株式会社ACSL(東京)の株価が800円台に戻して推移している。東京証券市場グロース市場の同社株は3月14日の午前の取引は、前日3月13日の取引でストップ高のまま終えた857円から7円下げた850円で初値をつけた。その後も800円近辺での取引が続いている。背景には前々日の3月12日の取引終了後に発表した、防衛装備庁からの3億7000万円の受注発表がある。発表翌日の3月13日には買いが集中し、値幅制限いっぱいの150円高でも取引が成立しなかった。14日午前もその勢いを維持した展開だ。受注は2月に発表した2024年12月通期業績予想に織り込み済みだが、市場関係者からは今回の大型受注に対し政府調達の呼び水期待が寄せられている。
同社が受注したのは高セキュリティ型の空撮用ドローン「SOTEN」(蒼天)」で、今年(2024年)12月の納入予定2月を予定している。ドローンで収集した情報の漏洩を防ぐ工夫が凝らされた機体で、秘匿性の高いインフラの点検などへの活用が期待されている。
2月14日の決算発表では、前期業績の悪化要因にSOTENの販売減を挙げていたが、今回の大型受注で不振からの脱出に期待が集まる。同社は今回の受注はすでに通期業績に織り込み済みとしている。同社が発表している2024年12月の通期業績予想は、売上高が33億4千万円、営業損益、経常損益はそれぞれ赤字を見込んでいる。
大型受注の発表は3月12日の取引終了後に行われた。これを受けて翌3月13日の東京株式市場では、午前9時の取引開始直後から買いが殺到して。値幅制限いっぱいの857円のストップ高となって推移し、結局同日は取引が成立しないままとなった。3月14日も800円台を維持した取引で始まっており、2月16日つけた上場来安値の585円からの底割れを回避した水準の取引が続いている。。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いたと分析するととともに、20.7億円の受注残があることも明らかにしていた。
株式会社ACSL(東京)の株価が2月15日、取引開始からストップ安売り気配のまま値が付かずに推移し、そのまま午前の取引を終えた。前日の2月14日に2023年12月期決算、希望退職の募集による事業改革などを発表しており、市場参加者が嫌気した。決算発表では売上高が45%の大幅減収だった。純損益の赤字幅は縮小した。また希望退職は2月中に40人程度と同社の正社員の半分程度を減らし、事業の再構築を図る。
東証グロース市場では2月15日、午前午前9時に取引が始まった中、ACSL株には成り行きでの売り注文が殺到し、売り越し状況が続いた。株価も値段がつかないまま、値幅制限いっぱいの前日終値比150円安の726円のストップ安売り気配で推移し、午前の取引を終えた。前日の2月14日は607社が決算を発表するなど発表が集中し、株式市場はそれを受けて明暗が分かれ方向感のつかない展開となった。グロース市場には赤字決算の企業を中心に、売り気配のまま値が付かない銘柄が多い展開となった。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いた。23年12月期はSOTENの販売台数は国内で51台と、前22年12月期の645台から92%減った。一方、研究開発費を35%抑制したことなどから、純損益は25億4300万円の赤字と、前22年12月期の25億9100万円の赤字から赤字幅を縮小させた。また20.7億円の受注残があると明らかにしており、翌期以降の売上高に計上される可能性もある。2024年12月期の連結業績は、売上高について23年12月期の2.7倍にあたる33億4000万円を見込んでいる。
売上高の減少について、ACSLは新型コロナウイルス感染症の流行に伴う経済活動の停滞、半導体価格の高騰、外国為替市場での急激な円安進行、インフレなどの外部環境が、同社の想定より厳しかったと分析。これをふまえ「大幅な売り上げ増加を前提としない黒字化を実現できるコスト構造へ転換」すると表明した。「選択と集中」を明確化し、国内の人員最適化と関連間接費削減、注力事業以外の研究開発の中止、高セキュリティ型ドローンへの潜在需要が大きい米国・台湾市場への再投資を進める。
国内の人員最適化の一環として、同社は希望退職の募集を発表した。募集対象は正社員で人数は40人程度。「程度」の幅次第では、同社の2023年12月期の従業員86人の半数にあたる。募集期間は2月16日から29日までで、3月31日を退職日とする。応募者には特別退職金を支給する。希望退職の実施に伴って発生する費用は2024年12月期に特別損失として計上する予定で、人数などが確定した時点で金額が確定する見込みだ。
また2月14日に開いた取締役会で、資本金、資本剰余金などの取り扱い方針を決議し、3月27日に開催予定の株主総会に付議することを決めた。繰越利益剰余金の欠損補填、財務体質改善、資本政策上の柔軟性、機動性確保が目的だ。資本金は9億8642万1997円のうち、9億7642万1997円減額して1000万円とし、資本剰余金も54億9218万482円のうち、40億6807万5032円を減額し、14億2410万5450円とする。減額分はその他資本剰余金に振り替える。発行済株式総数は変更させない。勘定科目間の振り替え処理でACSLは「業績に与える影響はない」と説明している。
あわせて鷲谷聡之代表取締役、早川研介取締役が月額報酬の15%を3カ月自主返納することも発表した。「経営責任を明確にするため」を理由としている。
ACSLはドローン市場の急成長を見込む姿勢を変えていない。主力機SOTENについては、国内10カ所で体験会を開いたほか、米国子会社ACSL Inc.の設立で全米代理店網を整備したほか、輸出許可も取得し海外展開も進めた。このほか米、台湾、インド市場でMOU(覚え書き)を交わすなど販売につながる対応を進めており今後の業績の上積みへの寄与が期待される。
<以下はACSLの発表>
ACSLの2023年12月期決算短信
ACSLの2023年12月期決算説明資料
役員報酬一部返上
希望退職募集と事業改革
資本金減少など
特損計上
前期実績との差異
能登地震の災害対応にあたっていた株式会社ACSLは1月16日までに当面の役割を果たして輪島市(石川県)から引き揚げた。輪島市では同社の空撮用ドローンSOTENで、仮設住宅の設置候補地の現状把握や、機能停止に陥っている港湾の被災状況把握を支援した。SOTENはISO15408に基づくセキュリティ対策が施された堅牢な情報漏洩機能が特徴だが、降雪に見舞われた中での活動では、カメラ、ジンバル、バッテリー搭載時の防塵・防水性がIP43だったことが役立ったと振り返る。
ACSLは1月7日から14日まで、輪島市から要請を受けたJUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)の災害対策活動に合流した。現地には同社製のドローンも持ちこんだ。空撮用ドローンSOTENは4機、持参した。また、途中で交代した人員も含め延べ6人が現地で活動した。
現地入りしたときには、土砂災害や家屋倒壊、道路寸断などで周囲の状況把握がままならないことが最大の課題で、「とにかく被災状況を撮影できれば、という状況だった」という。
SOTENは高い情報漏洩防止機能が特徴だが、現場で重宝されたのはまずは「防水性」だったという。災害対策活動中、輪島市では雨や雪が降っていた。その中でも被災状況を急いで把握する必要があったため、「カメラやバッテリーを搭載した状態でIP43の防水性を持つSOTENは問題なく飛行でき」頼られたという。
ACSLと同じタイミングで、株式会社エアロネクスト(東京)と、エアロネクストの物流事業を担うグループ会社株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)がJUIDAの災害活動に合流した。ACSLとエアロネクストが共同開発したAirTruckも2機持ちこまれたため、AirTruck物流・配送をエアロネクストとNEXT DELIVERYが担い、ACSLは空撮を担ったという。
ACSLの現地活動は一週間を超えた。エアロネクスト、NEXT DELIVERYは1月16日現在も現地に滞在し、引き続き活動を続けている。輪島市でもドローンの有効性が改めて見直される機会になっているという。ACSLは今後、被災地の活動の局面が推移に伴い、改めて情報セキュリティの高さが求められる可能性もあるとみている。
株式会社ACSLがデモンストレーションと操縦体験の“全国ツアー”を開催中だ。8月24日にはさいたま市桜区にあるフィールドで、情報漏洩対策を凝らした「SOTEN」と運搬用の「PF2-AE Delivery」 のデモンストレーション飛行と操縦体験会を開催した。8月22日に香川県高松市でスタートしたツアーの2日目で、今後、北海道、大阪、広島、宮城、三重、新潟、熊本で実施する。ACSLが全国規模で体験ツアーを実施するのは2013年の創業以来初めてで、ツアーを通じて理解を深めてもらう考えだ。
さいたま市の体験会には会場にはSOTENとPF2-AE Deliveryの機体のほか、秋にリリース予定のシミュレーターなどが用意された。同社製の機体は業務用として使われることが多く、飛行現場に立ち会う機会は一般には多くない。このため関心を寄せる事業者を中心に約50人が参加した。
企業や機体の概要が説明のあと、「一等無人航空機操縦士」の国家資格を持つオペレーターがSOTENを操縦して飛行デモンストレーションを実施した。ときおり7m/秒ほどの風がふく中でのデモだったが機体は安定して飛行し、「最大で15mの風でも飛行が可能で、きょうのような風の中でも問題なく飛べることを御覧頂けると思います」の説明にうなずく姿がみられた。
また機体が撮影した映像をモニターに映し出すと、参加者から「思っていたよりずっときれい」などの声があがった。自動飛行のデモンストレーションや、赤外線カメラに切り替えてのデモンストレーションも実施しカメラ切り替え作業の容易さに感心する声もあがった。
デモンストレーションののち、操縦モードごとに2班に分かれて参加者による体験がはじまると、参加者はパイロットの手ほどきでプロポを操作。上昇、前進、後進、横移動などの操作性を確かめた。ほぼ希望者全員が操作をした。
参加した測量会社に勤務する男性は「SOTENの名前は知っていましたし評判も聞いていました。今回、都心近郊で飛ばせる機会を設けてもらえるということで参加しました。飛行は想像していたよりもずっと安定してましたし反応もよい印象でした。実務で導入することを検討したいと思います。とても有意義でした」などと話した。ほかにも「初めてACSLの機体を飛ばしました」「評判は聞いていましたが自分で操縦すると印象が違いました。百聞は一見に如かずで改めて直接体験することも意味を感じました。操作性がよかったです」などの声もあった。
ACSLは体験会の参加者に、特別価格で販売することにしていて、希望者には販売を担う代理店を紹介することにしている。
22日に香川県高松市の広場で開催した体験会にも34人が参加し、ACSLは「参加者の皆様からはご意見、ご要望を多くいただき、今後の製品改善に繋がる成果を得ることができました」と話している。
株式会社ACSL(東京都江戸川区)が11月11日、2022年1~9月期決算(第三四半期)を発表した。売上高は11億6165万円で、通期売上高である16億5000万円(業績予想修正後)をあと約5億円の上積みで達成する。期中に1000万円強の為替差益が発生し営業外収益に計上したことも発表した。インドでは8000万ルピー(1.4億円、1ルピー=1.75円として計算)、日本国内では1.39億円の大型受注をしたとも発表しており、それぞれ2022年12月期か2023年12月期か、いずれかの業績に反映させる見込みだ。
ACSLの1~9月期決算によると、売上高は11憶6150万円、営業損益は13億2901万円の赤字、経常損益は12億5684万円の赤字、最終損益は12億7745万円の赤字だった。前年度の実績については記されておらず比較はできない。その理由を「2021年12月期より決算日を3月31日から12月31日に変更し」「2021年度第三四半期連携財務諸表を作成していないため」と説明している。実際、変更前の決算では、2021年9月期は4~9月期(第二四半期)にあたり、比較対象にならない。
ACSLが力を入れている機体販売について、小型空撮ドローン「SOTEN」は9月末までに488台を出荷済みで、これも含めた受注は初期ロット600台を上回ると言及した。同社は年度末にかけて追加生産を進める方針だ。また株式会社エアロネクストやセイノーホールディングス株式会社が中心となって全国で進めているドローンを組み込んだ物流事業、「新スマート物流」に使われている物流専用ドローン「AirTruck」も9月末までに15台を出荷したという。
なお、2022年7~9月期に生じた為替差益1020万円を営業外収益に計上していることを報告している。インドで受注した8000万ルピーの大型案件も個別に発表していて、それによると受注したのは「プラットフォーム機体」。インドが2022年2月から外国製ドローンの輸入を禁止していることから、ACSLは現地資本との合弁企業、ACSL India Private Limtedに生産を委託するという。2023年5月までに納品する。SOTENも国内で1.39億円を受注していて、納期は12月。業績の上積み要素として、運航支援事業で7700万円の受注(納期は2023年3月)をしたことも発表している。
ロボット、ドローン、関連技術を実演展示する「ロボテスEXPO2022」が福島県南相馬市の大型研究開発拠点、福島ロボットテストフィールドで9月15、16日に行われた。50haの広大な敷地に点在する各施で展示や実演が行われた。そのうちのいくつかをめぐる見学バスツアーが今回の目玉企画で、満席で運行した回もあった。初日のオープニングセレモニーでは、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二所長が「このイベントを通じて未来を感じてほしい」とあいさつした。
今回の目玉企画である見学バスツアーは、展示や実演のいくつかを効率的にめぐる取組。利用者は、案内に従えばプレゼンテーションを受けたり、見学できたりするため、移動の徒歩の労力、実演までの待ち時間の無駄を省ける。実演時間を逃すこともない。また、出展者もバス利用者の到着にあわせて実演ができるため、無観客で実演せざるをえない状況の解消が期待できる。
バスツアーは1日6便ある。各回約1時間の行程で、バス2台で展示会場をめぐる。回ごとにみられる展示は異なる。初日午前10時に本館(開発基盤エリア)前を出発したバスは、ほぼ満席の状態。各シートにヘルメットが用意されていて、実演を見学するさいには着用が求められた。この回ではテトラ・アビエーション株式会社(東京)のAAM「Mk-5」の実機見学、株式会社RoboDex(ロボデックス、横浜市)の水素燃料電池を搭載した次世代ハイブリッドドローンの飛行実演、ciRobotics株式会社(大分市)が大分県産業科学技術センターと共同開発したドローンの動作や耐久性などを確認する性能評価装置「ドローンアナライザー」の運用実演、東北大学ASC(Advanced Science Course)の繊毛を持つ能動スコープカメラのセキュリティーソリューションとしての実演を見学した。
この回には地元の中学生が職場体験として見学に来ていて、その一人は「会場で見たことをレポートにまとめることになっています。ロボットテストフィールドは自分で希望を出しました。日頃みられないものが見られました」と話していた。
会場では、開発、製造、人材育成などを手掛ける各社、各機関がブースを展示していた。「南相馬ベンチャー×連携VCミートアップ-Vol.3」「みちびき(準天頂衛星システム)講演会~ドローン・UGV最前線~」なども行われた。
参加者の一人は、「バスツアーは利用者にとって効率的に見学できた点でとてもよかった。ただ、すべての座席が埋まるほどにまで埋めるのは、機材や荷物を持つ利用者にはきつかったのではないか。ユーザー体験をもっと考慮すると、満足度がさらに高まると思う」と話していた。