統合管理プラットフォームのブルーイノベーション株式会社(東京、東証グロース市場、5597)とドローン測量ソフトウェア開発の株式会社スカイマティクス(東京)は8月9日、対等な立場で資源や知見を提供しあい新サービスの開発を目指す戦略的業務提携を締結したと、双方が発表した。来年をめどに点検や土木で役立つデータ解析ソリューションの開発やサービス提供を目指す。ブルーイノベーションの「Blue Earth Platform(BEP)」などのプラットフォーム技術、スカイマティクスのクラウド型ドローン測量サービス「くみき」などの産業用リモートセンシング技術を融合するとみられる。
両者は締結した提携を「戦略的業務提携」としている。戦略的提携は提携企業同士が独立の立場を維持しながら、お互いのリソースを提供しあって価値を高める取り組みをさすことが一般的で、DroneTribuneの取材に「対等な提携」と回答があった。主に建設や土木分野でのソリューション開発や、サービス提供を目指すとしている。
ブルーイノベーションが発表した内容は以下の通り(スカイマティクスも冒頭の書き出しの主語の順番を入れ替えた同じ内容を発表している)
ドローン・ロボット×衛星・AI による次世代データソリューションの実現へ
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)と株式会社スカイマティクス(本社:東京都中央区、代表取締役社長:渡邉 善太郎、以下 スカイマティクス)は、8 月 9 日、戦略的業務提携に合意しました。この提携により、両社は急速にニーズ拡大する点検や測量(主に建設や土木分野)において、環境負荷低減や持続可能な社会の実現に寄与する新たなデータ解析ソリューションの共同開発やサービス提供を目指します。
■本提携の背景と目的
ブルーイノベーションは、複数のドローンやロボットを遠隔で制御し、統合管理するためのベースプラットフォームである「Blue Earth Platform®(BEP)」を軸に、ドローン・ロボットを活用したDX ソリューションを開発・提供しており、業務の安全化、効率化、低コスト化を実現しています。
一方、スカイマティクスは衛星データや AI 技術を活用した産業用リモートセンシング技術を軸に、ドローン測量ソフト導入シェア No.1 を誇るクラウド型ドローン測量サービス「くみき」等を開発・提供し、建設・林業・防災・インフラなど累計 40,000 現場でのリモートセンシングサービスによる DX推進を実現しています。
両社はそれぞれが強みを活かし、ブルーイノベーションの効率的なデータ取得技術と、スカイマティクスの高度な処理・解析技術を連携させることで、環境負荷を低減しながら、より効率的かつ高付加価値高次元なデータ活用を求める顧客ニーズに応える革新的なソリューション提供を目指します。
■代表コメント
ブルーイノベーション株式会社 代表取締役社長 熊田 貴之
近年、少子高齢化に伴う労働人口減少、既存インフラ施設の老朽化に伴う維持管理等のコスト縮減などの背景から、業務の自動化・効率化が求められています。特に、インフラ点検・建物管理・測量等においてドローンの活用・導入が急速に進んでおり、コロナ禍以降、その導入は一段と加速しています。当社はこれまで、BEP を軸にしたドローン点検サービスを提供し、電力や石油化学プラントを含む 300 件以上の現場で実績を重ねてきました。また、10 万人以上の全国のドローンパイロットとの連携実績を有しています。これまで、ドローンで取得したデータは、BEP とは独立した専用のアプリツールを用いて解析していましたが、この度、スカイマティクス様の高度な処理・解析技術を有する「くみき」と当社の BEP が連携することで、お客様にとって一貫性のある高品質なサービスを提供できるようになることを嬉しく思います。今後の両社の協業展開にご期待ください。
株式会社スカイマティクス 代表取締役社長 渡邉 善太郎
ドローン・ロボット・衛星などのデータ取得とその解析によるリモートセンシングサービスのニーズは今後益々高まると確信しています。ブルーイノベーション様はドローン・ロボットを遠隔制御するBEP を活用した DX ソリューションにいち早く取り組み、効率的にデータを取得する技術を確立してきた先進的企業です。そこに当社のデータ処理解析技術である「時空間解析プラットフォーム」を組み合わせ、データの取得から解析したインサイトの提供までワンストップで可能な次世代データソリューションサービスを開発提供できることを楽しみにしています。今後両社の連携を通じて、お客様のデータ活用と DX 化の促進に一層寄与し、我が国のリモートセンシングサービスの発展に貢献していきたいと強く考えています。
持ち帰り弁当の「HottoMotto (ほっともっと)」と定食レストランの「やよい軒」を国内外に3000店舗以上展開する株式会社プレナス(福岡市)が、埼玉県加須市で取り組んでいるコメづくりが間もなく収穫期を迎える。ドローンでの直播、農薬散布や、センシングなどのテクノロジーを使い、効率的に質のよい国産米を生産し、海外に輸出し、海外店でも自社産の国産米を提供する展望の第一歩だ。特筆すべきは、この事業に取り組む関係社員が、ドローンにも、農業にも初心者であること。農業従事者の減少に対する危機感と、日本のおコメを海外に届けたい情熱が元手の取り組みが、初めての実りの秋を迎える。
プレナスは日本国内の「HottoMotto」や「やよい軒」のほかに、海外でも約270の店を構える。一部、日本からの調達もあるが、多くが現地での調達だ。これを自社生産の国産米に切り替えることを目標に、今年2月、社内で「米づくり事業推進室」が発足した。集められたのは直前まで商品開発や仕入れ、物件などを担当していた社員。農業もドローンも初心者ばかりだ。
推進室は「生産性の高い稲作」を目指すことを決めた。重労働をできるだけ軽減できる方法で、どこまでできるか。ドローンもIoTも解析ソフトも使って、まずはやってみることにした。その結果は、翌年の稲作の貴重なデータになる。そんな実験的な色彩を帯びる事業だ。今年度の作物は、病害虫に強い地元埼玉県が奨励する「彩のきずな」、収穫量の多い「あさひの夢」のほか10種類以上だ。
推進室が発足してすぐの今年2月、埼玉県加須市に約2.5ヘクタールの農地を借り「プレナス加須ファーム」として管理を始めた。田んぼの整備、種子の準備を進めてきた。
5月には、ドローンで種もみをまいた。7月にはドローンを使って水田を上空から撮影し、葉色の色むらから生育具合を把握し、必要な箇所に適切な肥料を投下した。ドローンは散布用に株式会社FLIGHTS(フライト、東京)が開発した「FLIGHTS―AG」を採用。葉色解析のソフトウェアには株式会社SkymatiX(スカイマティクス、東京)の「いろは」を採用した。葉色解析のデータ取得にはDJIのMavic2 PROを飛ばした。
作付けは5月10日からドローンを使って始めた。水田から2メートルほどの高さから約4メートルの幅に種もみをまいた。苗を田植え機で植えるのではなく、種もみをドローンでまく「直播」にしたのは、同社のコメづくり事業が、効率化、スマート化を進める実験の色彩が濃いためだ。実際、この日の作業は「田植え機による作業の半分ほどの時間」だという。
また7月14日には地元行政や農業関係者が見守る中ドローンを飛ばした。ドローンが上空からとらえた映像をディスプレイに映し出すと、稲の根付き具合などが一目でわかり、のぞきこんだスタッフや様子を見守っていた関係者から「ほお」「分かりやすい」など感心する声があがった。
ドローンの画像は葉色解析クラウドサービス「いろは」にアップロードして解析した。「いろは」は、画像解析技術と地理情報技術を活用し、空からのデータを図面としてみることができるようにするソフトウェア。農地を画像にし、WEB上で管理、記録することで、関係者と共有したり、過年度の状況を振り返ったりできる。この日もドローンから得られた「いろは」で解析して得られた画像データから、光合成が活発に行われているところとそうでないところを色で判別するなどを行い、精度の高い生育状況の確認が可能なことを実感した。
肥料の追加投入が必要と判断した個所には、ドローンで追肥した。ドローンは液剤、粒剤のいずれも散布が可能で、この日は粒剤を散布した。
IoTも活用している。田んぼにはセンサーを設置し水位、水温を観測。スマートフォンで現状を確認できる。水を供給する設備も整え、スマホと連動させ、水位が低いときにはスマホで水の供給を指示できる。
「何をもって順調というのか、ほかの農家さんとは基準が違うと思いますが」と笑いながらも、現時点では順調だ。近く稲刈りをする。収穫した初めてのコメは、国産米として海外の店の一部に届けられる。初めての経験は、次年度以降の生産の土台となる。
初年度の収穫量は10トン程度を見込む。今後3~5年かけて50トン程度にまで引き上げたいと考えている。その先に、同社の海外の店舗で年間に使う約1000トンを見据える。将来的には海外の自社チェーン以外の日本食店や小売店向けの輸出にも取り組みたい。生産拠点の拡充も検討している。
当面は、ドローンなど先端技術を使うことで、安定的な供給と売り上げ拡大にどの程度めどがつくのかがカギになる。同社は「これからもお客様の満足と健康を実現し、人びとに笑顔と感動をお届けし続けることができるよう邁進してまいります」と話している。
※DF=記事中の株式会社FLIGHTS、株式会社SkymatiXはDRONE FUND投資先企業です
「米づくり事業推進室」は今年2月に発足し、私が室長になりました。私自身はコメづくりの初心者です。それどころかチーム全員がそうです。ほかのメンバーも直前まで商品開発、仕入れ、物件などを担当していた初心者ばかりが集まったチームです。
『やよい軒』も含め国内のお店ではすべて国産米を使っていて、その量は約4万トンです。ます。その意味ではかなりのおコメを使っています。それだけのおコメを仕入れてきたわけです。
ところが、仕入れ先である農業の現状は厳しくなっています。高齢化や、従事者の減少、コメの消費量も先細り。国も主食を減らす動きをしています。今年2月に「米づくり事業推進室」が発足したわけですが、その1年前にコメづくりの問題を考えるプロジェックトができてそこで調べてきたのですが、離農の進行も深刻です。農家の方にも話を伺いましたが「来年は仕入れられても、5年後はだれも残ってないよ」などという話も聞くようになりました。
会社としておコメを仕入れられなくなると困るわけですが、われわれの危機感は、「会社が困る」という次元をはるかに超えています。われわれがコメづくりに取り組むことで日本の農業の一助になればいいという気持ちです。
プレナスは事業でおコメを使いますが、文化を研究する部門もあります。精米工場も抱えています。おコメを大切にする会社なのです。唯一、生産だけ、手掛けていなかった。そこで生産から消費までのサプライチェーンのすべてに関与することで、総合的に、相乗効果も期待して、貢献ができることがあるのではないかと考えているのです。
われわれは国内だけでなく、海外にも店舗を持っています。海外に260~270の店舗があります。おコメも扱っています。ただし、国によってクオリティ、価格、仕入れルートがばらばらです。一方でおコメは日本のものがおいしいと思っています。海外でも日本のおいしいおコメを食べて頂きたいと思っています。ですのでわれわれが生産したおコメは当面、海外向けに提供することを予定しています。これは日本の生産者さんとの競合を避けるためでもあります。短期的には企業のブランディング、産地のサステナビリティへの貢献を視野に入れています。海外に持っていくことに成功すれば、日本の農業の可能性を拓くことにつながるかもしれません。価格帯も中間層向け。スマート農業では「高級米を高価格で」という声も聞こえますが、我々の取り組みはそれを目指しているわけではありません。
これからの農業は、少ない農家が大きな生産にシフトすることがテーマになります。従来の方法だと、重労働で規模拡大は難しい。2月に部署が発足し、春にはすぐ田植えという目先の問題もあり、負担の大きい作業は避ける必要がありました。そこで負担が少なくてすむ期待ができる直播にしました。
「直播」そのものは新しい方法ではありません。歴史はあります。しかし日本では定着していません。その理由として言われていることのひとつに、チャレンジできる環境にいない農家が多い、ということがあります。新しい方法にチャレンジしても、従来の方法で見込める生産量の保証がないので、チャレンジしにくいということです。われわれは企業です。チャレンジできます。企業が取り組む価値はそこにあるのかな、と思います。「だからこそわれわれがやらなきゃ」と、推進室のみんなが感じていて、できることに取り組んでいます。
ドローンでの直播もそのひとつです。ドローンを使ったのはこの数年で革新がすさまじいことと、日本の規模に見合っていそうなこと。海外の広大な規模の農業であれば、飛行機を使うとか、大型のトラクターを使うということがあります。日本の、少なくともわれわれの取り組む規模には、ドローンのサイズ感がちょうどいいと思ったのです。
初心者なりにいろいろと考えてやっていますが、初心者は初心者です。よいコメがたくさん取れればいいと思いますが、それ以上に、今回の経験に価値があると考えています。今回の経験の結果がまもなく稲刈りという形で出てきます。結果に関わらず、楽しみです。
ロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を提供する、Rapyuta Robotics株式会社(東京都江東区)が、株式会社みずほ銀行が四半期ごとにスタートアップなど有望なイノベーション企業を表彰する「Mizuho Innovation Award」に選ばれた。ドローン関連では株式会社エアロネクスト(2019年1-3月期)、株式会社FLIGHTS(2019年10-12月期)、株式会社スカイマティクス(2020年4-6月期)などが選ばれている。
「Mizuho Innovation Award」は、ビジネスモデルの優位性、チーム力、成長可能性などを評価して四半期に1回、10社前後の企業を選んで表彰する。受賞企業には、みずほ銀行が大企業とのビジネスマッチングなどのサポートを提供し成長を支援する。
このAWARDではドローン事業ではないものの多くの事業者に馴染みのあるAI事業を展開する株式会社シナモン、ディープラーニングの株式会社Ridgi-iも過去に選ばれている。
Rapyutaの受賞について、みずほ銀行は①ロボットの群制御において世界をリードする技術力とグローバルなチームを有している点②既存の設備、オペレーション、ロボットを活かす事ができる、物流現場の目線に沿ったロボティクス・プラットフォームを開発している点③人手不足、DX化といった社会の課題解決につながる、意義のある事業にチャレンジしている点―を挙げているという。
受賞を受けてRapyuta Roboticsは「今後も、コア技術であるロボットの群制御技術を磨きロボティクスの普及をサポートできるよう事業を加速させてまいります」とコメントしている。
(プレスリリースをそのままお届けします)フジインバック、朝日航洋、スカイマティクスの三社とJAXAは、日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」で回収した砂を地球へ持ち帰るプロジェクトにおいて、無人航空機による空撮オペレーションと画像解析技術を応用することにより、地球上に落下したカプセルを検出する技術を開発すると共に、この度のカプセル回収作業において早期のカプセル回収に貢献致しましたことをお知らせします。
広大な砂漠地帯でのカプセル回収作業においては、カプセルが発信するビーコン情報を元に有人ヘリにより探査する方式が採られていますが、ビーコンの故障などの事態に対応するため、「はやぶさ2」プロジェクトよりバックアップ策の一つとして「無人航空機と画像解析技術を用いたカプセル検出システム」の検討が開始されました。
この度、フジインバックにて無人航空機の開発を、朝日航洋にて搭載センサの選定、機材の提供を、スカイマティクスにて画像処理技術の開発をそれぞれ担当し、3社共同により「無人航空機によるカプセル検出システム」を開発、提供致しました。12月6日(日)未明に地球の大気圏に突入したカプセルは、同日早朝にオーストラリア南部の砂漠地帯に着地、それと同時にヘリコプターによる回収作業が行われました。その後、大気圏に突入する際にカプセルを保護したヒートシールドの捜索が無人航空機で開始され、砂漠地帯で撮影した画像でヒートシールドの落下地点を早期に特定することに協力しました。
フジインバック、朝日航洋、スカイマティクスは、これからも航空技術、画像解析技術の開発、提供通じてJAXAの宇宙航空事業の発展に貢献して参ります。
【会社情報】 会社名: 株式会社スカイマティクス 所在地: 東京都中央区日本橋本石町4-2-16 Daiwa日本橋本石町ビル6F 代表者: 代表取締役社長 渡邉善太郎 資本金: 1億円 事業内容: 産業用リモートセンシングサービスの企画・開発・販売 会社URL: https://skymatix.co.jp/