には会員登録をしたのち入場登録が求められる。必須項目に「回答しない」や「街頭するものがない」の選択肢が設けられていないものがある。登録者の入場は無料だ。


