発電設備の運営、管理を手掛ける株式会社関電パワーテック(大阪市)と一般社団法人DPCA(ディピカ、京都市)は、ドローン操縦士養成の講習事業を行う新会社、合同会社Kanden DOTs(カンデン ドッツ)」を設立したと発表した。送電線や鉄塔などがそろう関電の研修施設、茨木研修センターで点検を想定した講習を提供する。講習は5月に開始し、受講者の募集を進めている。関電とDPCAは2017年に業務提携し、電力設備の点検を見据えた講習で豊富な実績がある。新会社はこうした実績を踏まえ、レベル4解禁も視野に、実践的な講習を展開する。
新会社は4月1日に設立したDPCA、関電パワーテックの出資比率は50:50(金額は非公表)だ。関電パワーテックは、発送電設備のマネジメントを担う株式会社関西電力の100%出資子会社で、新会社Kanden DOTsも関電グループと位置づけている。
新会社DOTsの特徴について、説明会では送電線や鉄塔など発送電設備の整う関電の茨木研修センターを屋外飛行講習場とした操縦士養成講習事業を提供することが挙げられた。関電とDPCAは2017年にドローン操縦士の養成で業務提携をしており、すでに実績を積み重ねている。新会社では、DPCA、関電パワーテックの持つ資源を持ちより、必要性が急速に高まると予想されるドローン操縦士を「効果的、実践的に養成することを目指す」という。
提供する講習はDPCAが提供する「DRONEフライトオペレーター」をベースに、BASICコース(税別50,000円、技能認定証発行費税別15,000円)と、目視外飛行や夜間飛行など応用技術を含むADVANCEコース(税別90,000円、技能認定証発行費税別15,000円)を設けている。
またレベル4解禁後も見据えている。説明会に登壇したDPCAの上田雄太代表理事は、レベル4解禁に向けて制度整備が進む免許制度への対応について、「(ゆくゆくは)講習機関のライセンスに切り替えたい。まずは(航空局のHPに掲載される)講習団体となり、導入が示されている「登録講習機関」の要件が判明したら、それを目指すことになる」と表明した。
新会社Kanden DOTsは、講習事業を含め、以下を事業の柱に据えている。
■ドローン操縦・撮影技能等のスキル向上を図る人材育成事業 ■ドローンによる特殊点検及び計測撮影事業 ■ドローン産業関連機器の販売・点検整備事業 ■ドローンによる撮影及び映像製作事業 ■災害時におけるドローン運用の在り方について研究・実証 ■ドローン専用保険及びリース・レンタルサービス
Kanden DOTsの講習は、DPCAホームページから申し込める。
Kanden DOTsのホームページはこちら。
国交省航空局がドローン情報基盤システムDIPSで公表しているドローンの技能認証を提供する講習団体と、講習団体を管理する管理団体情報は、5月1日時点で更新されていて、講習団体は765件と、4月1日時点の735件から30件増加した。31件が5月1日に新規に登場し、1件が姿を消した。また、管理団体は前月と変わらず変わらず48だった。
管理団体を管理する講習団体数で整理すると、上位は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の160、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の135、DJI JAPAN株式会社の114だった。これに続く一般社団法人農林水産航空協会は、講習団体のうち農業関連講習を2体系持っていた団体について1体系に整理したため、前月の111から37減って74となっている。。
また複数の技能認証を掛け持ちしている講習団体の中では、株式会社スペースワン(福島県)、日本ドローンビジネスサポート協会(岡山市)、株式会社ビットモーターズジャパン(さいたま市など)の3団体が、4つの技能認証を提供する“4刀流”となっている。
国交省航空局による講習団体、管理団体のホームページでの公表は2017年6月1日に開始した。このときの公表内容は、「所要の要件を満たすことが確認できた『無人航空機の操縦技能講習を行う民間講習団体(43団体)』及び『講習団体を指導し管理する団体(4団体)』を航空局ホームページに掲載しました」だった。
一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の独自技能認証「DPCA DRONEフライトオペレーター操縦技能証明証」の講習がこのほど、埼玉県嵐山町で開催された。経験あるインストラクターが知識、技能の基本を丁寧に教えていた様子を見学した。
講習が行われた会場は、埼玉県嵐山町にある広大な敷地を誇る国立女性教育会館。センター合宿、セミナー、トレーニングなど幅広い用途に対応する設備が整っていて、フライトオペレーター操縦技能講習は研修棟の教室で座学、体育館で実技が、2日間の日程で行われた。座学は上原陽一DPCA代表理事が直接担当。実技はDPCA認定インストラクターの森英昭さん、中島尚子さんが担当した。
講習を受けたのは男性3人。初日の座学でドローンが飛ぶ仕組みやルールなどの基本が伝えられたあと、同日午後3時過ぎに体育館に移動し、実機をつかって電源の入れ方、プロペラの取り付け方、確認の仕方、タブレットでGPS信号が十分に届いているかどうかの確認、などが基本作業についてを手際よく、丁寧に伝えられた。
ドローン事業を手掛けるアイエイチプランニング(東京)の代表として、空撮や橋梁点検、ソーラーパネル点検など数多くの実績がある森さんは講習の間に、「バッテリーは余裕をもっておくことが重要。100メートルの高さから着陸させるのに10%消費することも覚えておく必要がある。自分が運用するときには、バッテリー残量が40%を切ったら機体を地面に降ろすことにしている」などと、経験をふまえた実践的なアドバイスもしていて、参加者の興味をかきたてていたようだ。
受講生3人に対し、3人の講師がつきっきりで指導するぜいたくな態勢で、受講生は疑問がわいたらその場ですぐに質問ができる環境の中、カリキュラムをこなしていた。
DPCAは今後も各地で講習を実施。5月16、17日(残り僅か)、6月16、17日の京都、6月27、28日の大阪、6月24、25日の埼玉での講習について、現在受講生を募集している。