空飛ぶクルマ の記事一覧:36件
  • 2023.5.19

    GMO熊谷代表インタビュー 大阪城公園での空クル操縦は「安心を身をもって示すため」

    account_circle村山 繁
    MORE

     大阪・関西万博での実現が期待される、いわゆる「空飛ぶクルマ」などのエアモビリティへの関心が高まる中、DroneTribuneは、3月に米LIFT社が開発した1人乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)を操縦する様子を公開したGMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表にインタビューした。飛行機やヘリコプターの操縦の資格を持ち、空を飛ぶことに詳しい熊谷氏は、HEXAの操縦体験について不安を感じることは一切なかったと明言し、そのうえで「われわれは空飛ぶクルマをお守りする」と、サイバーセキュリティ、情報セキュリティを手がける企業グループとしての使命感を鮮明にした。また3月に行った飛行の公開も、可視化しにくいセキュリティを、身をもって示す意味があったと明かした。 

    「空飛ぶクルマ、飛行は技術的に問題ないレベル

    DroneTribuneのインタビューに応じたGMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表

    空飛ぶクルマなどエアモビリティの実現が期待される大阪・関西万博は4月13日に開幕まで2年となる節目を迎え、プレ万博など地元を中心に機運を高める催事が企画されている。GMOの熊谷氏はこれに先立つ3月15日、大阪城公園で丸紅株式会社が主催したHEXAの飛行デモンストレーションに、日本人で初めてライセンスを取得した操縦者として参加し、自身が飛行する様子を公開した。万博開幕まで2年を切り、エアモビリティへの関心がますます高まっていることから、熊谷氏に尋ねる機会を得た。インタビューは、都内のGMO本社で行われた。

    ――空飛ぶクルマやエアモビリティの現時点での話題には、安全、安心がついてまわります。操縦者の立場としてどう感じますか

    熊谷氏 「私は飛行機で双発エンジン航空機の免許を持っており、ヘリコプターでも同じように双発エンジンの免許を持っております。その意味で空飛ぶ乗り物のライセンスは、今回のHEXAで3種類目となり、空の安全は常に意識しています。どの観点から論じるか、による面がありますが、まず申し上げたいのが動力の数の観点です。HEXAはこの点で飛行機やヘリコプターと比べると最も安心できる乗り物と言ってよいと思います。なぜなら、飛行機の動力の数は2つ、ヘリコプターも双発の場合で2つなのに対し、HEXAは小型のプロペラが18基あり、ローターのひとつひとつに動力であるモーターがついています。ひとつの動力が失われた場合も安全性に問題はありません。ここは安全を語るうえでお伝えしたい点です。このほか空域の観点もあります。

    ――それはどんな?

    熊谷氏 「飛ぶ空域が異なるということです。飛行機の場合は3万から4万、5万フィート。プライベート機がより高く、民間機だと3万3000フィートあたり、ヘリなら都内だと2000フィートとか3000フィートといった具合です。それに対し空飛ぶクルマはそれよりずっと低い。陸上交通の場合は電車も自動車もほぼ地上を動きますので、その観点からも議論できるかもしれません。航空管制の整備はこれからですが、日本の場合は特にしっかりしています。議論の最中の型式などルールづくりの中で出てくる論点もあると思います」

    ――快適性などは

    熊谷氏 「HEXAはFAA(米連邦航空局)が『Part103』と呼ぶウルトラライト級に位置付けられています。ものすごく軽くてとにかく飛ぶことを最優先した機体です。小回りがきく分、扉がなくて、夏はいいんでしょうけど、冬は寒いとか。快適性はこれから解決していくことになるかもしれません」

    ――総合的にはいかがでしょうか

    熊谷氏 「飛行そのものでは技術的にはもう全然、問題ないレベルです。あとは規制と市民感情の問題があると思っています」

    「規制と住民感情を乗り越えて普及を」

    ――熊谷代表はHEXAを操縦したとき上空から手を振っていましたが率直に、こわくないものですか

    熊谷氏 「パイロットなのでシートがあってハーネスがあって操縦桿を握っていればこわくないのです。ただ、ギャグみたいな話なんですが、基本的に高所恐怖症でして。いや、ホントです。飛行機の免許をとる前に、ここ(東京・渋谷のセルリアンタワーにあるGMOのオフィス)から外を眺めて、ふと『ここを飛ぶのか』と思ってビビったことがあるんです。子供のころから空を飛びたいと思っていたのですが、ホントに取ろうと思ったときに、やっぱりちょっと高いところはこわいよな、と思ったんです。そのうえで、空飛ぶクルマですが、まったく、こわくない。これは私がパイロットだから、とか、高所恐怖症を克服したから、ということよりも、一番大きいのは機体が安定したから、ということだと思っています。HEXAはパイロットが機体を安定させるためにすることはほとんどなくて、コンピューターがプロペラを制御してくれています。これだけ安定していればなにもこわくない」

    ――操縦士ががんばらなくても機体が安定しているのですね

    熊谷氏 「ふつうならパイロットはいつも風を計算して飛びます。私もスマホにパイロットのアプリをいくつも入れていますが、たえず風向きを気にしています。羽田空港も風向きによって着陸の滑走路が違います。ヘリも飛行機も、正面から風を受けていないといけないのですが空飛ぶクルマは、機体によって多少差はあるかと思いますが、少なくともHEXAは風向きを気にすることはありませんでした。飛行条件が整っていれば、どっちから風が吹いてくるからどっちに向いて飛ぶ、ということはなかったです」

    ――HEXAや空飛ぶクルマの普及イメージは

    熊谷氏 「普及の障害は、住民感情と規制だと思っています。テクノロジーの障害はほぼない、とIT業界に身を置くものとして、思っています。規制は日本では大阪・関西万博をきっかけにずいぶん整備が進んでいますし、これからも進むと思います。経済産業省、国土国交省主導で空飛ぶクルマを普及させようとしていますし、万博終了後も定期航路を残そうとしていますね。非常によい動きです。残る最大級の問題が、離発着場です。空からみるとHマークやRマークがありますが、実際には使われていません。まずはそこをなんとかしないと離発着できません。あとは飛行許可。ヘリですら飛行のたびに国土交通大臣の許可が必要です。それが空飛ぶクルマの離発着についてどうなるのか。いまの日本の状況では都度、国土交通大臣の許可が必要、という話になりやすいので、規制緩和ができるかどうかが普及には重要だと思います。あとは住民感情です」

    「情報セキュリティとサイバーセキュティで空飛ぶクルマをお守りします」

    ――乗り越えるための対応が必要だと言われています

    熊谷氏 「われわれGMOは空飛ぶクルマをお守りしています。GMOはテクノロジーとしてセキュリティの領域に強みを持っています。情報セキュリティとサイバーセキュリティ、つまり、暗号化で読み取られないようにする部分と、ハッキングされないようにする部分です。空を守ることに貢献するため経済産業省の担当部署にもパートナー(従業員)を派遣しておりますし、空飛ぶクルマの開発企業に技術協力をしております。セキュリティは可視化が難しいので、そのために何ができるかをわれわれはいつも考えております。3月に大阪城公園をHEXAで飛びましたが、あれも私が身をもって安全ですよ、と示すため、という文脈です。ただ空が好きだから飛んだ、というわけではなかったんです。6月に開催されるドローンの展示会『JapanDrone2023』にも出展してご理解いただけるようにアナウンスもするつもりでおります」(注:GMOインターネットグループはJapanDrone2023のメインスポンサーでブースも出展する)

    ーー空の産業利用に大きな可能性を感じていることが伝わります

    熊谷氏 「空は現時点では最後の産業的なフロンティアです。 だって、地上はいっぱいじゃないですか。それに対して空は、ヘリが飛ぶ高さより下の低空域はガラガラです。そこを安全に産業的に利用すべきだと考えています」

    ーーGMOインターネットグループとしての空飛ぶクルマへの取り組みとは

    熊谷氏 「強みがないことをやっても仕方がないと思っています 空飛ぶクルマの産業を強みである情報セキュリティ、サイバーセキュリティなどセキュリティの面から応援し、お守りし、普及を支えようと思っています 安心安全の空の利活用を応援して普及をするようにグループを挙げて努めてまいります」

    ――ありがとうございました

    関連記事/パイロット搭乗の空クルが大阪城公園を飛行

    https://dronetribune.jp/articles/22370/

    関連記事/ GMO代表・熊谷正寿氏が米LIFT社の“空クル”操縦資格を日本人初取得

    https://dronetribune.jp/articles/22235/

     

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.4.28

    【JapanDrone2023】JUIDA、コングレが出展者説明会 ブラジルEVE社が初出展へ 

    account_circle村山 繁
    MORE

    一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレは4月25日、千葉市の大型展示会場、幕張メッセで6月下旬に開幕するドローンの大規模展示会、「JapanDrone2023」の出展者向け説明会を開いた。開催概要や事務手続きの説明とともに、海外から高い関心が寄せられている状況や、ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社のAAM開発子会社、イブ社(Eve Air)の初出展が決まったこと、参加者同士の交流の場、ネットワーキングパーティーを3年ぶりに催すことなどが報告された。

    AWSの登壇も調整中 3年ぶりのネットワーキングパーティーを6月26日に

    JapanDrone2023はJUIDAが主催し、コングレが共催する。幕張メッセの展示ホール5,展示ホール6の2つのホールを使い、展示スペース、デモスペース、講演用ステージなどが設けられる。会期は6月26(月)~28日(水)で、原則午前10~17時が開会時間となる。経済産業省、国土交通省などの中央省庁や業界団体が数多く後援、協賛に名を連ねている。事前に登録すれば来場は無料だ。展示は250団体、380小間を目指し仮決定先との調整を進める。講演は無料、有料があり現在23が決定。このほかに協賛社のプレゼンテーションもある。講演について、新型コロナウイルス感染症防止対策として昨年まで行っていた講演のオンライン配信は、今回は行わない。

    説明会ではJUIDAの鈴木真二理事長が「今後、本格的な社会実現が進むことになる中で、最もホットな議論ができる場となればよいと思っております。ビジネスチャンスの創出の場を目指して参ります」と開催に向けた抱負を述べた。

    事務局からは、出展者数や登録者の推移、アンケート結果、展示や講演の構成と方針、表彰企画の説明や、出展情報などが報告された。ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル(Embraer)社の子会社でeVTOLやUAMなどのAAMを製造するイブ社(Eve Air Mobility) が出展するうえ同社のビジネス開発責任者、オーガスティン・タイ(Augustine Tai)氏による基調講演「UAMのビジネス展開とEve Air協力プロジェクトの世界展開について」(6月28日、10:10~10:40)=無料)が予定されていることなどが発表されたほか、6月28日にAmazon Web Serviceの登壇を調整中であることも伝えられた。

    また新型コロナ感染症の蔓延防止対策として開催を控えていた交流会、ネットワーキングパーティーを3年ぶりに再会する。開催するのは開催初日6月26日、会場に近いホテルの会場で開催する。

    あわせて出展者向けの告知プランや装飾、電気設備、搬入・搬出の時間などの注意事項などが伝えられた。主催者、共催者も今後、周知に向けて都心部の駅での告知、プレスリリースなどを活用する方針だ。来場者登録は5月上旬に受け付けを始める.会期中の来場登録者は過去最大の1万8000人を見込む。

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.4.17

    「プレ万博」開幕、展示の主役はドローンと空クル 大阪・関西万博まで2年のカウントダウンイベント

    account_circle村山 繁
    MORE

    大阪・関西万博開幕の2025年春までちょうど2年となった2023年4月13日、大阪万博機運を醸成するイベント、「咲洲プレ万博」がアジア太平洋トレードセンター(ATC、大阪市住之江区)で始まり、こけら落としイベントの「ATC OSAKA MIRAI EXPO」では、ドローンやいわゆる空飛ぶクルマに関する展示が中心的な存在感を示した。ATC OSAKA MIRAI EXPOの初日の13日には橋下徹元大阪府知事も行われ、多くに来場者でにぎわった。ATC OSAKA MIRAI EXPOで開幕した咲洲プレ万博は、今後年間50以上の催事を予定している。

    SLT、エアロファシリティー、エアモビリティー、NIROなどが来場者に説明

     ATC OSAKA MIRAI EXPOは、ATC OSAKA MIRAI EXPO実行委員会の主催、咲洲プレ万博実行委員会の共催で行われ、大阪府、大阪市、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、公益社団法人2025年日本国際博覧会が後援した。13~16日の4日間が会期で、平日の13、14日には「Business Day」として、先端技術の社会実装を見据えた展示や商談会、セミナーなどが行われた。

     展示の中心はドローンやいわゆる空飛ぶクルマなどの関連技術だ。エアロファシリティ株式会社(東京)は、いわゆる空飛ぶクルマが着陸するためのポートを提案していて、豊富なヘリポート設置実績を生かしてポートの情報や、ヘリポートにも使えるゴム製マット「パズルマット」を告知、来場者にはつなげて使うマットのサンプルを見せたりした。同社は大阪・関西万博でっ会場内離着陸場運営協賛者に選ばれたオリックス株式会社(大阪市)や関西電力株式会社と協定書を締結している。

     機体開発のスカイリンクテクノロジーズ株式会社(SLT、神戸市)も会場にブースを設け、同社が開発する6人乗りのチルトウイング型のリフト&クルーズ機の実物の6分の1の模型を展示した。会場では森本高広CEOも来場者を迎え、問い合わせや相談にていねいに応じていた。

     販売プラットフォームなどのサービス開発を進めるエアモビリティ株式会社(東京)は機体メーカーと部品メーカーとを結ぶeコマースサイト「AeroMall」(https://aeromall.jp)などを来場者に紹介した。同社は販売プラットフォームの開発を手掛けていて、スイスの機体メーカー、デュフォー社(Dufour Aerospace社、チューリヒ)と日本市場での代理店契約を締結したことを発表している。

     大阪府もVRゴーグルを装着して空飛ぶクルマのバーチャル乗車体験ができるブースを設置。多くの来場者がVRゴーグルをかけて歓声をあげていた。

     そのほか、公益財団法人新産業創造研究機構(ナイロ、神戸市)が兵庫県と共同でブースを設置しこれまでの取り組みを紹介。過去に41の事業を実現させた実績がありブース内には連携した企業の名前が掲げられている。KDDIスマートドローン株式会社(東京)。TOMPLA株式会社(新潟市)、セブントゥーファイブ株式会社(東京)、日本化薬株式会社(東京)など、ドローンや空飛ぶクルマに関わる企業の名前も多くみられた。

     また一般社団法人MASC(岡山県倉敷市)などが、中国EHang(イーハン)社のEHang216を展示し、来場者が写真におさめたり乗り込んだりしていた。

     なお講演では橋下徹元大阪府知事が登壇。万博をテーマとしながら、空飛ぶクルマについても「大いに期待していますよ。推進しなきゃいけない立場ですからね」と述べた。

     講演では少子高齢化への対応についての危機感を中心に言及し、「高度成長のリニア型の時代はすばらしいものを作ればよかったが、これからは成熟時代でサーキュラー型。すでにあるすばらしいものを、つなげて、まわして、付加価値にすることが大切」「万博はイベントではなくソリューション。今後、世界の各国も高齢化に突入することを考えると、日本は先取りして取り組んでいることになる。日本の取り組みは輸出できる。少子高齢化を強みに。一市民として無責任に言えば、人口減省のドバンテージを実験的につなげてソリューションとして提供していければいいと思う」などと持論を展開し、会場から拍手を浴びた。

    大阪府は空飛ぶクルマの乗車をバーチャル体験できるブースを設置。多くの来場者でにぎわった
    開発中の機体の6分の1サイズモデルを示すSLTの森本高広CEO
    エアモビリティーのブース7では社員が来場者に取り組みを説明。興味津々で話し込む来所者の姿も
    NIRO(公益財団法人産業創造研究機構)のブースにはこれまで取り組んだ41の事業などで連携した企業や団体の名前がずらり
    ドローンを前面に押し出したNIRO(公益財団法人産業創造研究機構)のブース
    着陸どうする?のソリューションを展示したエアロファシリティーのブース
    展示されたEHang216には来場者が乗り込んだり写真におさめたりしていた

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.3.19

    大阪・万博記念公園にDream Onの空クル体験マシン登場し来場者が笑顔! 3月19日も開催 予約受付は終了。でもひょっとしたら…

    account_circle村山 繁
    MORE

     いわゆる「空飛ぶクルマ」の社会受容性向上活動を進める有志団体 Dream On(ドリームオン、東京)の疑似搭乗体験マシンが3月18日、大阪府吹田市の万博記念公園にお目見えし、多くの来場者の好奇心を刺激している。体験は3月19日(日)も行う。18日には体験を終えた参加者が一様に笑顔を見せ、「おもしろかった」、「早く実現してほしい」、「期待を超えた」と好評コメントを寄せた。Dream Onの中村翼代表は「体験会で頂くリアルなフィードバックはとても価値が高いと思っています。疑似ではありますが、ぜひ五感で味わって頂きたいです」と話している。体験料は無料(会場の万博記念公園・自然文化園・日本庭園共通入場料は一般で大人260円、小中学生80円)。体験の予約はほぼ埋まっているが、スタッフによると「実は、隙間時間があれば、ひょっとすると体験チャンスがあるかもしれません」と話している。

    「実用化を祈念」「こんな未来を早く」など前向きメッセージ続出 「とんでもきもちわるくなかった」もwww

     空クル搭乗体験マシンがにぎわいをつくっているのは、万博記念公園内の「EXPO’70パビリオン」の「空飛ぶクルマPRコーナー」だ。2025年の大阪・関西万博で空飛ぶクルマの実現に向けて環境整備に取り組む大阪府が主催する空飛ぶクルマの社会受容性向上事業の一環で、体験を通じて空飛ぶクルマへの理解を深め、親しみを高めてもらう企画だ。クルマ型のマシンのシートにすわり、VRゴーグルを装着すると、目の前に空飛ぶクルマに乗った風景が広がる。VR映像中で空クルが進むのにあわせて、マシンが進むため、実際に動いている感覚も味わえ、没入感を満喫できる。

     会場では事前予約の来場者がゴーグルを装着してマシンに搭乗。ゴーグル内ではビル屋上で空クルに乗る前からのシーンが流れる。映像内で空クルが発信すると、それにあわせて搭乗マシンも前進する。映像内では飛行中の日差しも忠実に再現されていて、これも没入案を演出する。体験者は、左右、上下に首をまわすので、風景を楽しんでいる様子がうかがえる。数分で空クル体験は終了するが、ゴーグルをはずすと一様に笑顔がはじける。

     終了後には付箋に感想を書いて、ボードにはってもらう。ボードには「実用化を祈念」「もう1かいのりたい」、「こんな未来が早く来て欲しい」、「高い所、苦手ですが楽しめました」などの感想が並んだ。また「がんばってください」とDreamOnの活動にエールを送るコメントもあった。

     立ち会ったDreamOnの中村代表は「未来について具体的なコミュニケーションをすることに少しでもお役に立ちたいと思いこの活動を続けています。このマシンだけでこれまでに2000人以上の方に体験して頂きました。みなさまから多くの感想をいただき、そのひとつひとつが、これからを築くために貴重なデータになっています。とくに思ったことをストレートに口にだす子供たちの感想は刺激になります。この体験を通じて未来を仕掛ける側になっていただける方が増えればいいとも思っています。今後もこうした活動を続けていきます」と話している。DroneTribuneも、「ドローンやエアモビリティー前提社会の実現を通じて価値ある未来をたぐりよせる」ことを掲げて活動しており、中村代表の活動に通じる。

     PRコーナーには、搭乗体験のほかに、VRゴーグルを使用した空飛ぶクルマVR体験ができるコーナーもある。ここでは大阪を飛ぶ体験ができる。また空飛ぶクルマの理解に役立つパネル展示もあり、スタッフが来場者に説明をしたり、問い合わせに応じたりしている。この日は空飛ぶクルマに詳しく多くのイベントで登壇実績を持つ中央復建コンサルタンツ株式会社(大阪市)の松島敏和氏が、来場者の「どのぐらい飛べるんですか?」、「いつ実現するんですか」などの質問にていねいに応じていた。

     空飛ぶクルマPRコーナーが万博会場に設置されるのは3月19日(日)、10:30〜16:00まで。期間中、PRコーナーに近い万博記念公園の「お祭り広場」で、「第2回 魚ジャパンフェス in 万博記念公園」も開かれている(21日まで)。会場には「天然!アラスカ産紅鮭のこぼれいくら丼」(こぼれいくら海越)、「贅沢まぐろ3種丼」(黒潮市場)、「北海宝舟9種盛り海鮮丼」(北の海 どさんこ海鮮市場)など、海の幸の店が全国から集まるので、空クル体験と味覚を同時に味わえる。魚ジャパンフェスには別途入場料300円が必要だ。

    来場者に説明するDreamOnの中村翼代表(中央)
    ボードに張り出されたDreamOnの体験マシン利用者のコメント
    体験マシン利用中の様子を家族が記念に
    VR体験コーナー。空も見上げたくなります
    DreamOnのマシン搭乗者は正面だえでなく、周囲をみまわしたり、高さを確認したりして景色を楽しむ
    ゴーグルを装着してワクワクの空クル疑似体験
    展示パネルの前に集まる好奇心旺盛な来場者。中央復建コンサルタンツの松島敏和氏が念入りに説明
    「空飛ぶクルマについて知っている人はどれぐらい?」。事前にとったアンケートの結果モパネルで展示
    ボランティア精神あふれるDreamOnの活動
    「空飛ぶクルマ」開発のあゆみもパネル展示

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.3.15

    パイロット搭乗の空クルが大阪城公園を飛行 丸紅が米LIFT社の1人乗り機HEXAで実証実験

    account_circle村山 繁
    MORE

     いわゆる空飛ぶクルマの実現に力を入れる商社大手の丸紅株式会社(東京)は3月15日、米LIFT社(LIFT AIRCRAFT INC.)の1人乗り乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)の操縦者が乗って飛行する実証実験を、大阪市の大阪城公園で実施した。都市部での空クルの有人飛行は国内で初めてだ。HEXAは公園内の決められたエリア内で、垂直に離陸し、上空で旋回し、許可されたエリアを周回して、空の移動の手軽さを関係者、報道陣などに印象付けた。同型機の飛行トレーングを受け、操縦資格を取ったGMOインターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿代表も操縦士の1人として参加した。熊谷氏は飛行中に操縦席から手を振るなど空の移動の楽しさをアピールし、2025年の大阪・関西万博での商用運航を目指すエアモビリティの社会受容性向上に一役買った。

    日本初のパイロット搭乗飛行 GMO熊谷氏が操縦シーンを披露

    大阪城を背景に飛行する1人乗りエアモビリティHEXA。GMOインターネットの熊谷正寿代表が操縦している

     日本初のパイロット搭乗飛行は、GMOインターネットの熊谷正寿代表が飾った。LIFT社の創業者でCEOのMatthew Chasen氏も現地で見届けた。

     この日の実証実験は、大阪城公園内の野球場に飛行エリアを設定して行われた。国土交通省航空局などとあらかじめ念入りに調整し、電子的な網であるジオフェンスをはって、機体の暴走を防止するなどの対策をとった。

     飛行した機体、HEXAは米LIFT社が開発した1人乗りの機体で、米連邦航空局(FAA)が「ウルトラライト級」に位置づけている。飛ばすために国が定める免許証を取得する必要はなく、LIFT社の提供するトレーニングを受ければ乗れる。座学、シミュレーター体験、実技など1時間ほどのトレーニングで、ビギナーとしての操縦士証明を受けられる。FAA Part103に該当する機体で、全長4.5m、高さ2.4m。小型のプロペラ18基を備える。113㎏の積載量で飛行速度は最高で時速101㎞、飛行時間は約15分だ。

     機体には飛行直前にバッテリーが取り付けられた。GMOインターネットの熊谷代表が乗り込むと、まもなくプロペラがまわり始めふわりと浮かび上がった。モーター音はするものの、エンジンの爆音はなく、見守っていた関係者や報道陣から「威圧的には聞こえない音。周囲の人を怖がらせることはないのではないか」、「大型トラックのほうがずっと耳障り」などの感想が聞かれた。機体は上空8メートルほどの高さまで上昇すると、エリア内をすいすいと移動した。

     飛行中の熊谷代表は、自動車の運転席に座っているような姿勢だ。正面はガラスに覆われているものの、両サイドにドアはなく、足も外気に当たりっぱなしになる。足の置き場はあるが、スキー場のリフトに似た印象だ。操縦席には中央にタブレット、右手に操縦桿がわりの3軸ジョイスティックがあり、これらを使い分ける。機体の傾きなどの制御は自動で調整されるため、移動する方向や速度を指示すればよい。熊谷代表は飛行中、操縦席で両手を広げたり、手を振ったりと、簡単で楽しく手軽な乗り物であることをアピールした。3分ほど空中で移動、旋回したあと、無事、着陸した。

     この日は無人での飛行や、LIFT社のテストパイロットによる飛行も行われた。実験としては、騒音のほか、18枚のプロペラが起こす風の影響も確認した。

     この実験には、丸紅、LIFT社のほか、株式会社長大(東京)がイベント管理、学校法人ヒラタ学園(大阪府)が申請支援、損害保険ジャパン株式会社(東京)がリスクアセスメントで関わった。また大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」も協力した。

    報道陣が見守る中、初めてのパイロット搭乗飛行を披露した米LIFT社のHEXA
    質問に回答するLIFTの
    大阪城を背景に飛行する1人乗りエアモビリティHEXA。GMOインターネットの熊谷正寿代表が操縦している
    飛行をおえ報道陣の取材に応じるGMOインターネットの熊谷正寿代表。空クルが手軽で身近で簡単をあると印象づけた

    「手軽な空の移動の実現を日本で」丸紅執行役員・岡﨑氏が意欲

    大阪城公園での実証実験で飛行の前に行われたあいさつ。上段は左から丸紅・吉川氏、岡﨑氏、下段は左から長大・菊池氏、大阪商工会議所・松本氏、LIFT社・Matthew ChasenCEO

     実験の冒頭には関係者があいさつをした。

     大阪商工会議所の松本敬介産業部長は「この実験は万博機運醸成と未来社会のイノベーション創出に向けて実施した。大阪が日本を代表する実験都市であることをPRしつつ、空飛ぶクルマの実現の第一歩を刻みたい」とあいさつした。

     丸紅の執行役員で航空・船舶本部長の岡﨑徹氏は「この実証飛行は大阪府などの公募事業に採択を受けて実現した。パイロットが搭乗して上下、旋回など複数のパターンで実施する。国交省航空局の策定している空飛ぶクルマの試験飛行ガイドラインにのっとって申請し、承認を頂いた。飛行を通じて、空を飛ぶクルマがすでにあること、静粛性があることを発信し社会受容性向上に結び付け、空の移動をより身近にしたい。万博では空飛ぶクルマの運航事業者にも選ばれており、日本の空飛ぶクルマのフロントランナーとして活動したい。航空業界で幅広いネットワークもあり、多角的事業のノウハウももち、空飛ぶクルマのエコシステムを形成していく。『できないことはみんなでやろう』を合言葉に、手軽でグリーンな空の移動を日本で実現する」と抱負を述べた。

     LIFTのMatt ChasenCEOは「われわれの提供する未来の空のフライトのヴィジョンを共有できることを光栄に思っている。われわれは長い歴史の中ではじめて、ほんの短い時間で安全に空を移動する技術を身につけることのできる空飛ぶクルマHEXAを開発した。米国ではウルトラライト級と位置付けられ、既存の操縦資格を持たずにLIFT社独自のトレーニングを受ければ飛ばせることになっている。5年の開発で2023年の後半には有償飛行体験をローンチする計画だ」と話した。

     長大の事業戦略担当施行役員で事業戦略推進統括部の菊地英一氏は「もともとは瀬戸大橋のプロジェクトをたちあげるときにできた会社。インフラ整備に注力してきた歴史がある。今後空の移動のインフラ整備にも取り組みたい。飛ばす基準などで関わりたい。風や騒音の基準づくりも担い、今後の検証にいかしたい。離着陸場も重要になろう。その設計、運航にも取り組む。建設コンサルタントとして地方に貢献したい」と説明した。

     実は進行役を務めた丸紅航空宇宙・防衛事業部の吉川祐一氏も、LIFT社のライセンスを取得した日本人の一人として、2月23日に大阪・梅田で開催された空の移動革命シンポジウムに登壇していた。この日は進行のほか、会場から寄せられた質問にも答えた。会場からは万博での運航としてLIFTは現時点であがっていないことに関する質問があがり、吉川氏は「現時点ではその通り。ただし今後、遊覧や近距離の2地点間移動などの事業者の募集があれば挑戦したい」とLIFT社の機体の活用に意欲を見せた。

     また飛行をおえたあとGMOの熊谷氏は報道陣に囲まれる中、「機体は安定していて自動車を運転しているような感覚だった。会社としてはハッキング対応などの事業を進め、こうした技術で空飛ぶクルマの社会受容性向上に貢献したい」などと述べた。

    なお、この日(3月14日)に丸紅が発表したプレスリリースは以下の通りだ。

    ■パイロットが搭乗・操縦する空飛ぶクルマの実証飛行の実施について~日本初の取り組み~2023/03/14、丸紅株式会社

     (編集部注:原文のサイトはこちら) 

     丸紅は、米国LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)が開発・製造する一人乗り電動垂直離着陸機(以下、「eVTOL」)“HEXA”を用いて、上下飛行や旋回飛行等の複数の飛行パターンを有人にて行う実証飛行(以下、「本実証飛行」)を大阪城公園内野球場にて実施しました。屋外スペース(*1)において、パイロット(*2)が搭乗し操縦する空飛ぶクルマを飛行させるのは、日本で初めての取り組みとなります。

     本実証飛行は、大阪府が公募した「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」(*3)、および公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が公募した「2025年日本国際博覧会に向けた実証実験の実施候補者」に採択されたものです。空飛ぶクルマの有用性や利便性、新たなビジネスの創出・拡大への期待を多くの人々へ発信することで、社会受容性の向上に貢献することを目的として実施し、大阪府、大阪市、および大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」の支援を受け、計画された飛行パターンを全て成功させました。

     丸紅は、eVTOLの日本市場への展開を目指し、日本国内における社会受容性の醸成やエコシステムの形成を図るべく、2021年度よりLIFT社と連携を深めてきました。LIFT社は、2017年に米・テキサス州で創業された1名乗りのeVTOLメーカーで、米空軍と提携し特別プログラムを実施しているほか、2023年より全米25都市で一般向け有償体験飛行の実施を予定しています。

     今後、丸紅とLIFT社は、電動で気候変動対策に大きく寄与する空飛ぶクルマの実装に向けた取組を加速させ、空の移動がより安全で身近な社会を創造すると同時に、低炭素化・脱炭素化を含む気候変動対策に貢献します。

    (*1)大阪城公園内野球場にて、航空局の許可を得て実施。

    (*2)本実証飛行における操縦については、航空機一般の特性を理解し、航空法規や気象・運航に関する一定の知識を有していることに加え、独自の訓練・試験に合格したLIFT社発行の操縦資格を有している操縦者を採用。

    (*3) 共同事業者の株式会社長大(人・夢・技術グループ)と共に採択。

     

    GMOインターネットグループも以下の発表をしている。

    ■2023年3月14日、日本初公開・グループ代表 熊谷正寿がパイロットとして「空飛ぶクルマ」を実証飛行~安心・安全な「空の移動革命」実現への取り組み~GMOインターネットグループ株式会社

     (編集部注:元サイトはこちら
     GMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2023年3月14日(火)に、大阪市の大阪城公園内野球場にて、大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪(以下、「チーム大阪」)」が支援し、丸紅株式会社(以下、丸紅)が実施する、国の許可が必要な屋外スペースにおいては日本で初めてとなる「空飛ぶクルマ」の有人実証飛行に参加しました。

     実証飛行では、グループ代表の熊谷正寿が「空飛ぶクルマ」のパイロットを務め、およそ10分間、上下飛行、直進及び緩旋回飛行などを行いました。

     今回の実証飛行は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が、万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けて実施した、2025年大阪・関西万博の会場である夢洲における実証実験の公募で採択されたもので、チーム大阪が実施を支援しています。

    【「空飛ぶクルマ」実証飛行 参画の背景】

     グループ代表の熊谷は、かねてより空に大きな夢を抱き、ヘリコプターと飛行機の操縦免許を有する(※1)など、「日本で最も空に精通する経営者」を目指してまいりました。2023年1月には、アメリカ・テキサス州で、米国LIFT AIRCRAFT社製の電動垂直離着陸機(eVTOL)「HEXA」の操縦訓練プログラムを受講し、基準をクリアしたことで、日本人初となる初級・操縦士証の交付を受け、今回の搭乗に至りました。(※2)

     新たなテクノロジーの開発には高度な技術力と専門知識が必要です。熊谷は、自らがパイロットとして「空飛ぶクルマ」を操縦することで知見を蓄積し、安全性を実証いたしました。

     

    (※1)【ヘリコプター】自家用操縦士・回転翼航空機・陸上多発タービン免許

        【飛行機】自家用操縦士・飛行機・陸上多発タービン免許

    (※2)「HEXA」は米国航空法(FAA)におけるPART103(軽量飛行機)基準で飛行するため、米国内で飛行する場合は航空法上の免許は不要ですが、操縦にはLIFT AIRCRAFT社が提供する特定の飛行訓練プログラムを受講し、基準をクリアする必要があります。

    【「空のセキュリティ」確立へ 技術で貢献】

     GMOインターネットグループは、人々の生活をより良くする「空飛ぶクルマ」の普及に向けて、情報セキュリティとサイバーセキュリティ技術による「空のセキュリティ」確立に向けた取り組みを進めています。

     「空飛ぶクルマ」の普及において、最大のリスクはサイバー攻撃による墜落事故です。機体を制御する通信が攻撃された場合、乗客や地域住民の命に関わる墜落事故が起きることが懸念されます。また、通信を乗っ取られた「空飛ぶクルマ」が重要な施設への攻撃に使われる可能性も指摘されています。

     

     こうした中、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(代表取締役社長:青山 満 以下、GMOグローバルサイン・HD)および同社の連結企業群であるGMOグローバルサイン株式会社(代表取締役社長:中條 一郎 以下、GMOグローバルサイン)を中心として、ドローンや「空飛ぶクルマ」の通信の暗号化をはじめとする通信セキュリティ技術や電子認証技術を提供しています。

     また、国内最大規模のホワイトハッカーを組織するGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社(代表取締役CEO:牧田 誠)では、「GMOサイバーセキュリティ for Drone/eVTOL」を提供し、セキュリティの専門家がデバイス、通信、クラウドの脆弱性診断を行うなど、サイバー攻撃から「空飛ぶクルマ」とその管制施設を守る取り組みを進めています。

     

     こうした技術は「HEXA」の飛行にも活用され、GMOインターネットグループが提供する高度なセキュリティ技術が安全性の確保に役立っています。

    (参考:GMOインターネットグループ セキュリティ対策サイト https://www.gmo.jp/security/)

     

    【GMOインターネットグループ・各代表者のコメント】

    ■GMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表 熊谷 正寿

    私はヘリコプターや飛行機を操縦しますが、この「空飛ぶクルマ」は非常に簡単に飛ばすことができました。「空飛ぶクルマ」の一番のリスクはハッキングです。GMOインターネットグループは「空飛ぶクルマ」のセキュリティを担い、情報セキュリティとサイバーセキュリティの観点から「空飛ぶクルマ」の安全を守り、産業の発展を応援します。2025 年の大阪万博で実用化され、その後多くの方々の移動手段として、また、時間節約の手段として活用されることを願っています。

     

    ■GMOグローバルサイン 代表取締役社長 中條 一郎

    GMOインターネットグループが空の安全の一端を担えるよう、電子証明書の側面から支援してまいります。

     

    ■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 代表取締役CEO 牧田 誠

    空飛ぶクルマのセキュリティリスクは通常の自動車やIoT機器よりも大きく、人命にまで及びます。誰もが安心して利用できるセキュアな空飛ぶクルマを作るために技術力で貢献していきます。

    【安心・安全な「空の移動革命」への取り組み】

     GMOインターネットグループでは、空を産業の「最後のフロンティア」と捉え、経済産業省・国土交通省が運営する「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画するなど「空の移動革命」の実現に向けて各種セキュリティ技術の開発・提供を行ってまいりました。

     さらに、2021年には大阪・関西万博でのeVTOLの実用化に向けて協議会内で発足した、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」にも参画し、産官学構成員とともにeVTOL活用のコンセプトや運用計画策定等の具現化を図るべく検討を進めてまいりました。

     これらの取り組みを通じて、安心・安全な「空の移動革命」を実現するためのさらなるセキュリティ対策技術の開発に取り組み、次世代モビリティ産業の成長に貢献していきます。

    (参考)

    ■GMOインターネットグループ グループ代表・熊谷正寿が「空飛ぶクルマ」のパイロットに~日本人で初めて初級・操縦士証を取得~(https://www.gmo.jp/news/article/8204/)

    ■GMOインターネットグループ、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」へ参画~2025年開催の「大阪・関西万博」における空飛ぶクルマの運用開始に向けセキュリティ技術で貢献~(https://www.gmo.jp/news/article/7285/)

    ■GMOインターネットグループ、「空の移動革命に向けた官民協議会」へ参画が決定~セキュリティ技術で空の安全を守り、次世代モビリティ産業の成長に貢献します~(https://www.gmo.jp/news/article/7228/)

     大阪市も実験前に以下を発表している。

    ■報道発表資料 日本初公開 操縦者(パイロット)が乗り組む「空飛ぶクルマ」の実証実験を支援します

     

     

    (編集部注:原文のサイトはこちら
    大阪市、大阪府、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪(以下、「チーム大阪」という。)」は、丸紅株式会社が大阪城公園で実施する「空飛ぶクルマ」の実証実験を支援します。

     今回の実証実験は、米国のLIFT AIRCRAFT社製の一人乗り電動垂直離着陸機(eVTOL)“HEXA”を使用し、上下飛行、旋回飛行等、幾つかの飛行パターンによる、日本で初めての操縦者(パイロット)が乗り組む「空飛ぶクルマ」の飛行を、国の許可が必要な屋外で実施するもので、本実証実験を通じて、「空飛ぶクルマ」を活用したサービスの認知度を高め、社会受容性の向上に貢献するとともに、得られた調査結果を今後の事業性評価に活用します。

     大阪市では、これまで国や大阪府等とも連携し、「空飛ぶクルマ」の2025年大阪・関西万博(以下、「万博」という。)での実現をめざし取組を進めてきました。万博の開幕まで2年余りという時点での、日本で初めてとなる本実証実験は、「空飛ぶクルマ」の万博での実現に向けた社会受容性の向上や万博後の大阪での社会実装に向け、非常に重要なものであり、「空飛ぶクルマ」の実現によるイノベーションの創出や大阪経済の活性化にも大きく貢献することが期待されます。

     チーム大阪では、今後も先端技術を活用した実証実験の実施を支援することにより、「未来社会の実験場」をコンセプトとする万博に向けて、大阪で新たなビジネスを創出する機運を更に高め、「実証事業都市・大阪」の実現をめざします。

     

    実証実験概要

    実施日

    令和5年3月14日(火曜日)、15日(水曜日)

     

    実施場所

    大阪城公園内野球場(大阪市中央区大阪城3番 大阪城公園内)

     

    実施主体

    丸紅株式会社、LIFT AIRCRAFT INC.(共同事業者:株式会社長大)

     

    実施内容

    上下飛行(有人/無人)

    直進及び緩旋回飛行(有人/無人)

    四角い経路飛行(有人/無人)

    <大阪商工会議所画像:LIFT AIRCRAFT社製“HEXA”(写真提供:丸紅株式会社)

    参考

     本実証実験は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会及び大阪商工会議所による「万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けた『夢洲における実証実験の公募』」に採択されたもので、チーム大阪として大阪市が中心となり、実証実験場所の選定に係る調整や施設管理者との調整等の支援を実施しています。

     なお、本実証実験場所は、夢洲での実施に向け協議・調整していましたが、当初想定していたスケジュールに変更が生じたことなどから、大阪城公園内野球場での実施となりました。

     また、本実証実験は、大阪府の「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」事業としても採択されています。

    LIFT AIRCRAFT社製“HEXA”(写真提供:丸紅株式会社)

    ■GMO熊谷代表が米LIFT社の操縦資格を日本人初取得の記事はこちら

    ■大阪・関西万博での空クル運航事業者決定の記事はこちら

    ■VolocopterのVoloCity大阪で初お披露目、の記事はこちら

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.3.9

    ヴォロコプター、VoloCityを大阪でお披露目 型式申請同型の実物大モデル 一般公開は10~12日

    account_circle村山 繁
    MORE

     いわゆる“空飛ぶクルマ”を開発するドイツのヴォロコプター社(Volocopter)は3月8日、2025年に開催する大阪・関西万博でエアタクシーとしての商用運航を目指す機体「VoloCity」の実物大モデルをJR大阪駅に隣接する大規模複合施設「グランフロント大阪」で公開した。公開されたのは万博での飛行を目指し型式証明の申請をしているVoloCity 第4世代機で、飛行や安全などの性能、デザイン、快適性などで前世代機から全面的に進化した。DroneTribuneのインタビューに応じた同社のクリスチャン・バウアーCCOは「交通手段を拡張する機体で大都市・大阪に最適だと思います」と述べた。一般公開は3月10日から12日まで。

    クリスチャン・バウアーCCO「次にPR動画を作るときには大阪が舞台となる」

     公開されたのはVoloCityの最新世代機の実物大モデル。利用者が乗る搭乗部は伸びやかな流線形で、天井から直径11.3メートルの大きな円形の輪が“天使の輪”のように広がり、18個の小型固定ピッチプロペラが取り付けられている。内装は大きな局面ガラスで覆われ視界が広がる。シートや、自動車でいうダッシュボードもツートーンでまとめられていて高級車の運転席に近い。ペダルもなく足元も広い。2つのシートの間にあるひとつのタブレットが唯一の機器だ。ただし公開機は、自動航行バージョンで、万博で飛行を予定している機体は、パイロットが乗るバージョンのため、操縦席にはジョイスティックのような操縦桿がつき、頭上の天井にスイッチ類が並ぶ。万博機と公開機とでは、そこだけが違う。

     第4世代では飛行性、安全性、快適性など全面的に改善が施された。ドアの開き方や、乗る時のステップなど、利用者が乗る動作にも工夫が凝らされた。

     VoloCityは電気で動き真上に浮き真下に降りられる滑走路を必要としないeVTOL型のマルチコプター機で、バッテリー9本を本体に積む。航続距離は35㎞で、混雑しがちな都市内での速やかな移動需要を見込み、エアタクシーとして運用するUAM(アーバン・エア・モビリティ)だ。離発着場で離着陸をすることを想定していて、大勢の来場が見込まれる万博会場と大阪中心部や主要観光拠点などに離発着場が整備され、航路が作られることが期待されている。

     2011年に世界で初めて人を乗せて飛ぶことに成功した電動機で、現在は4世代目。最新機体は現在ドイツ国内で試験飛行を繰り返していて、2024年にシンガポールやフランスのパリで商用運航を始める計画で、その他にも多くの国で飛行が見込まれている。消費者への直接の販売はしない方針だ。

     公開初日に行われたオープニングセレモニーでは、大阪府の山口信彦副知事が「2025年に万博が開催されます。商用運航をめざして実現に向けて一歩が進んでいると感じています。その折にこのお披露目会を開催して頂けて大きな意義があると思いました。われわれの空をこのVoloCityが飛ぶことをイメージできると思います。実現にはまだ課題がありますが、デモンストレーションではなく、定着をさせるつもりです」とあいさつした。

     またヴォロコプターのクリスチャン・バウアーCCOが「日本とドイツにはものづくりに強みがある点や革新性などさまざまな共通点があると思っています。この公開の機会に、大阪の皆さまにわれわれのUAM、VoloCityを感じ、体験して頂けることはそれぞれにとってとても喜ばしいことです。企業紹介の動画をご覧頂きますが、次にPR動画を作る時には大阪を舞台にしたものになると思っています」などとあいさつした。

     ヴォロコプターは「VoloCity」のほか、固定翼を備えたeVTOL型リフト&クルーズ機で100㎞の航行ができる「VoloRegion」も2026年ごろの完成を目指して開発中だ。ペイロード200㎏の物流ドローン「VoloDrone」や、運航管理を司るデジタルインフラ「VoloIQ」、UAMの離発着場である「VoloPort」などを含むUAMのエコシステム整備を進めている。2011年にドイツのブルッフザールで起業したスタートアップで、3月6日には積水化学工業株式会社が資本業務提携の契約を締結したと発表した。2月には住友商事株式会社が出資を発表している。2020年2月にMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社傘下の三井住友海上火災保険株式会社が業務提携をして以降、日本航空株式会社がCVCを通じた出資や業務提携したほか、東京センチュリーが出資やグループ会社を通じた業務提携するなど、日本経済界との関係が強まっている。

     公開初日に会場のグランフロント大阪北館では、仕事や買い物でたまたま来た通行人が足をとめ、写真に収める様子が見られた。

    バウアーCCOがDroneTribuneに語った「提供する4つの価値」

    DroneTribuneはヴォロコプターのクリスチャン・バウアーCCO兼CFOにインタビューをした。

    ――VoloCityを通じ、利用者にどんな価値を提供しますか?

    バウアー氏 「新たな交通手段を提供します。これはメトロ、鉄道、乗用車の代用ではなく、新しい交通手段として、既存の交通手段とともに交通分野の可能性を拡張したいと考えています。一例ですが、私の場合は出張でパリに行くと、中心街にたどりつくまで既存の追う通手段使うで多くの時間を費やします。時間に余裕があるときにはそれもよいのですが、会議が立て込んでいるときの移動にはVolocityを使えば時間に苦しまずに済みます。使い分けができる選択肢を提供できることが第一の提供価値です。東京、大阪などベイエリアのダ都市の場合、湾を周る移動には時間がかかります。直接に進めれば時間が節約できます」

    ――そのほかの価値とは?

    バウアー氏 「遊覧飛行です。日本には多くの旅行者がいますが、一部でヘリコプターによるサービスがありますが、ほとんどの旅行者は、都市部上空を空から遊覧することを体験していません。街を眺めるという新たな観点を、手ごろな価格で提供できることがふたつめの価値になると考えています。3点目はサステナビリティの観点から主にふたつの価値を提供します。ひとつが電動のためCO2を出さない飛行です。お客さまには環境負荷の低減に貢献する体験を提供します。そしてもうひとつが騒音です。ヘリコプターの離着陸の音を聞いたことがある方であれば、比較するとその違いがわかると思います。そして4点面が緊急対応です。医師が現場に急行する必要があるときの移動手段を提供することができます」

    ――大阪はVoloCityが活躍するのに適していると感じますか?

    バウアー氏 「最適だと思います。人口が約877万人ととても多く、人の移動も盛んです。空港から中心街までのアクセスにはやや時間がかかり、VoloCityはスケジュールがみっちりつまったビジネスマンの移動に対する期待に応えられると考えています。また大阪府や此花区(大阪市、編集部注:空飛ぶクルマの推進に関わる覚書を2022年5月に交わした)など行政の後押しが強力で、ものごとを進めるうえで大きな支えになっています」

    ――日本の知恵や技術が生かされているところは?

    バウアー氏 「さまざまなところで多くの知恵や技術が生かされています。一例をあげますと機体本体のカーボンファイバーは東レの製品です。業務提携した積水化学の知見も大きく期待しています」

    大阪グランフロントにお目見えしたコロコプターのUAM、VoloCity
    VoloCityの顔の部分。流線形が特徴だ
    VoloCityのサイドビュー
    搭乗部の裏側にバッテリーが9本積まれている
    座席の様子。公開された機体は自動航行バージョンで、タブレットがあるだけだ。足元もペダル類がなく広い。万博で飛ばす機体はパイロット搭乗バージョンで、このほかに操縦桿やスイッチ類がつくが、広々とした空間に違いはない
    座席からの視界
    シートも高級車並にゆったりとしている。飛行時の前傾を考慮した
    利用者が乗り降りするための足場も完備
    3月10日から一般公開が始まる
    オープニングセレモニーで関係者が記念撮影
    オープニングセレモニーでの1シーン。ヴォロコプターのクリスチャン・バウアーCCO(左)と大阪府の山口信彦副知事
    あいさつするヴォロコプターのクリスチャン・バウアーCCO
    オープニングセレモニーには多くの関係者が出席した
    あいさつする大阪府の山口信彦副知事

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。