国土交通省航空局はホームページ上の「飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる講習団体等」に関する記載内容を2月1日現在の情報に更新した。講習団体は944で、前月(1月1日時点)と比べ総数として17増えた。狭小空間向け小型ドローン開発で知られ株式会社Liberawaare(リベラウェア、千葉市)が今回、講習団体として名を連ねた。なお講習団体を束ねる管理団体は55で先月と変わっておらず、2021年に入り新規参入はないことになる。
944となった講習団体は前月(1月1日時点)が927であったため、全体で17増加した計算だ。一方、2月1日に初掲載となった講習団体を数えると46となり、前月に掲載されていた29の講習団体が姿を消したことになる。
2月1日付で掲載された46の講習団体の中には、狭小空間向けのドローン開発・製造を手掛けているリベラウェアの名前が見られる。リベラを含め16団体が初登場だ。46のうち残る30は、すでに別の技能認証を提供している団体として掲載済みで、2つめ、あるいは3つめの技能認証を提供する団体として掲載された。
たとえば、秀明大学(千葉県八千代市)は、2月1日付けで一般社団法人ドローン技術社会実装コンソーシアムが管理する「農薬散布ドローンオペレーター」の技能認証を提供する団体として掲載された。同大学は昨年(2020年)6月1日付で「無人航空機操縦技能認定」の講習団体として初登場を飾っており、今回の追加掲載“2刀流”となった。
また茨城県高萩市で、平成29(2017)年3月に廃校となった旧君田小・中学校学校の約2万平方メートルの校庭を専用フィールドとして持つ株式会社茨城航空技術研究所(ドローン・エンジニア・ラボラトリ)も2月1日付けで株式会社DJI JAPANの技能認証を提供する団体として掲載された。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定スクールとして2019年12月に初登場しており、今回は追加掲載だ。
2月1日付の掲載組では、2刀流としての追加掲載が27と、初登場の16を上回っており、追加掲載が定着する勢いだ。また3刀流としての追加掲載も3あった。追加掲載が一覧表の主流になる流れとなっている。2月1日掲載組を管理団体ごとにみると、一般社団法人全国自動車学校ドローンコンソーシアム(ジドコン)が24と最も多かった。
管理団体を、抱える講習団体ごとにみると、JUIDA、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)、DJI JAPANの上位陣に変動はなかった。
講習団体や管理団体の新規参入の勢いが停滞気味の傾向には、ドローンの人材育成をめぐる国家資格化の影響がのぞく。国家資格化は、都市部を目視外で運用できる「レベル4」飛行を実現する環境整備のひとつで、現在、ドローンの運用技能を国家資格として付与する制度づくりが官民で進められている。
国家資格を得るために合格すべき試験は「民間試験機関」が、講習は「民間講習機関」が、国にかわって提供する方針が公表されている。しかし「民間試験機関」、「民間講習機関」とも概要が公表されておらず、既存の講習団体、管理団体との関係も調整途中だ。
国交省は、「(既存の)講習団体の制度上の扱いは、これまでと何も変わらない」と説明しているが、民間資格をプロダクトとして提供してきた事業者にとって。国家資格が導入されると事業環境は大きく変わる。受講生の獲得も、既存の民間スクール間だけでなく、国家資格を提供する「民間講習機関」とも競う必要が生じる可能性がある。国家資格は取得すれば、民間資格よりも有利になる可能性が高く、受講生獲得に不利になる恐れもぬぐい切れない。
国歌資格化後の身の振り方が定めきれずに頭を抱えるドローンスクールもあり、当面は様子見と情報収集とに明け暮れることになりそうだ。
屋内設備点検用の小型ドローンIBIS(アイビス)を開発する株式会社Liberaware(=リベラウェア、千葉市、閔弘圭CEO)がサービス拡充を加速させている。10月28日、現行の定額IBISレンタルサービスに、撮影した動画の「画像処理し放題サービス」と、機体とコントローラやモニタとの通信を安定させる「エクステンションアンテナのレンタル」を追加すると発表した。サービス拡充に伴う料金変更はない。同社は今月、ソニーの高感度CMOSイメージセンサー「STARVIS」を採用して開発した超高感度カメラを搭載した新型IBISのリリースを発表したばかりで、この新型機も現行サービスの中で使えるようになる。
リベラウェアは機体、ソフトウエェアなどを自社開発している。開発した機体などのプロダクトを導入したい事業者向けに、機体のレンタルサービスを展開しており、故障などが生じたさいに回数を問わず修理に応じるサービスや、リベラウェアが開催する操縦講習に何度でも参加できるサービス、動画のアップロード管理・閲覧・編集が可能なクラウド動画管理サービス「LAPIS for Drones」の利用サービスがついている。
今回はこのサービスをさらに拡充し、「画像処理し放題サービス」と「エクステンションアンテナ」を追加する。
「画像処理し放題サービス」は「LAPIS for Drones」の機能拡充で対応する。IBISで撮影した動画データを「LAPIS for Drones」上で申請すれば、3Dモデル、 点群データ、オルソモザイク画像に画像処理ができる。これにより、レンタル機を利用する事業者は、動画加工用の高性能サーバや、専用ソフトウェア、画像処理エンジニアなどを準備する必要がなくなる。動画データを画像処理することで、報告書への貼り付けや、比較検討作業が可能になる。。
また「エクステンションアンテナ」は、操縦コントローラと映像モニタのアンテナを10メートル延ばせる装備。IBISが点検する施設内に設置しておけば、電波の送受信が途切れがちな場所でも、操縦コントローラや映像モニタを施設内に持ち込まずに済むようになり、操縦者の安全性確保や作業効率向上に寄与する。
10月1日には、ソニーが開発した高感度CMOSイメージセンサー技術「STARVIS」を採用した超高感度カメラ搭載の「新型IBIS」について、リリースを発表しており、定額レンタルサービスのユーザーの利用機も、順次新型機に入れ替えていく。
一連のサービス拡充に伴う料金の変更はなく、閔CEOは「設備保全業務のデジタルトランスフォーメーション推進に貢献したいというのがわれわれの思いです。ソフトウェアもハードウェアも自社開発しており、プロダクトは日々、進化しています。定額サービスをご利用頂いているみなさまには、進化したプロダクトを随時提供して参ります」と話している。
産業用小型ドローンの開発や運用を手掛ける株式会社 Liberaware(リベラウェア、千葉市)は、点検先の施設の中に一酸化炭素(CO)や硫化水素(H2S)などの有毒ガスがないかどうかを検知する機能を持つドローンの開発を始めたと発表した。7 月 24 日~26 日に東京ビッグサイトで開催される「メンテナンス・レジリエンス TOKYO プラントメンテンスショー2019」に出展し、開発中の製品を展示する。
開発するのは、床下など狭い空間の点検に用いる同社の産業用小型ドローンIBIS(アイビス)を有毒ガスが検知できるようにカスタマイズした機体。これを使うことで、検査員が設備に立ち入る前に、有害ガスの有無を確認できるようにする。
具体的には、ドローンが飛行中に撮影した映像をリアルタイムでモニターに表示するさいに、モニター画面に一酸化炭素や硫化水素の濃度を表示することができるようにしたり、ドローンが離陸してから着陸するまでの間の検知ガスの濃度の推移をログデータとして保存したりする。有毒ガスが発生、滞留する可能性のある場所に人が近づいたり、立ち入ったりすることなく、短時間で手軽に、点検個所が人の入れる環境かどうかを確認できれば、作業負担が大幅に軽減できる。2020年まで、プラントを保有する企業と使用感や性能評価を実施し、2021年に市場に投入することを目指す。
需要が見込めるのは、製鉄所や電力会社など点検が必要な設備の中に、有毒ガスが発生する可能性のある場所を持つ施設。現在は作業員が作業着やヘルメットに有毒ガスの検知器を装着して点検をしている。仮に検知器が警報を発したら作業員は急いで退避することになっている。手軽に、効率的に、安全に有毒ガスの検知ができることが、こうした設備を持つ関係者にとって大きな課題だ。リベラウェアは製鉄所や電力会社などとIBISを運用する中で、こうしたニーズが強いことを把握。新たに開発に着手することを決めた。
リベラウフェアのIBISは、狭小空間を安定して飛行することができる産業用小型ドローンだ。製造業や建設業を中心に、狭くて人が入いれない空間や粉 塵が多く発生する等の作業に不向きな環境下で作業員にかわって検用を担うドローンとして活用されている。開発に着手した有毒ガス検知機能を持つドローンも、IBIS をカスタマイズしたものになる。これまで配管や煙突、ボイラー等の内部の点検で使われる中で、点検需要のほかに、安全確保の需要も大きいことに着目した。
今後、開発と実証を重ねて、2021年をめどに展開を予定していて、リベラウェアがドローンの運用と測定を行う「点検サービスプラン」 と、製品を貸し出してプラント側が運用する「レンタル導入プラン」の2種類で提供する予定という。
【IBISの概要】
◇サイズ :190×180×50mm (プロペラガード込み)
◇重量 :170g(バッテリ込み)
◇飛行時間:最大 12 分間
◇装備類 :LED 照明、防塵用モーター、独自設計のプロペラ 他
【出展予定】
7月24日~26日に東京ビッグサイトで開催される「メンテナンス・レジリエンス TOKYO プラントメンテンスショー2019」に出展し、開発中の製品を展示する予定。