7月30日の津波注意報、津波警報を受けて、仙台市<宮城県>、一宮町<千葉県>が導入したドローン津波広報システムが作動した。注意報、警報を受けて自動でドローンが離陸し、沿岸地域にアラート音を流し高台への避難を呼びかけた。また仙台市、一宮町の担当部署は本部でドローンから届く映像で沿岸エリアの様子を確認した。ドローン津波広報システムの緊急時の作動は、今回が初めてとみられる。
ドローン津波広報システムはこの日、午前8時24分のカムチャッカ半島付近で発生した地震に伴う気象庁の津波注意報で作動した。仙台市、一宮町に配備されていたドローンはそれぞれ注意報を受けて離陸し沿岸に飛行、警報音を響かせたうえで高台への避難を呼びかけた。一宮町はドローントリビューンの取材に「午前9時40分に注意報が警報に切り替わったさいにも配備したドローンが2か所から出動した」と話した。
またドローンが避難を呼びかけながら搭載したカメラで撮影した映像を、両自治体とも本部で職員が確認した。
ドローン津波広報システムはブルーイノベーション株式会社(東京)が開発した遠隔制御システム、Blue Earth Plarform(ブルーアースプラットフォーム、BEP)を活用したシステムで、BEPをドローンポートに連携させた「BEPポート|防災システム」を構築して、現地向けに調整した。
仙台市はこのシステムを東日本大震災で津波避難広報中の職員と消防団員が犠牲なったことを受けて2022年10月に導入、サーファーが全国から集まる一宮町は2025年5月に運用を始めた。それぞれ試験運用、点検などでドローンを飛行させることはあるが、注意報などを受けた出動は今回が初めてとみられる。
一宮町が津波避難広報システムの運用を始めた5月20日には、馬淵昌也町長が「サーフタウンとしてみなさまに安心して頂けるレベルがはるかに上昇すると大変うれしく思っています」などと話していた。
この日の津波注意報、警報を受けて多くの沿岸自治体では消防車などが避難を呼び掛けて巡回するなどの対応をとった。避難誘導のために職員が現地に出向かうリスクの軽減にドローンの導入が進む可能性がある。
ブルーイノベーション株式会社(東京)は2025年7月23日、株式会社NTT e-Drone Technology(朝霞市<埼玉県>)と販売パートナー契約を締結したと発表した。同日にはNTT e-Droneが、ブルーの取り扱うスイスFlyability社製屋内点検用ドローン「ELIOS 3」の販売を始めた。この日東京ビッグサイトで開幕した「国際ドローン展」のブルーのブースでは、両者の幹部が今後の展望を構想した。株式市場ではブルー株が急騰し、7月25日も一時、2000円をつける場面があった。
ブルーイノベーションは7月23~25日に東京ビッグサイトで開催の国債ドローン展にブースを出展し、NTT e-Droneが販売パートナーとして新たに取り扱うことになった「ELIOS 3」を展示し、フライトゲージ内でデモ飛行させた。
ブルーブースを訪れたNTT e-Droneの木村祥之・サービス推進部ソリューション部門長は、「自治体など地域のニーズにこたえる中で、狭く暗い場所を点検するドローンのニーズが一定数あることから、ELIOSシリーズを取り扱っているブルーイノベーションに協業を持ちかけました。NTT e-Droneドローンにとって、運用のラインナップを拡大できることになるうえ、われわれが開発した『eドローンAI』などの技術の展開先としてともにソリューションを開発することも展望できます。一例として、ドローンで画像を取得し、画像を分析して修繕や更新の判断をする二度手間を軽減できると、そこには需要があると感じています」と提携の背景と展望を話した。
ブルーイノベーション取締役の田中健郎取締役は「(NTT e-Droneは)自治体のニーズを熟知しているため、自治体の求める回答にELIOSが含まれていくことを期待しております。『eドローンAI』などとともに新しいソリューションを開発できることへの可能性にも期待しております」と述べた。
ブルーイノベーション株はNTT e-Droneとの販売パートナー契約締結を発表した7月23日午前10時30分に急騰し、7月25日午前現在も2000円を上回る水準で推移した。
発表は以下の通り。
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スイスのドローンメーカーフライアビリティ社(Flyability SA)は、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」用の新しい大容量バッテリーを発表し、6月26日に販売を始めた。日本でも同社の正規販売代理店ブルーイノベーション株式会社(東京)が6月27日に発売を発表した。新しい大容量バッテリーを使うと1回の充電で、Rev 6 LiDARを搭載した場合の飛行時間が13分30秒となり、標準バッテリーの9分10秒から47%増えるという。
発表によると、ELIOS3用の新しい大容量バッテリーの容量は187Wh(8200mAh)と標準バッテリーの99Whから増強された。LiDAR搭載時の飛行時間を9分10秒が13分30秒に増やすことで作業効率を高める。なお、ペイロードがない場合の飛行時間は17分(標準バッテリーでは12分50秒)、UTペイロードを搭載した場合は11分30秒(標準バッテリーでは7分30秒)だ。また推奨充電サイクル(推奨充電回数)も標準バッテリー(50回)の2倍の100回になる。充電時間は大容量バッテリー専用の充電器を使えば、標準バッテリーと同じ1時15分だ。
一方、使用可能な周囲の気温は従来の45度から35度にかわるので注意が必要だ。
利用にあたって利用者はユーザーマニュアルを理解することとファームウェアのアップデートが義務付けられる。
ELIOS3は、コンピュータービジョン、LiDARテクノロジー、NVIDIAのグラフィックエンジンを独自に組み合わせた「Flyaware」と呼ぶSLAMエンジンを搭載する屋内点検ドローンで、屋内を飛行中に自己位置を高い制度で推定し、リアルタイムで3Dマップを作成したうえパイロットの手元のタブレットにもリアルタイムに表示するなど屋内点検に求められる機能を集めている。GeoSLAMsソフトウェアパッケージとの統合で三次元データ化も可能だ。Flyabilityが英Cygnus Instruments(シグナス・インスツルメンツ社)との提携で開発され、2024年5月に導入された「UT 検査ペイロード」を使えば、立ち入り不可能な空間内の高い場所や狭小空間で、超音波による壁面の厚さ測定も可能だ。
フライアビリティ社は大容量バッテリーを、フライト最適化への取り組みを強化する技術と位置付けている。今年(2025年)4月に搭載したスマートRTH(Smart Return-to-Home)から始まっていて、最短の安全なルートで出発点に戻る機能や、バッテリー交換後にElios 3が自律的にスマートRTH発動地点に正確に戻りミッションを再開、継続するという。フライアビリティは「これにより飛行時間が短縮され、運用効率が向上し、パイロットはバッテリーや飛行時間の管理ではなく、最も重要なデータ収集に集中することができる」と発表している。
ブルーイノベーションも「これにより、パイロットはより余裕をもった飛行計画を立てることができ、点検業務の安全性と効率性が大幅に向上します。さらに、充電可能回数が従来の2倍に増加したことで、バッテリーの交換頻度と運用コストの削減にも貢献します」とコメントしている。
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千葉・幕張メッセで6月18~21日に開催された建設、測量技術の展示会「第8回国際 建設・測量展」(CSPI-EXPO2026)の主催団体、「国際建設・測量展実行委員会」は、期間中の来場者が合計で5万7362人だったと発表した。前回実績を21.3%上回った。
来場者は全体で前回実績(4万7294人)より1万以上増えた。来場者の内訳は業界来場者が45700人で全体の79.7%を占めた。「VIP」が4781人、報道関係者が45人、来賓が50人、一般来場者は6786人だった。主催者はこの数字は確認作業後、修正の可能性があると伝えている。
ドローン事業者の出展者も多く、今回もDJI JAPAN、AMUSE ONESELF(アミューズワンセルフ)、スペースワン、エアロセンス、テラドローン、ジュンテクノサービス、CHCNAV、セキド、システムファイブ、ブルーイノベーションなどがブースを構えた。
DJI JAPAN、AMUSE ONESELFなどのように、ドローンの展示会にブースを構えていない顔ぶれや、スペースワンなどのようにJapan Droneの出展と異なる展示構成が見どころとなった。
DJI JAPANは産業用ブランド「DJI ENTERPRISE」を前面に押し出して、「MATRICE 400」や「DJI Dockシリーズなどを展示した。CSPIの公式ページでは「Matrice 350 RTK」の展示を予告していたが、新型機が発表されたことから「MATRICE 400」が展示の中心になった。映像伝送システムが一新され制御感覚が格段に向上し効率性が向上したバッテリーシステム、包括性が高まった安全機能、パワフルな積載性能などが話題を集めブースでも多くの来場者が足を止めていた。
DJI Dockシリーズでも最新機、DJI Dock 3が展示の中心で、DJI Matrice 4D、またはMatrice 4TDの高性能ドローンを搭載し24時間365日のリモート操作を可能になったことで話題を集めた。このほかフレームベースのLiDAR、独自開発の高精度IMUシステムを備えるZenmuse L2は、フルサイズセンサーカメラと交換可能な単焦点レンズを3軸ジンバルスタビライザーに搭載するZenmuse P1は、広角カメラ、ズームカメラ、赤外線サーマルカメラ 、レーザー距離計、NIR補助ライトの5つの主要モジュールを搭載するZenmuse H30シリーズも展示された。
ブースでは連日、講演も開催。DJI Dockの活用法のほか、このところドローン事業者の間で話題の機体認証などが取り上げられ、多くの来場者が足を止めていた。DJI JAPAN標準化政策ディレクターの浦野靖弘さんは「ソリューションを求める来場者に関心をもっていただけた」と話していた。
スペースワンは6月上旬のJapanDroneで話題になった大きなLEDディスプレイをCSPIににも投入し、入口に近い場所で来場者の目を引いた。カナダのDeep Trekker社が開発した管路点検用ロボットパイプクローラー「PIPE TREKKER(パイプトレッカー)」シリーズ「A-150」と「A-200」を目立つように配置したことがJapanDroneとの大きな違いで、開場早々、このクローラーの説明を求めた来場者がブースに立ち寄っていた。A-150は管径150~600mm、A-200は管径200~900mmに対応する。それぞれHDカメラやパン・チルト・ズーム機能を搭載しているほか、水深50mの耐水圧構造を備えていることが特徴だ。このほかJapanDroneでも話題だった中国CHASING社の最新水中ドローン「CHASING X」がブース正面に展示されて来場者んぼ足を止めていた。8基の大型スラスターを搭載し、どの方向へも移動できる。高精細4Kカメラと12,000ルーメンの高輝度LED照明で鮮明で安定した映像の取得に寄与する。
ブルーイノベーションはコンパクトなブースの中にフライトエリアも設けて屋内空間の点検・測量ドローン「ELIOS 3」と、点検用ペイロード「UT 検査ペイロード」を展示した。
AMUSE ONESELFは入口に近い一角に広々としたブーススペースを確保。陸域と浅水域で使えるグリーンレーザースキャナシステム「TDOT 7 GREEN」や、ドローン搭載用レーザースキャンシステム「TDOT」と秒間最大2,400,000パルス、400ラインのリーグル社製「VUX120」を融合したハイエンドレーザースキャナシステム「TDOT 7 NIR-S」、汎用型レーザースキャナシステム「TDOT 7 NIR」のほか、国産エクステンダーで搭載なしの場合に4時間と長時間飛行を可能としたハイブリッドドローン「GLOW.H」などを展示し、多くの来場者が訪れていた。
ジオサーフは高精度な位置情報ソリューションを開発する中国ComNav Technology社のJupiter Laser Visual RTKを中心に展示。Jupiter Laser Visual RTKは最先端のGNSS、IMU、レーザー、デュアルカメラ技術を統合したハイエンドGNSS受信機で、従来到達が困難だった場所や、信号が遮断された場所、危険な場所で没入感ある測量や杭打ち作業が可能になる。
CSPI-EXPOは、前回まで「建設・測量生産性向上展」だったが、今回から「国際 建設・測量展」に名称を変更し、開催目的を建設・測量業界の発展貢献をさらに明確化していた。
東京株式市場で6月11日、ドローン関連銘柄が物色された。ブルーイノベーション株式会社(東京)の株価は一時ストップ高の2023円をつけ、2023年12月に上場して以来の2000円台を回復した。同社株のストップ高は2日連続。株式会社Liberaware(リベラウェア、千葉市)、株式会社ACSL(東京)、Terra Drone株式会社(テラドローン、東京)も買われた。ドローン4銘柄はグロース市場の午前の売買高ランキング上位10銘柄にそろって登場した。
ブルーイノベーション株は寄り付き前から買い注文を集め、前日終値の1623円より316円高い1939円で寄り付いたあと午前9時24分に、前日終値比400円高いストップ高となる2023円をつけ、上場日以来の2000円超えとなった。なお前日も獲りき時間中に、その日の値幅制限である300円高のストップ高をつけていた。
そのほかのドローン関連株も買われていて、リベラウェアは一時、前日終値113円高の1870円、ACSLも一時、前日終値比79円高い1359円、テラドローンも一時、前日終値の6240円から600円高い6940円を付けた。
ドローン関連株はトランプ米大統領が6月6日に署名した“Unleashing American Drone Dominance” と“Restoring American Airspace Sovereignty,”の2つの米国内でのドローン開発やビジネス活性化に関わる大統領令を受けて買われやすくなっていた。6月10日にはロンドンで開催されていた米中閣僚級協議で、ラトニック米商務長官が中国によるレアアース輸出規制を「解決されるだろう」と見通した発言が伝わるなど協議の進展が経済の活性化を展望させたことでハイテク株を中心に投資を呼び込み、ドローン株への物色を後押ししたとみられる。
また日本国内では、政府による道路陥没対策やコメ不足対策に関連するスマート農業対策推進などの期待から、関連技術としてドローン関連が買われやすくなっていた。
米国でもトランプ大統領令に連動する形でAAM開発のジョビー・アビエーション、アーチャー・アビエーションなどが急騰した。
ブルーイノベーション株式会社(東京)、VFR株式会社(ブイエフアール、名古屋市)など4社のコンソーシアムは6月4日、千葉・幕張メッセで開催中のドローンの大規模展示会Japan Drone 2025で、試作した国産ドローンポートを公開した。複数のメーカーによる使用が可能な汎用性や、日本主導で発行にこぎつけたドローンポートの国際標準規格ISO 5491に準拠し、外部システムとの連携を可能にしている。発表ではプロジェクトの責任者をつとめるVFRの戸國(とくに)英器取締役が「2027年の社会実装と量産化を目指しています」と展望を表明した。
開発にはブルーイノベーション、VFRとCube Earth株式会社(キューブアース、大阪市)、株式会社Prodrone(プロドローン、名古屋市)の4社がコンソーシアムを組み「4社の強みをいかして開発している」(VFRの戸國氏)という。
開発の背景については「ドローン運用の全自動化、長距離長時間化、インフラ点検活用拡大、緊急武士輸送ニーズ拡大などから対応するドローンポートの需要が高まっている一方、海外製が多く、国際情勢のうえでも、関連する経済安保の観点からも国産ポートが必要との声が高まっている」と説明した。
事業は経済産業省「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」に採択されている。
事前に公開された発表内容は以下の通り
~VFR、Cube Earth、Prodrone、ブルーイノベーションの4社コンソーシアムが 国産ドローンポートの社会実装に向けた試作機を初公開~
VFR株式会社(本社:愛知県名古屋市 代表取締役社長:蓬田 和平 以下 VFR)と、Cube Earth株式会社(本社:大阪府大阪市 代表取締役社長:武田 全史 以下 Cube Earth)、株式会社Prodrone(本社:愛知県名古屋市 代表取締役社長 : 戸谷 俊介 以下 Prodrone)、ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区 代表取締役社長 最高執行役員 : 熊田 貴之 以下 ブルーイノベーション)の4社は、2023年10月に採択された経済産業省「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」において共同開発を進めている「国産ドローンポート」の試作機を、2025年6月4日より開催の『Japan Drone / 次世代エアモビリティEXPO 2025』にて初公開します。
■背景|ドローンの社会実装に必要な“空の拠点”
近年、災害対応やインフラ維持管理をはじめ、様々な分野でドローンの活用が広がっています。その中で、安全な離着陸、充電、保守を担う「ドローンポート」の整備は、今後の省人化を進める上で不可欠です。
しかし、現在開発されているドローンポートは海外製が多く、安全保障の観点からセキュリティ対策の必要性が高まっています。また、日本の災害環境やインフラ構造に最適化された、安全な国産ドローンポートの開発が急務となっています。
こうした社会的なニーズに応えるため、VFR、Cube Earth、Prodrone、ブルーイノベーションの4社は連携し、国産ドローンポートの実用化に向けて共同開発を開始しました。この共同開発は、2023年より経済産業省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」の支援を受けています。
■国産ドローンポートの社会実装に向けた本格展開
本コンソーシアムでは、ドローンポートの社会実装を加速するため、より高い「安全性」「汎用性」「拡張性」を備えた、国産ドローンポートの開発に取り組みます。
このドローンポートは、以下の設計要件に基づいています。
■各社の役割と開発体制
VFR、Cube Earth、Prodrone、ブルーイノベーションは、それぞれの強みを活かし、ドローンポート本体の設計、機体連携、遠隔制御、統合管理システム、現場実装に至るまで、4社共同で開発に取り組んでおり、以下にそれぞれの役割を示します。
・安全性 : ドローンは離着陸時に最も事故が多く、確実かつ安全に離着陸できることを目指します。
・汎用性 : 現場の多様なニーズから複数のメーカーのドローンの離着陸を可能にします。
・拡張性 : 外部システムとの連携を可能にし、我が国が主導したISO 5491(ドローンポート国際標準)※2に準拠します。
■試作機の概要(Japan Drone 2025で初公開)
展示された国産ドローンポート試作機は、将来の社会インフラとしての「空の拠点」の実装に向けた第一歩となる設計です。
■今後の展開
本コンソーシアムは、今年度内に複数の地方自治体およびインフラ事業者との連携による実証実験を実施予定です。これを通じて実用化に向けた機能検証と運用設計を進め、2027年の社会実装および量産化を目指しています。