ブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は5月28日、同社が代理店として取り扱うスイスFlyability 社が開発した屋内点検用ドローン、ELIOS 3(エリオススリー)について、点検などでの飛行や撮影などを自動で再現する「リピートフライト機能」を追加したと発表した。定期点検や定点観測などで繰り返し同一のルートを飛行させる場合、2度目以降は自動で初回のパイロットによる手動操縦を再現する。同社は6月3日に千葉・幕張メッセで開幕するドローンの展示会、JapanDrone2026で新機能を紹介する予定だ。
ブルー「点検品質の標準化を実現する技術」JapanDrone2026でお披露目 「リピートフライト機能」は初回の手動飛行を再現する機能だ。パイロットによる手動の飛行や撮影などの作業を記録し、2度目以降は初回と同じルートを、同じ速度で飛行し、カメラの向き、画角、露出、ライトの向きなども同じ条件で行う。初回と同じ作業でデータを取得するため、サビやクラックなどの劣化の比較が可能になる。2度目以降はお手本の飛行を行ったパイロットに頼らなくてすむため、別のスタッフがボタンを押すことで同一の作業を再現できる。点検品質の均一化確保に役立つうえ、操縦人材の確保が困難な場合の対策にもなりうる。
【追加部分】この機能はソフトウェアのアップデートで導入される。追加モジュールなどは不要だ。このため、機体の外観や重量に変更はない。ブルーイノベーションは新機能を利用するための有料の追加サービスを設けており、アップデート希望者は追加サービスを申し込むことで利用できる。なお、リピートフライト機能について、点検対象の設備が増設などの変更が加わった場合、変更ルートだけを手動に切り替えて飛行させることができる。変更箇所を含めて全ルートを自動再現させたい場合には、変更後のルートを再度手動で飛行させることを推奨している。【追加部分は以上】
ブルーイノベーションは「本機能は、単なる自動飛行ではなく、『点検品質の標準化』を実現する技術です」とコメントしている。
このほか、ビジョンセンサーやLiDAR が取得した点群データに、カメラ映像の色情報を加え、カラー点群として表示する機能や、取得した点検データをクラウド上で一元管理できる「Inspector Online」に対応する機能も追加した。取得データの組織内共有で「点検業務を記録作業から経営判断データへと進化させ」るという。
ブルーイノベーションの熊田貴之社長は「今回の進化は、『ドローンを使う』段階から『ドローンに任せる』段階への転換です。これまで人に依存していた点検業務を、自動化されたインフラ運用へと進化させるものです。私たちは、点検現場における“人への依存構造”を変革し、データに基づく持続可能なインフラ管理の実現に貢献していきます。本技術は、下水道やプラントをはじめとした社会インフラの DX を加速させる基盤になると確信しています」とコメントしている。
なお、再現飛行の時に手動飛行のときと環境が変化している場合などを想定して注意も促している。 LiDAR で検知しにくい障害物が再現飛行のときに飛行ルート上に現れた場合には機体が接触する可能性があるため、再現飛行時の監視の必要性を訴えている。 もっともELIOS 3は障害物に接触しても機体姿勢を制御する機能や、見つけた障害物は回避を試みる機能を備えている。
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リリース全文は以下の通り
人に頼る点検は終わる。屋内インフラ点検を“完全自動化”へ ~ELIOS 3 が実現する「省人化×定点観測 DX」~
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田貴之、以下ブルーイノベーション)は、屋内点検用ドローン「ELIOS 3(Flyability 社製)」において、点検業務の完全自動化を実現する「リピートフライト機能」とクラウド連携機能の提供を開始しました。
老朽化が進む発電所や下水道、各種プラント設備において、点検の高度化と省人化は喫緊の社会課題となっています。これまでブルーイノベーションは「高い安定性と操作性」を備える ELIOS 3 を活用したドローン点検を提供し、多くの企業で導入されてきました。
一方で、設備の経年変化を継続的に把握する定期点検には“定点観測”の再現性が重要視されており、より効率的かつパイロットの操縦技能に依存しない標準化された運用へのニーズが高まっていました。
今回のアップデートにより、ELIOS 3 は「完全自動飛行」による定期点検を実現。操縦経験の少ない現場担当者でもボタン一つで実施可能へと転換させます。誰でも同一条件での“定点観測”を可能にすることで、点検業務の実質的な自動化・省人化を実現します。
本技術は、以下の分野における DX を加速します。
下水道点検 DX:閉鎖空間点検の無人化・安全性向上 プラント点検 DX:定期点検の自動化とデータ蓄積 インフラ保全 DX:長期的な劣化監視と予防保全 なお、2026年6月3日より幕張メッセで開催される「Japan Drone 2026」にて、新機能の活用イメージをいち早くご紹介します。
■背景と課題:手動操縦の限界と「定点観測」の難しさ
近年、老朽化が進む発電所や下水道などのインフラ設備において、ドローンを用いた内部点検のニーズが急拡大しています。しかし、GPS の届かない屋内や狭暗所でのドローン操縦は難易度が高く、「パイロットの育成や確保が困難」という課題がありました。さらに、設備の経年劣化を見極める定期点検では、前回と全く同じ位置・角度で撮影することが重要になります。しかし手動操縦では再現性に限界があり、サビやクラックなどの微小な変化(差分)を正確に比較することが難しいという課題も指摘されています。
こうした課題は、国土強靭化やインフラ長寿命化計画においても重要視されており、点検の高度化と省人化は国家レベルでの対応が求められています。
■本アップデートによる3つの解決策
1.点検品質を標準化する「リピートフライト機能」
本機能は、単なる自動飛行ではなく、「点検品質の標準化」を実現する技術です。
初回の手動飛行によって取得した点検ルートを記録し、次回以降は同じ経路を自動で飛行します。飛行ルートだけでなく、飛行速度やカメラの向き(チルト)、画角、露出設定、ライトの向きや強弱などの設定も記録されるため、毎回同じ条件で設備を点検することが可能になります。この「完全な再現性」は、サビやクラックといった経年劣化の『差分検知の精度向上』に直結し、より精緻な予防保全を可能にします。
また、自動飛行中に障害物を検知した場合の回避機能や、必要に応じて任意のタイミングで手動操作へ切り替える機能など、安全性にも配慮した設計となっています。
初回のルート設定を当社や熟練パイロットが行えば、2 回目以降は操縦経験の少ない現場担当者でも「ボタン一つ」で同一条件のデータ取得が可能になります。これにより、「特定の人にしかできなかった作業」を「誰が実施しても同一品質の点検」へと進化させ、点検業務の“属人性”を構造的に排除します。
(リピートフライト機能を動画で見る: https://youtu.be/AguAXJdl2Gs )
2.直感的に異常を把握できる「カラー点群化機能」
ELIOS 3 に搭載されたビジョンセンサーや LiDAR が取得した点群データに、カメラ映像の色情報を付与することで、カラー点群として表示します。これにより、従来の点群では判別しにくかった設備の腐食や汚れなどを視覚的に把握しやすくなり、点検結果の解析や報告書作成の効率向上に貢献します。
3.データを組織で共有・活用する「Inspector Online」
ELIOS 3 で取得した点検データをクラウド上で一元管理できる 「Inspector Online」 に対応しました。現場で取得したデータをチーム内や遠隔地の拠点と即座に共有でき、点検データを「蓄積・比較・意思決定」に活用する基盤を提供し、点検業務を“記録作業”から“経営判断データ”へと進化させます。
■ブルーイノベーション株式会社 代表取締役社長 熊田 貴之 コメント
今回の進化は、『ドローンを使う』段階から『ドローンに任せる』段階への転換です。これまで人に依存していた点検業務を、自動化されたインフラ運用へと進化させるものです。
私たちは、点検現場における“人への依存構造”を変革し、データに基づく持続可能なインフラ管理の実現に貢献していきます。本技術は、下水道やプラントをはじめとした社会インフラの DX を加速させる基盤になると確信しています。
■ ELIOS 3について
ELIOS 3 は、Flyability SA(本社:スイス、以下Flyability社)が開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種です。世界初の3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載。点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能です。また、最新のSLAM技術により操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現しています。ブルーイノベーションは 2018年に日本おける独占販売契約をFlyability社と締結し、ELIOSシリーズを活用した屋内点検ソリューションの提供を開始しました。ブルーイノベーションは、2025年現在、我が国ではプラントや発電所、下水道などを中心に400ヶ所を超える現場でELIOSシリーズの導入実績があり、わが国では屋内点検のDXソリューションのパイオニアとしてリードしてきました。
■ 安全上の注意
リピートフライト機能による自動飛行は、手動飛行中に LiDAR により記録された周辺環境の 3D マップをもとに飛行します。そのため、手動飛行の時にはなかった、ガラスなどの透明な物体や、細いワイヤーといった LiDAR で検知しにくい障害物が経路上に存在する場合、機体がそれらに接触する可能性があります。ELIOS 3は障害物接触時にも姿勢制御を維持し、回避動作を試みるなど安全性に配慮した設計となっていますが、自動飛行中であっても操縦者は常に飛行状況を監視し、安全を確認しながら運用する必要があります。
(以下、会社概要など省略)
AUTHER 村山 繁
DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。