経営再建中のドイツのAAMメーカー、ヴォロコプターは3月14日、オーストリアの軽飛行機メーカー、ダイヤモンド・エアクラフト・インダストリーズが統合すると発表した。ダイヤモンドはオーストリアの企業だが、中国の自動車部品・機器製造で航空部門も持つ浙江万豊汽車有限公司(ワンフェン・オート・ホイール)のグループ会社だ。ワンフェングループは3月5日、ヴォロコプターの有形資産と特許、商標などの知的財産を1000万ユーロ(約1100万ドル)で買い取る契約を、ヴォロコプターの破産管財人であるトビアス・ワール氏と交わしている。これにより昨年(2024年)12月26日に破産申請をしたヴォロコプターは中国資本傘下で経営再建とAAMのTC取得、市場投入を目指すことになる。
ヴォロコプターは3月14日、「Diamond Aircraft Reorganized Volocopter Securing its Future in Germany」と見出しを付けたプレスリリースを公表した。「ダイヤモンド・エアクラフトが、ヴォロコプターのドイツでの将来を保証しつつ再編した」と読める。「Reorganized」と過去形だが、再編そのものは今後、具体化すると見込まれ、過去形になっているのは、再編の土台となる契約がすでに交わされたことを示すとみられる。
またプレスリリースは、見出しに続いて「ダイヤモンド・エアクラフトは、本社をドイツのブルッフザールに置いたまま、ヴォロコプター社を統合した」と言及したうえ、再編が経営統合になることや、本社が再編後も現在地に置かれることなどを示している。
プレスリリースは、ダイヤモンド・エアクラフトが中国のワンフェングループを構成する企業であることや、国際的な航空事業年で40以上の実績があることなどを紹介している。そのうえで、今回の再編がもたらす効果について、ダイヤモンド・エアクラフトの業容拡大、ヴォロコプターのコスト削減、雇用維持、2025年までの認証マイルストーン達成に向けて注力する体制の確立などを列挙している。
さらにダイヤモンド・エアクラフト、ヴォロコプターそれぞれの代表者の談話も紹介している。
それによるとダイモンド・エアクラフト・グループのビン・チェン(Bin Chen)会長は「航空の未来は先見の明の持ち主によってつくられます。ダイヤモンド・エアクラフトの幅広いポートフォリオは、ヴォロコプター、VoloCity、将来のモデルによりさらに拡充されます。われわれは共に持続可能な航空モビリティを発展させ、航空分野のイノベーション・ハブとしてヨーロッパを強化する基盤を作り上げます」と述べている。
またヴォロコプターの破産管財人で、ドイツの法律事務所アンカーのパートナーでもあるトビアス・ワール(Tobias Wahl)氏は「ヴォロコプターの高い専門性と意欲を持つチームは、eVTOL業界で常にベンチマークを設定してきました。われわれはこの基盤に立つ強力な戦略的パートナーを見つけました。従業員の精神と献身に感謝します。このチームが欧州経済でインパクトのある仕事を継続できることに感謝しています」とコメントしている。
今回の再編発表は、ヴォロコプターとワンフェンとの間で交わされた資産取引契約が土台となっている。
この契約は、中国の証券取引所が発表したものを、一部の現地メディアが報じた。
それによると契約を交わした当事者は、ヴォロコプター側が、ヴォロコプターの破産管財人であるトビアス・ワール氏で、ワンフェン側が今年(2025年)1月17日にワンフェンの間接的な完全子会社として設立したヘプタス591(Heptus591、本社・ベルリン)だ。
ヘプタス591とワール氏は3月5日(中央ヨーロッパ時間3月6日)、ヘプタス591がヴォロコプターの社屋、工場、在庫などの有形資産と、エアクラフトやドローンシステムに関する特許、Volodrone、VoloCityなどの商標、airtaxi-volocopter.comなどのドメイン名といった知的財産を買い取り、契約上の権利・義務を引き継ぐ取引契約を結んだ。
これらの資産について、ヘプタス591による購入額は1000万ユーロ(約1100万ドル)だ。ヘプタスは全額を手元資金か自己調達資金で賄う。ヘプタス591は共同管理口座を通じて一括して支払う。また購入する資産の価値は4200万ユーロ(約4570万ドル)と算定した。資産の引き渡しにあたって、抵当権や質権が設定されている場合には、権利者が放棄していることや、ワール氏側が、ヘプタス591の雇用計画を実施することが条件となっている。
さらに資産を引き渡したあと、ヘプタス591はヴォロコプター名義の工場、オフィスビルを最長5カ月間、ひと月あたり40000ユーロの家賃を支払う不動産賃貸借の契約を結ぶことや、従業員の労務関係を引き受け、法に基づき、ヘプタス側の雇用計画に沿った配置が行われることなども盛り込んだ。
ワンフェンはヘプタス591を通じたヴォロコプターの資産購入の目的について、「電動垂直離着陸機(eVTOL)は、低高度分野の重要なキャリアとして、安全性、知能性、経済性、環境保護面で大きな優位性を持っています。将来の都市・都市間総合三次元輸送システムの重要な一部で、低高度産業の発展をリードします。当社(=ワンフェン)は、今回のヴォロコプター名での関連有形資産、知的財産権の取得を通じて、低高度分野の世界的な発展と応用を加速させ、先進的なeVTOL製品を開発し、当社の新たな成長エンジンを創出することを目指します」と述べている。
複数の社名が登場するので整理する。
ヴォロコプターが再編相手と公表した企業は、オーストリアのダイヤモンド・エアクラフトだ。ダイヤモンド・エアクラフトは2017年からワンフェングループだ。
一方、ヴォロコプターの契約相手はヘプタス591だ。ヘプタス591は、ダイヤモンド・ヴェルヴァルトゥングスという会社が100%出資して、ミュンヘンの地方裁判所に提出し、ベルリンを本社に設立された。ヘプタス591を設立したダイヤモンド・ヴェルヴァルトゥングスは、軽飛行機メーカー、ワンフェン・アビエーション(万豊航空)の間接的な100%子会社だ。そして、ワンフェン・アビエーションは、ワンフェン・オート・ホイールが55%出資するグループ会社だ。
これにより、ヴォロコプターが昨年12月26日に破産の申請をして以降、不透明だった経営基盤に展望が開けたことになる。同社は2007年9月、ドイツのマンハイム地方裁判所に登記され発足した。eVTOL型AAM開発の代表的な企業の一つとして知られ、飛行試験、機体製造、メンテナンス、販売、エアタクシー運用ソリューションに取り組んできた。EASA(European Aviation Safety Agency、欧州航空安全機関)の最難関基準を満たすことを目指していて、DOA(Design Organization Approval、設計期間承認)POA(Production Organization Approval、生産機関承認)をすでに取得していて、市場投入を目指す2人乗りのVoloCityは型式証明の段階にある。
ヴォロコプターは日本にもっともなじみ深いAAMメーカーでもある。2023年2月21日に国土交通省航空局がヴォロコプターからVoloCityの型式証明の申請を受理したことを発表。申請受理の翌月にあたる2023年3月8日には、当時、大阪・関西万博でエアタクシーとして運航を目指す機体として、VoloCityの実物大モデルをJR大阪駅に隣接する大規模複合施設「グランフロント大阪」で公開していた。12月には大阪・北港緑地では大阪市内、兵庫県尼崎市内の中学生も招いて「2X」のデモ飛行も実施していた。
2024年夏のパリ五輪会場でVoloCityの飛行を計画していたがEASAから基準を満たさない個所があると指摘を受けたことなどから、VoloCityではなく2Xを飛行させるなど計画変更を余儀なくされていた。その後、大阪・関西万博でVoloCityを飛行することになっていた日本航空、住友商事のチームが2024年9月に運用機体を変更することを表明していて、VoloCityは万博での飛行計画からはずれていた。
一方、市場投入を目指す姿勢は維持し続けていて、万博の飛行計画からはずれたさいも、引き続き商用運航を目指す意欲を示していた。2024年12月26日に破産申請したことを、12月30日に公表したが、これも開発を継続するための選択肢だった。破産申請によって2025年3月1日以降、ドイツの破産法に基づいてほぼすべての従業員が職場にはいらないガーデニングリーブを習得しているが、今回の契約締結により、ヴォロコプターに戻る従業員も出てくる可能性がある。ワンフェンも「対象航空機の取得後も、当該機種の型式証明(TC)取得を推進していく予定です」と表明している。
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本、東京)は、3月27日にまちびらきを迎える東京都港区の大型再開発プロジェクト、TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)で、将来的に利用者を空から運ぶAAMを発着させる構想に関連し、導入検討を表明している米ASKA社の機体「ASKA A5」を「中長距離の移動を前提」と位置づけ、中距離以外の距離を飛ぶ機体として他の事業者の参画も視野に入れていることを明らかにした。また離発着ポートについて、将来開発するビルの屋上をポートに活用することも検討していると明かした。
TAKANAWA GATEWAY CITYは、JR品川車両基地の跡地のJR東日本が主導する再開発プロジェクトで、国際交流拠点としてのMICE施設(コンベンション、カンファレンス、ビジネス支援施設)やオフィス、商業施設などが整備される。「100年先の心豊かなくらしの実験場」を掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを展開する。
JR東日本はTAKANAWA GATEWAY CITYについて、将来的に「プレミアム国内観光」のためにAAMを発着させる構想を描いていることをすでに表明している。機体として米ASKA社の陸空両用AAM、「ASKA A5」の導入を検討している。DroneTribuneの取材に対しJR東日本は「ASKA A5」の導入検討の経緯について、「首都圏(高輪)からアクセスが難しい観光地への接続が可能になる航続距離があることから、同社と高輪開発との親和性があると判断しました」と回答し、「ASKA A5」の航続飛行距離が250マイル(約400㎞)あることが判断材料となったことを示した。
またJR東日本は「ASKA A5」の運用について「中長距離の移動を前提」に検討していると表明。目的地として「航続距離である400㎞圏内のJR東日本エリアの観光地などを想定しています」と話している。
このため中距離以外の距離の移動について「他の事業者の参画も視野に検討を進めています」と述べ、他の機体の導入を検討する可能性があることを明らかにした。
実際、JR東日本グループは岩手県岩手郡雫石町の小岩井農場で建設中の高付加価値ホテル「AZUMA FARM KOIWAI」について、「新たな体験価値創造」のひとつとして株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)の機体を活用して、盛岡~ホテル間の送迎や、周辺観光のツアーを行うことを検討していると公表している。SKYDRIVEが開発している機体は小型であることが特徴のひとつで、ASKA A5と使い分けができそうだ。
なおTAKANAWA GATEWAY CITYでのAAMの離発着場所については、「将来開発用地となっている品川方面の開発エリアを想定」していて、「将来的には、将来開発で生み出されるビルの屋上での離発着も視野に検討」しているという。着工時期は「未定」だ。
話題豊富なTAKANAWA GATEWAY CITYは3月27日にまちびらきを迎え、当面は関連サービスを提供するなどのイベントを展開する。ASKA A5の三分の一サイズのモックアップも展示する計画だ。
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本、東京)は2月4日、米ASKA社が開発中のAAM「ASKA A5」の導入を検討していると明らかにした。JR高輪ゲートシティ駅一体型の大型開発「TAKANAWA GATEWAY CITY」で、将来的にここを発着する「プレミアム国内観光」を担う機体となることを想定している。3月27日に迎えるまちびらきでは、関連催事の一環として、実機の三分の一サイズのモックアップを展示する。あわせて、「サービス提供の姿を披露する」としている。
ASKA A5は米ASKA社が開発中のAAM(いわゆる「空飛ぶクルマ」)で、走行と飛行の両方ができることが特徴だ。パイロット1人を含め4人まで乗ることができる。飛行は電動だが、バッテリーのほかに電力を供給するためのガソリンシステムも持つハイブリッド機だ。走行時はSUV車ほどの大きさで技術的には公道が走れる。飛行時には格納している翼を展開して離陸する。仕様上の航続飛行は250マイル(約400㎞)で、計算上は高輪ゲートウェイから仙台市、佐渡、能登半島、奈良などが収まる計算だ。ASKAのHPでは動いている様子を動画で確認できる。
JR東日本はJR高輪ゲートウェイ駅直結の「TAKANAWA GATEWAY CITY」を開発中で、3月27日正午に先行施設の開業などとともにまちびらきをする。JR東日本は「100年先の心豊かなくらしのための実験場」と位置付けていて、まちびらきから数か月間にわたり、サービスやイベントを展開する計画だ。ASKA A5のモックは、イベントの一環としてTAKANAWA GATE CITYの一角にモックを展示し、「サービス提供の姿」を披露する。
TAKANAWA GATE CITYは、AAMのほかのモビリティ関連技術も導入する方針だ。自動走行モビリティ5台が運行し無料で街の回遊に乗車できる。一部は水素由来の電気で動き、水素由来の充電場面を見ることもできる。警備ロボットや清掃ロボット、アプリで注文した商品をオフィスなどに配達するデリバリーロボットも走る構想だ。
ASKAのHP:https://www.askafly.com/
航空宇宙大手のエアバス(Airbus SE)は、AAM開発を2025年までで中断する。同社は現在、AAMの「シティエアバス・ネクストジェン」のプロトタイプを開発中だが、開発を主導するエアバス・ヘリコプターズのブルーノ・エヴェンCEOが2024年の業績に関するメディア向け説明の中で中断方針を明かした。プレスリリースや文書は公表していないが、DroneTribuneの取材にエヴェンCEOの発言が同社の正式な見解であることを認めた。エヴェンCEOは開発中断の理由をバッテリーの技術開発が追いついていないためであることを伝えていて、開発の再開にあたる次のプログラムの策定時期は「近い将来ではない」と説明している。
エアバスが開発している機体はシティエアバス・ネクストジェン(CityAirbus NextGen)のプロトタイプで、全電動(all-electric)の4シーターeVTOL。8つのローターと固定翼で飛ぶリフト・アンド・クルーズ型で、80kmの距離を航続飛行でき、時速120kmで巡航する設計だ。パイロットが搭乗しない自動操縦機を目指している。体として開発が進められている。2024年初頭に一般公開し、同年11月に開発プログラムの一環として試験飛行に着手し、現在も試験中だ。
エヴェンCEOは1月27日のメディアを前にした説明の中で、現在の開発プログラムをレビューした結果として、「バッテリー技術は、就航に必要な最低レベルの性能を満たすにはまだ進化していないという結論に達した」と述べた。
同社は10年ほど前からAAM開発に取り組んでおり、主に4人乗りのシティエアバス、1人乗りのeVTOL型AAM、エアバスヴァハナ(Airbus Vahana)の開発を通じて知見を蓄積してきた。商用や社会実装の段階に入るためには新たな開発プログラムを策定し進めることが必要になるが、エヴァンCEOは、「新しいプログラムの立ち上げは、多くの要因、ビジネスモデルの成熟度、技術の成熟度に左右される」と述べたうえ、プログラムを進めるのに十分なバッテリー技術の進化の時期を問われ「近い将来ではない」と答えた。
シティエアバス・ネクストジェンは2025年まで飛行を続ける予定だ。なお現在開発に関わっている開発陣、研究者、スタッフらの処遇について、「現時点では言及することがない」と話している。
国交省航空局は1月6日、ドイツのAAM開発事業者、ヴォロコプターから受理している型式証明申請の手続きを当面、継続する方針を明らかにした。ヴォロコプターは昨年(2024年)末、裁判所に暫定的な破産手続きを申請しており、関係機関の対応に関心が寄せられている。航空局は、ヴォロコプターの破産を情報として把握しているものの、ヴォロコプター側から直接の報告や申請の取り下げなどの連絡は1月6日時点ではないという。航空局が申請者の財務状況を確認する決まりはなく、ヴォロコプターも事業継続姿勢を転換していないことから、当面は受理に従って手続きを進める。
航空局はヴォロコプターの破産について、同社による昨年12月30日の公表と、それをもとにした報道ベースで把握している。一方、破産に関する連絡や型式証明の取得申請に関する方針転換などの連絡はないという。航空局は「手続きにはリソース(労働、時間など)を投入しており、関心は持っている」ものの、ヴォロコプター側から方針を転換する意思表示などがないいため、「受理した状況が維持している前提で作業を続けることになる」という。
ただし、「型式証明の手続きは、航空局が一方的に行うものではなく、申請側(この場合はヴォロコプター)とやり取りをしあう」ため、その中で方針に関する意図が表明された場合には、改めて対応を検討する可能性がある。
ヴォロコプターは昨年(2024年)12月30日、4日前の2024年12月26日に、拠点のあるバーデン=ヴュルテンベルク州のカールスルーエ高等裁判所に破産手続きの開始を申請したことを公表した。裁判所は申請の翌日に暫定破産管財手続きを開始し、現在、管財人の下で対応を進めながら、事業を継続している。同社の公表文では「破産」に該当する英語をinsolvencyと表現していて、一般に資産を売却して、負債を返済しきれない債務超過の状態を示す。
日本では2023年2月21日に航空局がヴォロコプターからの型式証明の申請を受理したことを発表している。ヴォロコプターが申請した機体は「VoloCity(ヴォロシティ)」と呼ぶ2人乗りのeVTOL型AAMで、18 個の電動ローターを搭載し35㎞の航続飛行を想定している。同社は航空局に申請した翌月の3月8日、大阪・関西万博でエアタクシーとして運航を目指す機体として、実物大モデルをJR大阪駅に隣接する大規模複合施設「グランフロント大阪」で公開していた。2024年夏のパリ五輪会場の飛行を計画していたが欧州の航空当局EASA(欧州航空安全機関)から基準を満たさない個所があると指摘を受けたことなどから、ヴェルサイユ宮殿で「VoloCity」 の前のモデル「2X」を飛行させるなど計画変更を余儀なくされていた。その後、大阪・関西万博でVoloCityの飛行することになっていた日本航空、住友商事のチームが2024年9月に運用機体を変更することを表明していて、VoloCityは万博での飛行計画からはずれていた。
一方、市場投入を目指す姿勢は維持し続けていて、万博の飛行計画からはずれたさいも、引き続き商用運航を目指す方針を示していた。破産申請も事業継続をするための選択であったと言われており、同社は管財下で財務基盤の強化を目指しつつ事業継続を模索するとみられる。
<関連>
Volocopter破産申請:https://www.volocopter.com/en/newsroom/volocopter-files-for-insolvency-in-germany
航空局がTC申請受理(2023年):https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001588330.pdf
大阪で実物大モデル公開(2023年):https://dronetribune.jp/articles/22336/
ドローンの展示会Japan Droneのスピンオフ企画第二弾となる「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2024 in 関西」が12月18日、JR大阪駅に直結する複合施設、ナレッジキャピタルのコングレコンベンションセンターで開幕した。株式会社ORSO(東京)が開発した国家資格トレーニング用のマットを初公開したほか、白銀技研株式会社(岐阜県)の1人乗り機Beedol-0などを展示、飛行機好きの有志団体が開発したソーラー無人飛行機も展示されている。開催は19日まで。
18日午前9時20分から行われた開幕セレモニーでは、主催する一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長のほか、経済産業省、国土交通省、総務省、大阪府などの来賓があいさつにたち、開催に期待を寄せたあと、登壇者によるテープカットが行われた。
展示会場では午前10時の開場とともに来場者が出展ブースを訪れた。
ORSOのブースでは開発してきた新製品「DRONE STAR トレーニングマット」を初披露。同社の小型練習機DRONE STAR TRAININGを飛行させて使い心地を試せる体験会も開かれ、来場者が次々と飛ばした。ドローン人材育成の第一人者として知られる株式会社Dron é motion(ドローン・エモーション、東京)の田口厚代表取締役が効果的なマットの使い方を伝授するトークセッションも行われ、多くの来場者が足を止めた。
田口氏のトークセッションは19日も午前11時30分から行われる。
白銀技研は1人乗りのパーソナルエアモビリティBeedol-0の実機と、機体の剛性を高めるために開発中のBeedol2号の1/4試験機を展示している。設置したモニターでは試験飛行の映像が見られる。
宇都宮市(栃木県)を拠点に飛行機好きが部活のように集まって活動している有志団体、飛行機研究所は固定翼にソーラーパネルをはりつけたソーラー無人飛行機を展示し客足を止めている。設計上は24時間の飛行が可能で、一昨年時点で7時間の航続飛行を達成している。今後24時間飛行への挑戦を目指している。
伴走するコンサルティングを展開する株式会社Suzak(東京)、上場したブルーイノベーション株式会社、株式会社Liberawareなども人垣を作っていた。
自動車整備用具の株式会社サンコー(東京)のブースには水の気化熱で空気を冷やす業務用冷風機「ECO冷風機」が展示してある。ドローンの「ド」の字も見当たらないため客足が止まりにくいが気になった来場者が展示の趣旨をたずねると「体育館など屋内練習施設で空調が未整備な場所に設置して頂くとお役に立てるかも」という発想だったことがわかり、感心して話し込む姿がみられた。
このほか講演、パネルディスカッションなどにも多くの来場者が詰めかけている。
主催は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、共催は株式会社コングレ。総務省近畿総合通信局、農林水産省近畿農政局、経済産業省近畿経済産業局、国土交通省近畿地方整備局、国土交通省近畿運輸局国土交通省大阪航空局、大阪府、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、公益社団法人関西経済連合会などが後援している。開催は19日まで。