GMOインターネットグループ(東京)は6月18日、100%子会社としてGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR=ジーエムオーエアー、東京)を設立した。GMOが高いシェアを持つインターネットのインフラサービス、金融、AI活用ノウハウをベースに導入や活用のコンサルティングなどのサービスを提供し、開発事業者とユーザーとをつなぐ。事業を通じて急速に進むと見込まれるAIとロボットの融合を支え日本経済で予見される課題解決を目指す。都内で開かれた発表会には株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)、イームズロボティクス株式会社(南相馬市<福島県>)など国内外の事業者が開発または運用する8基のロボット、ドローンも登場し発表に花を添えた。
発表は東京・用賀のGMOインターネットTOWER(世田谷ビジネススクエア)で行われた。
新会社GMO AIRは、AI活用コンサルティング、AI人材育成、AI導入支援、ロボット・産業用ドローン導入・活用支援、メンテナンスなど技術、ノウハウ、金融のサービスを提供し、国内外のAI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとユーザーとをつなぐ。自社開発はせず、開発事業者の事業を支えることで日本のAI、ロボットの融合を促す。
キャッチコピーとして「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動する。資本金は1億円。年内をめどに売上高などKPIの策定を目指す。当面は「お客様の声に耳を傾けることに集中する」方針だ。事業は開発したプロダクトを市場に投入するプドダクトアウト型のスタイルではなく、需要に応じてプロダクトを開発して提供するいわゆるマーケットイン型をとる。同社の公式サイトも同日、公開された。
役員構成はGMOインターネットグループ株式会社でグループ代表を務める熊谷正寿氏が会長に、グループ常務執行役員の内田朋宏氏が代表取締役社長に就任するなど7人が役員をつとめる。また千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏、東京大学大学院教授の松尾豊氏ら4人が顧問、専門家4人がアドバイザーとして支える。AIをフル活用することで社員数は「必要最小の人数で運営」(内田社長)する方針だ。
新会社GMO AIRの果たす役割については、同社会長でグループ代表である熊谷正寿氏が「縁結び」と説明した。その中で熊谷氏は「AIとロボットは相思相愛です。今後は急速に融合します。AI産業はかつてテキストだけ、画像だけなど単一のデータ処理に特化していましたが、現在は、音声も動画も核種センサーのデータも取り込むなど複数のデータを統合して処理するマルチモーダルAIとして発展しています。ロボット産業もかつてはプログラムされた動作の繰り返しに特化してきましたが、今後はAIの搭載で自律学習し環境に適応して動き目標を達成することを目指しています。両産業の融合にはインターネットインフラと通信が必要です。われわれは30年間、接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなどインターネットインフラに携わってまいりました。そこで私たちが両産業の縁結びをします」と述べた。
説明の中では、縁結び方法の一例として、ロボット、産業用ドローン、AI機材の購入者の立場を紹介した。高額機材は現金で一括購入するケースは考えにくいため、レンタル、ローン、リース、助成金活用などでGMOグループが金融サービスで培ったノウハウの活用場面が生まれる。また業務効率化についても、GMOが11年前から進めてきたAI活用で1カ月間で10万6000時間の業務削減した実績、年間18億円のコスト削減を達成した実績がノウハウとして付加価値になると見込んでいる。そのうえで、「インターネットのインフラ商材、インターネットの金融サービス、AI活用ノウハウの3つの付加価値を自社グループのサービスとして提供できる」ことを、差別化ポイントに掲げた。
中長期的にインタラクションデータのプラットフォーム構築を目指すことも表明した。ロボットに搭載されたAIが、学習していない作業に直面しても解決策を見出だせるAGI(汎用人工知能)、人間の知能を超えたレベルの知能を持つASI(人工超知能)に進化することを展望し、「そうなればユーザーはロボットを購入するのではなく必要な時にロボットの機能を利用するようになる。ビジネスはロボットの物販ではなく人材派遣と同じビジネスモデルに変化します」(熊谷グループ代表)と見通した。
発表会には脚型ロボットを含む8基が「応援のため」に会場にかけつけステージを彩り、一部はデモンストレーションを披露した。
JIWはアームを備えて移動するアバターロボットとAIドローンSkydioの機体を融合させた「ugo+drone(ユーゴープラスドローン)をデモンストレーションし、ドローンの離着陸も実演した。JIWはGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(東京)が提供するAIによる画像認識サービス「hakaru.ai」(ハカルエーアイ)を利用していることも紹介された。イームズロボティクスは第⼀種型式認証を取得した「イームズ式E600-100型」を持ちこみ、ステージ上で展示した。
また顧問に就任した千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏も、開発した脚型ロボットを実演。目隠しされた状態と同じ状況で、「前進」の指示で段差をのぼったり、落ちても態勢を立て直したりしてみせた。古田氏は「これからのロボットの考え方ですが、ロボットに AI を与えるのではなく、育てたAIにボディを与えることが重要。パソコン開発の主役がハードウェアの作り手からソフトウェア開発者やクリエイターに移ったように ロボットの普及には、搭載するAIを含むソフトウェアベンダー、サービスプロバイダーに移ります。GMO AIRはそれを担う唯一無二の会社です。この会社の設立は時代の転換点です」と述べた。
会見に先立ち投影されたプロモーション動画もすべてAIで作られ、エンドロールには、脚本、映像、ナレーション、ディレクションがすべてAIと映し出された。最後に「Produced by Humans」と映し出し、人の意志をAIがサポートする様子を象徴した。
また、顧問に就任した東京大学大学院の松尾豊教授もビデオメッセージを寄せ、「AIロボットに関して、技術データとお金の流れをつなぐ商社機能が大変重要であると以前から思っておりました。日本ではこうした機能が十分でないと思っていたのですが今回新しい会社がまさにその部分を実現されようとしているということで大変楽しみにしております」と期待を寄せた。
(GMOによる設立案内は以下の通り)。
GMO AI&ロボティクス商事株式会社設立
AIとロボットをすべての人へ。
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(以下 GMO AIR)を設立しました。これにより、AIとロボット・ドローンの導入・活用支援を軸とした新たな事業を開始します。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。
・【事業概要】
GMO AIRは、世界中のネットワークを駆使して国内外からロボットを調達するだけでなく、GMOインターネットグループが30年来培ってきた インターネットインフラ商材 (ネット接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなど)をあわせて提供します。また、 金融事業 の強みを活かし、レンタル、リース、ローン、保険、助成金の活用支援などのサービスも展開します。さらに、2013年から進めているAIの研究・活用を基に、月間10万6千時間の業務削減や年間18億円のコスト削減を実現する AI活用ノウハウもお客様に提供します。
GMO AIRは、これらの商材とサービスを通じて、お客様に包括的なソリューションを提案する AIとロボットの総合商社 を目指します。
1.AI導入・活用支援
お客様の業務に最適なAIソリューションを提供し、業務効率の向上と生産性の最大化を実現します。
・コンサルティング&ソリューション
GMOインターネットグループのエキスパートにより、AIの導入から活用までをトータルでサポートします。それぞれの課題解決に向けたコンサルティングと最適なソリューションをご提案します。
1. AI導入コンサルティング
2. データ分析・予測サービス
3. 業務自動化ソリューション
4. AIシステム開発
5. AIセキュリティ
・製品販売&インテグレーション
クラウドベースのAIプラットフォームの提供や、AI搭載ソフトウェア・サービス、AIの処理に最適化されたハードウェアの販売やレンタル、ロボットシステムのインテグレーションを提供します。
1. AIプラットフォーム提供
2. AI搭載ソフトウェア・サービス
3. AIハードウェア販売・レンタル
4. ロボットシステムインテグレーション
・教育&リサーチ
GMOインターネットグループは、これまで約7,800人のパートナー(従業員)に対しAI活用を促進し、非エンジニアに対するリスキリングを推進することなどを通して、月間で10万6千時間の業務時間削減を実現し、2024年度は18億円のコスト削減を見込んでいます。このような、これまで培ったAI活用のノウハウを皆様にご提供し、AI人財の育成のお手伝いをいたします。また、GMOリサーチ&AI株式会社による最新のAI動向のリサーチなども可能です。
1. AI人材育成
2. AIリサーチ・情報提供
・スタートアップ支援&エコシステム形成
GMOインターネットグループで投資事業を展開する、GMO VenturePartners株式会社や、GMO AI&Web3株式会社を通じ、世界中のAI、ロボット企業への出資・支援を実施し、AIのエコシステム形成も進めてまいります。
1. AIスタートアップ支援
2. AIエコシステム形成
2.ロボット、ドローン導入・活用支援
ロボットやドローンの導入から活用までをトータルでサポートし最適な機器選定、設置、運用を支援します。
・提案するロボットの例
・ アーム型 :組み立て、溶接、塗装、搬送、ピッキング、検査 等
・ 人間型(ヒューマノイド) :接客、案内、介護、災害援助、エンターテイメント 等
・ 多脚型(クローラ型含む) :警備、パトロール、災害救助、測量、農業 等
・ 車輪型: 移動、搬送、案内、警備、点検 等
・ クローラ型: 建設現場、災害現場、農業、プラント設備点検 等
・ ドローン・飛行型: 空撮、監視、検査、物流、農薬散布、災害対応 等
詳細:URL:公式サイト https://ai-robotics.gmo/
■GMO AIRのビジネスモデル図
・【将来ビジョン】
「インタラクションデータプラットフォーム」の構築と、「金融サービス・LaaS合弁設立(融資、IPO支援、助成金活用支援・Labor as a Service コンサル)」を国内外のロボットメーカー、産業用ドローンメーカーに提供することを目指しています。ロボットやドローンから得られる行動や観測のデータ(インタラクションデータ)を、高精度で安全性、信頼性の高い全体データとしてまとめ、国内外のロボット・産業用ドローンメーカー、AI関連企業にフィードバックします。これは、AIとロボット産業発展の大きな基盤になると考えています。
【新会社設立の意義】
AIロボット市場はCAGR(年平均成長率)で38.6%の増加が見込まれ、2021年の69億米ドルから、2026年には353億米ドルの規模に成長すると予測されています。(※1)これはGPUの進化などによるAIの加速度的進化に伴い、AIと親和性が高いといえるロボットの開発も急速進んでいくことを表しています。
GMOインターネットグループは、約55年周期で産業革命が進行していると考えています。1995年をインターネット革命の始まりと捉えると、29年経過した2024年はインターネット革命の後半戦に入っていると言え、ここでの主人公は「AIとロボット」になると確信しています。
そのような中、生成AIの利用に慎重な人はいまだ多いというデータもある一方(※2)、今後の日本は2040年には働き手が1,100万人不足(※3)するとの予測も出ています。このようなデータから予見される近未来の状況を打破し日本経済の成長を促すため、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しする目的でGMO AIRを設立するに至りました。
(※1)人工知能ロボットの市場規模、シェア、業界の成長、動向、分析(2030年)
(※2)勤務先での生成AI活用に対して肯定的な人は否定的な人の2倍以上 | GMOリサーチ&AI調べ
https://www.gmo.jp/news/article/9016/
(※3)書籍「「働き手不足1100万人」の衝撃」(古屋星斗 著/リクルートワークス研究所 著)
(GMOが発表した記者会見レポートは以下の通り)
GMO AI&ロボティクス商事株式会社 設立記者会見を実施
~グループ代表熊谷による挨拶のほか、最新の人型ロボット等8体も集結!~
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(URL: https://ai-robotics.gmo/ 以下 GMO AIR)の設立記者会見を実施しました。当日は、全8体のロボットやドローンが集結したこれまでにない記者会見となりました。
オープニングではすべてAIによって制作された映像を放映し、GMOインターネットグループが考える、AIとロボットが活躍する近未来のイメージを、ご来場いただいた皆様にご覧いただきました。(URL)
そして、グループ代表の熊谷 正寿からのご挨拶と今後の展望、GMO AIRの代表取締役社長に就任した内田 朋宏から新会社の概要説明が行われました。
また、東京大学大学院の松尾 豊教授から、新事業に対してのビデオメッセージを頂戴し、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田 貴之氏による、AIを搭載したロボットのデモンストレーションが行われました。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。
【GMOインターネットグループ グループ代表 熊谷 正寿】
GMOインターネットグループは、AI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとお客様をつなぐ商社「GMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR)」を設立しました。
日本社会が2040年には働き手が1100万人不足し、生活維持サービスの崩壊が懸念される中、AIとロボットの普及が解決策の一つとされています。AIとロボットは相思相愛です。GMO AIRは、AI産業とロボット産業の融合を見据え、インターネットインフラ商材、金融サービス、AI活用ノウハウの3つの強みを活かし、包括的なソリューションを提案する「AIとロボットの総合商社」を目指します。将来的には、ロボットの行動・観測データを活用した「インタラクションデータプラットフォーム」の構築や、ロボットの販売方法が「物販型」から「人材派遣型(LaaS/RaaS)」に変化することを見据えています。
GMOインターネットグループは、GMO AIRを通じて、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しし、日本経済の成長に貢献していきます。
【GMO AI&ロボティクス商事株式会社 代表取締役社長 内田 朋宏】
本日、新会社「GMO AIR」を設立しました。株主はGMOインターネットグループ100%で、AI・ロボット導入支援サービスを提供します。
役員には、グループ代表の熊谷をはじめとする7名が就任し、ロボット・AI・法律の専門家も顧問として迎えています。サービスメニューは「AI導入・活用支援」と「ロボット・ドローン導入・活用支援」の2つで、お客様の課題をお聞きし、最適なソリューションを提案します。 特に、AIの活用方法がわからない企業への提案や、グループ内での実績を活かしたAI人材育成などのニーズが高いと考えています。
このようにGMOインターネットグループの総合力を駆使して、お客様・AIロボット産業に対する付加価値貢献を、GMO AIRで加速してまいります。
【千葉工業大学 未来ロボット技術研修センター所長 古田 貴之氏】
今日は、AIとロボットが作る未来についてお話します。私たちは長年、AIとロボットの融合を研究開発してきました。しかし、今日お話しするのは、ロボットそのものではなく、AIについてです。これから重要なのは、ロボットにAIを与えるのではなく、育てたAIにボディを与えるということです。
私は、今日を時代の転換点だと考えています。これまで、ロボット研究者やメーカーがロボットを作ってきました。しかし、それではロボットは真に普及しません。主役はソフトウェアクリエーターやサービスベンダーになります。彼らによって、ロボットは真にビジネスとして普及していくと信じています。ロボットはAIにボディを与えるための存在となり、AIが実社会で活動するためのインターフェースとなるのです。
さらに、自動運転などにおけるネットワークのハッキングは大きな問題です。ネットワークの問題、そしてリースや保険といった現実的な問題をクリアしてこそ、ロボットは社会に普及します。
今日という日は、多くのロボットが世に送り出され、大きな発展を遂げる、まさに時代の転換点となるでしょう。
【東京大学院教授 松尾 豊氏】(ビデオメッセージ)
今回新たにGMO AI&ロボティクス商事株式会社の顧問も担当することになりました。技術データとお金の流れをつなぐ”商社の機能”はとても重要ですが、日本では不足していると感じていました。この新会社がその部分を実現しようとしていることに非常に期待しています。生成AIの進展により、AIロボットの領域は急成長するでしょう。そして、実世界のインタラクションデータを共有するプラットフォームの意義も大きいです。この取り組みが日本や世界全体の発展に寄与することを期待しております。
【登壇ロボットの紹介】
記者会見の会場には、8体のロボットが集まり、それぞれをご紹介いたしました
GMOインターネットグループ(東京、熊谷正寿グループ代表)は、6月5~7日に千葉・幕張メッセで開催される展示会「JapanDrone/次世代エアモビリティEXPO2024」で、同社グループが拠点を構える東京・渋谷と東京・用賀間をいわゆる空飛ぶクルマで移動するVR体験を提供する。参加者はゴーグルを装着し3分間の空の旅を疑似体験し、鉄道で10分強、バスで30数分の経路と比較できる。VRコンテンツでは外部からハッキングを受けても安全性が確保される様子など空のセキュリティを体感する内容も盛り込む方向で、現在コンテンツの作成を進めている。同社グループは今回のJapanDroneに最大スポンサーである「Platinum Sponsor」として出展する。同社が最大スポンサーとなるのは3年連続だ。毎回、高い話題を提供しており、今回も空の移動革命を進めるうえで欠かせないセキュリティをテーマに、グループの事業などを紹介する。
GMOインターネットグループがJapanDroneで提供するVR映像は、同社グループが本社(セルリアンタワー、渋谷フクラス)を構える東京・渋谷から、同社グループが映像制作・配信スタジオや研究拠点をを置くGMOインターネットTOWER (「世田谷ビジネススクエア」の副名称)のある用賀まで飛行体験ができるコンテンツ。3Dモデリングで作成された東京の街並みを堪能できる。途中、ハッキングを受けても、セキュリティ技術により安全が確保される内容を盛り込むことなどを盛り込む方向で、同社は「空飛ぶクルマが実装された世界観を体感いただくのと同時に、その前提となる空の安全の確立に向けたセキュリティの重要性をお伝えいたします」という。コンテンツは約3分で、ブースにはVR設備を10基ほど備える計画だ。
第一本社のある渋谷のセルリアンタワーから用賀駅直結のGMOインターネットTOWERまでは、鉄道なら田園都市線「渋谷」・「用賀」間で12~15分、バスなら東急バス「道玄坂上」・「用賀駅」間で約35分の移動。ぞれぞれ地下、地上の移動で、今回の空の移動との比較が楽しめそうだ。
ブース内のステージでは、「ドローンセキュリティ」「IoT セキュリティ」をテーマに、同社グループの「ホワイトハッカー」が、便利さの裏に潜むリスクや対策を展示したりグループが提供するセキュリティ事業を紹介したりする。エンジニア要請事業や農業DXなどを手掛けるドローン・ジャパン株式会社(東京)、軽量セキュリティライブラリのwolfSSL Japan 合同会社(ウルフエスエスエル、東京、米国本社:ワシントン州)などとの取り組みも紹介する。 JapanDroneのステージでは6月5日、セキュリティをテーマとしたパネルディスカッションにも登壇する。
GMO インターネットグループは今回のJapanDroneに最大のスポンサーとして出展する。最大スポンサーとしての出展は3年連続で、毎回、目を引く展示で来場者を沸かせてきた。前回2023年のJapanDroneでは、米LIFT社の1人乗りの機体HEXAの実機をブース内で展示し、官民多くの視察団がおとずれたほか、設置機への乗り込み体験を希望する行列ができた。ブース内にはHEXAのトレーニングマシンもあり、この体験希望の行列もできたことからひとつのブースに複数の行列ができたことで話題となった。
HEXAについては、GMOの熊谷正寿グループ代表が昨年(2023年)3月に大阪城公園で実施された飛行デモで、機体に搭乗して飛行する様子を公開し多くのメディアに取り上げられるなど話題になった。
その後のDroneTribuneのインタビューで、熊谷正寿グループ代表は、空のセキュリティに力を入れる企業のトップとして、身をもってその覚悟と現在の技術の高さを示すことが目的だったことを明かしていて、いわゆる空飛ぶクルマの社会実装を推進する姿勢を強くアピールした。いわゆる「空飛ぶクルマ」に対して一般層からは「安全性」についての関心が高いことが知られており、GMOインターネットグループは空のセキュリティの推進をアピールすることで、社会実装の環境を整える構えだ。
熊谷正寿グループ代表のインタビュー(2023年5月掲載)はこちら
乗用eVTOL開発の米ピヴォタル社(Pivotal、旧Opener)は、2024年1月9日をめどに米国で1人用パーソナル・エアリアル・ビークル(PAV)、ヘリクス(Helix)を販売すると発表した。ヘリクスの基本価格は19万ドル(約2850万円)でオプションやアクセサリーは今後、追加発表する。ヘリクスはバッテリーで動く軽量のeVTOL(電動垂直離着陸)機で、米国のルールで決められた条件下なら免許不要で飛ばせる。機体全体を傾ける設計が特徴的で緊急時に着水できる。PAVとしては米LIFT社のヘクサ(HEXA)が今年3月、大阪市の大阪城公園でGMOインターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿グループ代表が搭乗した飛行を日本で披露しており、日本のPAV市場創出も期待される。
ピヴォタル社は、ヘリクスの発表にあわせ、従来の社名Openerの変更も発表した。ケン・カークリン最高経営責任者(CEO)は「Pivotalの名は飛行の力で移動を変えるという私たちの使命を反映している」と話している。
ピヴォタルが発表したヘリクスは、8つの固定ローターと2組のタンデム翼を持つシングルシートPAVのeVTOLだ。幅414㎝、長さ408㎝、高さ140㎝で、何も積まない状態での重さは約16㎏。米国の航空当局である連邦航空局(FAA)の基準では「パート103ウルトラライト」に分類される。ローターも翼も機体に固定されていてティルトさせることはできない。代わりに機体全体を傾けて浮上から巡行へに切り替えるティルト・クラフト・アーキテクチャを採用している。操縦士は体重約100㎏、身長約2mまでのパイロットが搭乗できる。飛行時の巡航速度は最大 55ノット(63 mph、時速約101㎞)だ。
ティルト・クラフト・アーキテクチャはピヴォタル社の機体の特徴で、Opener時代の主力機として知られる1人用PAV機、BlackFly(得意客向けに納入)からの設計思想を、量産機体であるヘリクスでも踏襲した。プラットフォームは2011年の初飛行以来、12年間改良を積み重ね現在は第五世代にあたる。機体にランディングギアはなく機体で着地する。機体にフロートを備えているため緊急時に着水ができる。限定的ではあるが水陸両用機だ。
ティルト・クラフト・アーキテクチャに加えシンプルなユーザー・インターフェースで操作性から複雑さを取り除いたほか、システムや機器の一部が故障しても、予備系統に切り替えるなど機能を保つフォールト・トレランスや、重のモジュール式冗長性を持たせ、安全性を追求した。
飛行は米国内のクラスGと呼ばれる管制されていないエリアでの日の出から日没までの間で可能(Class G airspace over uncongested areas in the daytime)で、個人の短距離移動や空中散歩などのエンターテインメント利用を想定している。
発売は同社公式サイトから。同社は45,000ドルの手付金を受け取った後、出荷予定日を設定する。購入者はその際、カリフォルニア州パロアルトにあるカスタマー・エクスペリエンス・センターで飛行のためのトレーニングを予約する。出荷は2024年6月10日を予定している。米国以外での購入についてのアナウンスはない。
日本国内でのヘリクスのような機体を飛ばすためのルールは現存していない。事例としては2023年3月15日に、大阪市の大阪城公園で同じパート103に該当する米LIFT社のヘクサ(HEXA)を実験として飛行させたことがある。HEXAに搭乗したGMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表は5月にドローントリビューンが行ったインタビューで「飛行そのものでは技術的には全然、問題のないレベルです。あとは規制と市民感情。規制は日本では大阪・関西万博をきっかけにずいぶん整備が進んでいますし、これからも進むと思います」と話しており、PAVの国内市場創出について、日本でもルールの検討と市民感情の期待感醸成が期待される。
GMO熊谷氏インタビューはこちら:https://dronetribune.jp/articles/22494/
PIVOTALの公式サイトはこちら:https://pivotal.aero
ドローンとエアモビリティの大型展示会JapanDrone2023(一般社団法人日本UAS産業振興協議会主催、株式会社コングレ共催)は6月28日に閉幕し、3日間で前回2022年と比べ11.7%増加の19,008人が来場した。来場者数は今回まで8回の中で過去最高で、1ホールあたり1日平均3,168人と健闘した。たえず2つの行列とデモンストレーション見学者の人垣を作っていたGMOインターネットグループ株式会社(東京)の出展ブースを筆頭にKDDIスマートドローン株式会社(東京)、ブルーイノベーション株式会社(東京)、株式会社ロボデックス(横浜市)などのにぎわいが会場全体を盛り上げた。次回は2024年6月5日(水)~7日(金)の3日間に開催されることが伝えられた。
展示会や講演などへの来場者の3日間の合計は19,008人で、同様に3日間で開催された前回2022年の17,021から1,987人の上積みとなった。期間中、来場者が最も多かったのは初日の26日で6,668人。前回も初日が最も来場者が多かった。JapanDroneにあわせて新製品、新サービスの発表をする出展者が初日に集中したことが関係しているとみられている。狭小空間点検機IBISの新モデル「IBIS2」を発表した株式会社Liberawareのブースは新モデル発表の初日午前にブース前にひとだかりがあふれた。また3日間を通じて政治、行政などの視察があり、チェックすべき展示会としての認知が拡大していることをうかがわせた。
出展ブースで足を止める来場者が、出展者の説明をじっくりと聞く様子がみられたり、足早に通り過ぎそうな来場者を、デモンストレーションや華やかな出し物で興味を引くなど創意工夫がみられたりした。ロボデックスはプレゼンテーションをダンスパフォーマンスで盛り上げ客足を止めた。GMOインターネットグループは展示機体の試乗希望者と、トレーニング用VRの体験希望者の2つの行列が出展ブースにできたほか、ハッキングデモンストレーション開催時にも人垣を作った。こうした出展ブースに対し、自社製品や研究成果を持ちこみ反応を探る事業者の姿もあり、JapanDroneをマーケティングの現場と認知した活動を行う様子も目立った。
幕張メッセでは5月に建設・測量生産性向上展(CSPI=シーエスピーアイ)が開催され、ドローンに関連する事業者の出展も多く見られた。CSPIは重機など大型の展示も多く、幕張メッセの展示ホール1~5の5つのホールとホールの外の屋外展示場を使う大規模に開催され、3日間で40,212人、来賓や報道関係者を含め44,67.菱田集めた。来場者数で圧倒するが、1ホールあたりの1日平均の来場者は、ホールの収容力に応じた調整をしない機械的な計算で2,978人となる。JapanDroneは第5、第6の2つのホールで開催しており、1ホールあたりの1日平均の来場者は3,168人とCSPIに匹敵する稼働力を示した。
一方、DJI JAPAN株式会社(東京)のようにCSPI など他の展示会に出展しながら、JapanDroneに出展していない事業者もある。DJI JAPANは、同社の産業機のユーザー層である建設、測量関係者はCSPIにより多く足を運ぶと判断しCSPIに出展したとみられる。実際、CSPIでの同社のブースは3日間ともにぎわい、同社の呉韜代表が行った講演には座席数が55席のところに250人以上の聴講者が訪れる盛況となった。JapanDroneも出展者の求める来場者の上積みを図る工夫が、さらなる活性化につながることを示しており、2024年度開催に向けた運営者の工夫が試されることになりそうだ。
6月26日に開幕したJapanDrone2023 が盛況だ。開会式には関係各省の担当者らが顔をそろえ、会場には視察陣が続々と訪れ、試乗できる機体を展示しているブースには行列ができた、遠隔地とのリアルタイムの中継をみせたり、操縦体験ができたり来場者の好奇心を満たす工夫も随所にみられる。JapanDroneは6月28日まで、千葉・幕張メッセで開催される。
展示ブースを構えたのは国内200団体、海外39団体の239団体。幕張メッセ第5、第6の2ホールに色とりどりの個性豊かなブースが並び、目的を持つ来場者も初心者もそれぞれの関心に合わせて会場内をまわり、足を止め、展示に見入り、担当者と交流をしている。
初日の開会式には関係各省らが顔をそろえた。主催者である一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は出展数を紹介したうえで「過去最大規模の出展となっており、新たなビジネスチャンスを築く場になればうれしい」とあいさつした。来賓として登壇した田中和徳元復興相(ドローン議連会長代理)は「課題解決と付加価値創造のできる夢のある技術。毎回、利活用の進歩に驚嘆していて、これからより多くの人々が利便性を享受できるよう期待したい。その環境整備については政治の面からしっかりサポートする」とあいさつした。
このほか、経産省製造産業局審議官・恒藤晃氏、国交省航空局安全部長・平井一彦氏、国交省総合政策局技術政策課長・川村竜児氏、復興庁原子力災害復興班企画官・黒田俊久氏、農林水産省農林水産技術会議事務局研究総務官・山田広明氏らがあいさつし、テープカットに臨んだ。
多くの時間帯で行列を作っているのはインターネット関連会社GMOインターネットグループ(東京)だ。同社のブースには3月に同社の熊谷正寿代表が大阪城公園(大阪市)で搭乗して飛行した米LIFT社(LIFT Aircraft INC.)製の1人乗り機体「HEXA」の実機が展示され、来場者は乗り込んで写真を撮ることができる。ブースには「HEXA」の操縦トレーニングに使われるVRマシンも置いてありこちらも体験可能だ。初日の26日にはLIFT社のマット・チェイスン(Matt Chasen)CEOがブース内のステージに登壇した。
見所豊富なこのブースには視察も多い。初日の26日には鈴木英敬内閣府大臣政務官(前三重県知事)、27日には猪口邦子元少子化・男女共同参画担当大臣が訪れ、機体をのぞきこんだり、LIFT社のチェイスンCEO、機体のセキュリティーを担うGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(東京)の浅野昌和CTO室室長、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社(東京)代表取締役の牧田誠CEOらと話し込んだりしていた。
GMOブースはこのほかドローンのハッキングを実演し、セキュリティの重要性を伝えるデモンストレーションも行っており人の波が絶えない。
各ブースもデモンストレーション、研究成果報告、新製品の発表など来場者の好奇心を満たす工夫を凝らし個性を競演している。
KDDIスマートドローン株式会社(東京)は、JapanDroneの会場である千葉市・幕張メッセのブースと、千葉県君津市にある同社が運営するドローンスクールが入居する廃校を利用した地域再生拠店「コードベースキミツ」をつなぎ、コードベースキミツに設置しているドローンを、幕張メッセから操縦し、その様子を幕張に設置したディスプレイで確認するデモンストレーションを実施している。
東洋製罐株式会社(東京)はスプレー缶をドローンに搭載して、塗装、防錆、鳥よけなどのソリューションを提案している。同社のブースではドローンメーカーDJIの最新産業用機、Matrice350RTKにスプレー缶を搭載したデモ機を用意し、来場者がまとに水を噴射する体験ができる。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークは次世代アバターロボット開発のugo(ユーゴー)株式会社(東京)の開発した身長180㎝のアバターロボットugoとドローンを連携させたインフラ点検ソリューション「ugo +drone」を実演している。
株式会社Liberaware(千葉市)は軒下、天井裏、水道管など狭小空間の点検に活用できるドローンIBISの機能を刷新した「IBIS2(アイビスツー)」を発表、26日にリリースした。20cm、243gの軽量小型機体で直径50cm の配管内の飛行ができる。JapanDroneのブースで実機の飛行をデモンストレーションしている。
このほかJUIDAが発行している技術論文集などの研究成果をポスターにまとめて公開するポスターセッションも、会場の中央に配置。日替わりで筆者が論文の内容を発表し、来場者が聞き入っている。
公開されている技術の活用でドローンを活用したソリューションの高度化を目指すコミュニティー、DOP Project(ドッププロジェクト)もブースを構え、連日多くの来場者が足を止めている、
JapanDrone2023は28日まで開かれている。
インターネット関連事業のGMOインターネットグループ株式会社(東京)は、6月26日に開幕する「JapanDrone2023」に大規模なブースを構え来場者を迎える。28日までの期間中、ドローンのハッキングデモンストレーションを実施したり、グループ代表の熊谷正寿氏が大阪市の公園で搭乗して飛行した米LIFT社(LIFT Aircraft INC.)製の1人乗り機体「HEXA」の実機の展示をしたりと、ドローンのセキュリティ確保、普及促進に関わる展示を行う。初日の26日にはLIFT社のMatt Chasen CEOも登壇する。
LIFT社のMatt Chasen CEOは26 日13時から15分間、GMOインターネットグループのブースで登壇する。ブースにはHEXAの実機のほか、HEXAの飛行ライセンスを取得するさいのトレーニングに使うVR機も置く。来場者は実機やVR機を近くで見学できるほか、実機の操縦席に座ることができる可能性もある。
ブースでのデモンストレーションではGMOグローバルサイン、GMOサイバーセキュリティ byイエラエが提供する通信暗号化技術やドローンやいわゆる空飛ぶクルマの通信の脆弱性診断の技術を紹介したり、ホワイトハッカーによるドローンハッキングデモを行ったりするだ。
GMOインターネットグループはJapanDrone2023のスポンサーのうち最大の「Platinum Sponsor」で、ブースも出入口に近い場所に広く確保するなど、空飛ぶクルマやドローンの普及への意気込みの大きさを示している。
同社グループ代表の熊谷正寿氏はLIFT社から操縦士証「BEGINNER PILOT CERTIFICATE」を取得した最初の日本人となった。取得のさいLIFT社の操縦トレーニングを受けており、今回展示ブースに設置するVR機は、熊谷代表が資格取得するさいにトレーニングに使われたものでトレーニング気分を味わえる見込みだ。
このほか26日15時には会場内の「コンファレンスルーム2」で行われるパネルディスカッション「ドローン・空飛ぶクルマ、国内外の制度整備・技術開発から考える空の安全」にGMOグローバルサインの浅野昌和CTO室室長、GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社の牧田誠代表取締役が、経産省や国土交通省などの担当者とともに登壇する予定だ。