fly株式会社(東京)、JAL、JTBは2月26日、QRコードをスマホで読み込めばドローンが自動で飛んで撮影し、映像をAIで編集して利用者に届けるサービス「SKYPIX」を開発したと発表した。3月1日に瀬戸内海国立公園の寒霞渓(かんかけい<香川県小豆島町>)で実証を始める。実証中の利用料は1組2000円だ。説明会でflyの船津宏樹社長は「ドローンに触ったことがなくても、飛ばし方を知らなくても、許可の取り方を知らなくても、ドローンでの空撮や自撮りができます。ドローンを使ったことのない方にこそ楽しんで頂けると思います」と話した。flyなどは5月6日まで実証し、8月1日の正式な運用開始を目指す。説明会にはアイドルグループCANDY TUNEの7人も応援にかけつけ会場を盛り上げた。
発表会は2月26日に都内で行われた。flyの船津社長のほか、株式会社JTB(東京)の森口宏紀常務執行役員、日本航空株式会社(JAL、東京)の宮脇久美子常務執行役員が登壇してサービスの目標や経緯を説明した。またJTBの大津耕平氏がサービス内容を説明した。
さらに会場に隣接する庭園で模擬飛行の実演が行われ、応援に駆け付けたCANDY TUNEがファーストシングル『キス・ミー・パティシエ』にあわせてパフォーマンスし、ドローンに向かって笑顔を振りまいた。
SKYPIXの実証は利用者が寒霞渓の山頂第二展望台に設置されている案内板のQRコードをスマホで読み取ると利用できる。メールアドレス登録と決済が完了すると、設置されているドック(DJIのDock2)から格納されているドローン(DJIのMatrice3D)が飛び立ち、予めプログラムされたルートを約2分間飛行して撮影する。利用者は決められた場所からドローンに向かってポーズをとったり手を振ったりすると、寒霞渓の絶景を背景にして自撮り撮影ができる。撮影された映像はAIで自動編集され、現地の風景などをはさみながらオリジナルの動画として、登録したアドレスに送られる。動画が届くまでは30分ほどの時間を見込むが、それより早いこともあるという。
このサービスの特徴は手軽さと利便性にある。スマホさえあればQRコードを読み込めばよくアプリをダウンロードする必要がない。またドローンの飛行に必要な許可申請はサービスの提供側が済ませていて、利用者が行う必要はない。さらに撮影者がドローンの飛行は自動制御されているため操縦者を用立てる必要もない。グループで出掛けた場合に、一人だけがカメラマンとして写真から抜け落ちる事態も回避できる。英語、中国語など複数言語に対応していてインバウンド対応も想定している。
事業運営は寒霞渓ロープウェイを運航し関連事業も運営する小豆島総合開発株式会社(小豆島町<香川県>)が担う。SKYPIXは無人サービスだが、利用者の不安やトラブルに備え必要に応じて現地で対応する。寒霞渓ロープウェイは「空、海、渓谷を一度に眺望できることで観光客に知られ、小豆島観光を支えている。小豆島総合開発はDroneTribuneに対し新サービスSKYPIXについて「このサービスを目ざして寒霞渓を訪れる方が増えてくれればうれしいと思っています」と期待を寄せている。
flyなどが配備するドローンとドックは、現時点では1セットを想定している。ただし利用が増え。待ち時間が長くなるようなことがあれば設置数を増やすなどの対応も検討する方針だ。
実証は原則、3月1日から5月6日までの金、土、日と祝日の午前9時~午後5時を想定している。実証期間後に反応や改善点などを整理し、必要な検証をしたうえで8月1日に正式に運用を始める計画だ。正式運用の料金は今後検討するが、現時点では2500円から3000円程度と見込んでいる。
説明会では、ドローンでの撮影に臨んだCANDY TUNEの7人も登壇し、ドローンが撮影した映像をAIが編集した動画が披露されると「かわいい!」「MVみたい!」と歓声を上げた。どこで使いたいか問われると「コンサート会場の周辺でファンの方が使えるといいと思いました」などと期待を寄せた。fly、JTB、JALは説明会で「地域の魅力を引き出して収益化し持続可能な観光にするサービスを目指します」と述べ、SKYPIXをビジネスモデル特許に申請していることも明かした。
3社のリリースは以下(画像のあと)の通り。JTBのプレスリリースのリンクはこちら。






~持続可能な観光地づくりに向け、絶景を手のひらへ。~
株式会社JTB(本社:品川区 代表取締役 社長執行役員:山北栄二郎、以下「JTB」)、fly株式会社(本社:目黒区 代表取締役社長 船津宏樹、以下「fly」)、日本航空株式会社(本社:品川区 代表取締役社長 鳥取三津子、以下「JAL」)は、観光地の魅力を創出にするため、日本初(※)のドローンを活用した自動無人空撮および、AIによる動画自動編集サービス「SKYPIX」(以下、本サービス)を開始します。3月1日(土)から5月6日(火)の間、香川県小豆島寒霞渓にてサービス実証を行い、8月1日(金)より正式サービスの開始を予定しています。 ※fly株式会社調べ
●HP

本サービスは、通常では見ることはできない空からの視点で、誰でも気軽に動画撮影や視聴を楽しむことができる日本初のサービスとなります。設置されたQRコードをお客様のスマートフォンで読み込み、決済を行うとドローンが飛び立ち、空からの美しい景観とお客様を、事前にプログラミングされた最適なルートで自動撮影します。ドローンが撮影した映像はAIによって自動で編集され、高画質でインパクトのある映像がお客様のお手元に届きます。アプリをダウンロードする必要はなく、英語や中国語等の複数言語に対応しているため、海外のお客様も簡単にご利用いただけます。
今後の展開
本サービスは日本国内、および海外に向け事業展開をする予定です。2027年を目途に国内47か所(各都道府県に1基以上)の設置を目指しています。本サービスが普及し、記念撮影を新たな”体験コンテンツ”に変えていきます。
〇株式会社JTB
JTBは、「交流創造事業」を事業ドメインとし、地域・社会課題に対して、人×場所×交流をデザインすることでその解決に取り組んでいます。地域資源を活用した観光コンテンツの開発により交流人口の拡大につなげるとともに、持続可能な地域づくりに貢献してまいります。 ※「交流創造事業」は(株)JTBの登録商標です
〇fly株式会社
flyは、ドローンをはじめとしたテクノロジーで「心×躍る×未来」を共育し、プロダクション・エデュケーション・コンサルティング事業を通してチャレンジし続ける集団です。ドローンの可能性を最大限に活かし、新たな分野での活用を進めることで人の心が動く体験を提供し、より豊かな社会の創造に貢献していきます。
〇日本航空株式会社
JALは、最上位戦略に掲げているESG戦略を今後も全社一丸となって推進し、「移動」を通じた「関係・つながり」の創造によって、持続的に社会的・経済的価値を創出することで、世界で一番お客様に選ばれ、愛されるエアライングループを目指してまいります。
ドローンによる自動無人空撮を用いることで、日本全国、四季折々の豊かな観光地の魅力を発信が可能となります。また、観光地における事業者負担も少なく、世界へ向けて情報発信ができると考えています。
■本サービスの概要
ドローンの運航・運用は fly・JTBが行います。各社の役割については以下のとおりです。
〇株式会社JTB
・観光地におけるコンテンツ開発の知見を活かしたSKYPIX事業の企画・設計
・事業計画および収支計画の作成、事業体制の構築、運営手法の確立
・全国展開に向けた、導入地域の開拓および横展開フローの整備
〇fly株式会社
・クリエイティブ・産業分野でのドローン運航管理の知見を活用したSKYPIX基幹システムの開発・運用・保守
・ドローンの運航管理体制(法規制対応含む)の構築並びに現地運航管理者に対する指導・サポート
〇日本航空株式会社
・お客様操作性向上のため、JALが提供するアプリの知見や客室乗務員によるお客様目線を活かしたアドバイス
・JALWebサイト等を活用した観光地の魅力発信と誘客プロモーションの実施
■実証運用概要
期間:2025年3月1日(土)-5月6日(火)
営業時間:金・土・日曜日、および祝日の9時~17時 ※寒霞渓ロープウェイの休業日を除く
場所:香川県小豆島 国立公園 寒霞渓 山頂第二展望台
料金:1回あたり2,000円(税込)
※寒霞渓のSKYPIXは、寒霞渓ロープウェイの運行や物産店の運営を行っている小豆島総合開発株式会社が事業運営を行います。
Fly.inc, JAL, and JTB announced on February 26 that they have developed “SKYPIX,” Japan’s first service that allows smartphone users to have a prepared drone fly automatically and take selfies as long as they read a QR code printed on the information board. fly and others will launch the service on March 1. The service will be demonstrated in Kankakei, a Seto Inland Sea National Park (Shodoshima Town, Kagawa Prefecture) on March 1. The fee for the demonstration period is 2,000 yen per group. At the briefing session held on the same day, Hiroki Funatsu, president of fly, Inc. said, “Even people who have never touched a drone, do not know how to fly a drone, or do not know how to obtain a permit can enjoy taking aerial photos and selfies using a drone. In this sense, SKYPIX will be a service that will provide an opportunity for those who have never used a drone to become familiar with and enjoy it. fly and others will conduct a demonstration until May 6, with the aim of starting official operations on August 1. The seven-member idol group CANDY TUNE came to the briefing to celebrate the SKYPIX announcement.
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空自部隊、JUIDAと災害応援協定 航空自衛隊笠取山分屯基地第一警戒隊(津市<三重県>)は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京)と、災害発生時にドローンによる応援が円滑に実施できるための協定を締結した。空自部隊側から要請があれば、JUIDAのボランティア防災チーム「JUIDA‐D³(ディーキューブ)」が応援する。笠取山分屯基地第一警戒隊は今後、連絡や任務遂行までの一連の流れを訓練に取り入れる方針だ。またJUIDAの鈴木真二理事長もD³について「規模、内容を拡大していきたい」と述べ、要請にこたえる体制の確立を図る考えを表明した。
締結は12月5日、東京のJUIDAの事務所で行われ、JUIDAの鈴木真二理事長と、航空自衛隊笠取山分屯基地第一警戒隊の松永康佑隊長(兼笠取山分屯基地司令、二等空佐)が協定書に調印した。協定の名称は「航空自衛隊第一警戒隊と一般社団法人日本UAS産業振興協議会との災害時応援に関する協定」。第一警戒隊は国内に複数あるが、今回は笠取山分屯地第一警戒隊との協定だ。
一般に分屯基地は不審な飛行物体やミサイルの飛来を警戒するためレーダーで防空警戒にあたる。立地もこの任務のため山頂に置かれることが多い。地域一帯をみはらす場所にあることから、大きな災害が発生すると災害活動の拠点になることがある一方、道路が寸断されると分屯基地自身が孤立するリスクも抱える。
JUIDAと協定を締結した笠取山分屯基地も、三重県津市、伊賀市の笠取山山頂にある。防災活動の拠点となれば物資輸送や情報収集搬送の拠点となり、道路寸断などの孤立リスクに直面しつつも基地機能の維持が重要だ。このためドローンの応援を受けられることが有効だと判断した。協定は笠取山分屯基地第一警戒隊から申し入れ、JUIDAが受け入れたため、締結された。ドローンの運航はJUIDA側が担うことになる見通しだ。
調印の席で会見した松永康佑隊長は、協定の申し入れを受け入れたJUIDAに謝辞を述べたうえで、「災害が発生した際は当分屯基地から災害派遣対応として人員、物資の輸送が行われます。また山岳地帯に所在しているため、災害発生時に地域の支援拠点となりうる基地機能を維持する必要があります。そのためにもJUIDAと協定を締結することは非常に重要」と意義を説明した。
JUIDAを選んだ理由について松永隊長は「全国規模のドローン組織であるD³を組織しており規模的にも能力的にもわが国で最大規模のドローンによる災害対応が可能」と解説。「分屯基地を取り巻く厳しい気象条件や山手に位置するリスクを克服し災害に関する様々な支援をしていただける」と期待も表明した。
支援内容については「道の寸断等により孤立した地域、被災者に対する救援、支援。地域の支援基礎となる分屯基地そのものが孤立した場合の物資の輸送支援を受けること」などを挙げたほか、調印式を進行した自衛隊OBでもあるJUIDAの嶋本学参与が「山火事のさいの残火監視」を例示した。物資輸送については松永隊長が「一般的に」と断ったうえで「水、食料、毛布など入浴支援や人命救助(に必要な物資)」をあげた。
さらに年間2~3回ほどの訓練を実施する方針も表明した。訓練内容は今後詰める見込みだが、「どの物資をどの程度の重さで、いつまでに、どのぐらいの時間をかけて、どこまで運ぶか、といった計画をたてる訓練や、その要求をドローンのパイロットに伝える訓練。また、そのうえで安全を確保しながら物資が届いたことを確認するまでの一連の流れを訓練したい」などの考えを示した。
JUIDAは協定に基づく要請内容に応じて必要な機材、知識、能力を持つD³メンバーを派遣することになる。要請内容は災害により異なるため、要請にこたえられる幅広い体制を整えることが重要になる。
JUIDAの鈴木理事長は、「D³はご理解頂いた団体や組織の参加を頂いているところですが、活動を広げることが必要になってくると思います。今年設立したばかりでまだ緒に就いたところですのでこれから規模、内容を拡大していきたいと考えています」とD³の充実に力を入れる方針を表明した。
一方で、D³の母体であるJUIDAは産業振興を目的とする民間団体で、防災専門組織ではない。防災活動を進める場合、産業振興活動とのバランスや、産業振興にもたらすメリットなどの説明が求められることも想定される。JUIDAはすでに全国各地の自治体や、陸上自衛隊の部隊などと協定の締結を進めていて、今回は初めて空自部隊との協定となった。空自にとって今回の提携は「先駆け的」(松永隊長)で、今後より大きな、または上位の部隊との提携に発展する可能性もある。このため協定が会員にもたらすメリットに関する説明の機会も増える可能性がある。
鈴木理事長は協定のあいさつで「連携によりさらに災害時のドローンの活用というところが進むということが期待されます」と需要拡大に期待を表明。さらにJUIDA会員にもたらすメリットについては、「JUIDAでは全国的なスクールを展開しています。これは各地で災害が起きた時により近場で対応して頂ける体制につながっているかと思います。スクールさんにより防災活動への問題意識は濃淡があります。今後は操縦の教育だけでなく災害時の対応も各スクールと連携しながら進めていきたいという風に思っています。スクール以外の会員さんでドローンの企業さんにも多く参加して頂いております。メーカーにとっては、どういったニーズに対してどういったドローンが提供できるのか、など開発の目的を明確化するところでこういった活動に参加していただくメリットを感じていただけると考えているところでございます。今後各地でたくさんのドローンが求められるという状況にございますので、国内のドローン産業の育成というところでも役に立てればと思っています」と述べた。
JUIDA会員の中には、困っている人を助ける強い意志を持つ事業主も多く、能登半島地震のさいにはJUIDAからの呼びかけに率先して参加した会員が現地で躍動した。今後、こうした強い意志を持つ会員の活動場面の提供と、産業振興とのバランスがより重視されることになりそうだ。


ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」は11月27日閉幕し、二日間の合計で3006人が会場を訪れた。事前に公開していた来場者目標の3200人には届かなかったが、期間中は来場者、出展者の笑顔がはじけた。機体メーカーなど主要プレイヤーの出展の上積みなどが、来場者拡大のカギとなりそうだ。
Japan Drone関西は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の主催、株式会社コングレの共催で11月26、27日の2日間、JR大阪駅直結の「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に開催され、26日に1604人、27日に1402人が足を運んだ。講演、パネルディスカッションなどのステージには2日間で1131人が参加した。来場者の中には出展者ではないドローン事業の経営者、関係者も見られ、会場内で知人を見つけてはあいさつをかわす光景や談笑する様子が多くみられた。
関係者や愛好家の間で話題になったのは初出展、初公開プロダクトだ。360度カメラの開発で知られる中国のテクノロジー企業Insta360がパートナー企業と設立したドローンブランド「Antigravity」が、日本の展示会に初出展し、機体やコントローラー、ゴーグルを紹介した。日本での発売計画は未確定だが、来場者の多くが足を止め、製品の仕様や今後の計画を担当者にたずねていた。
台湾の電気機器メーカーWistronも、系列のドローンメーカーGEOSATとブースを共同出展し、GEOSATの機体3種が初公開された。イタリアのモニタリングソリューションを展開するTAKE OVERも老朽インフラの課題と向き合う日本市場の調査をかねて初出展し、来場者と意見交換をしていた。米Skydioが9月に発表したふたつの新型ドローンについて、日本市場向けの公式アナウンスが出ていない中、JapanDrone関西に出展したジャパン・インフラ・ウェイマークは、二機種のうちの屋内向けドローン「R10」について独自のポスターを張り出したほか、チラシも用意し来場者に配布するなど関心を集めた。
会場では多くのブースで来場者と出展者が意見交換をしたり、説明を求めたりしている様子がみられ、あちこちで笑顔がはじけていた。ジュンテクノサービスやMizubiyoriは会場内に設置されたプールで水中ドローンを実演し、来場者に囲まれていた。
自治体の取り組みなどを紹介するパネルも多く設置され、じっくりと観察する来場者がいた一方、説明員のいるところは限られ、見学者が途切れる時間帯もあった。自治体の取り組みについては、「主催者テーマ展示ゾーン」と「ドローン×地方創生:自治自治体PRゾーン」とに分かれて展示されていて、来場者の利便性に合致していたかどうかの検討が加えられる可能性がある。
Japan Drone関西はJUIDAが10年前から毎年、千葉・幕張メッセで開催しているドローンの大規模展示会「Japan Drone」の地方開催版で、大阪で開催するのは2度目。一度開催した地域で二度目を開催したのは今回が初めてだ。JUIDAの鈴木真二理事長は初日の講演の中で、「アンケートで大阪での開催を求める声が大きかったことが今回の開催につながりました」と話している。今後も来場者の声が開催方針に反映されることになりそうだ。








11月26日に開幕した「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」では初公開、初出展を含め、多くの取り組みが披露されている。イタリアの保守、モニタリングソリューションを提供するTake Over社はFranz Lami CEO自身が来日して初出展。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は、日本市場向けには公式発表がない米Skydioの屋内用ドローン「Skydio R10」について独自のポスターを作成し公開している。セントラル警備保障は不審ドローン対策ソリューションを提案している。
イタリアのTake Over社は日本の老朽インフラが抱える課題に対しイタリア仕込みのソリューションを提案している。同社はイタリア国内で橋梁、鉄道、高速道路、ダムなどの保守点検などで実績を積んでいる。イタリアは歴史的な建造物から近代的な道路まで公共構造物の時代背景が幅広く、その知見が老朽インフラを多く抱える日本での需要を見込む。
来日し会場のブースにも立ったFranz Lami CEOによると、イタリアのインフラは近代のコンクリートと中世からの石でできたものなどとがある。課題の緊急性が高いのは重量のあるトラックなどを支える道路などコンクリート製のインフラで、内部の亀裂などをいち早く察知し対処する必要がある。同社はその点検やモニタリングなどで実績を積んできた。
データ取得のためDJIを中心としたドローン、3Dレーザースキャナ、モバイルマッピングシステムなどを機材として使っている。JapanDroneのブースではFranz Lami CEO自身が来場者に実績、技術などをアピールし、情報収集、市場調査を進める。来場者には。同社のロゴの入ったキャップを渡している。最近東京に開設したオフィスの人員の増強にもつとめていて、リクルートにも積極的だ。
JIW、日本向けアナウンスがされていないSkydio「R10」のポスター独自作成
ジャパン・インフラ・ウェイマークは米SkydioのAIドローン「Skydio X10」や、専用の格納庫「Dock for X10」など点検ソリューションを展示しているが、ブースにはもうひとつ、日本市場向けには正式なアナウンスがない機体のポスターがある。屋内向けドローン「Skydio R10」だ。
9月17日と18日に米国で開催されたSkydioの毎年恒例の発表会「Skydio Ascend 2025」では、「Skydio R10」が屋内向けドローンとして発表された。もうひとつ。長距離飛行に対応した固定翼ドローンのプロトタイプ「Skydio F10」も発表されているが、いずれも日本市場向けには公式の見解はない。
屋内の点検ソリューションを展開するJIWはR10について独自にチラシを作成し、ブースではポスターとして来場者に見せている。それによると、R10は785gでX10の2140gから大幅な軽量化が図られる。暗所飛行用の補助ライトを備え、自律飛行し、ライブ映像を配信し、点検を支援するという。市場導入の時期は公式発表を待つ必要があるが、関係者や愛好家の間で関心を喚起しそうだ。
セントラル警備保障が不審ドローン対策展示
セントラル警備保障株式会社(東京)は、不審ドローン対応のためのソリューションなどを展示している。会場にはカウンタードローンシステムのほかいくつもの緊急対応機能を備えた移動指揮所車両「CSP Drone Base Car」を車両ごと持ちこみ、中に搭載している映像監視システムや、電源機能、車内で指揮がとれる機能などを公開している。屋根にはドローンポートを備え、ここから離陸させることもできる。
また、不審ドローンを検知するためのソリューション「DS_005D」も展示してある。ブースではその機能や上位モデルの説明を求めて来場者が足を止めていた。
レッドクリフ、ジュンテクノ、ROBOZが存在感
このほか、開場では大阪・関西万博の協会企画催事プラチナパートナーとして連日ドローンショーを繰り広げた株式会社レッドクリフ(東京)が前面を赤、黒でペイントしたブースで来場者にドローンショーの特徴や効果を説明していた。また屋内ドローンショーを手がける株式会社ROBOZ(名古屋市)は、ドローンショーに使う機体の特徴や通信、飛行の安定性などについて石田宏樹代表取締役が率先して説明していた。会場の隣室でデモンストレーションも行い、手軽に運用できることを実践した。
ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)も水中ドローンを中心に展示。ダム堤体、取水口、吐口撮影からポンプ場撮影、流域下水道点検など多くの現場での点検実績などのノウハウをブースで展示しているほか、会場内のプールでデモンストレーションも実施し、来場者がその様子をみるために取り囲む様子もみられた。











アメリカのドローンメーカー、Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800 TOMCAT」「IF1200」が、「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」で公開されている。展示したのは株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)だ。リスクを回避するオペレーターへの提案として出展した。いずれのモデルも日本のドローンの展示会での出展は初めてだ。
栄光エンジニアリングが展示しているのはアメリカInspired Flight Technologies社のクワッドコプター「IF800 TOMCAT」とヘキサコプター「IF1200」だ。
IF800 TOMCATはバッテリーなし重量が4.2㎏、バッテリー搭載時で8.5㎏で、最大54分飛行する。インフラ点検、LiDAR調査などの用途を想定している。また「IF1200」は最大43分飛行、最大積載量8.6㎏だ。栄光エンジニアリングの大島健一社長は、取引先からよりリスクの低い機体を求める声を聞き、Inspired Flight社にゆきあたった。「IF800 TOMCAT」「IF1200」とも米国防省のサイバーセキュリティやサプライチェーンの健全性基準を見た居た場合に認定を与えるプログラム「Blue UAS」に認定されている。栄光は現在、Inspired Flight社の日本国内代理店だ。
ブースでは大島社長らが機体の特徴などを来場者に説明していた。ブースではそのほかExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」も展示している。




台湾の電子機器大手ウィストロン(Wistron)は、同社系のドローンメーカー、GEOSAT Aerospace & Technology Inc.(経緯航太科技)と共同でブースを構えた。GEOSATのドローンが日本の展示会で一般公開されるのは初めてだ。
初公開されたGEOSATのドローンは3機で、日本での展開は今回の反応をふまえるなどして今後検討するという。3機はいずれもスタイリッシュで、「スタイルは重視して作った」という。
ブースにはウィストロンでドローン部門を統括するAnn Liu氏も訪れ、来場者の反応などを確認していた。
展示会で製品を見る機会はそう多くなく、ブースを訪れた来場者の中にはこのブースに立ち寄ることを来場理由にあげる人もいた。
ブースの壁面にかけられていた薄型ディスプレイはウィストロンの製品で、その薄さに来場者が指をさしている様子もみられた。ディスプレイは投影する映像の切り替えや明るさの調整は遠隔で可能だという。



