GMOインターネットグループ(東京)は6月18日、100%子会社としてGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR=ジーエムオーエアー、東京)を設立した。GMOが高いシェアを持つインターネットのインフラサービス、金融、AI活用ノウハウをベースに導入や活用のコンサルティングなどのサービスを提供し、開発事業者とユーザーとをつなぐ。事業を通じて急速に進むと見込まれるAIとロボットの融合を支え日本経済で予見される課題解決を目指す。都内で開かれた発表会には株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)、イームズロボティクス株式会社(南相馬市<福島県>)など国内外の事業者が開発または運用する8基のロボット、ドローンも登場し発表に花を添えた。
発表は東京・用賀のGMOインターネットTOWER(世田谷ビジネススクエア)で行われた。
新会社GMO AIRは、AI活用コンサルティング、AI人材育成、AI導入支援、ロボット・産業用ドローン導入・活用支援、メンテナンスなど技術、ノウハウ、金融のサービスを提供し、国内外のAI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとユーザーとをつなぐ。自社開発はせず、開発事業者の事業を支えることで日本のAI、ロボットの融合を促す。
キャッチコピーとして「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動する。資本金は1億円。年内をめどに売上高などKPIの策定を目指す。当面は「お客様の声に耳を傾けることに集中する」方針だ。事業は開発したプロダクトを市場に投入するプドダクトアウト型のスタイルではなく、需要に応じてプロダクトを開発して提供するいわゆるマーケットイン型をとる。同社の公式サイトも同日、公開された。
役員構成はGMOインターネットグループ株式会社でグループ代表を務める熊谷正寿氏が会長に、グループ常務執行役員の内田朋宏氏が代表取締役社長に就任するなど7人が役員をつとめる。また千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏、東京大学大学院教授の松尾豊氏ら4人が顧問、専門家4人がアドバイザーとして支える。AIをフル活用することで社員数は「必要最小の人数で運営」(内田社長)する方針だ。
新会社GMO AIRの果たす役割については、同社会長でグループ代表である熊谷正寿氏が「縁結び」と説明した。その中で熊谷氏は「AIとロボットは相思相愛です。今後は急速に融合します。AI産業はかつてテキストだけ、画像だけなど単一のデータ処理に特化していましたが、現在は、音声も動画も核種センサーのデータも取り込むなど複数のデータを統合して処理するマルチモーダルAIとして発展しています。ロボット産業もかつてはプログラムされた動作の繰り返しに特化してきましたが、今後はAIの搭載で自律学習し環境に適応して動き目標を達成することを目指しています。両産業の融合にはインターネットインフラと通信が必要です。われわれは30年間、接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなどインターネットインフラに携わってまいりました。そこで私たちが両産業の縁結びをします」と述べた。
説明の中では、縁結び方法の一例として、ロボット、産業用ドローン、AI機材の購入者の立場を紹介した。高額機材は現金で一括購入するケースは考えにくいため、レンタル、ローン、リース、助成金活用などでGMOグループが金融サービスで培ったノウハウの活用場面が生まれる。また業務効率化についても、GMOが11年前から進めてきたAI活用で1カ月間で10万6000時間の業務削減した実績、年間18億円のコスト削減を達成した実績がノウハウとして付加価値になると見込んでいる。そのうえで、「インターネットのインフラ商材、インターネットの金融サービス、AI活用ノウハウの3つの付加価値を自社グループのサービスとして提供できる」ことを、差別化ポイントに掲げた。
中長期的にインタラクションデータのプラットフォーム構築を目指すことも表明した。ロボットに搭載されたAIが、学習していない作業に直面しても解決策を見出だせるAGI(汎用人工知能)、人間の知能を超えたレベルの知能を持つASI(人工超知能)に進化することを展望し、「そうなればユーザーはロボットを購入するのではなく必要な時にロボットの機能を利用するようになる。ビジネスはロボットの物販ではなく人材派遣と同じビジネスモデルに変化します」(熊谷グループ代表)と見通した。
発表会には脚型ロボットを含む8基が「応援のため」に会場にかけつけステージを彩り、一部はデモンストレーションを披露した。
JIWはアームを備えて移動するアバターロボットとAIドローンSkydioの機体を融合させた「ugo+drone(ユーゴープラスドローン)をデモンストレーションし、ドローンの離着陸も実演した。JIWはGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(東京)が提供するAIによる画像認識サービス「hakaru.ai」(ハカルエーアイ)を利用していることも紹介された。イームズロボティクスは第⼀種型式認証を取得した「イームズ式E600-100型」を持ちこみ、ステージ上で展示した。
また顧問に就任した千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏も、開発した脚型ロボットを実演。目隠しされた状態と同じ状況で、「前進」の指示で段差をのぼったり、落ちても態勢を立て直したりしてみせた。古田氏は「これからのロボットの考え方ですが、ロボットに AI を与えるのではなく、育てたAIにボディを与えることが重要。パソコン開発の主役がハードウェアの作り手からソフトウェア開発者やクリエイターに移ったように ロボットの普及には、搭載するAIを含むソフトウェアベンダー、サービスプロバイダーに移ります。GMO AIRはそれを担う唯一無二の会社です。この会社の設立は時代の転換点です」と述べた。
会見に先立ち投影されたプロモーション動画もすべてAIで作られ、エンドロールには、脚本、映像、ナレーション、ディレクションがすべてAIと映し出された。最後に「Produced by Humans」と映し出し、人の意志をAIがサポートする様子を象徴した。
また、顧問に就任した東京大学大学院の松尾豊教授もビデオメッセージを寄せ、「AIロボットに関して、技術データとお金の流れをつなぐ商社機能が大変重要であると以前から思っておりました。日本ではこうした機能が十分でないと思っていたのですが今回新しい会社がまさにその部分を実現されようとしているということで大変楽しみにしております」と期待を寄せた。
(GMOによる設立案内は以下の通り)。
GMO AI&ロボティクス商事株式会社設立
AIとロボットをすべての人へ。
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(以下 GMO AIR)を設立しました。これにより、AIとロボット・ドローンの導入・活用支援を軸とした新たな事業を開始します。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。
・【事業概要】
GMO AIRは、世界中のネットワークを駆使して国内外からロボットを調達するだけでなく、GMOインターネットグループが30年来培ってきた インターネットインフラ商材 (ネット接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなど)をあわせて提供します。また、 金融事業 の強みを活かし、レンタル、リース、ローン、保険、助成金の活用支援などのサービスも展開します。さらに、2013年から進めているAIの研究・活用を基に、月間10万6千時間の業務削減や年間18億円のコスト削減を実現する AI活用ノウハウもお客様に提供します。
GMO AIRは、これらの商材とサービスを通じて、お客様に包括的なソリューションを提案する AIとロボットの総合商社 を目指します。
1.AI導入・活用支援
お客様の業務に最適なAIソリューションを提供し、業務効率の向上と生産性の最大化を実現します。
・コンサルティング&ソリューション
GMOインターネットグループのエキスパートにより、AIの導入から活用までをトータルでサポートします。それぞれの課題解決に向けたコンサルティングと最適なソリューションをご提案します。
1. AI導入コンサルティング
2. データ分析・予測サービス
3. 業務自動化ソリューション
4. AIシステム開発
5. AIセキュリティ
・製品販売&インテグレーション
クラウドベースのAIプラットフォームの提供や、AI搭載ソフトウェア・サービス、AIの処理に最適化されたハードウェアの販売やレンタル、ロボットシステムのインテグレーションを提供します。
1. AIプラットフォーム提供
2. AI搭載ソフトウェア・サービス
3. AIハードウェア販売・レンタル
4. ロボットシステムインテグレーション
・教育&リサーチ
GMOインターネットグループは、これまで約7,800人のパートナー(従業員)に対しAI活用を促進し、非エンジニアに対するリスキリングを推進することなどを通して、月間で10万6千時間の業務時間削減を実現し、2024年度は18億円のコスト削減を見込んでいます。このような、これまで培ったAI活用のノウハウを皆様にご提供し、AI人財の育成のお手伝いをいたします。また、GMOリサーチ&AI株式会社による最新のAI動向のリサーチなども可能です。
1. AI人材育成
2. AIリサーチ・情報提供
・スタートアップ支援&エコシステム形成
GMOインターネットグループで投資事業を展開する、GMO VenturePartners株式会社や、GMO AI&Web3株式会社を通じ、世界中のAI、ロボット企業への出資・支援を実施し、AIのエコシステム形成も進めてまいります。
1. AIスタートアップ支援
2. AIエコシステム形成
2.ロボット、ドローン導入・活用支援
ロボットやドローンの導入から活用までをトータルでサポートし最適な機器選定、設置、運用を支援します。
・提案するロボットの例
・ アーム型 :組み立て、溶接、塗装、搬送、ピッキング、検査 等
・ 人間型(ヒューマノイド) :接客、案内、介護、災害援助、エンターテイメント 等
・ 多脚型(クローラ型含む) :警備、パトロール、災害救助、測量、農業 等
・ 車輪型: 移動、搬送、案内、警備、点検 等
・ クローラ型: 建設現場、災害現場、農業、プラント設備点検 等
・ ドローン・飛行型: 空撮、監視、検査、物流、農薬散布、災害対応 等
詳細:URL:公式サイト https://ai-robotics.gmo/
■GMO AIRのビジネスモデル図
・【将来ビジョン】
「インタラクションデータプラットフォーム」の構築と、「金融サービス・LaaS合弁設立(融資、IPO支援、助成金活用支援・Labor as a Service コンサル)」を国内外のロボットメーカー、産業用ドローンメーカーに提供することを目指しています。ロボットやドローンから得られる行動や観測のデータ(インタラクションデータ)を、高精度で安全性、信頼性の高い全体データとしてまとめ、国内外のロボット・産業用ドローンメーカー、AI関連企業にフィードバックします。これは、AIとロボット産業発展の大きな基盤になると考えています。
【新会社設立の意義】
AIロボット市場はCAGR(年平均成長率)で38.6%の増加が見込まれ、2021年の69億米ドルから、2026年には353億米ドルの規模に成長すると予測されています。(※1)これはGPUの進化などによるAIの加速度的進化に伴い、AIと親和性が高いといえるロボットの開発も急速進んでいくことを表しています。
GMOインターネットグループは、約55年周期で産業革命が進行していると考えています。1995年をインターネット革命の始まりと捉えると、29年経過した2024年はインターネット革命の後半戦に入っていると言え、ここでの主人公は「AIとロボット」になると確信しています。
そのような中、生成AIの利用に慎重な人はいまだ多いというデータもある一方(※2)、今後の日本は2040年には働き手が1,100万人不足(※3)するとの予測も出ています。このようなデータから予見される近未来の状況を打破し日本経済の成長を促すため、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しする目的でGMO AIRを設立するに至りました。
(※1)人工知能ロボットの市場規模、シェア、業界の成長、動向、分析(2030年)
(※2)勤務先での生成AI活用に対して肯定的な人は否定的な人の2倍以上 | GMOリサーチ&AI調べ
https://www.gmo.jp/news/article/9016/
(※3)書籍「「働き手不足1100万人」の衝撃」(古屋星斗 著/リクルートワークス研究所 著)
(GMOが発表した記者会見レポートは以下の通り)
GMO AI&ロボティクス商事株式会社 設立記者会見を実施
~グループ代表熊谷による挨拶のほか、最新の人型ロボット等8体も集結!~
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(URL: https://ai-robotics.gmo/ 以下 GMO AIR)の設立記者会見を実施しました。当日は、全8体のロボットやドローンが集結したこれまでにない記者会見となりました。
オープニングではすべてAIによって制作された映像を放映し、GMOインターネットグループが考える、AIとロボットが活躍する近未来のイメージを、ご来場いただいた皆様にご覧いただきました。(URL)
そして、グループ代表の熊谷 正寿からのご挨拶と今後の展望、GMO AIRの代表取締役社長に就任した内田 朋宏から新会社の概要説明が行われました。
また、東京大学大学院の松尾 豊教授から、新事業に対してのビデオメッセージを頂戴し、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田 貴之氏による、AIを搭載したロボットのデモンストレーションが行われました。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。
【GMOインターネットグループ グループ代表 熊谷 正寿】
GMOインターネットグループは、AI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとお客様をつなぐ商社「GMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR)」を設立しました。
日本社会が2040年には働き手が1100万人不足し、生活維持サービスの崩壊が懸念される中、AIとロボットの普及が解決策の一つとされています。AIとロボットは相思相愛です。GMO AIRは、AI産業とロボット産業の融合を見据え、インターネットインフラ商材、金融サービス、AI活用ノウハウの3つの強みを活かし、包括的なソリューションを提案する「AIとロボットの総合商社」を目指します。将来的には、ロボットの行動・観測データを活用した「インタラクションデータプラットフォーム」の構築や、ロボットの販売方法が「物販型」から「人材派遣型(LaaS/RaaS)」に変化することを見据えています。
GMOインターネットグループは、GMO AIRを通じて、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しし、日本経済の成長に貢献していきます。
【GMO AI&ロボティクス商事株式会社 代表取締役社長 内田 朋宏】
本日、新会社「GMO AIR」を設立しました。株主はGMOインターネットグループ100%で、AI・ロボット導入支援サービスを提供します。
役員には、グループ代表の熊谷をはじめとする7名が就任し、ロボット・AI・法律の専門家も顧問として迎えています。サービスメニューは「AI導入・活用支援」と「ロボット・ドローン導入・活用支援」の2つで、お客様の課題をお聞きし、最適なソリューションを提案します。 特に、AIの活用方法がわからない企業への提案や、グループ内での実績を活かしたAI人材育成などのニーズが高いと考えています。
このようにGMOインターネットグループの総合力を駆使して、お客様・AIロボット産業に対する付加価値貢献を、GMO AIRで加速してまいります。
【千葉工業大学 未来ロボット技術研修センター所長 古田 貴之氏】
今日は、AIとロボットが作る未来についてお話します。私たちは長年、AIとロボットの融合を研究開発してきました。しかし、今日お話しするのは、ロボットそのものではなく、AIについてです。これから重要なのは、ロボットにAIを与えるのではなく、育てたAIにボディを与えるということです。
私は、今日を時代の転換点だと考えています。これまで、ロボット研究者やメーカーがロボットを作ってきました。しかし、それではロボットは真に普及しません。主役はソフトウェアクリエーターやサービスベンダーになります。彼らによって、ロボットは真にビジネスとして普及していくと信じています。ロボットはAIにボディを与えるための存在となり、AIが実社会で活動するためのインターフェースとなるのです。
さらに、自動運転などにおけるネットワークのハッキングは大きな問題です。ネットワークの問題、そしてリースや保険といった現実的な問題をクリアしてこそ、ロボットは社会に普及します。
今日という日は、多くのロボットが世に送り出され、大きな発展を遂げる、まさに時代の転換点となるでしょう。
【東京大学院教授 松尾 豊氏】(ビデオメッセージ)
今回新たにGMO AI&ロボティクス商事株式会社の顧問も担当することになりました。技術データとお金の流れをつなぐ”商社の機能”はとても重要ですが、日本では不足していると感じていました。この新会社がその部分を実現しようとしていることに非常に期待しています。生成AIの進展により、AIロボットの領域は急成長するでしょう。そして、実世界のインタラクションデータを共有するプラットフォームの意義も大きいです。この取り組みが日本や世界全体の発展に寄与することを期待しております。
【登壇ロボットの紹介】
記者会見の会場には、8体のロボットが集まり、それぞれをご紹介いたしました
AR、VRなどに強いFoxtrot株式会社は、XRでリアル環境を再現しドローン操縦のトレーニングに役立てる「XR Drone Simulator」を開発した。米Meta社のヘッドセットMeta Quest 2 、Meta Quest 3 に対応し、マルチコプター、固定翼などのドローンを仮想空間で疑似操縦できる。千葉・幕張メッセで6月4~6日に開催されるドローンの大規模展示会、JapanDroneでは⼀般社団法⼈ドローン操縦⼠協会(DPA)が出展するブースでコンセプト展示を予定している。
Foxtrotが開発したXR Drone Simulator はHMD (ヘッドマウントディスプレイ) で屋内や屋外の飛行環境を再現する。障害物も設定できる。空撮用のマルチコプターのほか、大型機、固定翼機など現場でのトレーニングが難しい機体も、操作感や挙動を再現する。GPSモード、ATTIモードなどでの操縦も可能だ。操縦ログの取得、分析ができるためトレーニングの進捗管理や安全教育での活⽤も想定される。
XR Drone Simulator は、Meta Questへのアプリインストールで導⼊される。法⼈向けに提供する計画で、初期セットアップやトレーニングのサポートへの個別対応、専⽤機体の連携、社内⽤ログ管理機能のカスタム開発飛行に加え、飛行空間内の障害物を自由に配置・変更できるシナリオ設計機能の提供も可能だ。
Foxtrotは建設業やプラントなど実機の使⽤に、安全面、コスト面、運用面などでの制約の伴う現場でドローンを運用させるパイロットのスキル維持のための活用を提唱している。Japan Droneでの展示はコンセプトだが、実証検討や導⼊に向けた相談や問い合わせも受け付けるという。
問い合わせはこちら → https://foxtrot.biz/xr-drone/
株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市)、株式会社電通(東京)、KDDIスマートドローン株式会社(東京)は5月29日、ドローンショービジネスの普及、拡張に関する基本合意書を締結したと発表した。マーケティング活動や地域活性化に寄与するソリューションの提供を通じドローンショーの普及と発展を目指すという。
発表文は以下の通り。
ドローンショー・ジャパン、電通、KDDIスマートドローンがドローンショービジネスにおいて協業
~ 空が情報空間に。自治体・企業に新たな価値を創造 ~
株式会社ドローンショー・ジャパン(本社:石川県金沢市、代表取締役:山本 雄貴、以下、ドローンショー・ジャパン)、株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長 執行役員:佐野 傑、以下、電通)、KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:博野 雅文、以下、KDDIスマートドローン)は2025年 5月29日、ドローンショービジネスの普及、拡張に関する基本合意書を締結しました(以下、本提携)。
近年、ドローンショーは革新的なエンターテインメントとして世界的に急速に拡大しています。多彩な光の演出と高度なプログラミング技術を融合させ、夜空を彩る幻想的なショーが国内外で注目を集め、夜空に描かれる多彩な光の演出は、観客に感動と驚きを提供し、新しい価値創造を促進しています。日本国内においても、イベントやプロモーションの新たな手法として積極的に採用され、地域の活性化やプロモーションにおいて重要な役割を果たしています。
本提携により、国内実績No.1(注1)のドローンショー・ジャパンと、従前よりマーケティング支援やコンテンツ制作を行ってきた電通、そしてドローンで取得した膨大なデジタルデータの解析に関する豊富な経験を有しているKDDIスマートドローンの知見をかけ合わせることで、シナジーを創出し、企業のマーケティング活動や地域社会の活性化に寄与する革新的なソリューションを提供することにより、ドローンショーのさらなる普及と発展を推進します。
■各社の役割
(注1)日本国内におけるドローンショー案件数、実績回数の実績として算出(ドローンショー・ジャパン調べ 2025年 5月現在)
■ドローンショー・ジャパンについて
ドローンを用いた航空ショーを国内で最も早く取り入れて事業化し、機体も自社開発する国内最大手のドローンショー企業です。「当たり前にドローンが上空を飛び交い人々の生活を豊かにする社会の実現」をミッションに、ドローンショーの未来をより創造的で、よりエキサイティングなエンターテインメントへと進化させるための更なる挑戦を続けています。
会社概要は https://droneshow.co.jp/ をご覧ください。
■電通について
顧客のマーケティング全体に対するさまざまなソリューション提供に加え、デジタル時代の変革に対応する効率的な広告開発、最適なお客様体験のデザイン、マーケティング基盤そのものの変革、さらには顧客の事業変革などを支援しています。また、マーケティング領域を超えて進化させた多様なケイパビリティを掛け合わせ、顧客と社会の持続的成長に貢献する統合ソリューションを提供していきます。
会社概要は https://www.dentsu.co.jp/ をご覧ください。
■KDDIスマートドローンについて
KDDIスマートドローンは、上空電波(4G LTE)を用いてドローンを制御することで、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。ドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・監視・測量・物流・農業などのさまざまな分野におけるお客さまのニーズに即した機動的なサービスの提供に取り組んでいます。
また国内15拠点以上でドローン国家資格に対応した無人航空機操縦士資格コースとソリューションに特化した領域専門コースを運営するドローンスクール「KDDIスマートドローンアカデミー」も展開しています。
会社概要は https://kddi.smartdrone.co.jp/ をご覧ください。
DRONE STARブランドを展開する株式会社ORSO(オルソ、東京都千代田区、代表取締役社長:坂本義親、以下ORSO)は、千葉・幕張メッセで6月4〜6日に開催される「Japan Drone 2025」で、国家資格練習用ドローン「DRONE STAR TRAINING」のプレミアム体験会を実施すると発表した。開催期間中にはしろまい、ササモモ、谷プラスワン。ほかの人気講師、有名パイロットら総勢14人が連日インストラクターとして登壇し、来場者と1対1の飛行体験を行う。またJapan Drone 10周年を記念して体験会の予約者全員に「DRONE STAR TRAINING ドローン・コントローラーセット」(1台)を贈呈する。予約は本日5月28日から予約を受け付ける(予約はこちらから)。また新サービスも初公開する予定だ。
プレミアム体験会に登壇するのは、大沢忍さん、渡邉秋男さん、白石麻衣さん、廣島美和子さん、谷+1。(たにぷらすわん)さん、小栗幹一さん、矢口康平さん、野元善州さん、後藤正和さん、獅子内珠羅さん、佐々木桃子さん、高橋元さん、青山祐介さん、田本 久さんの人気、有名パイロット14人(登壇日程順)。予約をすればJapan Drone 2025に開設されるORSOの体験ブースで、登壇者の飛行を間近で見たり、操縦や練習のコツを聞けたりとプレミアムな体験ができる。
界隈で名が知られた14人ものパイロットがひとつのブースに次々と登場する企画は珍しく、ブース今回のプレミアム体験会は、著名アーティストが次々と登場する音楽フェス、ロックフェスのような豪華な企画となる。また、登壇するパイロットが同じ機体を扱うため、来場者はそれぞれの感想やコツを見比べたり、聞き比べたりすることができる。予約枠が埋まるなどで1対1の体験の予約ができなくても、ブースを訪問することで様子を見学できる可能性がある。
ブースで飛ばすのは直径12cm、重量50.5gの手のひらサイズの練習用ドローン「DRONE STAR TRAINING」の操縦。専用のコントローラーがあるほか、ビジョンセンサーのON/OFFを切り替えられるため、ドローン国家試験の実技試験を想定した練習が室内でもできることで話題になっている。
またORSOはDRONE STARシリーズの新サービスとして、初心者向けドローン操縦シミュレーター「DRONE STAR PILOT」も初公開する。
同社の発表は以下の通り
@Japan Drone 2025、本日より予約開始
~予約者全員にDRONE STAR TRAININGを無料プレゼント~
DRONE STARブランドを展開する株式会社ORSO(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:坂本義親、以下ORSO)は、2025年6月4日(水)〜6日(金)に幕張メッセで開催される「Japan Drone 2025」にて、国家資格練習用ドローン「DRONE STAR TRAINING」のプレミアム体験会を実施いたします。
本企画では、総勢14名のプロパイロットがインストラクターとして参加。1対1形式での操縦体験を通じて、実際の練習方法や操縦のコツをその場で聞ける特別な機会となっております。
また、Japan Drone 10周年を記念して、ご予約いただいた方全員に「DRONE STAR TRAINING ドローン・コントローラーセット」(1台)をプレゼントいたします。
本体験会は完全予約制・各日限定枠での実施となります。
ご興味のある方は、ぜひお早めにご予約ください。
▶ ご予約はこちら:https://reserva.be/dronestar
■ 株式会社ORSO出展概要/DRONE STARプレミアム体験会概要
【出展概要】
出展イベント名:Japan Drone 2025
開催期間:2025年6月4日(水)〜6日(金)
開催場所:幕張メッセ
出展ブース:AP-10
【プレミアム体験会 概要】
内容:プロのドローンパイロットによる1対1形式の操縦体験(20分)
体験枠数:3日間合計72枠(担当インストラクター14名)
ご予約はこちら: https://reserva.be/dronestar
※予約状況・インストラクターの詳細は予約サイトをご確認ください。
※予約枠数が埋まり次第終了します。
※ご予約の入っていない時間帯には、当日の体験を受け付けます。
※「DRONE STAR TRAINING」のプレゼントは、予約枠での体験者が対象です。
■ インストラクターのご紹介とスケジュール(敬称略)
6月4日(水)10:30〜13:30
大沢 忍
AME TSUCHI 代表 / 一等無人航空機操縦士 / DroneMovieContest2024 グランプリ受賞
山梨を拠点に空撮・映像制作を手がけるクリエイター。一等無人航空機操縦士資格を活かし、物語性のある作品づくりを得意としています。
渡邉 秋男
有限会社クレセントエルデザイン 代表 / ドローングラファー
富士山ドローンスクール主宰。一等無人航空機操縦士。第1回Drone Movie Contestグランプリ。ドローン歴14年。
6月4日(水)13:30〜15:00
白石 麻衣
ドローンレース日本代表団団長
スクール講師も務める。一等無人航空機操縦士資格保有。ドローン歴8年。
6月4日(水)15:00〜16:30
廣島 美和子
ドローンスクール新潟 講師 / 新潟工科大学 特任助教
新潟市にあります株式会社スカイフォトサービスが運営しているドローンスクール新潟で国家資格講師として皆様をサポートしています!
6月4日(水)13:30〜16:30
谷+1。(たにぷらすわん)
ワタナベエンターテインメント ドローン芸人 / ギネス世界記録保持者 / エンターテイナー
世界唯一のドローン芸人。ギネス3冠の未来型パフォーマー。
6月5日(木)10:30〜12:00
小栗 幹一
日本DMC株式会社 代表取締役
UAVモニタリング操縦経験12年目(一等無人航空機操縦士)。
6月5日(木)12:00〜13:30
矢口 康平
双葉電子工業ドローンスクール 講師 / JUIDA特別講師
様々な国プロに参画。
6月5日(木)10:30〜13:30
野元 善州
株式会社ノーベル UAV事業部 部長
大分県で登録講習機関の講師を務めています。空撮から測量、物流の運航管理まで幅広くドローンの利活用に努めています。よろしくお願いいたします!
6月5日(木)13:30〜16:30
後藤 正和
株式会社オーイーシー DX・海外連携推進室 / ドローンサッカーパイロット
大分ドローン協議会、日本ドローンサッカー連盟所属。
獅子内 珠羅
有限会社ワールドファニッシング・グループ ドローン事業部 / ドローンパイロット / 二等国家資格修了審査員
ドローン国家資格教習所「JULC(日本無人航空機免許センター)」の群馬教習所にて二等の修了審査員を務める。DJI CAMPの講師として勤める。一等無人航空機操縦士資格保有。
6月6日(金)10:30〜13:30
佐々木 桃子(ササモモ)
株式会社ジュンテクノサービス
2015年、専業主婦からドローンパイロットをめざし、事業を開始。ブロガー・動画配信など多岐にわたる活動でドローンの普及に貢献。現在は株式会社ジュンテクノサービス取締役、水中ドローンを活用したインフラ点検現場などの現場にて国内外を問わず活躍。
高橋 元
株式会社ozora CEO / GlobeXplorePro開発 / FPVドローンパイロット
世界中どこでも飛行できるドローンシミュレーターを開発。FPV歴5年。若者ドローンコミュニティ運営。
6月6日(金)13:30〜16:30
青山 祐介
記者、オペレーター
ドローン関連の書籍やWebサイトの記者として活動。オペレーターとしてもレベル4飛行や機体開発にも携わる。
田本 久
タモサンドローン合同会社 代表社員
長崎県を起点としてテレビ番組や企業PVなど空撮業務を中心にスクール講師などもやっております。ドローン歴12年。
▶ ご予約はこちら:https://reserva.be/dronestar
■ 新サービス「DRONE STAR PILOT」について
また会場では、DRONE STARシリーズの新サービスとして、初心者向けドローン操縦シミュレーター「DRONE STAR PILOT」も初公開いたします。
■「DRONE STAR TRAINING」について
「DRONE STAR TRAINING ドローン・コントローラーセット(2024年7月発表)」は、機体とコントローラー(プロポ)がセットになった製品です。本製品は練習用に特化して開発を行いました。機体は直径12cm、重量50.5gの手のひらサイズで、バッテリーは着脱式のため、長時間の練習にも対応できます。また、専用コントローラーには、ビジョンセンサーのON/OFF機能が搭載されており、ドローン国家試験の実技試験基準に準拠した、本番さながらの練習を可能にします。
【公式サイト】 https://www.dronestar.jp/product/training
DRONE STARとは
株式会社ORSOと、株式会社エルの共同プロジェクトである「DRONE STAR」は、2016年にドバイで開催されたドローンレース世界大会に日本代表として参加した高宮悠太郎を中心に、ドローンとスマホアプリを連携させ、楽しみながら学ぶ新しいコミュニケーションを提案するプロジェクトです。DRONE STARとは、お使いいただくユーザーの方々の中から新たなスターが生まれ、今後の新しい可能性を広がる未来が来ることを願ってつけられた名称です。
2017年には、室内で楽しく学べるアプリ「DRONE STAR」と対応機体「DRONE STAR 01」をリリースし、ドローンと共にリリースした連携アプリによって、スマホの画像認識とAR技術を活用し、操縦者の技能をスコア化する機能を提案。2018年には、教育現場でのICT教育を推進するために、ドローンプログラミングアプリ「DRONE STARプログラミング」をリリース。このアプリは全国各地の教育現場とともに研究開発され、創造的課題や動画撮影が可能で、論理的思考を育むツールとして注目されています。2023年には、お家で安心して飛ばせるバッテリー交換可能な「DRONE STAR PARTY」を発売。2017年にリリースした「DRONE STAR 01」と比べて飛行時間が延びたほか、高さだけでなく水平方向の飛行アシストも追加され、より安定したホバリングが可能となりました。引き続き、DRONE STARを通じて、楽しみながら学ぶ新しいコミュニケーションを提案していきます。
DRONE STAR公式ホームページ: https://www.dronestar.jp/
ブルーイノベーション株式会社(東京都)は5月27日、航空トレーニングサービスなどを提供する米PKL Services, Inc.(PKL)と「ドローン操縦訓練シミュレータの共同開発・提供覚書(MOU)を締結した」と発表した。用途特化型訓練プログラムや、実務を再現したシミュレーション訓練などを視野に入れている。締結した日時はプレスリリースに明記されていない。
ブルーイノベーションが発表したプレスリリースによると、同社はPKLのAIやMRを活用する航空訓練システム「OMNISPEC® トレーニングシステム」をカスタマイズし、ドローンの訓練シミュレータを共同開発する。ブルーイノベーションは
を想定しているという。
PKLのマイケル・ネイラーCEOは「お客さまの重要なニーズや複雑なミッションの要求に合わせた高度な訓練ソリューションをカスタマイズできる当社の能力は、ドローン市場に大きな価値をもたらすでしょう」、ブルーイノベーションの熊田貴之社長は「今回の取り組みにより、災害対応やインフラ点検など、社会の最前線で活躍できるプロフェッショナル人材の育成を加速し、持続可能で安心な社会の実現に貢献してまいります」とそれぞれコメントを発表している。
自動制御技術のブルーイノベーション株式会社(東京)は5月20日、一宮町(いちのみやまち、千葉県長生郡)で、津波避難広報システムの運用を始めた。津波警報などの発令を受けてドローンが自動で離陸して海岸に飛び、海岸にいるサーファーらに高台への避難を呼びかける。一宮町役場で完成記念式典が行われ、馬淵昌也町長は「サーフタウンとしてみなさまに安心して頂けるレベルがはるかに上昇すると大変うれしく思っています」などとシステムの運用開始を歓迎した。この日はドローンのデモ飛行も行われ、海上を飛びながら避難を呼びかける様子が公開された。
運用が始まった津波避難広報システムは、ブルーイノベーションが独自開発した制御システム、Blue Earth Plarform(ブルーアースプラットフォーム、BEP)をドローンポートの自動運用に適用した「BEPポート|防災システム」を一宮町向けに調整したシステムだ。同じ仕組みを使ったシステムが仙台市に導入されていて、一宮町での導入は津波避難広報システムとして2例目となる。
システムは国が緊急事態を知らせる「全国瞬時警報システム(Jアラート)」と連動していることが特徴だ。Jアラートのうち、大津波警報、津波警報、津波注意報の3種類の津波関連情報を受信すると、自動制御システムであるBEPが自動でドローンポートにドローンの飛行を指示し、ポートに待機していたドローンが自動で離陸する。
離陸したドローンは海岸に向かって飛行し、海岸線から10~20m程度の海上上空にたどりつくと、水面から25mほどの高さにまで飛行高度をさげて、機体に搭載しているスピーカーから「ただちに高台に避難を」などと海上のサーファーや周辺の人々に呼びかける。スピーカーのメッセージの種類はJアラートが受け取った津波情報によってBEPが使い分けを指示する。
システムは頭脳であるBEPと、ドローンポート、ドローン本体がセットになっている。採用されたドローンポートは「DJI DOCK」、ドローンは「DJI Matrice30T」。ポートと機体は一宮町役場の屋上と、町役場から直線で2.7㎞離れた一宮町立東浪見小学校にそれぞれ1組ずつ設置された。機体は視認しやすいように白い機体がオレンジ色で塗装されている。
BEPがJアラートを受信すると、ふたつのドローンポートを同時に制御し、それぞれのポートから自動でドローンが離陸する。一宮町の海岸は約7.5㎞あり、2機のドローンが呼びかけエリアを分担する。飛行時間に限りがあるドローンのバッテリー環境を健全に保ち、沿岸での呼びかけを終えるまでの時間を短縮する。
ドローンの飛行経路や、ドローンのカメラからとらえた映像はBEPでリアルタイム管理され、本部(町役場や災害対策本部、消防など)にいながらに確認できるため、職員が現場に向かう危険を回避することにもつながる。
システム導入までは、一宮町では防災無線が避難広報の中心的な役割を担ってきた。サーファーたちの心強い味方だが、固定された無線では呼びかけ効果に濃淡ができることや、建物の影になった場所への呼びかけなどが課題として指摘され、防災体制の強化が検討されてきた経緯がある。一宮町の馬淵昌也町長は「高台から光を照らして知らせるなどの方法も検討したが網羅性に課題があった」という。
完成記念式典で馬淵町長は「防災では災害情報を瞬時に正確にすべてにもれなくお知らせすることが大事です。今回のシステムはその一歩として期待していますし、サーフタウンとしてみなさまに安心して頂けるレベルがはるかに上昇すると大変うれしく思っています」と述べた。
式典では小関義明一宮町議会議長が「わが町の防災体制の向上に大きく寄与すると期待しています」とあいさつしたほか、一宮町サーフィン業組合長の鵜澤清永組合長の「今回のシステムはまさに命を守るための仕組みです。情報をいちはやく正確に必要な人にしっかり届けることは、早めの避難行動に直結し、被害を最小限に抑える力になります」と期待を寄せるメッセージや、プロサーファー岩見天獅さんの「海の上で危険をどう伝えるかは本当に大切。今回導入されるシステムは聞こえない、と必ず届く、に返す取り組みだと思います」というメッセージが紹介された。
この日行われたデモフライトでは、一宮町役場の屋上に設置されたドローンポートから離陸したドローンが、一宮海岸の上空からスピーカーで呼び掛ける様子が披露された。
一宮町は昨年(2024年)11月に、ブルーイノベーションのシステム導入を発表し、その後、調整を続けてきた。この日の発表から実運用に入る。原則としてJアラートの発表がないとドローンは出動しないが、防災訓練などのさいに飛行を公開する可能性があるという。
ブルーのドローン津波避難広報システム、一宮町が導入 仙台市の導入を教訓に決定
公表されたプレスリリースは以下の通り
~Jアラートと連動、避難広報と状況把握を完全自動化。千葉県一宮町で2例目の社会実装~
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、自治体向けに開発した「BEPポート|防災システム」(以下 本システム)の本格提供を、2025年5月20日より開始しました。
同日、千葉県一宮町にて本システムを活用した津波避難広報システムの完成記念式典が開催され、津波対策としては2022年に導入された宮城県仙台市に続く2例目の社会実装となります。
本システムは、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動し、災害発生時の避難広報および現場の状況把握を自動化することで、迅速かつ的確な初動対応を可能にする次世代型の防災ソリューションです。ブルーイノベーションは今後、人に依存しない無人防災の実現を目指し、全国自治体への展開を進めてまいります。
■災害対応に求められる「初動対応」・「迅速な状況把握」・「確実な伝達」
地震・津波・豪雨・森林火災など、頻発する自然災害が懸念される中、自治体には迅速な「避難広報」と「被災状況の可視化」が求められます。しかし、実際の現場では「人手不足」や「安全確保」が課題となり、迅速な初動対応が困難なケースも少なくありません。
そこでブルーイノベーションは、自治体が抱える防災対応の課題に対し、「避難広報」と「状況把握」を自動化する次世代型防災ソリューションとして、「BEPポート|防災システム」を開発しました。
■「BEPポート|防災システム」の3つの特長
本システムは、ブルーイノベーションが開発したドローンポート情報管理システム「VIS(Vertiport Information System)」※1を基盤とし、Jアラートと連携することで、災害発生時にドローンが自動で発進。広域への避難広報とリアルタイム状況把握を実現し、自治体の防災力向上に大きく貢献します。
1.Jアラートと連動した自動避難広報
Jアラートを受信すると、ドローンポートからドローンが自動発進。上空からスピーカーで避難を呼びかけ、人手を介さず、迅速な避難指示を行います。
2.被災状況のリアルタイム把握
あらかじめ設定された飛行ルートを自動飛行しながらドローンが被災地の映像を取得。複数機の同時運航で広域をカバーし、映像はBEPポートサーバー(国内クラウド)へ自動保存。現場の状況を安全・確実に把握・共有できます。
3.職員の負担軽減と安全確保
遠隔からの状況確認により、職員の現地出動を最小限に抑えます。専用アプリによる簡単操作で自動運航できるため、ドローンの操縦スキルに依存せず、安全な初動対応が可能です。
■サーフィンの聖地、千葉県一宮町への導入
全国有数のサーフスポットとして知られる千葉県一宮町は、年間約60万人のサーファーや観光客が訪れ、海岸エリアには常に多くの人が集まる地域です。一方で、約7.5kmにわたる広域な海岸線を有する同町では、津波などの災害発生時における避難指示の迅速かつ確実な伝達が大きな課題となっていました。
この課題を解決すべく、一宮町では当社が開発支援を行った宮城県仙台市での津波避難広報ドローン事業の事例に着目し、本システムの導入を決定し、4月から稼働開始しました。津波注意報以上が発令された際には、一宮町役場と東浪見小学校の屋上に設置されたドローンポートからドローンが自動で発進。上空からの避難広報と現場映像の取得を同時に実施します。
これにより、サーファーや観光客、地域住民を問わず、広域かつ迅速な避難支援と状況把握が可能となり、一宮町はより強固な災害対応体制を実現しています。
■「BEPポート|防災システム」の全国展開へ
本システムは、津波災害に限らず、地震・洪水・火山災害・森林火災など、多様な災害への対応を想定した汎用性の高いソリューションです。
今後、全国の自治体や公共団体への導入を積極的に推進し、特に人手不足や高齢化が進行する地域において、人に依存しない「無人防災インフラ」の構築と社会実装を目指してまいります。
神奈川県茅ヶ崎市の沖合上空を飛んでいたドローンが、漂流しているサーファーを発見し、漂流者は通報を受けて駆け付けた救助艇に助けられた。救助されたのは3人で、最初の救助は通報から約10分後と素早い救助につながった。
通報があったのは5月10日午前10時9分。茅ヶ崎市東海岸南の茅ケ崎ヘッドランド沖でサーファーが流されていると119番に通報があった。通報を受けて神奈川県水難救済会茅ケ崎救難所のライフセーバー5人が乗れる救助艇が現地に向かった。確認をしたところ3人が流されていて、湘南海上保安署によると最初の1人目を午前10時20分に救助し、救急隊に引き渡した。その後10時30分、10時40分と10分ごとに1人ずつ救助した。3人とも無事だった。
ドローンは、沖合200メートルの場所にいたサーファーの姿と、その漂流者が、ドローンに向かって手で「✕」印をつくってみせ、漂流していることを確認したという。
現場となったヘッドランドはT字型の人口岬で、沖合に向かった流れる離岸流が発生しやすく、遊泳には適していないとされる。離岸流は岸から置きに向かって流れるため、漂流時に岸にむかって泳ぐと、たどりつけないうえ、体力が消耗し危険とされている。また、当時は強風波浪注意報も出ていたという。
ドローンを使った沿岸パトロールや海難レスキューへの期待は高まっている。今年(2025年)2月13日には、海難レスキュー用に開発された機体が機能するかどうかを確認する実証実験が鎌倉市(神奈川県〕の材木座海岸で行われ、遭難者役のライフセーバーが海面に浮かぶと、ドローンが急行して救命浮環や、海水を着色して位置を示せるシーマーカーを投下した。シーマーカーはGPSを搭載したカプセルとともに投下され、陸上で現場の場所を特定できるなど、効果を確認できた。実験は神奈川県産業振興課が主催した。
このときのレスキュードローンは田村市(福島県)に本社を構える株式会社manisonias(マニソニアス)が、「Quick(クイック)」ブランドで国内のドローン開発を数多く手掛ける五百部商事有限会社(鹿沼市<栃木県>)の機体をベースにカスタマイズした機体で、「SAKURA」と名付けられている。
神奈川県では海岸パトロールの取り組みは5年前から行われている。新型コロナウイルス感染症が広がりはじめた2020年7月18日、神奈川県は感染拡大防止対策として県内の25カ所の海水浴場の開設を取り止めたが、このさい海水浴場の安全確保のため、ドローンとライフセーバーによるパトロールの実証実験を片瀬西浜(藤沢市<神奈川県>)で行われた。水難事故などのトラブル対策として、神奈川県は日本ライフセービング協会と包括協定を締結、藤沢市も海水浴場組合、神奈川ライフセービング協会、藤沢市サーフィン協会などと協議し「夏期海岸藤沢モデル2020(藤沢市夏期海岸ルール)」を定めていた。ドローンを積極的に活用することは対策に盛り込まれていて、この日の実験がドローンとライフセーバーの連携では初めての取り組みとなった。
サーファーが集まる場所での沿岸パトロールは地元自治体の課題のひとつで、年間60万人のサーファーが訪れる一宮町(いちのみやまち、千葉県長生郡)は昨年(2024年)11月15日、自動制御技術のブルーイノベーション株式会社(東京)が開発したドローン自動巡回システムの導入を決めたと発表し、近く実証実験を行う見通しだ。