自律航行ドローン開発の株式会社ACSL(東京)は1月20日、第三者に割り当てる新株、無担保転換社債型新株予約権付社債、新株予約権の発行による資金調達を決めたと発表した。割当先は投資ファンドCVI Investments, Inc.(ケイマン諸島)で、1月20日付で買取契約を結んだ。ACSLの調達額は権利が行使された場合で約35億6000万円(費用をのぞくと34億円強)になる。調達した資金は研究開発などに充て戦略実現を加速する。
資金調達についてACSLは研究開発に従来水準の投資をする方針である一方、現金と現預金の合計額が前年度に比べて14億円減っていて、「戦略の実現を加速させるための資金調達が必要である」と判断したと説明している。新株は1株あたり1539円で、ACSLは東京証券取引所での2022年12月20日から2023年1月19日の終値の単純平均の10%割り引いた価格にあたり、発表直前である2023年1月19日の同社株の終値(1654円)の93%にあたると説明している。
調達資金の使い道は①用途特化型機体及びプラットフォーム機体の開発・評価などの研究開発(約19億円)②海外事業拡大のための研究開発費を含めた運転資金(10億円)③ドローンの自律飛行のための地上局向けTAKEOFFソフトウェアの開発(5億円)で、それぞれ2023年2月から2024年12月までを支出予定時期としている。新株予約権が支出予定時期までに行使されず、調達額が予定に届かなかった場合には、使い道の優先順位に応じて活用する一方、自己資金の充当、別の資金調達を模索したうえで、支出額を調整する。
新株発行を伴う資金調達は既存株主の財産価値を希薄化する効果を持つことから、ACSLは、株式への転換が分散化される可能性のある方法を選択しており、希薄化の影響を抑制することを念頭に置いている。調達した資金が業績向上をもたらせば、株価上昇を通じて株主価値向上につながる。
またACSLは1月13日、約4億880万円の特別損失を計上したことを発表した。投資先企業の収益力低下にともなう評価損を計上することにしたためで、集計中の2022年12月31日で締めた決算について、2022年11月に公表していた業績予想の当期純利益を、21億5000万円の赤字から、25億5800万円の赤字に下方修正した。
発電機を搭載するハイブリッド型ドローンを開発する株式会社エアロジーラボ(AGL、大阪府、谷紳一代表取締役)は、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」での資金調達を目指し、6月4日に募集を開始する。投資対象は新株予約権で、募集期間は6月8日までの5日間。目標募集額は2502万円だ。調達した資金は財務の増強に活用し事業の成長につなげる。
募集する新株予約権は、発行会社に権利を行使することで発行会社の株式の交付を受けることができる権利で、株式そのものではない。1口10万円で1人5口まで。目標金額に到達しなかった場合は返金される。上限応募額は9999万円で、到達した場合には募集期間中でも募集を打ち切る。5月27日から募集案内を事前開示している。
エアロジーラボは2時間を超える飛行が可能なハイブリッド型の回転翼機「Aero Range」などの開発を得意としていて、燃料タンクの技術でも特許を取得するなど安全性に力を入れている。同社は、物流や防災など社会課題の解決にドローンの活用が進むにつれて、長時間飛行の重要性が高まるとみていて、今後もハイブリッド機開発を軸に機体開発に力を入れる。上場を視野に入れているほか、2026年には主力機「AeroRangeQuad」の年間販売台数が150台になると見込んでいる。
同社の谷代表取締役は自社開発機を「2時間は平気で飛ぶというのが圧倒的な違い」と述べている。また企業の特徴について「日本では数少ないハードウェアメーカー。ボディーもパワーユニットも製造し、バランスをとる」と説明している。
各地で実施している実証実験としての飛行でも期待に応える成果をあげ、2021年11月には慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムと静岡県御殿場市が主催し防衛省南関東防衛局が後援したドローンの航空ショー「第三回富士山UAVデモンストレーション」でも安定した飛行性能で来場者をひきつけた。
従来の6倍以上、2時間飛行を可能にする次世代ドローン「Aero Range」開発の「エアロジーラボ」株式投資型クラウドファンディングを開始
~大阪発ドローンベンチャーが起こす“空の革命”~
株式会社エアロジーラボ
バッテリーではなくエンジン発動機を動力源とするハイブリッド型ドローン「AeroRange(エアロレンジ)シリーズ」を開発・販売する株式会社エアロジーラボ (大阪府 代表取締役:谷 紳一)は、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」において、2022年6月4日(土)より募集による投資申込みの受付を開始することをお知らせします。
*本案件は新株予約権の取り扱いになります。
【当社プロジェクトページ:https://fundinno.com/projects/366】
当社プロジェクトとクラウドファンディング実施目的について
「空の産業革命」のキープレーヤーとなって人と社会の役に立ちたい
株式会社エアロジーラボのエンジン発電機を搭載したハイブリッド型ドローンは2時間以上(最大3時間)の飛行が可能です。(現在の主流のバッテリー型ドローンの実質飛行可能時間は概ね15~20分です。)飛行時間はドローンの有用性や活用の幅に大きく影響する要素です。また、現在、エンジン発動機の燃料には主にガソリンとオイルの混合燃料が使用されていますが、「AeroRange」はカスタマイズにより水素燃料やバイオ燃料等の代替燃料への対応も可能です。
この度、幅広い場面で社会に貢献し、地球に優しい燃料で末長く使い続けられることを目指したドローンの開発と社会実装を進めるため、2022年5月27日より株式投資型クラウドファンディングFUNDINNOにおいて、募集案内の事前開示を開始いたしました。弊社は今回の資金調達により資本力の充実を図り、事業の成長に繋げます。募集期間は2022年6月4日~2022年6月8日、上限とする募集額は 99,990,000円(1口 10万、1人 5口まで)です。
エアロジーラボの強みは、長年ドローンの研究開発に携わってきた技術的ノウハウです。機体の設計から行なっているので、パワーユニットや燃料の選択や機体の仕様変更等、顧客からの要望によるカスタマイズに容易に対応可能です。燃料タンクの配置や燃料の貯留方法に加え、エンジンの冷却方法や電装品の取り付け方法でも特許を取得しており、模倣困難な独自性があるので競合や新規参入にも対抗できると考えています。また、弊社は国や自治体、各企業との実証実験で大きな成果をあげており、社会実装へ向けて着実に進んでいます。
今後、既存ドローンのリプレイスと新規マーケット展開の両面から販路開拓を進めます。また、水素やバイオ燃料など、エコな燃料にも対応していくことでカーボンゼロドローンを目指します。さらに海外展開も積極的に進め、2025年の大阪・関西万博へ向けたプロジェクトにも参画し、企業として成長してまいります。
風況観測技術の開発を手掛けるメトロウェザー株式会社(京都府宇治市、古本淳一代表取締役)は4月11日、海運、鉄道、物流、金融など12社から約7億円を調達したと発表した。調達先は既存株主のリアルテックファンド、DRONE FUNDのほかヤマトホールディングス系やJR東日本系のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などが名を連ねる。調達した資金を体制の構築や開発にあてるほか、事業の現場も抱える出資企業と連携を深め、海外も含めた事業展開の加速化を図る。
調達は12社を引受先とした第三者割当増資等でシリーズAラウンドとして実施し。メトロウェザーは京都大学発スタートアップで、風向きや風速を三次元でとらえリアルタイムで可視化する小型・高性能ドップラー・ライダー・システムを持つ。風況観測はドローンや空飛ぶクルマの自律飛行の実装に欠かせない技術で、出資企業と連携し実証実験を重ねる。
発表は以下の通り(以下、引用)
風を3次元に可視化する小型・高性能ドップラー・ライダー・システムを擁するメトロウェザー株式会社(本社:京都府宇治市、代表取締役 古本淳一、以下「メトロウェザー」)は、このたび 既存株主であるリアルテックファンド、DRONE FUND 及び新たにグローバル・ブレインが運営するCVCファンドをはじめとした、VC及び事業会社計12社を引受先とした第三者割当増資等により、シリーズAラウンドにおいて総額約7億円の資金調達を実施したことをお知らせします。
メトロウェザーは、小型高性能ドップラー・ライダーにより空の風況を立体的に把握し、可視化することで「風」の課題を解決し、「エアモビリティー社会」と「安全安心な都市生活」の実現に貢献することを目指しております。シリーズAラウンドの資金調達により、各株主企業様との連携をより一層深め、国内のみならず海外展開を視野に入れた組織体制の構築と、さらなる事業展開を加速させてまいります。
メトロウェザーは、ドップラー・ライダーの活用により、ドローンの運行に必要不可欠となるリアルタイムでの高精細風況情報の提供を実現します。これによりレベル4飛行の大きなハードルとなっている「高度な安全性の確保」を達成し、ドローン前提社会における必須のインフラとなることを目指します。
さらに、独自の気象予測シミュレーションを組み合わせることで、都市防災・風力発電・航空・海運・鉄道領域等、ドローン関連のみならず弊社技術に関連する幅広い分野の市場への参入を進めてまいります。
■ シリーズA資金調達先 計12社
(既存先)
・リアルテックファンド
・DRONE FUND
・株式会社日本政策金融公庫(資本性ローン等)
(新規先)
・JGC MIRAI Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)
・KURONEKO Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)
・株式会社MOL PLUS(株式会社商船三井100%出資CVC)
・JR東日本スタートアップ株式会社
・ACSL1号有限責任事業組合
・鐘通株式会社
・三菱UFJキャピタル株式会社
・SMBCベンチャーキャピタル株式会社
・京銀リース・キャピタル株式会社
<各社のコメント>
■リアルテックホールディングス株式会社 永田暁彦代表取締役
言語の壁を超えて全世界70億人にイノベーションを提供する、これを実現できるのがリアルテックの価値です。メトロウェザーはこの実現に大きく近づきました。同社のドップラーライダーを活用したユースケースの拡大、そして空のインフラ構築を、今回参画頂いた事業会社等の力強い仲間と共に、今後もリード投資家として全力で支援して参ります。
■DRONE FUND 大前創希共同代表パートナー
ドローン・エアモビリティの社会実装の機運を受け、メトロウェザーの存在感が高まっており、大変頼もしく感じます。人々の頭の上をドローンやエアモビリティが飛び交うレベル4の実現には、メトロウェザーの技術は不可欠なものになっていくと確信しています。本ラウンドでは新たに参画頂いた日本を代表する事業会社の方々と事業を一層加速できるよう、 DRONE FUNDとして全力で支援していきます!
■グローバル・ブレイン株式会社(JGC MIRAI Innovation Fund・KURONEKO Innovation Fundを運営) 百合本安彦代表取締役社長
メトロウェザー社のドップラーライダーは、海外含めた競合他社と比較して高スペックであり、また圧倒的な小型サイズと低製造コストを実現しています。風力発電量予測等いくつかの用途での活用が期待されておりますが、特にドローン自動運行への風況予測データ提供において高いポテンシャルを見ています。ドローン自動運行で不可欠となる高い時空間解像度のデータを提供する上で、メトロウェザー社の技術が唯一無二のソリューションとなりうると考えています。グローバル市場を取れるポテンシャルを持つ当社の今後の事業成長に貢献すべく、弊社としてもしっかり支援してまいります。
■日揮株式会社 未来戦略室 / JGC MIRAI Innovation Fund CVCフロントチームリーダー 坂本惇氏
日揮グループは安全・安心で持続可能な社会システムの実現に向けて、革新的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップ企業への投資を行っています。今回の出資に際して、メトロウェザーが目指すビジョンに強く共感し、また、下支えとなる優れた信号処理、風況観測・予測シミュレーション技術を高く評価致しました。今後、日揮グループが培ってきたエンジニアリング技術や各領域の知見を融合させる事で、産業プラント、風力発電領域に加え、新たな社会インフラ構築に向けたイノベーションを起こす事を期待しています。
■ヤマトホールディングス株式会社イノベーション推進機能/KURONEKO Innovation Fundシニアマネージャー足立崇彰氏
風況計測は、 安全なドローン運行にとって重要な要素です。メトロウェザー社のドップラー・ライダーは、観測技術の高さとコスト面で高い優位性を持っています。ヤマトグループは、ドローンを活用した「新たな空の輸送モード」を現在構築しており、そのなかでドップラー・ライダーは、必要不可欠なテクノロジーです。今後、協業を通じて、両社がより事業成長できるよう取り組んでまいります。
■株式会社MOL PLUS 阪本拓也代表
メトロウェザー社の事業ビジョンに共感し、また直近1年間で多様な産業へのソリューション展開をスピーディーに推進されていることに可能性を感じ、この度他の多くの出資者の皆様とともに、ご一緒させていただくことになりました。MOL PLUS はメトロウェザー社が実現を目指す風況予測ソリューションの各産業への社会実装に貢献します。とりわけ海運や海洋事業領域での社会実装について推進させていただきます。具体事例として、今回の出資に際し商船三井の『ウインドハンタープロジェクト』においてドップラー・ライダーを用いた風況予測の実証実験を共同で取り組みます。今後の取り組みを楽しみにしております。
■JR東日本スタートアップ株式会社 柴田裕代表取締役社長
ドップラーライダーのテクノロジーを応用して、鉄道工事の課題を解決する…。 そんな無謀…否、果敢なチャレンジをいま、メトロウェザー社と一緒に進めています。場所はリアルの鉄道路線(休止線)。そこにドップラー・ライダーを持ち込んで支障物を検知する実証実験は、なんともダイナミックで斬新なものでした。まだ課題は山積ですが、この技術は未来の鉄道現場に広く活用できると思っています。共創パートナーのメトロウェザー社を、私たちはこれからも応援していきます。
■株式会社ACSL 早川研介取締役CFO
株式会社ACSLはドローンメーカーとして、ドローンを活用した社会課題の解決に向けた取り組みを進めております。レベル4の法規制整備やデジタル田園都市国家構想の推進、脱炭素化に向けた動きの加速などによりドローンが活用される場面が増えていくことが想定されるなかで、空の風況を適時かつ正確に把握することは、ドローンが安全に飛行するうえで無くてはならないものであると考えております。今後もメトロウェザー社と連携し、ドローンの社会実装に向けた取り組みを進めてまいります。
■鐘通株式会社 松井宏記代表取締役社長
地球温暖化等による様々な自然災害に対し、現在の技術力をもってしても人類は無力です。そのような得体の知れない巨大な敵に対し立ち向かうメトロウェザー株式会社。様々な視点から自然の可視化に挑む産まれたての企業に無限の可能性を感じ出資させて頂きました。同じ京都の企業という事もありますので弊社としても部材調達や最新の製品情報提供等のサポートを全力でさせて頂きます。共に京都から世界へ、これまでに無かった新たな価値を提供して参りましょう。
■三菱UFJキャピタル株式会社 矢野潤大阪投資部次長
「風を制し空の安全を守る」を企業Visionとして2015年に設立された京都大学発スタートアップ企業です。これまで培ってきた独自のリモートセンシング技術と信号処理技術に気象情報を組み合せ、高精度の風況観測を実現する小型ドップラー・ライダーを開発しました。ドローン運行のための風況情報提供に加え、都市防災、風力発電など、幅広い分野への展開を目指します。当社の技術が、未来社会における大事なインフラになっていく事を期待して、全力で支援してまいります。
■SMBCベンチャーキャピタル株式会社 池田一生関西投資営業部副部長
空を見上げれば物を運んだり測量をしたりしているドローンが当たり前に見える未来、メトロウェザー社の風況計測技術はそのような未来を実現する基礎インフラになり得る技術と感じ今回初めて出資をさせて頂きました。新しい未来の実現の一助になればと思い全力で今後も支援させて頂きたいと思います。
■京銀リース・キャピタル株式会社 村田義樹氏
「エアモビリティ―社会」と「安心安全な都市生活」の実現に対し、京都大学発ベンチャーとして非常に高い技術力をもって貢献される当社の取組や姿勢に共感し、今回投資を行いました。京都銀行グループとして、今後の当社の成長と発展を支援してまいります。
■メトロウェザー株式会社 古本淳一代表取締役
この度は既存投資家様をはじめ多くの事業会社様を中心にシリーズAラウンドの資金調達が完了できましたこと皆様に心より御礼申し上げます。弊社のドップラー・ライダーは商用ベースでドローンが安全・安心に飛行するために必要不可欠である3次元の風情報をリアルタイムに提供し、高度なオペレーションが要求されるレベル4運航実現の切り札になるものと考えております。このラウンドを機に事業会社様との連携をさらに深め、 幅広い市場への参入を図るとともに国内はもとより海外展開の礎を構築し、 次のラウンドで本格的な海外展開を果たすことを目指してまいります。
■ メトロウェザー概要 設立 : 2015年5月 代表者 : 代表取締役 古本 淳一 URL : https://www.metroweather.jp 所在地 : 京都府宇治市大久保町西ノ端1-25宇治ベンチャー企業育成工場6号 事業内容 : 弊社は、赤外線を用いて風に舞った大気中の塵や微粒子を散乱体として反射光を受信し、ドップラー効果を利用した解析を実行することで、 風況をリアルタイム・3次元に把握・可視化するドップラー・ライダーの開発・販売及びデータ提供を行っております。京都大学で長年培った大気リモートセンシング技術の開発・解析技術をベースに弊社が開発した小型高性能ドップラー・ライダーは、従来の大型ドップラー・ライダーと同等の性能を維持しつつ、低価格を実現しております。弊社ドップラー・ライダーを活用した社会課題の解決に向け、弊社は国内外で複数の企業様・研究機関様との共同研究や実証を進めており、2021年からはNASAの研究開発プロジェクトにも参画しております。
マレーシアに本社を構えるドローンサービスのエアロダイングループは5月10日、日本国内3社を引受先に第三者割当増資を実施したと発表した。調達したのはエアロダイングループのAerodyne Ventures Sdn Bhdで、引受先3社はリアルテックホールディングス株式会社(東京都)が運営するリアルテックグローバルファンド、KOBASHI HOLDINGS株式会社(岡山市)、株式会社自律制御システム研究所(東京都)。資金は農業進出の加速などに活用する。エアロダイングループが日本勢に限った資金調達を実施するのは今回が初めてで、今後日本との関係強化も加速するとみられ、日本の株式市場への上場も視野に入れる。
今回の資金調達は、エアロダイングループの農業への事業領域拡大を目指す戦略に伴う調達だ。エアロダイングループは東南アジアでの精密農業サービスの構築を目指し、現在、マレーシアで大規模農場を保有する大手を含む企業と実証実験を始めている。2022年以降には範囲をインド、インドネシア、タイに広げる予定で、事業化を進めている。調達した資金は農業領域への事業拡大に活用する見込みだ。。
東南アジアの農業は、コメ、パーム、パイナップルなどを広大な農地で栽培するプランテーション型農業が定着しているものの、環境負荷が高いなどの課題を抱えている。ドローンを使った精密農業にはこうした課題の解決に高い期待が寄せられており、高い市場性も見込まれる。
エアロダイングループは東南アジア一帯でドローンを活用した石油、電力などインフラの点検、モニタリングサービスなどを手がける企業として、日本を含め広く知られている。2018年には日本法人、エアロダインジャパン株式会社(東京)を設立して、日本での事業拡大を開始。点検事業を中心に、国内企業との連携も深めてきた。
今回の資金調達の引受先とは、日本国内での連携が進んでいる。ACSLとはエアロダインジャパンが2020年11月、有人地帯上空の目視外飛行(Level 4)を見据えた連続飛行試験の実施体制をASEANで構築する連携を開始している。この連携に基づき、12月以降、ACSLの主力機体、「PF2」と「Mini」をマレーシアで、1000時間におよぶ連続飛行試験を実施し、リスクレベル評価や安全性、信頼性を示す基礎データの取得を進めている。
またACSLも開発した機体の販路拡大として海外市場を見据えており、今回の出資がACSLの方針にも合致する。
エアロダインは今回の資金調達相手となった3社を「戦略的パートナー」と位置付けている。日本での事業拡大を見据える中、より幅広く資金を調達するため上場を目指すことになりそうだ。
この日の発表の中で、エアロダイングループのカマルル・A・ムハメドCEOは「新たな戦略的パートナーを歓迎するとともに、これから一緒に歩みを進めることを楽しみにしております。リアルテックファンド、KOBASHI HOLDINGS、そしてACSLの3社との連携により、現在我々が新たに注力している農業分野でのサービスの成長や、日本市場での更なる事業拡大に弾みをつけることが出来ると信じております。また、保連携を通じて、弊社が所有するドローンやソフトウェア、AIのテクノロジー領域の発展を、更に次のステップへと導いてくれると考えております。リアルテックファンドが掲げる、地球や人類の課題解決が出来るイノベーションをサポートするという経営哲学は、弊社の理念と同様であり、これからの協業を楽しみにしております」と話している。
<引受先談話>
■リアルテックホールディングス 藤井昭剛ヴィルヘルム氏
エアロダインはKamarul A. Muhamed CEOの強いビジョンとリーダーシップの下、僅か数年間で業界のリーディングカンパニーまで昇り詰めている、マレーシア期待の星です。同社のドローンソリューションは、より多くの人々に強靭で安価な社会インフラを提供する他、持続可能な農業の普及に寄与するなど、SDGsの目標達成に大きく貢献することを期待しております。また、当社の関係会社であるリバネス社と多方面のプロジェクトにおいて連携するなど、エアロダインはかねてから日本市場への強い興味関心を示しておりました。今回の資金調達は、日本市場進出および将来的な東京証券取引所での上場を検討するための戦略的な調達となっており、当社としてもマレーシアと日本のベンチャーエコシステムを接続する象徴例として、全力で支援して参ります。
■ACSL代表取締役社長 兼 COO鷲谷 聡之氏
エアロダインが築いてきたドローンサービスプロバイダーとしてのグローバルでの確固たる地位は、当社としても大変魅力的です。当社は2020年11月より、エアロダインの日本法人であるエアロダインジャパン社と連携してドローンの飛行試験を実施しており、当社ドローンの開発になくてはならない存在となっております。今回の出資を通して両社の連携をさらに強化することで、ドローンの社会実装がますます進んでいくことを期待します。
■KOBASHI HOLDINGS代表取締役社長 小橋正次郎氏
エアロダインのドローンソリューションが、農作物の収量および品質の向上を図り、環境負荷と農作業者の負担を軽減することで、サステナブルな農業の普及に大きく貢献することを期待しております。当社の農業機械メーカーとして培ってきたリソースによって、同社の新たな農業分野・日本市場への進出を支援することで、アグリテックの次なる未来を牽引し、日本の農業の進化に寄与して参ります。
ドローン関連特化型のベンチャーキャピタル、DRONE FUND(ドローンファンド、東京都渋谷区)は10月14日、「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」を設立したと発表した。目標調達額の100億円に向け今後資金調達を進め、来年2021年3月にファイナルクローズを予定している。ドローンやエアモビリティの社会受容性強化や、第5世代移動通信システム(5G)活用高度化などに取り組む。目標を達成すると、1号の15.9億円、2号の52億円とあわせて167.9億円となり、世界最大規模のドローン関連特化型ファンドとしての位置づけの足固めとなるうえ、DRONE FUNDが掲げる「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現をさらに後押しすることになる。また1~3号の活動を通じ、通信大手3社すべての参画を獲得したことになる。
DRONE FUNDの発表によると、3号ファンドの設立は今年(2020年)5月で、9月にファーストクローズを迎えた。すでにSMBC日興証券株式会社、株式会社NTTドコモ、ソフトバンク株式会社、小橋工業株式会社、国際航業株式会社、株式会社リバネスなどの参加が公表されている。
調達した資金は、フィールド業務の自動化やリモート化など、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与するテクノロジーに照準を定めて投資する方針で、「社会実装ファンド」となる方向性を打ち出している。このため連携先としてはドローン・エアモビリティ産業の発展を重視しており、スタートアップ支援に限定しないと表明していることが今回のひとつの特徴だ。
さらに、ドローン、エアモビリティの社会実装を通じて、人口構造、気候変動、インフラ老朽化、広域災害などの社会課題を従来よりも広くとらえ、国連が掲げる「2030年までに達成すべき17の目標」に対応することを掲げた。より強い社会性を打ち出したことで、幅広い層の関心を引き寄せ、参画を促すことが期待される。
この日は、ドローン運用のトータルサポートサービス「docomo sky」を展開するNTTドコモも、3号ファンドに10億円の出資を決定したことを発表。小橋工業も参画決定を発表した。
ドローンファンドは2017年5月30日に個人投資家の千葉功太郎さんが創設を発表し、翌日の6月1日に、ドローン系スタートアップ特化型ファンドとして正式に発足した。その後、ドローンをめぐる解釈や寄せられる期待、取り巻く環境や社会情勢の変化を柔軟に取り入れ、2号ファンドではエアモビリティを投資先判断に加えるなど、ファンドそのものも質的、量的に成長、進化している。
一方、社会情勢の変化への対応速度が諸外国と比べ見劣りする日本経済の中で、もどかしさを感じる声は年々高まっており、ドローンファンドはこうした声も吸収しながら、社会課題の解決や、希望や夢の成就、実現を引き受けていくことになりそうだ。
DRONE FUNDが発表した3号ファンド設立の背景は以下の通り。
<【3号ファンド設立の背景】今日、労働人口の減少やインフラの老朽化、苛烈さを増す気候変動や自然災害、そして新型感染症の流行など、国内外の様々な社会課題に対し、AIやロボティクス、そして新しいモビリティを活用したイノベーションによる解決とNew Normalな世界の構築が強く期待されています。ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指し、関連スタートアップへの投資を積極的に実行して参りました。15.9億円で組成した1号ファンド、および52億円で組成した2号ファンドを通じて、国内外40社以上のポートフォリオを形成しております。1号ファンドの代表的な投資先としては、2018年12月、ドローン銘柄として初の東証マザーズ上場を果たした株式会社自律制御システム研究所が挙げられます。2号ファンドでは、株式会社SkyDriveなどのエアモビリティの領域、マレーシアのAerodyne Groupに代表される海外の有力なスタートアップ、その他必要不可欠なコアテクノロジーを有するスタートアップなどに投資領域を拡大するなど、「空の産業革命/移動革命」を全方位的に牽引してまいりました。昨年度は「2022年度におけるドローンのレベル4運用の解禁」、そして「2023年度におけるエアモビリティの事業化開始」というチャレンジングな政策目標が閣議決定され、それらの動きに呼応するように地方自治体の活動も活発化しています。これらの機運を追い風に、日本のドローン・エアモビリティ関連のスタートアップにはますますの飛躍が期待されています。>
また、3号ファンドについては、次のように説明している。
<【3号ファンドに関して】ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ社会実装ファンド ~社会受容性の強化と5Gの徹底活用~」というコンセプトのもと、3号ファンドの活動を展開してまいります。具体的には、次世代通信規格の5Gをはじめとする通信インフラの徹底活用などを通じて、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)を可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与するテクノロジーへの投資を実行いたします。また既存のファンドも含めると、ドローンファンドには大手通信事業者3社の皆さまに投資家として参画いただくなど、スタートアップ支援に限らず、ドローン・エアモビリティ産業の発展にあたって理想的な座組みが形成できつつあります。ドローンファンドは、今後3号ファンドにご参画いただける投資家の皆さまとも精力的な連携を行いながら、ドローン・エアモビリティ前提社会の実現にむけた投資を加速してまいります。>
この時点で公表された、3号ファンドに参画した投資家情報(一部)は以下の通り。
・SMBC日興証券株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 雄一郎) ・株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:吉澤 和弘) ・ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼CEO:宮内 謙) ・小橋工業株式会社(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:小橋 正次郎) ・国際航業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:土方 聡) ・株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役グループCEO:丸 幸弘)
【3号ファンド代表のプロフィール】 ■千葉 功太郎 (創業者/代表パートナー) 1997年、慶應義塾大学環境情報学部を卒業し、リクルートに入社。サイバード、KLabを経て、2009~16年、株式会社コロプラに参画(副社長)。エンジェル投資家(60以上のスタートアップ、40以上のVCに個人投資)であり、2017年にDRONE FUND、2019年には千葉道場ファンドを創業。慶應義塾大学SFC招聘教授。ホンダジェットの国内顧客第1号で、航空パイロット(自家用操縦士)でもある。 ■大前 創希 (共同創業者/代表パートナー) 2002年、Web/ITコンサルティングの(株)クリエイティブホープを創業(現会長)。2014年よりドローングラファとして活動(2016年3月ドローンムービーコンテスト2016 準グランプリを受賞。2018年3月~8月に放送された読売テレビ・ドローン絶景紀行の総合監修を担当)し、ビジネス・ブレークスルー大学/大学院の教授職(専門はデジタルマーケティング)も兼任。 【3号ファンド概要】 ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ前提社会」を目指し、ドローン・エアモビリティ関連のスタートアップに特化したベンチャーキャピタルです。1号および2号ファンドを通じて、国内外の合計40社以上のポートフォリオを形成しています。3号ファンドでは、ドローン・エアモビリティおよびその社会実装に資するテクノロジーへの投資活動を幅広く展開してまいります。 ・ 正式名称: DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合 ・ 運営会社: DRONE FUND株式会社 ・ 代表パートナー: 千葉 功太郎、大前 創希
ロボティクスプラットフォームを手がけるRapyuta Robotics株式会社(東京、Gajan Mohanarajah代表取締役CEO)は7月20日、株式会社マーキュリアインベストメント、伊藤忠商事株式会社が共同で組成した不動産、物流変革支援の「マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合(BizTechファンド)」から資金調達を完了したことを発表した。
Rapyuta Robotics はBizTechファンドから調達した資金を、複数、異種ロボットの協調連携を実現する独自の群制御AI、ソフトウェアの開発に投資するという。またこの資金調達を通じて得られたリソースや知見は、「プロダクト開発や事業成長への大きなシナジーをもたらす」と期待している。
Rapyuta Roboticsは複数、異種ロボットを協調制御する次世代クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を開発、提供している。特に倉庫物流の自動化を得意として、2020年5月には、物流倉庫用協働型ピッキングアシスタントロボット(自律走行型のAMR、Autonomous Mobile Robot)の商用化を果たした。
マーキュリアは今回のRapyuta Roboticsに投資した理由について「Rapyuta Roboticsが持つ高い技術力、日本企業でありながら多国籍チームで開発を行う国際性、そして世界的に見てもまだ黎明期であるロボットプラットフォームという構想を、戦略面だけでなく技術的な面からアプローチしている独自性を高く評価しています。今後、日本発のロボットプラットフォーマーとしてグローバル展開が出来るよう、マーキュリアとBizTechのネットワークを最大限活用し、支援してまいります」とコメントを寄せている。
Rapyuta Roboticsは、ドローンなどロボット研究で知られるチューリッヒ工科大学(ETH Zürich)からスピンオフした大学発ベンチャーで、「ロボットを便利で身近に」を掲げ、「rapyuta.io」を開発、複数ロボットの中央管理・中央制御を手がけている。