制御技術のブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は、送電線の点検業務で、ITやドローンの専門家でなくてもドローンで専門家の作業と同水準に遂行できるソリューション「BEPライン」を開発し、11月7日にサブスクリプションと業務委託で提供を始めると発表した。BEPラインはブルーが独自開発したセンサーモジュールとアプリケーションで構成され、搭載するドローンも幅広く適用が可能だ。ブルーは5月に、東京電力ホールディングス株式会社(東京)、株式会社テプコシステムズ(東京)と共同で、たわんだり揺れたりする送電線にドローンが自動追従してリアルタイムで撮影する技術「送電線点検用ドローン自動飛行システム」の開発を発表している。BEPラインはこの共同開発の技術を採用し、ブルーの制御技術「Blue Earth Platform(BEP)」をベースに、現場作業の要求を蓄積し、コストなどの負担を考慮し、使い勝手などのユーザー体験の改善を積み重ね、5年7カ月かけて開発した。今後、国内外の電力会社や点検事業者への普及を図る考えだ。
BEPラインは、ドローンの機体に搭載するセンサーモジュールと、操作やデータ管理のアプリケーションで構成される。モジュールは重さが750g、大きさが16㎝×11㎝×8.5㎝で、洗練されたデザインのボックスに納められている。点検に使うドローンは、メーカーを選ばず、モジュールが搭載できれば、チューニングをしたうえで適応できる。
センサーモジュールは、搭載したドローンの機体とカメラのジンバルを同時に制御し、送電線の点検に適切な距離を保ち、たわみやゆれに追従する。事前に飛行ルートを設定する必要はない。作業員はリアルタイムに送られてくる映像で不具合の有無を確認でき、鉄塔にのぼるなどの従来の重労働の必要性から解放される。映像内で気になる個所を見つけた場合などに、ドローンをホバリングさせることもアプリ操作で可能だ。
11月4日の発表会で行われたデモンストレーションでは、モジュールを搭載したドローンが、送電線を認識するとピクっと認識した挙動を示し、そのあとは送電線にカメラを向け、一定の距離を保ちながら安定して移動する様子が確認できた。またモニター画面には、送電線のキズの有無などが確認できるレベルの鮮明な画像が、ピントのずれなく映し出された。
ブルーイノベーションの熊田貴之社長は「われわれの技術は東京電力グループと開発した技術を採用しておりますが、用途は特定の電力会社に限りません。各方面で多様な技術やドローンの投入が検討されていると思いますが、われわれの技術もあわせて使って頂きたい、というスタンスです」と、幅広く役立つことへの期待を表明した。また提供先として、国内外の電力会社や点検事業者を想定していることについて、「官も含めたプロジェクトとすることも視野に入れています」と、普及に向けた幅広い選択肢を示唆した。
開発にあたった同社システム管理部の千葉剛マネージャーは、モジュールの搭載に工具を使わずに済むようにしたことなどいくつもの工夫点をあげたうえで、「開発を開始したのは2017年3月です。それからどのセンサーを使うか、現場で使いやすいかなど、膨大なヒアリングをし、フィードバックを受けながら、人がすることと同じことができなければ意味がないという思いで開発してきました」と説明した。
同社は今後、時事体験できる機会を設定し、使い勝手を確認してもらう計画だ。
同社の発表は以下の通り。
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、たわみや揺れのある送電線に沿ってドローンが自動追従飛行し、点検に必要な各種データを撮影・取得することで点検業務を自動化・効率化・安全化するソリューション「BEPライン」※1を開発し、国内外の電力会社や設備点検・メンテナンス会社などに向けて、11月7日からサービス提供を開始します。
「BEPライン」は、ドローン機体に搭載する独自の送電線追従モジュールと操作・データ管理アプリから成り、自社で点検作業が行える「サブスクリプション」と、点検作業をお任せいただく「委託点検」の2つのサービスプランからお選びいただけます。
なお、「BEPライン」には、ブルーイノベーション独自のデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform®」をベースに、東京電力ホールディングス株式会社、および株式会社テプコシステムズと共同開発した「送電線点検用ドローン自動飛行システム」が採用されています。
■「BEP ライン」の特長
① カンタン操作|事前のルート設定が不要。すぐに高画質な自動撮影を開始
ドローンに搭載したモジュール内のセンサーが、送電線の自動検知とドローン機体ならびにカメラジンバルの制御を同時に実施します。ドローンは自動で送電線と適切な距離を保って追従飛行し、最適な画角で対象となる送電線を捉え撮影し続けるため、事前の飛行ルート設定なしで点検を開始できます。
また、画像認識と異なり逆光や影、類似する構造物の影響を受けないため、常に高品質なデータ取得が可能です(特許取得:特開 2018-156491:設備点検システム)。
② 安全・確実|点検員の負担と危険を軽減
ドローンが自動で送電線の追従飛行と映像データ取得を行うため、点検員は昇塔の危険やドローン操縦の負担がありません。ドローンからリアルタイムに送られる映像を確認し、気になる点検箇所や異常箇所があれば、アプリ操作によりその場でドローンを一時停止させ、映像を拡大するなどして状況を確認することができます。
③ 品質向上|取得情報のデジタル化・共有化による点検品質の維持・向上
送電線の自動追従飛行では常に一定の離隔距離を保ち、映像を記録します。そのため、電線の映像を常に安定して画角に捉えることができ、送電線のより線までしっかりと記録できます。
また、常に送電線を検知しながら飛行するため、送電線のたわみが大きい箇所や傾斜の勾配がある現場でも、常に送電線を追従しながら飛行し映像を記録できます。さらに、風の影響でドローンの向きや位置が変わっても、位置や向きを補正して飛行します。
■「BEP ライン」 導入メリット
「BEP ライン」を導入することで、従来の高倍率スコープやヘリコプターなどを使う従来の目視確認と比べ、点検品質の向上、点検員の安全確保、作業の効率化、コスト低減が可能となります。さらに、将来的な点検員不足や、設備の高経年化による点検対象増加への対応など柔軟な点検体制の構築と、データ利活用による施設の高度な運用・管理、予兆保全、DX 化の推進に寄与します。
■選べる2つの導入方法。社内研修による自社点検にも対応。
「BEPライン」の導入方法は、点検頻度や運用方法などにあわせて、以下のサービスプランからお選びいただけます。
※サブスクリプションプランでもパイロット派遣が可能です。また、お客様自ら点検運用できるよう、運用・育成カリキュラム
(許可申請など法規制関連や安全管理、実技講習など)もございます(オプション)。
【BEP ライン|導入ご相談・お見積り】
送電線ドローン点検ソリューション BEPライン
■「BEP ライン」主な仕様
埼玉県は10月14日、「第2回ロボティクスセミナー~ドローンの研究開発と活用の潮流~」を開催した。埼玉県が2026年度の開所を目指すロボット開発支援施設「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」への興味や期待を喚起することが目的で、福島県南相馬市にあるロボットの開発支援拠点、福島ロボットテストフィールドの所長で一般社団法人日本UAS産業振興協議会の理事長を務める鈴木真二氏ら、ドローン事業で名の知れた関係者が登壇した。鈴木氏は、「埼玉と連携したい」と話し、SAITAMAロボティクスセンターへの期待を表明した。
登壇したのは鈴木氏のほか、ドローン物流の実現に向けた動きを加速させている秩父市産業支援課の笠井知洋氏、秩父市の実験でドローンの運用を担い、物流へのドローン活用に取り組む楽天グループ株式会社(東京)ドローン事業課の谷真斗氏、埼玉県内に本社を構え地元にフライトスペースを構え、農業、空撮などの地元貢献にも力を入れる株式会社NTTe-Drone Technologyの山崎顕代表取締役、ドローンやロボットなどの人手を自動化するデバイスを制御するプラットフォーム関連技術を手がけるブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之代表取締役らで、それぞれが近況や埼玉との関係などについて述べた。
鈴木氏は、「レベル4実現に向けたドローンの新制度と今後の展望」の演題、ドローンの歴史、用途、市場の成長、理事長をつとめるJUIDAの事業や、会員の推移、所長を務める福島ロボットテストフィールドの役割などを説明し、「埼玉県もSAITAMAロボティクスセンターをつくるということなので、今後連携をとらせて頂きたいと思っています」と期待を表明した。また、JUIDAの理事長として毎年、年頭に公表しているスローガンを振り返り「来年のスローガンをどうするか、みなさんと考えたいと思っております」とアイディアを募った。
秩父市の笠井氏は、秩父市が埼玉県で最も広い市であることや、年間の観光客数ガパリのエッフェル塔に匹敵するなどのエピソードで関心を引き、ドローンでは、物流、遠隔医療、MaaSなどに取り組んでいることを説明した。関わり方については「行政として使命感をもって取り組んでいる」と明言した。市内で行われた物流の様子については動画を披露し「未来技術で住み続けたいまちを目指します」とメッセージを寄せた。
秩父市での物流事業にも参加した楽天グループの谷氏は、ドローン配送に取り組む背景を、宅配の増加と担い手の減少がもたらす将来不安の解消をあげ、「不便解消のひとつの手段がドローン」と説明した。三重県志摩市の離島物流や、長野県白馬村での山小屋への荷物配送などの事例を紹介し、「過疎地物流が地域に根付けば地域の外からその仕事に関わるために人材が流入する可能性があります。ポジティブなスパイラルを生み出す起爆剤になると思っています」と述べた。
ブルーイノベーションの熊田氏は、ひとつの作業で複数の業務をこなす制御技術、Blue Earth Platform(BEP)技術を紹介し、用途別にプラント点検、送電線点検など用途ごとにカスタマイズしたソリューションを用意していることやスイスFlyability社製の球体ドローンELIOSシリーズを使った点検など事業概要を説明。送電線点検では、送電線のドローン点検の悩みの種である送電線のたわみに追随した撮影を可能にするため、たわみにそってドローンが飛行するためにセンサーを組み合わせたモジュールを開発した実例を紹介した。送電線点検は「東京電力グループの中で22の支社が検討を進めているか、すでに実用化しているかしています」と拡大している現状を報告した。またドローンなどの離着陸に用いるポートについて、固定式、可搬式のそれぞれの開発に取り組んでいるほか、国際標準を定めるための会議でリーダーシップをとっていることなども紹介した。熊田氏は「今後のものづくりは自律分散がテーマになっています。そこに貢献するプラットフォーマーを目指します」と決意を表明したあと、「最初にお伝えしようと思ったのですが、私は埼玉県和光市の出身です」と埼玉県とのつながりを伝え、会場をなごませた。
埼玉県朝霞市に本社を構えるNTT e-Drone Technologyの山﨑氏は、主力事業である農業、点検のほかに、NTTグループの光ファイバーをひくために特殊なドローンを使ってる事例などを紹介した。山﨑氏は事業として機体を扱うことの意義について「機体を理解しないとエコシステムの運営はできない」と解説した。また、埼玉県川島町、埼玉県坂戸市でコメづくりの手伝いをしていたことや、朝霞市の茅葺の農家建築で、平成13年に国の重要文化財に指定された「旧高橋家住宅」をドローンで撮影して「文化財デジタルアーカイブ」として保存しているなど、地元密着の取り組みを進めていることも明らかにした。さらに「すぐにではないですが」と前置きをして「将来的にローカル5Gを介し、ドローンとクラウドが常時接続するコネクテッドドローンを展望しています」と今後を見据えていることを明らかにした。
講演にあたり埼玉県の村井秀成次世代産業幹が「埼玉県はロボティクスに取り組んでいて、“ロボットといえば埼玉県”と言われるように取り組んでいきたい」と強調。次世代産業拠点整備担当の新井賢一主査はSAITAMAロボティクスセンターの概要や整備状況について「インターチェンジ直結のテストフィールド」と特徴を強調し、「詳細を検討中で、模擬住宅をどうするかなど、ご意見があれば伺いたい」などアイディアも募った。
当日の様子は、10月21日からオンデマンド配信(11月4日まで)を予定している。配信の申し込みフォームはこちらから。
ロボット開発支援施設「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」の整備を進める埼玉県が10月14日に「第2回ロボティクスセミナー~ドローンの研究開発と活用の潮流~」をさいたま市の起業支援拠点、「新都心ビジネス交流プラザ」(さいたま市中央区)で開く。福島ロボットテストフィールドの所長で一般社団法人日本UAS産業振興協議会の理事長を務める鈴木真二氏、埼玉県内でドローン物流の実現に向けた動きを加速させている秩父市、楽天グループ株式会社(東京)、埼玉県内に本社を構える株式会社NTTe-Drone Technology、プラットフォーム関連技術を手がけるブルーイノベーション株式会社(東京)などが登壇する。
セミナーは埼玉県が2026年度の開所を目指す「SAITAMAロボティクスセンター」の周知活動の一環。センター開設に向けた関連産業の機運の醸成も目指す。今回のセミナーではドローンに焦点をあて、12月に迫る都市部での補助者無し目視外飛行を意味する「レベル4」の解禁を前に、鈴木氏が「レベル4実現に向けたドローンの新制度と今後の展望」について講演するほか、秩父市産業観光部の笠井知洋氏と楽天グループドローン事業課の谷真斗氏が、は、両者が秩父市で進めているドローン物流の取組を「中山間地域におけるドローン物流による社会的課題解決」の演題で披露する。
また、ブルーイノベーションは熊田貴之代表が「これからの社会インフラを支えるドローン・ロボットのプラットフォーム」、NTT e-Drone Technologyも山﨑顕代表が「埼玉発で進めるドローンの社会実装」の演題で登壇する。このほか、SAITAMAロボティクスセンターの説明や、参加者同士の交流会が予定されている。
申し込み案内とフォームはこちら
<開催概要>
名称:第2回ロボティクスセミナー
主催:埼玉県
日時:2022年10月14日(金)13:30~16:30
内容:説明、講演、交流会
会場:新都心ビジネス交流プラザ4階会議室(さいたま市中央区上落合2-3-2)
またはオンデマンド配信(10月21日~11月4日)
参加費:無料
システムインテグレーター大手、株式会社インテック(富山県富山市)とデバイス制御のブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は、3月から今月にかけて相次いで資本提携、業務提携を締結した。資本提携は3月18日に結んだ。インテックがブルーイノベーションに出資する内容で金額は非公表だ。業務提携は5月13日で、両者が強みを持つ技術を持ち寄り「ドローン・ロボットDXソリューション」の開発や事業の共創を進める。2023年度には、双方の顧客基盤を生かしたプロダクトの相互販売に踏み切る計画だ。
ドローン・ロボットDXソリューションの第一弾として、倉庫内での棚卸や搬送業務のロボット化・自動化を進める。ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長CEOは提携により「ドローンやロボット利活用シーンの拡大、新たなソリューション開発が加速する」と談話を発表している。インテックの今里直人専務執行役員も「空間や場所を問わないソリューションを幅広く展開する」とコメントしている。
発表文は以下の通り
TISインテックグループの株式会社インテック(本社:富山県富山市、代表取締役社長:北岡隆之、以下インテック)とブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田貴之、以下ブルーイノベーション)は、業務・資本提携契約を締結しました。
本業務提携において、両社は共同で以下に取り組みます。
1.インテックの IT プラットフォームサービスや業種に特化したソリューションと、ブルーイノベーションの複数のドローンやロボット、各種センサーなどさまざまなデバイスを遠隔で一括制御・統合管理する独自のデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform®(BEP)※1」を組み合わせたビジネスの共創
2.ブルーイノベーションが有するドローン業界の先進的情報と、インテックが有する全国的な顧客基盤を活かした共同マーケティングの実施
3.両社の顧客に対する互いのソリューション・サービス販売と、個別システムの企画・開発
■背景
少子高齢化や人手不足といった社会課題が深刻化する中、ドローンやロボット導入による業務の省人化、自動化が期待されています。
インテックは金融や製造、流通、公共など、幅広い分野のお客様のビジネスを支える広域仮想ネットワークを提供しています。2021年からはローカル 5Gなどのマルチワイヤレスネットワークにも注力し、ワイヤレスDX(※2)を展開するとともに、お客様現場のDXを支えるインフラ機能の拡張を図っています。
ブルーイノベーションは、複数のドローンやロボット、各種センサーなどさまざまなデバイスを遠隔で一括制御・統合管理するデバイス統合プラットフォーム「BEP」を独自開発。「BEP」はネットワークを介して建物や通信といった既存インフラシステムと連携し、インフラ点検や物流・運搬、防災、警備、清掃などの分野を中心に、ドローンやロボットによる業務の省人化、自動化やDX化を支援しています。両社は双方の技術を融合し、空間や場所を問わず、常にドローンやロボットが最適に稼働するネットワーク環境を基盤とした各分野のDXソリューションを共同で開発・提供することで、社会課題の解決に寄与すると考え、業務提携を決定しました。
■今後の展開
ドローン・ロボットDXソリューションの第一弾として、物流業界を対象に倉庫内での棚卸および搬送業務のロボット化・自動化を進め、今後はさらにドローンによる屋外業務なども含めた物流倉庫内のDXソリューションへと拡張し、サービス展開を図っていきます。
両社は、ドローンやロボットが最適に稼働するネットワーク基盤を活かした新たなソリューション開発とその社会実装を加速させ、各産業分野の DX 推進と地域課題の解決、ひいてはヒトとロボットが共生するスマートシティの実現に貢献していきます。
■ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長CEOの談話
ブルーイノベーションが提供している、BEP を軸とした「スマートシティ・ロボティクスプラットフォーム」は、環境に適した通信が欠かせません。今回の協業で、インテックのマルチワイヤレスネットワークの技術とブルーイノベーションのBEPの技術がコラボすることで、ドローンやロボット利活用シーンの拡大、新たなソリューション開発が加速し、「スマートシティ・ロボティクスプラットフォーム」を共に創り上げていきたいと考えています。
■インテックの今里直人専務執行役員の談話
インテックはこれまで、お客様の経理、人事、営業等業務での IT 活用支援を行ってきましたが、昨今では点検、観測、監視等業務での IT 活用や、AI・ロボットを活用した現場の DX 化支援のご要望が増えています。ブルーイノベーションは、ドローンやロボットを利用した先進的なサービスや実証実験を数多く手がけています。今回の業務提携により、空間や場所を問わないソリューションを幅広く展開することで、お客様のさらなる DX 化を支援していきます。
【用語説明】
※1)デバイス統合プラットフォーム 「Blue Earth Platform®(BEP)」複数の自律移動ロボットや各種センサーを協調・連携させて複雑な業務を達成させるためのソフトウェアプラットフォームです。「ロボットを動かす」「情報を集める」「情報を管理する」にフォーカスしており、利用者は自律移動ロボットのスペックや制御方法等を意識することなく、ネットワーク上で繋がった複数のドローンやロボットが、ひとつの命令で複数の業務を自動で遂行します。
※2)ワイヤレスDX
行政や医療、製造など8 つの産業分野でケーブルや端末、空間や場所などに制約のない環境を創出し、お客様の課題解決を支援するインテックの新しいソリューションの総称
インドネシアに一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定スクールが、南ジャカルタ・クバヨランバルのムストポ(Moestopo)大学に誕生した。2月24日に開講式を行い、開講式の当日から27日までの4日間に第1期の座学、実技講習、試験が行われた。今後、2か月に1回、開講する方針だ。
スクールでは、JUIDAが業務を委託している広告業の中央宣興インドネシア(CSK)が派遣した講師が講習を担当した。インドネシア国内のドローンの飛行ルールは、運輸省航空総局が7キログラム以上の機体を150メートル以上飛ばすさいの取り決めなどに限りルールがあり、今後、現在活用の拡大に伴い、より軽い機体を含むルールの整備が進むと見込まれている。スクールの座学ではこうしたインドネシア国内の状況のほか、米連邦航空局(FAA)などのルールや安全対策、気象に関する講習が行われた。操縦の実技訓練も実施された。
最終日には試験が行われ、合格者にはJUIDAが「無人航空機操縦技術証明証」と「安全運航証明証」を発行する。
ムストポ大学でドローンスクールを担当するアンバール・プラティウィさんは「国内でドローンの産業利用が広まれば、国内の法律や規制が整備される。そうなれば法律や安全対策といった、ドローンの運用方法を体系的に学んだ操縦士が必要になる」との意義を説明したという。
JUIDAは2019年7月24日、ムストポ大学、CSKとドローンの人材育成などに関する覚書(MOU)に調印しており、それ以来、認定スクール開講に向けて話し合いを続けてきた。調印式には、ムストポ大学の運営責任者、THOMAS SUYATNO教授、CSKのRUDY HARJANTO会長らが出席。JUIDAからは鈴木真二理事長、熊田知之事務局長らが出席した。CSKのRUDY会長が「テクノロジーは人間の幸せのためにある。とりわけドローンに期待しており大学としてそれを担う人材育成に貢献したい」と発言し意気投合していた。
日本のドローン人材育成の仕組みには、海外から関心を寄せられ、200を超えるスクール網を持つJUIDAには世界各国の政府、企業、学校から問い合わせが相次いでいる。JUIDAも積極的に交流を進めていて、今回の開講はJUIDAの海外展開にはずみをつけそうだ。
自律飛行ドローン開発を手掛ける株式会社自律制御システム研究所(本社:千葉市、ACSL)は1月23日、屋内外での運用に対応した自律飛行ドローン「Mini」の発売を発表した。同社主力機より大幅に軽量化、小型化し、無積載の場合は48分の継続飛行が可能なほか、通信、センシングなどに関わる主要技術、モジュールを日本開発、日本製でそろえた“日本品質”を前面に押し出した。価格は税、オプションを含めず80万円。同社の鷲谷聡之COOは「1年半前から会社をあげて全力で開発を進めてきた産業用途のドローン」と紹介した。またブルーイノベーション株式会社が提供する複数デバイスを連携して遠隔制御する「ブルー・アース・プラットフォーム(BEP)」とも連携し、ソリューションを提供する方針だ。
「Mini」は、プラント、倉庫といった屋内の点検、撮影、状況確認に適した機体の要望が高かったことから1年半ほど前から開発に着手した機体。広いスペースがとりにくい屋内空間を想定し、プロペラ回転域を含めた縦、横の寸法を70.4センチと、同社の主力機「PF-2」の117.3センチより4割の小型化を実現した。重量もバッテリー1本を搭載して3.15キロと、PF-2が飛行に必要なバッテリー2本搭載の7.7キロに比べて半分以下に軽量化させた。バッテリーも見直し、無積載であれば48分、カメラ、ジンバルを搭載しても最大33分と、トップクラスの継続飛行が可能だ。
またGPSの届かない屋内での利用を可能にするため、機体自身が飛行しながら自己位置を推定したり周辺地図を作製したりする技術、Visual SLAM(ステレオカメラ)を採用したほか、前方カメラと6つのセンサーで上下、左右、前後の障害物を検知し、衝突回避を徹底した。屋外でもGPSで自己位置の座標を取得して飛行できるため、1機で屋内外対応が可能な2役のドローンを目指した。屋外では秒速10メートルの風の中での飛行が可能で、IP43の防水防塵機能を備えていて「雨の中でも飛ばせる」という。
さらに工場、倉庫、研究室などの施設を抱える事業主は、点検、状況確認で取得したデータの取り扱いには繊細に注意を払うため、Miniの開発ではセキュリティ対応を特に重視。通信、画像解析などにかかわる部品や技術は、ACSLの自社開発を中心に、国内で開発した技術、日本製の部材、モジュールを採用した。フライトコントローラーも自社開発の「ACSL AP3」だ。
そうした「国産」、「安全」、「小型トップクラスのスペック」に加え、「使い勝手の良い機体設計」も特徴として説明した。
ジンバルを本体の上下に取り付け可能なうえ、プロペラもねじ止めではなく、押し込んでまわすだけのワンタッチで脱着できる機構を採用した。発表会ではACSLの六門(むかど)直哉事業開発本部長が、説明しながら脱着の様子を実演した。
Miniは産業用途のうち、送電線の点検、トンネルの壁の亀裂の有無確認、災害時の状況確認などセンシングの利用を主に想定している機体だ。それぞれの用途によって求められるセンサー、カメラなどが異なることを考慮し、多用なセンサーに対応できる用にしたことも開発のポイント。利用者が積載するセンサー、カメラの需要の範囲を考慮し、最適な小型化を両立したことが、Miniの特徴ともいえる。
この日の発表会にはブルーイノベーションの熊田貴之社長も登壇。同社が開発、展開している複数デバイスを遠隔制御する技術ブルー・アース・プラットフォーム(Blue Earth Platform、BEP)との連携について言及。「これまでもACSLと協業を模索してきた経緯がある。Miniを軸に、ソリューションの開発を検討する。春先には紹介できるようにしたい」と述べた。
鷲谷COOは「ドローンの可能性は無限大。『技術を通じて人をもっと大切なことへ』を掲げて開発している。これからもタフな要望やミッションに、日本品質にこだわってこたえていきたい」と話した。