自動制御技術を手掛けるブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)と、レンタルスペース予約プラットフォームを運営する株式会社Rebase(東京都渋谷区)は9月12日、コワーキングスペースや貸会議室、音楽スタジオなどのレンタルスペース運営事業者向けに、清掃ロボットによる空き時間の自動清掃サービスの提供を始めた。両社が同日、発表した。対象はRebaseの予約サイト、instabaseに登録しているレンタルスペース事業者。スペース利用者が退出したタイミングでロボット掃除機が自動で清掃する。対応する清掃ロボットは現時点で2機種ある。両社は9月27日、10月6日に東京都内のレンタススペースで説明会を開き、稼働のデモンストレーションを行う予定だ。
サービスはRebaseが提供しているレンタルスペース予約プラットフォーム、instabase(インスタベース)と、ブルーイノベーションのロボット自動清掃サービス「BEP クリーン」のシステムを連携させて実現した。予約システムと清掃ロボットの各システムを連携させることで、レンタルスペースに設置した清掃ロボットがスペース利用者の退出と同時に自動で清掃を始め、次の利用者が入室するまでに終える。自動清掃を通じ、レンタルスペース運営の効率化を支援する。
レンタルスペース市場は新型コロナウィルス感染拡大をきっかけに拡大し、利用者数は3年間で約4倍以上に伸びている。用途も多様化していて、これに伴い清掃需要も高まっている。
■説明体験会
・開催日時
9/27(水) 10:30-12:00|14:00-15:30
10/6(金) 10:30-12:00|14:00-15:30
・開催場所:東京・神保町のレンタルスペース(申込後に案内)
・参加方法 :現地参加、オンライン参加から選択(要事前予約)
・申し込み :https://blue-i.co.jp/contact/instabase.html
※詳細・問い合わせ
instabaseのスペース掲載者はこちら
https://www.instabase.jp/marketplace/supporters/734
上記以外
https://www.blue-i.co.jp/contact/project/
楽天グループ株式会社、パナソニックホールディングス株式会社、株式会社西友は5月28日、茨城県つくば市で自動走行ロボット(UGV)を使った無人配送サービスを開始した。初日の5月28日は、サービス開始の午前11時より2時間前の、午前9時過ぎの時点ですべての時間枠の予約が埋まった。配送では対象エリア内では最長距離となる拠点から道のりにして約1㎞の利用者の自宅前に注文通りに荷物を届けた。配送中にはロボットを見かけた通行人が写真に納めたり、子供たちが手を振ったりと好意的に受け止められている様子が見られ、早くも町の風景に溶け込んでいることを印象付けた。サービスは原則として7月30日までの毎週土曜日に、つくばエクスプレスのつくば駅を中心とした約1000世帯を対象に提供される。110円の手数料がかかる有料サービスだ。担当者は「今後エリアの拡大、サービスのさらなる充実で期待に応えていきたい」と話している。
配送サービス初日の5月28日は、予約が可能となる当日午前0時過ぎに最初の予約が入った。その後も断続的に予約が入り、午前9時にはすべての予約枠が埋まった。受けつけた予約は順調にこなし、すべての買い物配送を無人で届けた。システム上は、注文者が思い立ったときに申し込み、最短30分で届けるオンデマンド配送を組み込んでいるが。この日はオンデマンド配送の出番はなかった。
対象エリアであるつくば駅周辺には、商店や飲食店が集積し、マンションや住宅も多い生活機能充実エリア。ロボット配送サービスが提供される週末は、駅前広場にキッチンカーが繰り出すなど賑わいが増す。配送ロボットは時速4㎞の、人々がおしゃべりしながら歩く速度で賑わいのなかを進む。配送ロボットが通ると、居合わせた人々が指をさしたり、スマホで撮影をしたりと好意的な反応がみられた。とくに子供たちは、ロボットをみつけると話しかけたり、手を振ったりと、関心を引いた。ペットの犬が振り向いたり、吠えたりと反応を示したこともあった。
配送用ロボットはパナソニックが開発したUGV「X-Area Robo(クロスエリアロボ)」。市の中心街にあるスーパー、西友つくば竹園店のわきが待機スペースで、注文にあわせてスタッフが買い物の荷物を積み込む。ロボットは常温、冷蔵、冷凍の三温度帯に対応し、注文者は生鮮食品、お弁当、日用品など2000品目以上から選べる。注文は楽天が開発したアプリで完結する。店舗は注文が入ったことを楽天の開発した店舗向けシステムで確実に把握できる。また自宅で買い物の到着を待つ注文者も、ロボットの自宅への接近や到着をショートメールやサイトなど複数の方法で通知を受けられるなど、受け取り漏れを防ぐ工夫がこらされている。
「今回の対象地域でない場所にお住まいの方からも問い合わせを頂くなど関心をお寄せ頂いています。技術的にはさらに離れたエリアへの配送も可能なので、今後エリアを拡大したり、サービスのさらなる充実をしたりと、期待に応えていきたいと思っています」と話している。
5月26日には楽天グループ株式会社コマースカンパニーロジスティクス事業ドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャーの向井秀明さん、同事業部UGV事業課シニアマネージャーの牛嶋裕之さん、パナソニックホールディングス株式会社テクノロジー本部モビリティソリューション部部長(兼)モビリティ事業戦略室エリアサービス事業戦略担当の東島勝義さんが、つくば市の多用途交流拠点「co-en(コウエン)」で説明会を行い、集まったメディアにむけて実演を披露した。
楽天はこれまでにも自動配送を実証実験などの形で取り組みを積み重ねてきた経緯がある。楽天の向井ジェネラルマネージャーは今回の取組の意義を「手数料110円と有料にして実際の形に近づきました。これまで扱えなかった冷蔵、冷凍品も扱えるようになりましたし、注文アプリには『いますぐ配送』とオンデマンド機能を追加しました。注文をしてから最短30分でご自宅に届きます。少子高齢化社会の中で、配送員は減り、配送ニーズは増えます。運ぶコストの上昇が見込まれる中でも、UGVを使うことで最終的には人よりも安く運べるようにしたいと考えています。まずは実際に体験いただいて、こうしてほしい、といた声をいただいて改善を続けていきたいと。安価で便利な配送サービスをつくることが今回のミッションです」と話した。
パナソニックの東島部長は「X-Areaロボはフレキシブルであり、かつ、機能安全に関する国際規格に適合したユニットを搭載した安全自律走行プラットフォームです。万が一システムが不安定になっても絶対にとまります。いわば、自由度をもってサービスにとけこみ、それでいてぶつからないロボットです。運用面でも、現場の事業者が容易に運用できるほか、複数エリアを東京の1か所で集中管理してより実用化に近づけました」と実用化に向けた工夫を説明した。
楽天の牛嶋シニアマネージャーはデモンストレーションの概要を説明。自動配送ロボットが通るルートや、店舗スタッフが注文を受けてから店内で荷物をピックアップし、ロボットに乗せ、利用者が通知を受けて、受け取るまでの流れを説明した。5月28日の配送初日も、運用現場で配送状況を見守った。
UGV配送については2022年3月4日に道路交通法の改正案が閣議決定され制度化が進む見込みとなった。2022年2月18日には一般社団法人ロボットデリバリー協会が、楽天やパナソニックのほか、川崎重工業株式会社、株式会社ZMP、TIS株式会社、株式会社ティアフォー、日本郵便株式会社、本田技研工業株式会社の8社で発足、その後、正会員、賛助会員が加わるなど勢力を拡大し、実装へ向けた環境が整いつつある。
ロボティクスプラットフォームを提供するチューリヒ工科大学発のスタートアップ、Rapyuta Robotics株式会社(東京都江東区)は3月2日国際物流大手UPSグループの、UPSサプライチェーンソリューション・ジャパン株式会社(東京都港区)と、物流倉庫向け協働型ピッキングアシストロボット(AMR)の導入に向けた覚書の締結をしたと発表した。今後、2021年度中のAMR導入に向けて検討を本格化する。
協働型ピッキングアシストロボット(AMR)は、Rapyuta Roboticsが開発したロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」で制御された柔軟性と拡張性を持つロボット。国内では2020年7月に物流倉庫向けとして初の商用化を果たした。UPS向けでは現在、Rapyuta Roboticsが提供するシミュレーターに、導入候補先の出荷情報、商品情報、レイアウト図などを入力し、AMRを導入した際の動線や期待生産性などの分析を進めている。
AMRのシミュレーターは、AMRの自由度の高い走行や、予測難易度の高い数多くの動きのパターンに対応できるよう最適化したシステム。AMRと同じソフトウェアで人の動きを含めた現場状況を再現し、稼働するロボットの台数、協働するスタッフの人数に応じた期待生産性の試算や、想定されるオーダーに対して出荷期限までにピッキング作業を完了出来るかどうかを検証できる。
特定の要素を変更した分析も可能。このため倉庫で棚の配置や通路幅などのレイアウトや棚割りの変更を行った場合の、生産性の改善程度を検証したり、作業のボトルネックの探索が可能という。
AMRは物流倉庫に導入するさい、既存の棚、人を活かして導入することが可能なところが大きな特徴だ。物流倉庫向けロボティクスソリューションは多くが大規模な導入工事や環境構築が必要だが、AMRではその負担が大幅に解消できる。同社のロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」と連携することで、棚のレイアウト変更や取り扱う商材の変化、需要の増大にも対応する。