ICTの利用促進を目指す「e-messe kanazawa 2021(=イーメッセ、第36回いしかわ情報システムフェア)が7月16日、石川県金沢市の石川県産業展示館で開幕し、ドローンに馴染み深い技術、研究成果の関の展示、デモンストレーション、セミナーなどが行われている。初日の16日には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)の南政樹プログラムディレクターら、ドローンの専門家3人が登壇するセミナーが開催された。南氏は「シン・ドローン前提社会」を提言した。このほかの2人もサービス精神旺盛で、1時間のセミナーに、3人あわせて合計120枚超のスライドを繰り出し、ときおり飛ばしながら、事例や経験も盛り込んだ内容が山盛りのトークを繰り広げた。

南氏らは16日、e-messe kanazawa 2021の開幕初日に、「北陸から世界へ、ドローン活用のこれから!」のセミナーで登壇した。南氏のほかに、地元、金沢に拠点を構える株式会社金沢エンジニアリングシステム(KES)開発部主幹技師で一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)ドローンWG主査も務める小林康博氏、同様に2020年に金沢で起業したショー仕立てのエンターテインメントサービスを提供する株式会社ドローンショー代表取締役社長の山本雄貴氏が席を並べた。司会のITライター、弓月ひろみ氏が「短いセミナーなのでぎゅっと濃縮した形になるかも」と前置きをすると、それに呼応するように3人は要素をつめこんだ早口トークを展開した。
この中で小林氏はサイバー空間とフィジカル空間の融合を目指すSociety 5.0(ソサイエティ5.0)の主要テーマのうち「移動」の実現を研究していると自己紹介。そのほかに地元でのコミュニティ活動を展開していることを周知した。JASAの活動の具体例としては長﨑・五島列島での取り組みを紹介した。山本氏は4年前に東京から出身地の金沢に移住し、「東京ではまねできない新しい産業を石川でたちあげたい」と起業の経緯を説明。複数の機体をひとつのプログラムで飛ばして空に文字や絵を描くショーを展開していて、「いろいろなところでショーを実施したい」と話した。
南氏は「出身が野々市市」と地元との結びつきを説明して話を切り出した。南氏は会場滞在中に地元関係者から声をかけられたり、電話やメールでの連絡が入ったりする場面があるなど、地元とのつながりも深い。
セミナーで南氏は、2021年4月から仕事の軸足をIPAに置いていると説明。「仕事のテーマはアーキテクチャ。ドローン産業全体の設計を目指しています」と切り出した。ドローン産業の振興を目指す人々が口にする「ドローン前提社会」も、南氏が「インターネット前提社会」をアレンジし、「いつでも、どこでも、だれでもドローンを利用できる社会」として提唱したことが起点になっている。DRONE FUNDの掲げる「ドローン・エアモビリティ前提社会」も、南氏の「ドローン前提社会」が起源だ。なお南氏はドローンについて「空に限らず自律移動ロボット全体と定義しています」と説明した。
南氏は自身の問題意識について「人・モノ・情報の移動を強化、拡張する考え方で新しい社会をデザインすることを考えています」と説明し、具体的な社会課題が人口減少、ニューノーマル、Society 5.0など広範囲に及ぶことを紹介。創設の準備が進むデジタル庁の方針である「だれもとり残さない」を目指していることを伝えた。
Society 5.0については、Society 4.0との違いを説明。「インターネットまでがSociety 4.0。それをフィジカルと融合させるのがSociety 5.0で、(境界部分を指さし)この部分を深堀したい」と述べた。
なお、ここまでは冒頭5分の「自己紹介」での話題。あらかじめ時間の制約を各自が認識していたため、かなりの早口で内容をつめた展開となり、司会の弓月氏が「ものすごい駆け足で自己紹介頂き、ありがとうございます」と会場を沸かせる一幕もあった。

このあと、ドローンの種類、ルール、利用などについてテーマごとに意見交換が進んだ。
小林氏は農林水産省、国土交通省など各府省でドローンが活躍している様子や、それぞれのドローンの定義、今後の展開などを解説。「ビジネスはここ(各府省の取り組み)に相乗りしてみるのも一手」と提案した。山本氏は「(ドローンが活用されている事業の)メインは空撮、点検などですが、災害でも活躍していることが話題になっています。われわれの取り組むエンタメはまだまだこれから。ドローンに対する偏見を取り除くためにも楽しく見て頂けるようにショーを展開したい」と抱負を述べた。
南氏はドローンを飛行させる環境について、屋内、屋外に分けて、それぞれの違いを説明した。異なる点として、風の影響、日光による撮影環境への影響、降雨・降雪、測位情報の取り方などを列挙し、「GNSSに頼れない屋内では、ステレオカメラの活用、360度カメラの活用などさまざまな方法があります。センサから取り込んだデータをコンピュータで処理するセンサーフュージョンで、高度な処理が可能になります」と説明。ドローンが生み出す音や、風についても「風切り音はしますし、小さなドローンでも風がきます」などと考慮すべき要素にあげた。
さらに南氏はドローンの使い方について、「産業としての使い方、移動体としての使い方、の二つがあると思います」と体系化。そのうえで屋外の使い方の事例として、足場を組まずに済ませる点検の実現に役立つことなどを紹介した。「高所作業員は安全確保のためにフルハーネス(墜落制止用器具)の着用義務がある。ドローンが使えれば作業員を重労働から解放できる可能性があります。プラント点検でもドローンは使えるが防爆の厳しい基準をクリアしなければいけない。クリアしさえすれば点検現場の安全確保に貢献できます」と可能性を指摘した。また屋内の利用では「倉庫内のピッキング、栽培用ハウスの中での農業利用。上下水道の管路内点検、住宅での室内でのAIスピーカー利用」などを紹介した。
またDRONE FUNDが作成したイラストを「これ、ぼくが一番好きな使い方なのですが」としながら、「お弁当を忘れた子供にお弁当を届けるドローン。よくみるとドローンがもってきたモニターに映し出されたお母さんに、お弁当を忘れた男の子が起こられています。こんなふうに日常生活に入り込めばいいな、と思っています」と述べた。

ドローンが登場するビジネスについて南氏は、機体、ソフトウェア、サービス、教育、メディアなどの企業が「ものすごく広い」と外観。そのうえでとくにハードウェア、ソフトウェア、サービスの事業を、垂直統合型サービスと、水平分業できるオープンソースのサービスとに分類した。独自のアーキテクチャで一世を風靡した電子機器が、その後、風当たりが強くなり販売されなくなった経緯などを例示し「ドローンにも似たことが起こるのではないかと考えています」と話した。
さらに米小売り大手ウォルマート、イスラエルのeコマースAHA、ルワンダやガーナで血液輸送などの事業を展開している米Ziplineなどの配送、輸送ビジネスを紹介し、「実はこれらは、日本よりもはるかに厳しい制約の中でビジネスが起こっていることをご理解頂きたいと思います」(南氏)などと説明し、会場の好奇心を喚起した。
このあとも北陸のドローン事情、マシンの事情、課題やその解決法などをテーマに多角的な意見が続出。
「サービス事業を展開するときにそれに適した機体の調達が超絶、難しい。なぜならカスタマイズできないから」(小林氏)
「組込みソフト産業は自動車産業に関わる人が多い。そのエンジニアが空に目を向けることができる」、「自動車産業ではサプライヤーが世界を牛耳っている実態がある。そこに注目をすべき」(同)
「日本が勝負できる分野には、内燃機関、カーボン素材、アクチュエイター、ESC、バッテリ、センサなどがある」(同)
「トラブルの事例に、白煙があがったとか、ネジが緩んで機体がゆれて墜落したなどがあります。もし日本のメーカーが本気でまじめに取り組めばこういった事態にはならないと思います。自動車が作れているのですから」(同)
「提供するサービスに適した機体は、オープンソースを使い自前で作っているのが現実」、「ショーをやるための許可で相談を持ち掛けたら、100台の飛行経路の提出を求められたことがあります」(山本氏)
「そもそも操縦士とは誰だ、といった議論があります。自動操縦の場合、そのボタンを押す人だ、という回答を頂いたことがあるのですが、目視外飛行の場合は、いろいろ準備をして、最後にスタートのボタンを押した人が操縦士?みたいな話をしたことがあります」(同)
南氏は、法制度について来年6月の制度改正について、機体認証「一種」「二種」、飛行国家資格「一等」「二等」などについて概観したうえで、「日本の法律はひとつの機体に少なくとも1人の操縦者がいることを前提にしています。1人が複数を自動操縦で飛ばすなどの状況には、おいついでいないので、議論はこの先も続くことになります」と説明した。そのうえで「想定しているのは安全かつ効率的な多頻度、高精度、多数の同時運用ができる社会。そうなったときに、勝ち筋が見えてくるのではないかと思っています」と展望した。
また、南氏はこれから考えるべきテーマについて言及。「たとえば、たくさんの宅配ドローンが飛んできたさいにはどうするのか。着陸地に降りる順番の決め方を考えておく必要が出てくると思います」と例示したうえで、「どんどん飛ばすだけでなく、人の移動を人に頼らずできるようになるために、住む場所に関わらずすべての人が等しくサービスを受けられるために、また、社会の安心・安全を維持し、人とドローンが一緒に働ける世の中であるために、ドローン単体ではなく、ドローンを使った社会全体についてどうあるべきか。これをシン・ドローン前提社会として考えていきたいと思っています」と結んだ。


e-messe kanazawa 2021の会場では、セミナーに登壇した山本氏が率いる株式会社ドローンショーが、非GNSS環境下の屋内で、手のひらサイズのドローン5機が音楽にあわせて動くショーを披露した。また数多くのブースが研究成果を披露していて、北陸先端科学技術大学院大学はプロペラの一部にシリコンを使うことで、回転中に障害物にあたった場合にプロペラ側が曲がることで対象を傷つけず、回転も続くプロペラの研究成果を紹介していた。NTTドコモ、北陸大学のものづくりラボ、北國銀行、VRショッピングモール、eスポーツなどで、関心を寄せる来場者が次々と来場していた。
e-messe kanazawa 2021は、ICT/IoT利活用促進、新ビジネス提案や北陸地域の情報化推進のために、一般社団法人石川県情報システム工業会が主催している、総務省北陸総合通信局、経済産業省中部経済産業局、石川県、石川県警察本部、金沢市、公益財団法人石川県産業創出支援機構、一般社団法人全国地域情報産業団体連合会、一般社団法人富山県情報産業協会、一般社団法人福井県情報システム工業会、NHK金沢放送局、北國新聞社、北陸放送が後援。17日まで開催している。











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【JapanDrone関西】台湾ウィストロンとGEOSATが初出展 ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」は11月27日閉幕し、二日間の合計で3006人が会場を訪れた。事前に公開していた来場者目標の3200人には届かなかったが、期間中は来場者、出展者の笑顔がはじけた。機体メーカーなど主要プレイヤーの出展の上積みなどが、来場者拡大のカギとなりそうだ。
Japan Drone関西は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の主催、株式会社コングレの共催で11月26、27日の2日間、JR大阪駅直結の「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に開催され、26日に1604人、27日に1402人が足を運んだ。講演、パネルディスカッションなどのステージには2日間で1131人が参加した。来場者の中には出展者ではないドローン事業の経営者、関係者も見られ、会場内で知人を見つけてはあいさつをかわす光景や談笑する様子が多くみられた。
関係者や愛好家の間で話題になったのは初出展、初公開プロダクトだ。360度カメラの開発で知られる中国のテクノロジー企業Insta360がパートナー企業と設立したドローンブランド「Antigravity」が、日本の展示会に初出展し、機体やコントローラー、ゴーグルを紹介した。日本での発売計画は未確定だが、来場者の多くが足を止め、製品の仕様や今後の計画を担当者にたずねていた。
台湾の電気機器メーカーWistronも、系列のドローンメーカーGEOSATとブースを共同出展し、GEOSATの機体3種が初公開された。イタリアのモニタリングソリューションを展開するTAKE OVERも老朽インフラの課題と向き合う日本市場の調査をかねて初出展し、来場者と意見交換をしていた。米Skydioが9月に発表したふたつの新型ドローンについて、日本市場向けの公式アナウンスが出ていない中、JapanDrone関西に出展したジャパン・インフラ・ウェイマークは、二機種のうちの屋内向けドローン「R10」について独自のポスターを張り出したほか、チラシも用意し来場者に配布するなど関心を集めた。
会場では多くのブースで来場者と出展者が意見交換をしたり、説明を求めたりしている様子がみられ、あちこちで笑顔がはじけていた。ジュンテクノサービスやMizubiyoriは会場内に設置されたプールで水中ドローンを実演し、来場者に囲まれていた。
自治体の取り組みなどを紹介するパネルも多く設置され、じっくりと観察する来場者がいた一方、説明員のいるところは限られ、見学者が途切れる時間帯もあった。自治体の取り組みについては、「主催者テーマ展示ゾーン」と「ドローン×地方創生:自治自治体PRゾーン」とに分かれて展示されていて、来場者の利便性に合致していたかどうかの検討が加えられる可能性がある。
Japan Drone関西はJUIDAが10年前から毎年、千葉・幕張メッセで開催しているドローンの大規模展示会「Japan Drone」の地方開催版で、大阪で開催するのは2度目。一度開催した地域で二度目を開催したのは今回が初めてだ。JUIDAの鈴木真二理事長は初日の講演の中で、「アンケートで大阪での開催を求める声が大きかったことが今回の開催につながりました」と話している。今後も来場者の声が開催方針に反映されることになりそうだ。








11月26日に開幕した「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」では初公開、初出展を含め、多くの取り組みが披露されている。イタリアの保守、モニタリングソリューションを提供するTake Over社はFranz Lami CEO自身が来日して初出展。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は、日本市場向けには公式発表がない米Skydioの屋内用ドローン「Skydio R10」について独自のポスターを作成し公開している。セントラル警備保障は不審ドローン対策ソリューションを提案している。
イタリアのTake Over社は日本の老朽インフラが抱える課題に対しイタリア仕込みのソリューションを提案している。同社はイタリア国内で橋梁、鉄道、高速道路、ダムなどの保守点検などで実績を積んでいる。イタリアは歴史的な建造物から近代的な道路まで公共構造物の時代背景が幅広く、その知見が老朽インフラを多く抱える日本での需要を見込む。
来日し会場のブースにも立ったFranz Lami CEOによると、イタリアのインフラは近代のコンクリートと中世からの石でできたものなどとがある。課題の緊急性が高いのは重量のあるトラックなどを支える道路などコンクリート製のインフラで、内部の亀裂などをいち早く察知し対処する必要がある。同社はその点検やモニタリングなどで実績を積んできた。
データ取得のためDJIを中心としたドローン、3Dレーザースキャナ、モバイルマッピングシステムなどを機材として使っている。JapanDroneのブースではFranz Lami CEO自身が来場者に実績、技術などをアピールし、情報収集、市場調査を進める。来場者には。同社のロゴの入ったキャップを渡している。最近東京に開設したオフィスの人員の増強にもつとめていて、リクルートにも積極的だ。
JIW、日本向けアナウンスがされていないSkydio「R10」のポスター独自作成
ジャパン・インフラ・ウェイマークは米SkydioのAIドローン「Skydio X10」や、専用の格納庫「Dock for X10」など点検ソリューションを展示しているが、ブースにはもうひとつ、日本市場向けには正式なアナウンスがない機体のポスターがある。屋内向けドローン「Skydio R10」だ。
9月17日と18日に米国で開催されたSkydioの毎年恒例の発表会「Skydio Ascend 2025」では、「Skydio R10」が屋内向けドローンとして発表された。もうひとつ。長距離飛行に対応した固定翼ドローンのプロトタイプ「Skydio F10」も発表されているが、いずれも日本市場向けには公式の見解はない。
屋内の点検ソリューションを展開するJIWはR10について独自にチラシを作成し、ブースではポスターとして来場者に見せている。それによると、R10は785gでX10の2140gから大幅な軽量化が図られる。暗所飛行用の補助ライトを備え、自律飛行し、ライブ映像を配信し、点検を支援するという。市場導入の時期は公式発表を待つ必要があるが、関係者や愛好家の間で関心を喚起しそうだ。
セントラル警備保障が不審ドローン対策展示
セントラル警備保障株式会社(東京)は、不審ドローン対応のためのソリューションなどを展示している。会場にはカウンタードローンシステムのほかいくつもの緊急対応機能を備えた移動指揮所車両「CSP Drone Base Car」を車両ごと持ちこみ、中に搭載している映像監視システムや、電源機能、車内で指揮がとれる機能などを公開している。屋根にはドローンポートを備え、ここから離陸させることもできる。
また、不審ドローンを検知するためのソリューション「DS_005D」も展示してある。ブースではその機能や上位モデルの説明を求めて来場者が足を止めていた。
レッドクリフ、ジュンテクノ、ROBOZが存在感
このほか、開場では大阪・関西万博の協会企画催事プラチナパートナーとして連日ドローンショーを繰り広げた株式会社レッドクリフ(東京)が前面を赤、黒でペイントしたブースで来場者にドローンショーの特徴や効果を説明していた。また屋内ドローンショーを手がける株式会社ROBOZ(名古屋市)は、ドローンショーに使う機体の特徴や通信、飛行の安定性などについて石田宏樹代表取締役が率先して説明していた。会場の隣室でデモンストレーションも行い、手軽に運用できることを実践した。
ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)も水中ドローンを中心に展示。ダム堤体、取水口、吐口撮影からポンプ場撮影、流域下水道点検など多くの現場での点検実績などのノウハウをブースで展示しているほか、会場内のプールでデモンストレーションも実施し、来場者がその様子をみるために取り囲む様子もみられた。











アメリカのドローンメーカー、Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800 TOMCAT」「IF1200」が、「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」で公開されている。展示したのは株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)だ。リスクを回避するオペレーターへの提案として出展した。いずれのモデルも日本のドローンの展示会での出展は初めてだ。
栄光エンジニアリングが展示しているのはアメリカInspired Flight Technologies社のクワッドコプター「IF800 TOMCAT」とヘキサコプター「IF1200」だ。
IF800 TOMCATはバッテリーなし重量が4.2㎏、バッテリー搭載時で8.5㎏で、最大54分飛行する。インフラ点検、LiDAR調査などの用途を想定している。また「IF1200」は最大43分飛行、最大積載量8.6㎏だ。栄光エンジニアリングの大島健一社長は、取引先からよりリスクの低い機体を求める声を聞き、Inspired Flight社にゆきあたった。「IF800 TOMCAT」「IF1200」とも米国防省のサイバーセキュリティやサプライチェーンの健全性基準を見た居た場合に認定を与えるプログラム「Blue UAS」に認定されている。栄光は現在、Inspired Flight社の日本国内代理店だ。
ブースでは大島社長らが機体の特徴などを来場者に説明していた。ブースではそのほかExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」も展示している。




台湾の電子機器大手ウィストロン(Wistron)は、同社系のドローンメーカー、GEOSAT Aerospace & Technology Inc.(経緯航太科技)と共同でブースを構えた。GEOSATのドローンが日本の展示会で一般公開されるのは初めてだ。
初公開されたGEOSATのドローンは3機で、日本での展開は今回の反応をふまえるなどして今後検討するという。3機はいずれもスタイリッシュで、「スタイルは重視して作った」という。
ブースにはウィストロンでドローン部門を統括するAnn Liu氏も訪れ、来場者の反応などを確認していた。
展示会で製品を見る機会はそう多くなく、ブースを訪れた来場者の中にはこのブースに立ち寄ることを来場理由にあげる人もいた。
ブースの壁面にかけられていた薄型ディスプレイはウィストロンの製品で、その薄さに来場者が指をさしている様子もみられた。ディスプレイは投影する映像の切り替えや明るさの調整は遠隔で可能だという。




中国Insta360系のANTIGRAVITYが「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」に出展している。同社は8月に8Kで360度の映像が撮影できるドローン「Antigravity A1」の発表をし、話題を集めた。日本の展示会に出展するのは今回が初めてで、ブースのAntigravity A1にも多くの来場者が見入っている。
Antigravity 社は日本の展示会の出展は今回が初めてだ。出入口に近い場所に構えたブースにはひっきりなしに来場者が訪れた。8K360度全景ドローン「Antigravity A1」が今年8月に初の製品として発表され、ドローン愛好家や関係者に間で一気に話題が広がった。
全方位を捉える「デュアルレンズ設計」でドローン周囲のすべてを360度で記録し、ライブ映像や最終映像からはドローン本体を消すことができる。操作はレバー状のコントローラーで直感的な操作が特徴だ。
ブースでは機体重量がバッテリー含めて249gであることや、2026年1月に世界同時発売を目指していることなどが説明されていた。ただし日本での発売は、諸手続きの進み具合にもよるため未定で、今後正式に公表される見込みだ。
操作はゴーグルを装着して行うため、いわゆる目視外飛行の扱いとなる。価格は今後決まるが、現時点では標準型のセットで30万円台、最も基本的なセットで20万円台を想定しているという。
JapanDrone関西ではデモフライトを実施。開催2日目も行う予定だ。
