大阪府の吉村洋文知事は11月26日、なんば駅前広場で開催2日目を迎えた「道頓堀リバーフェスティバル2023」(一般社団法人大阪活性化事業実行委員会主催)の会場を訪れ、メインステージの隣に設置、展示されたテトラ・アビエーション株式会社(東京)の1人乗りeVTOL機、Mk-5(マークファイブ)の座席に乗り込む場面があった。吉村知事はいわゆる空飛ぶクルマの実現に積極的で、たびたび「乗りたい」と発言していることで知られる。
吉村知事がテトラのMk-5に乗ったのは26日午前11時半ごろ。道頓堀リバーフェスティバルの2日目の主要行事「第13回よさこい大阪大会」のあいさつのためステージにあがり、「ここミナミは大阪の個性です。ミナミが元気なら大阪が元気になる。大阪が元気なら日本が元気になる。元気な大阪を引き継いでいきたい。そして2025年に大阪・関西万博をやります。批判されている部分もありますが、それを乗り越えてベイエリアで160か国が集まる未来を見据えた万博をやりたいと思います」と、空飛ぶクルマの実現が見込まれる大阪・関西万博をアピールし大きな拍手を浴びた。
吉村知事はあいさつ後にステージからおり、よさこいのパフォーマンスを見学したあと、ステージわきのMk-5に近寄りシートに乗り込んだ。様子を見ていた来場者から「吉村さーん」などと歓声があがり、吉村知事が声の方に向かって手を振った。
吉村知事は2021年9月14日、大阪府、大阪市、株式会社SkyDriveがいわゆる空飛ぶクルマについて「実現に向けた連携協定書」を締結したさい、大阪・天保山の調印式会場に置かれたSkyDriveの前モデル「SD03」に、松井一郎前大阪市長とともに乗りこんだ経験がある。このため吉村知事は国産2機の乗り心地を体験したことになる。
またこの日の会場では前日に続き、VRコーナーに多くの来場者が詰めかけ、参加者がVRゴーグルを装着して空クルの疑似体験を楽しんだ。
東京・臨海部の大規模展示会場、東京ビッグサイトで10月26日から11月5日まで開催されたJapan Mobility Show2023は、AAM(次世代エアモビリティ、いわゆる空飛ぶクルマ)の、社会受容性を格段に引き上げた催事として記憶される可能性が高い。トヨタ、ホンダ、SUBARU、スズキなど大手自動車メーカーは空の移動を表舞台に載せ、今後の展望を来場者に印象付けた。米Joby Aviation、日本のSkyDriveはAAMの知名度や認知度を愛好家やマニアの水準から市民、生活者、消費者に拡大し、期待を引き上げた。期待先行の印象が強いAAM開発はまもなく、米アドバイザリ大手、ガートナー社が提唱する「ハイプサイクル」で指摘される「幻滅期」への準備も併行させる時期にさしかかる。
Japan Mobility Show2023は公開前日の10月25日に行われたメディア公開以降、メディアの報道、SNSでの拡散などで多くの市民の「行きたい展示会」に躍り出た。東京モーターショーの刷新で展示範囲を自動車関連から乗り物に拡大し、主役の自動車に加え、AAM関連のプロダクト、技術にも光が当たることになった。自動車産業そのものもAAM関連への関与や展望を打ち出し、来場者に近未来を強烈に印象付けた。
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は10月25日午前8時半、同社が設置した巨大ブースにステージに立ち、国内外からつめかけた人垣ができるほど大勢の報道陣を前に、「トヨタのブースで伝えたいのは多様性あふれるモビリティの未来です」と、バッテリーEV、IMV 0(アイエムブイ ゼロ)、KAYOIBAKOの3つを中心にプレゼンテーションをした。AAMへの直接の言及はなかったが、佐藤社長の背後の大型スクリーンに映し出されたコンセプト映像に、同社の出資先、米Joby AviationのeVTOLエアクラフト「S-4」の映像が投影される場面があり、トヨタのエアモビリティ分野への関心を印象付けた。
JobyのS-4は、原寸大のモックアップが、トヨタのブースとは別の会場内のブースに展示され、来場者がスマホで撮影するなど存在感を放った。JobyはANAホールディングス株式会社とチームを組み、2025年4月に開幕する大阪・関西万博で、利用者を載せて飛行する4つの事業者グループのひとつに決定している。「S-4」はトヨタが駆動系の開発に参加しているほか、型式証明の交付を日本の航空局に申請がされていて、日本での飛行を待ちわびる視線を集めた。
日本発AAMの現時点での代表格のひとつ、株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)も型式証明を申請している「SD-05」の5分の1サイズモデルを展示し、来場者の足を止めた。展示された場所はスズキ株式会社(浜松市<静岡県>)が展開しているブースの一角だ。SkyDriveは6月にスズキとの協力関係について基本合意書を交わしていて、スズキグループの工場を活用して2024年春ごろに機体の製造に着手したい意向だ。SkyDriveは代表の福澤知浩氏の出身企業であり、SkyDriveへのスポンサーでもあるトヨタと縁が深いが、Japan Mobility Showではスズキとの連携を印象付けたことで、自動車業界をあげたエアモビリティ支援体制構築の進展が期待される。
メディアの間で当初、最大の話題のひとつとなったのが、株式会社SUBARU(東京)のエアモビリティ発表だ。トヨタから1時間後の10月25日、午前9時30分にスバルのブースのステージに登壇した大崎篤社長CEOは「自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えていると言われ数年がたちます。本日は次世代モビリティとしてふたつのコンセプトモデルを披露します」と宣言。軽快な音楽とともに最初のコンセプトモデル「SUBARU SPORT MOBILITY Concept」が紹介された後、音楽が切り替わると、背後のパネルが中央からふたつに開き、奥からリフトアップされた機体がせり出した。メディアがいっせいにフラッシュをたくなか、せり出した機体はステージでファッションショーのモデルのように右左に動いたり、正面を向いたりして、洗練されたデザインをアピールした。
大崎CEOはこの機体を「SUBARU AIR MOBILITY Concept」と紹介。「電動化、自動化技術が進歩し航空機の世界でも空の移動革命を実現する新たなエアモビリティへの期待が高まっている中、スバルが目指すより自由な移動の未来を示したコンセプトモデル。現在、自動車部門と航空宇宙カンパニーが協力し飛行実証を進めています」と紹介した。6つのローターを持つ電動機だが、スペックは今後詰めるという。
本田技研工業株式会社(ホンダ、東京)のブースは、見る角度によっては自動車より飛ぶ乗り物が目立つほどに空への展開をアピールした。小型ビジネスジェット「HondaJet Elite II」の搭乗体験モデルの隣に、8つの揚力用ローター、2つの推進用ローターを搭載する開発中のAAM、「Honda eVTOL」の縮小モデルを展示した。
Honda eVTOLは名称に電動を示す「e」が入るが、ガスタービンを搭載している。シリーズ式ハイブリッドと呼ばれる方式で、ガスタービンは電力の生産に使われ、その電力はバッテリーに溜めて機体を動かす。ガスタービンで得られた力を推進力には使われない。機体が電気で動くのでガスタービンを搭載していても「e」がつく。
ホンダはHonda eVTOLの安全性、快適性、静粛性を前提としていて、利用者が感じる価値はその先にあると考えている。重視しているのは時短価値だ。
開発プロジェクトリーダーを務める株式会社本田技術研究所(和光市<埼玉県>)先進技術研究所新モビリティ領域チーフエンジニアの東弘英氏は、DroneTribuneの取材に、「空港に行かなくてもより身近に空を体験して頂けることが新しい価値だと思っています。身近であるためには安全や静粛性は前提です。利用者が『いいね』と感じる価値はさまざまあると思いますが、われわれはその中でもまずは、時短価値が大事だと考えています。そのためにはショートレンジでは価値が出しにくい。たとえばクルマを使えば10分で行けるところにHonda eVTOLでは5分で行けたとしても時短価値は少ないと考えられます。ひょっとすると降りてから乗り換えるとさらに時間がかかる可能性すらある。ある程度のレンジがないと時短価値が出せない。ガスタービンの搭載もそのためです。ターゲットレンジは400㎞です」と話し、出発点から目的地までの移動時間の短縮に挑む。
Japan Mobility Showの「飛ぶもの」はAAMにとどまらない。株式会社エアロセンス(東京)やブルーイノベーション株式会社(東京)などドローンに力を入れている企業や、気球で宇宙旅行を企画しているか株式会社岩谷(いわや)技研(札幌市<北海道>)、自律航行技術で知られ、ストレッチャーロボットが海外メディアでも取り上げられた株式会社アトラックラボ(三芳町<埼玉県>)なども数多く登場している。ブルーイノベーションはトヨタが開発したドローンポートシステムをUCCホールディングス株式会社(神戸市<兵庫県>)などのスペースで実演。ドローンから届いたコーヒーをポートに降ろしたのち自動走行のAGVに乗せ換えて届け先まで走行する様子を再現している。
連日行列を作っていたのは、マイクロドローン関連事業を展開する株式会社ドローンエンタテインメントが株式会社トムスと連携して展開していた体験型ブース、「ドローンツアー」だ。球体型スクリーンの手前にシートが用意され、そこに座ると同社代表でドローンレーサー元日本代表の第一人者で横田淳氏が撮影した全国の名所の映像が流れる。映像にあわせてシートが振動したり傾いたりして、まるで映像の中を自分が飛ぶ感覚を味わえる。よりリアルな体験を楽しむ方法として、横田代表がその場で飛ばすFPVドローンのとらえた映像を浴びることもできる。球面スクリーンの隣に設置された特設フライトスペース内をドローンが飛ぶと、シートに座った来場者はそのドローンの操縦席にでもいるかのような臨場感が味わえる。
一般公開期間中は連日、午前の予約開始直後に埋まる盛況ぶり。会場にはキャンセル待ちのレーンも用意され、そこにも連日、来場者がつめかけていた。
一般公開日に3人組で参加した女性の一人は「報道で見て、知人から聞いて参加しました。期待していたよりも、ずっと楽しかったです。なにより、よく言われる臨場感ってこういうものか、と感じました」と感激した様子で話した。いっしょにいた女性も「有料でも乗ります。ほかで味わえないから。あの映像を味わえるようにドローンを操縦したくなりました」と話していた。
Japan Mobility Show2023はAAMへの期待を高め話題性を作ることに成功した。社会実装にむけて実用局面に移行する。米ガートナー社が提唱する期待の増減を示すハイプサイクルによると、新しいテクノロジーは話題性とともに登場すると、一気に期待値があがるが、その後、期待と現実との落差を目の当たりにすることで一時的に急降下することになる。その後、真価の適切な評価を経て社会システムに採用され、実装に至る。AAMも急上昇した期待の社会実装への道筋を構築する局面に入ることになる。
いわゆる空飛ぶクルマの開発を手掛けるEHang(イーハン、億航智能、広東省広州市)は、同社の開発した「EH216-S」に対し、中国の国家局のひとつで民間航空行政を管轄する中国民用航空局(CAAC)から10月13日に、商用運航の前提となる型式証明(「TC」)を正式に取得したと発表した。国家の航空当局が、いわゆる空飛ぶクルマにTCを発行したのは世界で初めてだ。今後中国国内で商用運航に向けた動きが加速するとみられる。EHangは日本で型式の申請をしていないため、日本での商用運航はこのままではできない。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の理事長をつとめる鈴木真二東京大学名誉教授・特任教授は「型式証明の手続きへの直接的な影響はないが、いわゆる空飛ぶクルマが夢物語ではないと広く認識させる効果はあると思われる」と話している。
いわゆる空飛ぶクルマが商用運航をするためには、製造国とともに飛行する国からTCを取得することが原則だ。UAM関係者の間では、EHangやドイツのVolovopter(ヴォロコプター、ブルッフザール)など有力メーカーのTC取得が昨年来ささやかれてきた。結局昨年中のTC取得はなく、今回のEHangの「EH216-S」による取得が第1号となった。
EHangの機体は日本国内でも「飛行試験」などの形で飛行している。ただ、EHangは日本で型式証明を申請しておらず、商用運航はいまのままではできない。
日本では現在、株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)、Volovopter 、アメリカのJoby Aviation(ジョビーアビエーション、カリフォルニア州サンタクルーズ)、イギリスのVertical Aerospace(バーティカル・エアロスペース)が国交省に型式証明を申請している。
EHangによるCAACからのTC取得が、日本国内や各国の型式取得の手続きに直接的に影響することはない。ただし国同士の関係の中で、中国の決定を尊重する国はあり、今後、アジア諸国を中心に同社の機体が飛行できる国が出てくることは考えられる。
鈴木真二氏は「EHangによる型式証明の取得は想定内です。安全性を判断する型式証明の手続きが、直接的に影響を受けることはありません。一方で、いわゆる空飛ぶクルマの実用に関するニーズの掘り起こしが加速したり、夢物語ではないと広く認識させたりするといった効果はあると思われます」と話している。
EHangは同社の公式サイトで取得について公表している。
サイトはこちら。
概要は以下の通りだ。
アーバンエアモビリティー(「UAM」)技術プラットフォームの世界的リーディング企業であるEHang Holdings Limited(「EHang」または「当社」)(Nasdaq: EH)は、自社開発の旅客輸送無人航空機(「UAM」)システムであるEH216-Sが、中国民用航空局(「CAAC」)から正式に発行された型式証明書(「TC」)を取得したと発表した。これは、EH216-Sのモデル設計がCAACの安全基準および耐空性要件に完全に適合し、EH216-Sが旅客輸送UAMの商業運航を行う資格があることを証明する。電動垂直離着陸機(electric vertical take-off and landing aircraft、eVTOL)向けの世界初のTCとして、EH216-S TCは、中国や海外の革新的なeVTOLの耐空証明の基準となるだけでなく、UAMの商業運航の画期的なマイルストーンとなる。
TC授与式は10月13日、北京のCAMIC国際コンベンションセンターで行われ、CAACがEHangにTCを授与した。
CAACが2021年1月にEHangのEH216-S TC申請を正式に受理して以来、EHangのチームはCAACやその専門家チームと緊密に協力し、航空機の革新的な最先端技術の検証と検証に取り組んできた。粘り強い努力であらゆる困難や課題を克服し、すべての型式認証目標を乗り越え、EHangが成熟したeVTOL製品を独自に設計、開発、製造する能力を十分に備えていることを証明した。
EH216-Sは、技術的アーキテクチャ、構成、性能、機能性、運用モード、飛行環境などの主要分野において、従来の航空機とは大きく異なる先駆的な技術革新、製品革新として位置づけられている。EH216-Sの型式証明のために、CAACとEHangは、従来の100年来の航空原則を遵守しつつ、EH216-Sの特徴的な技術的特徴に合わせた特定の認証基準や適合手段を策定する、革新中心のアプローチを採用し、型式証明業務を実施した。
乗用eVTOL開発の米ピヴォタル社(Pivotal、旧Opener)は、2024年1月9日をめどに米国で1人用パーソナル・エアリアル・ビークル(PAV)、ヘリクス(Helix)を販売すると発表した。ヘリクスの基本価格は19万ドル(約2850万円)でオプションやアクセサリーは今後、追加発表する。ヘリクスはバッテリーで動く軽量のeVTOL(電動垂直離着陸)機で、米国のルールで決められた条件下なら免許不要で飛ばせる。機体全体を傾ける設計が特徴的で緊急時に着水できる。PAVとしては米LIFT社のヘクサ(HEXA)が今年3月、大阪市の大阪城公園でGMOインターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿グループ代表が搭乗した飛行を日本で披露しており、日本のPAV市場創出も期待される。
ピヴォタル社は、ヘリクスの発表にあわせ、従来の社名Openerの変更も発表した。ケン・カークリン最高経営責任者(CEO)は「Pivotalの名は飛行の力で移動を変えるという私たちの使命を反映している」と話している。
ピヴォタルが発表したヘリクスは、8つの固定ローターと2組のタンデム翼を持つシングルシートPAVのeVTOLだ。幅414㎝、長さ408㎝、高さ140㎝で、何も積まない状態での重さは約16㎏。米国の航空当局である連邦航空局(FAA)の基準では「パート103ウルトラライト」に分類される。ローターも翼も機体に固定されていてティルトさせることはできない。代わりに機体全体を傾けて浮上から巡行へに切り替えるティルト・クラフト・アーキテクチャを採用している。操縦士は体重約100㎏、身長約2mまでのパイロットが搭乗できる。飛行時の巡航速度は最大 55ノット(63 mph、時速約101㎞)だ。
ティルト・クラフト・アーキテクチャはピヴォタル社の機体の特徴で、Opener時代の主力機として知られる1人用PAV機、BlackFly(得意客向けに納入)からの設計思想を、量産機体であるヘリクスでも踏襲した。プラットフォームは2011年の初飛行以来、12年間改良を積み重ね現在は第五世代にあたる。機体にランディングギアはなく機体で着地する。機体にフロートを備えているため緊急時に着水ができる。限定的ではあるが水陸両用機だ。
ティルト・クラフト・アーキテクチャに加えシンプルなユーザー・インターフェースで操作性から複雑さを取り除いたほか、システムや機器の一部が故障しても、予備系統に切り替えるなど機能を保つフォールト・トレランスや、重のモジュール式冗長性を持たせ、安全性を追求した。
飛行は米国内のクラスGと呼ばれる管制されていないエリアでの日の出から日没までの間で可能(Class G airspace over uncongested areas in the daytime)で、個人の短距離移動や空中散歩などのエンターテインメント利用を想定している。
発売は同社公式サイトから。同社は45,000ドルの手付金を受け取った後、出荷予定日を設定する。購入者はその際、カリフォルニア州パロアルトにあるカスタマー・エクスペリエンス・センターで飛行のためのトレーニングを予約する。出荷は2024年6月10日を予定している。米国以外での購入についてのアナウンスはない。
日本国内でのヘリクスのような機体を飛ばすためのルールは現存していない。事例としては2023年3月15日に、大阪市の大阪城公園で同じパート103に該当する米LIFT社のヘクサ(HEXA)を実験として飛行させたことがある。HEXAに搭乗したGMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表は5月にドローントリビューンが行ったインタビューで「飛行そのものでは技術的には全然、問題のないレベルです。あとは規制と市民感情。規制は日本では大阪・関西万博をきっかけにずいぶん整備が進んでいますし、これからも進むと思います」と話しており、PAVの国内市場創出について、日本でもルールの検討と市民感情の期待感醸成が期待される。
GMO熊谷氏インタビューはこちら:https://dronetribune.jp/articles/22494/
PIVOTALの公式サイトはこちら:https://pivotal.aero
いわゆる空飛ぶクルマの機運醸成に力を入れる枚方市(大阪府)は、空クルを枚方市で実現させた場合の使い道や利用時の効果などを検討する協議体「枚方市空飛ぶクルマビジネス共創部会」を設置した。活動を通じ関連産業創出の可能性を探る。6月14日には関連事業者や団体など民間の17機関が参加して第1回の会合を開いた。枚方市は今後、共創部会の加盟機関と連携を図りながら検討を進める。枚方市がいちはやく空クル協議体を発足させたことで、他の自治体の取り組みを促す可能性がある。
枚方市が設置した空クル共創部会は、地域資源をいかしたビジネス創出を目指す「ひらかた万博共創プラットフォーム」の一環として設置した。会長に北大阪商工会議所、副会長に枚方信用金庫が選ばれた。メンバーには2025年に開催される大阪・関西万博の空飛ぶクルマ関連事業に関わる機関や、東京を拠点に活動する機関も含まれ、第1回の会合にはオンライン参加も含め多くのメンバーが顔をそろえた。
枚方市は万博機運や空飛ぶクルマ機運の醸成に積極的だ。「万博」の名をかぶせた地域資源活用型ビジネス創出事業「ひらかた万博共創プラットフォーム」を2022年9月に発足させ地域活動とともに万博の盛り上げに取り組んでいる。空クル共創部会もこのプラットフォームを土台として創設された。
枚方市ではすでに空飛ぶクルマに関わる取組が展開されている。2022年12月11日には株式会社SkyDriveが主催した「親子で学ぶ空飛ぶクルマのある未来」、「空飛ぶクルマの社会実装に向けたビジネス座談会」が市内で開かれ、会場は多くの来場者でにぎわった。伏見隆市長も参加した。
2023年3月2日には中国の空飛ぶクルマメーカーEhang(イーハン)の2人乗り機体「Ehang216」のデモフライトを実施し、ときおり風速7m/秒を超える風が吹く中安定した飛行を見せた。人を載せての飛行ではなかったものの、万博会場の主要会場である大阪府内で空クルが飛行したのはこのときがはじめてとなった。この日はデモフライトに続いてセミナーも開かれ、伏見隆市長が「“空飛ぶクルマのあるまち・枚方”を実現させたい」とアピールした。
3月20日には、空飛ぶクルマ事業に関わっている事業者を招いた「空飛ぶクルマビジネス勉強会」も開催した。伏見市長のあいさつではじまった勉強会は、登壇した兼松株式会社の中村康平氏が空飛ぶクルマの概要と現状をていねいに紹介し、中央復建コンサルタンツ株式会社の松島敏和氏が枚方市がと空飛ぶクルマの相性のよさを将来展望とデータをまじえて解説した。この勉強会で協議体設立の提案があり、今回の共創部会に結び付いた。
万博の開催が近づくにつれ市町村単位での空飛ぶクルマに関連する活動も活発化することが予想される中、枚方市がいちはやく民間主導の協議体を起動させたことは他の自治体の活動促進にもつながりそうだ。
【第1回】枚方市空飛ぶクルマビジネス共創部会(枚方市HP)はこちら
インターネット関連事業のGMOインターネットグループ株式会社(東京)は、6月26日に開幕する「JapanDrone2023」に大規模なブースを構え来場者を迎える。28日までの期間中、ドローンのハッキングデモンストレーションを実施したり、グループ代表の熊谷正寿氏が大阪市の公園で搭乗して飛行した米LIFT社(LIFT Aircraft INC.)製の1人乗り機体「HEXA」の実機の展示をしたりと、ドローンのセキュリティ確保、普及促進に関わる展示を行う。初日の26日にはLIFT社のMatt Chasen CEOも登壇する。
LIFT社のMatt Chasen CEOは26 日13時から15分間、GMOインターネットグループのブースで登壇する。ブースにはHEXAの実機のほか、HEXAの飛行ライセンスを取得するさいのトレーニングに使うVR機も置く。来場者は実機やVR機を近くで見学できるほか、実機の操縦席に座ることができる可能性もある。
ブースでのデモンストレーションではGMOグローバルサイン、GMOサイバーセキュリティ byイエラエが提供する通信暗号化技術やドローンやいわゆる空飛ぶクルマの通信の脆弱性診断の技術を紹介したり、ホワイトハッカーによるドローンハッキングデモを行ったりするだ。
GMOインターネットグループはJapanDrone2023のスポンサーのうち最大の「Platinum Sponsor」で、ブースも出入口に近い場所に広く確保するなど、空飛ぶクルマやドローンの普及への意気込みの大きさを示している。
同社グループ代表の熊谷正寿氏はLIFT社から操縦士証「BEGINNER PILOT CERTIFICATE」を取得した最初の日本人となった。取得のさいLIFT社の操縦トレーニングを受けており、今回展示ブースに設置するVR機は、熊谷代表が資格取得するさいにトレーニングに使われたものでトレーニング気分を味わえる見込みだ。
このほか26日15時には会場内の「コンファレンスルーム2」で行われるパネルディスカッション「ドローン・空飛ぶクルマ、国内外の制度整備・技術開発から考える空の安全」にGMOグローバルサインの浅野昌和CTO室室長、GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社の牧田誠代表取締役が、経産省や国土交通省などの担当者とともに登壇する予定だ。