日本海の島、佐渡、粟島からドイツWingcopter社のVTOLドローン、Wingcopter198を飛行させ、海を越えて新潟市の本土側まで特産の魚介を運ぶ実証実験が11月5日に行われた。佐渡からは特産の南蛮エビ(アマエビ)を西海岸公園(新潟市)まで、約48㎞飛行して運んだ。粟島からもアオリイカを岩船港(村上市<新潟県>)まで36㎞運んだ。それぞれの特産品はJR新潟駅で集約し、JR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」で東京駅に運ばれ、同日昼過ぎには東京・銀座のアンテナショップ「THE NIIGATA」のイベント会場に並んだ。主催したのはマルチモーダル輸送などに取り組む「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」で、メンバーの一員としてドローンの運航管理を担った林賢太氏(AIR WINGS合同会社代表)は「ドローンによる配送の価値を感じて頂く取り組みを引き続き進めたい」と話した。
ドローンはそれぞれの島から、前日の漁で獲れた特産品を積んで飛んだ。このうち佐渡からは2便飛んだ。1便目は佐渡を午前7時1分に出発、本土側の西海岸公園に7時31分に到着した。到着機から特産の南蛮エビの入った容器を取り出したあと、空路上に表れた雨雲をやりすごすためにしばらく待機し、午前8時35分に佐渡に引き返すために離陸。9時9分に佐渡に到着した。再びアマエビを乗せて2便目として午前9時18分に佐渡を離陸し、午前9時51分に本土側に着陸した。それぞれ約30分のフライトだった。佐渡と新潟港の間の移動はジェットフォイルなら67分程度、フェリーなら2時間半程度だ。西海岸公園からJR新潟駅までは陸送した。
今回使ったWingcopter198はドイツ、Wingcopter社が過酷な気象条件下でも配送に活用できることを特徴として生産しているバッテリーを搭載するVTOL機だ。電動で垂直離着陸をするという意味では、次世代エアモビリティ(AAM、いわゆる「空飛ぶクルマ」)の代名詞のように使われるeVTOLの代表機であり、実用化されていないAAMのeVTOLよりも先輩にあたる。余談だが電動のVTOLとしては日本でもエアロセンス株式会社(東京)が2020年以降、「エアロボウイング(AS-VT01)」を発売しており、長距離点検、広域測量などに重宝されている。
Wingcopter198は医薬品など高付加価値な荷物を配送するさいに使われることが多い。8つの回転翼(モーター)、8つのESC、2つのバッテリーや二重化されたシステムを備え、万が一の不具合発生時でも飛行を続けられる冗長性に優れている。また高い自律性で運航管理者の負担が小さく、メンテナンスのしやすさにも工夫されていて、日本の運用者にも信頼性の高い機体のひとつとして知られる。最大離陸重量は24.9 kg、ペイロードは4.5 kg。90 km/hで飛ぶ。
この日の運航管理拠点は本土側の着陸地点である西海岸公園に設けられた。公園内にテントをはり、机を並べ、パソコンや通信機器、その他の機材などを並べた。AIR WINGSの林代表ら運航管理を担った運航管理を担ったメンバーはここに陣取り、飛行のミッションを確認し、各島の積み込み状況について連絡を取り合い、天候を確認するなどした。
佐渡からの2便めの飛行を終えた機体から荷物を引き渡したあと、運航管理を担ったAIR WINGSの林代表は、報道陣の質問に答え、今回の実証の狙いや今後の目標について述べた。主な一問一答は以下の通り。
――狙いは
林氏 「佐渡と粟島の特産品をドローンで運ぶこと。その後新幹線で高速輸送につなぎ(首都圏で)高付加価値をつけて販売することです。ドローン配送による付加価値向上を目指しています。(配送をスタートしてから)5、6時間で(離島の特産品を)首都圏に届けられます」
――課題と展望は
林氏 「現状では第三者上空の飛行はまだ難しい。今後は西海岸公園ではなくダイレクトに駅に届けるハードルをクリアしたい。今回は多くのメンバーで飛ばしましたが、今後は省人化、無人化に取り組み、より少ない人数でより多くの運航管理をしたい。また今回は特産品を配送しましたが、今後は戻り便で島に医薬品や血液製剤を輸送することにも取り組みたい」
――通年で活用する予定か
林氏 「はい。地域の足になるべく、フェリー、ジェットフォイルが欠航しても飛ばせるようにしたい。それ以前に、フェリー、ジェットフォイルが就航しているときには飛ばせることを確実にしたい。まずは就航条件を同等まで引き上げたい」
――前回(2023年11月)の飛行からレベルアップした点は
林氏 「高速化で飛行時間が短縮した。前回は約55分。今回は30分程度。また目指してきた二路線での同時飛行も実施しました。機体を変更したことでトラブルの起こりにくさ、運航させやすさ、操縦しやすさ、チェックしやすさが向上した。運航側が運航しやすく安全性が高いとことを重視しました」
――コストとの見合い
林氏 「提供価値がコストに見合うかどうかが大事。価値だと思ってもらえる取り組みを引き続き進めていきたいと考えています、また物流ドローンである以上、今日は飛ぶ、明日は飛ばない、ということでよいのか。コンディションの漁不良にかかわらず飛ばせる(高い)就航率、定時制が課題だと思う」
――実装時期は
林氏 「西海岸公園までの、住宅地に入らない場所までの離着陸について来年度(2025)中をめどに実用化を考えています。住宅街を超え新潟駅近くまでの経路はさらに3年後を考えています」
なおこの日は粟島からもアオリイカが岩船港までWingcopter198で運ばれた。岩船港からはJR村上駅まで陸送し、鉄路でJR新潟駅まで届けられた。
佐渡、粟島から届いた特産物は、JR新潟駅に集約され、午前11時25分発の新幹線とき318号に載せられた。荷物は株式会社ジェイエアール東日本物流(東京)などJR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」の配送サービスとして、13時28分に東京駅に届いた。そこから陸送され、14時前には東京・銀座の新潟のアンテナショップ「THE NIIGATA」に運び込まれた。
3階のイベント会場には、容器から取り出されたばかりの佐渡の南蛮エビが「ドローンで日本海をわたって本日届きました!」の説明書きとともに並べられ、来場者を楽しませた。飲食店の店主は「一目で鮮度が違うことがわかります」と感心していた。会場にはイベントを知った来場者のほか、離島振興を促進する行政機関も訪れ、特産品の到着に沸く会場の盛り上げを肌で感じていた。
今回の佐渡からのドローン配送、新幹線へのリレー、銀座での店頭転回などの一連の取組は、官民で構成する「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」が主催した。ドローン配送やマルチモーダル物流などで新潟の離島振興に取り組んでいて、今後も佐渡、粟島を中心として振興策の練り上げに力を入れる方針だ。
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会などは今回の取り組みについて、開催前にプレスリリースを発表している。リリース内容は以下の通り。(写真の先です)
実証実施日 2024年11月5日(火)・6日(水) (メディア公開日は11月5日(火)限定) <2拠点の特産品をドローン輸送と新幹線(列車荷物輸送サービス「はこビュン」)で高速輸送を実施>
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会(以下、「本協議会」)は、「令和6年度スマートアイランド推進実証調査業務」の一環で、 佐渡島・粟島と本土を結び都心と共栄するDX物流および医療・防災プロジェクト実証事業を実施します。本協議会は、官民連携の様々なプロジェクトを通じて新潟でのスマートアイランド※1実現に向けて、貢献していきます。新潟県佐渡市、粟島浦村、新潟市にてドローン運用の社会実装に向けた調査飛行を(以下、「本調査))を11/5(火)・6(水)に実施することをお知らせします。
※荒天の場合中止となる場合がございます。
※1国土交通省が推奨する、離島地域が抱える課題解決のためICTやドローンなどの新技術の実装を図る取り組み
◆「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」を立ち上げ本調査を行っております。
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(東京)https://www.persol-bd.co.jp/
新潟市https://www.city.niigata.lg.jp/
佐渡市https://www.city.sado.niigata.jp/
粟島浦村https://www.vill.awashimaura.lg.jp/
AIR WINGS合同会社(東京)https://www.airwingsllc.com/
株式会社ジェイアール東日本企画(東京)https://www.jeki.co.jp/
【スマートアイランド推進実証調査 取組のご紹介】
◆本プロジェクト概要
❶マルチモーダル物流※による長距離高鮮度直送を利用した地域産業活性化
※マルチモーダル物流とは複数の輸送方法(交通機関)を連携した物流のことであり、今回はドローンと新幹線を連携した物流ルートを開設します。
【今回の事業での取り組み】・・・ 海産物限定受発注の実証実験
①佐渡島(佐渡市)※11/5(火)はメディア公開日です。
佐渡島<ドローンよる高速発送>→西海岸公園→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス
「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
②粟島(粟島浦村)※11/5(火)はメディア公開日です。
粟島<ドローンよる高速発送>→岩船港→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
【今後の構想】<JREMALL等Webサイトを通じて>ふるさと納税返礼品への反響→島の漁業活性化
❷ドローンによる離島本土間配送と海岸漁場監視
【今回の事業での取り組み】・・・海岸漁場監視
粟島浦村周辺(定置網・養殖場)→粟島アプリ『しらせあい』※による情報共有
※粟島アプリ『しらせあい』…粟島汽船の運航情報や予約、天気、役場等からのお知らせなどを掲示するアプリケーション
【今後の構想】医薬関連品配送:島内の診療所⇔本土の医療機関の構築
❸ドローンによる島内ホテルベース物流
【今回の事業での取り組み】・・・特産品・高付加価値サービス食品配送
佐渡島内ホテル⇔キャンプサイト
【今後の構想】防災備蓄配送:佐渡島内ホテル⇔市役所等
【輸送海産品のご紹介】
◆各島の海産品を輸送いたします。※下記一部抜粋ご紹介
南蛮エビ (佐渡島)
佐渡で獲れる甘エビは、鮮やかな赤色と形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから「南蛮エビ」と呼ばれています。プライドフィッシュに認定されている「南蛮エビ」は佐渡沖水深400m前後、水温1℃の海洋深層水育ちの南蛮エビは新鮮で甘さが自慢となっています。
新鮮お魚セット (粟島)
新潟県の最北に位置する粟島。コアな釣り人が好んで現地に訪れるほど、四季折々の旬な天然魚が豊富。時期により石鯛やヒラマサ、真鯛など多くの種類の魚が獲れます。(本実装は、獲れた魚を詰め合わせてお届けします。)
漁師が選んだ、本当においしい魚。それが、PRIDE FISH ープライドフィッシュー
魚離れが年々進む中、思わず感動せずにはいられない魚の本当のおいしさをもっとたくさんの人に知ってもらうため、地元漁師が自信を持って勧める魚の底力を感動をもっとしてほしいと「プライドフィッシュプロジェクト」は生まれました。
地域ごと、春夏秋冬ごとに、魚を知り尽くした漁師が選ぶ “今一番食べてほしい魚” をぜひ味わってみてください。
【使用機材のご紹介】
★使用機体
ドイツWingcopter社製のWingcopter198型機(伊藤忠商事所有機体)を利用します。
独自特許のプロペラ・ローターの可変機構や冗長システムが備わっており、飛行効率と安全性の向上を実現しています。また離陸から着陸まで完全自動飛行が可能なため、運航に必要な人員を最小化することができ、運航コストの低減につながっています。海外メーカーとして日本で初めて第一種型式認証を国土交通省に申請しており、越佐海峡の厳しい飛行環境にも耐え得る飛行性能を証明することで、物流ドローンに求められる安全性、定時性、採算性を確保し、社会実装を加速させていきます。
ドローンレースの世界戦主権「2024 FAI World Drone Racing Championship(WDRC)」が、2024年10月30日から11月3日まで中国杭州市のShangcheng Sports Centre Stadiumで開催され、日本からは5人の選手が出場し世界の部隊で活躍した。ドローンレーシングチーム「RAIDEN RACING」所属の高校生パイロット、橋本勇希選手(17歳)は個人総合、ジュニア部門の2部門で優勝した。女性個人部門でも佐藤姫夏選手(16歳)が6位と健闘した。各選手の成績を集計した国別順位では日本代表チームが3位に入った。元日本代表の白石麻衣氏がチームマネージャーを務めた。
個人総合、ジュニア部門の二冠を獲得した橋本選手は、ドローン関連イベントの企画、プロチームの運営などを手掛けるDRONE SPORTS株式会社(箕面市<大阪府>)のドローンレーシングチーム「RAIDEN RACING」に所属する選手。今回の世界選手権で、個人部門総合1位で10,000ドル、ジュニア部門1位で6,000ドルの合計16,000ドルを賞金として獲得した。国別で3位の日本代表も10,000ドルの賞金を獲得した。
今大会には世界30カ国・地域から112人のパイロットが集まった。日本代表チームは、RAIDEN所属で元日本代表の女性パイロット、白石麻衣氏がチームマネージャーを務め、橋本選手、佐藤選手のほか、小塚研采選手(26歳)、高野奏多選手(16歳)、山本悠貴選手(15歳)の5人が選手として出場した。
RAIDENに所属する海外出身のパイロットも出身国代表として出場していて、スペイン代表のVicent Mayans Cervera選手、オーストラリア代表のGabriel Barrasso選手、トルコ代表のNazim Tüzün選手も活躍した。
WDRCは航空競技の世界選手権を主催する国際組織、FAI(国際航空連盟)が2018年から公認、主催しているドローンレースの世界選手権。ドローンを使った新しいスポーツであり、世界選手権であり、賞金も設定されていることから熱気あふれる大会になることで知られ、国際的にも注目されている。
レースへの参加費用は自己負担。このためクラウドファウンディングも実施し、当初目標の50万円に対し、最終的には132人から達成率141%の70万9,000円を活動資金として集め参加を実現し、好成績を収めることができた。
日本チームを運営したDRONE SPORTS株式会社は「このような国際大会で日本人パイロットが首位に輝いたことは、大変意義のある快挙です」「温かい応援メッセージもたくさんいただき、大きな励みとなりました。本当にありがとうございました」とコメントしている。
DRONE SPORTSが発表したプレスリリースの内容は以下の通り。
個人部門・ジュニア部門の2部門で「世界の頂点」に
2024年10月30日から11月3日まで中国の杭州市で開催されたドローンレースの世界戦主権「2024 FAI World Drone Racing Championship(以下、WDRC)」において、DRONE SPORTS株式会社が運営するドローンレーシングチーム「RAIDEN RACING」所属の高校生パイロット、橋本勇希選手(17歳)が個人部門で優勝を果たし、悲願の “世界一” に輝きました。本大会で橋本選手が個人で獲得した賞金は、個人部門総合1位の10,000ドル、ジュニア部門1位の6,000ドル、合計16,000ドルとなります。
WDRCは、各種航空競技のルール制定や世界選手権を主催する国際組織、FAI(国際航空連盟)が、2018年より公認し主催しているドローンレースの世界選手権です。ドローンという最新テクノロジーを使った新たなスポーツの世界選手権かつ賞金争奪をかけた熱気あふれる大会でもあることから、例年国際的に非常に注目されています。そのような国際大会で日本人パイロットが首位に輝いたことは、大変意義のある快挙です。
2024年は、世界30の国と地域から112名のパイロットが集結して、技術とスピードを競い合いました。日本代表チームは、RAIDEN所属で元日本代表の女性パイロットとして国際大会への出場経験豊富な白石麻衣氏がチームマネージャーを務め、小塚研采選手(26歳) 、佐藤姫夏選手(16歳)、高野奏多選手(16歳)、橋本勇希選手(17歳)、山本悠貴選手(15歳)の5名が出場しました。個人部門、ジュニア部門、female部門があり、選手の総合順位によって国対抗チームの順位が決定するというルールのもと、日本代表チームは総合3位入賞を果たし、10,000ドルの賞金を獲得しました。
なお、RAIDEN所属のパイロットとしては、スペイン代表のVicent Mayans Cervera選手、オーストラリア代表のGabriel Barrasso選手、トルコ代表のNazim Tüzün選手の3名が本大会に出場し好戦しました。今後もRAIDEN RACINGは、ワールドワイドなチームとしてグローバルに活動を進めていきます。
■日本代表チームメンバーの皆様、お疲れ様でした!
日本代表チームが行なっていたクラウドファンディング( https://camp-fire.jp/projects/789450/view/activities/635813#main )から以下抜粋
「2024 FAI World Drone Racing Championship」は招待制ではなく、レースの参加費用はすべて各自が負担する形になっています。ドローンレースの選手は10代をはじめとする若年層が多いことなどから、このたびクラウドファウンディングにも挑戦しました。当初の目標金額50万円に対して、最終的には132人もの方に支援いただき、目標達成率141%の70万9,000円を活動資金として集めることができました。温かい応援メッセージもたくさんいただき、大きな励みとなりました。本当にありがとうございました。
【DRONE SPORTS株式会社について】
DRONE SPORTSは、国産ドローンブランド「Rangle」(https://rangle.jp)を展開し、インフラ設備点検の請負や、ドローンレースチーム「RAIDEN RACING」の運営、ドローンイベントの企画運営など、多岐にわたる事業を手がけています。RAIDEN RACINGは、世界最高峰のプロリーグDrone Champions League (DCL)で三連覇を成し遂げた実績を誇ります。また、CMや番組撮影に対応する空撮サービスの提供に加え、Rangleサブスク導入企業様には、ドローン運用内製化を支援する伴走型サポートも行っています。
詳細な情報は、DRONE SPORTSのウェブサイト(https://dronesports.jp)をご参照ください。
■会社概要
会 社 名: DRONE SPORTS株式会社
住 所: 〒562-0026 大阪府箕面市外院2丁目1番53号
代 表 者: 代表取締役 小寺 悠
次世代エアモビリティ(AAM)運航の株式会社Soracle(ソラクル、東京)と、AAM開発の米Archer Aviation Inc.(アーチャー・アビエーション社、米カリフォルニア州)は、戦略的関係構築に向けた基本合意書を締結した。アーチャーは11月7日付で、ソラクルは11月8日付でそれぞれ発表した。両者で商用運航実現に向けた協業の検討を始める。合意にはソラクルによるアーチャー製AAM「Midnight(ミッドナイト)」の最大100機(5億ドル)の購入権が含まれていて、開発の進捗状況に応じて機体の引き渡し前に一部の前払いを実施する。
ソラクルは今回の合意に沿って、日本国内における空港シャトル・地域内輸送・地域間輸送など国内外の利用者を想定して魅力的な路線を開拓し、新たな価値を創造する交通ネットワークの構築を目指す方針だ。合意はソラクルがミッドナイトを最大100機(約5億ドル)購入する権利も含み、開発の進捗状況に応じて前払いを行う。
アーチャー製AAMミッドナイトはパイロット1人を含めた5人乗りのeVTOL。回転角度を変えられるチルトローターと固定翼を併用する機体で、最高速度は240km/h、航続距離160km。すでに米国内で試験飛行を重ねていて2025年末までにFAA(米連邦航空局)から型式証明の取得、2026年の商用運航実現を目指している。日本国内でも航空当局である国土交通省航空局の認可取得を目指す。
ソラクルは「eVTOLを用いた地球に優しく、より身近で新しい移動価値を創造することを目指し」て「eVTOLの社会実装の早期実現に向けた準備を加速」すると抱負を述べている。
アーチャーの事業開発担当シニア・ディレクター、アンドリュー・カミンズ氏は「私たちはソラクルとフライト新時代の先頭に立てることを誇りに思います。革新的で持続可能で便利な代替交通手段をもたらすことに全力を尽くします」とコメントしている。
ソラクルは今年(2024年)6月、住友商事株式会社と日本航空株式会社が50%ずつ出資して設立されたAAM運航を目指す合弁会社で、大阪・関西万博で独ヴォロコプター社(Volocopter)製AAMヴォロシティ(VoloCity)を飛行させる計画を進めてきた日本航空から事業を引き継いでいる。大阪・関西万博でデモフライトをする機体について、ヴォロシティからアーチャーのミッドナイトへの変更は9月26日に公表している。
ソラクルの発表内容は以下の通り。
~Soracle は大阪・関西万博デモンストレーション運航を契機に、eVTOL の社会実装を目指します~
株式会社 Soracle(以下「Soracle」)は、米国 Archer Aviation Inc.(以下「Archer 社」)と戦略的関係構築に向けた基本合意書を締結しました。
両社は、2024 年 9 月 26 日付で発表いたしました 2025 年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)でのデモンストレーション運航プログラムの実施に加え(※)、eVTOL の商用運航実現に向けた協業の検討を開始することに合意しました。
Soracle は、日本国内における空港シャトル・地域内輸送・地域間輸送など、様々なユースケースを想定した路線を開拓し、eVTOLを用いた地球に優しく、より身近で新しい移動価値を創造することを目指しています。今般 Archer 社との基本合意書には同社が開発・製造する eVTOL ”Midnight”の最大 100 機の購入権取得を含んでおり、eVTOL の社会実装の早期実現に向けた準備を加速して参ります。
Soracle は、2025 年 4 月から大阪・夢洲で開催される大阪・関西万博に、未来社会ショーケース事業「スマートモビリティ万博 空飛ぶクルマ」に、シルバーパートナーとして協賛いたします。本事業は、eVTOLをより身近に感じていただくことで、大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」を体現するものです。Soracle は Archer 社 eVTOL “Midnight”を用いた万博会場の周遊および会場と大阪ヘリポートを結ぶ2地点間のデモンストレーション運航を予定しています。
■Soracle 概要
社名 :株式会社 Soracle
事業内容:eVTOL による航空運送事業(許可取得予定)
設立 :2024 年 6 月
代表者 :代表取締役 太田幸宏・佐々木敏宏
所在地 :東京都中央区
ホームページ:https://www.soraclecorp.com/
■Archer 社概要
社名 :Archer Aviation, Inc.
事業内容:eVTOL 設計・開発・運航
設立 :2018 年
代表者 :Founder & CEO Adam Goldstein
所在地 :アメリカ合衆国カリフォルニア州
ホームページ:https://archer.com/
■Archer 社 eVTOL “Midnight” 概要
Archer 社が設計・開発する4人乗客(パイロット除く)ベクタードスラスト型のeVTOL。当該機は米国における試験飛行の実績を重ねており、2025年末までのFAA(連邦航空局)からの型式証明取得、2026 年の商用運航の実現を目指しております。
【運航性能(目標)】 最高速度 240km/h・航続距離 160km・最大積載量 454kg
(※) Soracle、JAL から大阪・関西万博 「空飛ぶクルマ」運航事業を承継
~Archer 社 eVTOL “Midnight”にて大阪・関西万博 デモンストレーション運航を実施~
https://www.soraclecorp.com/wp-content/uploads/2024/09/Press_240926.pdf
日本海の島、佐渡、粟島からドイツWingcopter社のVTOLドローン、Wingcopter198を飛行させ、海を越えて新潟市の本土側まで特産の魚介を運ぶ実証実験が11月5日に行われた。佐渡からは特産の南蛮エビ(アマエビ)を西海岸公園(新潟市)まで、約48㎞飛行して運んだ。粟島からもアオリイカを岩船港(村上市<新潟県>)まで36㎞運んだ。それぞれの特産品はJR新潟駅で集約し、JR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」で東京駅に運ばれ、同日昼過ぎには東京・銀座のアンテナショップ「THE NIIGATA」のイベント会場に並んだ。主催したのはマルチモーダル輸送などに取り組む「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」で、メンバーの一員としてドローンの運航管理を担った林賢太氏(AIR WINGS合同会社代表)は「ドローンによる配送の価値を感じて頂く取り組みを引き続き進めたい」と話した。
ドローンはそれぞれの島から、前日の漁で獲れた特産品を積んで飛んだ。このうち佐渡からは2便飛んだ。1便目は佐渡を午前7時1分に出発、本土側の西海岸公園に7時31分に到着した。到着機から特産の南蛮エビの入った容器を取り出したあと、空路上に表れた雨雲をやりすごすためにしばらく待機し、午前8時35分に佐渡に引き返すために離陸。9時9分に佐渡に到着した。再びアマエビを乗せて2便目として午前9時18分に佐渡を離陸し、午前9時51分に本土側に着陸した。それぞれ約30分のフライトだった。佐渡と新潟港の間の移動はジェットフォイルなら67分程度、フェリーなら2時間半程度だ。西海岸公園からJR新潟駅までは陸送した。
今回使ったWingcopter198はドイツ、Wingcopter社が過酷な気象条件下でも配送に活用できることを特徴として生産しているバッテリーを搭載するVTOL機だ。電動で垂直離着陸をするという意味では、次世代エアモビリティ(AAM、いわゆる「空飛ぶクルマ」)の代名詞のように使われるeVTOLの代表機であり、実用化されていないAAMのeVTOLよりも先輩にあたる。余談だが電動のVTOLとしては日本でもエアロセンス株式会社(東京)が2020年以降、「エアロボウイング(AS-VT01)」を発売しており、長距離点検、広域測量などに重宝されている。
Wingcopter198は医薬品など高付加価値な荷物を配送するさいに使われることが多い。8つの回転翼(モーター)、8つのESC、2つのバッテリーや二重化されたシステムを備え、万が一の不具合発生時でも飛行を続けられる冗長性に優れている。また高い自律性で運航管理者の負担が小さく、メンテナンスのしやすさにも工夫されていて、日本の運用者にも信頼性の高い機体のひとつとして知られる。最大離陸重量は24.9 kg、ペイロードは4.5 kg。90 km/hで飛ぶ。
この日の運航管理拠点は本土側の着陸地点である西海岸公園に設けられた。公園内にテントをはり、机を並べ、パソコンや通信機器、その他の機材などを並べた。AIR WINGSの林代表ら運航管理を担った運航管理を担ったメンバーはここに陣取り、飛行のミッションを確認し、各島の積み込み状況について連絡を取り合い、天候を確認するなどした。
佐渡からの2便めの飛行を終えた機体から荷物を引き渡したあと、運航管理を担ったAIR WINGSの林代表は、報道陣の質問に答え、今回の実証の狙いや今後の目標について述べた。主な一問一答は以下の通り。
――狙いは
林氏 「佐渡と粟島の特産品をドローンで運ぶこと。その後新幹線で高速輸送につなぎ(首都圏で)高付加価値をつけて販売することです。ドローン配送による付加価値向上を目指しています。(配送をスタートしてから)5、6時間で(離島の特産品を)首都圏に届けられます」
――課題と展望は
林氏 「現状では第三者上空の飛行はまだ難しい。今後は西海岸公園ではなくダイレクトに駅に届けるハードルをクリアしたい。今回は多くのメンバーで飛ばしましたが、今後は省人化、無人化に取り組み、より少ない人数でより多くの運航管理をしたい。また今回は特産品を配送しましたが、今後は戻り便で島に医薬品や血液製剤を輸送することにも取り組みたい」
――通年で活用する予定か
林氏 「はい。地域の足になるべく、フェリー、ジェットフォイルが欠航しても飛ばせるようにしたい。それ以前に、フェリー、ジェットフォイルが就航しているときには飛ばせることを確実にしたい。まずは就航条件を同等まで引き上げたい」
――前回(2023年11月)の飛行からレベルアップした点は
林氏 「高速化で飛行時間が短縮した。前回は約55分。今回は30分程度。また目指してきた二路線での同時飛行も実施しました。機体を変更したことでトラブルの起こりにくさ、運航させやすさ、操縦しやすさ、チェックしやすさが向上した。運航側が運航しやすく安全性が高いとことを重視しました」
――コストとの見合い
林氏 「提供価値がコストに見合うかどうかが大事。価値だと思ってもらえる取り組みを引き続き進めていきたいと考えています、また物流ドローンである以上、今日は飛ぶ、明日は飛ばない、ということでよいのか。コンディションの漁不良にかかわらず飛ばせる(高い)就航率、定時制が課題だと思う」
――実装時期は
林氏 「西海岸公園までの、住宅地に入らない場所までの離着陸について来年度(2025)中をめどに実用化を考えています。住宅街を超え新潟駅近くまでの経路はさらに3年後を考えています」
なおこの日は粟島からもアオリイカが岩船港までWingcopter198で運ばれた。岩船港からはJR村上駅まで陸送し、鉄路でJR新潟駅まで届けられた。
佐渡、粟島から届いた特産物は、JR新潟駅に集約され、午前11時25分発の新幹線とき318号に載せられた。荷物は株式会社ジェイエアール東日本物流(東京)などJR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」の配送サービスとして、13時28分に東京駅に届いた。そこから陸送され、14時前には東京・銀座の新潟のアンテナショップ「THE NIIGATA」に運び込まれた。
3階のイベント会場には、容器から取り出されたばかりの佐渡の南蛮エビが「ドローンで日本海をわたって本日届きました!」の説明書きとともに並べられ、来場者を楽しませた。飲食店の店主は「一目で鮮度が違うことがわかります」と感心していた。会場にはイベントを知った来場者のほか、離島振興を促進する行政機関も訪れ、特産品の到着に沸く会場の盛り上げを肌で感じていた。
今回の佐渡からのドローン配送、新幹線へのリレー、銀座での店頭転回などの一連の取組は、官民で構成する「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」が主催した。ドローン配送やマルチモーダル物流などで新潟の離島振興に取り組んでいて、今後も佐渡、粟島を中心として振興策の練り上げに力を入れる方針だ。
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会などは今回の取り組みについて、開催前にプレスリリースを発表している。リリース内容は以下の通り。(写真の先です)
実証実施日 2024年11月5日(火)・6日(水) (メディア公開日は11月5日(火)限定) <2拠点の特産品をドローン輸送と新幹線(列車荷物輸送サービス「はこビュン」)で高速輸送を実施>
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会(以下、「本協議会」)は、「令和6年度スマートアイランド推進実証調査業務」の一環で、 佐渡島・粟島と本土を結び都心と共栄するDX物流および医療・防災プロジェクト実証事業を実施します。本協議会は、官民連携の様々なプロジェクトを通じて新潟でのスマートアイランド※1実現に向けて、貢献していきます。新潟県佐渡市、粟島浦村、新潟市にてドローン運用の社会実装に向けた調査飛行を(以下、「本調査))を11/5(火)・6(水)に実施することをお知らせします。
※荒天の場合中止となる場合がございます。
※1国土交通省が推奨する、離島地域が抱える課題解決のためICTやドローンなどの新技術の実装を図る取り組み
◆「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」を立ち上げ本調査を行っております。
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(東京)https://www.persol-bd.co.jp/
新潟市https://www.city.niigata.lg.jp/
佐渡市https://www.city.sado.niigata.jp/
粟島浦村https://www.vill.awashimaura.lg.jp/
AIR WINGS合同会社(東京)https://www.airwingsllc.com/
株式会社ジェイアール東日本企画(東京)https://www.jeki.co.jp/
【スマートアイランド推進実証調査 取組のご紹介】
◆本プロジェクト概要
❶マルチモーダル物流※による長距離高鮮度直送を利用した地域産業活性化
※マルチモーダル物流とは複数の輸送方法(交通機関)を連携した物流のことであり、今回はドローンと新幹線を連携した物流ルートを開設します。
【今回の事業での取り組み】・・・ 海産物限定受発注の実証実験
①佐渡島(佐渡市)※11/5(火)はメディア公開日です。
佐渡島<ドローンよる高速発送>→西海岸公園→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス
「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
②粟島(粟島浦村)※11/5(火)はメディア公開日です。
粟島<ドローンよる高速発送>→岩船港→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
【今後の構想】<JREMALL等Webサイトを通じて>ふるさと納税返礼品への反響→島の漁業活性化
❷ドローンによる離島本土間配送と海岸漁場監視
【今回の事業での取り組み】・・・海岸漁場監視
粟島浦村周辺(定置網・養殖場)→粟島アプリ『しらせあい』※による情報共有
※粟島アプリ『しらせあい』…粟島汽船の運航情報や予約、天気、役場等からのお知らせなどを掲示するアプリケーション
【今後の構想】医薬関連品配送:島内の診療所⇔本土の医療機関の構築
❸ドローンによる島内ホテルベース物流
【今回の事業での取り組み】・・・特産品・高付加価値サービス食品配送
佐渡島内ホテル⇔キャンプサイト
【今後の構想】防災備蓄配送:佐渡島内ホテル⇔市役所等
【輸送海産品のご紹介】
◆各島の海産品を輸送いたします。※下記一部抜粋ご紹介
南蛮エビ (佐渡島)
佐渡で獲れる甘エビは、鮮やかな赤色と形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから「南蛮エビ」と呼ばれています。プライドフィッシュに認定されている「南蛮エビ」は佐渡沖水深400m前後、水温1℃の海洋深層水育ちの南蛮エビは新鮮で甘さが自慢となっています。
新鮮お魚セット (粟島)
新潟県の最北に位置する粟島。コアな釣り人が好んで現地に訪れるほど、四季折々の旬な天然魚が豊富。時期により石鯛やヒラマサ、真鯛など多くの種類の魚が獲れます。(本実装は、獲れた魚を詰め合わせてお届けします。)
漁師が選んだ、本当においしい魚。それが、PRIDE FISH ープライドフィッシュー
魚離れが年々進む中、思わず感動せずにはいられない魚の本当のおいしさをもっとたくさんの人に知ってもらうため、地元漁師が自信を持って勧める魚の底力を感動をもっとしてほしいと「プライドフィッシュプロジェクト」は生まれました。
地域ごと、春夏秋冬ごとに、魚を知り尽くした漁師が選ぶ “今一番食べてほしい魚” をぜひ味わってみてください。
【使用機材のご紹介】
★使用機体
ドイツWingcopter社製のWingcopter198型機(伊藤忠商事所有機体)を利用します。
独自特許のプロペラ・ローターの可変機構や冗長システムが備わっており、飛行効率と安全性の向上を実現しています。また離陸から着陸まで完全自動飛行が可能なため、運航に必要な人員を最小化することができ、運航コストの低減につながっています。海外メーカーとして日本で初めて第一種型式認証を国土交通省に申請しており、越佐海峡の厳しい飛行環境にも耐え得る飛行性能を証明することで、物流ドローンに求められる安全性、定時性、採算性を確保し、社会実装を加速させていきます。
トヨタ自動車株式会社は11月2日、AAM開発の米Joby Aviationが日本で試験飛行をした際の動画を公開した。試験飛行はトヨタ自動車の東富士研究所(裾野市<静岡県>)で行われ、富士山を背景に飛行する印象的な場面が登場する。Joby機が米国以外で試験飛行を行うのは今回が初めてだ。
トヨタはJobyに対し出資しており、10月には5億ドルの追加投資を表明した。追加投資は2回にわたり1回目は2024年末までに、2回目は2025年内をめどに行われる見通しだ。トヨタの出資は型式証明の取得や商業生産などを支援することを目的としており、推移を見ながら随時出資が行われる見通しだ。計画通り出資が行われるとトヨタによる出資は3億9400万ドルになる。Jobyは大阪・関西万博でデモ飛行を予定しているグループのひとつに名を連ねてもいる。
11月2日、「Joby Aviationとトヨタ、空のモビリティの実現に向けた挑戦を加速」と題する発表文を公表している。発表はこちら。
掲載文は以下の通りだ。
トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)とJoby Aviation(以下、Joby)は、両社の創業以来の夢である、空のモビリティの実用化に向け、トヨタの代表取締役会長の豊田章男、Jobyの創業者兼CEOのJoeBen Bevirt(ジョーベン・ビバート氏)が空への想い、情熱を確認し合いました。
トヨタは創業以来、誰もが自由に移動できるモビリティ社会の実現に向けて、空のモビリティに挑戦してきました。今から100年前の1925年、トヨタグループの創始者である豊田佐吉は懸賞金を寄付し、「飛行機に載せて、太平洋をひとっとび」できる性能を持つ蓄電池の開発を推奨しました。それは、eVTOL*にも通ずる、動力源としての電池の可能性を見出し、次世代への夢として続いています。その後、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎は航空機事業にも強い関心を抱き、ヘリコプターや航空機の部品の試作などを行いました。戦後、豊田章一郎は、トヨタにおけるエアロ開発発祥の地である東富士研究所において米国企業と世界初となる電子制御のエアロ・ピストン・エンジンの共同開発を行うなど、空のモビリティへの挑戦は、脈々と受け継がれてきました。
そして現在、モビリティカンパニーへの変革を掲げるトヨタはJobyという素晴らしいパートナーと共に挑戦する機会に恵まれました。「環境への影響がより小さくなる世界、渋滞に悩まされることなく、大切な人や場所と過ごす時間を増やせるような世界に変えたい」という夢と情熱を持つJobyのジョーベン・ビバート創業者兼CEOと、すべての人に移動の自由をお届けすることを願う豊田章男が出会い、共に歩み始めました。エンジニアのスタートアップとして始まったJobyの空のモビリティへの夢と情熱とトヨタの自動車生産及び技術開発の知見を活かした7年にわたる両社の取り組みを経て、eVTOLは日本で初めての試験フライトを行いました。
Jobyの創業者兼CEOであるジョーベン・ビバート氏は、「日本でのフライトは、我々が長い間待ち望んできた瞬間であり、クリーンな空の旅を実現するための重要なマイルストーンになります。当社は、トヨタの空のモビリティに対するビジョンに共感しており、その未来の一端をお披露目する機会を得たことを光栄に思います」と語りました。
トヨタの取締役・副社長の中嶋裕樹は、「空のモビリティは『距離と時間の感覚』を変える可能性を秘めております。空のモビリティという新しい選択肢が加わる未来は、多くの人たちの生活をさらに豊かにしていくことでしょう。トヨタもモビリティカンパニーとして、空と陸のシームレスな移動を実現し、あらゆる人たちが自由に移動できる社会を目指してまいります。Jobyはこの新しいモビリティ社会の実現に向けた重要なパートナーです。トヨタもJobyとの協業を一層深め、Jobyと共に夢の実現に向け歩み続けてまいります。」と語りました。
トヨタは、創業期からの志を受け継ぎ、モビリティ事業を核に、すべての人に移動の自由をお届けし、世界中の人々を笑顔にしていきます。そして、Jobyという同じ夢を持つ仲間と共に、もっと自由で、もっと豊かな未来の実現に向けて取り組んでまいります。
ソニーグループ株式会社とソニーマーケティング株式会社は11月1日、空撮用機Airpeak S1と関連製品の販売を来年3月末で修了すると発表した。理由について「昨今のビジネス環境の変化」と説明している。またドローントリビューンに対し、「ドローン事業からの撤退ではない」と説明した。
2025年3月31日に、機体(ARS-S1)、ジンバル(GBL-T3, GBL-PX1)、バッテリーチャージャー(LBG-H1)、送信機 (RCR-VH1)、バッテリーステーション(LBN-H1)、RTKキット(RTK-1)、2026年3月31日にバッテリーパック (LBP-HS1, HS1/10SET, LBP-HM1)プロペラ(PPL1785)の販売を修了する。店頭で販売状況はAirpeak取扱販売店が在庫状況などから判断することになるとみられる。アプリケーションやサービスも機体購入後に加入する可能性も想定し、2030年3月31日までに順次提供を停止する。定期点検、修理、ソフトウェア保守も2030年3月31日に終了する。
Airpeak S1はフルサイズミラーレス一眼カメラ「α」の搭載が可能な機種として「世界最小クラス」として登場。独自開発の17インチのプロペラなどがドローンの愛好家の間で話題になり、クリエイターの要望を叶える安定性や操作性を次々と実現する機体として高い評価を獲得している。展示会やデモフライトでは目玉出品の立ち位置を獲得していた。
ソニーグループは2020年11月、ドローン事業の参入を発表。2021年1月に米国のテクノロジーの見本市、CESでAirpeak S1を世界に先駆けて初公開し、6月に「ソニーグループ株式会社は、ドローンのさらなる発展や最高峰の価値創出に貢献する志を込めて開発を進めてきたAirpeakの第一弾として『Airpeak S1』を発売します」と発売を発表していた。クリエイターの話題を独占したAirpeak S1は2025年3月末に開発の歴史に幕を下ろす。
大規模物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」で10月26日、地域住民との交流を図るイベント「MIRAI FES」が開かれ、施設内のドローンラウンジでは子たちがドローン操縦体験で歓声をあげた。一般社団法人日本UAS産業振興協議会、ブルーイノベーション株式会社が監修するドローンの実証実験施設「ドローンネットフィールド」では、元サッカー日本代表の中澤佑二氏が参加する小学生サッカー教室が行われた。
「MIRAI FES」は、10月2日に竣工式を迎えたMFLP・LOGIFRONT東京板橋を地域に開かれた施設としてお披露目するため、三井不動産株式会社、日鉄興和不動産株式会社が開催した。「街づくり型物流施設」として開発した施設で、会場にはMFLP・LOGIFRONT東京板橋に関連する企業や地域の警察、消防の展示ブースなどが並んだほか、味自慢のキッチンカーが来場者をうならせた。
施設内の屋内多目的施設「ドローンラウンジ」では子供向けのドローン操縦体験が行われ、磁石をくくりつけたロープのついた小型ドローンをあやつって、磁石につくプレートをほどこしたスナック菓子やチョコレート、カップ麺などをつりあげる子供向けの体験が催された。参加した子供たちは、係員にコントローラーの使い方を教わったあとに自力でドローン操縦に挑戦。つきそいの親が「もうちょっと」「あと少し右」など声援を送る中、子供たちは思い思いのドローンを操作した。上手にお菓子をつりあげた子供は満面の笑顔で釣果を報告していた。
併設されたネットで覆われた屋外施設「ドローンネットフィールド」は、ドローンの教習やフットサルのコートなどして活用できる施設で、MIRAI FESでは小学生サッカー教室の会場として使われた。元サッカー日本代表の中澤佑二氏が事前に申し込んだサッカー少年たちを盛り上げた。中澤氏は特設ステージでのスペシャルトークショーにも登壇し、フェスを沸かした。
企業ブースが並ぶコーポレートブースには、ドローンフィールドなどを監修し、研究所が施設に入居するブルーイノベーションがドローンやドローンポートなどを展示した。同社のブースには、ブルーイノベーションが指導にあたった日本大学豊山女子高等学校ドローン部の活動をパネルでまとめて展示してあったり、立ちよった子供たちが付箋に描いたドローンを張り出してあったりした。
MFLP・LOGIFRONT東京板橋でドローンスクールを運営するKDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校もブースを出展し、SkydioやPRODRONEの機体を展示した。
MIRAI FESの間も敷地の河川側の公園は地域に開放され多くの市民が休日を楽しんだ。またローストビーフ、から揚げ、キッシュ、ケバブ、たこやき、トルティーヤなどを提供する多くのキッチンカーが来場者を楽しませた。