日本海の島、佐渡、粟島からドイツWingcopter社のVTOLドローン、Wingcopter198を飛行させ、海を越えて新潟市の本土側まで特産の魚介を運ぶ実証実験が11月5日に行われた。佐渡からは特産の南蛮エビ(アマエビ)を西海岸公園(新潟市)まで、約48㎞飛行して運んだ。粟島からもアオリイカを岩船港(村上市<新潟県>)まで36㎞運んだ。それぞれの特産品はJR新潟駅で集約し、JR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」で東京駅に運ばれ、同日昼過ぎには東京・銀座のアンテナショップ「THE NIIGATA」のイベント会場に並んだ。主催したのはマルチモーダル輸送などに取り組む「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」で、メンバーの一員としてドローンの運航管理を担った林賢太氏(AIR WINGS合同会社代表)は「ドローンによる配送の価値を感じて頂く取り組みを引き続き進めたい」と話した。
ドローンはそれぞれの島から、前日の漁で獲れた特産品を積んで飛んだ。このうち佐渡からは2便飛んだ。1便目は佐渡を午前7時1分に出発、本土側の西海岸公園に7時31分に到着した。到着機から特産の南蛮エビの入った容器を取り出したあと、空路上に表れた雨雲をやりすごすためにしばらく待機し、午前8時35分に佐渡に引き返すために離陸。9時9分に佐渡に到着した。再びアマエビを乗せて2便目として午前9時18分に佐渡を離陸し、午前9時51分に本土側に着陸した。それぞれ約30分のフライトだった。佐渡と新潟港の間の移動はジェットフォイルなら67分程度、フェリーなら2時間半程度だ。西海岸公園からJR新潟駅までは陸送した。
今回使ったWingcopter198はドイツ、Wingcopter社が過酷な気象条件下でも配送に活用できることを特徴として生産しているバッテリーを搭載するVTOL機だ。電動で垂直離着陸をするという意味では、次世代エアモビリティ(AAM、いわゆる「空飛ぶクルマ」)の代名詞のように使われるeVTOLの代表機であり、実用化されていないAAMのeVTOLよりも先輩にあたる。余談だが電動のVTOLとしては日本でもエアロセンス株式会社(東京)が2020年以降、「エアロボウイング(AS-VT01)」を発売しており、長距離点検、広域測量などに重宝されている。
Wingcopter198は医薬品など高付加価値な荷物を配送するさいに使われることが多い。8つの回転翼(モーター)、8つのESC、2つのバッテリーや二重化されたシステムを備え、万が一の不具合発生時でも飛行を続けられる冗長性に優れている。また高い自律性で運航管理者の負担が小さく、メンテナンスのしやすさにも工夫されていて、日本の運用者にも信頼性の高い機体のひとつとして知られる。最大離陸重量は24.9 kg、ペイロードは4.5 kg。90 km/hで飛ぶ。
この日の運航管理拠点は本土側の着陸地点である西海岸公園に設けられた。公園内にテントをはり、机を並べ、パソコンや通信機器、その他の機材などを並べた。AIR WINGSの林代表ら運航管理を担った運航管理を担ったメンバーはここに陣取り、飛行のミッションを確認し、各島の積み込み状況について連絡を取り合い、天候を確認するなどした。
佐渡からの2便めの飛行を終えた機体から荷物を引き渡したあと、運航管理を担ったAIR WINGSの林代表は、報道陣の質問に答え、今回の実証の狙いや今後の目標について述べた。主な一問一答は以下の通り。
――狙いは
林氏 「佐渡と粟島の特産品をドローンで運ぶこと。その後新幹線で高速輸送につなぎ(首都圏で)高付加価値をつけて販売することです。ドローン配送による付加価値向上を目指しています。(配送をスタートしてから)5、6時間で(離島の特産品を)首都圏に届けられます」
――課題と展望は
林氏 「現状では第三者上空の飛行はまだ難しい。今後は西海岸公園ではなくダイレクトに駅に届けるハードルをクリアしたい。今回は多くのメンバーで飛ばしましたが、今後は省人化、無人化に取り組み、より少ない人数でより多くの運航管理をしたい。また今回は特産品を配送しましたが、今後は戻り便で島に医薬品や血液製剤を輸送することにも取り組みたい」
――通年で活用する予定か
林氏 「はい。地域の足になるべく、フェリー、ジェットフォイルが欠航しても飛ばせるようにしたい。それ以前に、フェリー、ジェットフォイルが就航しているときには飛ばせることを確実にしたい。まずは就航条件を同等まで引き上げたい」
――前回(2023年11月)の飛行からレベルアップした点は
林氏 「高速化で飛行時間が短縮した。前回は約55分。今回は30分程度。また目指してきた二路線での同時飛行も実施しました。機体を変更したことでトラブルの起こりにくさ、運航させやすさ、操縦しやすさ、チェックしやすさが向上した。運航側が運航しやすく安全性が高いとことを重視しました」
――コストとの見合い
林氏 「提供価値がコストに見合うかどうかが大事。価値だと思ってもらえる取り組みを引き続き進めていきたいと考えています、また物流ドローンである以上、今日は飛ぶ、明日は飛ばない、ということでよいのか。コンディションの漁不良にかかわらず飛ばせる(高い)就航率、定時制が課題だと思う」
――実装時期は
林氏 「西海岸公園までの、住宅地に入らない場所までの離着陸について来年度(2025)中をめどに実用化を考えています。住宅街を超え新潟駅近くまでの経路はさらに3年後を考えています」
なおこの日は粟島からもアオリイカが岩船港までWingcopter198で運ばれた。岩船港からはJR村上駅まで陸送し、鉄路でJR新潟駅まで届けられた。












佐渡、粟島から届いた特産物は、JR新潟駅に集約され、午前11時25分発の新幹線とき318号に載せられた。荷物は株式会社ジェイエアール東日本物流(東京)などJR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」の配送サービスとして、13時28分に東京駅に届いた。そこから陸送され、14時前には東京・銀座の新潟のアンテナショップ「THE NIIGATA」に運び込まれた。
3階のイベント会場には、容器から取り出されたばかりの佐渡の南蛮エビが「ドローンで日本海をわたって本日届きました!」の説明書きとともに並べられ、来場者を楽しませた。飲食店の店主は「一目で鮮度が違うことがわかります」と感心していた。会場にはイベントを知った来場者のほか、離島振興を促進する行政機関も訪れ、特産品の到着に沸く会場の盛り上げを肌で感じていた。
今回の佐渡からのドローン配送、新幹線へのリレー、銀座での店頭転回などの一連の取組は、官民で構成する「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」が主催した。ドローン配送やマルチモーダル物流などで新潟の離島振興に取り組んでいて、今後も佐渡、粟島を中心として振興策の練り上げに力を入れる方針だ。
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会などは今回の取り組みについて、開催前にプレスリリースを発表している。リリース内容は以下の通り。(写真の先です)









実証実施日 2024年11月5日(火)・6日(水) (メディア公開日は11月5日(火)限定) <2拠点の特産品をドローン輸送と新幹線(列車荷物輸送サービス「はこビュン」)で高速輸送を実施>
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会(以下、「本協議会」)は、「令和6年度スマートアイランド推進実証調査業務」の一環で、 佐渡島・粟島と本土を結び都心と共栄するDX物流および医療・防災プロジェクト実証事業を実施します。本協議会は、官民連携の様々なプロジェクトを通じて新潟でのスマートアイランド※1実現に向けて、貢献していきます。新潟県佐渡市、粟島浦村、新潟市にてドローン運用の社会実装に向けた調査飛行を(以下、「本調査))を11/5(火)・6(水)に実施することをお知らせします。
※荒天の場合中止となる場合がございます。
※1国土交通省が推奨する、離島地域が抱える課題解決のためICTやドローンなどの新技術の実装を図る取り組み
◆「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」を立ち上げ本調査を行っております。

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(東京)https://www.persol-bd.co.jp/
新潟市https://www.city.niigata.lg.jp/
佐渡市https://www.city.sado.niigata.jp/
粟島浦村https://www.vill.awashimaura.lg.jp/
AIR WINGS合同会社(東京)https://www.airwingsllc.com/
株式会社ジェイアール東日本企画(東京)https://www.jeki.co.jp/


【スマートアイランド推進実証調査 取組のご紹介】
◆本プロジェクト概要
❶マルチモーダル物流※による長距離高鮮度直送を利用した地域産業活性化
※マルチモーダル物流とは複数の輸送方法(交通機関)を連携した物流のことであり、今回はドローンと新幹線を連携した物流ルートを開設します。
【今回の事業での取り組み】・・・ 海産物限定受発注の実証実験
①佐渡島(佐渡市)※11/5(火)はメディア公開日です。
佐渡島<ドローンよる高速発送>→西海岸公園→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス
「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
②粟島(粟島浦村)※11/5(火)はメディア公開日です。
粟島<ドローンよる高速発送>→岩船港→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
【今後の構想】<JREMALL等Webサイトを通じて>ふるさと納税返礼品への反響→島の漁業活性化
❷ドローンによる離島本土間配送と海岸漁場監視
【今回の事業での取り組み】・・・海岸漁場監視
粟島浦村周辺(定置網・養殖場)→粟島アプリ『しらせあい』※による情報共有
※粟島アプリ『しらせあい』…粟島汽船の運航情報や予約、天気、役場等からのお知らせなどを掲示するアプリケーション
【今後の構想】医薬関連品配送:島内の診療所⇔本土の医療機関の構築
❸ドローンによる島内ホテルベース物流
【今回の事業での取り組み】・・・特産品・高付加価値サービス食品配送
佐渡島内ホテル⇔キャンプサイト
【今後の構想】防災備蓄配送:佐渡島内ホテル⇔市役所等


【輸送海産品のご紹介】
◆各島の海産品を輸送いたします。※下記一部抜粋ご紹介
南蛮エビ (佐渡島)
佐渡で獲れる甘エビは、鮮やかな赤色と形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから「南蛮エビ」と呼ばれています。プライドフィッシュに認定されている「南蛮エビ」は佐渡沖水深400m前後、水温1℃の海洋深層水育ちの南蛮エビは新鮮で甘さが自慢となっています。
新鮮お魚セット (粟島)
新潟県の最北に位置する粟島。コアな釣り人が好んで現地に訪れるほど、四季折々の旬な天然魚が豊富。時期により石鯛やヒラマサ、真鯛など多くの種類の魚が獲れます。(本実装は、獲れた魚を詰め合わせてお届けします。)
漁師が選んだ、本当においしい魚。それが、PRIDE FISH ープライドフィッシュー
魚離れが年々進む中、思わず感動せずにはいられない魚の本当のおいしさをもっとたくさんの人に知ってもらうため、地元漁師が自信を持って勧める魚の底力を感動をもっとしてほしいと「プライドフィッシュプロジェクト」は生まれました。
地域ごと、春夏秋冬ごとに、魚を知り尽くした漁師が選ぶ “今一番食べてほしい魚” をぜひ味わってみてください。
【使用機材のご紹介】
★使用機体
ドイツWingcopter社製のWingcopter198型機(伊藤忠商事所有機体)を利用します。
独自特許のプロペラ・ローターの可変機構や冗長システムが備わっており、飛行効率と安全性の向上を実現しています。また離陸から着陸まで完全自動飛行が可能なため、運航に必要な人員を最小化することができ、運航コストの低減につながっています。海外メーカーとして日本で初めて第一種型式認証を国土交通省に申請しており、越佐海峡の厳しい飛行環境にも耐え得る飛行性能を証明することで、物流ドローンに求められる安全性、定時性、採算性を確保し、社会実装を加速させていきます。

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林野火災対応のブルー、富士山DB、プロドローンにJUIDAが感謝状 ヘリと運航調整しつつ情報収集
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京)は3月18日、山梨県山林火災でドローンを使った災害対策にあたった3社に感謝状を贈呈した。3社はブルーイノベーション株式会社(東京)、富士山ドローンベース(山梨県)、株式会社Prodrone(プロドローン)(愛知県)で、火元などの情報を収集、共有し消火活動に協力した。現場では消火活動にあたる自衛隊のヘリコプターなどとの空域調整も行っており、画期的な事例となった。
感謝状を受けた3社はいずれもJUIDAの災害対応チームJUIDA D³(Dキューブ)のメンバーに名を連ねている。感謝状には各社のそれぞれの活動を反映させた個別の感謝文が、JUIDAの鈴木真二代表理事の名前で記された。贈呈式ではJUIDA D³本部長であるJUIDAの嶋本学参与が手渡した。
ブルーイノベーションに対しては、いち早く現場に到着したこと、富士山ドローンベースは22日間の長期にわたり現場で対応したこと、プロドローンには国内で組み立てた機体を動員したうえ有人機との空域調整を円滑に実施したことなどが感謝文に反映された。
ブルーイノベーションへの感謝状には「貴社は令和8年1月8日に山梨県上野原市で発生した林野火災に対し速やかな救助体制を構築するとともに現場上空での夜間の情報収集を安全かつ的確に行うなど延焼防止に多大な貢献をされました。ここに貴社の献身的な活動に深く感謝の意を表します。令和8年3月18日、日本UAS産業振興協議会代表理事、鈴木真二」と記された。
富士山ドローンベースに対しては、「林野火災に対し」のあとが、「現場上空での夜間の情報収集を安全かつ長期間行うとともに、収集した情報を速やかに共有する体制を構築するなど」と記され、Prodroneには、「現場上空での夜間の情報収集を安全かつ長期間行うとともに、収集した情報を速やかに共有する体制を構築するなど」とそれぞれの活動が反映された。
JUIDAの嶋本参与は次のようにあいさつした。
「1月8日に林野火災が発生し、陸上自衛隊から出動要請を頂いた1月9日以降、みなさまにはJUIDA D³の一員として現地での活動にご尽力いただきました。JUIDA D³として林野火災への対応は初めてでしたが、みなさまの目覚ましいご活躍により上野原市、大月市両消防や陸上自衛隊のみなさまから称賛の声を頂いているところです。林野という高低差がある地形の特性上、地上からの観測のみでは火災の状況把握は難しいという中で、ドローンによる上空からの精密な情報収集により消防や自衛隊等の消火活動を支えるうえで重要な役割を果たしていただきました」
「本活動においてはドローンによる情報収集もさることながら、ヘリとドローンの航空運用調整という意味でもこれまでとは一線を画する進展がございました。今回の対応をきっかけに、有人航空機と無人航空機が一体となって活躍する世界がさらに進むきっかけになると確信していますが、これもひとえに、みなさまの卓越したドローン運航技術のたまものと認識しているところです。このようなご活躍に対し活動要請を声掛けさせて頂いたJUIDAとして経緯と感謝の意を表し感謝状を贈呈させて頂いた次第です。みなさまと活動をともにしたJUIDA D³本部長としてもこの場をおかりしてみなさまに深く御礼申し上げます」
「なおこの1か月間の支援活動を通じJUIDA D³は林野火災対応に関するさまざまな知見を得たところでございます。ドローン技術が社会の安全、安心にいっそう貢献していくためにも、JUIDAは今後、あらゆる機会をとらえ、ここで培った知見を社会に広めて参りたいと考えております」
また嶋本参与は3社の活躍を「迅速性、持続性、特殊性で力を発揮して頂いた」と整理した。
感謝状を受けたブルーイノベーションの熊田貴之代表は「今回、ドローンを活用し人が立ち入れない場所の状況を把握できたことは画期的なユースケースになったと考えています。これまでも災害分野でドローンを防災無線として活用する方法を検討しており、今後はさらに幅広い災害分野での活用を検討しております。ドローンは命を守るインフラとして貢献すると確信しています」とあいさつした。
富士山ドローンベースの渡辺秋男代表は「JUIDA D³のメンバーとして発災3日目から22日間現場に入りました。山火事現場に入ったのは初めてで、想像や訓練とはまったく違った厳しい場所でした。ドローンの利活用で赤外線、レーザーなどを使って火点情報をいち早く地図に落とし込み、それを消防や自衛隊に共有する任務を行い、ふだん使っているドローンで社会貢献ができてうれしいと感じています」とあいさつした。
Prodroneの森内倫子氏は「私たちにとって当たり前だった災害対応で感謝状を頂け大変ありがたく感じます。ドローンの製造をする会社で、その中で『プロドローンレスキュー』という消防、救急向けの機体も作っていて今回はそれを持ち寄りました。本社のある愛知では南海トラフの災害対応がテーマで、とりわけ航空運用調整は大きな課題です。これまでの災害対応になかったドローンというツールを活動に組み込むことの難しさを実感しています。今回の経験は非常に大きく、今後お手伝いできることが増えればよいと思っています。基礎自治体が連携しているドローンとの運用調整、派遣のための車内体制構築、自身が被災者になる可能性とのバランスなども考え、いまできていないこともこれから作り上げていきたいと思っています」とあいさつした。








GMOインターネットグループは3月5日、サイバーセキュリティの分野で活躍する第一人者が登壇するカンファレンス「第3回GMO大会議・春・サイバーセキュリティ2026」を東京・渋谷で開催し、この中でAI半導体開発、生成AI開発の株式会社Preferred Networks(PFN、東京)とGMOインターネットグループ株式会社、GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)と合弁会社「GMO Preferred Security株式会社」を設立することに合意したと発表した。設立は3月27日。セキュリティが担保された国産AI開発環境を構築する。近くプレスリリースを公開する。
セキュリティの確保はドローンでも必要性が高まっている。ドローンは災害対応、点検など日本でも重要なインフラになりつつある一方、重要な技術や素材を海外からの供給に頼ることが多く、海外からの供給途絶や情報漏洩などさまざまなリスクに対応する必要が生じている。このため、国内での生産基盤構築が急務で、2025年12月には政府が経済安全保障推進法に基づき「ドローン(無人航空機)」を特定重要物資に追加指定した。ドローンの国産化、安定供給を強化するため、研究開発や設備投資費用を最大50%助成し、2030年に8万台の生産体制整備を目指す方針だ。
ドローン開発の国内化強化には、国産半導体、国産AIなどの開発が不可欠といわれ、このためサイバーセキュリティが担保された開発環境の必要性が高まっている。
合弁会社GMO Preferred Securityは、PFNのAI半導体開発力、生成AI開発力とGMOイエラエの脆弱性診断、セキュリティ評価技術に加え、GMOグローバルサインなどGMOグループ各社が持つインフラ基盤や電子認証技術を集め、ハードウェアからソフトウェアまで一貫したセキュリティが担保された国産AI環境を構築し、提供することを目指す。これにより海外技術に依存しない国産AI環境の信頼性向上を図る。
新しい合弁会社GMO Preferred Security設立の合意は3月2日で、3月27日に発足する。代表取締役には、GMOインターネットグループの専務執行役員で、GMO AI & ロボティクス商事株式会社の代表取締役社長である内田朋宏氏が就任する。3月5日の「第3回GMO大会議」では、代表に就任する内田氏が登壇し合弁会社の設立を発表したうえ、PFNの岡野原大輔代表取締役も登壇し、抱負を述べた。
合弁会社設立にあたっては、PFNが49%出資し、GMOイエラエとGMOインターネットが25.5%ずつ出資する。
GMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表は「日本が世界と戦っていくためには海外技術に依存しない信頼できる『日の丸AI』環境の確立が不可欠です。今回、反半導体からソフトまで一貫した安全が担保された国産AI環境を提供できることを大変うれしく思うとともに強い使命感を感じています。本定型は日本の経済安全保障を支えお客様に『笑顔』と『感動』を届ける最強の武器となります」とコメントしている。





NTT東日本グループは、多彩な取り組みを紹介する年次イベント「NTT東日本グループ地域ミライ共創フォーラム2026」をNTT中央研修センター(調布市<東京都>)で開催した。会場にはグループ各社のイノベーション人材が地域で課題解決や利便性向上に取り組むプロジェクトの展示ブースが設置され、担当者が来場者に直接、説明した。展示内容はドローンパイロット育成、e-Sports教育、ベニザケなどの陸上養殖、夏秋イチゴ、ボリュメトリックビデオシステムの新たな価値創出など多岐にわたり、各ブースでは来場者が実演に見入ったり、説明に聞き入ったりする姿がみられた。
設定されたテーマは「地域の未来を切り拓くソーシャルイノベーション人材」で、NTT東日本グループの多様な取り組みとともに、それを率いる人材やNTT東日本グループとしての人材育成にもスポットライトをあてた。
「ドローンパイロット育成×ICT活用を通じたDX人材の育成」のブースにはドローンの実機が置かれ、パイロット育成方針などがパネルで展示されていた。担当者は同社グループで500人規模のドローンパイロット育成する方針を持っていることや、競技会の開催などを通じた育成スキームなども紹介していた。NTT東日本グループは、グループにドローンの開発製造、運用受託、スクール事業などを担う株式会社NTT e-Drone Technology(朝霞市<埼玉県>)がある(4社による設立)などドローンの活用に積極的だ。
「NTT e-Sports高等学院・フリースクール開校」のブースでは、eスポーツに関心のある高校生に教育の場を提供するNTT e-Sports高等学院が、eスポーツのスキルアップのため、1人1台のゲーミングPCを備えるほか、教室が照明の切り替えで競技場になるなどの打ち込める環境をアピール。同時にゲーム制作や動画編集などのデジタルスキル、インターンシップ、業界研究などのキャリア教育ものカリキュラムを融合して提供する取り組みをパネル展示した。不登校問題の解決、協調性、戦略的思考を育み社会との接点を意識した教育方針も伝えている。2025年12月には中等部を設置。2026年6月には全国オンラインコースも開設する方針だ。このプロジェクトには元eスポーツプロ選手も関わっている。
「スマートシティ長井2.0の実現に向けたデジタルツイン活用」では、長井市(山形県)に非常勤職員として派遣されたNTT東日本ビジネス開発本部営業戦略推進部の小倉圭氏が、RFIDでバスの乗降データを取得しバス停や時刻表ダイヤを改善するなど行政のDX化で課題解決と利便性に取り組んでいる事例が紹介された。有害鳥獣対策にもデジタル機器を活用している。
「陸上養殖で切り拓く未来の水産業」では、NTTアグリテクノロジーの越智鉄美さんが、都農(つの)町(宮崎県)で取り組む陸上養殖事業を紹介した。海や河川ではなく陸上の閉鎖循環システムでICT技術の活用で塩分濃度や水温などの条件を魚種ごとに調整し最適な環境を提供する取り組みを進めている。養殖しているのはベニザケや高級魚とされるタマカイなどで、ベニザケは一般の2倍、タマカイは3倍の速さで成長すると報告した。ふるさと納税の返礼品にも「つのタマカイ(鍋用・ぶつ切り)2~3人前」などのラインナップがある。
ボリュメトリックビデオシステムの新たな活用シーン創出に向けた技術検証としてダンスパフォーマンスをリアリタイムで、自由な視点で鑑賞できる体験を公開した。NTT東日本は地域ミライ共創フォーラムの開催当日にキヤノン株式会社と「All-Photonics Connect powered by IOWNを活用したボリュメトリックビデオシステムの新たな活用シーンの創出に向けた協業」を発表していて、この日はキヤノンの川崎市(神奈川県)にあるスタジオとフォーラム会場とを遠隔接続した。ダンサーは川崎のスタジオでパフォーマンスをし、フォーラム会場で自由な視点で鑑賞することで価値創出の可能性を確認した。
このほか、本田技研工業製の一人乗りの次世代モビリティ「UNI―ONE」にARグラスを装着して乗車することで、グラスのナビゲーションで周囲を移動できる体験をデモンストレーションし、西松建設株式会社(東京)とは同社の栃木県にある重機を、約200㎞離れたフォーラム会場にある操作用コクピットから遠隔操縦して、ディスプレーに栃木県の重機が砂利を救う様子がうつるデモンストレーションが披露された。IOWNのオール・フォトニクス・ネットワーク(APN)とローカル5Gを活用して遅延は約100㍉/秒だという。秋田県湯上町で夏秋に収穫できるイチゴを生産する取り組みをすすめ、産地形成とブランド化に取り組む様子もインパクトがあった。
このあと、澁谷直樹代表取締役社長による基調講演
やパネルディスカッションが行われ人の果たす役割などについての議論を深めた。










一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、会員やドローンの関係者が新年のあいさつを交わす「JUIDA新年の集い2026」を1月27日、東京・丸の内の社交施設、東京會舘で開催した。当日が第51回衆議院選挙の公示と重なり政治家の姿はなかった。省庁からのあいさつでは、経済産業省が日本のドローン産業基盤整備に力を入れる姿勢を強調するなど、ドローンの役割が高まっていることを印象付けた。なお鈴木真二理事長はあいさつの中で新年のスローガンを「天馬行空」と掲げ、初めて「〇〇元年」以外の表現を使った。
新年の集いは東京會舘7階ロイヤルの間に多くの関係者が集まるなどにぎやかにあいさつをかわした。総選挙の公示と重なったため政治家の姿はなく、ドローンの促進活動に力を入れる「無人航空機普及・利用促進議員連盟」所属の国会議員らによるメッセージ供呈や秘書の代理出席に留まった。司会が代読したメッセージには「丙午は新たな挑戦が芽吹く1年。本年が飛躍の年となることを願っています」「次世代移動体産業の発展に尽力されているJUIDAのみなさまに敬意を表し、活躍に期待しています」など期待の言葉が並んだ。
関係省庁の各省からのあいさつでは、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)の小林弘史(ひろふみ)氏が、災害対策にとってのドローンの重要性について触れた。
「昨年12月の青森の地震、11月の大分の火災、8月の雨に伴う災害などでの対応でドローンという言葉を聞かないことがないほどになりました。災害が激甚化する中、内閣府防災として2026年度から『鳥の目プロジェクト』を開始しようと考えていて新年度予算案にも所要の額を計上しています。災害対応の高度化で一人でも多くの命を救いたいと思っています」
総務省総合通信基盤局電波部移動通信課長の五十嵐大和(ひろかず)氏は、電波利用への検討への協力を呼び掛けた。
「無人航空機は成長戦略の中でも大変重要な位置を占めています。昨年5G、5.2GHz帯の上空利用について制度化が行われました。5.8GHz帯についても使用可能地域の拡大の検討を進めています。有限な資源である電波をいかに有効に活用するかについて、今後もみなさまと連携しながら検討して参りたいと考えています」
日本のドローン産業の産業基盤強化についての取り組みを紹介したのは、経産省製造産業局航空機武器産業課次世代空モビリティ政策室長の古市茂氏だ。
「私は困ったときには鈴木代表理事に相談しています。昨年は検討会の座長もお務め頂き、成長戦略のワーキンググループの委員も務めて頂いています。ドローンが幅広い分野で貢献していることに感謝したうえで、経済産業の観点からみると、どう産業基盤を構築していくのか、産業としてどう発展させるのか、社会実装をどう進めるのか、ここが重要だと思っています。JUIDAは地方と連携協定を結んだり展示会を実施したり貢献は大きく感謝します。展示会は来場者が2万人を超えるということですが、これはなかなかの規模。これからも支援させて頂きたい」
「経産省の取組として、昨年の補正予算でドローンの産業基盤強化について、139億円の手当をしました。同じタイミングで経済安保物資にドローンを指定することもできました。(ドローンは)今日の日本の国民、経済になくてはならないものになっています。成長産業分野では高市内閣のもと、17分野が指定され、その中の航空宇宙のひとつが、民間航空機・無人機・空飛ぶクルマで、無人機も成長産業分野です。第1回のWGも開催され、成長戦略をまとめる中で、日本の成長産業分野に育てていけるよう、発展していただけるよう、経産省としても貢献していきたいと考えております」
国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長の江口真氏は、いわゆるUTM導入に関する取り組みを紹介した。
「昨年の2025年は航空法で無人航空機を定義してから10年の節目の年でした。2023年12月に創設したレベル3.5については約140の事業者、団体のみなさまにご活用頂いています。航空局としては技術革新に遅れないよう迅速、不断に制度を見直し、安全を確保しつつ利活用促進の環境整備を進めたいと考えています」
「ドローンの事業化促進のため、効率化のために多数機同時運航の取組を進めています。従来は操縦者1人が5機までのガイドラインを策定していますが、対象範囲や機数を拡大して効率化につながる検討を進めていきたい。今後さらにドローンが増え空域が混雑する中、高密度運航を実現するため運航管理、いわゆるUTMの段階的導入も進めたい。今年度はSTEP2の初期として、UTMサービス事業者認定制度の要件を整備し、段階的に導入を進めたい」
会場を親しみのある話し方で沸かせたのは防衛省陸上自衛隊東部方面総監部幕僚副長の竹内哲也氏(様制服)だ。
「(省庁あいさつの)トリをつとめさせていただき誠に光栄です。本来、上司の東部方面総監が来場予定だったが所要のため私が参りました。選挙もはじまっていますので『失言だけはするなよ』と言われていますので慎重に話したい」
「われわれは非常にお世話になっています。原則として協定に基づいて災害現場にドローンを派遣して頂いています。しかも無償です。先般は山梨県上野原市、大月市の火事も熱源を見つけて頂いて、自衛隊のヘリが消火する活動を支援して頂いております。災害に加え、海外の情勢も不安定になってきています。われわれは安全保障についてよく、『戦後最大の試練の年』、『新たな危機に突入していく』などと表現しています。不安をあおるつもりはありませんが、実際に防衛費も増額されています。とはいえ、ドローンは(有事と平時のいずれでも活用する)デュアルユースの時代です。軍事装備とはどこまでか、という線引きはほとんどありません。みなさんのお力をお貸しいただき、我が国の平和を守らせて頂きたいと思っています。これまでもいろいろなご協力を頂いております。また今年、今後もみなさまの協力で防衛力の抜本的な強化を図っていきたいと思っております。失言はなかったと思っております」
このあと、JUIDAが山梨県上野原市、大月市にまたがる火災現場でのドローンを用いた消火支援活動を報告。会員企業である、富士山ドローンベース、ブルーイノベーション株式会社、株式会社Prodroneの奮闘ぶりを紹介した。
JUIDAの公式サイトでは、火災発生からのJUIDAの対応を日々紹介しているほか、富士山ドローンベースの活動、ブルーイノベーションの活動は個別に取り上げている。
また会場には、JUIDAの顧問に就任した国際オリンピック委員会(IOC)副会長(現在は名誉委員)で、1956年のイタリアのコルティナ・ダンペッツォ五輪アルペンスキー回転競技で銀メダルを獲得し日本人初の冬季オリンピックメダリストとなった猪谷千春氏の姿もあった。











ブルーイノベーション株式会社(東京)が、開閉式屋根を持つドーム施設、「仙台市屋内グラウンド(通称:シェルコムせんだい)」の漏水箇所をドローンで特定したことを報告している。天井の外装側、内装側のそれぞれでドローンを使い分けて点検し、内装側を飛行したELIOS3が特定した。足場を組んで点検するより短時間で危険もなかったという。
仙台市屋内グラウンドは市民スポーツを中心にイベントなどに活用されている施設だ。仙台市が所有し公益財団法人が運営している。2000年7月に開場した開閉式屋根が特徴で、1050の観客席を備え、硬式野球、テニス、サッカー、フットサルなどに対応する。アイドルのコンサートで使われたこともある。
特徴的な屋根のため点検作業には難しさが伴う。内装では、グラウンド面から天井まで約51mの高さがあり、足場を組むと費用も時間もかかり危険も伴う。外装面だけを点検しても、開閉式の構造を持ち、点検しきれない。今回は漏水箇所の特定を目指したため、雨水の侵入経路となる屋根の外装面に加え、屋根から入った雨水が屋内にしたたる内装面側(天井側)からもそれぞれ別々のドローンを使って点検した。
作業にあたったブルーイノベーションは、外装側をDJI製の「Matrice 3TD」を使って屋外から飛行して点検し、内装側をスイスFlyability社製「ELIOS 3」を屋内グラウンドから飛ばして点検した。特に、内装面側からの点検では、天井裏の空間に入り込むなど細かく点検することができ、漏水箇所を発見につながった。発見した漏水箇所はその位置を3Dマップ上に表示するなどして、特定したという。
建物内側でのドローンの活用については、災害発生現場で倒壊家屋、道路陥没などの内部を点検などですでに使われている。ドローンという言葉は「空高く」など空や航空、空域などとともに使われがちだが、屋内イベントの空撮などに活用促進の余地が見込まれる。
2024年3月に大阪市内の木造モジュール施設「咲洲(さきしま)モリーナ」で行われたドローン体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会、実行委員長、増尾朗・株式会社奈良自動車学校代表取締役社長)では、施設の美しい木組みが特徴の天井の木組みの間を、狭小空間ドローンが飛行したり、FPVドローンで周回したりする様子を、一般来場者の目の前で披露し、屋内活用の可能性を示した。
仙台市屋内グラウンドでの点検に関するブルーイノベーションの報告はこちら




国土交通省九州地方整備局は、30年以内に高い確率で発生が予想される南海トラフ巨大地震を想定し、株式会社エアロジーラボ(箕面市<大阪府>)が開発したハイブリッドドローン「AeroRange G4-S」で、宮崎県内の沿岸部往復72㎞を無着陸で飛行させた。飛行は被災状況の新たな調査手法の実証実験として行われ、飛行中は約100mの高さから沿岸を撮影した。九州整備局は映像が被災状況の確認に寄与することを確認した。
実証実験は2月5日、延岡市<宮崎県>の五ヶ瀬川河口と日向岬(日向市<同>)の間の沿岸部で行われた。G4-Sは五ヶ瀬川河口を離陸し、遠海半島の周囲など沿岸部をたどりながら時速36㎞で飛行し、日向岬グリーンパークで折り返したあと、往路と同じルートで出発地に帰還した。G4-Sは燃料とバッテリーを併用するハイブリッド機で長距離飛行に強く、この日も途中でバッテリーの交換をすることなく無着陸のまま約2時間飛行した。
飛行中、高さ約100mから沿岸の港湾施設、河口部、海浜、半島映像を撮影、情報収集の可否などを確認した。
実験は南海トラフ巨大地震による津波被害を想定しており、九州整備局が得られた映像の実用性を確認した。今後、3次元点群データの精度も検証する。九州整備局は、今回の実験での飛行は無人地帯での補助者を配置しない完全目視外飛行(レベル3.5飛行)で、ハイブリッドドローンでの実施は国土交通省の取り組みの中で初めてと話している。


