ドローン研究と社会実装に力を入れている慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム(古谷知之代表)は、静岡県御殿場市の総合体育施設で9月23日(金)にドローンの実演展示会「富士山ドローンデモンストレーション」を開催する。会場の体育施設のうち陸上競技場では、一般市民が出展者によるドローンの飛行を見学できる。デモンストレーションを前に、デモンストレーションの意義や展望について、御殿場市の勝又正美市長と、慶應ドロコンの古谷知之代表が対談した。DroneTribune編集長の村山繁が進行した。
――御殿場市にとって「富士山ドローンデモンストレーション」の開催の意義とは?
勝又市長 とても楽しみにしています。昨年もこのデモンストレーション(※2021年は「富士山UAVデモンストレーション」として開催)に立ち会わせて頂きました。富士山の麓の高原都市でドローンが飛ぶ姿は素晴らしく、とても絵になります。慶應義塾大学のみなさまが、この御殿場の地で研究開発、人材育成などを通じてドローンの進化に取り組んでおられることが、御殿場のまちづくりの支えにもなっていて、とても感謝しております。その意味でデモンストレーションの開催は広く、大きな意義があると理解しておりますし、大変うれしく思っています。
――慶應ドロコンにとって御殿場市で開催する意義は?
古谷代表 今年もドローンデモンストレーションを御殿場市で開催させて頂くことになり、市の皆様のご協力、ご尽力に感謝申し上げます。御殿場市とわれわれ慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムとは2019年に、ドローンを中心とする先端技術活用と地域活性化に関する包括連携協定を締結させて頂き、それ以来、ドローン、自動運転などをテーマに、さまざまなロボティクス技術の実用化に関する研究をさせて頂いております。今回のドローンデモンストレーションもその一環です。勝又市長のお話のように、富士山を背景に飛ぶドローンは非常に絵になります。加えて御殿場市は、首都圏に地理的に近いうえ、近隣各都県とも高速道路でつながるアクセスのよさも備え、多くの企業が立地しています。このため産業界のみなさまに声をかけることができ、ロボティクス技術のマッチングを生み出しうる絶好の環境です。デモンストレーションは、実際にマッチングを生み出すきっかけとなるイベントとして、御殿場で開催する意義を強く感じています。
――今回のデモンストレーションへの期待とは
勝又市長 御殿場市では民間企業のドローン活用が増えています。教育面では小学生、中学生がプログラミングをはじめ科学に触れる機会があり、それもデモンストレーションが刺激になっています。総合防災訓練ではドローンをいかした取り組みも行っています。そこで感じるのは、ドローンの進歩の速度が目覚ましいことです。毎年、形も中身も進化し、活用法も広がっています。今回のデモンストレーションでその進歩を見ることと、市民のみなさま、全国のみなさまにも御覧頂きたいと思っています。それが、地域産業の活性化、持続可能なまちづくりに生きることを期待しております。子供たちが技術の進歩を目の当たりにすることで、教育効果が高まることも期待しております。
古谷代表 今回、タイトルを「UAVデモンストレーション」から「ドローンデモンストレーション」に一新しました。今後、空を飛ぶドローンに加え、水中、地上など陸海空のドローンをご覧いただける機会となります。幅広い可能性を感じて頂きたいと期待しております。そのうえで、ドローンをまちづくりや課題解決につなげるために、自治体と地場産業、研究機関と企業とのマッチングが成立すればいいと感じています。是非、地元の皆様、産業会の皆様、多くの皆様にお越し頂き、きっかけとなることを期待しております。
――古谷代表がマッチングへの期待を表明しましたが、御殿場市にとってよい効果はありそうですか?
勝又市長 マッチングは地元経済の活性化を考えるうえで私が一番期待しているところです。農林業にも防災にも幅広く活躍しますので、それを市民や企業、研究者など多くのみなさまにご覧いただき、マッチングが成立すれば、経済効果は高まります。大いに期待したいところです。
――熱意の高い地域でデモンストレーションが開催されることは、主催として開催効果を考えるうえでも好ましいのでは?
古谷代表 その通りです。御殿場市は私どものキャンパス(神奈川県藤沢市)から近いこともありますが、いつ相談に寄っても、市長をはじめみなさまに親身になって頂けることを実感しています。ご相談をもちかけるたびに「御殿場市内にはこういう場所があります」「こういう施設が使えます」とご紹介、ご提案を頂けることもありがたいです。そういった機会も活用させていただきながら、今後も御殿場市で活動を展開させていただきたいなと常々、頃考えております。
――御殿場市にとって慶應義塾大学と手を携えることへの今後の期待は?
勝又市長 大いに期待しております。御殿場市は国策にもなっておりますデジタル田園都市国家構想への取り組みを進めており、先行モデル地域となることを目指しております。また、まちづくりに対し科学の進歩やドローンが生かせるところが多くあるとも思っています。まさに慶應義塾大学との連携がいかせるところであると思っております。ドローンを使った取り組みも各方面にアピールしていきたいと考えています。実際、ドローンを使った活動をされる方が市内でも増えてきたことを実感しておりますし、市役所の中にも資格を持つ者が出てまいりました。市内に立地する企業の中にも興味を持っていただくところが増えていて、防災訓練に参加して頂いたところもあります。空からみた渋滞情報は実際に使って訓練をしております。自衛隊にも協力させて頂いております。新しい試みが色々と出てきたと実感しております。
――慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアムはドローンをはじめ自律移動ロボットの社会実装を目指して活動しておりますが、御殿場の取り組みは社会実装やまちづくりへの生かし方について、モデルケースになる可能性があるように思えます
古谷代表 その通りだと思います。特にロボティクス産業を御殿場市と一緒に展開させることで、モデルケースとなりそうです。たとえば御殿場市は、産業立地に強みがあり、それを実際に活かしておられます。私どもが申し上げるまでもなく、さまざまな企業が立地していることからがそれを証明しています。ロボティクス、AI、データ産業など含めてデジタルという観点からも新たな産業誘致を一緒に進め、ロボティクス産業を盛り上げるモデルケースができるのではないかと考えています。物を作り、実験をする取組に参加する自治体は増えてきました。これからは、地域の産業を活性化させ、地域の課題を具体亭に解決する社会実装に局面が移り変わる段階です。社会実装を加速していくエリアとして御殿場市は魅力あるエリアです。また今回のデモンストレーションを開催するにあたり、多くの学生からボランティアとして参加表明がありました。御殿場という場所が魅力的であることもあり、我々の教育の研究拠点としても、新型コロナの感染状況などを横目で見ながら、御殿場市 と取組を進めたいと思っています。
――古谷代表は、講演やセミナーなどでドローンを実証実験から社会実装に移すカギとなる要素として、人材育成とインフラ投資を上げています。御殿場市は人材育成とインフラ投資の対象として魅力的だと感じますか?
古谷代表 とても魅力的です。まず無人機を持ち込んで人材育成をしたい、と話を持ち掛けたときに、御殿場市はきちん共通言語で会話が成立する自治体です。我々にとってとてもありがたい環境です。御殿場市は市長をはじめ市の皆さんが熱意をもっていることの表れと受け止めています。学生に学んでもらうにも適した環境ですし、インフラの整備についても市の皆さんと検討することができたらいいと思います。
――御殿場市が慶應と手を携えるうえでの、今後の抱負をお聞かせください
勝又市長 まず今の古谷代表の言葉は大変ありがたく受け止めました。実はコロナが2年以上続く中で、社会の閉塞感について大変気になっております。特に若者が元気になってこそ街の活性化が進みます。大学生が御殿場で科学技術に取り組む姿を、小、中学生、高校生が目の当たりにすると、閉塞感を打破して元気になるのではないかと期待します。また御殿場市は「御殿場市エコガーデンシティ構想」を策定し、環境をキーワードとした循環社会の実現を目指しています。1/3が山林の高原都市ですので、山林整備が重要で、そこにドローンの技術への期待は高まってまいります。まちづくり、地域活性化、教育の面でも、環境の面でも精力的に取り組んで、古谷代表との枠組みで培った経験を生かして参りたいと思っております。
――古谷代表にも、今後、御殿場市との取り組みでの抱負を
古谷代表 我々だけですべての課題の解決できるわけではありませんので、市長をはじめ市のみなさま、そのほかの研究機関、大学のみなさまにも広くお声掛けができたらいいと思っています。ある意味で日本の知の集積地として、御殿場市という地域をうまく使わせていただき、いろんな研究者が集うアカデミアの交流の場にしてなればありがたいと思っております。我々も技術開発も含めて努力して参ります。
――9月23日にはドローンデモンストレーションが御殿場市総合体育施設の陸上競技場と体育館で開催されます。ドローンが飛行する様子を一般市民が見学できる珍しいイベントだと認識しております。開催に向けたメッセージをお願いします。
勝又市長 これまでもデモンストレーションを開催頂いておりますが、回を重ねるたびに関心が高まっていると感じます。新型コロナに向き合わなければいけない時代になり、その関心の高まりはますます強まっているようにも思えます。市民の間でもドローンのデモンストレーションへの期待が高くなっていることを実感しています、特に若い世代の方、ドローンに関係する企業のみなさま、幅広い層のみなさまに、ドローンの可能性、科学の進歩、 将来性を感じて頂きたいと思っています。ぜひ高原都市、御殿場に足を運んでください。
古谷代表 ドローンが飛ぶところをぜひ、多くの方に直接ご覧頂きたいと思っています。我々のデモンストレーションは、展示するほかに、実際に動いているところを見られるところが大きな特徴です。体験会もご用意しておりますので、ご家族お誘い合わせのうえお越しください。企業、経済界、産業界のみなさまで、これまでドローンと接してこられなかったみなさまにも、どう使えるのか、どう使ったらいいのかなどご相談いただける環境も準備しておりますので、ご関心を持たれた方はぜひお気軽にご来場頂ければありがたく存じます。大勢の方にご来場頂けることを願っております。勝又市長、当日はよろしくお願いします。
勝又市長 こちらこそよろしくお願いします。
――ありがとうございました。
ドローン物流と既存物流を融合させた「新スマート物流」を提唱、展開している株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>、田路圭輔代表取締役)は10月8日、足利市<栃木県>、足利市内で燃料小売などのカーライフサポートを手がける両毛丸善株式会社 (河内覚代表取締役)と3者で、足利市内での新スマート物流の実施を見据えて「新スマート物流社会実験に関する覚書」を交わした。ドローン事業専門の部署を持つ両毛丸善がドローンの運航を担う。災害時にも通常時にも物流機能を担う運用を目指し、飛行ルートの検証などの可能性を探る。早ければ来年(2026年)1月にも運航に着手する。
3者による覚書の締結は足利市役所内で行われた。新スマート物流の可能性について研究するため相互に協力する。具体的には足利市内で新スマート物流の拠点整備や災害発生時にも緊急物資輸送に使えるルートを検証したり、中山間地などの物流困難地域への物資輸送をしたりすることなどを盛り込んでいる。
地元の企業、両毛丸善が新スマート物流の社会実験を推進し、足利市が地域コミュニケーションやフィールド調整など行政としてサポートする。これまで新スマート物流はNEXT DELIVERYが中心に運用してきたが、今回は地元企業が中心となる点が特徴で、地元企中心のフェーズフリー型新スマート物流のモデルケースを目指す。
NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は「両毛丸善さまという地元企業とパートナーを組むことができました。このように地元主導でしっかり新スマート物流を実装に向けて進めるのは、今回がはじめてのケースになると思います。ドローンの運航というのは機体の操縦だけではなくて、運航、システム、着陸地点の調整などすべきことがいろいろとあります。それをわれわれと同じクオリティで担える地元の事業者を探しておりましたが、両毛丸善さまはすごいチームもありビジョンも持っていて、展開できると確信しています。必ずや成功させたいと思っていますし、そのためにわれわれが持つ技術やノウハウを注ぎ込み、われわれのオペレーションを完全に移植して参ります」とあいさつした。
両毛丸善の河内覚代表取締役は「ドローンの利便性、将来性に着目し4年前にドローン事業の準備に入り、3年前に事業に着手しました。空撮、農薬散布に取り組みながら、究極の目的であった物流への参入が難しかったところで、今回、覚書を締結できることになり嬉しく思っております。ハードルは高いですが、災害時も平時も使えるようドローンを使った物流で地域貢献、地域課題解決にさらに力をいれて参ります」と応じた。
足利市の早川尚秀市長は、「NEXT DELIVERYさまとは2年前に実証実験を共同で行いました。今回は両毛丸善さまに入って頂いたことが大きいです。両毛丸善さまの大きな決断で覚書が買わせました。われわれも全力で支えます。まずは実験を積み重ね、近い将来ドローンも使った物流に向けた大きな一歩になると思っています。足利のような歴史ある町で、ドローンの先端の取り組みが行われ、地域課題の解決につなげることが大切だと思っています。まち全体が実験場というつもりで、市としても実装までしっかり役割を果たし、協力しながら成功に導いていきたいと考えています」と抱負を述べた。
締結式の会場には、足利市の実験に投入される機体「PF4」も持ちこまれた。PF4はNEXT DELIVERYがモンゴルで活用していて、日本国内の連携協定などの提携の会場で公開されたのはこの日が初めてだ。5㎏の荷物を往復40㎞の範囲を自動航行で飛行させることができる。NEXT DELIVERYの田路代表は「それまでのAirTruckという機体より詰める箱が大きくなり飛行速度も速くなりました」と説明した。さらに、「ドローン配送は、定期配送の可否が社会実装のカギだと思っています。たとえば毎日午後4時に必ず1便飛ぶ、と決めてそこに地域の荷物を持ちこんでもらって飛ばす。災害があったときに避難生活を送っている方に届けるようなものを普段からそのルートで運び続けるわけです。一日1便から2便、3便、4便と増え、その地域では両毛丸善さんのドローンが毎日飛ぶようになると、それまでとはまったく違う世界になると思っています」と展望した。
足利市は2021年の山林火災対応をきっかけに、災害時の空のトラブルを防ぐための
「緊急用務空域」の仕組みが創設されるきっかけとなった地域で、ドローンの運用にとって新たな枠組みが生まれた地域として知られている。
ドローン機体構造技術の株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、田路圭輔代表取締役社長・グループCEO)は、独自の特許取得済み重心制御技術「4D GRAVITY®」を搭載した物流専用ドローン「PD4B-M-AN」を、株式会社プロドローン(愛知県名古屋市、戸谷俊介代表取締役社長)と共同開発し、名古屋市で開催された第4回ドローンサミットで発表した。
物流専用ドローンPD4B-M-ANは4つのローターを持つマルチコプターで、バッテリーを含む機体重量は20㎏。最大3㎏までの荷物を運べる。4D GRAVITYの技術を取り入れた荷室を、機体の本体と分けたうえで結合していて、飛行中にドローンが進行方向に前傾しても荷室は前傾せず、荷物が傾かない構造になっていることが特徴だ。これにより飛行性能、機動性の向上も図れる。
エアロネクストとプロドローンは2024年2月に4D GRAVITYテクノロジーライセンス契約を締結していて、プロドローンの汎用機体「PD4B-M」に4DGRAVITYを取り入れた。
エアロネクストの子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)が受託した「あいちモビリティイノベーションプロジェクト空と道がつながる愛知モデル2030」の物流ドローン社会実装モデル推進事業として近く、現場で飛行する予定だ。
千葉・幕張メッセで開催中の農業技術関連展示会「農業WEEK」で、株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、朝霞市<埼玉県>)が発表した鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の展示に来場者が集まっている。ブースでは担当者からこれまでの実験の様子や今後の展開などに聞くこともでき、来場者から「発表されていない現場での実験の様子なども聞くことができ、期待が高まった」などの声が聞かれた。農業WEEKでは株式会社石川エナジーリサーチ(太田市<群馬県>)や中国・上海のポジショニング技術のCHC Navigation(CHCNAV)などそのほかのドローン関連技術や自動操舵技術も展示されている。開催は10月3日まで。
NTTイードローンの鳥獣害対策専用ドローン「BB102」は農業WEEKの「NTTグループ」ブースで出展されている。取り回しのよさなどで農業関係者から評価の高い散布ドローン「AC102」を見にきた来場者が、その隣に展示してある「BB102」を見つけ、足をとめて説明に聞き入り、ひとだかりができていた。
展示ブースではBB102が黒い布に赤色と緑色をランダムに照射する様子が実演されていて、担当者から緑の色が鳥獣の痛点を刺激することや、赤い色がエサのようにみえることなどが説明された。
イードローンが9月30日に発表したプレスリリースには、効果が確認された鳥獣として、カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなどが示されていたが、ほかにも効果的な鳥獣があるなどの話を聞くこともできる。担当者に聞くと、全国で被害が広がっているクマも、このレーザー照射にいやがる様子を見せたと話していて、今後の検証次第ではさらなる効果が期待できそうだ。その場合、クマの出没現場にどのようにドローンを飛ばすか、など具体的な対応法も論点になる可能性がある。
このほか、ある湖で実験したらはっきりと鳥獣がいやがる様子を見せたことなどの実験現場の話も聞くことができる。
農業WEEKではイードローンのほかにも、石川エナジーリサーチの農業用ドローン、CHCNAVのリモートセンシング技術、自動操舵技術などが展示されている。
農業WEEKはRX Japan株式会社が主催し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、日本農業法人協会農業が後援する、「国際スマート農業EXPO」「次世代農業経営EXPO」など5つの農業関連展示会をまとめたイベントの総称で東京会場(幕張メッセでの開催)は今回が15回目。主催者は「J-AGRI(ジェイアグリ)」の呼び方の定着を目指している。九州でも同じ趣旨の展示会を開催していて、第4回九州農業WEEKが2026年5月27日から29日まで益城町<熊本県>の展示会場、グランメッセ熊本で開催される予定だ。
参考:イードローンが鳥獣害対策機BB102発表
AI、ロボティクスの社会実装推進事業を手掛けるGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR、内田朋宏代表取締役社長)は9月30日、「ロボット人材派遣型サービス」に中国・深圳のロボットスタートアップEngine AI社製のヒューマノイドロボット「PM01」をラインナップに加え、2026年1月から派遣を始めると発表した。
「PM01」は世界で初めて前方宙返りを達成した高い身体機能で話題になったヒューマノイド。イベント、研究など幅広い分野での活用が期待できる。GMO AIRは「ロボット人材派遣型サービス」として技術指導、ソフトウェア開発サポートも支援する。「PM01」を開発したEngine AIは、自動車と空クルを融合させた「Land Aircraft Carrier」を開発したシャオペンエアロ(XPENG AEROHT)のシャオペン系のテクノロジー企業グループの一員で、高い技術力で知られる。
GMO AIRは「PM01」について、ダイナミックな身体能力、柔軟なカスタマイズ性、アイアンマンに着想を得た洗練されたデザインの3点を主な特徴にあげ、「イベントや展示会で圧倒的な演出力を実現する」と説明している。
GMO AIRは、2025年4月から「ロボット人材派遣型サービス」を展開。4足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットの中国・Unitree社(宇樹科技)のヒューマノイド「G1」を中心にエンターテインメント、研究機関、実証実験などの現場に派遣している。2026年2月にはAIとヒューマノイドロボットを手がける中国・UBTECH Robotics社(優必選科技)の「Walker E」の派遣も予定している。「PM01」が追加することでラインナップが充実する。
■サービスURL:https://ai-robotics.gmo/lp/robot-haken/
■GMO AIRについて:https://ai-robotics.gmo/
■GMOインターネットグループ株式会社について:https://group.gmo/
株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、埼玉県朝霞市)は9月30日、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」を発表した。搭載したレーザーで赤色と緑色をランダムに照射して鳥獣に強い違和感を与え退避行動を促す。カラス、ハト、イノシシ、ハクビシンなど幅広い鳥獣への効果が確認されたという。イードローンは「BB102」を2025年10月1日に提供を始める。10月1日に千葉・幕張メッセで開幕する展示会「農業WEEK」では、NTTグループブースで公開する。価格は「オープン価格」としている。
鳥獣害対策専用ドローン「BB102」はレーザーを搭載していることが特徴で、一般社団法人地域総研(東京)が2018年1月に実用新案登録証と商標登録証を取得した「クルナレーザー」をドローンに活用した。ドローンは自動航行機能も備える。レーザーを搭載した鳥獣害対策専用ドローンは例がないとみられる。
仕組みは赤色と緑色のレーザーをランダムに照射するもので、これが鳥獣に強い違和感を与え退避を促すという。鳥獣が慣れてしまうことへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果を持続させる工夫もこらした。
農林水産省によるとイノシシ、シカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模にのぼるうえ、鳥インフルエンザ、豚熱など畜産業での防疫対策も深刻で、「BB102」で農作物被害抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減との両立を目指す。カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなど多くの鳥獣への効果が確認されていて、実験では水田、果樹園、山林、湖などさまざまな環境での有効性を示した。
イードローンによる発表は以下の通り。
株式会社NTT e-Drone Technologyは、全国的に深刻化する鳥獣害問題に対応するため開発・製造した、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の提供を2025年10月1日(水)より開始いたします。レーザー搭載の鳥獣害対策ドローン(国内初)による高い忌避効果と自動航行機能により、農作物被害の抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減を両立します。
1.背景と目的
イノシシやシカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模(※1)にのぼり、深刻な社会課題となっています。さらに、鳥インフルエンザや豚熱など畜産業における防疫対策も喫緊の課題です。
当社はこれまで農業用ドローン等の提供を通じて農業分野における省力化・効率化を支援してきましたが、今回新たに提供する「BB102」はこれまでの技術を応用し、鳥獣害対策に特化して開発した国産ドローンです。農作物の被害減少に加え、鳥獣害対策に要する人的・時間的負担の軽減を図ることで、第一次産業全体の持続可能性向上に寄与します。
※1:数値データは、農林水産省HPより出典
2.製品概要と特長
「BB102」は、上空から広範囲にレーザー照射を行えるため、地上設置型では難しかった屋上や高所を含む鳥害対策を実現します。
<特長1>「クルナレーザー(※2)」による忌避効果
赤色と緑色のレーザーをランダムに照射し、鳥獣へ強い違和感を与え退避を促進させます。また、慣れへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果の持続性を高めています。
※2:一般社団法人地域総研の登録商標
<特長2>自動航行機能
送信機の画面で飛行範囲を設定するだけで自動航行が可能です。養鶏場や牛舎など、広範囲のエリアを効率的に対策できます。
<特長3>FPVカメラ搭載
送信機の画面上で屋根や高所の確認が可能です。鳥獣害対策に加え、点検用途にも活用できます(目視外飛行不可)
<特長4>幅広い鳥獣への効果
カラス、ハトなどの鳥類、イノシシやシカ、さらにカワウ・サギ・ハクビシンなど、多様な鳥獣に対する忌避効果が確認されています。水田、果樹園、山林、湖など様々な環境での実証実験でも高い有効性を示しました。
4.受付開始日
2025年10月1日より開始
※デモ会、説明会、意見交換会等のご要望にも対応します。
5.価格
オープン価格
<参考>展示情報
第15回農業WEEK(会期:10月1~3日、会場:幕張メッセ)NTTグループブースにて「BB102」を展示します。
ドローンの普及促進を目指す第4回ドローンサミットが9月24日、名古屋市の大規模展示会場、ポートメッセ名古屋第1展示館C・Dホール(名古屋市港区)で開幕した。ドローンサミットの開催は、神戸、長崎、福岡につぐ4回目。開会式で愛知県の大村秀章知事は「過去最大の135の企業、団体が出展することになった」と述べた。NTT e-Drone Technologyは仏パロットのANAFI UKRを初公開し、株式会社Tech Drone(東京)はこの日公開したばかりの空撮を支援するアプリを説明するなど、各社、団体が工夫をこらした技術を披露している。サミットは25日まで。
第4回ドローンサミットは、愛知県、経済産業省、国土交通省が主催し、9月24日、25日の9:45~17:00にポートメッセなごや第1展示館C・Dホール(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地)で開催される。フランスのadvanced business events(BCIエアロスペース)が主催する航空宇宙分野のビジネスマッチングの商談イベント「エアロマート名古屋2025」と同時開催で、エアロマートは同じポートメッセなごや第1展示館のA・Bホールで9月24日から26日まで開催される。
初日の開会式では愛知県の大村知事のほか、竹内真二経済産業大臣政務官、吉井章国土交通大臣政務官が主催者を代表してあいさつしたほか、自民党の田中和則無人航空機普及・利用促進議員連盟(ドローン議連)会長・元復興相、鶴保庸介ドローン議連幹事長が来賓としてあいさつした。愛知県の大村知事は「ドローンや空飛ぶクルマの実現のはずみとなることを期待しています」などとあいさつした。
展示会場では三菱重工業が、200㎏の重量の荷物を運べる大型ハイブリッドドローンがひときわ目立っている。25日には同型のハイブリッドではないドローンで150㎏の荷物を吊り下げて飛行する模擬飛行に挑む。
このほか有限会社森山環境科学研究所は、空中のウイルスを補修するためのドローンや、人が立ち入れない汚染空間にもぐりこむウイルス補修クローラーを展示。水中ドローンの普及に尽力している株好き会社スペースワンは、管路点検クローラーロボット「PIPETREKKER」や、水中ドローン「CHASING」「DeepTrekker」シリーズを展示している。
シンポジウム会場では、対談、パネルディスカッションなどに第一線で活躍中のキーマンが登壇している。シンポジウム会場では登壇者の発言中に、すぐ隣に配置された屋内デモフライトゾーンでの飛行音が響くこともあった。
サミットは25日まで。入場は無料で、原則、事前登録が必要だ。