千葉・幕張メッセで開催されたドローンの大規模展示会、JapanDrone2022は6月23日、期間中の来場登録者を1万7021人まで伸ばして閉幕した。来場登録者は2016年の初開催以降で過去最大となった。すぐれた出展に贈られるBest of Japan Drone Awardでは来場者の投票で選ばれる「オーディエンスアワード」にKDDIスマートドローン株式会社が選ばれた。次の8回目の開催となるJapanDrone2023は、2023年6月26~28日に、幕張メッセで開催することが発表された。初の地方開催にも乗り出すことになり、第一弾として、2022年12月6、7日に福岡・福岡国際会議場を会場に開催される。
JapanDrone2022は、初めて空飛ぶクルマに関連する技術や研究を対象とする次世代エアモビリティEXPOを併催した。期間中には関係各省の担当幹部がテープカットに参加したほか、山際大志郎経済再生相、衆議院無人航空機普及利用促進議員連盟(ドローン議連)の田中和徳会長代理、空飛ぶクルマ委員会の今枝宗一郎委員⻑(ドローン議連事務局座長)らが登壇、視察に訪れたほか、出展していない有力ドローン関連事業者幹部も多く訪れた。
期間中の入場は、コロナ対策が適用されたが、来場登録者(再入場者を追加カウントしない正味の来場者)は3日間で1万7021人にのぼり、前回(2021年6月14~16日、1万2553人)、前々回(2020年9月29~30日の2日短縮開催、8979人)とコロナの直撃中の開催実績を超えたほか、過去最高だった2019年3月13~15日の1万4861人も2160人上回った。出展者は187組だった。
最終日に発表されるBest of Japan Drone Awardは、ハードウェア部門最優秀賞にソニーグループ株式会社、ソフトウェア・アプリケーション部門の最優秀賞にKDDIスマートドローン株式会社、Advanced Air Mobilty部門の最優秀賞にエアロディベロップジャパン株式会社、審査員特別賞にイームズロボティクス株式会社を選出。全部門を通じて来場者の投票で決まるオーディエンスアワードにKDDIスマートドローン株式会社が選ばれた。審査委員長を務めた一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は「技術レベルが高まっていることを実感しました」と講評した。
次回のJapanDrone2023は、2023年6月26~28日に、千葉・幕張メッセで開催することが発表され、出展希望の受付が始まった。
また初の地方開催として、2022年12月5、6日に「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡開催)2022」が福岡市の大型展示場、福岡国際会議場(福岡市博多区、一般財団法人 福岡コンベンションセンター運営)で開催される。1小間1m×3mが税込み29万7000円からの料金で出展を募集している。
福岡でのイベントの出展案内は以下の通り
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレは、2016年から無人航空機産業の発展を目指し、商業用・民生用無人航空機(ドローン)の国際的な専門展示会を発足させました。
この5年間で商用ドローンの活用は拡大し、様々な用途開発による課題解決を実現しつつあります。その課題は、都市部での物流問題、災害対応などや、地方都市における農業支援や過疎地対策など地域によってドローンの活用方法は細分化し、具体的な解決方法として各地域の自治体や産業界にとって今後も益々期待される様になってきました。課題やその解決方法はその地域によって異なるため、地域に根ざした商用ドローンの活用情報や成功事例の発表の場が求められてきました。
また、ここ数年ではドローンの新たな可能性として勃興してきたAdvanced Air Mobility産業界もドローンと同様に今後大きな市場性が注目されております。
地方都市に於ける情報収集の要望が高まる中で、私ども主催者といたしましては、地方都市に於ける課題解決のための情報提供の重要性を鑑み、各都市のご要望や必要な情報を一堂に集めた「Japan Droneの地方都市開催」に今後取り組んで参りたいと思っております。
この地方都市開催により地域に根ざした商用ドローンの活用やAdvanced Air Mobility産業界への情報提供の場を設けることで、地域のドローン産業発展だけではなく、地方創生・地元地域の活性化にも寄与できるマッチングコミュニケーションの場をつくりたいと思います。
この様に地方都市での開催ニーズが高まる中、社会課題解決を目指し持続的発展のためにスマートシティ構想を推進している福岡での開催をここに決定いたしました。各地域のニーズに合わせた提案を検討されている企業・団体の方々には是非この機会をご活用いただき、具体的なビジネスにつなげていただきたいと存じます。皆様のご参加をお待ちしております。
会期:2022年12月6日(火)~7日(水) 2日間
会場:福岡国際会議場 4F会議室(展示・コンファレンス)
後援(予定):経済産業省九州経済産業局、国土交通省九州地方整備局、農林水産省九州農政局、福岡県、福岡市、一般社団法人九州経済連合会、FFG福岡フィナンシャル・グループ ほか(申請予定)
出展対象分野
・ドローン(無人航空機)および関連分野
・ドローンを利用した各種サービス分野
・大型ドローン、空飛ぶクルマ、e-VTOL(機体)
およびe-VTOLメーカー、商社、航空会社、運輸関係
・素材・部品の製造業者・技術支援
・e-VTOLを利用したサービス提供者
・Vポート・ドローンポートメーカー
・地域開発デベロッパー、建築建設関連企業
・運輸関係企業、検査機器・施策・実験施設
・観光関連団体、中小企業支援団体、コンサルタント
・地方自治体、地域活性化部門、地域創生事業、スマートシティプロジェクト
・その他サービス(保険、教育など)
来場対象分野
・ドローン、e-VTOLを活用したい産業分野のビジネスパーソン
(地方公共団体、府県、市町村など)
・ドローンパイロット免許取得者・運航安全管理者
・物流分野(宅配便サービス、倉庫、ネット販売会社など)、運送関連
・官公庁、警察、消防、救急医療関係者など
・観光、地域創生分野
・地方自治体、観光関連団体、地域活性化部門
・投資機関、その他
https://www.ssl.japan-drone.com
開催規模 出展予定社数:50社・50小間(申込み状況により拡大)
来場者数 :500人/1日:2日間 1,000名(予定)
■展示会出展小間
◎小間出展(1小間/2m×3m 6㎡)
1小間料金 ¥297,000-(税込)※パッケージブース
(小間仕様)
:福岡市内にて事業を展開されている企業・団体への特典も検討中
・システム壁面パネル(高さ2.7m)・カーペット(選択色よりセレクト)
・社名サイン/パラペット ・レセプションカウンター(1台)
・カウンターチェア(1脚)・スポットライト(3灯)
・2口コンセント(100V500W)
■コンファレンス協賛(出展が条件となります)
■ホスピタリティルーム協賛
◎コンファレンス登壇枠(60分) 1枠/¥440,000-(税込)(2社限定)
(会場仕様)
200インチスクリーン、プロジェクター、登壇ステージ、聴講席(約130席)、音響設備(スピーカー、マイク)
※プレゼンテーションのスライドデータ等はご自身でご準備頂きます。
◎ホスピタリティルーム(135㎡) 1部屋/¥1,100,000-(税込)(2社限定)
(会場仕様)
会場付設のテーブル・椅子は自由にお使いいただけます。
独自セミナーの開催や、展示・実演など、2日間独自の開催内容・方法手段にて活用頂けます。
【コンファレンスプログラム案】
JapanDrone
①基調講演:JUIDA鈴木理事長 ②ドローン国の政策 ③レベル4・ID登録:法改正
次世代エアモビリティ
①特別講演:空飛ぶクルマ(eVTOL)の市場性 ②空飛ぶクルマの利活用と法整備
地域創生プログラム
①地域創生とDX:ドローン ②社会課題解決とスマートシティ ③自治体の取り組み事例
コンファレンス協賛
①企業の取り組み事例 ②eVTOLに求められる機能 ③大型ドローンによる防災・減災対策
https://ssl.japan-drone.com/files/JD-IAAM2022_guide.pdf
ドローンショーの企画・運営を手がける株式会社レッドクリフ(東京)は、秋田県大仙市で8月30日(土)に開催される開催の第97回全国花火競技大会「大曲の花火」をドローンショーで盛り上げる。約1300機のドローンで夜空にシンガーソングライター、KANさんの代表曲『愛は勝つ』の歌詞を投影し、来場者が合唱する。この取り組みは大塚製薬株式会社(東京)の炭酸栄養ドリンク「オロナミンCドリンク」発売60周年記念特別プロジェクト「元気ハツラツ!大空大合唱」の一環で、ドローンショーではたて225m、横65mのオロナミンCボトルも登場する。
「大曲の花火」は、JR大曲駅から直線距離で約1.5㎞での雄物側河川敷で開催される。レッドクリフがドローンショーを手がける大塚製薬の特別プロジェクト「元気ハツラツ!大空大合唱」は8月30日午後6時半ごろからの開催が見込まれる。大会の主役である花火は午後6時50分ごろから打ち上げが始まる予定だ。観覧席はいくつもの種類があるが完売している席が多い。
「元気ハツラツ!大空大合唱」では、光を放つドローンがオロナミンCのボトルを音符に見立てた『愛は勝つ』の楽譜や、歌詞を投影する。会場では『愛は勝つ』を流し、参加者、来場者、関係者らで合唱する。合唱中はドローンがカラオケのテロップのように、歌うべき歌詞を光らせて参加者を歌いやすいように導く。プロジェクトを主導する大塚製薬の主力製品、オロナミンCの巨大ボトルも浮かび上がらせる。
レッドクリフのドローンショーは「元気ハツラツ!大空大合唱」の一環で実施される。7月27日に開催された北海道小樽市の小樽港第3号ふ頭基部で開催された「第59回おたる潮まつり大花火大会」で実施したときの動画はオロナミンCドリンク公式SNSで8月4日時点で、総再生数が1350万回超を記録するなど大きな反響を呼んだ。大曲の花火は約75万人の来場実績があり、今回も大合唱が期待される。
「元気ハツラツ!大空大合唱」は小樽、大曲に続き、10月18日には八代市<熊本県>の球磨川河川緑地で開催される「第38回やつしろ全国花火競技大会」でも開催される計画だ。実は7月の「第72回安倍川花火大会」(静岡県)でも開催の計画があったが荒天により河川が増水した影響で花火大会とともに中止になっていた。
またレッドクリフは、日本三大花火大会のうち今回の「大曲の花火」と「長岡花火大会」でドローンショーを実施した実績があるほか、全国各地の花火大会をドローンで盛り上げている。大阪・夢洲で開催中の大阪・関西万博でも連日、ドローンショーを開催し来場者を楽しませ、ギネス世界記録の達成への挑戦も続けている。
株式会社エアロネクスト(東京)は8月15日、ドローンでフードデリバリーの試験飛行を 実施したと発表した。6品、約2.5㎏を有人地帯での補助者なし目視外飛行(日本ではレベル4に該当)で、地元モンゴルの有力企業と連携して実施した。
エアロネクストのモンゴル国でのフードデリバリは7月25日に行われた。同社の「モンゴル展開パートナー」である モンゴルを代表する投資会社Newcom Group(ウランバートル市)、同社の子会社、Mongolian Smart Drone Delivery LLC(ウランバートル市)、モンゴル国フードデリバリー最大手、Tok Tok LLC(ウランバートル市)と組んで実施した。エアロネクストの調べでは、7月時点でモンゴル国内では初めての取り組みという。
試験飛行では、アプリ「TOK TOK」を通じて注文を受けたレストラン KIBO の料理6品、2,420gを、ウランバートル市内からウランバートル郊外の研修・保養施設まで片道約 16.5km、株式会社ACSL(東京)製の「PF4」で運んだ。動画にはTOK TOKのロゴの入ったデリバリボックスをPF-4が運ぶ様子や、都心部を飛行する様子、受け渡しの様子がおさめられている。
エアロネクストはすでにウランバートル市内で定常運航として血液製剤の配送を実施しており、6月には郵便輸送も実施している。フードデリバリは第3のユースケースとなる。
(モンゴル郵便とのドローン配送試験運航の実績についてはこちら
株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市<石川県>)は、8月16日、奥能登のやなぎだ植物公園(能登町柳田植物公園、能登町上町)で、能登半島地震からの復興を応援するドローンショー「Charge & Go!能登復興応援スペシャルバージョン」を開催する。2011年に男女混合のパフォーマンスグループAAA (トリプル・エー) の楽曲としてリリースされた『Charge & Go!』の特別バージョンをモチーフにした光のショーで、この曲の作詞を担当したKenn Kato氏とのコラボレーションで実現することになった。作品は三部作で8月16日はその第1回となる。
8月16日のドローンショーは、やなぎだ植物公園で開かれる「2025年 ござれ祭り」の目玉行事のひとつとして午後8時から行われる。ドローンショー・ジャパンが主催し、同社が開発したドローンショー専用機体「DSJ MODEL-X」500機を使う。作詞家Kenn Kato氏が代表を務めるドローンショービジネスのアゲハライド株式会社(東京)が企画協力し、ドローンショー企画などを手掛けるルーカスドローン株式会社(うるま市<沖縄県>)が制作協力する。
今回は「Charge & Go!能登復興応援スペシャルバージョン」全3部作の第1回で、第2回で、その後第2回を9月7日(日)、 宇出津港いやさか広場(能登町)、第3回を10月25日にやなぎだ植物公園で開催する予定だ。各回で演出と表現が異なり、復興への願いを段階的に描くという。
コラボレーションの相手となったKenn Kato氏は、AAAのほか青山テルマ、EXILE、三代目J Soul Brothers、東方神起ら多くの著名アーティストに楽曲を提供しているクリエイターとして知られる。また8月16日のショーが開催されるやなぎだ植物公園の「ござれ祭り」には、キャンドルアーティストCANDLE JUNE氏がキャンドルアートで、歌手の渡辺真知子さんがステージで参加し会場を盛り上げる。入場は無料。
ドローンショー・ジャパンは「ドローンが夜空に描く幻想的な光景が、見上げる人々の心に少しでも勇気と感動をもたらすことができれば幸いです。このドローンショーが単なるエンターテイメントの枠に留まらず、能登の復興を全国に発信するきっかけとなり、被災地の皆様の心の支えとなることを心より願っております」「本ドローンショーを通じて、被災された皆様に少しでも癒しと勇気を感じていただけることを願っています。14年の時を経て楽曲『Charge&Go!』が光のダンスとして蘇り、復興への新たな歩みを力強く踏み出すきっかけとなれば幸いです」とコメントしている。
会場への公共交通機関としては北陸鉄道バス「立ケ谷内」が最寄り。北陸鉄道バス路線図はこちら
東日本旅客鉄道株式会社(東京、JR東日本)は、高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)一体型の都市開発エリア、TAKANAWA GATEWAY CITYで8月23日、300機のドローンを使った「ドローンショー in Summer」を開催する。人が多く空港に近いうえ電波干渉対策も要するなど、都心開催につきまとう条件をひとつひとつクリアし、今回の実現にこぎつけた。観覧できるのは先着200人で、JR東日本が観覧希望者をTAKANAWA GATEWAY CITYアプリで受け付けすぐに満席となった。現在は予約の受付は修了している。
ドローンショーは、TAKANAWA GATEWAY CITYが目指す姿を周知する目的で開催される。ショーは午後7時、午後8時半の2回、行われる計画で、TAKANAWA GATEWAY CITY内のTHE LINKPILLAR 1 SOUTHに「特別観覧エリア」を設け、予約した200人を招待する。開始前には屋内ドローンショーも予定している。天候要因などにより中止になりうることを説明している。
JR東日本は、グループ経営方針「勇翔 2034」でエアモビリティを活用したビジネスの創造を掲げていて、TAKANAWA GATEWAY CITY ではその方針に基づき新たな移動・物流・エンターテインメントの可能性を探っている。すでに米ASKA社のAAMのモックアップ展示や、点検用ドローンを使ったドローンレースの開催などを進めていて、ドローンショーの実施もその一環としての取り組みだ。
JR東日本は「今後も新たなドローンの活用方法を模索してまいります」とコメントし、「ドローンが当たり前に飛ぶ未来」の創造を目指す。
施設に不正にもぐりこみ置いてある端末からネットワークに侵入するリスクが高まる中、施設への実際の物理的な侵入とサイバー攻撃の両方のリスクを確認する診断サービスを、サイバーセキュリティ事業者と警備大手が手を組んで実施する。実施するのはドローンとつながりの深いGMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)とALSOK株式会社(東京)。すでに重要インフラ企業、防衛産業などに提案活動を進めており、9月にサービスを開始する計画だ。
GMOインターネットグループでサイバー攻撃対策事業を展開するGMOサイバーセキュリティbyイエラエとALSOKは7月29日、物理空間からサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化するセキュリティ診断サービス「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を開発したと発表した。発表時には東京・用賀のGMOインターネットTOWERに関係者が集まり報道陣向けに説明会を開いた。
「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」は、巧妙化、複雑化するサイバー攻撃への備えのためのサービス。サイバー攻撃では攻撃者が企業や組織などの外からメールなどを通じてネットワークに侵入して重要データの漏洩などを仕掛けるが、サイバー攻撃への防御が進むにつれ、施設そのものに攻撃者が侵入し、施設内の端末を使ってネットワークに侵入する手口が増え始め、金融庁などが警鐘を鳴らしている。このため、物理的に施設に入り込まれるリスクがどの程度あるか、そのうえでサイバー攻撃がしかけられるリスクがどの程度あるか、を同時に診断するサービスを開発した。
テストでは、企業や団体などの依頼に応じて、指定された拠点に侵入するための方法を攻撃者の視点で検討する。拠点には許可された人が開錠したさいに続けて入り込む共連れやICカードの偽装して侵入を試み、侵入に成功したら、不正端末の接続などサイバー攻撃の足掛かりを探索し、ネットワークに入り込んで情報搾取を試みる。攻撃者の視点でテストすることで、防御の脆弱な個所を浮き彫りにする。侵入後には脆弱性や改善策をまとめたレポートを依頼主に提出することで、攻撃への備えに役立てる。
このテストでは、拠点への物理的な侵入の部分をALSOKが担い、サイバー攻撃部分をGMOイエラエが担った。ALSOKは新サービス開発にあたり、物理侵入を足掛かりとしたサイバー攻撃に焦点を当てた、新たなセキュリティ診断サービス「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発し、GMOの診断と連結させサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化する「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を仕上げた。なお物理ペネトレーションテストの専門ベンダーBarrierCrack合同会社(東京)も開発に参画し技術提供を受けた。
GMOインターネットグループ株式会社の西山裕之取締役グループ副社長執行役員は「GMOグループは創業以来『すべての人にインターネット』のキャッチフレーズをかかげインターネット社会の発展に邁進し、現在1700万件以上のご活用を頂いています。しかしながら昨今、インターネットを悪用した犯罪が蔓延しており、その手法がますます高度化、頻発化しています。このため今年度より『ネットのセキュリティもGMO』をかかげ、さまざまな施策を進めすことにしました。インターネット社会の発展のために、サイバーセキュリティの課題に真摯に取り組んでいきたい。いまやリアルとネットは切り離せません。交通、物流、金融、医療、行政、あらゆるインフラはネットワークが前提です。ALSOKさまとの取り組みを通じて、リアルとネットの両面で安全、安心の社会の実現に貢献したいと願っています」と述べた。
ALSOKの佐藤将史執行役員は、2025年7月16日に創立60周年を迎えた機会に社名を綜合警備保障株式会社からALSOK株式会社に変更し、ブランドスローガンとして「ALwayS OK」を掲げたことを紹介し「警報を受信したら現場に駆け付けるインフラを使いひと、もの、かねを軸にセキュリティを提供し、2000年初頭の法改正以降、情報も含め物理的側面から守ることを続けてきました。今後は確かな現場対応力を武器にサイバー領域の業容を拡大したい。そこでGMOさんとタッグを組んで開発した商材が『ALSOK & GMOサイバー物理ペネトレーションテスト』です。われわれの60年の守りのノウハウを攻撃者の視点に活用することで物理侵入を足掛かりにしたサイバーセキュリティにフォーカスした新しいチャレンジです」と述べた。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの牧田誠代表取締役CEOは、「われわれはサイバーセキュリティの会社で、ホワイトハッカーが日本で一番多く所属していることが特徴です。ハッキングコンテストでも優勝、世界一などを受賞しています。そんなわれわれがしていることは脆弱性診断、侵入テスト、ペネトレーションテストです。1万2600件ほど実施しています。ゼロデイも研究していて、年間100件ぐらい見つけ報告しています。これは研究なので商売ではなく見つけたらボランティアで報告しています。ペネトレーションテストをするときには、攻撃者の視点を模します。WEBサイトがあれば、脆弱性を試します。スマホアプリならそこからの侵入ができないか探します。攻撃者は弱いところを狙います。資産を持つ側はインターネットでアクセスできないところに大事な資産をおこうということが進み、どんどん堅牢になっています。そうすると、攻撃者は次に弱いところを狙います。証券会社が侵入されて株価操縦されたという話は、銀行がセキュアになったことで次の標的になったとみられています。そちらがセキュアになると次にどうなるか。次の課題が物理の侵入です。日本は遅れている状況がありますので、そこが狙われるのではないかという懸念があります。ここをALSOKさまといっしょにテストをしてまいりたい。GMOでも物理セキュリティが大事ということで試してみたところ、3年前の実験では熊谷正寿グループ代表の部屋にカードキーを複製して侵入できてしまったことがあります。物理もサイバーも一気通貫で試すことが大事だと考えており、今回のサービスはそこに意義があると考えています」と述べた。
ALSOK商品サービス戦略部情報セキュリティサービス推進室長の小野浩司氏は、「国内における営業秘密の情報漏洩におけるダントツの1位は中途退職者によるものだそうです。金銭目的でUSBなどにより情報を持ち出して転職先や競合会社に提供するといったことです。サイバーセキュリティについては金融庁のガイドラインや、それを反映した金融情報システムセンターのリスクのコンピューターシステムの安全対策基準に物理セキュリティの言及がなされたこともあり、われわれも人材、管理意識、鍵を渡す人への信頼などを含めた「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発しました。ビジネス拠点の物理 進入のリスク、侵入後に拠点内部からを行われるサイバー攻撃のリスクを探索し、その結果と解決策を提出するサービスです。ダークウェブでお客様のアカウント情報が漏れていないか、現地で外から入れそうなところはないかも調査します。拠点への進入経路や手段を調査し、建物に入ったら共連れで中に入れないか、清掃業者になりすまして内部に入れないか、ICカード偽装、社員証偽造、スキミングにより入れないかなどを調査します。さらにサイバー攻撃の足掛かりとして侵入後のサイバー攻撃の経路と手段の調査としてWi-Fiを通じた社内無線LAN無線へのアクセス、LANケーブルへの不正な端末の接続も試みたりします。調査内容は事前に主催者と調整しますが、攻撃活動を交えることでリスク対応を強化してまいります。物理の方はネットワークに侵入するまで、サイバーの方は侵入した後のリスクを評価します。実施後は施報告書を提出し 多面的な評価と効果的な改善提案をします。報告書の内容はエグゼクティブサマリー、実施概要、テスト実施結果 リスクと対策。これらを示し実効性の高い資料として対策の検討にご活用いただきたい。セキュリティレベルをさらに強化のため高度なセキュリティテストを継続的にご活用頂きたいと考えております」
さらに、先行的に6月に診断サービスをうけた株式会社あおぞら銀行の萩尾崇執行役員は「たくさんの気づきがありました。親切のつもりで行っていることが侵入者にとって重要な情報になることにも気づきました。不審物を仕掛けられて気づかないこともありました。整理整頓ができていない場所ではそういうことがある、ということも気づきでした。われわれは、社内に知らない人がいたときの声掛けを徹底していますが、さらに浸透させる必要性を感じました。また、(得意先に)ストラップ、名札、シャツなどの『あおぞらグッズ』を配っていましたが、こうしたものを身に付けている人を社員と誤認するリスクもあるので、配布の制限も検討することになり意識がかわりました」と経験談を話した。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの村田学ディフェンシブセキュリティ部副部長は、「一般的なサイバー攻撃でサイバーだけで完結するものはオフィスの外側に攻撃者がいます。データは中にあります。データが欲しい場合は、たとえば攻撃者はインターネット経由でユーザーの方にメールを送り、言葉巧みにマルウェアを開かせます。この場合はPCを中継地点として攻撃を仕掛けデータを取るという流れになると思います。標的型攻撃というところです。それ以外にもVPNの脆弱性、Wi-Fiの脆弱性を狙うこともあります。 wi-fi のアカウントを取って攻撃する形です。ポイントはどうやって中に入るかです。攻撃者が中にいたらどうなるか。ネットワーク内のどこかからコンピューティングリソースにたどり着ければ侵入目標は達成できてしまいます。ネットワークさえつながっていれば本社とは別の事業所でも全く同じ効果が得られます。つまり内部にいれば攻撃者にとっては、一気にショートカットできるのです。LANを構成するプロトコルは古く暗号化や相互認証が基本機能として備わっていません。また内部からの通信は信用しても大丈夫だろうという認証の省略も危険です。インターネットのセキュリティをしっかりやっていても 物理的な接触にはかなり弱い面が存在ありますので、今回の取り組みが活動の一助になればと思っております」などと述べた。
<リリース>
https://group.gmo/news/article/9608/
<参考>
■ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/cyber-physical-penetration-testing/
■ALSOK 物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/physical-penetration-testing/
■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
GMOインターネットグループのGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR、東京)と日本未来科学館(東京・青海)は、8月25日からAI対話型ロボットの実証実験を日本科学未来館5階の常設展示ゾーンで実施する。4か国語を操るロボットが自律移動し、来館者に展示を紹介するなどコミュニケーションを取る。実験は8月31日まで。
GMO AIR などが行う実験は「『対話型AIロボット』」実証実験~ロボットによる未来のコミュニケーションを体験しよう!」がテーマで、8月25日(月)~8月31日(日)の期間中、11:00~13:00、15:00~17:00に日本科学未来館5階常設展示ゾーン「プラネタリー・クライシス」内で行う。
AI対話型ロボットは日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で来館者とコミュニケーションをとる。来館者に展示物についてきかれると、ロボットが位置情報から展示物を判断し、名称や解説を自然な対話で案内する。
ロボットはアプリケーション実装業務の約80%をAIが自動生成していることも特徴。GMO AIR によると、AIが自動生成したプログラムによるAI対話型ロボットの実証は、国内初の取り組みという。