ICTの利用促進を目指す「e-messe kanazawa 2021(=イーメッセ、第36回いしかわ情報システムフェア)が7月16日、石川県金沢市の石川県産業展示館で開幕し、ドローンに馴染み深い技術、研究成果の関の展示、デモンストレーション、セミナーなどが行われている。初日の16日には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)の南政樹プログラムディレクターら、ドローンの専門家3人が登壇するセミナーが開催された。南氏は「シン・ドローン前提社会」を提言した。このほかの2人もサービス精神旺盛で、1時間のセミナーに、3人あわせて合計120枚超のスライドを繰り出し、ときおり飛ばしながら、事例や経験も盛り込んだ内容が山盛りのトークを繰り広げた。
南氏らは16日、e-messe kanazawa 2021の開幕初日に、「北陸から世界へ、ドローン活用のこれから!」のセミナーで登壇した。南氏のほかに、地元、金沢に拠点を構える株式会社金沢エンジニアリングシステム(KES)開発部主幹技師で一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)ドローンWG主査も務める小林康博氏、同様に2020年に金沢で起業したショー仕立てのエンターテインメントサービスを提供する株式会社ドローンショー代表取締役社長の山本雄貴氏が席を並べた。司会のITライター、弓月ひろみ氏が「短いセミナーなのでぎゅっと濃縮した形になるかも」と前置きをすると、それに呼応するように3人は要素をつめこんだ早口トークを展開した。
この中で小林氏はサイバー空間とフィジカル空間の融合を目指すSociety 5.0(ソサイエティ5.0)の主要テーマのうち「移動」の実現を研究していると自己紹介。そのほかに地元でのコミュニティ活動を展開していることを周知した。JASAの活動の具体例としては長﨑・五島列島での取り組みを紹介した。山本氏は4年前に東京から出身地の金沢に移住し、「東京ではまねできない新しい産業を石川でたちあげたい」と起業の経緯を説明。複数の機体をひとつのプログラムで飛ばして空に文字や絵を描くショーを展開していて、「いろいろなところでショーを実施したい」と話した。
南氏は「出身が野々市市」と地元との結びつきを説明して話を切り出した。南氏は会場滞在中に地元関係者から声をかけられたり、電話やメールでの連絡が入ったりする場面があるなど、地元とのつながりも深い。
セミナーで南氏は、2021年4月から仕事の軸足をIPAに置いていると説明。「仕事のテーマはアーキテクチャ。ドローン産業全体の設計を目指しています」と切り出した。ドローン産業の振興を目指す人々が口にする「ドローン前提社会」も、南氏が「インターネット前提社会」をアレンジし、「いつでも、どこでも、だれでもドローンを利用できる社会」として提唱したことが起点になっている。DRONE FUNDの掲げる「ドローン・エアモビリティ前提社会」も、南氏の「ドローン前提社会」が起源だ。なお南氏はドローンについて「空に限らず自律移動ロボット全体と定義しています」と説明した。
南氏は自身の問題意識について「人・モノ・情報の移動を強化、拡張する考え方で新しい社会をデザインすることを考えています」と説明し、具体的な社会課題が人口減少、ニューノーマル、Society 5.0など広範囲に及ぶことを紹介。創設の準備が進むデジタル庁の方針である「だれもとり残さない」を目指していることを伝えた。
Society 5.0については、Society 4.0との違いを説明。「インターネットまでがSociety 4.0。それをフィジカルと融合させるのがSociety 5.0で、(境界部分を指さし)この部分を深堀したい」と述べた。
なお、ここまでは冒頭5分の「自己紹介」での話題。あらかじめ時間の制約を各自が認識していたため、かなりの早口で内容をつめた展開となり、司会の弓月氏が「ものすごい駆け足で自己紹介頂き、ありがとうございます」と会場を沸かせる一幕もあった。
このあと、ドローンの種類、ルール、利用などについてテーマごとに意見交換が進んだ。
小林氏は農林水産省、国土交通省など各府省でドローンが活躍している様子や、それぞれのドローンの定義、今後の展開などを解説。「ビジネスはここ(各府省の取り組み)に相乗りしてみるのも一手」と提案した。山本氏は「(ドローンが活用されている事業の)メインは空撮、点検などですが、災害でも活躍していることが話題になっています。われわれの取り組むエンタメはまだまだこれから。ドローンに対する偏見を取り除くためにも楽しく見て頂けるようにショーを展開したい」と抱負を述べた。
南氏はドローンを飛行させる環境について、屋内、屋外に分けて、それぞれの違いを説明した。異なる点として、風の影響、日光による撮影環境への影響、降雨・降雪、測位情報の取り方などを列挙し、「GNSSに頼れない屋内では、ステレオカメラの活用、360度カメラの活用などさまざまな方法があります。センサから取り込んだデータをコンピュータで処理するセンサーフュージョンで、高度な処理が可能になります」と説明。ドローンが生み出す音や、風についても「風切り音はしますし、小さなドローンでも風がきます」などと考慮すべき要素にあげた。
さらに南氏はドローンの使い方について、「産業としての使い方、移動体としての使い方、の二つがあると思います」と体系化。そのうえで屋外の使い方の事例として、足場を組まずに済ませる点検の実現に役立つことなどを紹介した。「高所作業員は安全確保のためにフルハーネス(墜落制止用器具)の着用義務がある。ドローンが使えれば作業員を重労働から解放できる可能性があります。プラント点検でもドローンは使えるが防爆の厳しい基準をクリアしなければいけない。クリアしさえすれば点検現場の安全確保に貢献できます」と可能性を指摘した。また屋内の利用では「倉庫内のピッキング、栽培用ハウスの中での農業利用。上下水道の管路内点検、住宅での室内でのAIスピーカー利用」などを紹介した。
またDRONE FUNDが作成したイラストを「これ、ぼくが一番好きな使い方なのですが」としながら、「お弁当を忘れた子供にお弁当を届けるドローン。よくみるとドローンがもってきたモニターに映し出されたお母さんに、お弁当を忘れた男の子が起こられています。こんなふうに日常生活に入り込めばいいな、と思っています」と述べた。
ドローンが登場するビジネスについて南氏は、機体、ソフトウェア、サービス、教育、メディアなどの企業が「ものすごく広い」と外観。そのうえでとくにハードウェア、ソフトウェア、サービスの事業を、垂直統合型サービスと、水平分業できるオープンソースのサービスとに分類した。独自のアーキテクチャで一世を風靡した電子機器が、その後、風当たりが強くなり販売されなくなった経緯などを例示し「ドローンにも似たことが起こるのではないかと考えています」と話した。
さらに米小売り大手ウォルマート、イスラエルのeコマースAHA、ルワンダやガーナで血液輸送などの事業を展開している米Ziplineなどの配送、輸送ビジネスを紹介し、「実はこれらは、日本よりもはるかに厳しい制約の中でビジネスが起こっていることをご理解頂きたいと思います」(南氏)などと説明し、会場の好奇心を喚起した。
このあとも北陸のドローン事情、マシンの事情、課題やその解決法などをテーマに多角的な意見が続出。
「サービス事業を展開するときにそれに適した機体の調達が超絶、難しい。なぜならカスタマイズできないから」(小林氏)
「組込みソフト産業は自動車産業に関わる人が多い。そのエンジニアが空に目を向けることができる」、「自動車産業ではサプライヤーが世界を牛耳っている実態がある。そこに注目をすべき」(同)
「日本が勝負できる分野には、内燃機関、カーボン素材、アクチュエイター、ESC、バッテリ、センサなどがある」(同)
「トラブルの事例に、白煙があがったとか、ネジが緩んで機体がゆれて墜落したなどがあります。もし日本のメーカーが本気でまじめに取り組めばこういった事態にはならないと思います。自動車が作れているのですから」(同)
「提供するサービスに適した機体は、オープンソースを使い自前で作っているのが現実」、「ショーをやるための許可で相談を持ち掛けたら、100台の飛行経路の提出を求められたことがあります」(山本氏)
「そもそも操縦士とは誰だ、といった議論があります。自動操縦の場合、そのボタンを押す人だ、という回答を頂いたことがあるのですが、目視外飛行の場合は、いろいろ準備をして、最後にスタートのボタンを押した人が操縦士?みたいな話をしたことがあります」(同)
南氏は、法制度について来年6月の制度改正について、機体認証「一種」「二種」、飛行国家資格「一等」「二等」などについて概観したうえで、「日本の法律はひとつの機体に少なくとも1人の操縦者がいることを前提にしています。1人が複数を自動操縦で飛ばすなどの状況には、おいついでいないので、議論はこの先も続くことになります」と説明した。そのうえで「想定しているのは安全かつ効率的な多頻度、高精度、多数の同時運用ができる社会。そうなったときに、勝ち筋が見えてくるのではないかと思っています」と展望した。
また、南氏はこれから考えるべきテーマについて言及。「たとえば、たくさんの宅配ドローンが飛んできたさいにはどうするのか。着陸地に降りる順番の決め方を考えておく必要が出てくると思います」と例示したうえで、「どんどん飛ばすだけでなく、人の移動を人に頼らずできるようになるために、住む場所に関わらずすべての人が等しくサービスを受けられるために、また、社会の安心・安全を維持し、人とドローンが一緒に働ける世の中であるために、ドローン単体ではなく、ドローンを使った社会全体についてどうあるべきか。これをシン・ドローン前提社会として考えていきたいと思っています」と結んだ。
e-messe kanazawa 2021の会場では、セミナーに登壇した山本氏が率いる株式会社ドローンショーが、非GNSS環境下の屋内で、手のひらサイズのドローン5機が音楽にあわせて動くショーを披露した。また数多くのブースが研究成果を披露していて、北陸先端科学技術大学院大学はプロペラの一部にシリコンを使うことで、回転中に障害物にあたった場合にプロペラ側が曲がることで対象を傷つけず、回転も続くプロペラの研究成果を紹介していた。NTTドコモ、北陸大学のものづくりラボ、北國銀行、VRショッピングモール、eスポーツなどで、関心を寄せる来場者が次々と来場していた。
e-messe kanazawa 2021は、ICT/IoT利活用促進、新ビジネス提案や北陸地域の情報化推進のために、一般社団法人石川県情報システム工業会が主催している、総務省北陸総合通信局、経済産業省中部経済産業局、石川県、石川県警察本部、金沢市、公益財団法人石川県産業創出支援機構、一般社団法人全国地域情報産業団体連合会、一般社団法人富山県情報産業協会、一般社団法人福井県情報システム工業会、NHK金沢放送局、北國新聞社、北陸放送が後援。17日まで開催している。
ドローン物流と既存物流を融合させた「新スマート物流」を提唱、展開している株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>、田路圭輔代表取締役)は10月8日、足利市<栃木県>、足利市内で燃料小売などのカーライフサポートを手がける両毛丸善株式会社 (河内覚代表取締役)と3者で、足利市内での新スマート物流の実施を見据えて「新スマート物流社会実験に関する覚書」を交わした。ドローン事業専門の部署を持つ両毛丸善がドローンの運航を担う。災害時にも通常時にも物流機能を担う運用を目指し、飛行ルートの検証などの可能性を探る。早ければ来年(2026年)1月にも運航に着手する。
3者による覚書の締結は足利市役所内で行われた。新スマート物流の可能性について研究するため相互に協力する。具体的には足利市内で新スマート物流の拠点整備や災害発生時にも緊急物資輸送に使えるルートを検証したり、中山間地などの物流困難地域への物資輸送をしたりすることなどを盛り込んでいる。
地元の企業、両毛丸善が新スマート物流の社会実験を推進し、足利市が地域コミュニケーションやフィールド調整など行政としてサポートする。これまで新スマート物流はNEXT DELIVERYが中心に運用してきたが、今回は地元企業が中心となる点が特徴で、地元企中心のフェーズフリー型新スマート物流のモデルケースを目指す。
NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は「両毛丸善さまという地元企業とパートナーを組むことができました。このように地元主導でしっかり新スマート物流を実装に向けて進めるのは、今回がはじめてのケースになると思います。ドローンの運航というのは機体の操縦だけではなくて、運航、システム、着陸地点の調整などすべきことがいろいろとあります。それをわれわれと同じクオリティで担える地元の事業者を探しておりましたが、両毛丸善さまはすごいチームもありビジョンも持っていて、展開できると確信しています。必ずや成功させたいと思っていますし、そのためにわれわれが持つ技術やノウハウを注ぎ込み、われわれのオペレーションを完全に移植して参ります」とあいさつした。
両毛丸善の河内覚代表取締役は「ドローンの利便性、将来性に着目し4年前にドローン事業の準備に入り、3年前に事業に着手しました。空撮、農薬散布に取り組みながら、究極の目的であった物流への参入が難しかったところで、今回、覚書を締結できることになり嬉しく思っております。ハードルは高いですが、災害時も平時も使えるようドローンを使った物流で地域貢献、地域課題解決にさらに力をいれて参ります」と応じた。
足利市の早川尚秀市長は、「NEXT DELIVERYさまとは2年前に実証実験を共同で行いました。今回は両毛丸善さまに入って頂いたことが大きいです。両毛丸善さまの大きな決断で覚書が買わせました。われわれも全力で支えます。まずは実験を積み重ね、近い将来ドローンも使った物流に向けた大きな一歩になると思っています。足利のような歴史ある町で、ドローンの先端の取り組みが行われ、地域課題の解決につなげることが大切だと思っています。まち全体が実験場というつもりで、市としても実装までしっかり役割を果たし、協力しながら成功に導いていきたいと考えています」と抱負を述べた。
締結式の会場には、足利市の実験に投入される機体「PF4」も持ちこまれた。PF4はNEXT DELIVERYがモンゴルで活用していて、日本国内の連携協定などの提携の会場で公開されたのはこの日が初めてだ。5㎏の荷物を往復40㎞の範囲を自動航行で飛行させることができる。NEXT DELIVERYの田路代表は「それまでのAirTruckという機体より詰める箱が大きくなり飛行速度も速くなりました」と説明した。さらに、「ドローン配送は、定期配送の可否が社会実装のカギだと思っています。たとえば毎日午後4時に必ず1便飛ぶ、と決めてそこに地域の荷物を持ちこんでもらって飛ばす。災害があったときに避難生活を送っている方に届けるようなものを普段からそのルートで運び続けるわけです。一日1便から2便、3便、4便と増え、その地域では両毛丸善さんのドローンが毎日飛ぶようになると、それまでとはまったく違う世界になると思っています」と展望した。
足利市は2021年の山林火災対応をきっかけに、災害時の空のトラブルを防ぐための
「緊急用務空域」の仕組みが創設されるきっかけとなった地域で、ドローンの運用にとって新たな枠組みが生まれた地域として知られている。
ドローン機体構造技術の株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、田路圭輔代表取締役社長・グループCEO)は、独自の特許取得済み重心制御技術「4D GRAVITY®」を搭載した物流専用ドローン「PD4B-M-AN」を、株式会社プロドローン(愛知県名古屋市、戸谷俊介代表取締役社長)と共同開発し、名古屋市で開催された第4回ドローンサミットで発表した。
物流専用ドローンPD4B-M-ANは4つのローターを持つマルチコプターで、バッテリーを含む機体重量は20㎏。最大3㎏までの荷物を運べる。4D GRAVITYの技術を取り入れた荷室を、機体の本体と分けたうえで結合していて、飛行中にドローンが進行方向に前傾しても荷室は前傾せず、荷物が傾かない構造になっていることが特徴だ。これにより飛行性能、機動性の向上も図れる。
エアロネクストとプロドローンは2024年2月に4D GRAVITYテクノロジーライセンス契約を締結していて、プロドローンの汎用機体「PD4B-M」に4DGRAVITYを取り入れた。
エアロネクストの子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)が受託した「あいちモビリティイノベーションプロジェクト空と道がつながる愛知モデル2030」の物流ドローン社会実装モデル推進事業として近く、現場で飛行する予定だ。
千葉・幕張メッセで開催中の農業技術関連展示会「農業WEEK」で、株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、朝霞市<埼玉県>)が発表した鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の展示に来場者が集まっている。ブースでは担当者からこれまでの実験の様子や今後の展開などに聞くこともでき、来場者から「発表されていない現場での実験の様子なども聞くことができ、期待が高まった」などの声が聞かれた。農業WEEKでは株式会社石川エナジーリサーチ(太田市<群馬県>)や中国・上海のポジショニング技術のCHC Navigation(CHCNAV)などそのほかのドローン関連技術や自動操舵技術も展示されている。開催は10月3日まで。
NTTイードローンの鳥獣害対策専用ドローン「BB102」は農業WEEKの「NTTグループ」ブースで出展されている。取り回しのよさなどで農業関係者から評価の高い散布ドローン「AC102」を見にきた来場者が、その隣に展示してある「BB102」を見つけ、足をとめて説明に聞き入り、ひとだかりができていた。
展示ブースではBB102が黒い布に赤色と緑色をランダムに照射する様子が実演されていて、担当者から緑の色が鳥獣の痛点を刺激することや、赤い色がエサのようにみえることなどが説明された。
イードローンが9月30日に発表したプレスリリースには、効果が確認された鳥獣として、カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなどが示されていたが、ほかにも効果的な鳥獣があるなどの話を聞くこともできる。担当者に聞くと、全国で被害が広がっているクマも、このレーザー照射にいやがる様子を見せたと話していて、今後の検証次第ではさらなる効果が期待できそうだ。その場合、クマの出没現場にどのようにドローンを飛ばすか、など具体的な対応法も論点になる可能性がある。
このほか、ある湖で実験したらはっきりと鳥獣がいやがる様子を見せたことなどの実験現場の話も聞くことができる。
農業WEEKではイードローンのほかにも、石川エナジーリサーチの農業用ドローン、CHCNAVのリモートセンシング技術、自動操舵技術などが展示されている。
農業WEEKはRX Japan株式会社が主催し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、日本農業法人協会農業が後援する、「国際スマート農業EXPO」「次世代農業経営EXPO」など5つの農業関連展示会をまとめたイベントの総称で東京会場(幕張メッセでの開催)は今回が15回目。主催者は「J-AGRI(ジェイアグリ)」の呼び方の定着を目指している。九州でも同じ趣旨の展示会を開催していて、第4回九州農業WEEKが2026年5月27日から29日まで益城町<熊本県>の展示会場、グランメッセ熊本で開催される予定だ。
参考:イードローンが鳥獣害対策機BB102発表
AI、ロボティクスの社会実装推進事業を手掛けるGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR、内田朋宏代表取締役社長)は9月30日、「ロボット人材派遣型サービス」に中国・深圳のロボットスタートアップEngine AI社製のヒューマノイドロボット「PM01」をラインナップに加え、2026年1月から派遣を始めると発表した。
「PM01」は世界で初めて前方宙返りを達成した高い身体機能で話題になったヒューマノイド。イベント、研究など幅広い分野での活用が期待できる。GMO AIRは「ロボット人材派遣型サービス」として技術指導、ソフトウェア開発サポートも支援する。「PM01」を開発したEngine AIは、自動車と空クルを融合させた「Land Aircraft Carrier」を開発したシャオペンエアロ(XPENG AEROHT)のシャオペン系のテクノロジー企業グループの一員で、高い技術力で知られる。
GMO AIRは「PM01」について、ダイナミックな身体能力、柔軟なカスタマイズ性、アイアンマンに着想を得た洗練されたデザインの3点を主な特徴にあげ、「イベントや展示会で圧倒的な演出力を実現する」と説明している。
GMO AIRは、2025年4月から「ロボット人材派遣型サービス」を展開。4足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットの中国・Unitree社(宇樹科技)のヒューマノイド「G1」を中心にエンターテインメント、研究機関、実証実験などの現場に派遣している。2026年2月にはAIとヒューマノイドロボットを手がける中国・UBTECH Robotics社(優必選科技)の「Walker E」の派遣も予定している。「PM01」が追加することでラインナップが充実する。
■サービスURL:https://ai-robotics.gmo/lp/robot-haken/
■GMO AIRについて:https://ai-robotics.gmo/
■GMOインターネットグループ株式会社について:https://group.gmo/
株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、埼玉県朝霞市)は9月30日、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」を発表した。搭載したレーザーで赤色と緑色をランダムに照射して鳥獣に強い違和感を与え退避行動を促す。カラス、ハト、イノシシ、ハクビシンなど幅広い鳥獣への効果が確認されたという。イードローンは「BB102」を2025年10月1日に提供を始める。10月1日に千葉・幕張メッセで開幕する展示会「農業WEEK」では、NTTグループブースで公開する。価格は「オープン価格」としている。
鳥獣害対策専用ドローン「BB102」はレーザーを搭載していることが特徴で、一般社団法人地域総研(東京)が2018年1月に実用新案登録証と商標登録証を取得した「クルナレーザー」をドローンに活用した。ドローンは自動航行機能も備える。レーザーを搭載した鳥獣害対策専用ドローンは例がないとみられる。
仕組みは赤色と緑色のレーザーをランダムに照射するもので、これが鳥獣に強い違和感を与え退避を促すという。鳥獣が慣れてしまうことへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果を持続させる工夫もこらした。
農林水産省によるとイノシシ、シカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模にのぼるうえ、鳥インフルエンザ、豚熱など畜産業での防疫対策も深刻で、「BB102」で農作物被害抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減との両立を目指す。カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなど多くの鳥獣への効果が確認されていて、実験では水田、果樹園、山林、湖などさまざまな環境での有効性を示した。
イードローンによる発表は以下の通り。
株式会社NTT e-Drone Technologyは、全国的に深刻化する鳥獣害問題に対応するため開発・製造した、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の提供を2025年10月1日(水)より開始いたします。レーザー搭載の鳥獣害対策ドローン(国内初)による高い忌避効果と自動航行機能により、農作物被害の抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減を両立します。
1.背景と目的
イノシシやシカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模(※1)にのぼり、深刻な社会課題となっています。さらに、鳥インフルエンザや豚熱など畜産業における防疫対策も喫緊の課題です。
当社はこれまで農業用ドローン等の提供を通じて農業分野における省力化・効率化を支援してきましたが、今回新たに提供する「BB102」はこれまでの技術を応用し、鳥獣害対策に特化して開発した国産ドローンです。農作物の被害減少に加え、鳥獣害対策に要する人的・時間的負担の軽減を図ることで、第一次産業全体の持続可能性向上に寄与します。
※1:数値データは、農林水産省HPより出典
2.製品概要と特長
「BB102」は、上空から広範囲にレーザー照射を行えるため、地上設置型では難しかった屋上や高所を含む鳥害対策を実現します。
<特長1>「クルナレーザー(※2)」による忌避効果
赤色と緑色のレーザーをランダムに照射し、鳥獣へ強い違和感を与え退避を促進させます。また、慣れへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果の持続性を高めています。
※2:一般社団法人地域総研の登録商標
<特長2>自動航行機能
送信機の画面で飛行範囲を設定するだけで自動航行が可能です。養鶏場や牛舎など、広範囲のエリアを効率的に対策できます。
<特長3>FPVカメラ搭載
送信機の画面上で屋根や高所の確認が可能です。鳥獣害対策に加え、点検用途にも活用できます(目視外飛行不可)
<特長4>幅広い鳥獣への効果
カラス、ハトなどの鳥類、イノシシやシカ、さらにカワウ・サギ・ハクビシンなど、多様な鳥獣に対する忌避効果が確認されています。水田、果樹園、山林、湖など様々な環境での実証実験でも高い有効性を示しました。
4.受付開始日
2025年10月1日より開始
※デモ会、説明会、意見交換会等のご要望にも対応します。
5.価格
オープン価格
<参考>展示情報
第15回農業WEEK(会期:10月1~3日、会場:幕張メッセ)NTTグループブースにて「BB102」を展示します。
ドローンの普及促進を目指す第4回ドローンサミットが9月24日、名古屋市の大規模展示会場、ポートメッセ名古屋第1展示館C・Dホール(名古屋市港区)で開幕した。ドローンサミットの開催は、神戸、長崎、福岡につぐ4回目。開会式で愛知県の大村秀章知事は「過去最大の135の企業、団体が出展することになった」と述べた。NTT e-Drone Technologyは仏パロットのANAFI UKRを初公開し、株式会社Tech Drone(東京)はこの日公開したばかりの空撮を支援するアプリを説明するなど、各社、団体が工夫をこらした技術を披露している。サミットは25日まで。
第4回ドローンサミットは、愛知県、経済産業省、国土交通省が主催し、9月24日、25日の9:45~17:00にポートメッセなごや第1展示館C・Dホール(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地)で開催される。フランスのadvanced business events(BCIエアロスペース)が主催する航空宇宙分野のビジネスマッチングの商談イベント「エアロマート名古屋2025」と同時開催で、エアロマートは同じポートメッセなごや第1展示館のA・Bホールで9月24日から26日まで開催される。
初日の開会式では愛知県の大村知事のほか、竹内真二経済産業大臣政務官、吉井章国土交通大臣政務官が主催者を代表してあいさつしたほか、自民党の田中和則無人航空機普及・利用促進議員連盟(ドローン議連)会長・元復興相、鶴保庸介ドローン議連幹事長が来賓としてあいさつした。愛知県の大村知事は「ドローンや空飛ぶクルマの実現のはずみとなることを期待しています」などとあいさつした。
展示会場では三菱重工業が、200㎏の重量の荷物を運べる大型ハイブリッドドローンがひときわ目立っている。25日には同型のハイブリッドではないドローンで150㎏の荷物を吊り下げて飛行する模擬飛行に挑む。
このほか有限会社森山環境科学研究所は、空中のウイルスを補修するためのドローンや、人が立ち入れない汚染空間にもぐりこむウイルス補修クローラーを展示。水中ドローンの普及に尽力している株好き会社スペースワンは、管路点検クローラーロボット「PIPETREKKER」や、水中ドローン「CHASING」「DeepTrekker」シリーズを展示している。
シンポジウム会場では、対談、パネルディスカッションなどに第一線で活躍中のキーマンが登壇している。シンポジウム会場では登壇者の発言中に、すぐ隣に配置された屋内デモフライトゾーンでの飛行音が響くこともあった。
サミットは25日まで。入場は無料で、原則、事前登録が必要だ。