建設機械、測量機器の大規模展示会「第6回建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO2024)」は、5月22~24日の会期中の来場者が前回比5.6%増の4万2466人だったと発表した。来賓、報道などを含めた総来場者数は4万7294人だった。今回の第6回CSPIは規模、出展者とも過去最大で臨み、来場者も増えた形だ。次回は「国際建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」と装いを改め、千葉。幕張メッセで4日間に期間を拡大して開催する。
第6回CSPIの総来場者は前回実績を2616人(5.8%)増加した。展示ホールや屋外展示ホールなど展示スペースを拡大。オープニングセレモニには42人もの関係者がテープカットに並んだ。
見上げるような大型建機などに加え、ドローン、レーザースキャナー、水中ドローンなどのブースも多く、ドローン関係者が来場する姿も多かった。
第7回は2025年6月18~21日の4日間、千葉・幕張メッセで「国際建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」として開催される計画だ。
建設機械、測量機器の大規模展示会「第6回建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO2024)」で、ドローンや関連技術の存在感が高まっている。会場の中央エントランスでは、天井から吊るされたアミューズワンセルフの展示案内が来場者を迎えるほか、広大な展示会場にはDJI JAPAN、アミューズワンセルフ、スペースワン、ジュンテクノサービス、セキドなどドローン、水中ドローン、グリーンレーザーなどの関連技術が数多く出展されている。開催初日には一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事業も、講演の冒頭に「昨年度に比べ今年度はドローンや関連技術の展示がさらに増えている印象を持ちました」と話した。CSPIは24日まで。
CSPIは千葉市の大型展示会場、幕張メッセで5月22日に開幕した。CSPIそのものの規模は大きくなった。展示スペースは幕張メッセの1~6ホールにまたがっているほか、屋外展示場も含めて4万7千㎡になり、455社が出展している。主催者によると過去最大の規模という。初日の開場直前に行われたオープニングセレモニーでは、開会を告げるテープカットが行われ、主催者、業界団体代表など42人もの開催関係者が2列にわたりずらりと並び、合図にあわせてハサミを入れた。JUIDAの鈴木真二理事業も参加した。
来場者はホールに足を踏み入れる前にドローンの存在感に触れる。幕張メッセの「中央エントランス」口から入るとすぐ、天井から吊るされた巨大な株式会社アミューズワンセルフ(大阪市)の展示案内が視界に飛び込む。視線の先のイベント名である建設・測量生産性向上展」の表示板よりも目立ち、同社の力の入り具合と、展示会が含む事業領域の中にしめるドローン関連技術の存在感を強調することに貢献している。
アミューズワンセルフは会場内の展示ブースの工夫も目に留まる。大きなブースに離れた場所からでも目に付く構え、色とりどりの華やかな装飾はCSPIの恒例だが、今回はブースの配置にしかたにも工夫がある。通路をはさんで2エリアを一体運用し、より広く見せる工夫だ。も試みている。プレゼンテーションが行われるさいには、ブース内に用意された演台で行われているプレゼンテーションを、通路ごしに聴講できる。レイアウトのアイディアは同社の独自性を印象付けていて、多くの来場者が足を止めていた。
アミューズワンセルフはレーザー技術が中心で、CSPIでもドローン搭載型グリーンレーザーシステム「TDOT 7 GREEN」(ティードットセブングリーン)、グリーンレーザーを搭載する独自開発ドローン「GLOW.H」を柱に、グリーンレーザーを搭載できる他社機などを展示している。
このほか、ドローン関連として知られる企業が多く出展している。DJI JAPAN株式会社(東京)は、多機能格納庫の新製品「DJI Dock2」(ディージェイアイドック2)」や新型ペイロード「ZenmuseH30」(ゼンミューズH30)シリーズなどを、DJI製品を扱う株式会社セキド(東京)もDJIの物流機「DJI FlyCart 30」などを展示し、客足を止めていた。
水中ドローン普及の火付け役、株式会社スペースワン(福島県)は、中国・深圳に本社を置く水中ドローン大手、Chasing-Innovation Technology Co.LTD(チェイシング社)の新型機「CHASING X(チェイシングエックス)」を展示している。今春に海外で初公開されたさいには最深350メートルまで潜航できる性能で話題を集めた。今回は日本でそのデザインが初めて公開されたこともあり、大きなブースにひっきりなしに来場者が訪問している。ブースでは連日、関連するさまざまなテーマを取り上げて説明会を開いており、開始時刻の毎正時には多くの来場者が集まり、説明に耳を傾けている。またCSPIにあわせてCHASING社の幹部が来日し、利用者層のニーズを確認している。
株式会社ジュンテクノサービス(埼玉県)も、中国の水中ドローン製造大手、Shenzhen QYSEA Tech Co.,LTD(QYSEA社、キューワイシー)の3万ルーメンのLEDを備えて推進350mまで潜れる新型水中ドローン「FIFISH X2」など新製品3機種など日本で初めて公開する製品などを展示している。ブースでは引野潤代表、ササモモ(佐々木桃子)さんら、知名度の高いスタッフが製品、用途、サービスなどについて説明している。
このほか定評あるエアロボウィングを展示する株式会社エアロセンス(東京)、公共測量に対応する「FLIGHTS SCAN」のリニューアル版「FLIGHTS SCAN V2 M2X」や、マルチユース向けのバックパックなどを展示している株式会社FLIGHTS(フライト、東京)、Z30ポータブルGNSS受信機などを展示しているGNSSスペシャリストのジオサーフ株式会社や、注目度急上昇中の株式会社Autonomy(オートノミー、東京)ほか、多くのドローン、関連技術の事業者が出展している。
水中ドローン事業で知られる株式会社スペースワンが、千葉・幕張メッセで開催中のJapanDrone2022に、日本国内で流行のひきがねとなった中国製の機体とともに、ノルウェイのROVメーカー、BLUEYE社製の水中ドローンを展示している。多くのサカナが水中で泳ぐように、たて型スタイルで水中を進む。国内での展開は未定だが、利用者の選択肢を増やす可能性がある。
展示されているBLUEYEのROVは、仕様書の説明によると本体の大きさは長さ48.5㎝、幅25.7㎝センチ、高さ35.4㎝で重さは8.6㎏。水深305mまで潜れる。4つのスラスターを搭載し3ノットで航行する。スマートバッテリーの搭載で5時間の作業が可能だ。
内蔵カメラは機体と独立して上向き、下向きにチルトが可能で、アクセサリーをつなぐためのポートが3つを備える。照明の明るさは3300ルーメンで、ライブストリーミングが可能だ。
展示したスペースワンは「あくまでも参考のための展示。水中ドローンにも多様性があることを示せると思います」と話している
水中ドローンの普及、人材育成に取り組む一般社団法人日本水中ドローン協会(東京、代表理事・小林康宏株式会社スペースワン代表取締役)は2月6日、海の未来を考える「特別シンポジウム水中(ミズナカ)会議」を開いた。高額ガラスポートや水圧試験機を手がける有限会社アテナ工央(愛知県岡崎市)の平松卓三代表取締役、日本テレビ系『THE!鉄腕!ダッシュ!!』への出演で知られる特定非営利活動法人海辺つくり研究会(横浜市)の木村尚理事・事務局長が基調講演し、それぞれの立場から海を知るきっかけとしての水中ドローンの役割に期待を表明した。水産庁増殖推進部の岡本圭祐課長補佐は、水産庁が取り組む水産業のスマート化に水中ドローンが重要な役割を果たすと述べた。
シンポジウムはオンラインで開催され、約200人が同時視聴した。収録は水中ドローン協会のオフィスにスタジオを設営し、登壇者はスタジオで顔をそろえた。この日のテーマは「水中ドローン×ブルーエコノミー~私たちが水中ドローンで海の未来にできること~海と日本PROJECT」に設定。水産業の資源の供給元としての海が生活から遠ざかっていることへの危機感を主な話題に、水中ドローンを海について考えるきっかけにすることなどについて意見を出し合った。
また水中ドローン協会は、公益財団法人日本財団(東京)の「海と日本PROJECT」に採択された「水中ドローンで知る『私たちの海』」と名付けた小中学生向けの体験教室を全国8カ所で開催しており、シンポジウム冒頭で各地の活動状況が紹介された。
青森県では教えるカリキュラムにKJ法を取り入れるなどカリキュラムの工夫が練られていたり、神奈川県ではいけすの魚と振れあうなどイベント性が高かったり、富山県では堤防の内側にあった藻場がなくなってしまった現場を目の当たりにしたりしたなどの状況が報告された。水中ドローン協会の大手山弦事務局次長は「SDG‘sの目標14『海の豊かさを守ろう』と親和性が高い活動です。反響が大きく、うちでも開催してほしい、などの要望も寄せられており、今後拡大を検討しています」と報告した。
基調講演ではアテナ工央の平松代表が、ダイビング、釣り、カメラの趣味を通じて海やそこにすむ生き物の変化に気付き、水中ドローンを使って水中を調査しはじめた経緯を説明した。釣り針やルアーが岩や根株などに引っかかり放置されてしまう状況をみて「目の前で起きている事象は何を伝えているのかを考え、可視化しないといけないと思った」と、「根がかりプロジェクト」を発足させ、可視化に取り組みはじめた。
平松代表が海底清掃などの活動を通じて最も印象に残った光景は「大人が出したごみを子供が拾うこと」という。釣り関係者は根がかりによって海に残った釣り針などを「置き去り品」と呼び「ごみ」と区別するというが、平松代表は「豊かな海を守るために大事なことは、みんなで考えること」と話した。
そのうえで水中ドローンについて、高齢化するダイバーのかわりの活用できるなどの価値を列挙したうえで、「子供たちの前で使っているとみんな寄ってきて楽しそうに目を輝かせます」と水中ドローンの関心喚起の効果を強調。「海のことを考えるきっかけとしてとてもすばらしい」と指摘した。
海つくり研究会の木村理事は、海の美しさを引き合いに出し「人は見た目のきれいなものに騙されることがあります。騙されないためには本質を知ることが重要です」と注意を喚起した。木村理事が藻場づくりなど海の環境保全活動をする中で、人々の営みのしわ寄せが海にたどりつくことにもかかわらず、人々がその実感を持てないでいるのは、海に囲まれた国であるにもかかわらず、埋め立てによって、海に触れる機会が無くなっているからではないかと分析。「もう一度海と人、自然と人をつなぎ直さなくてよいのか」と問いかけた。
一方で、海をテーマにした討論はしばしば、大勢がごみを捨てる実態に警鐘を鳴らして終わることを逆手にとり、「それは大勢がごみを拾えばそのぶんきれいにできると考えられるのではないか」と呼びかけた。そのためには、実態を伝える水中ドローンへの期待は高く、「位置情報が取得でき、水が濁っていても撮影でき、水温、塩分、phが図れるなど機能が充実することを期待したい。たとえば藻場の面積が図れれば、そこに固定化できるCO2が算出できる」などと要望した。地球温暖化対策に関連して、「藻場の造成でCO2固定化を強化することよりも、排出を抑制することが先決」とくぎを刺した。
このあと、水産庁の岡本圭祐課長補佐を加えたパネルディスカッションでは、小林康宏代表理事が掲げたテーマにパネリストが発言する形式で行われた。「水中ドローンでSDG‘sに貢献できること」について、水産庁の岡村課長補佐は「水産庁の立場は海の豊かさを守ること。水中ドローンを含めさまざまな技術が活用可能な価格帯になってきており、魚の種類ごとに生態系の実態をデータとして取得し資源管理につなげたい」などと述べた。水中ドローンの活用法については、海つくり研究会の木村理事が「圧倒的に環境学習です。子供にも使えるので学習にはちょうどいい。ただし、見える、魚がいる、にさらに加える工夫が必要です。何かがいた、だけでなく、なぜいたのでしょう、何をしているのでしょう、と問いかける」などと提言した。
この答えにアテナ工央の平松代表が賛同し、「水中ドローンは考えさせるきっかけになります。なにより子供たちが夢中になります。魚に近づくにも水中ドローンが適しています。ダイバーとしてもぐると逃げる魚も、水中ドローンからは逃げません」などのエピソードを披露した。そのうえで「こっちでゴミ拾いをしているときに、隣でごみを投入している状況を、子供たちも、関係業界もみんなで考えて頂けたら」と述べた。
水中ドローン協会の小林代表は今後も海や水の課題解 決を進めるうえで、水中ドローンを役立てる考えを表明。小中学生を対象に実施してきた取り組みについては「事業が採択されれば、さらに拡大したい」と表明した。
ドローンの知識、技能の習得に力を入れている神奈川県立海洋科学高等学校(神奈川県横須賀市)の生徒が、ドローンを活用した環境調査に乗り出した。地元、横須賀市の漁場で進行する磯焼けと呼ばれる現象を、海中環境の撮影などで調査する。磯焼けの原因のひとつとされるムラサキウニなどの食害生物の有効活用も模索する。6月16日には同高の所有する実習船で沖合に出て、技能を習得中の水中ドローンで海中の撮影に挑んだ。今後10年間にわたり地元の海を守る課題に取り組む方針だ。
海洋科学高校が参加した海中調査は、ドローン研究、人材育成、社会実装に力を入れる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム、長井町漁業協同組合、横須賀市の取り組み。横須賀市はドローンを課題解決に役立てる実験に協力的で、6月10日には牛丼の注文デリバリー実験の市内での開催に関わった。今回は、調査員が潜水することなく水中を調べられる水中ドローンの有効利用にも範囲を広げた。
調査当日は海洋科学高校の情報通信系列3年生4人が、慶應SFCの研究員らとともに午前中に、同校が所有する小型実習船「わかしお」(19トン、定員38人)に乗りこみ、沖合約1キロメートルの地点まで航行。ここで水中ドローンを使い海中の様子を調べた。磯焼け対策を検討する生物系列の生徒4人も同行した。
この日使った水中ドローンは筑波大学発のスタートアップ、株式会社 FullDepth(フルデプス)の水深300メートルまで潜れる産業機「Dive Unit300(ダイブユニット300)」と、中国・深圳に本社を構える水中ドローンメーカー、QYSEA Technology(キューワイシー、テクノロジー、中国名:鰭源科技)社の「FIFISH V6S」。調査地点までたどり着いたところでドローンを海に投下。学校のプールとは異なり、流れのある海での操作にてこずりながら、機体が少しずつ潜る。水深11メートルほどの海底にたどりつくと、ドローンのカメラがとらえた海底の映像が、ドローンの居場所の水深などのデータとともに、モニターに映し出された。磯焼け対策を講じるにあたり、現状を把握するための重要な映像だ。
生徒たちは、操縦と映像の観察を1時間ほど行った。一行は磯焼けの象徴でもあるムラサキウニなどを採取し、長井町漁港に帰港した。ウニはさっそく研究機関に持ち込まれた。環境の状況を知るためのデータを取得するほか、ウニそのものを食材として活用する方法も探る方針だ。今後10年間、地元の海洋環境の保全に、地元の高校生が身に着けたドローンの知見、技術を生かす。
神奈川県立海洋科学高等学校(横須賀市)で6月2日、水中ドローンを学ぶ授業がおこなわれた。情報を学ぶ生徒16人が、教室で水中ドローンの利点、仕組み、操作のポイントを学んだ後、学校のプールで水中ドローンの操作を体験した。授業はドローンの研究で知られる慶應義塾大学SFC研究所の所員、下田亮氏らが講師を務めた。海洋科学高校では「海に囲まれた地域の海洋科学高校として、強みをいかした人材を育成したい」と話している。
授業では下田氏が水中ドローンの利点を解説した。この中で人が特別な準備をしない場合は、水に潜れる深さは39mで、活動できる時間は最大10分に限られることを説明。そのうえで水中ドローンであればさらに深く潜り、さらに長く留まれると述べた。
また水中ドローンを使った取り組みを動画で紹介しながら、水の中への太陽光の届き方が場所により差があること、ドローンの活動にはプログラミングが深く関わること、水中で行いたい作業のために道具を自作することもあること、など活動の特徴を整理した。
下田氏は「水中ドローンを使うときに大事になるのは、潜れるかどうか、よりも、潜って何をするのか。水中ドローンは潜れて当たり前。それを前提に、水の中でやりたいことをするためのプラットフォームです」と好奇心を刺激した。
このあと水中ドローンの実物の機体を見せながら操作方法などを紹介。持参した水中ドローンは中国・深圳に本社を構える水中ドローンメーカー、QYSEA Technology(キューワイシー、テクノロジー、中国名:鰭源科技)社の「FIFISH V6」で、機体の特徴、電源の入れ方や装備、機体にできる動き機体操作とテザー管理の2人1組で操作すること、機体は水に潜れる一方で送信機は水に濡れないように扱うべきであることなどを解説した。
教室で基礎知識を学んだあとはプールに移動し、生徒たちが実際に操縦を体験した。生徒を2グループに分けてそれぞれ2人1組となった。機体を水に沈め、モーターが回り実際に機体が動き出すと、操作している生徒も、見ている生徒も身を乗り出して機体の動きに視線を送った。前後移動、左右移動、点検などを想定した角度調整などを繰り返すうちに徐々に慣れた様子で操るようになり、中にはインストラクターのアドバイスを受け、機体の進む方向にあわせて体の向きを変えるなど工夫をする生徒もいた。
水中ドローンの授業が行われた神奈川県立海洋科学高校は、海に囲まれた横須賀市にあり、「海を知り、海を守り、海を拓く」を校訓に設定する海洋科学のスペシャリスト養成を掲げる県立高校で、実習船も持つ。3年間の過程を終了した後に、専門性を深める2年間の専攻科も備える。水中ドローンの授業を受けた生徒16人は、水中ドローンを中心に学ぶ班、飛行するドローンを学ぶ班、映像の編集や作品づくりを学ぶ班に分かれている。また生物環境を調査する班の生徒4人も含まれ、水中ドローンを専門に生かす。今回はすべての班が水中ドローンの基礎に触れた。この日の授業の様子を見守っていた学校関係者からは「生徒が生き生きしていることがうれしい」という感想が聞かれた。今後、飛行するドローンの操作も学ぶ方針だ。