大阪市 の記事一覧:3件
  • 2023.4.17

    「プレ万博」開幕、展示の主役はドローンと空クル 大阪・関西万博まで2年のカウントダウンイベント

    account_circle村山 繁
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    大阪・関西万博開幕の2025年春までちょうど2年となった2023年4月13日、大阪万博機運を醸成するイベント、「咲洲プレ万博」がアジア太平洋トレードセンター(ATC、大阪市住之江区)で始まり、こけら落としイベントの「ATC OSAKA MIRAI EXPO」では、ドローンやいわゆる空飛ぶクルマに関する展示が中心的な存在感を示した。ATC OSAKA MIRAI EXPOの初日の13日には橋下徹元大阪府知事も行われ、多くに来場者でにぎわった。ATC OSAKA MIRAI EXPOで開幕した咲洲プレ万博は、今後年間50以上の催事を予定している。

    SLT、エアロファシリティー、エアモビリティー、NIROなどが来場者に説明

     ATC OSAKA MIRAI EXPOは、ATC OSAKA MIRAI EXPO実行委員会の主催、咲洲プレ万博実行委員会の共催で行われ、大阪府、大阪市、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、公益社団法人2025年日本国際博覧会が後援した。13~16日の4日間が会期で、平日の13、14日には「Business Day」として、先端技術の社会実装を見据えた展示や商談会、セミナーなどが行われた。

     展示の中心はドローンやいわゆる空飛ぶクルマなどの関連技術だ。エアロファシリティ株式会社(東京)は、いわゆる空飛ぶクルマが着陸するためのポートを提案していて、豊富なヘリポート設置実績を生かしてポートの情報や、ヘリポートにも使えるゴム製マット「パズルマット」を告知、来場者にはつなげて使うマットのサンプルを見せたりした。同社は大阪・関西万博でっ会場内離着陸場運営協賛者に選ばれたオリックス株式会社(大阪市)や関西電力株式会社と協定書を締結している。

     機体開発のスカイリンクテクノロジーズ株式会社(SLT、神戸市)も会場にブースを設け、同社が開発する6人乗りのチルトウイング型のリフト&クルーズ機の実物の6分の1の模型を展示した。会場では森本高広CEOも来場者を迎え、問い合わせや相談にていねいに応じていた。

     販売プラットフォームなどのサービス開発を進めるエアモビリティ株式会社(東京)は機体メーカーと部品メーカーとを結ぶeコマースサイト「AeroMall」(https://aeromall.jp)などを来場者に紹介した。同社は販売プラットフォームの開発を手掛けていて、スイスの機体メーカー、デュフォー社(Dufour Aerospace社、チューリヒ)と日本市場での代理店契約を締結したことを発表している。

     大阪府もVRゴーグルを装着して空飛ぶクルマのバーチャル乗車体験ができるブースを設置。多くの来場者がVRゴーグルをかけて歓声をあげていた。

     そのほか、公益財団法人新産業創造研究機構(ナイロ、神戸市)が兵庫県と共同でブースを設置しこれまでの取り組みを紹介。過去に41の事業を実現させた実績がありブース内には連携した企業の名前が掲げられている。KDDIスマートドローン株式会社(東京)。TOMPLA株式会社(新潟市)、セブントゥーファイブ株式会社(東京)、日本化薬株式会社(東京)など、ドローンや空飛ぶクルマに関わる企業の名前も多くみられた。

     また一般社団法人MASC(岡山県倉敷市)などが、中国EHang(イーハン)社のEHang216を展示し、来場者が写真におさめたり乗り込んだりしていた。

     なお講演では橋下徹元大阪府知事が登壇。万博をテーマとしながら、空飛ぶクルマについても「大いに期待していますよ。推進しなきゃいけない立場ですからね」と述べた。

     講演では少子高齢化への対応についての危機感を中心に言及し、「高度成長のリニア型の時代はすばらしいものを作ればよかったが、これからは成熟時代でサーキュラー型。すでにあるすばらしいものを、つなげて、まわして、付加価値にすることが大切」「万博はイベントではなくソリューション。今後、世界の各国も高齢化に突入することを考えると、日本は先取りして取り組んでいることになる。日本の取り組みは輸出できる。少子高齢化を強みに。一市民として無責任に言えば、人口減省のドバンテージを実験的につなげてソリューションとして提供していければいいと思う」などと持論を展開し、会場から拍手を浴びた。

    大阪府は空飛ぶクルマの乗車をバーチャル体験できるブースを設置。多くの来場者でにぎわった
    開発中の機体の6分の1サイズモデルを示すSLTの森本高広CEO
    エアモビリティーのブース7では社員が来場者に取り組みを説明。興味津々で話し込む来所者の姿も
    NIRO(公益財団法人産業創造研究機構)のブースにはこれまで取り組んだ41の事業などで連携した企業や団体の名前がずらり
    ドローンを前面に押し出したNIRO(公益財団法人産業創造研究機構)のブース
    着陸どうする?のソリューションを展示したエアロファシリティーのブース
    展示されたEHang216には来場者が乗り込んだり写真におさめたりしていた

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.3.15

    パイロット搭乗の空クルが大阪城公園を飛行 丸紅が米LIFT社の1人乗り機HEXAで実証実験

    account_circle村山 繁
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     いわゆる空飛ぶクルマの実現に力を入れる商社大手の丸紅株式会社(東京)は3月15日、米LIFT社(LIFT AIRCRAFT INC.)の1人乗り乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)の操縦者が乗って飛行する実証実験を、大阪市の大阪城公園で実施した。都市部での空クルの有人飛行は国内で初めてだ。HEXAは公園内の決められたエリア内で、垂直に離陸し、上空で旋回し、許可されたエリアを周回して、空の移動の手軽さを関係者、報道陣などに印象付けた。同型機の飛行トレーングを受け、操縦資格を取ったGMOインターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿代表も操縦士の1人として参加した。熊谷氏は飛行中に操縦席から手を振るなど空の移動の楽しさをアピールし、2025年の大阪・関西万博での商用運航を目指すエアモビリティの社会受容性向上に一役買った。

    日本初のパイロット搭乗飛行 GMO熊谷氏が操縦シーンを披露

    大阪城を背景に飛行する1人乗りエアモビリティHEXA。GMOインターネットの熊谷正寿代表が操縦している

     日本初のパイロット搭乗飛行は、GMOインターネットの熊谷正寿代表が飾った。LIFT社の創業者でCEOのMatthew Chasen氏も現地で見届けた。

     この日の実証実験は、大阪城公園内の野球場に飛行エリアを設定して行われた。国土交通省航空局などとあらかじめ念入りに調整し、電子的な網であるジオフェンスをはって、機体の暴走を防止するなどの対策をとった。

     飛行した機体、HEXAは米LIFT社が開発した1人乗りの機体で、米連邦航空局(FAA)が「ウルトラライト級」に位置づけている。飛ばすために国が定める免許証を取得する必要はなく、LIFT社の提供するトレーニングを受ければ乗れる。座学、シミュレーター体験、実技など1時間ほどのトレーニングで、ビギナーとしての操縦士証明を受けられる。FAA Part103に該当する機体で、全長4.5m、高さ2.4m。小型のプロペラ18基を備える。113㎏の積載量で飛行速度は最高で時速101㎞、飛行時間は約15分だ。

     機体には飛行直前にバッテリーが取り付けられた。GMOインターネットの熊谷代表が乗り込むと、まもなくプロペラがまわり始めふわりと浮かび上がった。モーター音はするものの、エンジンの爆音はなく、見守っていた関係者や報道陣から「威圧的には聞こえない音。周囲の人を怖がらせることはないのではないか」、「大型トラックのほうがずっと耳障り」などの感想が聞かれた。機体は上空8メートルほどの高さまで上昇すると、エリア内をすいすいと移動した。

     飛行中の熊谷代表は、自動車の運転席に座っているような姿勢だ。正面はガラスに覆われているものの、両サイドにドアはなく、足も外気に当たりっぱなしになる。足の置き場はあるが、スキー場のリフトに似た印象だ。操縦席には中央にタブレット、右手に操縦桿がわりの3軸ジョイスティックがあり、これらを使い分ける。機体の傾きなどの制御は自動で調整されるため、移動する方向や速度を指示すればよい。熊谷代表は飛行中、操縦席で両手を広げたり、手を振ったりと、簡単で楽しく手軽な乗り物であることをアピールした。3分ほど空中で移動、旋回したあと、無事、着陸した。

     この日は無人での飛行や、LIFT社のテストパイロットによる飛行も行われた。実験としては、騒音のほか、18枚のプロペラが起こす風の影響も確認した。

     この実験には、丸紅、LIFT社のほか、株式会社長大(東京)がイベント管理、学校法人ヒラタ学園(大阪府)が申請支援、損害保険ジャパン株式会社(東京)がリスクアセスメントで関わった。また大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」も協力した。

    報道陣が見守る中、初めてのパイロット搭乗飛行を披露した米LIFT社のHEXA
    質問に回答するLIFTの
    大阪城を背景に飛行する1人乗りエアモビリティHEXA。GMOインターネットの熊谷正寿代表が操縦している
    飛行をおえ報道陣の取材に応じるGMOインターネットの熊谷正寿代表。空クルが手軽で身近で簡単をあると印象づけた

    「手軽な空の移動の実現を日本で」丸紅執行役員・岡﨑氏が意欲

    大阪城公園での実証実験で飛行の前に行われたあいさつ。上段は左から丸紅・吉川氏、岡﨑氏、下段は左から長大・菊池氏、大阪商工会議所・松本氏、LIFT社・Matthew ChasenCEO

     実験の冒頭には関係者があいさつをした。

     大阪商工会議所の松本敬介産業部長は「この実験は万博機運醸成と未来社会のイノベーション創出に向けて実施した。大阪が日本を代表する実験都市であることをPRしつつ、空飛ぶクルマの実現の第一歩を刻みたい」とあいさつした。

     丸紅の執行役員で航空・船舶本部長の岡﨑徹氏は「この実証飛行は大阪府などの公募事業に採択を受けて実現した。パイロットが搭乗して上下、旋回など複数のパターンで実施する。国交省航空局の策定している空飛ぶクルマの試験飛行ガイドラインにのっとって申請し、承認を頂いた。飛行を通じて、空を飛ぶクルマがすでにあること、静粛性があることを発信し社会受容性向上に結び付け、空の移動をより身近にしたい。万博では空飛ぶクルマの運航事業者にも選ばれており、日本の空飛ぶクルマのフロントランナーとして活動したい。航空業界で幅広いネットワークもあり、多角的事業のノウハウももち、空飛ぶクルマのエコシステムを形成していく。『できないことはみんなでやろう』を合言葉に、手軽でグリーンな空の移動を日本で実現する」と抱負を述べた。

     LIFTのMatt ChasenCEOは「われわれの提供する未来の空のフライトのヴィジョンを共有できることを光栄に思っている。われわれは長い歴史の中ではじめて、ほんの短い時間で安全に空を移動する技術を身につけることのできる空飛ぶクルマHEXAを開発した。米国ではウルトラライト級と位置付けられ、既存の操縦資格を持たずにLIFT社独自のトレーニングを受ければ飛ばせることになっている。5年の開発で2023年の後半には有償飛行体験をローンチする計画だ」と話した。

     長大の事業戦略担当施行役員で事業戦略推進統括部の菊地英一氏は「もともとは瀬戸大橋のプロジェクトをたちあげるときにできた会社。インフラ整備に注力してきた歴史がある。今後空の移動のインフラ整備にも取り組みたい。飛ばす基準などで関わりたい。風や騒音の基準づくりも担い、今後の検証にいかしたい。離着陸場も重要になろう。その設計、運航にも取り組む。建設コンサルタントとして地方に貢献したい」と説明した。

     実は進行役を務めた丸紅航空宇宙・防衛事業部の吉川祐一氏も、LIFT社のライセンスを取得した日本人の一人として、2月23日に大阪・梅田で開催された空の移動革命シンポジウムに登壇していた。この日は進行のほか、会場から寄せられた質問にも答えた。会場からは万博での運航としてLIFTは現時点であがっていないことに関する質問があがり、吉川氏は「現時点ではその通り。ただし今後、遊覧や近距離の2地点間移動などの事業者の募集があれば挑戦したい」とLIFT社の機体の活用に意欲を見せた。

     また飛行をおえたあとGMOの熊谷氏は報道陣に囲まれる中、「機体は安定していて自動車を運転しているような感覚だった。会社としてはハッキング対応などの事業を進め、こうした技術で空飛ぶクルマの社会受容性向上に貢献したい」などと述べた。

    なお、この日(3月14日)に丸紅が発表したプレスリリースは以下の通りだ。

    ■パイロットが搭乗・操縦する空飛ぶクルマの実証飛行の実施について~日本初の取り組み~2023/03/14、丸紅株式会社

     (編集部注:原文のサイトはこちら) 

     丸紅は、米国LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)が開発・製造する一人乗り電動垂直離着陸機(以下、「eVTOL」)“HEXA”を用いて、上下飛行や旋回飛行等の複数の飛行パターンを有人にて行う実証飛行(以下、「本実証飛行」)を大阪城公園内野球場にて実施しました。屋外スペース(*1)において、パイロット(*2)が搭乗し操縦する空飛ぶクルマを飛行させるのは、日本で初めての取り組みとなります。

     本実証飛行は、大阪府が公募した「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」(*3)、および公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が公募した「2025年日本国際博覧会に向けた実証実験の実施候補者」に採択されたものです。空飛ぶクルマの有用性や利便性、新たなビジネスの創出・拡大への期待を多くの人々へ発信することで、社会受容性の向上に貢献することを目的として実施し、大阪府、大阪市、および大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」の支援を受け、計画された飛行パターンを全て成功させました。

     丸紅は、eVTOLの日本市場への展開を目指し、日本国内における社会受容性の醸成やエコシステムの形成を図るべく、2021年度よりLIFT社と連携を深めてきました。LIFT社は、2017年に米・テキサス州で創業された1名乗りのeVTOLメーカーで、米空軍と提携し特別プログラムを実施しているほか、2023年より全米25都市で一般向け有償体験飛行の実施を予定しています。

     今後、丸紅とLIFT社は、電動で気候変動対策に大きく寄与する空飛ぶクルマの実装に向けた取組を加速させ、空の移動がより安全で身近な社会を創造すると同時に、低炭素化・脱炭素化を含む気候変動対策に貢献します。

    (*1)大阪城公園内野球場にて、航空局の許可を得て実施。

    (*2)本実証飛行における操縦については、航空機一般の特性を理解し、航空法規や気象・運航に関する一定の知識を有していることに加え、独自の訓練・試験に合格したLIFT社発行の操縦資格を有している操縦者を採用。

    (*3) 共同事業者の株式会社長大(人・夢・技術グループ)と共に採択。

     

    GMOインターネットグループも以下の発表をしている。

    ■2023年3月14日、日本初公開・グループ代表 熊谷正寿がパイロットとして「空飛ぶクルマ」を実証飛行~安心・安全な「空の移動革命」実現への取り組み~GMOインターネットグループ株式会社

     (編集部注:元サイトはこちら
     GMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2023年3月14日(火)に、大阪市の大阪城公園内野球場にて、大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪(以下、「チーム大阪」)」が支援し、丸紅株式会社(以下、丸紅)が実施する、国の許可が必要な屋外スペースにおいては日本で初めてとなる「空飛ぶクルマ」の有人実証飛行に参加しました。

     実証飛行では、グループ代表の熊谷正寿が「空飛ぶクルマ」のパイロットを務め、およそ10分間、上下飛行、直進及び緩旋回飛行などを行いました。

     今回の実証飛行は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が、万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けて実施した、2025年大阪・関西万博の会場である夢洲における実証実験の公募で採択されたもので、チーム大阪が実施を支援しています。

    【「空飛ぶクルマ」実証飛行 参画の背景】

     グループ代表の熊谷は、かねてより空に大きな夢を抱き、ヘリコプターと飛行機の操縦免許を有する(※1)など、「日本で最も空に精通する経営者」を目指してまいりました。2023年1月には、アメリカ・テキサス州で、米国LIFT AIRCRAFT社製の電動垂直離着陸機(eVTOL)「HEXA」の操縦訓練プログラムを受講し、基準をクリアしたことで、日本人初となる初級・操縦士証の交付を受け、今回の搭乗に至りました。(※2)

     新たなテクノロジーの開発には高度な技術力と専門知識が必要です。熊谷は、自らがパイロットとして「空飛ぶクルマ」を操縦することで知見を蓄積し、安全性を実証いたしました。

     

    (※1)【ヘリコプター】自家用操縦士・回転翼航空機・陸上多発タービン免許

        【飛行機】自家用操縦士・飛行機・陸上多発タービン免許

    (※2)「HEXA」は米国航空法(FAA)におけるPART103(軽量飛行機)基準で飛行するため、米国内で飛行する場合は航空法上の免許は不要ですが、操縦にはLIFT AIRCRAFT社が提供する特定の飛行訓練プログラムを受講し、基準をクリアする必要があります。

    【「空のセキュリティ」確立へ 技術で貢献】

     GMOインターネットグループは、人々の生活をより良くする「空飛ぶクルマ」の普及に向けて、情報セキュリティとサイバーセキュリティ技術による「空のセキュリティ」確立に向けた取り組みを進めています。

     「空飛ぶクルマ」の普及において、最大のリスクはサイバー攻撃による墜落事故です。機体を制御する通信が攻撃された場合、乗客や地域住民の命に関わる墜落事故が起きることが懸念されます。また、通信を乗っ取られた「空飛ぶクルマ」が重要な施設への攻撃に使われる可能性も指摘されています。

     

     こうした中、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(代表取締役社長:青山 満 以下、GMOグローバルサイン・HD)および同社の連結企業群であるGMOグローバルサイン株式会社(代表取締役社長:中條 一郎 以下、GMOグローバルサイン)を中心として、ドローンや「空飛ぶクルマ」の通信の暗号化をはじめとする通信セキュリティ技術や電子認証技術を提供しています。

     また、国内最大規模のホワイトハッカーを組織するGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社(代表取締役CEO:牧田 誠)では、「GMOサイバーセキュリティ for Drone/eVTOL」を提供し、セキュリティの専門家がデバイス、通信、クラウドの脆弱性診断を行うなど、サイバー攻撃から「空飛ぶクルマ」とその管制施設を守る取り組みを進めています。

     

     こうした技術は「HEXA」の飛行にも活用され、GMOインターネットグループが提供する高度なセキュリティ技術が安全性の確保に役立っています。

    (参考:GMOインターネットグループ セキュリティ対策サイト https://www.gmo.jp/security/)

     

    【GMOインターネットグループ・各代表者のコメント】

    ■GMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表 熊谷 正寿

    私はヘリコプターや飛行機を操縦しますが、この「空飛ぶクルマ」は非常に簡単に飛ばすことができました。「空飛ぶクルマ」の一番のリスクはハッキングです。GMOインターネットグループは「空飛ぶクルマ」のセキュリティを担い、情報セキュリティとサイバーセキュリティの観点から「空飛ぶクルマ」の安全を守り、産業の発展を応援します。2025 年の大阪万博で実用化され、その後多くの方々の移動手段として、また、時間節約の手段として活用されることを願っています。

     

    ■GMOグローバルサイン 代表取締役社長 中條 一郎

    GMOインターネットグループが空の安全の一端を担えるよう、電子証明書の側面から支援してまいります。

     

    ■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 代表取締役CEO 牧田 誠

    空飛ぶクルマのセキュリティリスクは通常の自動車やIoT機器よりも大きく、人命にまで及びます。誰もが安心して利用できるセキュアな空飛ぶクルマを作るために技術力で貢献していきます。

    【安心・安全な「空の移動革命」への取り組み】

     GMOインターネットグループでは、空を産業の「最後のフロンティア」と捉え、経済産業省・国土交通省が運営する「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画するなど「空の移動革命」の実現に向けて各種セキュリティ技術の開発・提供を行ってまいりました。

     さらに、2021年には大阪・関西万博でのeVTOLの実用化に向けて協議会内で発足した、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」にも参画し、産官学構成員とともにeVTOL活用のコンセプトや運用計画策定等の具現化を図るべく検討を進めてまいりました。

     これらの取り組みを通じて、安心・安全な「空の移動革命」を実現するためのさらなるセキュリティ対策技術の開発に取り組み、次世代モビリティ産業の成長に貢献していきます。

    (参考)

    ■GMOインターネットグループ グループ代表・熊谷正寿が「空飛ぶクルマ」のパイロットに~日本人で初めて初級・操縦士証を取得~(https://www.gmo.jp/news/article/8204/)

    ■GMOインターネットグループ、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」へ参画~2025年開催の「大阪・関西万博」における空飛ぶクルマの運用開始に向けセキュリティ技術で貢献~(https://www.gmo.jp/news/article/7285/)

    ■GMOインターネットグループ、「空の移動革命に向けた官民協議会」へ参画が決定~セキュリティ技術で空の安全を守り、次世代モビリティ産業の成長に貢献します~(https://www.gmo.jp/news/article/7228/)

     大阪市も実験前に以下を発表している。

    ■報道発表資料 日本初公開 操縦者(パイロット)が乗り組む「空飛ぶクルマ」の実証実験を支援します

     

     

    (編集部注:原文のサイトはこちら
    大阪市、大阪府、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪(以下、「チーム大阪」という。)」は、丸紅株式会社が大阪城公園で実施する「空飛ぶクルマ」の実証実験を支援します。

     今回の実証実験は、米国のLIFT AIRCRAFT社製の一人乗り電動垂直離着陸機(eVTOL)“HEXA”を使用し、上下飛行、旋回飛行等、幾つかの飛行パターンによる、日本で初めての操縦者(パイロット)が乗り組む「空飛ぶクルマ」の飛行を、国の許可が必要な屋外で実施するもので、本実証実験を通じて、「空飛ぶクルマ」を活用したサービスの認知度を高め、社会受容性の向上に貢献するとともに、得られた調査結果を今後の事業性評価に活用します。

     大阪市では、これまで国や大阪府等とも連携し、「空飛ぶクルマ」の2025年大阪・関西万博(以下、「万博」という。)での実現をめざし取組を進めてきました。万博の開幕まで2年余りという時点での、日本で初めてとなる本実証実験は、「空飛ぶクルマ」の万博での実現に向けた社会受容性の向上や万博後の大阪での社会実装に向け、非常に重要なものであり、「空飛ぶクルマ」の実現によるイノベーションの創出や大阪経済の活性化にも大きく貢献することが期待されます。

     チーム大阪では、今後も先端技術を活用した実証実験の実施を支援することにより、「未来社会の実験場」をコンセプトとする万博に向けて、大阪で新たなビジネスを創出する機運を更に高め、「実証事業都市・大阪」の実現をめざします。

     

    実証実験概要

    実施日

    令和5年3月14日(火曜日)、15日(水曜日)

     

    実施場所

    大阪城公園内野球場(大阪市中央区大阪城3番 大阪城公園内)

     

    実施主体

    丸紅株式会社、LIFT AIRCRAFT INC.(共同事業者:株式会社長大)

     

    実施内容

    上下飛行(有人/無人)

    直進及び緩旋回飛行(有人/無人)

    四角い経路飛行(有人/無人)

    <大阪商工会議所画像:LIFT AIRCRAFT社製“HEXA”(写真提供:丸紅株式会社)

    参考

     本実証実験は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会及び大阪商工会議所による「万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けた『夢洲における実証実験の公募』」に採択されたもので、チーム大阪として大阪市が中心となり、実証実験場所の選定に係る調整や施設管理者との調整等の支援を実施しています。

     なお、本実証実験場所は、夢洲での実施に向け協議・調整していましたが、当初想定していたスケジュールに変更が生じたことなどから、大阪城公園内野球場での実施となりました。

     また、本実証実験は、大阪府の「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」事業としても採択されています。

    LIFT AIRCRAFT社製“HEXA”(写真提供:丸紅株式会社)

    ■GMO熊谷代表が米LIFT社の操縦資格を日本人初取得の記事はこちら

    ■大阪・関西万博での空クル運航事業者決定の記事はこちら

    ■VolocopterのVoloCity大阪で初お披露目、の記事はこちら

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2022.6.7

    SkyDriveが型式ノウハウ持つジャムコと協業 認証取得へ体制強化

    account_circle村山 繁
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    空飛ぶクルマ開発の株式会社SkyDrive(愛知県豊田氏)は6月7日、航空機用内装品メーカーの株式会社ジャムコ(東京都立川市)と「サポーター契約」を締結したと発表した。ジャムコも同日、同じ内容を発表した。ジャムコの航空機客室内装品開発のスペシャリストがSkyDriveに出向する。ジャムコはグループとしてFAA(米国連邦航空局)からの委任を受けて型式証明などの認証業務を代行する米国拠点を持ち、機体改造設計などで豊富な知識、経験を持つ。ジャムコの知見を空飛ぶクルマ開発に提供することなどを通じ、両者で2025年の大阪ベイエリアでのサービス開始と産業創出を目指す。

    2025年のサービス開始と産業創出目指す

    ジャムコは、旅客機の座駅、客室内装、厨房設備や航空機用炭素繊維構造部材のメーカーで、航空機の整備事業も行っている。グループでは、FAAの委任を受けて型式証明などの認証業務を代行する米国拠点も持つ。ジャムコは今回の協業を土台に、こうしたノウハウをSkyDriveに提供し、空飛ぶクルマの産業創造に力を合わせる。

    SkyDriveは4月27日、型式証明審査の適用基準(Certification Basis)を「耐空性審査要領第 II 部(第61改正)」ベースで構築することについて、2022年3月に国土交通省航空局と合意したことを発表し、認証工程がひとつ進んだことを公表した。審査対象は2025年の事業開始を目指す2人乗り機体「SD-05型機」で、2025年の実装に向けた取り組みを強化している。

    4月28日にはボーイング、ボンバルディア、三菱航空機などで活躍したPhillip Sheen氏、Amar Ridha氏が開発に参画したことも公表しており、今回の競合も、2025年の実装を見据えた取組の一環と位置付けられる。

    SkkyDriveによる発表は以下のとおり

    航空機用内装品メーカーのジャムコと協業 ~米国連邦航空局から型式証明等の認証業務を代行する ジャムコからの知見共有により開発を強化~

    「空飛ぶクルマ」(※1)および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO  福澤知浩、以下「当社」)は、株式会社ジャムコ(本社:東京都立川市、代表取締役会長 大喜多治年、以下「ジャムコ」)とサポーター契約(※2)を締結し、ジャムコの航空機客室内装品開発のスペシャリストが当社に出向する形で、協業を開始する事をお知らせします。

    ■ 契約提携の背景

     当社は、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動 に空を活用する」未来を実現するべく、「空飛ぶクルマ」と 30kg 以上の重量物を運搬で きる「物流ドローン」を開発しております。2019年に日本で初めて『空飛ぶクルマ』の有人飛行に成功し、現在2人乗りの機体を開発しています。2025年に大阪ベイエリアにおいて『空飛ぶクルマ』を利用したサービスの開始を目指しています。

     ジャムコは、旅客機の客室内装品(厨房設備、化粧室、座席等)の製造、航空機用炭素繊維構造部材の製造、各種航空機の整備事業を行っています。また、グループでは、FAA(米国連邦航空局)からの委任を受けて型式証明等の認証業務を代行する米国拠点を保有され、機体改造設計等の業務に関する豊富な知識、経験を有しています。

     今後、ジャムコは航空機業界での実績を契機に、空飛ぶクルマの産業創造、モビリティの進化を応援するという意向の元、当社と「サポーター契約」を結ぶ運びとなりました。

     

     当社が開発中の『空飛ぶクルマ』の実用化に向けて、ジャムコからは機体構造・内装設計業務、認証取得業務に資する航空機内装の設計開発技術、認証技術、航空機の運航・整備等に関する技術を当社へ提供いただき、エアモビリティ社会の実現を共に目指してまいります。

     

    ■ 株式会社ジャムコについて

      「技術のジャムコは、士魂の気概をもって」の理念を基に、『航空機内装品製造事業』、『航空機シート製造事業』、『航空機器製造事業』、『航空機整備事業』の4つの事業を柱として、それぞれの領域・分野で”No1”を常に目指し、お客様に快適でラグジュアリーな空の旅を提供されています。

     

    コーポレートサイト:https://www.jamco.co.jp/ja/index.html

     

    ※1 空飛ぶクルマとは:明確な定義はないが、「電動」「自動(操縦)」「垂直離着陸」が一つのイメージ。諸外国では、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)や UAM(Urban Air Mobility)とも呼ばれ、新たなモビリティとして世界各国で機体開発の取組がなされている。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進んでおり、日本においても 2018 年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、2030 年代の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。

    引用元:国土交通省(令和 3 年 3 月付)

     https://www.mlit.go.jp/common/001400794.pdf

    引用元:経済産業省(令和 4 年 3 月付)

    https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/008_01_02.pdf

    ※2 サポーター契約とは:株式会社 SkyDrive におけるサポーター契約とは、契約締結企業から部品割引や工数提供という形で支援をいただきながら、空の産業革命をともに創造していくプログラム。

    2SkyDriveは2021年9月、025年のサービス開始に向けて大阪府、大阪市と連携協定を結んだ=2021年9月14日(大阪市)
    連携協定を締結したさいに大阪府知事、大阪市長に説明するSkyDriveの福澤知浩代表取締役CEO=2021年9月14日(大阪市)
    大阪府、大阪市、SkuDriveの連携の発表会は高く注目された=2021年9月14日(大阪市)

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。