ドローン関連スタートアップへの特化型ファンドであるDrone Fundと、ドローン研究に積極的な慶應義塾大学SFC研究所・ドローン社会共創コンソーシアムは7月4日、慶應義塾大学三田キャンパスのホールで公開シンポジウム「ドローン前提社会とエアモビリティ社会に向けた未来像」を開催した。会場は立ち見が出るほどの盛況で、正午過ぎから夕方までの5時間、途切れることなく刺激に満ちた発言が飛び交った。メーカー、サービス事業者、研究者、金融、通信事業者、行政など立場の異なる第一人者が登壇して発言。ドローンが日常の選択肢になる社会の到来を待望し、多くがその実現を前提とした問題提起や意見の提示で、主催者の一人、Drone Fundの千葉功太郎代表パートナーは「きょうがキックオフ。ドローン前提社会は必ず実現する。研究開発、ハード、ソフトを含め日本で新しい産業をつくることに取り組む」と宣言した。
シンポジウムでは冒頭、慶大ドローン社会共創コンソーシアム代表の古谷知之慶大教授が「滞在した欧州では議論が盛んにおこなわれていた。日本でどう盛り上げるか。このシンポジウムをきっかけに考えたい」と会場の問題意識に働きかけた。
また衆議院議員で「無人航空機普及・利用促進議員連盟 (ドローン議連)プロジェクトチーム座長の今枝宗一郎衆院議員がビデオメッセージを寄せ、政府が6月21日に、2022年度に有人地帯で目視外飛行を実現する目標や、2023年度に空飛ぶクルマ(エアモビリティ)を実現する目標を盛り込んだ次世代モビリティに関する政策目標を閣議決定したことについて「政府としてコミットしたのは日本が初めて。この分野では日本が世界でナンバーワンになると確信している」と強調した。
閣議決定については、米山茂内閣官房副長官補室もあいさつの中で言及し、「ドローンについては、MaaSと並ぶ形で示されている」と政府としての優先度の高さを指摘。「今年度中に制度設計の基本方針を策定する」と、政府としての具体的に動くことを説明した。
Drone Fundの千葉氏は公式行事でのおなじみの着物姿で登壇。日本が気候変動による災害頻発や、人口減少、社会インフラの老朽化などの課題が押し寄せていることに言及し、「圧倒的な量の課題が押し寄せている。これをロボティクス、AI、IoTを使って解決する機会ととらえ、ソリューションを社会に実装し、グローバルに展開したい」と前向きなとらえ方を提案した。近未来の社会像について「ドローンが街の一角にたくさんあって、それを誰でも自由に、頭上を気にすることなく使えるようになる。小さいドローンが狭くて暗くて暑くて汚い空間で、人の代わりに働いてくれる。高所で危険な場所でも活躍してくれ、たとえば屋根点検ではAIを搭載して修理が必要な個所を指摘してくれる」と展望した。
また「ドローンはいまや空だけでなく、陸海空いずれの空間であれ、遠隔で、自律して動き、統合されて全自動で機能するもの」と説明し、2022年までに稲作の50%をIT化する農水省方針が示された農業や、株式会社エアロネクストの機体が傾いても積み荷が傾かない重視制御技術に期待が寄せられる物流などを例にあげ、産業全体での自動化、遠隔化、統合化に期待を示した。
成長戦略閣議決定にも言及し、「年号を決めて政府が実現目標にコミットしたのは日本が最初という話があった。日本は決して遅れていない」と高く評価した。
シンポジウムのハイライトは、ゲスト登壇者をまじえての3つのセッションだ。セッション1は「新しい産業・社会の創造」をテーマに、大和証券の中田誠司社長、KDDIの高橋誠社長、みずほ銀行の藤原弘治頭取が登壇し、千葉功太郎氏がモデレーターを務めた。
大和証券の中田社長は「コアの証券事業のほかに、IPOエコシステム構築に力を入れていて、リスクマネー供給、M&A機会の提供もしている。空の産業革命を応援しており、新しい産業を作る気持ちで取り組みたい」と決意を表明した。高橋KDDIの高橋社長は5Gの導入について「新規格が登場するたびに、動画がキラーアプリケーションになる、などと言われながら、これまでそうはなってこなかった。5Gでも同じようなことが言われているが、実際にはドローンが5Gのキラーアプリケーションになりうると考えている。トラステッドとイノベーティブのどちらもないと両方を大切にしたい」と述べた。
みずほの藤原頭取は「やりたいことはひとつ。日本企業をもう一度元気にすること。最近、金融機関はお金を貸しても感謝されない。なぜならお金の出し手はいっぱいいるから。そうであればいますべきことは知恵を出すこと。そして、イノベーションの全体像を描き、ベンチャーと大企業をつなぎ、必要な資金を供給する。そのときに忘れていけないのは、目の前にある課題を解決する、ということ」と起業家支援の姿勢を鮮明にした。
セッションの中では、「いい投資家、悪い投資家」「会社の中での副業・兼業のありかた」などにも話題が及び、事前に想定されていない言葉も飛び出して、関係者がひやひやさせる一幕もあった。
また、藤原頭取は「日本経済の渋滞による損失は12兆円といわれる。空の産業革命にその解決を期待したい」とドローンへの高い期待を表明。米シリコンバレーに、現地経営者と面会するために訪れたさい、途中で渋滞に遭遇した経験を引き合いに、「シリコンバレーの経営者と面会をしたときにそのことを話したら、空の産業革命に取り組もうというときにプライベートジェットを使わないできたのか、と言われた。そこで、足元の(渋滞という)課題を解決することがスタートアップの役割ではないのかと言い返した」というエピソードを披露し、会場から喝さいを浴びた。
セッション2では、「フィールドロボットによる自動化」をテーマに、小説『下町ロケット』のモデル企業として話題になり、Drone Fundへの出資者でもある農業機械メーカー小橋工業株式会社(岡山市)の小橋正次郎社長、ドローンスタートアップとしては初めて昨年12月に上場した株式会社自律制御システム研究所(ACSL、千葉市)の太田裕朗社長、筑波大学発の水中ドローンメーカーFullDepth(東京)の伊藤昌平社長、農業ITを手掛ける株式会社農業情報設計社(北海道帯広市)の濱田安之CEOが登壇。モデレーターをDrone Fundの大前創希代表パートナーが務めた。
この中でACSLの太田社長は「われわれはドローンを制御系から作っている。作っているドローンには“大脳”に指令を与える目がついている。また、日本郵便が実施している配送事業ではわれわれの機体が使われているが、制御しているのは郵便局の職員であることに注目してほしい」と、専門家でなくても扱えることが可能であることを指摘した。FullDepthの伊藤社長は「実は水の中が分からない、という課題は多い。プラント建設のさい、足場がどうなっているのか、建設したさいにどんな影響があるのか。これが自動で確認できれば、水中で呼吸できない人が水に入らずに済む。そもそも潜水士も減ってきている。高コスト、危険、面倒を変えられる」という問題意識が開発の発端だったことを明かした。
農業情報設計者の濱田CEOは「(農業機械の)まっすぐ、等間隔、を研究している。労働費などの10%が無駄といわれていて、それを解消したい」と話し、開発したアプリが世界で10万ダウンロードされた事例をあげ、世界中に「まっすぐ、等間隔」の需要があると指摘した。小橋工業の小橋社長は「モノづくりをしたいと思ったときに、どこに行けばいいかわからない、量産したいときにどこに行けばいいかわからない、という状況で、日本のものづくりはすごい、と言えるのか」と問題提起した。討論の中では、濱田CEOが「耕すだけであれば自動化できるが、種がどれぐらい残っているかが分からないままではインテリジェンス化できていない。“機械化貧乏”という言葉もある。課題を解決しないといけない」と発言した。
またモデレーターの大前氏が「安全性の確保に努めている中、ロボットがダメージを与える可能性をどう考えるのか」と問題提起を。濱田CEOから「作物に子供が隠れていたら分かるのか、とか、走って飛び出して来たらどうするのか、とか聞かれることもある。どこまで対応すべきなのか」と現場経験を報告。大前氏は「リスク算定の面で地方が担う役割があるのではないか」と話した。
セッション3では、「次世代モビリティ社会への展望」をテーマに、慶大の古谷教授、経産省製造産業局総務課の伊藤貴之課長補佐、空飛ぶクルマを開発する株式会社SkyDriveの福澤智浩代用取締役が登壇。Drone Fundの高橋伸太郎最高公共政策責任者がモデレーターを務めた。
古谷教授は「いま考えないといけないことは社会課題をいかに解決し、それを子や孫に引き継ぐかということ。課題を解決できなければエアモビリティは消えていく。エアモビリティの部品メーカーのリスクも高くなる。それは、その部品を搭載した機体が重大な事故を起こすと、部品が問題視されるからだ。基準を満たした部品でも、大きな問題が起きれば、企業の存在が危ぶまれる事態さえ起こる。信頼性をだれが保証するのかといったことが大事になる」と問題提起した。
そのうえで、欧州赴任期間中に、自動運転やスマートシティの取り組みから学んだこととして「“日本初”は世界では意味がない」ことや、社会受容性、多様性、経済性の面では日本より海外のほうが研究環境が整っていること、研究開発のための実験は数年で飽きられること、事業性判断に必要な社会実験は数回で十分なこと、低廉化の迅速な実現の重要性などを列挙した。そのうえで「統合型近未来交通パッケージ戦略の策定が重要になる」と分析した。
経産省の伊藤氏は官民協議会を開催した背景に「社会受容性の醸成という意味もあった。言い換えれば、納得して飛ばせる社会をどう作るか。これからも開催したい」と表明した。SkyDriveの福澤氏は、空飛ぶクルマの開発の狙いを「1秒でも早く移動できる自由、道路がなくても移動できる自由、意のままに移動できる自由を獲得したいから」と説明。「通勤ラッシュ、渋滞、乗換え待ちをなくしたい」と語った。
モデレーターの高橋氏は「ドローン前提社会は、未来でなく今、起きつつある。実際、成長戦略実現のためには今年度内に制度設計を策定する必要がある。航空機も自動車も、事故で亡くなった命があり、そのうえに今の技術があることを認識しなくてはいけない。フューチャーモビリティーがもたらす安全、安心、快適を享受できる時代を構築するうえで、安全の確保は大事だ」と問題提起した。さらに、古谷教授が「国際的なシンポジウムをすべきだ」と提案すると、伊藤氏が「同じことを言おうと思っていた」と応じるなど、早くも次のシンポジウムを模索する発言が飛び出した。
シンポジウムで出された意見は、ドローン前提社会が実現することを前提とした意見ばかりで、関係者の思考が、「どう実現させるか」から「実現したあと」にシフトしつつあることを印象付けた。
ドローン物流と既存物流を融合させた「新スマート物流」を提唱、展開している株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>、田路圭輔代表取締役)は10月8日、足利市<栃木県>、足利市内で燃料小売などのカーライフサポートを手がける両毛丸善株式会社 (河内覚代表取締役)と3者で、足利市内での新スマート物流の実施を見据えて「新スマート物流社会実験に関する覚書」を交わした。ドローン事業専門の部署を持つ両毛丸善がドローンの運航を担う。災害時にも通常時にも物流機能を担う運用を目指し、飛行ルートの検証などの可能性を探る。早ければ来年(2026年)1月にも運航に着手する。
3者による覚書の締結は足利市役所内で行われた。新スマート物流の可能性について研究するため相互に協力する。具体的には足利市内で新スマート物流の拠点整備や災害発生時にも緊急物資輸送に使えるルートを検証したり、中山間地などの物流困難地域への物資輸送をしたりすることなどを盛り込んでいる。
地元の企業、両毛丸善が新スマート物流の社会実験を推進し、足利市が地域コミュニケーションやフィールド調整など行政としてサポートする。これまで新スマート物流はNEXT DELIVERYが中心に運用してきたが、今回は地元企業が中心となる点が特徴で、地元企中心のフェーズフリー型新スマート物流のモデルケースを目指す。
NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は「両毛丸善さまという地元企業とパートナーを組むことができました。このように地元主導でしっかり新スマート物流を実装に向けて進めるのは、今回がはじめてのケースになると思います。ドローンの運航というのは機体の操縦だけではなくて、運航、システム、着陸地点の調整などすべきことがいろいろとあります。それをわれわれと同じクオリティで担える地元の事業者を探しておりましたが、両毛丸善さまはすごいチームもありビジョンも持っていて、展開できると確信しています。必ずや成功させたいと思っていますし、そのためにわれわれが持つ技術やノウハウを注ぎ込み、われわれのオペレーションを完全に移植して参ります」とあいさつした。
両毛丸善の河内覚代表取締役は「ドローンの利便性、将来性に着目し4年前にドローン事業の準備に入り、3年前に事業に着手しました。空撮、農薬散布に取り組みながら、究極の目的であった物流への参入が難しかったところで、今回、覚書を締結できることになり嬉しく思っております。ハードルは高いですが、災害時も平時も使えるようドローンを使った物流で地域貢献、地域課題解決にさらに力をいれて参ります」と応じた。
足利市の早川尚秀市長は、「NEXT DELIVERYさまとは2年前に実証実験を共同で行いました。今回は両毛丸善さまに入って頂いたことが大きいです。両毛丸善さまの大きな決断で覚書が買わせました。われわれも全力で支えます。まずは実験を積み重ね、近い将来ドローンも使った物流に向けた大きな一歩になると思っています。足利のような歴史ある町で、ドローンの先端の取り組みが行われ、地域課題の解決につなげることが大切だと思っています。まち全体が実験場というつもりで、市としても実装までしっかり役割を果たし、協力しながら成功に導いていきたいと考えています」と抱負を述べた。
締結式の会場には、足利市の実験に投入される機体「PF4」も持ちこまれた。PF4はNEXT DELIVERYがモンゴルで活用していて、日本国内の連携協定などの提携の会場で公開されたのはこの日が初めてだ。5㎏の荷物を往復40㎞の範囲を自動航行で飛行させることができる。NEXT DELIVERYの田路代表は「それまでのAirTruckという機体より詰める箱が大きくなり飛行速度も速くなりました」と説明した。さらに、「ドローン配送は、定期配送の可否が社会実装のカギだと思っています。たとえば毎日午後4時に必ず1便飛ぶ、と決めてそこに地域の荷物を持ちこんでもらって飛ばす。災害があったときに避難生活を送っている方に届けるようなものを普段からそのルートで運び続けるわけです。一日1便から2便、3便、4便と増え、その地域では両毛丸善さんのドローンが毎日飛ぶようになると、それまでとはまったく違う世界になると思っています」と展望した。
足利市は2021年の山林火災対応をきっかけに、災害時の空のトラブルを防ぐための
「緊急用務空域」の仕組みが創設されるきっかけとなった地域で、ドローンの運用にとって新たな枠組みが生まれた地域として知られている。
ドローン機体構造技術の株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、田路圭輔代表取締役社長・グループCEO)は、独自の特許取得済み重心制御技術「4D GRAVITY®」を搭載した物流専用ドローン「PD4B-M-AN」を、株式会社プロドローン(愛知県名古屋市、戸谷俊介代表取締役社長)と共同開発し、名古屋市で開催された第4回ドローンサミットで発表した。
物流専用ドローンPD4B-M-ANは4つのローターを持つマルチコプターで、バッテリーを含む機体重量は20㎏。最大3㎏までの荷物を運べる。4D GRAVITYの技術を取り入れた荷室を、機体の本体と分けたうえで結合していて、飛行中にドローンが進行方向に前傾しても荷室は前傾せず、荷物が傾かない構造になっていることが特徴だ。これにより飛行性能、機動性の向上も図れる。
エアロネクストとプロドローンは2024年2月に4D GRAVITYテクノロジーライセンス契約を締結していて、プロドローンの汎用機体「PD4B-M」に4DGRAVITYを取り入れた。
エアロネクストの子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)が受託した「あいちモビリティイノベーションプロジェクト空と道がつながる愛知モデル2030」の物流ドローン社会実装モデル推進事業として近く、現場で飛行する予定だ。
千葉・幕張メッセで開催中の農業技術関連展示会「農業WEEK」で、株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、朝霞市<埼玉県>)が発表した鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の展示に来場者が集まっている。ブースでは担当者からこれまでの実験の様子や今後の展開などに聞くこともでき、来場者から「発表されていない現場での実験の様子なども聞くことができ、期待が高まった」などの声が聞かれた。農業WEEKでは株式会社石川エナジーリサーチ(太田市<群馬県>)や中国・上海のポジショニング技術のCHC Navigation(CHCNAV)などそのほかのドローン関連技術や自動操舵技術も展示されている。開催は10月3日まで。
NTTイードローンの鳥獣害対策専用ドローン「BB102」は農業WEEKの「NTTグループ」ブースで出展されている。取り回しのよさなどで農業関係者から評価の高い散布ドローン「AC102」を見にきた来場者が、その隣に展示してある「BB102」を見つけ、足をとめて説明に聞き入り、ひとだかりができていた。
展示ブースではBB102が黒い布に赤色と緑色をランダムに照射する様子が実演されていて、担当者から緑の色が鳥獣の痛点を刺激することや、赤い色がエサのようにみえることなどが説明された。
イードローンが9月30日に発表したプレスリリースには、効果が確認された鳥獣として、カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなどが示されていたが、ほかにも効果的な鳥獣があるなどの話を聞くこともできる。担当者に聞くと、全国で被害が広がっているクマも、このレーザー照射にいやがる様子を見せたと話していて、今後の検証次第ではさらなる効果が期待できそうだ。その場合、クマの出没現場にどのようにドローンを飛ばすか、など具体的な対応法も論点になる可能性がある。
このほか、ある湖で実験したらはっきりと鳥獣がいやがる様子を見せたことなどの実験現場の話も聞くことができる。
農業WEEKではイードローンのほかにも、石川エナジーリサーチの農業用ドローン、CHCNAVのリモートセンシング技術、自動操舵技術などが展示されている。
農業WEEKはRX Japan株式会社が主催し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、日本農業法人協会農業が後援する、「国際スマート農業EXPO」「次世代農業経営EXPO」など5つの農業関連展示会をまとめたイベントの総称で東京会場(幕張メッセでの開催)は今回が15回目。主催者は「J-AGRI(ジェイアグリ)」の呼び方の定着を目指している。九州でも同じ趣旨の展示会を開催していて、第4回九州農業WEEKが2026年5月27日から29日まで益城町<熊本県>の展示会場、グランメッセ熊本で開催される予定だ。
参考:イードローンが鳥獣害対策機BB102発表
AI、ロボティクスの社会実装推進事業を手掛けるGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR、内田朋宏代表取締役社長)は9月30日、「ロボット人材派遣型サービス」に中国・深圳のロボットスタートアップEngine AI社製のヒューマノイドロボット「PM01」をラインナップに加え、2026年1月から派遣を始めると発表した。
「PM01」は世界で初めて前方宙返りを達成した高い身体機能で話題になったヒューマノイド。イベント、研究など幅広い分野での活用が期待できる。GMO AIRは「ロボット人材派遣型サービス」として技術指導、ソフトウェア開発サポートも支援する。「PM01」を開発したEngine AIは、自動車と空クルを融合させた「Land Aircraft Carrier」を開発したシャオペンエアロ(XPENG AEROHT)のシャオペン系のテクノロジー企業グループの一員で、高い技術力で知られる。
GMO AIRは「PM01」について、ダイナミックな身体能力、柔軟なカスタマイズ性、アイアンマンに着想を得た洗練されたデザインの3点を主な特徴にあげ、「イベントや展示会で圧倒的な演出力を実現する」と説明している。
GMO AIRは、2025年4月から「ロボット人材派遣型サービス」を展開。4足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットの中国・Unitree社(宇樹科技)のヒューマノイド「G1」を中心にエンターテインメント、研究機関、実証実験などの現場に派遣している。2026年2月にはAIとヒューマノイドロボットを手がける中国・UBTECH Robotics社(優必選科技)の「Walker E」の派遣も予定している。「PM01」が追加することでラインナップが充実する。
■サービスURL:https://ai-robotics.gmo/lp/robot-haken/
■GMO AIRについて:https://ai-robotics.gmo/
■GMOインターネットグループ株式会社について:https://group.gmo/
株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、埼玉県朝霞市)は9月30日、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」を発表した。搭載したレーザーで赤色と緑色をランダムに照射して鳥獣に強い違和感を与え退避行動を促す。カラス、ハト、イノシシ、ハクビシンなど幅広い鳥獣への効果が確認されたという。イードローンは「BB102」を2025年10月1日に提供を始める。10月1日に千葉・幕張メッセで開幕する展示会「農業WEEK」では、NTTグループブースで公開する。価格は「オープン価格」としている。
鳥獣害対策専用ドローン「BB102」はレーザーを搭載していることが特徴で、一般社団法人地域総研(東京)が2018年1月に実用新案登録証と商標登録証を取得した「クルナレーザー」をドローンに活用した。ドローンは自動航行機能も備える。レーザーを搭載した鳥獣害対策専用ドローンは例がないとみられる。
仕組みは赤色と緑色のレーザーをランダムに照射するもので、これが鳥獣に強い違和感を与え退避を促すという。鳥獣が慣れてしまうことへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果を持続させる工夫もこらした。
農林水産省によるとイノシシ、シカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模にのぼるうえ、鳥インフルエンザ、豚熱など畜産業での防疫対策も深刻で、「BB102」で農作物被害抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減との両立を目指す。カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなど多くの鳥獣への効果が確認されていて、実験では水田、果樹園、山林、湖などさまざまな環境での有効性を示した。
イードローンによる発表は以下の通り。
株式会社NTT e-Drone Technologyは、全国的に深刻化する鳥獣害問題に対応するため開発・製造した、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の提供を2025年10月1日(水)より開始いたします。レーザー搭載の鳥獣害対策ドローン(国内初)による高い忌避効果と自動航行機能により、農作物被害の抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減を両立します。
1.背景と目的
イノシシやシカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模(※1)にのぼり、深刻な社会課題となっています。さらに、鳥インフルエンザや豚熱など畜産業における防疫対策も喫緊の課題です。
当社はこれまで農業用ドローン等の提供を通じて農業分野における省力化・効率化を支援してきましたが、今回新たに提供する「BB102」はこれまでの技術を応用し、鳥獣害対策に特化して開発した国産ドローンです。農作物の被害減少に加え、鳥獣害対策に要する人的・時間的負担の軽減を図ることで、第一次産業全体の持続可能性向上に寄与します。
※1:数値データは、農林水産省HPより出典
2.製品概要と特長
「BB102」は、上空から広範囲にレーザー照射を行えるため、地上設置型では難しかった屋上や高所を含む鳥害対策を実現します。
<特長1>「クルナレーザー(※2)」による忌避効果
赤色と緑色のレーザーをランダムに照射し、鳥獣へ強い違和感を与え退避を促進させます。また、慣れへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果の持続性を高めています。
※2:一般社団法人地域総研の登録商標
<特長2>自動航行機能
送信機の画面で飛行範囲を設定するだけで自動航行が可能です。養鶏場や牛舎など、広範囲のエリアを効率的に対策できます。
<特長3>FPVカメラ搭載
送信機の画面上で屋根や高所の確認が可能です。鳥獣害対策に加え、点検用途にも活用できます(目視外飛行不可)
<特長4>幅広い鳥獣への効果
カラス、ハトなどの鳥類、イノシシやシカ、さらにカワウ・サギ・ハクビシンなど、多様な鳥獣に対する忌避効果が確認されています。水田、果樹園、山林、湖など様々な環境での実証実験でも高い有効性を示しました。
4.受付開始日
2025年10月1日より開始
※デモ会、説明会、意見交換会等のご要望にも対応します。
5.価格
オープン価格
<参考>展示情報
第15回農業WEEK(会期:10月1~3日、会場:幕張メッセ)NTTグループブースにて「BB102」を展示します。
ドローンの普及促進を目指す第4回ドローンサミットが9月24日、名古屋市の大規模展示会場、ポートメッセ名古屋第1展示館C・Dホール(名古屋市港区)で開幕した。ドローンサミットの開催は、神戸、長崎、福岡につぐ4回目。開会式で愛知県の大村秀章知事は「過去最大の135の企業、団体が出展することになった」と述べた。NTT e-Drone Technologyは仏パロットのANAFI UKRを初公開し、株式会社Tech Drone(東京)はこの日公開したばかりの空撮を支援するアプリを説明するなど、各社、団体が工夫をこらした技術を披露している。サミットは25日まで。
第4回ドローンサミットは、愛知県、経済産業省、国土交通省が主催し、9月24日、25日の9:45~17:00にポートメッセなごや第1展示館C・Dホール(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地)で開催される。フランスのadvanced business events(BCIエアロスペース)が主催する航空宇宙分野のビジネスマッチングの商談イベント「エアロマート名古屋2025」と同時開催で、エアロマートは同じポートメッセなごや第1展示館のA・Bホールで9月24日から26日まで開催される。
初日の開会式では愛知県の大村知事のほか、竹内真二経済産業大臣政務官、吉井章国土交通大臣政務官が主催者を代表してあいさつしたほか、自民党の田中和則無人航空機普及・利用促進議員連盟(ドローン議連)会長・元復興相、鶴保庸介ドローン議連幹事長が来賓としてあいさつした。愛知県の大村知事は「ドローンや空飛ぶクルマの実現のはずみとなることを期待しています」などとあいさつした。
展示会場では三菱重工業が、200㎏の重量の荷物を運べる大型ハイブリッドドローンがひときわ目立っている。25日には同型のハイブリッドではないドローンで150㎏の荷物を吊り下げて飛行する模擬飛行に挑む。
このほか有限会社森山環境科学研究所は、空中のウイルスを補修するためのドローンや、人が立ち入れない汚染空間にもぐりこむウイルス補修クローラーを展示。水中ドローンの普及に尽力している株好き会社スペースワンは、管路点検クローラーロボット「PIPETREKKER」や、水中ドローン「CHASING」「DeepTrekker」シリーズを展示している。
シンポジウム会場では、対談、パネルディスカッションなどに第一線で活躍中のキーマンが登壇している。シンポジウム会場では登壇者の発言中に、すぐ隣に配置された屋内デモフライトゾーンでの飛行音が響くこともあった。
サミットは25日まで。入場は無料で、原則、事前登録が必要だ。