国土交通省航空局はホームページ上の「飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる講習団体等」に関する記載内容を4月1日現在の情報に更新した。講習団体は1003と、2017年6月1日の初公表以来、初めて1000の大台を超えた。大分県のciRobotics株式会社などが新たに名前を連ねた。
4月1日の更新で講習団体として掲載されている団体は1003校で、前回3月1日時点の975校から28増加した。
ただし4月1日付けで初掲載となった講習団体は32校を数え、3月1日付で掲載されていた講習団体のうち3校は姿を消したことになる。初掲載32校のうち2校が、複数の講習を提供する。また6校はDJI JAPAN株式会社が管理団体。4校は管理団体を持たず、独自に講習を提供する。
一方、講習団体を束ねる管理団体は60となり3月1日と比べ3つの増加となった。株式会社クリエイトジャパン(沖縄県那覇市)、一般社団法人農業ドローン協会(福岡県大牟田市)、一般財団法人熊本県ドローン技術振興協会(熊本市)が加わった。
4月1日付で講習団体となったciRobotics(シーアイロボティクス)は制御技術開発などで知られ、展示会などに出展すると多くの人が足を止めるなど知名度がある。今回は農業ドローン協会を管理団体として講習団体に名を連ねた。
なお、管理団体を、傘下に抱える講習団体数で並べ替えた場合、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の182、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の165、株式会社DJI JAPANの155の上位陣の顔ぶれに変動はなかった。
国土交通省航空局はホームページ上の「飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる講習団体等」に関する記載内容を3月1日現在の情報に更新した。講習団体は975で、前月(2月1日時点)と比べ総数として31増えた。講習団体を束ねる管理団体は57と先月と比べ2増えた。講習実績が豊富な一般社団法人ドローン大学校(東京)が管理団体として名を連ねたほか、ドローン開発で定評のある株式会社丸山製作所の名前が講習団体に登場した。
管理団体にはドローン大学校のほか、北海道ドローン協会の2団体が加わった。管理団体が増えたのは2021年になって初めてだ。
また3月1日付で講習団体として掲載されたのは36団体。2月1日時点で掲載されていた団体のうち5団体が姿を消し、全体では差し引きして2月1日時点より31増加となった。初登場組では株式会社FlightPilotを管理団体とする団体が8件と最多だった。
なお、管理団体を抱える講習団体で見た場合、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の181、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の165、株式会社DJI JAPANの149の上位陣の顔ぶれに変動はなかった。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、大分県や県内の企業、大学などで構成する「大分県ドローン協議会」に対し「ドローン点検技術管理者向け講座」を提供した。JUIDAは地方創生に力を入れる姿勢を明らかにしており、今回の取り組みもその一環。今後、東京以外でのイベント開催や、東京以外に拠点を構える企業、団体との連携を拡大する見通しだ。
受講したのは大分県内の企業の管理職など41人。講座は1月中旬の5日間と2月10日の6日間にわたって提供された。原則オンラインで開催され、一部、指定された会場で行われたカリキュラムもあった。
カリキュラムは「ドローンサービス提供者コース」、「ドローン導入者コース」、「建築点検コース」、「設備点検コース」と受講者の業務に沿った対象別講座で構成された。点検全体にかかわる内容については「共通講座」が設定され全受講者に提供された。このほか選択講座も準備された。
具体的には、初日の1月18日に共通講座として、サービスの設計に必要となる「ドローンの法律、技能、運用」が6時間行われた。2日目の18日も共通講座として、サービスのイメージを獲得するための「活用事例」が4時間、技術開発の難易度などを解説する「技術開発」の講座が2時間、提供された。3日目はコースごとの対象講座があり、4日目に空撮概論や提案書の作成を内容とする講座、5日目に建築、設備点検などの講座を選択して受講するカリキュラムを織り込んだ。最終日には受講者からの選抜者の発表や表彰が行われた。
JUIDAの鈴木真二理事長や幹部職員、一般社団法人日本建築ドローン協会の宮内博之副会長、ブルーイノベーションの熊田貴之社長、熊田雅之専務のほか、UAE(アラブ首長国連邦)のドローン点検テクノロジー企業、ファルコン・アイ・ドローンズ(FEDS)社のラビ・ブ・ラシドCEO、ドローンを使った構造物異常検知を手がけるPRENAV 社のネイサン・シュエットCEOらも登壇した。
「ドローン点検技術管理者向け講座」はJUIDAが大分県ドローン協議会から「令和2年度大分県ドローン協議会 ドローン産業人材育成事業」として受託した事業。JUIDAは今後も、催事の地方開催や、地方で活躍する企業、地方自治体と連携した取り組みを強化する方針だ。
国土交通省航空局はホームページ上の「飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる講習団体等」に関する記載内容を2月1日現在の情報に更新した。講習団体は944で、前月(1月1日時点)と比べ総数として17増えた。狭小空間向け小型ドローン開発で知られ株式会社Liberawaare(リベラウェア、千葉市)が今回、講習団体として名を連ねた。なお講習団体を束ねる管理団体は55で先月と変わっておらず、2021年に入り新規参入はないことになる。
944となった講習団体は前月(1月1日時点)が927であったため、全体で17増加した計算だ。一方、2月1日に初掲載となった講習団体を数えると46となり、前月に掲載されていた29の講習団体が姿を消したことになる。
2月1日付で掲載された46の講習団体の中には、狭小空間向けのドローン開発・製造を手掛けているリベラウェアの名前が見られる。リベラを含め16団体が初登場だ。46のうち残る30は、すでに別の技能認証を提供している団体として掲載済みで、2つめ、あるいは3つめの技能認証を提供する団体として掲載された。
たとえば、秀明大学(千葉県八千代市)は、2月1日付けで一般社団法人ドローン技術社会実装コンソーシアムが管理する「農薬散布ドローンオペレーター」の技能認証を提供する団体として掲載された。同大学は昨年(2020年)6月1日付で「無人航空機操縦技能認定」の講習団体として初登場を飾っており、今回の追加掲載“2刀流”となった。
また茨城県高萩市で、平成29(2017)年3月に廃校となった旧君田小・中学校学校の約2万平方メートルの校庭を専用フィールドとして持つ株式会社茨城航空技術研究所(ドローン・エンジニア・ラボラトリ)も2月1日付けで株式会社DJI JAPANの技能認証を提供する団体として掲載された。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定スクールとして2019年12月に初登場しており、今回は追加掲載だ。
2月1日付の掲載組では、2刀流としての追加掲載が27と、初登場の16を上回っており、追加掲載が定着する勢いだ。また3刀流としての追加掲載も3あった。追加掲載が一覧表の主流になる流れとなっている。2月1日掲載組を管理団体ごとにみると、一般社団法人全国自動車学校ドローンコンソーシアム(ジドコン)が24と最も多かった。
管理団体を、抱える講習団体ごとにみると、JUIDA、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)、DJI JAPANの上位陣に変動はなかった。
講習団体や管理団体の新規参入の勢いが停滞気味の傾向には、ドローンの人材育成をめぐる国家資格化の影響がのぞく。国家資格化は、都市部を目視外で運用できる「レベル4」飛行を実現する環境整備のひとつで、現在、ドローンの運用技能を国家資格として付与する制度づくりが官民で進められている。
国家資格を得るために合格すべき試験は「民間試験機関」が、講習は「民間講習機関」が、国にかわって提供する方針が公表されている。しかし「民間試験機関」、「民間講習機関」とも概要が公表されておらず、既存の講習団体、管理団体との関係も調整途中だ。
国交省は、「(既存の)講習団体の制度上の扱いは、これまでと何も変わらない」と説明しているが、民間資格をプロダクトとして提供してきた事業者にとって。国家資格が導入されると事業環境は大きく変わる。受講生の獲得も、既存の民間スクール間だけでなく、国家資格を提供する「民間講習機関」とも競う必要が生じる可能性がある。国家資格は取得すれば、民間資格よりも有利になる可能性が高く、受講生獲得に不利になる恐れもぬぐい切れない。
国歌資格化後の身の振り方が定めきれずに頭を抱えるドローンスクールもあり、当面は様子見と情報収集とに明け暮れることになりそうだ。
ロボット事業を手掛けるヒトロボ株式会社(仙台市)が、ドローンを使ってプログラミングを学ぶ「ドロミングラボ」の運営開始を表明した。「ドロミングラボ」は株式会社ORSO、ブルーイノベーション株式会社が開発し、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が監修したジュニア世代向けの教育事業で、JUIDA認定スクールが提供する。ヒトロボがドロミングラボ提供スクールの第1号となる。
ヒトロボはJUIDA認定スクールとしてドローンスクールHito-Robo Academyを運営している。ジュニア向けの「ドロミングラボ」もその一環で運営される。講師をつとめる千葉亮一氏は、JUIDAが動画配信形式で開催した「認定スクールフェスタ」に、ORSO執行役員・IoT・ドローン事業本部ビジネスデベロップメントグループ長の坂本弘樹氏、ブルーイノベーション常務の那須隆志氏とともにトークセッションに登壇し、抱負や期待について語り合った。
トークセッションの中でブルーイノベーションの那須氏は、ドロミングラボがドローンのプログラミングによる自動飛行体験を通じて、論理的思考や想像力を育み、IT経験を積ませることを主眼に置いたカリキュラムであることを説明。「供給の少ないIT人材の育成に貢献したいと思っています。またIT社会に子供がついていけるか、ITに仕事が奪われるのではないか、と子供の将来に対する親御さんの不安を解消するようすすめたいと考えています」と述べた。
ヒトロボの千葉氏は、ドロミングラボ導入のきっかけについて、「認定スクールを運営しつつ、フットサル場なども運営していて、ドローンに興味をもつ方の多さを実感して導入を決めました。デジタル化への対応力を身に着けることにもなると考えています。子供たちの想像力を大切にしていきたいです」と抱負を述べた。
カリキュラムやアプリケーションの教材開発をしてきたORSOの坂本氏は、カリキュラムについて、利用者の成功体験をつくることに力を入れていると説明した。その中で坂本氏は「ORSOは以前から小中学生に体験授業をしてきました。その中で成功体験を得た子供たちが目を輝かせるし、大きく成長することが分かっています。このカリキュラムでもそこを大切にしています。どの成功に満足するかは持っている知識や能力によって異なりますので、シンプルにくみあげるモードもあれば、分岐命令や変数を使うバージョンなどを用意して、身に着けた力あわせられるようにしています」と工夫のポイントを解説した。
また、「ドローンをアプリで設定した通りにリモートで飛行させる体験をすることで、未来の産業に貢献できるのではないかという思いもあります」と、将来のIT人材の育成を視野に入れいていることも明かした。
対談の中では、教材の内容のデモンストレーションを披露。ORSOの坂本氏が四角くうずまきを書くように飛ばす、という課題を例に、工夫のしどころやおもしろさを紹介すると、ヒトロボの千葉氏も「この四角くうずをまくように飛ばす課題は、とても創造性豊かなプログラム。参加者はそれぞれのレベルで引き込まれます。力をつけてきたらその時点で新しい工夫のしどころもみつけられるので、楽しみながら知見や技術を身に着けることができると思います。ほかのプログラムもおもしろいのでぜひ参加してほしい」と訴えた。
ドロミングラボは2019年の秋に、ジュニア向けプログラムとして開発の方針が公表されていた。体制が整い、今回具体的に導入に踏み切ることになった。
子供向けプログラミング教室は全国で増えつつあり、ドローンスクール「ドローン・オペレーション・サービス・アライアンス(DOSA)」を運営する株式会社ダイヤサービス(千葉市)も、ドローンを使った子供向けプログラミング教室「StedRO」を運営し、独自に編集したテキストが好評だ。奈良女子大学付属中等教育学校(奈良市)では国語の授業の一環でプログラミングを指導する中でドローンを取り入れるなど、学校の教育現場にドローンを取り入れる動きが出始めている。
慶應義塾大学と包括連携協定を結んでいる福島県田村市にある福島県立船引高校で、9月10日、「ドローン特別講座」が開催され、船引高校でドローンに関連する活動を展開している「ドローン科学探求部」の1~3年生が、ドローンの操縦訓練に励んだ。この日も、慶應義塾大学SFC研究所・ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表が直接手ほどきをした。中には南氏の短い助言でコツを飲み込み短時間で上達する生徒もいて、ドローンの取組に積極的な田村市での担い手育成がまた一歩、進み始めた。
この日は同校の体育館を会場に、ドローンの操作に親しんだ。講師の南氏が参加者に与えたテーマは「〇を描く」。体育館の床に描かれたバスケットボールのコートなどを利用して、トイドローンが円を描くように飛ばすことを求めた。初心者は空中に停止させるところから、手元のプロポの左右スティックの倒し方や、スティック操作に応じた機体の反応を理解させていった。
経験者には、「ノーズ・イン・サークル」や「8の字」などの飛行を求め、技量の向上を促した。
講座の途中で、周囲と距離を取る必要性や、その距離の確認方法など、飛行させるために知っておくべき基礎知識もまじえた。
トイドローンのあとには、Phantom4も操作。屋外で撮影をするなどの活動により近い飛ばし方について指導を受けた。この日は、過酷な現場でドローンを運用している専門家も南氏の補佐として学校を訪れ、生徒の指導を手伝った。
福島県立船引高校は、慶大が田村市と2016年12月に協定を締結して以来、ドローン指導を取り入れている。南氏を中心にドローンの専門家が学校に出向き、直接、指導をする「ドローン特別講座」を提供しており、これまでに映像クリエイター、ドローンレーサーら第一線で活躍する専門家が指導に関わってきた。
船引高校はそれ以外にも、独自にドローンの練習をしたり、撮影をしたり、交流希望を受け付けたりと活動の場を増やしてきた。田村市内で開催された音楽フェスで飛行させたり、市内の総合防災訓練で撮影を請け負ったりとか領域も拡大させてきた。卒業生が県内のドローン関連企業に就職したり、農薬散布の資格を取得したりと、社会に役立てる道筋も描き始めている。
船引高校の高校案内の表紙が、平成30年、令和元年、令和2年とドローンで撮影した写真が採用されているのも、ドローンが特徴であることを示しており、船引高校のドローン活動が地域の特徴を形作り、住民の誇りとなるなど、さらに地元の活性化に貢献することが期待されている。