東京・臨海部の大規模展示場、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催中の展示会「RISCON TOKYO」(危機管理産業展)と併催展「SEECAT」(テロ対策特殊装備展)で、ドローン関連のソリューションが、未発売のものも含めて数多く展示されている。警備や警戒のための長時間飛行を想定した有線給電のドローンが目立つ。開催は13日まで。なおSEECATの入場には事前審査が必要だ。
有線給電ドローンは、株式会社AileLinX(エールリンクス、広島県府中市)、日本海洋株式会社(東京都足立区東和)、エアロセンス株式会社(東京都北区)などが展示している。
AileLinXは上空30mから定点監視するための有線給電ドローン「HOVER EYE」を展示している。扱いやすさを追求し、専門家でない不慣れなスタッフでも、操作に困らない工夫をしたことが特徴だ。たとえば運用に使うタブレットの画面で「離陸スタート」をタッチすれば機体が浮かび、高さは画面右端の目盛りで調整できる。監視するためのカメラでみわたすために機体を回転させることもできる。ただし、定点監視が目的なので、昇降以外の前進、後退などの機能は持たない。
機体はケーブルを通じでポートから電源が供給される。ドローンがとらえた映像はケーブルではなく無線でタブレットに送信される。機体が30mの範囲で係留されている場合、操縦にライセンスは不要だ。
AileLinXは、ラジコンヘリコプター及び産業用無人航空機を開発してきたヒロボー株式会社(広島県府中市)と建設機械、工作機器、自動車部品を開発する株式会社北川鉄工所(広島県府中市)が2018年6月11日に設立したUAVメーカーだ。HOVER EYEについて上堀高和代表取締役は、「今後地元消防などと実証をしたうえで、近いうちに発売にこぎつけたいと考えています」と話している。AileLinXはRISCONにブースを出展している。
日本海洋は、フランスの係留ドローンメーカー、ELISTAIR社のドローン、ORIONシリーズや有線給電装置Light-Tv4、スロベニアのドローンメーカー、C-ASTRAL Aerospace社の偵察用eVTOL、SQAを展示している。有線給電装置Light-Tv4は、ドローンに電源を供給しながら通信も担う。1mあたり10.5gと軽いテザーや、DJI M300など20機種以上のドローンと互換性があることも特徴だ。偵察用eVTOL、SQAは連続して2.5時間以上の飛行が可能で最高速度は約100km/h。HD光学/HDサーマルジンバルカメラを搭載し、目標を追尾する機能を備える。日本海洋はSEECATに出展している。
なお、SQA をeVTOLと紹介したが、いわゆる「空飛ぶクルマ」ではない。乗用でない電動垂直離着陸ドローンだ。DroneTribuneは、「eVTOL」を電動で垂直離着陸する機体として扱っている。乗用か非乗用かといった用途で区別をしていない。今後も、乗用でなくても機体の種類としてeVTOLを用いることがありうる。乗用で用いるときには、「UAM」、「AAM」、「乗用eVTOL」、略語としての「空クル」などを文脈ごとに使い分ける。同様に「空飛ぶクルマ」の用語は電動でないエンジン搭載機や、離着陸に滑走を要する機体も含む。電動でない場合、いわゆる「空飛ぶクルマ」であっても「eVTOL」には含めない。展示会やイベント、シンポジウムで「空飛ぶクルマ」と「eVTOL」を同義で使っている場合が見受けられるが、DroneTribuneではできる限り読者が混乱せずにすむよう、それぞれを区別しながら示す工夫をすることにしている。
エアロセンスは常時給電で長時間の警備や中継に対応するエアロボオンエア(AS-MC03-W2)を展示している。頭上から吊り下げられた機体とケーブルをつなぐ巻き取り機エアロボリールは、ケーブルの繰り出し、充電、通信の最適化をはかるベースステーション機能を持ち、従来機より小型化されスタイリッシュになり、取り扱い性を強化した。
このほか帝国繊維株式会社(東京都中央区)も有線給電型のドローンをSEECATの自社ブースでデモ飛行させている。株式会社JDRONE(東京)はRISCONで、衛星通信遠距離自動飛行運用ができる無人ヘリコプター、YAMAHA FAZER R G2の機体を外側のカバーをはずして内部をみせる展示で客足を集めている。民間ドローン団体、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)もブースを出展し、理事長を務める東京大学の鈴木真二名誉教授はRICONのステージで「ドローンのレベル4飛行社会実装、および空飛ぶクルマ運航実現に向けた課題と展望」の演題で講演をし、90人ほど用意された席を聴講者が埋め尽くした。
ジオサーフ株式会社(東京都大田区)はSEECATで固定翼機関連ソリューション、双日エアロスペース株式会社(東京都千代田区)はSEECATでフランスのProengin社が開発した有毒ガスなどのケミカル脅威検出器AP4Cの携帯型やドローン搭載型、クオリティソフト株式会社(和歌山県白浜町)はRISCONで上空から地上に声を届けるアナウンサードローンを展示するなど、ドローンに関わるソリューションが多く展示されている。ドローン以外でも、米カリフォルニア州を拠点にするソフトウェア開発のButlrが、人物の特定せずに人がいることを検知する小型のプラットフォームを展示注目されている。
展示会は株式会社東京ビッグサイトが主催し、東京都が特別協力している。開催は13日(金)まで。
防災技術の見本市、「第10回ライフガードTEC 2022」が10月4日、名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)で開幕し、ドローンの展示コーナーでは機体のほか、架線用ソリューションや、アラミド繊維ケプラーで電源をまいたロープなどの技術が人目を引いた。株式会社プロドローンの長時間飛行対応機、SkyDriveの物流機「SkyLift」なども会場に彩りを添えた。防災活用に関するパネルデフィスカッションも盛会で、パネリストとし登壇したクオールホールディングス株式会社の樫尾浩幸DX・AI推進室長が、災害時の備えや経験談、課題などについて説明すると来場者が身を乗り出していた。パネルディスカッションにはDroneTribubeの編集長、村山繁がファシリテーターで参加した。
第10回ライフガードTEC 2022は、愛知県、名古屋市などが構成する「名古屋市国際見本市委員会」が主催し、「南海トラフ地震対策中部圏戦略会議」の共催で開催する見本市。内閣府政策統括官(防災担当)など中央府省庁が後援している。設置されたドローンの展示コーナーでは、愛知県に拠点を構える企業を中心にブースの出展やパネルの展示が行われた。
プロドローンは120ccエンジンを搭載した無人ヘリコプターや、同社のフラッグシップ機で6本のアームを持つマルチコプター「PD6B-Type3」、水中ドローンを水面に運ぶことを想定した水空機「PD4-AW-AQ」などを展示した。空飛ぶクルマの開発で知られるSkyDriveは30㎏の荷物を運ぶ物流機「SkyLift」の実機を紹介した。愛知縁春日井市を拠点とする株式会社テラ・ラボも、開発施設のある福島県南相馬市から固定翼機を出品。株式会社DSAは20㎏まで持ち上げられるマルチコプター「CarryMD1」や、警察、消防などの用途を想定した折り畳み可能なクアッドコプター「DS10」などを展示した。空撮、人材育成などを手掛ける株式会社FREIHEIT(フライハイト)は災害発生時の飛行方法についてパネル展示をした。
各社ブースに展示されたソリューションも注目された。FREIHEITのブースには、岐阜県各務原市を拠点に活動するサクラボテクノロジーズ合同会社の架線用安全装置などが展示され、関心を寄せる専門業務従事者などの足を止めた。DSAのブースでは、株式会社共和製作所(愛知県碧南市)が、同社のカーボン加工品ブランド「蕨山CARBON」の技術で加工したアタッチメントや、アラミド繊維ケプラーにリード線をまいて1本のロープに仕立てた「ドローンウィンチ用の電源コード入りアラミドロープ」が展示され、来場者から説明を求められていた。
パネルディスカッションではクオールHDの樫尾浩幸DX・AI推進室長が、災害時に被災地から要請の多い薬剤や、その運搬に関する課題のほか、「お薬手帳」の重要性と近くはじまる薬局でのデジタル化などの説明が参加者の興味をひいた。樫尾氏は社名の由来が「クオリティ・オブ・ライフ」にあることを伝え、「ドローンやその他の技術で、あんしんを追求する取り組みを今後も続けていく」と抱負を述べると、参加者の表情がいっせいにほころんだ。
パネルディスカッションには、樫尾氏のほか、愛知県次世代産業室の浅野公輔主事、名古屋鉄道株式会社の岩田知倫課長、プロドローンの戸谷俊介社長が登壇し「災害時におけるドローンの活用最前線」をテーマにそれぞれの取組を披露したうえで意見交換を展開した。
愛知県の浅野主事は、災害時のドローン運用の体制について、ドローン配備した団体が自身で運用するケースや、民間のドローンを扱う団体などと連携協定を締結したうえで運用を依頼、要請するケースなど複数の方法があることなどを説明。「発災時の災害状況や対応体制に応じて選択肢を使い分けていきたい」と話した。
名鉄の岩田氏は、名鉄として歴史的に空の事業に関わっている経緯や、鉄道インフラの点検にドローンを活用していること、ドローンを操縦するパイロット人材の育成に力を入れていることなどを説明した。プロドローンの戸谷社長尾は、緊急時のドローンの使い方として無線基地局として活用する方法が注目点であると指摘し、社内で関連の開発を進めていることを明らかにした。
来場者からは、空の渋滞不安、ドローン操縦の国家資格化導入に伴う影響などに質問が寄せられ、パネリストがそれぞれの考えを披露した、参加が「勉強になりました」とコメントする場面もあった。
第10回ライフガードTEC2022は10月5日まで名古屋市の名古屋国際展示場(ポートメッセ)第3展示館で開催されている。
ドローンの災害活用を実践している「災害ドローン救援隊DRONE BIRD」は9月25日、千葉県柏市のショッピングモール、セブンパーク・アリオ柏でドローン体験会を開催した。「みんなの防災プロジェクト実行委員会」が運営する防災啓発活動活動「みんなの防災+ソナエ」の一環で、ショッピングに来た親子連れなどが列を作った。参加者の多くは初めてドローン7に触れる小学生以下の子供たちで、DRONE BIRDの古橋大地隊長(青山学院大学地域社会共生学部教授)らの手ほどきを受けて、手のひらサイズのドローンを飛ばして、フロアに広げられたシートに張り付けられたキャラクターのシールをカメラで撮影し、出発点に戻るミッションを楽しんだ。
DRONE BIRDはショッピングモール内のイースト・コートとよばれる屋内広場の一角を区切って体験ブースに仕立てた。区画内のフロアにドローンで撮影した俯瞰の風景写真を引き延ばして敷き、上空から見下ろした風景を再現した。その一か所に人気キャラクターのシールをはりつけた。ドローンは動く範囲を制限するためロープで係留した。
体験会は「被災地調査に出動! ドローンでGO‼」のタイトルで開催された。足元の風景は被災地、はりつけたキャラクターのシールは遭難者のかわりだ。体験する子供たちは、ドローンとプロポの簡単な説明を受けたあと、出発地点のランディングパッドで機体を離陸させ、左右レバーを操作しながらドローンを操縦させた。キャラクターのシールの上空まできたところで撮影をした。被災地に調査に出向き、遭難者を発見する作業の概略を体験したことになる。ドローンの操縦では、日頃子供たちが使っているゲーム機のジョイスティックとの使い勝手の違いに戸惑う子供たちも多く、指導員から助言を受けて修正しながら操縦していた。
DRONE BIRDの古橋隊長は「ドローンに親しみを持ってもらうだけでなく、捜索活動をなんとなくても体験してもらうことがこの活動の趣旨です。防災を考えるさいに、ドローンを使うことを思い浮かぶ人を増やしたいし、実際に使う人も増えてくれたら嬉しい」と話している。
古橋氏は体験会のほか、各地で練習会を開催したり、招かれた講演で防災へのドローンの利用の啓蒙をしたりと活動をしている。この2日前には静岡県御殿場市で開かれた「富士山ドローンデモンストレーション」(慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム内ドローンデモンストレーション実行委員会主催)で、ドローンの団体と自治体との連携の推進や、防災活用の意義などについて講演した。
「みんなの防災+ソナエ」は、体験を通じて防災意識の向上をはかるイベントで、開催地の地元自治体、警察、消防、看護、薬剤師の団体のほか、民間放送も複数参画し、全国各地で活動を展開している。この日の会場となったセブンパーク・アリオ柏でもDRONE BIRDのほかにも、心臓マッサージの体験や、消火活動体験、防災活動に活躍する車両の展示、紙芝居などが行われたほか、特設ステージでは、民放に登場する人気キャラクター、ガチャピン、ムック、そらジロー、BooBoが登場し、日本テレビの「お天気コーナー」で活躍している気象予報士で防災士の木原実さんの司会で防災に関係するクイズを出して、来場者を盛り上げた。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT=エヌアイシーティー)は4月11日、ドローン同士が直接通信するシステムを開発したと発表した。NICTはこのシシテムをドローンの飛行に応用する実証実験を実施し、先導するドローンに3機のドローンが一定の間隔を保つ追従飛行や編隊飛行、同一の空域で飛行する4機のドローンの自律接近回避に成功した。地上の操縦者やネットワークを経由せずに、ドローン同士の直接通信システムを使った群制御飛行や自律接近回避は世界初という。物流、災害対応など複数機の同時目視外飛行を実装するさいに活用が期待される。
NICTが開発したのは、ドローン同士が相互ブロードキャスト通信を行いGNSSで得られた位置情報を共有する「機体間通信システム」。このシステムをドローンに搭載し、各ドローン上で飛行制御装置に接続したうえで、追従飛行や自律的接近回避の飛行制御アルゴリズムを組み込んだ。
NICTの発表は以下の通り。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT=エヌアイシーティー、 理事長:徳田英幸)は、ドローン同士がそれぞれの位置情報などを地上の操縦者やネットワークを経由せずに直接通信するシステムを開発しました。
このシステムを応用して、先導するドローンに3機のドローンが一定の間隔を保って追従し、編隊飛行させる群飛行技術、及び同一の空域に4機のドローンが飛行しても自律的に相互の接近を回避するシステムの実証実験に世界で初めて成功しました。
本技術により、特に目視外まで飛行させる場合にドローン運用の効率化や電波の有効利用、及び空の安全・安心につながり、複数のドローンの同時飛行による物流や広範囲の農薬散布、災害対策など様々な分野への応用が期待されます。
【ポイント】
■ ドローン同士が直接通信して互いの位置を知らせることで、自律して飛行することが可能なシステムを開発
■ 4機のドローンによる、自動追従群飛行と自律接近回避の実証に世界で初めて成功
■ 多数のドローンが飛び交う時代における運用の効率化と空の安全性の向上に貢献
今回の成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、理事長:石塚博昭)が進める「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」の中の「遠隔からの機体識別および有人航空機との空域共有に関する研究開発」において実施しました。
【背景】
近年、農業・測量・警備・物流・災害調査・点検など幅広い分野でドローンを活用する動きが活発化しており、たくさんのドローンが空を飛び交う時代がすぐそこまで来ています。国の規制緩和も進んでおり、今年度中には、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」が毎年取りまとめている「空の産業革命に向けたロードマップ」におけるレベル4と言われる有人地帯上空での目視外飛行も可能になります。
【今回の成果】
本研究開発では、ドローン同士が特定小電力無線局である920 MHz帯の電波(出力20mW、上空利用可能、無線局免許不要)を使って相互にブロードキャスト通信を行いGNSSで得られた位置情報を共有する「機体間通信システム」を開発しました。これを各ドローン上で飛行制御装置に接続することにより、ドローン同士が相互に連携することを可能にしました。
このシステムに、「先導するドローンに対して他のドローンが自動で追従する群飛行(離着陸を含む。)」や「自律的な接近回避」のための飛行制御アルゴリズムを組み込むことで、それぞれ4機での群飛行及び接近回避の飛行試験に世界で初めて成功しました。図1左のオレンジ色の線は各ドローンの飛行軌跡を示しており、黄色の先導機に追従して赤色の3機のドローンが編隊を維持しながら飛行できています。また、図2左に示すように、4機が方向を変えて接近を回避した後、図2右に示すように、予定していた経路にそれぞれ復帰することを確認しました。
なお、本システムは、ドローン間だけでなく、ドローンと有人ヘリコプターの間でも利用でき、数kmの距離を隔ててヘリコプターが接近した場合に、ドローンが自律的な接近回避をすることが可能になることも実証しています。
【今後の展望】
これらの技術によって、今後混雑が予想される上空での効率的で安全・安心なドローンの活用が可能となり、物流、農業、点検、防災といった様々なシーンでの利用が期待されます。
また、今回の成果を基に、更に多くのドローンが同一の空域内を飛行する場合に対応した通信制御方式や飛行制御方式についての検討や、飛行する環境に応じた編隊の隊形にするなどの群飛行技術や通信技術の高度化を進め、本方式の実用化を目指していく予定です。
ドローンを活用した災害対応事業に取り組む株式会社テラ・ラボ(愛知県)が、ドローン開発の株式会社ACSL(東京)のコーポレートベンチャーキャピタル「ACSL1号有限責任事業組合」と、ドローンや関連技術専門のベンチャーファンド、DRONE FUNDのそれぞれから出資を受けたと発表した。ACSLも出資したことを発表した。災害対策に力を入れ、実績も持つテラ・ラボと、国産機の開発を加速させるACSLの組み合わせは、災害対策DXの促進やドローンの災害利用の普及促進に貢献することになりそうだ。
テラ・ラボは、防災、減災に注力し、南海トラフの危険性が指摘される愛知県に本社を置き、東日本大震災で被災した福島県南相馬市に長距離無人航空機の整備・製造や、データ解析の機能を持つ試験研究施設「TERRA LABO Fukushima」を構える。2021年7月に熱海で発生した伊豆山土砂災害ではいち早く現場に駆けつけて空から把握した被災状況を、地元や関係機関に提供した。
長距離無人航空機「TERRA Dolphin」の開発、広域災害対策情報支援プラットホーム「TERRA Cloud」の社会実装を進め、防災・減災の強化を目指している。
ACSLは2022年2月28日に公表した中期経営方針「ACSL Accelerate FY22」の中で事業戦略のひとつとして、事業を通じた社会課題の解決と持続可能な世界の実現を掲げていて、防災・災害領域で消防庁、自衛隊などと連携し災害時のドローンによる支援の無償化などに取り組んでいる。またDRONE FUNDからの出資は二度目になる。
出資を通じ、テラ・ラボが自治体と築いてきた広域災害対策情報支援プラットホームと、ACSLのの情報管理が強化された国産ドローンとの組み合わせが強固になり、災害対策のデジタル化が促進され、両社が目指す防災・減災が強化された社会に向けた取り組みが加速することが期待される。
■出資者からのコメント
・ACSL取締役CFO早川研介氏
「株式会社ACSLはドローンメーカーとして、ドローンを活用した社会課題の解決に向けた取り組みを進めており、その一つとして防災・災害分野における災害状況把握等に利用するドローンを提供してまいりました。テラ・ラボ社がこれまで様々な自治体と連携し作り上げてきた広域災害対策情報支援プラットフォームと、ACSLのドローンを組み合わせることで、災害対策DXがより発展し、テラ・ラボ社とACSLが目指す防災・減災が強化された社会が実現できるものと考えております。今後も自治体や警察・消防等へのドローンの供給を通して、 テラ・ラボ社との連携を深めてまいります」
・DRONE FUND代表 大前創希氏
「私どもDRONE FUNDは、2020年5月、株式会社テラ・ラボ社にVCとして初参画し、成長を加速していく支援を重ねてきました。その中で国内の数多くの災害発災時におけるテラ・ラボ社の活動内容から、ドローン技術の発災時運用の重要性を改めて強く認識し、今後の災害対策DXの発展を確信するに至りました。そのなかで、テラ・ラボ社が開発を進める長距離無人航空機は、 今後、 国土情報のデジタル化に欠かせない技術技術になり得ると考えており、引き続き、強く支援していく所存です」
株式会社センシンロボティクス(東京)は8月2日、災害や事故の発生時などに、同社のドローンの自動運用プラットフォーム「SENSYN Drone Hub」が有効に機能するかどうかを確認する実証実験を北海道更別村で6月に行ったと発表した。事故想定の実験では現場に差し向ける緊急車両の台数の判断などに役立つことを確認し、災害想定の実験では災害現場の速やかな3Dマップ作成で適切な避難誘導に有効であることが分かった。更別村の西山猛村長は「多様性のある活用ができることが分かりました」などとコメントしている。更別村は、スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定を目指しており、採択された場合にはSENSYN Drone Hubの導入が視野に入る。
実験は更別村で6月23、24日に、ドローンの自動離着陸、自動充電、取得データの自動転送を特徴とする「SENSYN Drone Hub」が、事故発生時、災害発生時などに、有効に機能するかどうかを確認するために行われた。「SENSYN Drone Hub」が想定通り機能すれば、作業員が現地に赴く必要がなくなるなど、効率的で安全な業務遂行が可能となるため、災害、建設、工場などの点検や監視の現場などでの活用が期待されている。今回は、更別村が取り組む災害などでの緊急時対応、農業分野での対応について実験した。
実験会場の更別村は、スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定を目指している自治体のひとつで、北海道からは唯一、提案書を提出した自治体だ。「100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村」を掲げた「SUPER VILLEGE」構想をまとめていて、この中に「ヒトモノコトの自動移動、IoTヘルスケア、世界No.1生体認証の実装」を盛り込んでいる。特に「ヒトモノコトの自動移動」はドローンや空飛ぶクルマの実装を想定している。5G基地局の整備を北海道で最初に進めるなどテクノロジーへの理解も深い。
事故の発生を想定した実験では、ドローンを現場に急行させ、現場の映像を取得。村役場、事故現場、東京に伝送し状況確認や適切な初動対応の判断に機能するかどうかを確認した。飛行にSENSYN Drone Hub、飛行制御にSENSYN COREを使い、ルート設計と自動航行にSENSYN CORE Pilot、映像伝送にSENSYN CORE Monitorの機能を使った。伝送された映像から、現場に倒れている人物の認識が可能で、地図上のドローンの位置を表示させたり、飛行予定ルートを確認したり、遠隔拠点からカメラを操作したりすることもできることが確認できた。とかち広域消防事務組合とかち広域消防局更別消防署署長が「災害が起きた際に周辺住民に緊急車両を何台用意するかを判断する、初動の戦略に用いることができる」と有効性を評価した。
また河川氾濫を想定した実験では、ドローンを被害状況の調査にどこまで活用できるかを確認した。具体的には搭載したカメラで撮影した土砂堆積物のデータから土砂の流出量を算出したほか、災害エリアの3Dマップを作成した。「SENSYN Drone Hub」はLTEネットワーク経由で、取得データをリアルタイムにクラウドサーバーにアップロードし解析するため、実験参加者は、データをフライトごとに取り出し、PCに取り込む作業から解放されることの意義を体感した。クラウドへの自動アップロードから解析レポート作成までをひとつの作業で済ませられ、3D化は「半日程度」で完了したという。これにより、災害発生時の避難行動の適切な呼びかけなどに貢献できる可能性が高まった。
なお、今回の実験ではLTE通信の空中使用では、総務省関東総合通信局に申請したうえで実施している。
このほか農作物の生育状況確認、鳥獣害駆除対策についても確認を実施。それぞれに「一次確認に有用である」ことが分かったという。
センシンは、「発災直後の身動きが取れない状況でもSENSYN Drone Hubがあれば、その間にもドローンが必要なデータを収集することが可能になります。今後も業務の効率化・高度化を進め、社会課題でもある人手不足の解消や作業者の安全確保に貢献できるソリューションを開発してまいります」と話している。
また、更別村の西山猛村長は、「更別村ではスーパーシティ構想の指定を目指しており、その一環として今回、『SENSYN Drone Hub』での実証試験を行い、災害などで人の立ち入りが困難な場所の確認や被害状況の把握や農作物の発育状況の確認など、多様性のある活用ができることが分かりました。人々の生活を豊かにしていく、災害に備え安心安全な暮らしを守る、被害を予想して対応策を組み立てるという点で有効であると考えています。更別村、ひいては十勝全体の農業の活性化や災害に対する備えなど、すばらしい村づくりに向けて尽力してまいります」とコメントしている。スーパーシティ構想に採択された際には、更別村はSENSYN Drone Hubの導入を視野に入れて検討する方針だ。
(※【DF】センシンロボティクスはDRONE FUNDの投資先企業です)
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