株式会社自律制御システム研究所(ACSL、東京都江戸川区)と、ブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は、ACSL製産業用ドローン「Mini」と、ブルーイノベーションが開発したソフトウェアプラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」を活用した屋内作業のDXソリューション2種を共同開発し、1月にリリースを開始したと発表した。2種類はそれぞれ5G通信、エッジAIを融合させた「プラント自動点検」と、RFIDリーダーを搭載した「倉庫内自動在庫管理」で、京セラ株式会社、トッパン・フォームズ株式会社が協力している。
「プラント自動点検ソリューション」は、プラント内の点検作業を自動化させるソリューションで、AIや京セラ製の5G通信デバイス(5Gコネクティングデバイス)を搭載したMiniが設備内を巡回して点検する。必要なデータはデジタル化され、ドローン側でリアルタイムにAIで解析される。結果はその場で把握できる。取得したデータはBEPで高速に、セキュリティが守られた状態で共有、蓄積される。解析結果に応じてBEPからドローンやそれ以外のデバイスに新たなミッションを自動で遂行させる。これにより、人手を介する点検に比べ、迅速化、効率的、低コスト化を実現できる。
「倉庫内在庫管理ソリューション」は、倉庫内棚卸作業を自動化、デジタル化、効率化するソリューションです。トッパン・フォームズのトッパン・フォームズ株式会社が倉庫内を巡回し、在庫のタグ情報を読み取り、棚卸作業のデジタル化、効率化をする。BEPの活用でいくつかのドローンと同時に棚卸作業をすることや、AGVやロボットなどと連携させて情報集流とは別の作業を指示するなどの統合管理が可能となる。倉庫が稼働していない夜間に自動で在庫棚卸をすませ、翌朝に担当者が結果を確認するなどの使い方も可能になる。
ACSLのMiniはほぼ1年前の2020年1月23日、従来の主力機「PF-2」に比べ大きさで4割、重量でバッテリー含めると半分に小型化した産業機として登場した。最大で48分の継続飛行が可能なうえ、通信、センシングなどに関わる主要技術、モジュールを日本開発、日本製でそろえた国産機で、ブルーイノベーションとソリューションの開発を進めてきた。
ACSLの鷲谷聡之代表取締役社長兼COO、ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長はそれぞれ談話を発表している。
【ACSL・鷲谷聡之代表取締役社長兼COOの談話】 2021年はACSLにとって飛躍の年になります。ドローンのセキュリティに対する関心が高まり、国産ドローンが注目されています。その中でACSLは、セキュアで安心な国産ドローンの開発や量産化体制の構築を進め、順調に進捗しています。そうした取り組みを出口に向けて集約させ、一気に飛躍する年にしたいと考えています。その始まりとして、今回2つのソリューションをブルーイノベーションとリリースしました。新型コロナウイルスの感染拡大で、ドローンによる業務の省人化、省力化のニーズは確実に高まっています。この2つのソリューションのポイントは、屋内等の非GPS環境でもドローンが自律飛行し、画像撮影や在庫管理が自動でできるということです。これらのソリューションを社会実装していくことで、屋内作業を効率化したい、低コスト化したいという皆様の悩みを解決できるものと確信しています。
【ブルーイノベーション・熊田貴之代表取締役社長の談話】 ブルーイノベーションは、ドローン・ロボット×AI×自動化によるソリューションをBEPでつなぎ、来るべき自律分散型社会のインフラを支えるべく、プラットフォームのリーディングカンパニーとして邁進しています。今回、複数のドローン・ロボットを協調・連携させて複雑な業務を遂行させる「BEP」と、ACSLの国産ドローンが融合したことで、物流やプラントでの課題を解決するソリューションの社会実装がいよいよ開始します。今後、非GPS環境下でのソリューションに強みを持つ両社がさらに協業していくことで、自動点検や棚卸に留まらないドローンによる屋内作業向けDXソリューションの開発、そして社会実装は確実に広がるものと期待しています。
・Blue Earth Platform(BEP)の紹介ページはこちら
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ブルーイノベーション株式会社(東京、BI)は、物流高度化サービスを手掛ける独ドックスイノベーション社(doks. innovation GmbH、ヘッセル州カッセル)と業務提携契約を締結したと発表した。自走式ドローンと、自動航行するドローンを組み合わせたドックスイノベーションの在庫確認システム「インベントエアリ・エックス・エル(inventAIRy XL)」に、ブルーイノベーションの統合管理プラットフォーム「BEP(BlueEarthPlatform)」を接続し倉庫内完全自動棚卸ソリューションを開発し、12月からサービスの提供を始める。ブルーイノベーションは、運用されているシステムとしては、完全自動棚卸ソリューションは世界で初めてという。
両社が提供する「完全自動棚卸ソリューション」は、AGVとドローンの自動稼働、営業時間外の稼働、取得情報の自動解析などが可能になるという。具体的な機能や詳細は、9月29日、30日に千葉・幕張メッセで開催されるドローンの展示会、Japan Drone 2020に出展されるブルーイノベーションのブースで明らかになる見込みだ。
国内の倉庫業界は、ネット通販利用の急拡大で、小口化、多頻度化、再配達需要の拡大など、業界環境が急激に変化、複雑化している。事業を支える労働力も人材の高齢化、人手不足など深刻で急務な問題を抱えており、複雑で高度な要求にこたえられるオートメーションシステムをめぐり、世界各国のIT企業、テクノロジー企業がソリューションの開発にしのぎを削っている。今回の「完全自動棚卸制御ソリューション」には、こうした課題解決の期待がかかる。
ブルーイノベーションが提携したドックスイノベーションは、倉庫を含む物流の高度化を手がけるテクノロジー企業で、在庫管理、棚卸しプロセス、マスターデータ管理、短距離運搬のデジタル化に力を入れている。
同社の倉庫ソリューション「インベントエアリ・エックス・エル」は、地面を自律走行するAGVに、14mのケーブルでつながれたドローンを搭載した移動装置が特徴的だ。在庫確認など必要な業務が発生すると、ステーションに待機していた装置が倉庫内の目的地に向かい、目的地に到着するとドローンがフライトをし、目的のパレットの状況を読み取ることができる。同社の公開情報によると、目的地の温度、包装状況、破損の有無に関する情報を取得できるという。また、機械学習を組み込み、業務街時間や人件費の大幅圧縮が可能で、作業時間を最大80%、棚卸コストを最大90%削減できる触れ込みだ。
ブルーイノベーション株式会社(東京)は2月12日、千葉市の大型展示場、幕張メッセで開幕した食品流通業界の商談展示会「スーパーマーケット・トレードショー」で、ドローンやAGV(無人搬送車)で、店舗や食料倉庫などの陳列状況、在庫状況などを遠隔で一括管理する様子を披露するデモンストレーションを実施した。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が出展したブースで、半導体、センサー事業を手掛ける株式会社レスターエレクトロニクス(東京)と共同で運用した。
デモンストレーションでは、ブルーイノベーションが開発した屋内の自動飛行ドローン「BI AMY(ビーアイ・エイミー)」と米temi社が開発したAGV「temi」を活用。会場の「幕張イベントホール」にドローンを飛ばせるように設置したケージ内に、店舗の中に見立てた商品陳列棚や、倉庫に見立てたQRコードが張り付けられたケースを用意して物流現場を再現し、ドローンとAGVを待機させた。
合図とともに「BI AMY」が離陸し、店舗の陳列棚に置かれた商品や、倉庫のQRコードを確認しデータを収集。続いてtemiがケージ内を走り回りデータ収集をした。Temiがとらえた映像はケージの外に設けられモニターに映し出され、多くの来場者がモニターをのぞきこんでいた。
ブルーイノベーションは、複数の機械、デバイスを連携させ、ひとつの指示で役割を果たしきる遠隔管理システム技術「ブルー・アース・プラットフォーム(=Blue Earth Platform、通称BEP)を開発していて、今回のデモンストレーションは、倉庫内の在庫状況の確認指示で、ドローン、AGV、場合によってはそれ以外のロボット、デバイスが連携して在庫状況を確認するBEPの機能性を示した。
デモンストレーションではブルーイノベーションの田村美樹さんが、「BEPは複数のロボットを遠隔で一括制御することが可能。既存システムやAI、画像処理技術と連携させることで、すべてのデータの統合管理が可能です。「BIAMY」は屋内でも自動飛行が可能で、BEP とつなぐことで、画像情報やRFIDタグ情報の読み取り、BEPを通じてOCR技術や画像認識技術と組み合わせることが可能で、倉庫や店舗の在庫管理をオートメーション化することができます。また、通路幅に余裕がない小売店などでは小型のAGVを連携させれば、同様に在庫管理が可能です」などと説明。来場者からは、「これでうまくいけば人件費の削減につながりますね」などと興味深そうに話していた。
デモンストレーションは会期中の14日まで、毎日開催される予定だ。