第二回京阪奈ドローンフォーラム(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会)として3月12日に開催する超体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」では、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)が、会場の咲洲モリーナから、東京オフィスに待機させている米Skydio(スカイディオ社)の 機体を動かす様子を披露する計画だ。約500㎞の遠隔操作は、防災、警備、点検、エンターテインメント、観光など幅広い事業にヒントを与えそうだ。
JIWは鉄塔、橋梁などの点検業務をロボットやドローンなどのテクノロジーで支援する企業で、数多くの実績を重ねている。米AIドローンメーカー、Skydio(スカイディオ)社の機体をいち早く日本に導入したことでも知られる。今回の第二回京阪奈ドローンフォーラムでは、Skydioの機体と、機体の離発着場にもなる多機能格納庫、SkydioDockを東京オフィスに待機させ、会場の咲洲モリーナから操作をする。約500㎞離れた遠隔操作が見ものとなる。
点検や被災地支援、警備などドローンの活躍が期待される現場では、作業員を現場に待機させる必要性の有無が重要な検討項目のひとつになっている。Skydioのトム・モス氏は2020年のDroneTribuneのインタビューに「いつでも点検に、パトロールに、災害調査に出動できるようになったらいいと思っています」と話している。JIWによるパフォ-マンスは、Skydio機の特徴である高度な障害物検知能力とそれをフル活用した被写体への接近などを堪能しつつ、長距離遠隔操作の可能性を実感し、事業や取り組みの可能性を広げる機会となりそうだ。
京阪奈エリアでのドローン産業振興を推進する有志グループ、京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会(実行委員長、増尾朗社長)は3月12日、大阪市内の木造モジュール施設、咲洲(さきしま)モリーナで、ドローンを体感するイベント「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」を開催すると発表した。もともとドローンレース向けのFPVドローンによる臨場感満点の館内ドローンツアーが体験できるほか、能登半島地震の災害支援で活躍した狭小空間用点検ドローン2の飛びざまを目の前で見られるなど、ドローンの活躍する世界を体感できる。防災、産業振興、観光、エンターテインメントなどの事業創出、拡張などへの刺激を目指す。入場無料。
SUPER D★EXPERIENCEは、従来のドローンの体験会を超えた体験の提供を目指すイベント。ドローンの飛行を歓迎する会場で、厳選された特定の機体について、ネットなどに遮られることなく飛行する様子を見られる。大阪・関西万博の機運を醸成する目的で2023年4月から展開中の官民連携プログラム「咲洲プレ万博」の公式イベントでもある。咲洲プレ万博実行委員会に参画する公益財団法人大阪産業局(大阪市中央区)もブースを出展し、空飛ぶクルマのバーチャル体験を提供する。
会場となる咲洲(さきしま)モリーナは、建設機械、イベント用品など総合レンタル事業を手掛ける西尾レントオール株式会社(大阪市中央区)が開設した複合研究開発・交流拠点、R&D国際交流センター(大阪市住之江区)の敷地内に整備された木造モジュール施設。アスファルト敷の段差がない構造で幅広い催し物に対応する。ドローンの飛行も歓迎姿勢で、天井に木製のアーチがはりめぐらされた造形が特徴で、SUPER D★EXPERIENCEではドローンが天井に接近する様子を目撃できる予定だ。
登場する事業者はいずれも目玉企画となりうるケースばかりだ。シーサイドスカイ&YDLは自作の小型FPV機を館内を鳥のように飛行する計画。機体に搭載されたカメラの映像がドローンの視線をとらえ、ゴーグルを装着するとまるで小さなドローンの操縦席に乗っているような、空間を自在に飛ぶ楽しさ、鳥になったかのような気分を満喫できる。株式会社Liberaware(リベラウェア、千葉市)は、点検作業員を悩ませる狭くて暗くて危険な屋内空間に入り込むことを得意とする小型機IBIS2(アイビスツー)を持ちこみ、咲洲モリーナの模擬点検に挑む。木を組んだ天井をどう飛ぶか、機体からどう見えるのかが見ものだ。同社の機体は東京電力が福島第一原子力発電所の格納容器内を点検するときにも採用された話題機でもある。
菱田技研工業株式会社(堺市)は、バッテリーが充電されていなくても家庭用コンセントにつなげれば飛ばせるコンセントドローンを披露する予定だ。機体に吸盤をとりつけてビルの壁にはりつくドローンも展示する。ドリルなどの作業機と組み合わせることで、高所作業の機械化、無人化を促進する技術として注目されていて、2023年に開催されたJapanaDrone2023では技術論文コーナー「ポスターセッション」で最高賞の理事長賞を受賞している。
ブースも現場感覚の体験ができるコンテンツが満載だ。インフラ点検で実績を重ねている株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は米AIドローンメーカー、Skydioの機体を展示するほか、東京に設置しているドローンの格納庫、Skydio Dockを大阪の会場から遠隔操作する様子を披露。設備さえおいておけば離れた場所で警備、点検が可能になる体験を提供する。
ハイブリッドドローン開発の株式会社エアロジーラボ(箕面市<大阪府>)は、同社が開発したマルチコプター型ハイブリッド機「AeroRangeG4-S」を展示する。バッテリー、発電機の併用で長時間、長距離飛行を得意とする機体で、物資輸送などへの活用が強く期待されている。2月29日に福島県で行われた国土交通省の実証実験に参加したさいは、不具合の発生で中断をするまでの間だけでも、速報値で60㎞を超える飛行距離を記録した。残った燃料から推計するとい推定飛行距離が相当程度上乗せできる見込みで、確報が楽しみな状況だ。館内飛行はしないが、長時間、長距離飛行に欠かせない軽量化の工夫などを実機で確認できる。
ドローンスクールを運営する株式会社奈良自動車学校(奈良市)は、ドローン講習専用設備を持つ全国でも珍しいドローンスクール。当日はDJI Air3の操縦体験や、講習説明会を提供する。同社は自社の事業としてスクールを運営するだけでなく、地域のドローン普及に力を入れており、京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会を構成している。
京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会は2022年7月に奈良県コンベンションセンター(奈良市)で第一回ドローンフォーラムを開催しており、今回の技術の展示と第一線で活躍する10人以上の専門家の登壇による講演、パネリディスカッションを開催している。今回の「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」はその後続企画にあたる。増尾朗実行委員長は「第一回がドローンを知る、触れるイベントだったので、第二回の今回は体感するイベントを目指して企画しました。ご来場のみなさまにドローンの魅力を吸収して頂き、社会をより豊かにする活動にご活用いただきたいと考えております」と話している。
発表は以下の通り
第二回京阪奈ドローンフォーラム 3月12日に大阪・咲洲モリーナで 入場無料
京阪奈エリアのドローン産業振興を志す有志グループ、京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会(実行委員長、増尾 朗)は3月12日(火)、大阪市内の木造モジュール施設、咲洲モリーナ(大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75、西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)で、ドローンの真価を体感するイベント「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」を開催します。 館内でドローンが飛行したり、会場の特徴でもある木材を組み込んだ天井を能登地震の震災対応で活躍した小型ドローンが点検飛行をしたりする様子を目撃できます。事業の創出や拡張、防災対策、エンターテインメントの構想、好奇心の充足、など充実した時間をご提供します。ドローンの飛行を実際に見て、操縦体験もできます。是非お越しください。入場無料。※事前web登録でオリジナルグッズプレゼント。
記
催事名:「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」
日時:2024年3月12日(火)、10:00~16:00(予定)
会場:咲洲モリーナ(西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75
アクセス:「コスモスクエア」下車徒歩5分、「トレードセンター」下車徒歩6分
会場MAP: https://www.nishio-rent.co.jp/sakishima/access/
主催:京阪案ドローンプロジェクト実行委員会(代表企業:マスオグループ本部=奈良県奈良市三条大路1丁目1番93、株式会社奈良自動車学校)
参加費:無料
※詳細は参考資料及びWEBサイトをご確認ください。
参考資料 https://prtimes.jp/a/?f=d101951-10-f1c576f0f6d030002fa6df5bd75f525b.pdf
ドローンを活用したインフラ点検ソリューションを提供する株式会社ジャパン・インフラ・ ウェイマーク(JIW、大阪市)は5月19日、株式会社エイト日本技術開発(岡山市)、株式会社JR西日本イノベーションズ(大阪市)、九州電力株式会社(福岡市)、八千代エンジニヤリング株式会社(東京)とインフラ関連の4社と資本、業務の両面で提携したと発表した。JIWは提携した4社を引受先として第三者割当増資を実施した。今後JIWは4社と点検業務の定常業務化に向けて力を合わせる。
JIWのこの日オンライン説明会を開催し、柴田巧社長は、「われわれはプロタクトアウトではありません。とはいえマーケットインにとどまってるわけではなく、ユーザーインのビジネスを進めています。4社は日本を代表するインフラ事業者です。4社とともに、インフラ点検業務の定常業務化をすすめ、その先の全自動点検を目指します」と述べた。
この提携により、ドローンによる点検対象を道路橋、鉄道構造物、発電・変電設備に拡大し、提携各社の設備の定常業務に組込むよう取り組む。取り組みで蓄積したデータは、AIによる自動解析のシステム構築に活用する。あわせて「レベル4」の飛行を含めた自動巡視点検技術を確立し、点検現場に派遣される技術者の負担軽減を目指す。
JIWは2020年4月、東京電力パワーグリッド株式会社(東京)、北陸電力株式会社(富山県)、大阪ガス株式会社(大阪府)、西部ガス株式会社(福岡県)の投資ファンドSGインキュベート第1号投資事業有限責任組合、東洋エンジニアリング株式会社(千葉県)、株式会社NTTデータ(東京)、DRONE FUND(東京)による資本参加を発表している。
JIWの柴田社長はこの日の会見で「既存7社との提携で検討を進めてきた技術やサービスを、今回加わった4社をまじえて普及させていく」と決意を表明した。
この日のオンライン説明会で提携4社は動画で談話を寄せた。それぞれの談話は以下の通り
■株式会社エイト日本技術開発
永井泉治常務取締役事業統括
当社は、「価値ある環境を未来に」をテーマに地球環境や国土の保全、地域のインフラ整備に優れた技術の発揮を通して、企業価値の向上を果たすと共に社会的責任を全うし、人類の福祉に貢献することとしています。この度のJIW様との連携により、インフラ点検の先駆者として、高精度の判断技術に加え、省力化による働き方改革を進めながら、明日の時代を担う若手技術者の育成、また、IoT等情報通信技術を活用し、公共インフラのメンテナンス技術の高度化に邁進してまいります。
■株式会社JR西日本イノベーションズ
和田裕至代表取締役社長
当社グループは国鉄採用のベテラン社員が大量に退職する時期を迎えるなか、より少ない人数でも安全に保有する鉄道設備のメンテナンスができるよう様々な取り組みを進めてまいりました。今回のJIWとの提携により、ドローン・AIを活用し、高所、高電圧など特殊な現場作業においても、安全で効率のよい点検が可能となるよう、努めてまいります。
■九州電力株式会社
新開明彦上席執行役員テクニカルソリューション統括本部情報通信本部長
九州電力はこれまでドローンを活用して、災害復旧の迅速化、 電力インフラのメンテナンス効率化を推進してまいりました。そのノウハウやリソースを活用して、「九電ドローンサービス」として2019年7月に事業化し、九州地域のお客さまのニーズに基づく多様なサービスを提供させていただいております。今回、ドローンの機体・AIに関して高い技術力を持つジャパン・インフラ・ウェイマーク様と協力関係を構築することによって、インフラ点検に関する機体開発、サービス開発を共同で行い、社内外におけるドローン活用範囲の拡大と提供するサービスの充実を図り、地域・社会が抱える課題の解決に寄与してまいります。
■八千代エンジニヤリング株式会社
高橋努取締役常務執行役員経営企画本部長
橋梁などの社会インフラの老朽化は大きな社会課題の一つであり、限られた財源の中、効率的・効果的に保全していくためには、ドローンやAIといった先進技術を活用していくことが必要です。当社は建設コンサルタントとして社会資本の整備・維持に携わっていますが、JIWとの提携により、インフラ点検の高度化を実現することで、老朽化に対する課題解決に貢献したいと考えております。
(プレスリリースを原案のままお届けします)西日本電信電話株式会社(本社:大阪府大阪市、 代表取締役社長:小林 充佳、 以下、 NTT西日本)と、 株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(本社:東京都中央区 代表取締役社長:柴田 巧、 以下、 JIW)、 岡山県真庭市(市長:太田 昇)の三者は、 岡山県真庭市をフィールドとした、 ドローンによる広葉樹測量を用いた人工知能による樹種・材積量の視える化についての実証実験を開始します。
近年の人口減少により、 特に地域社会においては、 既存の社会インフラや従来型の経済システムでは維持が困難となり、 存続が危ぶまれています。 岡山県真庭市では、 森林資源に代表される豊かな地域資源を活かし、 バイオマスを活用したエネルギーの利用、 協働を進め、 地域の活性化とともに再生資源を基盤とした自立型社会の実現を推進しています。
その中で、 森林資源のさらなる活用と地域内の電力自給率100%に向けて、 未利用の材木や一般木材に加え、 広葉樹の燃料化の検討を始めています。
広葉樹の多くは天然林で生育していることから生息・分布状況の把握が困難であり、 野放しのままでは土砂崩れなどの災害を引き起こす危険性があります。 それだけでなく、 広葉樹の伐採・運搬を密生地以外で実施すると高コストとなるため、 広葉樹の区画毎の材積状況の事前把握が重要課題でした。
一方で、 NTT西日本とNTT西日本グループのJIWは、 インフラ点検で培ったドローン空撮ノウハウや、 ICTを用いたデータ解析ノウハウを有しており、 この度、 広葉樹燃料化の課題解決に向けて、 岡山県真庭市にて、 ドローン・画像解析等の新技術を活用した広葉樹林測量の実証実験を行うこととなりました。
ドローンの空撮・測量データに基づいた樹種の自動判別や樹木サイズの推定に基づく材積量算出を行うため、 京都大学の伊勢准教授と連携し、 データ解析を実施します。
・実証実験期間:2020年11月~2021年3月
・実施場所:岡山県真庭市鉄山 約10ha
※1 当該研究室にてディープラーニング技術を用いて開発した人工知能モデルを活用(参考URL) https://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/reconnect/deepforest/
※2 テラドローン社のTerraLidarを活用
・NTT西日本:実証実験の全体調整、 ICTを用いた森林測量・解析事業の構築・事業性の検証
・JIW :ドローンを用いた空撮、 測量、 データ加工
・岡山県真庭市:実証フィールドの提供、 資源有効活用モデルの構築
岡山県真庭市では、 正確な材積量を把握し、 バイオマス発電における燃料のさらなる安定調達と、 地域内エネルギー利用を拡大し、 地域全体での資源循環・経済循環モデルの構築を進めていく予定です。
NTT西日本グループにおいては、 樹木測量による材積量視える化を他エリアにも展開し、 各エリアのバイオマス関連事業者と連携することで、 さらなる地域課題の解決に貢献してまいります。
AIドローン開発の米Skydioが日本市場に参入することになった。ドローンでのインフラ点検ソリューションを提供する株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(本社・大阪市、JIW)は1月22日、米Skydio.Inc(カリフォルニア州、Skydio)と、点検のための特別仕様機「Skydio R2 for Japanese Inspection」(J2)の開発を完了したと発表した。また両社は同時に、この開発機J2を使った橋梁点検を、東南アジアと日本で展開する独占パートナーシップを締結したことも発表した。点検のトライアルを実施することも決め、希望事業者の募集も開始した。
米SkydioはAIとコンピュータビジョンに高度なロボティクスを組み合わせたドローンシステム開発で知られ、2018年2月に13のカメラを搭載したコンシューマー向け「R1」、2019年10月にはカメラを6つにして小型、軽量、長時間化させた後継機「R2」を発表した。R2発売前の2019年7月からティザー広告の公開をはじめると、草木が生い茂る丘陵で疾走する自転車をドローンが見失うことなく自動追尾する動画が反響を呼んだ。10月には機体を発売。発売翌日にはHPで「完売」を報告するほどだった。
昨年7月には統合ドローンソリューションを提供する米CAPE社(カリフォルニア州)が、商用ドローンの統合的なセキュリティ確保を目的に発表した「Cape Preferred Partner Program(P3、ケイプ・プリファード・パートナー・プログラム)で、DJIとの統合を中止し、Skydioの参加を発表している。
JIWとの点検のための共同開発機J2は、このR2がベース。R2はプロペラが折り畳みできるコンパクト設計のVisual SLAM搭載機。60fpsに対応した4Kカメラ6機で機体の周囲を全方位で見渡せる。45メガピクセルの画像をリアルタイムで収集し、毎秒1・3兆回の演算ができるAIで解析する。障害物を検知し避けながら飛行することが可能だ。また特定の人物の動きを予測し先回りして撮影することもできる。ジンバルは3軸。スマートフォンのアプリのほか、専用コントローラーでも制御できる。バッテリーは本体の底に脱着する。
J2では、こうしたR2の機体性能はそのままで、点検用に特別機能を装備した。衝突回避の範囲を、従来機で基準点から150センチだった距離を50センチ以内に収まるように設計。これにより、三角形の部材同士をつなぎあわせたトラス構造の橋梁など狭い空間で作業を容易にした。また、橋梁の裏側のオルソモザイクを取得できるようカメラが機体の真上に向くようにした。さらに非GPS環境下での画像でもGPS座標が取得できるよう、機体全方位を確認できる特性をいかしGPS座標をExifファイルに記録。非GPS環境下の画像でクラックなどの異常を検知した場合、その場所をGPS座標と照合し特定できる。ドリフトがあった場合でも機体がGPS環境下に出た時点で補正できる。
これによって、点検個所の拡大、点検精度の向上、工期短縮化とそれに伴うコスト削減が図る。点検個所としては、橋梁床板、送電設備、変電設備、建築物の屋内、灯台、鉄道橋梁などを想定している。
JIWは昨年7月からJ2の開発に着手。米国で開発してきたが、昨年11月に電波法の緩和で、技術適合証明(技適)未取得機の実験飛行が可能になったことから、国内でも実験を重ねてきた。急こう配の渓流に築造された砂防ダムの点検実験では、機体が勾配をスムーズにたどり、渓流を覆う草木を避けながら自律飛行する様子が確認できた。
JIWの柴田巧代表取締役社長は「点検作業員の負担軽減や人事不足解決のためにドローンを活用する動きは活発化しているが、どうしても点検の専門知識を持たないドローンパイロットが飛行させ、その後点検の専門家が確認する必要があった。効率化に限界があった。J2なら点検の専門家がドローンを自律飛行させて点検させることに道を開く。自動車がマニュアルミッションからオートマチックに転換したほどのインパクトがあると思う」と、点検作業の大幅な効率化を展望している。
JIWはSkydioと共同開発した「J2」を使った橋梁点検を、日本と東南アジアで展開する。点検作業はJIWと、同社が認めたパートナーだけが展開できる独占パートナーシップに基づいて実施する。現時点では日本国内で2社、海外勢では昨年7月に業務提携した、世界25カ国でサービスを展開するマレーシアのドローンソリューションカンパニー、Aerodyne gronpがJIWのパートナーとなっている。
点検事業は、J2が技適を取得したのちに展開する。技適取得は4月ごろになる見込みだ。ただそれまでの間もトライアルは継続する。さまざまな環境での点検効果を確認するため、同社のトライアルに有償で参加を希望する事業の募集も始めた。
募集対象は、J2利用のインフラ点検を希望する企業で、募集期間は1月22日から3月31日まで。メールか電話で問い合わせを寄せたうえで、JIW担当者と打ち合わせを実施する。
問い合わせ先は以下の通り
・株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク 管理部
・電話:03-6264-4649
・メール:info-support@jiw.co.jp
Drone Fundの投資先であり、世界25カ国でサービスを展開するマレーシアのドローンソリューションカンパニー、Aerodyne gronp(クアラルンプール)と、ドローンを活用したインフラ点検ソリューションを手がけるNTT西日本グループの株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、大阪市)は7月8日、日本国内の電力設備向けサービスの共同開発と独占販売で業務提携した。国内の点検現場が抱える費用、作業負担などの解消を実現するサービスの開発に取り組み、JIWが日本市場で独占的に販売する。海外に設備を持つ日本企業への展開も視野に入れる。JIWの柴田功社長は「世界がうらやむ最強タッグの業務提携」と胸を張った。
提携では、JIWが30橋梁の管路点検や通信設備の鉄塔点検など日本国内の実績で培ってきた、日本の商習慣の中で高い要求水準を満たして実務を遂行するノウハウを「オペレーショナルエクセレンス」として提供する。たとえば、河川使用許可といった手続きなどの行政対応、ポスティング、掲示板のなど近隣対応などを受け持つほか、空撮や点検の実務、日本国内での機体の提供、営業活動、契約実務などを担う。
一方、Aerodyneは年間26万5000フライト、総延長5万5000キロメートルの電線網など重要設備点検の実績で積み上げた点検技術を提供する。ドローン空撮の技術提供や作業の実施、プロセッシングノウハウの提供、AI、ソフトウェアの提供、活用などを持ち寄る。双方の強みを出し合うことで、要求水準の高い「JAPAN品質」のソリューションを商材として開発する。
JIWは通信設備の鉄塔、橋梁、自治体法面など困難な場所でのドローンによる点検サービスを提供している。業務提携に伴う新たなソリューションの開発で、今後、電力会社の送配電設備点検にも進出する計画だ。
電力会社も独自にドローン導入に向けて取り組んでいるが、業務導入には至っていない。JIWはその理由として①法規制(ガイドラインが未整備)②オペレーション(高い要求水準を満たして遂行できるオペレーショナルエクセレンスが未確立)③技術ノウハウ(生産性向上に役立つ度合いが未計測)―などが挙げられると分析。
法規制については「ロードマップの公表で、しばらくすれば日本が世界で一番、ドローンが活用しやすい国になると信じている」(柴田巧JIW社長)と見込むが、オペレーション、技術の課題についてはこのままでは打開できないため、今回の業務提携で開発するソリューションで、打開を図る。
電力設備点検への参入後は、2020年から洋上構造物、プラント、管路などへの拡大や海外への展開を模索。同年後半には日本国内でマレーシア留学生などによる「空撮/点検センター」の開設を視野に入れている。柴田社長は「雇用吸収力を高めて100人規模の点検体制を整えたい」と話している。これらの取り組みで2022年までに国内電力設備点検市場で30%のシェア獲得と、売上高30億円を目座す。売上のうちの海外比率も、2025年には20%に引き上げたい考えだ。
発表会でAerodyne groupのCEO、カマルール・ムハンマド氏は、「この業務提携は大変光栄なこと。これまでAerodyneのテクノロジーは、送電線や太陽光、風力発電などクリティカルアセットの点検、プロジェクトマネジメントなど世界で幅広く活用され、企業のデジタルトランスフォーメーションを手伝ってきた。早い、安い、うまい、安全をモットーに、従来の点検の代替案を提唱しており、JIWとの提携でも即戦力となるサービスを提供したい」と抱負を述べた。