一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、2025年1月30日、仙台市と「災害時におけるドローンによる支援活動に関する協定書」を締結したと発表した。仙台市での発災時などにドローンでの支援活動を行う。
協定では、仙台市内で災害が発生したさいなどに、JUIDAが支援活動を行うことを盛り込んだ。この中には①ドローンによる調査、情報収集、物資運搬②操縦者派遣、機体提供、手続きや他機関との調整などの事務作業③映像等のデータの提供④そのほか必要な活動などが含まれる。
JUIDAは能登半島地震で災害支援に取り組みで自治体との協定が迅速な対応に有効と判断し、現在、都道府県や広域自治体、政令指定都市などとの連携を進めている。自治体からJUIDAに対する相談や問い合わせも増えている。
仙台市とノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社(東京都港区)は11月12日、プライベートLTEネットワークを使ったドローンの飛行と、ドローンの災害活用の実験を実施した。当日は仙台市の南蒲生浄化センターを起点にノキアドローンを3キロ離れた荒浜海岸まで飛ばし、津波警報が発令されたことを想定して非難を呼びかけたり、現場の状況を確認したりした。仙台市は2020年度中に市の海岸10キロでの実用化を目指している。
実験は、仙台市沿岸部で大津波警報が発令されたことを想定して行われた。プライベートモバイルブロードバンドネットワークソリューション「Nokia Digital Automation Cloud」を使い、仙台市宮城野区の南蒲生浄化センター付近の沿岸にプライベートLTEネットワークを構築。そのうえで、ノキアの完全自律型ドローンにスピーカー、HDカメラ、サーマルカメラを搭載してフライトさせた。
ドローンは荒浜海岸上空で、搭載したスピーカーから、事前に録音された音声を流したり、本部からリアルタイムで発した音声を配信したりする広報活動を実施。本部からは「津波警報が発表されました。沿岸付近の方は高台に避難してください」と呼びかけ、スピーカーからリアルタイムで声が届けられることを確認した。
また、ドローンからのHD映像やサーマルカメラ映像を受け取って、沿岸の様子を上空から確認したりした。
海岸から3キロ離れた本部で避難誘導活動ができることから、救援者が現場にかけつけるなどして津波にあう2次災害を避けられる有効な手段であることが実証された。
仙台市では東日本大震災のさい、避難を呼びかけるために荒浜地区に向かった職員2人が津波にあい死亡している。仙台市の高橋新悦副市長は「助けに行った方々が命を落とすことは、残されたわれわれにとってものすごく悔しい。二度とこういうことがないようにしたい。今回の検証はその意味では期待している」と述べた。
プライベートLTEはミッションクリティカルな状況下で対応できることが特徴。携帯電話で使われているLTE技術を、免許を持たない一般の企業、団体が専用ネットワークとして活用できるため、導入の期待が高まっている。今回の実験で使われたプライベートLTEは、TD-LTEネットワークで、TD-LTEネットワークを活用したドローンの飛行実証実験は国内では今回が初めてだ。
ノキアは、2017年に仙台市とICT技術活用する連携協定を結んでいてる。
仙台市は同士の海岸10キロを対象に、2020年度中の実用化を目指す考えだ。