STEAM教材開発を手掛ける中国・深圳のスタートアップMakeblock Co.,Ltdの日本法人 Makeblock Japan株式会社(東京)は、小、中学、高校など教育現場に適したネットワーク対応の次世代ロボット「mBot2(エムボットツー)」の販売を6月4日に開始すると発表した。6月2日に教育関係者を対象にしたオンライン説明会を開く。「mBot2」はプログラム可能なクルマ型ロボット「mBot」の改良版。2021年2月に販売を始めた基盤「CyberPi(サイバーパイ)」を搭載し、プログラミングとものづくり体験ができる。メーカー希望小売価格は税別16,900円だ。
mBot2は基盤に汎用性の高いCyberPiを搭載した。Wi-Fiモジュールによるネットワーク通信機能を備え、フルカラーディスプレイ、スピーカー、マイクなどの入出力モジュールを活用し、より高度で複雑なプログラミングとものづくり体験を可能にしている。
mBot2のエンコーダーモーターは、回転、速度、位置を正確に制御できるよう改良された。クアッドRBGカラーセンサーは4点同時にラインを追従しながら色を検出でき、より正確で安定した動きを実現する。複数の異なる規格ポートを備えたmBot2拡張ボードから、Makeblock製の mBuild(エムビルド)や他社製の電子モジュールを接続して、多機能なロボットを開発できる。
現行のmBotはMakeblock が2016年に発売した、オープンソースプラットフォームをベースにした柔軟な拡張性を備えるロボット。コンポーネントの追加や、自由なアイデアを実装できる特徴を持ち、世界各国でプログラミング教材として導入された。2017年にはブロックをくみあわせて組み立てる独創的なドローンAirBlockを投入し、ドローン関係者の間で話題になった。Makeblockはこれらの経験をmBot2にいかし、AI、IoT、機械学習、データサイエンスなどの教育効果を高めることを目指す。
また、MakeblockはmBot2の発売にあわせ、6月2日にオンライン説明会を開催する。販売開始に合わせてキャンペーンも実施する。
■mBot2販売開始キャンペーンの概要 ①9台のmBot2購入で1台のmBot2を無償提供 ②6台の(mBot2の基板である)CyberPi購入で1台のCyberPiを無償提供 ・対象:学校または教育委員会(※先着20の学校または教育委員会まで) ・キャンペーン期間:発売日から2021年6月30日
■mBot2 製品詳細ページ: https://www.makeblock.com/jp/steam-kits/mbot2 ■製品仕様 ・基板:CyberPi ・プロセッサ(コア):ESP32-WROVER-B ・SPI Flashメモリ容量:8MB ・寸法:175mm x 130mm x 93mm ・重量:1.01kg ・通信方式:Wi-Fi、Bluetooth、USB ・入力:ジョイスティック、リセットボタン、ボタン×2、ライトセンサー、マイク、ジャイロセンサー、超音波センサー2、クアッドRGBセンサー ・出力:1.44インチフルカラーディスプレイ、フルカラーRGB LED×5、高音質スピーカー ・拡張ポート:mBuildモジュールポート、2ピンポート×2、3ピンポート×4 ■製品パーツ概要 ・内容物:CyberPi / mBot2 拡張ボード / 超音波センサー2 / クアッドRGBセンサー / エンコーダーモーター、ケーブル / シャーシ / 車輪 / ローラーボール / スリックタイヤ / mBuild 接続ケーブル(10cm、20cm)/ M4*25mm、M4*14mm、M4*8mm、M2.5*12mm ねじ / ドライバー / ライントレースマップ / USBケーブル(Type-C) ■メーカー希望小売価格:16,900円(税別) ・製品購入予約ページ: https://www.amazon.co.jp/dp/B0919F9CKS ・教材購入ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4991206510
■mBot2オンライン説明会の概要 ・日時:2021年6月2日(水)18:00~19:00 ・会場:オンライン(Zoom開催) ・料金:無料 ・内容:mBot2の製品紹介、教育現場での使用感、教材の解説など ・対象:STEAM教育・プログラミング教育に関心のある教育関係者 ・定員:100名(先着) ・参加方法:右記URLから。 https://www.makeblock.com/jp/event
株式会社ORSO、ブルーイノベーション株式会社、一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)が、ドローンでプログラミングを学ぶスクール向けカリキュラム、「ドロミング ラボ」の普及を本格化させる。カリキュラムの提供を希望するスクールなどを全国から募り、10月から開校支援を展開する。ドロミングラボは、ドローンをプログラミング飛行させる体験を通して、創造力や論理的思考を育成する、小、中、高校生を対象とした教育カリキュラム。JUIDAが監修し、ブルーイノベーションとORSOが共同開発した。
「ドロミング ラボ」の事業概要は専用サイトで確認できる。事業展開の説明会、講師要請講座もオンラインで開催される。講師養成講座ではGoogleフォームでテストが行われる。また、千葉・幕張メッセで開催されるドローンの大規模展示会、Japan Drone 2020では、JUIDAが出展するブースでドロミングラボについて案内する。当面はJUIDA認定スクールを中心に案内する。
「ドロミング ラボ」専用サイトはこちら https://www.dromming.jp/
「ドロミング ラボ」普及本格化の背景にあるのは、急速な技術革新とグローバル化だ。今後、これまでの経験を当てはめても解決できない課題が急増することが確実視される中、教育では、従来の与えられた課題に決められたルールをあてはめて解決する方法から、自分自身で課題を発見し、解決に導く課題解決型学習や、デジタル機器を使いこなすITリテラシー向上の必要性が指摘されている。一方で「理科離れ」が顕著で、このままではIT人材不足が拡大することが確実視されている。このため3社は共同でドローンやプログラミングに楽しみながら取り組めるカリキュラムを開発、10~20年後の日本のIT人材を育成する。
「ドロミング ラボ」についてORSOは「これから社会に広く普及するであろうドローンとプログラミングが学べる、未来を見据えた新しいスタイルの教室です。産業活用が進むドローンを題材にすることで、教室で学んだことが、どう社会で活かされているのかを子供たちが自身の目で確かめることができ、学校教育でも重要視されている『社会とつながる学び』を提供しています」としている。
また「空を飛ぶドローンは、子供の興味・関心を集め、楽しい体験を通して多くの学びを子供たちに与えます」と、興味、関心を育む側面でのアプローチを重視する。好きなこと、楽しいことを持ちにくいと言われる子供たちの感性を刺激することで、子供たちの社会参加意欲、事項肯定感の引き上げにも寄与するとみられる。
ドローン普及機運が高まっていた2017年4月5日、「楽しみながら操縦が学べる」を掲げて登場したアプリと18グラムの手のひらサイズの機体を組み合わせた教材が、ドローン関係者の話題を独占しました。教材は株式会社ORSOが開発した「DRONE STAR」で、連動する18グラムの軽量機体は「DRONE STAR01」。この日の発表はその後、部屋の中での操縦トレーニングの普及と、ドローンの教育利用の広がりに寄与しています。4月5日はドローンの教育が新たなフェーズに踏み出すきっかけとなったDRONE STAR記念日と言えそうです。
DRONE STARの発表は、2017年4月5日、東京・永田町で開催されました。発表の内容は、スマホでアプリを起動させ、スマホ越しに小さいドローンを飛ばして障害物を避けるように操作をすると加点するなど、遊び感覚で操縦のトレーニングが楽しめる画期的なものでした。
画期的なだけでなく、初心者をひきつける工夫も盛り込まれていました。起動方法から解説した「チュートリアルモード」で電源の入れ方に慣れ、機体を空中で保つホバリングの腕前を測定してスコア化する「ホバリング検定」で機体の扱いに慣れ、飛んでくるソフトクリームを避けるゲームを通じて技能向上を図る「ソフトクリームパニック」と、機体に搭載したカメラから送られる映像を見ながら操作する「FPVモード」で楽しさに取りつかれます。
発表会の参加者は、坂本義親代表取締役社長CEOの説明に聞き耳を立て、高宮悠太郎氏のデモンストレーションに注目し、実際に体験し、会場のあちこちから「楽しい」、「これは教材として決定版」などと評価する声が聞こえました。
またプロポを使わず、難しいコードも書かずにスマホでドローンを直感的に制御できる「DRONE STARプログラミング」では、ドローンに「前進」、「回転」などの指示をタイムラインに配置することを通じて、プログラミングの基礎を体験でき、プログラミング教育への用途が準備されました。
DRONE STARは発表後にも進化を続けています。
2018年には、「DRONE STARプログラミング」にDJIが技術を提供したRyzeTech社製のトイドローン、TELLOが対応機種に追加されました。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムがドローンを活用した人材教育の研究教材として採用したのもこの時期でした。
2019年4月には、プログラミング講師の養成講座「DRONE STAR Academy」も開講しました。2020年度からはじまるプログラミング教育の必修化を前に、対応に不安を抱えている教員の声にDRONE STARが一役買うことになったわけです。
2019年12月20、21日には大分市で開催された「OITAドローンフェスタ2019」で子供向けドローン操縦・プログラミング体験会が開催され、「DRONE STAR 01」「DRONE STAR プログラミング」や、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の監修を受け、ブルーイノベーションとドローン×プログラミングのジュニアカリキュラムの展示は、親子連れや若者グループなど多くの来場者でにぎわいました。
3年前の2017年4月5日のDRONE STARの最初の発表会で、坂本CEOは「ドローンの操縦の基礎を楽しみながら覚えて、体験できることを目指しました。ドローンの操作がうまくなるには、トレーニングに時間をかける必要があります。トレーニングが楽しくなかったり、上達した実感が得られなかったりすると、せっかくドローンに触れても途中でやめてしまうことが起こります。裾野を広げるためには離脱を防がないといけません」と、開発の動機を説明していました。
「学ぶこと」と「楽しさ」を結びつけることを追求するDRONE STARには今後も進化が期待されています。
DRONE STAR公式サイト:http://www.dronestar.jp/
ORSOホームページ: http://www.orso.jp/