株式会社Prodrone(名古屋市<愛知県>)は、「純国産ドローン試作機『PD4B-MS』」を開発したと発表した。経済産業省が特定重要部品と位置付けるフライトコントローラーなど4つのモジュールについて、日本のメーカー製を採用した。本体やプロペラなどはProdroneが自社開発した。「国産」の表現について、公式の定義が固まっていないことから、同社はプレスリリースの中で、「日本国内で設計および生産されているものを指しますが、一部の原材料や電子部品(半導体等)には、国内での調達が困難な海外製が含まれます」と説明するなどして、誤解を避ける工夫をしている。
試作機「PD4B-MS」は、モーターとESCについてはキヤノン電子株式会社(秩父市<埼玉県>)を、フライトコントローラーについては株式会社ジェイテクト(刈谷市<愛知県>)製を、バッテリーについては古河電池株式会社(横浜市)製を、送受信機については株式会社TKKワークス(大阪市)製をそれぞれ採用した。機体、プロペラ、GPSアンテナは株式会社Prodrone自身が開発した。
モーターとESC、フライトコントローラー、バッテリー、送受信機の4つのモジュールは、経産省が3月13日に公表した「無人航空機に係る安定供給確保を図るための取組方針」の中で「重要部品」に位置付けている。これらの重要部品について取組方針は「特定国の部品メーカーから調達をしている事例が複数確認されており、他国に供給を依存している状況と考えられる」など、安定供給リスクの高さを問題視。「無人航空機を構成する部品の中でも、特にバッテリ、モータ及び ESC、フライトコントローラ、映像伝送モジュール等が重要な役割を果たし、また、これらの安定供給を確保することで我が国のサプライチェーンの強靱化につながると考えられる」とサプライチェーン強靭化を左右すると位置付けている。
ドローンの国内生産の比率が頭打ちになっている現状については、防衛省が昨年(2025年)11月18日の衆院安全保障委員会で浮き彫りになっている。この席で自衛隊が保有するドローンの国産化率が同年9月末時点で約3割だったことが明かされた。小泉進次郎防衛相が「日本が自前で国産ドローンをどこまで強化できるかは大事なところでしっかり防衛省としても取り組む」などと述べ、「国産」議論再燃のきっかけとなった。
政府はドローンを、経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に追加指定する検討を進め、同年(2025年)12月19日に政府は19日の閣議で追加指定を閣議決定していた。
なお、Prodroneは日本国内で無人機を開発している日本国内のドローンメーカーで、すでに多くの開発や運用の実績を持ち、「国産ドローンメーカー」として関係者の間で知られている。今回は、最終的な組み立てが日本で行われているだけでなく、重要4部品も日本企業の製品を採用して日本製づくしの機体に仕立て、『純国産』を標榜した。同社は日本製づくしの機体に「SAMURAI TECH by Prodrone」のブランドでシリーズ化していく方針で、現在商標を出願中だ。
なお、試作機はコンセプトモデルで、販売モデルは「別途案内する」と話している。
試作機「PD4B-MS」の仕様は以下の通りだ。
・機体重量:7.8kg(バッテリー除く)
・最高速度:60km/h
・飛行可能風速:12m/s
・最大飛行時間:約25分(ペイロードなし)、約20分(ペイロード3kg)
・使用環境温度:-20℃ 〜 +40℃
Prodroneのリリースはこちら:
https://www.prodrone.com/jp/release/10328/

産業用製品検索サービス「Metoree(メトリー)」 を運営するZAZA株式会社(名古屋市<愛知県>)は、Metoree内に新たに「フライトコントローラ」のカテゴリを追加した。現時点でオリジナルの国産技術を強みとするAutonomy Dynamics株式会社(東京)など8社が掲載されている。フライトコントローラは、経産省が国内での安定供給確保を図るべき重要モジュールと位置付けており、事業者の選択肢拡大を促しそうだ。
Metoreeの新規カテゴリとなったフライトコントローラは、ドローンの重要モジュールとして官民ともに関心の高まっている技術だ。経産省もバッテリ、モータ及びESC、映像伝送モジュールとともに、フライトコントローラを重要視。国内でのドローンの供給確保のうえで「重要な役割を果たし、これらの安定供給を確保することで我が国のサプライチェーン強靭化につながると考えられる」と位置付けている。
また、ドローンの事業者の間では、運用事業者が完成機体を購入して活用するほかに、用途に合わせて最適なモジュールを組み合わせて構成する動きが広がりつつあり、制御の核となるフライトコントローラを個別に選定・比較する需要が高まりつつある背景もある。
現在フライトコントローラのカテゴリで掲載されているのはAutonomy Dynamics や 日本航空電子工業日本の事業者が4社。ほかに中国系4社も掲載されている。今後、利用者や運用事業者などの選択肢の拡大を促しそうだ。


株式会社SkyDrive(豊田氏<愛知県>)の福澤知浩代表取締役CEOは、日本外国特派員協会(東京・丸の内)が主催の記者会見に臨み、同社のAAM「SD-05」についてコンパクトさが優位性になっている点をアピールした。この点についてDroneTribuneの質問に対し、離着陸場に要する場所が小規模で済む点、初期コストが抑えられる点などを理由にあげた。また別のメディアからのバッテリーに関する質問に対しては軽量高出力バッテリーの開発に力を入れていて「ひとつの強み」と説明し、コンパクトで差別化を図る方針を鮮明にした。コンパクトカー世界一のスズキと組んで生産する戦略も強調した。
記者会見は2月18日に行われ、国内外のメディアの報道陣が詰めかけた。1時間の記者会見のうち前半は福澤代表による同社の戦略や業界動向についてのプレゼンテーション、後半が質疑応答に使われた。福澤氏は英語も話すが、この日は主に日本語で話し、逐次英語に通訳された。福澤氏が英語の通訳のあとに英語で捕捉する場面もあった。
福澤氏は冒頭、自動車メーカーで働いていた前職時代について触れ、日常的に渋滞にまきこまれたり、満員電車に揺られたりする中で「自動車のような乗り物で日常的に飛ぶことができれば楽しいな、と考えて」SkyDriveの設立につながったと起業の経緯を説明した。
実は同社の社名「SkyDrive」や、同社のビジョンである「空を走ろう」もこの理念を活字で表現したものだ。日本国内でAAM(とくにeVTOL型のAAM)を「空飛ぶクルマ」と呼ぶ習慣が広がっているのは、この産業の活性化に力をいれようとした中央省庁が、取組をスタートさせる時点で、同社の理念を念頭に「空飛ぶクルマ」と呼び始めたことがひとつのきっかけとみられている。ただし政府の「空飛ぶクルマ」を使うときには、いわゆる「eVTOL」は入るものの、「eSTOL」が想定されていないなど、米国をなど海外で使われる「AAM」が対象とするものとはズレがある。ほかにも、旅客用機体と1人用機体との区別や、電動以外のプロパルジョン(推進機)を持つ機体を含むかどうかなどの区別についても、微妙に異なる点に注意を払う必要がある。
なお、呼称については会見後半の質疑応答で、海外メディアからSkyDriveが同社のプロダクトを空飛ぶクルマ(質問者はFlying carと発言)と呼ぶ理由に関する質問が出た。福澤氏はこれに対し「(空飛ぶクルマとは)より正確にはeVTOLです。空飛ぶクルマ、というのはニックネームのようなものです」と答えた。福澤氏はこの日のプレゼンテーションでは、原則として「空飛ぶクルマないしはeVTOL」と表現し続け、誤解を避ける工夫をしていた。これは、SNSなどでしばしば、「車輪がないのにクルマって」と言われることへの配慮とみられる。
プレゼンテーションではこのほか、2018年の会社設立から8年が経過し複数のタイプの機体を開発してきたと振り返り、同社の開発するeVTOLの主な特徴について電動で騒音が既存航空機に比べ「圧倒的に少ない」こと、垂直に離着陸できること、環境配慮型であること、の3点に整理した。
会社の現状については国内に3カ所の飛行試験場に加え開発センター、工場の5つの拠点を構え、2025年から本格的な試験飛行を開始していること、開発陣の半分弱は海外の人材で幅広く知見を集めて開発にあたっていること、離着陸設備、充電、保険などさまざまな企業から応援を受けていることなどを紹介した。
福澤氏がプレゼンテーションで力を入れたのはSkyDriveの提供する価値と戦略についてだ。eVTOLの静穏性などの価値に加え、SkyDriveの機体がその中でもコンパクトである点を強調した。
会場のモニターに、固定翼を備えた海外製の代表的なeVTOLと、固定翼のないマルチコプタータイプのSkyDriveの「SD-05型」とのサイズ比較ができる図を投影し「上がSkyDriveの機体で横がほぼ10m、下は翼のあるタイプの海外の機体でだいたい15m」と大きさの違いを示し、「ポートのサイズは機体幅の2倍ぐらいなので、翼があるタイプは東京のビルの上(に離着陸するの)は結構、厳しい。SkyDriveの機体なら都内のビルの上にとまれる可能性があります」と述べ、コンパクトであることが、活用範囲を広げる優位性を説明した。
さらに「世界各国で、SkyDriveのサイズならとまれる場所を確保できるといった声を聞きます。多くの場所にとまれるというのが大きなポイントかなと考えています」とコンパクトの優位性が広がっていると分析した。
また、福澤氏は「製造の部分」も提供価値にあげた。「コンパクトカーNo.1のスズキさん(スズキ株式会社、浜松市)と製造をすすめています。既にスズキの工場で一緒に製造しておりまして、量産の段階になると年間100機、またはそれ以上がこの工場で作られることになります。自動車同様、製造、輸送、から飛ばす、までを短いリードタイムで実現できます」と、コンパクトに強みを持つ日本のものづくりの力が発揮できることを強調した。
サービス面では、鉄道会社とのコラボレーションを進めている戦略をあげた。
「飛行機に乗るために空港まで遠いことがあります。この問題を解決するため鉄道会社とコラボレーションをしています。JR東日本さんはタッチ決済のSuica で電車に乗り、Suica でタッチしたらそのまま空飛ぶクルマもしくはeVTOLに乗れる世界を作りたいと話しています。現在、東北、大阪、九州の各エリアで進めています。九州では別府と湯布院のふたつの温泉地を結ぶことをJR九州と話しています。ともに温泉地として有名ですが2点間を地上で移動すると結構時間がかかりますが、空なら早いうえ景色も楽しめます。またOsaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)さんとも大阪の4点を結んだ『大阪ダイヤモンドルート構想』で検討を進めています。大阪メトロさんは、新駅の駅舎の上に空飛ぶクルマのポートを設置し、電車から簡単に乗り換えられることを考えています。こういったことができるのも、SkyDriveのコンパクトさと鉄道会社ととの連携があってこそです」
コンパクトの優位性がプレオーダーにもつながっているという。
「プレオーダーはアジア圏を中心に海外でも同じように起きています。提携しているインドネシアのヘリコプタータクシーの運行会社は、国際空港からダウンタウンまで、地上で1~2時間かかるところを15分ぐらいで運航するサービスを行っています。私も乗りました。そうするとやはりダウンタウンではビルの上とか場所に制約があります。そういう時にSkyDriveなら降りられる。しかも静かで環境に優しくコストも抑えられる」
このほか、ドバイのエアロガルフ・サービシズ(AeroGulf Services)とのプレオーダーにも言及した。エアロガルフとは2026年1月、売買契約の基本条件を盛り込んだLOI(基本合意書)を締結したと発表している。福澤代表は「エアロガルフさんは2点間だけではなく観光にも使っていく方針です。観光という観点でも、SkyDriveの機体が安定したホバリングができるといった観点からプレオーダーをいただいております」と説明した。
このコンパクト性がプレオーダーにつながっている背景についてDroneTribuneは後半の質疑応答で追加質問をした。これに対し福澤代表は、SkyDriveを選んだ利用者は他社と比較して決めており、その理由がコンパクト性であると感じることが多いと答えた。
「お客様はいろいろなメーカーを比較してプレオーダーをしています。エアモビリティを使う場合、企業としてはかなり本気ですし、値段も考えます。その中でSkyDriveを選んでいただいているのはコンパクトな部分が大きいなと思っています。ひとつはポートが作りやすいこと。もう1つは初期コストを抑えられること。機体が固定翼タイブに比べ下がりますし、ポートの整備コストも軽く、充電器も簡素にできます」
DroneTribuneはこのほか、日本での生産とサプライチェーンについての考え方について質問した。これについて福澤代表は日本で生産する理由に、整備や部品交換、品質などをあげた。
「サプライチェーンが日本であった方がいい理由は、整備、部品交換がしやすい、開発が共同でしやすいといって点があります。部品によっては他の国から買ってきた方がより安全でより品質が高い、コストが安いといったこともありますので、最適なサプライチェーンにしています。万博で飛んだ機体に関しては半分弱ぐらいが結果的に日本で調達した部品です。日本の中で作っていくとよりいいよね、という話しもします。ただ最終的には機体としてベストになるように、と話しています」
また収益化のロードマップについても質問した。福澤代表は、量産体制に入ったタイミングで収支があうようになることを考えていると明かした。
「収益化すごく大事な話。工場で年間100機、これは自動車のような昼夜二交代制で間に合うぐらいかなと思っていますが、そのようなフル稼働のタイミングで黒字になっていくことを目指しています」
また別のメディアからのバッテリー開発に関する質問があり、福澤代表は、高出力で軽量を兼ね備えたバッテリーの開発に力を入れていて、ここが同社の強みと考えていると答えた。
「バッテリー開発にはとてもリソースを割いています。ひとつは良いバッテリーという点、もうひとつはそれを機体に搭載する点です。なるべく軽く、でもちゃんとしたものでないといけない。コンパクトな機体に工夫して載せる点で相当な工夫をして開発を進めていてここはSkyDriveの強みだと考えています」
プレゼンテーションではこのほか、2月24日から28日の間に東京ビッグサイトでのデモフライトを一般公開することを案内した。
それ以外の主な質疑は以下の通り
――想定される利用者
「日本の鉄道会社とは誰もが日常的に乗れる値段を設定しようと話をしている。タクシーよりは高いが観光用ヘリコプターと同等かそれより安い値段にしたい」
――日本で開発を加速させる方法は
「実は日本が世界で先駆けたことがいくつかある。複数の機体が一般のイベントで飛んだのは大阪・関西万博が初めてだ。ただアメリカや中東に比べ発信が少ないとは思う。政府と連携するなどしてグローバルに発信することは大事だ」
――プロペラが12個あるがいくつはずれても飛べるのか
「一番重要な2つが止まっても引き続き飛べる」
――スピードと航続距離は。古巣のトヨタはJobyに出資しているが
「航続距離について。発売後数年間は30㎞から40kmぐらい。新興国の都市部のサイズにも合っている。スピードは時速100kmを考えている。Jobyのような固定翼を備えた機体の会社がeVTOL業界を牽引していてとてもありがたい。彼らの機体はサイズも値段も既存の飛行機に近い。需要も非常に大きいと思っている。それぞれユースケースが異なる。自動車でもコンパクトカーは日本の会社が作っていて大きなもの、さまざま用途のものを米国など海外の会社が作っているのと同じ感覚」
――都内のビルの上にとまれる根拠
「東京都のプロジェクトで検証。物理的に可能という感じ」
――現状で市街地飛行が難しい理由
「認証が取れれば都市部もローカルも飛べる。その手前の段階ではベイエリア中心」
――値段
「未公表。安全性が同等の双発型ヘリコプターに比べ半分以下の値段を目指している」
――嵐、雨など荒天での飛行
「条件はヘリコプターとほぼ同じ。ヘリコプターが飛べる環境では飛べる。ストームの場合は厳しい」
――伊勢志摩での飛行
「(提携している)近鉄さんとは伊勢志摩エリアを一番のフォーカスエリアとして考えている」


