株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)と、大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ、大阪市)は大阪エリアで空の移動革命を社会実装させるために共同で取り組む業務提携を結んだ。また大阪メトロがSkyDriveに出資した。大阪メトロによるSkyDriveへの出資は8月23日付。今回の出資の金額は非公表だが、SkyDriveの資金調達は2022年9月のシリーズCラウンド以降の3回で累計約80億円となり、またこれを含めた調達総額は350億円超となった。大阪メトロは2025年の大阪・関西万博でVポート(離発着場)の整備を担うことになっている。これをきっかけにエアモビリティ事業に本格的に参入する方針で、10月1日には社内に専門の部署を発足させる。万博閉幕後の2028年に大阪市内の大阪城東部の開発エリアに新設を計画しているメトロ新駅にVポートの設置を目指しており、大阪メトロの河井英明社長は新駅の開業にあわせ、Vポートを活用した空のサービスを開始することを目指すことに「願わくば、そうなれば望ましいと期待しています」と意欲を示した。
提携は8月26日に発表された。大阪市内の大阪メトロ本社では、大阪メトロの河井英明代表取締役社長、SkyDriveの福澤知浩代表取締役CEOらが会見した。
河井社長は「大阪全域での格段に便利で快適な移動サービスを構築するモビリティのベストミックスカンパニーに取り組んでおります。空飛ぶクルマが加えることで地下、地上、空が一体となったあらゆる移動サービスにこたえる交通インフラの確立を目指します」と空クル事業への参入の意義を説明。「当社がVポートの整備や運営を手掛けます。ストレスフリーな、多様なモビリティの結節点として、今後開発する中規模から大規模の乗り継ぎハブとして、必要に応じて(ビルの)屋上などにも設置して、都市機能のさらなる強化を図りたいと思っています」と述べた。
業務提携について、河井社長は「空飛ぶクルマの社会実装、都市内の輸送などでの両者の目指す姿が一致したことと、大阪メトロのVポート事業、SkyDriveの機体製造、運航事業の補完関係が極めて明確で、SkyDriveは私どもにとってベストパートナー。当社はこれから空飛ぶクルマ事業に本格的に参入していく所存ですが、現時点では知見が不足しており、事業かに必要な各種調査、人材交流、事業化後の協力体制までを盛り込んだ提携を結びました」と提携締結の経緯を説明。「(大阪城東部に計画している)『森之宮新駅』のVポート設置をはじめ、当社の空クル事業を加速させ、大阪における空飛ぶクルマの社会実装につなげたいと考えています」と意欲を示した。
大阪メトロからSkyDriveへの出資について、河井社長は「空飛ぶクルマ事業は先行事例もなく両者とも相当のリソース、エネルギーを投入する必要があり、出資することでSkyDriveの財務面をサポートし、強固なパートナーシップを築くことにしました」と説明。関連して「また空飛ぶクルマに関わる専属の組織をたちあげることを決めました」と10月1日付で新部署を設置する方針を示した。後世メンバーは今後調整するが、この時点では中期的に10人規模をめざし、社内の人材のほか、外部の有識者の登用も検討する見込みだ。
SkyDriveは、自社開発のエアモビリティを、自動車を日常的に使うように運転の延長線上で空を移動できる乗り物を作りたいという思いから創業時から「空飛ぶクルマ」と呼び、英語表記として「FLYING CAR」を使っている。現在開発中の機体は操縦士1人と同乗者2人までの3人乗りの12基のローターを搭載するバッテリー駆動のエアモビリティで、陸上を走る機能は持たないが、創業時の思いは自動車の延長線上で日常使いできる空の乗り物だった。現在も将来的な空と陸の両用機の開発を排除していない。
この日の会見では福澤CEOが自社開発中、製造中の「空飛ぶクルマ」の特徴や開発にかける思い、エアモビリティのある社会の利便性などを説明したあと、大阪メトロとの関係について言及した。その中で、大阪メトロの河井社長らがSkyDriveの施設を見学に訪れて熱心に見学したことや、意見交換でモビリティ革命について意気投合したことなどを紹介した。
福澤CEOは「大阪における多くの方々の日常的な移動の向上に起用したいと思っています。新しいものを生み出す観点からは、機体開発だけではなく、効率のいいオペレーション、利用者にとっての使いやすさも同時に満たす必要があります。両者一眼となってプロジェクトに取り組んで参ります」と抱負を述べた。
また福澤CEOは、記者会見の質疑応答に答える形で自社製品について触れ「(大阪関西万博では)デモフライトを実施すべく動いております。そのタイミングで(世界の)いろんな会社が飛行を目指しています。その一番進んでいる会社とあまり大きな差はないレベルだと思っております。ほかのプレイヤーと一緒に万博でデモフライトができればいいと思っています」と自信をのぞかせた。
また大阪メトロからの出資については、「とっても助かります。大変ありがたい」と感謝した。そのうえで「モノができたあとには、利用者が実際にどう使い、うまくワークするのかどうかが大事になります。ぼくらは飛ばすことについてはできますが、利用者にとって移動ニーズがあるのか、コストと価格が見合うのか、地下鉄やオンデマンドバスと組み合わせたときの結節点のありかたはこれでいいのか、といった需要側のことがわからない面があります。そうしたところをワンチームで勧めたいと考えています」と付け加えた。
空クル事業のサービスについて、大阪メトロの河井社長は「最初は遊覧飛行ぐらいかもしれません」などと展望。日本で最初の商用運航でありたいか問われた質問に対して、「できることでありましたらそういうことも目指したい」と応じた。
商用運航のスタートの時期について河井社長は「万博が終わって数年以内にはスタートしたいと思っています」と述べたあと、2028年に開設を目指す森之宮新駅との関連について追加で質問をされ、「新駅にVポートをつくれないか検討を進めていきたいと思っています。(森之宮では)新しい駅ビルもつくります。再開発も行いますのでそこにVポートをつくりたい。タイミングがあえば(2028年のサービス開始が)望ましいかな、と期待しているところです。私どもだけでできるわけではないですが、私どもとしてはそう願っています」と2028年のサービス開始に期待を寄せた。福澤CEOも「われわれも目指します」と同調した。
大阪メトロとSkyDriveは提携についてプレスリリースを発表している。SkyDriveのプレスリリースは以下の通り。
~併せて、Osaka MetroからSkyDriveに出資いただきました~
(※編集部注:大阪メトロもほぼ同じ内容のリリースを公表している。会社名の場所や上記の「出資いただきました」が「出資しました」になるなど文章上の係り結びが整理されている)
「空飛ぶクルマ」(※1)の開発およびドローン関連サービスを提供する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「SkyDrive」)は、空飛ぶクルマの社会実装を目指し、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)後の大阪エリアでの空飛ぶクルマを用いた事業化に向けた検討を行うことを目的に、大阪市高速電気軌道株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長 河井英明、以下「Osaka Metro」)と業務提携契約を締結したことをお知らせします。併せて、Osaka MetroからSkyDriveに出資いただきました。
SkyDriveは「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、「空飛ぶクルマ」の開発をしています。大阪・関西万博においては、「空飛ぶクルマ」の2地点間での運航事業者に選定されています(※2)。
Osaka Metroは、地下鉄およびニュートラムを9路線運営しており、1日の乗降客数は平均約240万人にのぼります。大阪を各段に便利で快適なまちにしていくことを目的に都市型MaaS構想「e METRO」を推進しており、パーソナルな移動を実現するための新たな選択肢として「空飛ぶクルマ」も視野に入れています。2024年2月には大阪市の「空飛ぶクルマ」会場外ポート事業者として選定され、バーティポートの整備を進めていきます。
両社は、Osaka Metroが「空飛ぶクルマ」会場外ポート事業者として選定されて以来、協議を進めてきました。議論を進める中で、Osaka Metroが都市型MaaS構想で目指す「あらゆる移動ニーズに応える交通インフラの確立」と、SkyDriveが実現を目指している、「空飛ぶクルマ」によって日常の移動に空を活用する世界に親和性があると考え、この度、業務提携契約の締結に至りました。
今回の提携により、両社はビジネスモデルの策定・精緻化、オペレーション内容の設定・確定など、「空飛ぶクルマ」の事業化に必要な検討を進めてまいります。
(以下にSkyDriveのシリーズCについてのリリースがあります)
~「空飛ぶクルマ」の機体開発および製造を加速~
「空飛ぶクルマ」の開発およびドローン関連サービスを提供する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO福澤知浩、以下「当社」)は、新たに4社を引受先とした第三者割当増資により追加調達を完了しました。2022年9月に実施したシリーズCラウンド以降、3回に渡り追加調達した金額は累計約80億円となります。
<本ラウンドの引受先>(五十音順)
<これまでの追加調達のプレスリリース>
2024 年 1 月:https://skydrive2020.com/archives/41403
2023 年 4 月:https://skydrive2020.com/archives/21778
■ 資金調達の背景・目的
当社は、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに 2018 年に設立し、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、空飛ぶクルマの開発を行っています。社会実装する上で不可欠な認可の1つが型式証明です。当社の製品『SKYDRIVE(SD05型)』は、2021年に日本の国土交通省により、型式証明申請が受理され、2022年には審査適用基準の方針を合意しました。現在は、次の段階である適合性証明計画の合意に向け、開発と並行して証明活動を行っております。そして、証明計画合意後は、その計画に沿って地上試験、飛行試験等を行います。
今回の資金調達を通して、前述の地上試験、飛行試験等の環境や体制を強化し、開発・証明活動を加速していく所存です。加えて、量産に向けた品質保証部門等の増員・強化にも着手してまいります。
また、当社の『SKYDRIVE(SD-05型)』は、4カ国(日本、アメリカ、韓国、ベトナム)から、合計263機のプレオーダーをいただいております。お客様に納入後も機体のコンディションが管理できるよう、設計から製造そして納入後まで、一貫して機体データを管理するデジタルプラットフォームの構築を進めてまいります。
■株式会社SkyDrive代表取締役CEO福澤知浩コメント
2022年9月のシリーズCの資金調達時以降、多くのグローバルトップクラスの航空機エンジニアがチームに加わり、当社の機体開発は大きく前進する事が出来ました。また、株主でもあり強力なパートナーであるスズキ株式会社のご協力の元、2024年3月、スズキグループの静岡県磐田市の工場で『SKYDRIVE(SD-05型)』の製造を開始することが出来ました。
事業開発においても、スズキのサポートの元、インドでの市場開拓を進め、グジャラート州政府と戦略パートナーシップを締結しております。
アメリカにおいては、2023年11月にSkyDrive America, Inc.を設立、サウスカロライナ州やジョージア州等の各空港を起点とした航路検討が進んでおります。
この度、投資家の皆さま、事業会社の皆さまに、当社の進捗を評価していただき、強力なサポートをいただくことができました。感謝するとともに、皆様のご期待に応えるべく全力で開発と事業を進めてまいります。
株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市<石川県>)は、8月16日、奥能登のやなぎだ植物公園(能登町柳田植物公園、能登町上町)で、能登半島地震からの復興を応援するドローンショー「Charge & Go!能登復興応援スペシャルバージョン」を開催する。2011年に男女混合のパフォーマンスグループAAA (トリプル・エー) の楽曲としてリリースされた『Charge & Go!』の特別バージョンをモチーフにした光のショーで、この曲の作詞を担当したKenn Kato氏とのコラボレーションで実現することになった。作品は三部作で8月16日はその第1回となる。
8月16日のドローンショーは、やなぎだ植物公園で開かれる「2025年 ござれ祭り」の目玉行事のひとつとして午後8時から行われる。ドローンショー・ジャパンが主催し、同社が開発したドローンショー専用機体「DSJ MODEL-X」500機を使う。作詞家Kenn Kato氏が代表を務めるドローンショービジネスのアゲハライド株式会社(東京)が企画協力し、ドローンショー企画などを手掛けるルーカスドローン株式会社(うるま市<沖縄県>)が制作協力する。
今回は「Charge & Go!能登復興応援スペシャルバージョン」全3部作の第1回で、第2回で、その後第2回を9月7日(日)、 宇出津港いやさか広場(能登町)、第3回を10月25日にやなぎだ植物公園で開催する予定だ。各回で演出と表現が異なり、復興への願いを段階的に描くという。
コラボレーションの相手となったKenn Kato氏は、AAAのほか青山テルマ、EXILE、三代目J Soul Brothers、東方神起ら多くの著名アーティストに楽曲を提供しているクリエイターとして知られる。また8月16日のショーが開催されるやなぎだ植物公園の「ござれ祭り」には、キャンドルアーティストCANDLE JUNE氏がキャンドルアートで、歌手の渡辺真知子さんがステージで参加し会場を盛り上げる。入場は無料。
ドローンショー・ジャパンは「ドローンが夜空に描く幻想的な光景が、見上げる人々の心に少しでも勇気と感動をもたらすことができれば幸いです。このドローンショーが単なるエンターテイメントの枠に留まらず、能登の復興を全国に発信するきっかけとなり、被災地の皆様の心の支えとなることを心より願っております」「本ドローンショーを通じて、被災された皆様に少しでも癒しと勇気を感じていただけることを願っています。14年の時を経て楽曲『Charge&Go!』が光のダンスとして蘇り、復興への新たな歩みを力強く踏み出すきっかけとなれば幸いです」とコメントしている。
会場への公共交通機関としては北陸鉄道バス「立ケ谷内」が最寄り。北陸鉄道バス路線図はこちら
東日本旅客鉄道株式会社(東京、JR東日本)は、高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)一体型の都市開発エリア、TAKANAWA GATEWAY CITYで8月23日、300機のドローンを使った「ドローンショー in Summer」を開催する。人が多く空港に近いうえ電波干渉対策も要するなど、都心開催につきまとういくつもの条件をひとつひとつクリアし、今回の実現にこぎつけた。観覧希望者はJR東日本がTAKANAWA GATEWAY CITYアプリで募り、先着順で予約を受け付けた。受付はすでに修了している。
ドローンショーは、TAKANAWA GATEWAY CITYが目指す姿を周知する目的で開催される。ショーは午後7時、午後8時半の2回、行われる計画で、TAKANAWA GATEWAY CITY内のTHE LINKPILLAR 1 SOUTHに「特別観覧エリア」を設け、予約した200人を招待する。開始前には屋内ドローンショーも予定している。天候要因などにより中止になりうることを説明している。
JR東日本は、グループ経営方針「勇翔 2034」でエアモビリティを活用したビジネスの創造を掲げていて、TAKANAWA GATEWAY CITY ではその方針に基づき新たな移動・物流・エンターテインメントの可能性を探っている。すでに米ASKA社のAAMのモックアップ展示や、点検用ドローンを使ったドローンレースの開催などを進めていて、ドローンショーの実施もその一環としての取り組みだ。
JR東日本は「今後も新たなドローンの活用方法を模索してまいります」とコメントし、「ドローンが当たり前に飛ぶ未来」の創造を目指す。
施設に不正にもぐりこみ置いてある端末からネットワークに侵入するリスクが高まる中、施設への実際の物理的な侵入とサイバー攻撃の両方のリスクを確認する診断サービスを、サイバーセキュリティ事業者と警備大手が手を組んで実施する。実施するのはドローンとつながりの深いGMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)とALSOK株式会社(東京)。すでに重要インフラ企業、防衛産業などに提案活動を進めており、9月にサービスを開始する計画だ。
GMOインターネットグループでサイバー攻撃対策事業を展開するGMOサイバーセキュリティbyイエラエとALSOKは7月29日、物理空間からサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化するセキュリティ診断サービス「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を開発したと発表した。発表時には東京・用賀のGMOインターネットTOWERに関係者が集まり報道陣向けに説明会を開いた。
「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」は、巧妙化、複雑化するサイバー攻撃への備えのためのサービス。サイバー攻撃では攻撃者が企業や組織などの外からメールなどを通じてネットワークに侵入して重要データの漏洩などを仕掛けるが、サイバー攻撃への防御が進むにつれ、施設そのものに攻撃者が侵入し、施設内の端末を使ってネットワークに侵入する手口が増え始め、金融庁などが警鐘を鳴らしている。このため、物理的に施設に入り込まれるリスクがどの程度あるか、そのうえでサイバー攻撃がしかけられるリスクがどの程度あるか、を同時に診断するサービスを開発した。
テストでは、企業や団体などの依頼に応じて、指定された拠点に侵入するための方法を攻撃者の視点で検討する。拠点には許可された人が開錠したさいに続けて入り込む共連れやICカードの偽装して侵入を試み、侵入に成功したら、不正端末の接続などサイバー攻撃の足掛かりを探索し、ネットワークに入り込んで情報搾取を試みる。攻撃者の視点でテストすることで、防御の脆弱な個所を浮き彫りにする。侵入後には脆弱性や改善策をまとめたレポートを依頼主に提出することで、攻撃への備えに役立てる。
このテストでは、拠点への物理的な侵入の部分をALSOKが担い、サイバー攻撃部分をGMOイエラエが担った。ALSOKは新サービス開発にあたり、物理侵入を足掛かりとしたサイバー攻撃に焦点を当てた、新たなセキュリティ診断サービス「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発し、GMOの診断と連結させサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化する「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を仕上げた。なお物理ペネトレーションテストの専門ベンダーBarrierCrack合同会社(東京)も開発に参画し技術提供を受けた。
GMOインターネットグループ株式会社の西山裕之取締役グループ副社長執行役員は「GMOグループは創業以来『すべての人にインターネット』のキャッチフレーズをかかげインターネット社会の発展に邁進し、現在1700万件以上のご活用を頂いています。しかしながら昨今、インターネットを悪用した犯罪が蔓延しており、その手法がますます高度化、頻発化しています。このため今年度より『ネットのセキュリティもGMO』をかかげ、さまざまな施策を進めすことにしました。インターネット社会の発展のために、サイバーセキュリティの課題に真摯に取り組んでいきたい。いまやリアルとネットは切り離せません。交通、物流、金融、医療、行政、あらゆるインフラはネットワークが前提です。ALSOKさまとの取り組みを通じて、リアルとネットの両面で安全、安心の社会の実現に貢献したいと願っています」と述べた。
ALSOKの佐藤将史執行役員は、2025年7月16日に創立60周年を迎えた機会に社名を綜合警備保障株式会社からALSOK株式会社に変更し、ブランドスローガンとして「ALwayS OK」を掲げたことを紹介し「警報を受信したら現場に駆け付けるインフラを使いひと、もの、かねを軸にセキュリティを提供し、2000年初頭の法改正以降、情報も含め物理的側面から守ることを続けてきました。今後は確かな現場対応力を武器にサイバー領域の業容を拡大したい。そこでGMOさんとタッグを組んで開発した商材が『ALSOK & GMOサイバー物理ペネトレーションテスト』です。われわれの60年の守りのノウハウを攻撃者の視点に活用することで物理侵入を足掛かりにしたサイバーセキュリティにフォーカスした新しいチャレンジです」と述べた。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの牧田誠代表取締役CEOは、「われわれはサイバーセキュリティの会社で、ホワイトハッカーが日本で一番多く所属していることが特徴です。ハッキングコンテストでも優勝、世界一などを受賞しています。そんなわれわれがしていることは脆弱性診断、侵入テスト、ペネトレーションテストです。1万2600件ほど実施しています。ゼロデイも研究していて、年間100件ぐらい見つけ報告しています。これは研究なので商売ではなく見つけたらボランティアで報告しています。ペネトレーションテストをするときには、攻撃者の視点を模します。WEBサイトがあれば、脆弱性を試します。スマホアプリならそこからの侵入ができないか探します。攻撃者は弱いところを狙います。資産を持つ側はインターネットでアクセスできないところに大事な資産をおこうということが進み、どんどん堅牢になっています。そうすると、攻撃者は次に弱いところを狙います。証券会社が侵入されて株価操縦されたという話は、銀行がセキュアになったことで次の標的になったとみられています。そちらがセキュアになると次にどうなるか。次の課題が物理の侵入です。日本は遅れている状況がありますので、そこが狙われるのではないかという懸念があります。ここをALSOKさまといっしょにテストをしてまいりたい。GMOでも物理セキュリティが大事ということで試してみたところ、3年前の実験では熊谷正寿グループ代表の部屋にカードキーを複製して侵入できてしまったことがあります。物理もサイバーも一気通貫で試すことが大事だと考えており、今回のサービスはそこに意義があると考えています」と述べた。
ALSOK商品サービス戦略部情報セキュリティサービス推進室長の小野浩司氏は、「国内における営業秘密の情報漏洩におけるダントツの1位は中途退職者によるものだそうです。金銭目的でUSBなどにより情報を持ち出して転職先や競合会社に提供するといったことです。サイバーセキュリティについては金融庁のガイドラインや、それを反映した金融情報システムセンターのリスクのコンピューターシステムの安全対策基準に物理セキュリティの言及がなされたこともあり、われわれも人材、管理意識、鍵を渡す人への信頼などを含めた「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発しました。ビジネス拠点の物理 進入のリスク、侵入後に拠点内部からを行われるサイバー攻撃のリスクを探索し、その結果と解決策を提出するサービスです。ダークウェブでお客様のアカウント情報が漏れていないか、現地で外から入れそうなところはないかも調査します。拠点への進入経路や手段を調査し、建物に入ったら共連れで中に入れないか、清掃業者になりすまして内部に入れないか、ICカード偽装、社員証偽造、スキミングにより入れないかなどを調査します。さらにサイバー攻撃の足掛かりとして侵入後のサイバー攻撃の経路と手段の調査としてWi-Fiを通じた社内無線LAN無線へのアクセス、LANケーブルへの不正な端末の接続も試みたりします。調査内容は事前に主催者と調整しますが、攻撃活動を交えることでリスク対応を強化してまいります。物理の方はネットワークに侵入するまで、サイバーの方は侵入した後のリスクを評価します。実施後は施報告書を提出し 多面的な評価と効果的な改善提案をします。報告書の内容はエグゼクティブサマリー、実施概要、テスト実施結果 リスクと対策。これらを示し実効性の高い資料として対策の検討にご活用いただきたい。セキュリティレベルをさらに強化のため高度なセキュリティテストを継続的にご活用頂きたいと考えております」
さらに、先行的に6月に診断サービスをうけた株式会社あおぞら銀行の萩尾崇執行役員は「たくさんの気づきがありました。親切のつもりで行っていることが侵入者にとって重要な情報になることにも気づきました。不審物を仕掛けられて気づかないこともありました。整理整頓ができていない場所ではそういうことがある、ということも気づきでした。われわれは、社内に知らない人がいたときの声掛けを徹底していますが、さらに浸透させる必要性を感じました。また、(得意先に)ストラップ、名札、シャツなどの『あおぞらグッズ』を配っていましたが、こうしたものを身に付けている人を社員と誤認するリスクもあるので、配布の制限も検討することになり意識がかわりました」と経験談を話した。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの村田学ディフェンシブセキュリティ部副部長は、「一般的なサイバー攻撃でサイバーだけで完結するものはオフィスの外側に攻撃者がいます。データは中にあります。データが欲しい場合は、たとえば攻撃者はインターネット経由でユーザーの方にメールを送り、言葉巧みにマルウェアを開かせます。この場合はPCを中継地点として攻撃を仕掛けデータを取るという流れになると思います。標的型攻撃というところです。それ以外にもVPNの脆弱性、Wi-Fiの脆弱性を狙うこともあります。 wi-fi のアカウントを取って攻撃する形です。ポイントはどうやって中に入るかです。攻撃者が中にいたらどうなるか。ネットワーク内のどこかからコンピューティングリソースにたどり着ければ侵入目標は達成できてしまいます。ネットワークさえつながっていれば本社とは別の事業所でも全く同じ効果が得られます。つまり内部にいれば攻撃者にとっては、一気にショートカットできるのです。LANを構成するプロトコルは古く暗号化や相互認証が基本機能として備わっていません。また内部からの通信は信用しても大丈夫だろうという認証の省略も危険です。インターネットのセキュリティをしっかりやっていても 物理的な接触にはかなり弱い面が存在ありますので、今回の取り組みが活動の一助になればと思っております」などと述べた。
<リリース>
https://group.gmo/news/article/9608/
<参考>
■ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/cyber-physical-penetration-testing/
■ALSOK 物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/physical-penetration-testing/
■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
GMOインターネットグループのGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR、東京)と日本未来科学館(東京・青海)は、8月25日からAI対話型ロボットの実証実験を日本科学未来館5階の常設展示ゾーンで実施する。4か国語を操るロボットが自律移動し、来館者に展示を紹介するなどコミュニケーションを取る。実験は8月31日まで。
GMO AIR などが行う実験は「『対話型AIロボット』」実証実験~ロボットによる未来のコミュニケーションを体験しよう!」がテーマで、8月25日(月)~8月31日(日)の期間中、11:00~13:00、15:00~17:00に日本科学未来館5階常設展示ゾーン「プラネタリー・クライシス」内で行う。
AI対話型ロボットは日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で来館者とコミュニケーションをとる。来館者に展示物についてきかれると、ロボットが位置情報から展示物を判断し、名称や解説を自然な対話で案内する。
ロボットはアプリケーション実装業務の約80%をAIが自動生成していることも特徴。GMO AIR によると、AIが自動生成したプログラムによるAI対話型ロボットの実証は、国内初の取り組みという。
コメ卸売大手の株式会社ヤマタネ(東京)は、写真コンテスト「棚田フォトコンテスト」の作品の募集を始めた。棚田の魅力と現状を広く伝え、保全への関心を高めることが目的で、美しい風景に限らず、荒廃してしまった現状を直視したものなども募っている。応募は画像データ、単写真で、DroneTribuneが確認したところドローンで撮影した作品も含まれる。応募は1人10点以内で10月31日正午まで応募サイトで受け付ける。
募集テーマは「日本の棚田、およびそこに関わる人々や、生態系などの棚田を取り巻く環境」で美しい風景だけでなく、荒廃してしまった場所の現状など、写真を見た人の棚田保全の関心に訴える作品を募集している。審査員は写真家の今森光彦氏ら。最優秀賞には10万円分の商品券と棚田米が贈られる。
ヤマタネは棚田について「棚田は、日本の原風景として多くの人々に親しまれてきました。昼夜の気温差が大きい中山間地にあることから、棚田で育つお米は甘みと粘りがあり格別の美味しさを誇ります。また、棚田は単なる農地にとどまらず、雨水を一時的に貯留して下流域の洪水を防ぐ“天然のダム”としての機能や、多様な生き物が生息する生態系の保全にも重要な役割を果たしています。しかし近年では、深刻な担い手不足や高齢化により、多くの棚田が耕作放棄地となり、荒廃の危機に直面しています」と伝えている。
またヤマタネと棚田とのかかわりとして「2024年から新潟県十日町市『星峠の棚田』(2.5ha分)の企業オーナーとなり、株主様をご招待した田植え体験を開催するなど、棚田保全に」取り組んできたことを紹介。コンテスト開催の目的を「棚田の魅力と現状を写真の力で広く伝え、保全への関心を高める一助となること」と位置付けている。
ドローンショー運営や機体開発を手掛ける株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市<石川県>)は、2025年7月26、27日に横浜市の山下ふ頭特設会場で開催されたMrs. GREEN APPLEの野外ライブで、1200機のドローンでバンドのロゴやメッセージを浮かび上がらせた。光を放つドローンで空間を彩るドローンショーの活用法としては、イギリスのロックバンド、オアシスが7月2日、再結成後ツアーの初日の会場上空でロゴを浮かび上がらせて話題になっており、ライブ会場などでの演出の活用が進みそうだ。
ドローンショー・ジャパンがドローンショーによる演出を制作、運営したのはMrs. GREEN APPLEのデビュー10周年を記念した『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~』。ライブのクライマックスでメジャーデビューミニアルバム『Variety』の1曲目として収録された「StaRt」の演奏中に、ドローンが上空でバンドのロゴや「THANK YOU ALL JAM’S」のメッセージを描いた。
実施にあたっては、安全を最優先にした飛行計画を綿密に練り、気象を監視したほか、ライブパフォーマンスとぴったりあわせるために音響チームと打ち合わせを重ね、楽曲の展開に合わせたドローンの動きを設計したという。
ドローンショー・ジャパンは全国の花火大会、イベントなどの演出やPR・マーケティングなどのドローンショーの制作、運営で多くの実績を持つ。屋内のドローンショーにも実施があり、ももいろクローバーZ結成15周年記念ソング「いちごいちえ」のMVでも最も盛り上がる箇所でドローンの演出を担っている。ドローンショー専用機体の開発にも力を入れていて、白を含む1600万以上の色で演出できる機体「DSJ MODEL-X」の活用も広がっている。