千葉・幕張メッセで6月21日に開幕するドローンの大規模展示会、JapanDrone2022の各種講演「国際コンファレンス」の話題が関係者の間で増え始めている。プロデューサーで報道番組や討論番組のコメンテーターとして活躍している若新雄純氏が、ドローンスクールの運営者として登壇するほか、解禁が間近に迫るレベル4の関連で、物流や欧州の制度、国際標準などの縁談が組まれていて、関係者の間で「聞き逃せない話題が多い」とささやかれている。聴講には有料なもの、無料のものがある。今回はオンライン配信はしないため傍聴には会場に出向く必要がある。2021年のコンファレンスも話題のセッションは立ち見が出るほどになった。事前に満席になってしまうことも考えられ、確認の重要度が高まりそうだ。
若新雄純氏は、北陸の空株式会社(福井県鯖江市)の代表取締役として「山奥の廃校でドローンスクールを始めたらJUIDA殿堂入りした話」の演題で講演する。北陸の空はJUIDA認定スクールとして運営している「ドローンキャンプ」が好評で、2021年の認定スクール表彰「JUIDA SCHOOL AWARDS 2021」で金賞(名称は「Gold」)を獲得しており、講演ではその経緯などが語られる見込みだ。
]講演は21日14:15-15:00、ホール内にふたつ設けられる「コンファレンスルーム」のうち「コンファレンスルーム1」で開催される。こちらは有料講演だ。
AIドローンとして話題を集めている米SkydioからSkydio JapanのTom MossCEOが、株式会社NTTドコモの牧田俊樹・法人ビジネス本部 5G・IoTビジネス部 ドローンビジネス推進担当部長と登壇するセッションも注目されそうだ。「日本における展開、その分野の広がり」という演目で6月21日11:00〜11:30に登壇する。こちらは無料の基調講演だ。
自治体での取組が加速する中、「自治体ドローンフォーラム」も関心を集めそうだ。2021年に開催して話題となり、その後の展開も含めて第二弾として開催する。6月22日14:20〜16:30の開催予定だ。
無料で行われる特別講演には、「レベル4に向けての国内の法整備とこれから」についてドローンの国家資格に関する官民協議会のとりまとめを担った内閣官房小型無人機等対策推進室の小熊弘明内閣参事官、経済産業省次世代空モビリティ政策室の宇田香織室長、国土交通省 航空局 無人航空機安全課の梅澤大輔課長が登壇する。小熊氏が「レベル4の実現、さらにその先へ」、宇田氏が「ドローンの産業振興に向けた取組」、梅澤氏が「無人航空機に係る環境整備に向けた取組」について発表する予定だ。21日、11:45-12:45に、コンファレンスルーム1で開催される。
同じ時刻にコンファレンスルーム2では、やはり無料の特別講演として「eVTOLメーカーにとってのサプライヤーの役割と課題:市場拡大を目指して」のセッションが開催される。経済産業省 製造産業局 産業機械課 次世代空モビリティ政策室の伊藤貴紀室長補佐が「空の移動革命に向けた政府の取組」を話すほか、ロールス・ロイス ジャパン株式会社の神永晋代表取締役社長と、株式会社デンソー電動空モビ事業推進室の石塚康治執行幹部が登壇する。
有料の特別講演として、「Vポートと一体化する地域開発の行方~次世代エアモビリティ市場のもうひとつの重要ポイント」が話題になりそうだ。6月22日、12:40〜14:00にコンファレンスルーム2で開催される。中野冠氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 SDM研究所顧問)のほか、英Skyports社と業務資本提携を結び話題を集めた兼松株式会社の中村康平氏、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社の谷本浩隆氏、三菱地所株式会社の西地達也氏らが登壇する。
「この手のセッションに参加したかった」という声が多いのが、21日13:00-13:45にコンファレンスルーム2で無料開催される「攻撃者はどこを狙うのか?ドローン・eVTOLに求められるセキュリティ対策~GMOインターネットグループが目指す『安全な空の移動』」~」だ。GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社の寺村亮一執行役員・高度解析部部長、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社CTO室の浅野昌和室長、DRONE FUND創業者の千葉功太郎代表パートナーが登壇する。
有料特別講演の「ドローン×最新技術が拓く未来のまちづくり」(6月22日13:00〜14:00、コンファレンスルーム1)には、ドローン制御のブルーイノベーション株式会社、那須隆志常務取締役執行役員、株式会社ACSLの鷲谷聡之代表取締役、田中信頼氏(オムロンソーシアルソリューションズ株式会社事業開発統括本部ソーシャルデザインセンタグループマネージャー)、谷口精寛氏(清水建設株式会社スマートシティ推進室豊洲スマートシティ推進部部長)が、まちづくりの観点で取組を披露する。
このほか注目度が急上昇中のカナダのAAM市場、EASAからの報告、カウンタードローン、農業の取組なども行われる。JapanDrone2022のセッションは、今触れておきたいテーマ、聞きたい後援者が集まり、日程調整が重要になりそうだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は4月25日、「ドローン官民協議会(=小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会)」がとりまとめた国家資格化に伴う制度変更の方針について、加盟する認定スクール向けに説明会を開いた。協議会の資料や、JUIDAが独自に整理した資料を示しながら、国家資格である「技能証明」を取得するメリットや、取得方法、JUIDA資格保持者の取り扱い、JUIDAのカリキュラムで捕捉が必要な部分などを説明した。国家資格の講習を提供する登録講習機関に転じるスクールの動きが加速しそうだ。
説明会ではJUIDAの鈴木真二理事長は4月20日のドローン官民協議会で制度変更の方針が示されたことや、引き続き検討すべき点が残っていることなどを説明し「みなさまにも引き続きご協力をお願いします」と参加したスクール関係者に呼びかけた。
また国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の梅澤大輔課長が登壇し、制度の概要を説明した。国家資格は「技能証明」と呼び、レベル4飛行に必用となる「一等」と、それ以外の「二等」とがあり、取得には認定を受けた試験機関で学科試験、実地試験を受けて合格することが必要であること、ただし登録を受けた講習機関の講習を受ければ試験機関で実地試験が免除されることなどが説明された。
梅澤課長は「より多くの講習団体が登録講習機関となって質の高い講習を提供頂き、よい操縦士を輩出して頂きたいと思っています」と期待した。
このほか、機体認証、ライセンス、運航管理について説明。機体認証ではレベル4飛行の機体は機体認証を受ける必要があることや、量産機で型式認証を受ければ設計、製造の検査を省略できることなどが説明された。
JUIDAの田口直樹経営企画室長は、JUIDAのスクールに関わる横目について説明した。「技能証明」の取得が、試験機関での受験と、講習機関を通じて実地試験が免除された状態で受験する方法と2通りあることを紹介し、受講希望者に対する説明に誤りがないよう注意を促した。また技能証明を取得するメリットについて、一等は所持しないとレベル4飛行が認められない、二等は、レベル4飛行は認められないものの、特定飛行のうち上空150m以上の飛行やイベント上空などリスクが高い飛行を除き、DID上空、夜間飛行などの飛行の場合には、許可・承認の取得が不要になることなどを説明した。
既存のJUIDAのカリキュラムは、二等の試験に必用なCRMや地上基地などがカバーできていないため、今後対応を検討することが説明されたほか、スクールが講習機関になる場合に備えるべき要件には設備、講師の両面で整える要件があることも説明された。そのうち設備では空域、機体、建物、教則本などの書籍が該当し、講師にも一定の要件を満たすことが求められるなどの説明が行われた。
このほか、具体的な取り組みや今後の方針なども示された。JUIDAによるスクールへの説明会は4月27日にも開催される。
山梨県早川町が4月22日、廃校を再生させた宿泊型研修施設「ヘルシー美里」を会場にドローンの知識や操縦を伝授する「南アルプスドローンスクール」の開校式を開いた。スクールの運営主体は早川町。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)に加盟する認定スクールで、自治体がスクール運営者に名を連ねたのは早川町が初めてという。スクールの名付け親でもある辻一幸町長は開講式で「ドローン振興にお役に立つ町として、町のさらなる個性化も目指したい」とあいさつした。
「南アプルスドローンスクール」は2泊3日でJUIDAの操縦技能証明証などを取得するための講習が受けられる宿泊型のドローンスクール。自前の指導者はおらず、辻一幸町長は「指導者の育成をまずはしたいと考えています」と話す。当面はドローンの人材育成などを手掛けるドローン・アイティー株式会社(横浜市)が運営する「横浜ドローン・アイティー・スクール」などがインストラクターを派遣する。開校式にはドローン・アイティー株式会社の金子信洋代表取締役や、インストラクターの宮沢雅幸氏が駆け付け、講習で用いられる機体や、株式会社石川エナジーリサーチ(群馬県太田市)が開発した農薬散布向けのドローンの飛行を実演した。
スクールは1年間に4回開く計画で、第1回は6月24日に始める。
開講式で辻町長は、「南アルプスを背景とした370平方キロメートル広大な山峡のまちで、これからのまちづくりの一環としてドローン振興にお役に立つためにスクールを開校することになりました。同時にまちのさらなる個性化を目指し、スクールを核としたドローンアドベンチャーの町をめざす早川町でありたいと考えています」とあいさつした。
来賓として参加したJUIDAの鈴木真二理事長は、「JUIDAのスクールとして現在、海外も含め270校が活動していますが、自治体としてJUIDAスクールに取り組むのは早川町が初めてです。辻町長には改めてお礼を申し上げたいと思います。早川町を訪れましたのは本日が初めてですが、実証の場として非常にすばらしい環境だと感じました。ドローンの活用を広げる活動をぜひ一緒に続けて頂ければと思っています」とあいさつした。
式典は、スクールの会場となるヘルシー美里の敷地に大型のテントを準備して、地元の官民関係者、県の関係者、ドローンの事業者ら50人が参加した。
ドローンの「レベル4」飛行の解禁に向けた制度整備や利活用推進策について、官民の有識者が協議する「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」は4月20日、東京・霞が関で第17回の会合を開き、これまでの協議をとりまとめ、資料を公表した。操縦の知識、能力を身に着けていることを証明する「技能証明」として「一等操縦ライセンス」、「二等操縦ライセンス」の創設を改めて明記した。学科試験は「一等」、「二等」とも三肢択一式で問題数は一等が70問、二等が50問となる。一等試験の「2023年早期」に実施することを目指し、今年(2022年)7月までに講習を実施する登録講習機関などを策定し、9月に登録申請を始めることを目指す。このほか各地での取組事例が示され、利活用促進として全国でドローンサミットを開催する方針や、国のドローン施策、自治体のドローン活用例をまとめた情報共有プラットフォームの構築を示した。
協議会は東京・霞が関の中央合同庁舎4号館で午前10時から非公開で行われた。
レベル4実現に向けた制度整備のうち、操縦ライセンス制度については「技能証明」とすることを改めて明記。試験は国が指定する「指定試験機関」が行い、国の登録を受けた講習機関の講習を終了した場合、試験のうちの実地試験が免除される。
講習機関については、第三者上空で補助者無しの目視外飛行ができる一等操縦ライセンスの講習ができる機関、二等のみの講習ができる機関、更新講習の期間の3タイプが存在することになると位置付け、それぞれの登録に必用な要件については7月までに策定する。要件は実習空域、実習機、設備、教材、講師が対象になる。登録の申請は9月開始を目指す。各ドローンスクールは各校が要件の満たし具合などから登録する機関を選択する。
また講習機関が適切に運営されているかどうかを監査するために、一定の基準を満たす管理団体の枠組みを活用する。管理団体にはそのほか、教材作成、研修などの提供が期待される。
既存のドローンスクールが発行した技能認証を取得したオペレーターなどの経験者に向けた講習要件も策定し、初学者とは異なる基準で二等操縦ライセンスの取得を促す方針だ。
このほか機体認証制度や運航管理要件なども整理。今後は機体認証制度、操縦ライセンス制度、運航管理要件のそれぞれでワーキンググループを開催するなどして制度の具体化を進める。
協議会ではこのほか、ドローンの利活用促進に向けた技術開発や取組がまとめられた。
国土交通省が力を入れている行政ニーズに対応する仕様の規定化に向けた取り組みや、慶應義塾大学が小田原のみかん農園で行った配送実験、株式会社エアロネクストが山梨県など各地で実施しているスマート物流の実験なども整理された。
ドローンの利活用促進で重要な役割を果たす自治体と連携し、講演や事例紹介のための「ドローンサミット」を9月以降、地域持ち回りで開催する方針も表明した。第1回は9月に神戸市で開催し、内閣官房小型無人機等対策推進室と兵庫県が主催する。
各省庁で分かれているドローン施策や各自治体の取り組みを集約した情報共有プラットフォームを、内閣官房のサイトの上で構築する。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、JUIDAに加盟する認定スク-ル向けに、操縦ライセンスの国家資格化に伴う制度変更の説明会を開く。協議を重ねている「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」が4月20日、協議内容の最終的なとりまとめを公表する予定で、JUIDAはそれを受けてとりまとめの内容や経緯を説明する。説明会は4月25日に2回、27日にオンラインで開催される。JUIDAが説明会を開催することで。レベル4解禁後に向けた動きがスクールでも活発化することになりそうだ。
JUIDAが説明するのは、4月20日に開催される「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」で公表される見込みの国家資格化に伴い制度変更が中心となる。制度概要についてはすでに公表されているものの、既存資格保有者の取り扱いなど、昨年6月の公表時に継続案件となっていたポイントが最大の焦点で、今後とりまとめられる政省令の土台となる。
ドローン操縦ライセンスの国家資格化は、難易度の高い「レベル4」と呼ばれる飛行が解禁されるのに伴って導入される制度変更のひとつだ。国家資格は「1等」、「2等」の2種類が設けられる予定で、資格取得者は取得した等級に応じて、該当する飛行が認められたり、事前の航空局への申請が不要になったりする。
国家資格を取得するには、決められた講習を受け、試験に合格する必要がある。国家資格の講習は、「登録講習機関」と呼ばれるドローンスクールで受けられる。
ドローンスクールが国家資格に対応した講習を提供する場合に「登録講習機関」になる必要がある。ドローンスクールは、国家資格に対応する「登録講習機関」になるかどうかの選択が迫られる。ドローンスクールが判断するには、登録講習機関に求められる要件、国家資格に対応した講習に必要なカリキュラムなど、国家資格化に伴う制度変更に関わる情報が必要だ。一方で、ドローンスクールが現在発行している既存の技能認証の取り扱いや、技能認証取得者の新制度移行後の取り扱いについても正式な見解が示されておらず、ドローンスクールは受講希望者から寄せられる問い合わせに、踏み込んだ回答がしにくい状況だ。
国家資格化に伴う制度変更について協議を重ねてきた「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」は4月20日に開催する協議会で、こうした点も含めたとりまとめを公表する予定で、JUIDAはそれを踏まえ、変更内容の説明とJUIDAの対応を説明する。
とりまとめの内容はホームページなどでも公表される見込みだ。また、ドローンスクールを管理する「管理団体」に対しては、国交省が制度の概要について説明会を開く方針だ。一方で、個別のドローンスクールが、不明点、疑問点を確認する機会は現時点ではなく、公表された資料を読み解くか、個別に問い合わせるなどの対応をすることになる。このためJUIDAは加盟するドローンスクールに対する説明を開き、とりまとめの概要や経緯、JUIDAの解釈や対応を説明し、スクールが抱える疑問に回答したり、不明点を吸い上げたりする。
今後、スクールや民間企業のレベル4対応がさらに活発化しそうだ。
国交省航空局が「ドローン情報基盤システム」上で更新した6月1日時点の講習団体数は783で、前月5月1日時点から18増加した。講習団体を管理する管理団体は49で1増加した。
6月1日付で新たに掲載された講習団体は24。一方で6つの講習団体が先月から姿を消した。
管理団体を、加盟する講習団体数で整理すると最大は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の163、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の141、DJI JAPAN株式会社が115で、大手3団体で講習団体全体の53.5%を占めた。
国交省は2017年6月1日に講習の底上げを図るためにホームページでの掲載をスタート。当時は管理団体が4、講習団体が43だった。3年間で管理団体が45増加し12.25倍に、講習団体は740増加し18.2倍になった。