株式会社エアロネクスト(東京)と、同社の物流事業子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)は、輪島市(石川県)内で災害対応活動を続ける一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の活動チームに合流した。同様に参加した株式会社ACSL(東京)と共同開発した物流用ドローンAirTruckで医療用物資の運搬を担っている。10日には孤立地区となっているエリアの鵠巣小学校避難所に歯ブラシ、おむつ、カイロなどを届けた。現地ではJUIDAが統括して活動を続けている。
新スマート物流の主役、物流専用ドローンAirTruckが活躍 NEXT DELIVERY などドローンの運航チームは1月8日から活動を続けている。荷物の届け先は輪島市の中心部から東に約3㎞の場所にある輪島市立鵠巣小学校に設けられている避難所だ。鵠巣小学校の周辺は市の中心部から直線距離で3㎞にすぎないが道路の寸断で自衛隊員でもたどりつくのに1日かかるほどの孤立集落となっている。AirTruckは医薬品を10分で運ぶなど、集落の要請にこたえるべく奮闘している。AirTruckは2台持ちこまれており、現地の要請に耳を傾けながら活動する方針だが、今後の活動期間などは1月10日夕刻時点で確定的ではないという。
AirTruckはこれまで、小菅村(山梨県)を皮切りに全国でドローンを既存物流手段を合わせた新スマート物流の構築で主役を煮立ってきた機体で、輪島市ではこれまでの数多くの経験を投入した形だ。エアロネクストとNEXT DELIVERYは「空からの輸送手段であるドローンを駆使し、日本各地で運航を重ねてきた経験と技術力を合わせ、今後も被災地の1日も早い復興に貢献できるよう活動してまいります」と話している。
またACSLも10日、公式に輪島市での災害活動に参加していると公表した。「エアロネクストとともに1月8日16時より、輪島市文化会館から鵠巣小学校避難所(孤立地域内)に向けてのドローンによる医薬品の配送を開始しましたので、お知らせいたします」としている。ACSLはこれまでに2019年10月の台風19号のさいに、孤立状態の集落への緊急物資輸送、2021年7月の熱海市伊豆山で発生した土石流災害で防災仕様ドローンの無償提供など災害対応に関わってきた実績がある。
令和6年能登半島地震でJUIDAは、輪島市がJUIDAの協力の申し出を受け入れたことから、1月6日にブルーイノベーション株式会社、株式会社Liberaware(リベラウェア)と行方不明者の捜索、被害状況確認などの災害時活動を開始した。1月10日現在は、JUIDA、ACSL、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、ドローン運航事業を手掛ける株式会社ドローンオペレーション(東京)が活動を続けている。
配送先への荷物をAirTruckに搭載する 医療物資を積んで離陸する物流専用ドローン AirTruck=輪島市(石川県) 【エアロネクストが発表した活動概要】
⚫ 日程:2024年1月8日(月)~未定
⚫ 場所:石川県輪島市
⚫ 配送内容とルート (今後追加、変更になる場合もあります)
1)輪島市文化会館から鵠巣小学校避難所(片道約 3km)への医療物資輸送
⚫ 使用機体: AirTruck
⚫ 体制
統括:一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)
運航:株式会社 NEXT DELIVERY
協力:株式会社エアロネクスト・株式会社ACSL
【輪島市でのJUIDAの活動(JUIDA公式サイトから・1月10日現在)】
◆1月5日 ・JUIDA 現地到着 輪島市役所でドローンの活動に関する情報収集、関係機関との調整、協力各社への指示態勢を構築
◆1月6日 ・ブルーイノベーション株式会社 現地到着 自衛隊と連携した孤立地域の情報収集
・株式会社Liberaware(リベラウェア)現地到着 被災した住宅の被害状況の確認
◆1月7日 ・ブルーイノベーション株式会社 仮設住宅設置予定地域の被災状況の確認(門前地区2か所)
・株式会社Liberaware 被災した住宅及び商業施設の被害状況の確認
・株式会社ACSL 現地到着
・株式会社エアロネクスト 現地到着
・株式会社ドローンオペレーション 現地到着
◆1月8日 ・株式会社ACSL 仮設住宅予定地域の被災状況の確認→通行止めで中止 地滑りの兆候がある地域(輪島市稲舟町)の夜間撮影(昼間に改めて撮影予定)
・株式会社エアロネクスト、株式会社ACSL及び株式会社ドローンオペレーション 孤立地域の避難所(鵠巣小学校)に3名分の医薬品輸送
◆1月9日 ・株式会社エアロネクスト、株式会社ACSL及び株式会社ドローンオペレーション 孤立地域の避難所(鵠巣小学校)への医薬品輸送×2回(午前及び午後実施)
・株式会社ACSL 地滑りの兆候がある地域(輪島市稲舟町)の撮影 孤立地域の情報収集(陸自の要請)
◆1月10日 ・株式会社エアロネクスト 孤立地域の避難所(鵠巣小学校)への医薬品輸送 自衛隊、県警(ヘリ)連携し、新たな輸送ルートの調査
・株式会社ACSL 漁港の被災状況の調査
AUTHER 村山 繁
DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。