新型コロナウイルス一色に染まってしまいそうな2020年も、ドローンやエアモビリティのフィルターを通して眺めると、話題の豊かな1年だったことに驚きます。そこでDroneTribuneは、2020年をおさらいし、2021年を展墓するために「ドローン10大ニュース」を選んでみました。掲載したもの、していないもの、あるいはトホホなものからアハハなものまで、数限りなくある出来事から、「ドローン前提社会の実現につながる」を軸に集めました。リモート忘年会や新年会のネタにもして頂けましたら幸いです。以下、カウントダウンでご紹介します。
ドローンの用途別資格を創設する動きが広がる中、JUIDAも石油化学プラント点検への活用技能を備えていることを証明する専門ライセンス「JUIDAプラント点検スペシャリスト」の授与を2020年12月、開始しました。国内の石化プラントの保守点検は、設備の老朽化、作業員の高齢化の進行で「新設するより難しい」と形容され、ドローン活用の布石となることが期待されます。
ドローンの大規模展示会「Japan Drone 2020」は、開催の是非、可否の検討が繰り返された末に2020年9月末に千葉・幕張メッセで開催された。当初の3月開催から半年の延期で、期間を3日間から2日間に短縮、規模も縮小した。講演などはインターネット回線で配信し、来場せずに参加する方法を模索した。、
株式会社エアロネクストと株式会社自律制御システム研究所(ACSL)が2020年8月31日、エアロネクストの機体が傾いても積み荷が傾かない重心制御技術「4D GRAVITY」などの特許群のライセンス契約を締結したと発表しました。当初からライセンスビジネスを志向していたエアロネクストにとって初のライセンス契約の実績となり、ドローン産業のビジネスの可能性を拓く展望を与えました。
大阪のキタとミナミを貫く御堂筋線などを運行する大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)が2020年1月31日、株式会社アイ・ロボティクス(東京)と協業したことを発表しました。大阪メトロの駅天井裏や構造物などを手のひらサイズのマイクロドローンで点検する内容。マイクロドローンのインフラ点検への実用時代幕開けを印象付けた。
新型コロナウイルスの感染対策として海水浴場の開設が見送られた神奈川県藤沢市の片瀬西浜で7月から8月の間、ドローンとライフセーバーとが連携して海岸をパトロールして安全を確保する全国初のプロジェクトが展開されました。ドローン研究に力を入れる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムが統括し、地元の藤沢市、神奈川県ライフセービング協会、藤沢市サーフィン協会などと幅広い連携で事故を防ぎました。
2020年5月、DJIが産業用途に向けて「MATRICE 300 RTK」を発表しました。最大飛行時間は55分、6方向の検知と即位が可能なビジョンシステム、条件次第で運用限界高度海抜7000m、3つのペイロードの同時装着、ライブミッション記録、ミッション中に制御権が切り替え可能なデュアル制御などの性能はいずれも圧倒的で、あっという間に利用者の間で「産業機の決定版」「革命的な進化」などの高い評価を獲得しました。
ドローンの動態展示、「富士山UAVデモンストレーション」が2020年11月3日、静岡県殿場市の陸上競技場で10組のデモフライトが行われました。慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアム主催の、いわゆるドローンの航空ショーで、カメラを機体の上に乗せた「ALTA-X」が安定の飛行を見せたほか、徳島大学のチームのダクト機が合体ロボットの足の部分のような見た目で異彩を放っていました。Dアカデミーチームは固定翼機discoの編隊飛行を披露し、最後の1機をチームメンバーがハンドキャッチをしてしめくくり会場の喝さいを浴びました。ドローンは動いている様子を見てこそ真価が分かる、という主催者の強い思いで実現させた展示会で今回が3回目の開催。BODUC、空撮技研、アドエアなども展示組もかなりの力の入りようで見ごたえ充分となり、今後の展示会のあり方に一石を投じそうです。
新型コロナウイルス感染対策として非対面、非接触が奨励される中、医師がオンラインで診察し、処方した医薬品をドローンで届け、オンラインで服薬指導をする取り組みが相次ぎました。中でも最初に話題になったのは2020年7月に北海道旭川市で行われた取り組みで、北海道経産局、旭川医科大学、ANAホールディングス株式会社、株式会社アインホールディングスなどが参加し、患者と医師、薬剤師が直接に対面することなく処方薬を受け取りました。
11月には、愛知県の三河湾に浮かぶ離島・篠島と約14キロ離れた本土側の愛知県知多郡美浜町との間での非対面医療に取り組み、株式会社プロドローン、日本調剤株式会社、JA愛知厚生連知多厚生病院が、オンライン診療、オンライン服薬指導、処方薬の配送を成功させました。このほか長崎県五島市などでも行われ、非接触が推奨される中での遠隔医療に展望の持てる成果を生み出しました。なお、愛知県の実験で使われたドローンはプロドローンの「PD6B-Type3」、オンライン服薬指導には、日本調剤の「日本調剤 オンライン薬局サービス」が使われました。
進行方向を自分で判断するAIドローンの米Skydioが2020年秋、日本法人Skydio Japan合同会社を登記し、本格始動しました。関係者の間では2年ほど前から「あのドローンより正確に追尾する」「ぶつからないから近寄れるドローン」として評判で、日本では株式会社NTTドコモ、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)、株式会社FLIGHTSをパートナーに滑動することを表明しています。日本通で日本語も堪能なトム・モスCEOは、「技術で選ばれる会社」を目指していて、当面は自治体や企業、団体向けに営業活動をする方針です。個人向けの機体販売をする予定はありません。
なお同社は産業用の新モデル「Skydio X2」や、機体をスマートに格納するボックス型の専用ドック「Skydio 2 Dock」などを2021年にも日本市場に投入する意欲を見せていて、日本国内のドローン産業に彩を添えそうです。
DRONE FUNDの創業代表パートナー、千葉功太郎さんが、自家用飛行機の操縦士免許を取得したというニュースが2020年に飛び込んで来ました。ドローンの普及を目指す立場から、空域利用に向けた提言に一層、重みを増すことになります。ドローンの普及への取組が技術面、産業面、制度面のそれぞれで加速することも確実です。ドローン産業で活躍しておられる方々の中には、航空機の操縦実績をお持ちの方がいらっしゃいますが、無人機を操っていて有人機を操るひとになった例は極めてレアで、説得力ある取り組みに期待がかかります。
千葉さんがドローンと出合ったのは2015年でした。当時株式会社コロプラに在籍していた千葉さんに、株式会社ORSOの坂本義親代表がドローンを紹介。すぐに可能性を見抜き、自身で操縦をマスターするとともに、普及活動に乗り出すことになります。2017年にはDRONE FUNDを設立し、官民協議会にも参画して提言し、2018年7月にはDRONE FUND2号設立を発表したさいには、自家用機「かなたちゃん号」もお披露目します。その年の末にはHondaJet Eliteの日本1号機も入手しました。このときすでに飛行機を自分で動かすつもりでいたことを後日語っています。ドローンと最初に出合ってから5年後に有人機の免許も取得した千葉さんから、2021年も目が離せません。
上記のほかにもさまざまな出来事がありました。いずれを上位にいれても不思議ではないものもありました。
そのひとつが、<5G・ドローン促進法の施行>です。次世代通信規格5Gや、サイバーセキュリティー対策を講じたドローンの開発、導入などを促進する「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(5G・ドローン促進法)」が8月31日に施行されました。要件を満たして「認定開発供給事業者」、「認定導入事業者」に認定されると、政府指定の金融機関から低利融資を受けられたり、租税特別措置法に基づいて30%の特別償却を受けられるなど、普及促進の後押しを受けられます。
また、「レベル4」実現に向けた制度設計の基本方針が3月31日の官民協議会で決定されたことも関係者全員の話題にのぼりました。<「機体認証」「操縦ライセンス」を創設>し、第三者上空などレベル4に該当する飛行については両方を取得し、国交相の許可・承認を受けた場合に可能となると整理されています。民間試験機関が実地試験、学科試験を行うことになる見込みで、今後、試験機関の選定方法などを詰めることになります。
このほか、エアロセンス株式会社が8月6日に<新型VTOL機「AEROBO wing(AS-VT01)=エアロボウイング」を発表>して話題になりました。1kg までの荷物を搭載して垂直離着陸し、最大時速100kmで航続距離は50kmです。
<ソニー株式会社は2020年11月9日、ドローンプロジェクト「Airpeak」の始動>を表明しました。「イメージング&センシング技術、リアリティ、リアルタイム、リモートの『3Rテクノロジー』を活用しドローンのさらなる発展や最高峰の価値創出に貢献する」と話していて、2021年春の事業開始を予定しています。
KDDIスマートドローン株式会社(東京)は10月16日、「AIドローン設置に関する説明会」を東京・高輪の本社で開き、KDDI株式会社(東京)とKDDIスマートドローンが10月15日に能登地域4カ所に米国Skydio社のAIドローン「Skydio X10」と基地となる「Skydio Dock for X10」を配備し、遠隔運航実証を実施したことを、同日の映像をまじえて説明した。また、定期運航させるサービスを10月16日から24時間365日対応に拡充させたことや、必要時にだけ運航に応じる「スポット運航サービス」も11月に始めるなど、遠隔運航サービスの拡充と新機能の追加を発表した。
説明会は7月1日に正式にオープンした高輪ゲートウェイ駅に隣接する新本社内で行われた。会場には運航指揮者が準備し、オペレーションが実演できる態勢を整えていた。実際、石川県に配備している4機のドローンを、報道陣の前で運航する計画をたてていたが、石川県内での荒天で断念した。説明会では現地の雨量が7mmを超えたことが報告された。「雨量7mm」は、1時間に1㎡あたり7ℓの雨が降る強さで、本降りに相当する。このため説明会では、前日の15日に行われた実証の動画をまじえて4機の運用例をまじえて説明した。
説明会では冒頭、KDDIスマートドローンの博野雅文代表取締役社長が、石川県内の輪島市に2台、七尾市に2台のドローンを配備したことを説明し、日本国内に1000台のAIドローンを配備する計画が具体的に始まったことを説明した。
配備したドローンは通常時に点検や測量など主に空からの情報収集に使われるほか、災害発生時に現地の状況を確認するために急行するなど、平時、平時と災害発生時と両面で活用することを念頭に配備していると説明した。説明会では前日の10月15日に石川県内で実施したドローンの運用実証の様子を動画などを活用しながら説明した。
具体的には輪島市、七尾市の機体をKDDI高輪本社(東京都港区)、KDDIスマートドローンアカデミー新十津川校(北海道樺戸郡)に待機したオペレーターが遠隔運航を実施した様子が説明された。その中ではトンネルの3Dモデリング空撮と橋梁点検を進めているときに地震が発生した想定で、オペレーションが緊急時に移行するシナリオが披露された。博野社長は「平時利用から有事利用への移行オペレーションを通じて、BCP(事業継続計画)を想定したシナリオで実証した」と説明した。なお1人のオペレーターが2機を運航する1対2運航で行われた。
また説明会では遠隔運航サービスの拡充も発表された。事前に設定したスケジュールにそった定期飛行サービスを24時間365日対応するサービスに拡充したほか、災害発生時などのニーズに対応する「スポット運航サービス」も設定した。23時間365日の定期運航サービスは10月16日に導入をはじめた。スポット運航サービスは11月1日の提供開始を予定している。
KDDIスマートドローンの測量士が、点群データの取得・生成、出来形や体積差分の算出・報告書作成までを一貫して行うワンストップサービス「測量パッケージ」も10月16日に開始した。米シリコンバレー初のAI活用型IoTソリューション開発を手掛けるMODE社,の現場特化型AIアプリケーション「BizStack」と連携させ、ドローンが撮影した画像・映像データを遠隔で取得できる「MODE連携機能」を追加することも発表し、2025年内に提供をはじめる計画だ。
博野社長は「ドローン運用の手間をゼロに、の実現のため、今後も邁進したい」と決意を表明した。
能登地域4箇所にAIドローンを常設:https://kddi.smartdrone.co.jp/release/9459/
SkydioとKDDIが資本業務提携:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr_s-4_3362.html
石川県とKDDI、創造的復興へ連携協定:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-302_3559.html
24時間365日定期運航などサービス強化:https://kddi.smartdrone.co.jp/release/9429/
新機能の追加詳細:https://kddi.smartdrone.co.jp/solution/monitor/
遠隔運航サービス紹介動画:https://youtu.be/CHLQnKkefOU
MODE連携紹介動画:https://youtu.be/mesewNbiPwQ
大林の事例リリース:https://kddi.smartdrone.co.jp/release/9144/
清水建設の例動画:https://www.youtube.com/watch?v=PP5UPmAmSSc
石川県県警の例リリース:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-552_3833.html
石川県と県警の事例動画:https://www.youtube.com/watch?v=0MqLTdkpIus&feature=youtu.be
ドローン物流と既存物流を融合させた「新スマート物流」を提唱、展開している株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>、田路圭輔代表取締役)は10月8日、足利市<栃木県>、足利市内で燃料小売などのカーライフサポートを手がける両毛丸善株式会社 (河内覚代表取締役)と3者で、足利市内での新スマート物流の実施を見据えて「新スマート物流社会実験に関する覚書」を交わした。ドローン事業専門の部署を持つ両毛丸善がドローンの運航を担う。災害時にも通常時にも物流機能を担う運用を目指し、飛行ルートの検証などの可能性を探る。早ければ来年(2026年)1月にも運航に着手する。
3者による覚書の締結は足利市役所内で行われた。新スマート物流の可能性について研究するため相互に協力する。具体的には足利市内で新スマート物流の拠点整備や災害発生時にも緊急物資輸送に使えるルートを検証したり、中山間地などの物流困難地域への物資輸送をしたりすることなどを盛り込んでいる。
地元の企業、両毛丸善が新スマート物流の社会実験を推進し、足利市が地域コミュニケーションやフィールド調整など行政としてサポートする。これまで新スマート物流はNEXT DELIVERYが中心に運用してきたが、今回は地元企業が中心となる点が特徴で、地元企中心のフェーズフリー型新スマート物流のモデルケースを目指す。
NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は「両毛丸善さまという地元企業とパートナーを組むことができました。このように地元主導でしっかり新スマート物流を実装に向けて進めるのは、今回がはじめてのケースになると思います。ドローンの運航というのは機体の操縦だけではなくて、運航、システム、着陸地点の調整などすべきことがいろいろとあります。それをわれわれと同じクオリティで担える地元の事業者を探しておりましたが、両毛丸善さまはすごいチームもありビジョンも持っていて、展開できると確信しています。必ずや成功させたいと思っていますし、そのためにわれわれが持つ技術やノウハウを注ぎ込み、われわれのオペレーションを完全に移植して参ります」とあいさつした。
両毛丸善の河内覚代表取締役は「ドローンの利便性、将来性に着目し4年前にドローン事業の準備に入り、3年前に事業に着手しました。空撮、農薬散布に取り組みながら、究極の目的であった物流への参入が難しかったところで、今回、覚書を締結できることになり嬉しく思っております。ハードルは高いですが、災害時も平時も使えるようドローンを使った物流で地域貢献、地域課題解決にさらに力をいれて参ります」と応じた。
足利市の早川尚秀市長は、「NEXT DELIVERYさまとは2年前に実証実験を共同で行いました。今回は両毛丸善さまに入って頂いたことが大きいです。両毛丸善さまの大きな決断で覚書が買わせました。われわれも全力で支えます。まずは実験を積み重ね、近い将来ドローンも使った物流に向けた大きな一歩になると思っています。足利のような歴史ある町で、ドローンの先端の取り組みが行われ、地域課題の解決につなげることが大切だと思っています。まち全体が実験場というつもりで、市としても実装までしっかり役割を果たし、協力しながら成功に導いていきたいと考えています」と抱負を述べた。
締結式の会場には、足利市の実験に投入される機体「PF4」も持ちこまれた。PF4はNEXT DELIVERYがモンゴルで活用していて、日本国内の連携協定などの提携の会場で公開されたのはこの日が初めてだ。5㎏の荷物を往復40㎞の範囲を自動航行で飛行させることができる。NEXT DELIVERYの田路代表は「それまでのAirTruckという機体より詰める箱が大きくなり飛行速度も速くなりました」と説明した。さらに、「ドローン配送は、定期配送の可否が社会実装のカギだと思っています。たとえば毎日午後4時に必ず1便飛ぶ、と決めてそこに地域の荷物を持ちこんでもらって飛ばす。災害があったときに避難生活を送っている方に届けるようなものを普段からそのルートで運び続けるわけです。一日1便から2便、3便、4便と増え、その地域では両毛丸善さんのドローンが毎日飛ぶようになると、それまでとはまったく違う世界になると思っています」と展望した。
足利市は2021年の山林火災対応をきっかけに、災害時の空のトラブルを防ぐための
「緊急用務空域」の仕組みが創設されるきっかけとなった地域で、ドローンの運用にとって新たな枠組みが生まれた地域として知られている。
ドローン機体構造技術の株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、田路圭輔代表取締役社長・グループCEO)は、独自の特許取得済み重心制御技術「4D GRAVITY®」を搭載した物流専用ドローン「PD4B-M-AN」を、株式会社プロドローン(愛知県名古屋市、戸谷俊介代表取締役社長)と共同開発し、名古屋市で開催された第4回ドローンサミットで発表した。
物流専用ドローンPD4B-M-ANは4つのローターを持つマルチコプターで、バッテリーを含む機体重量は20㎏。最大3㎏までの荷物を運べる。4D GRAVITYの技術を取り入れた荷室を、機体の本体と分けたうえで結合していて、飛行中にドローンが進行方向に前傾しても荷室は前傾せず、荷物が傾かない構造になっていることが特徴だ。これにより飛行性能、機動性の向上も図れる。
エアロネクストとプロドローンは2024年2月に4D GRAVITYテクノロジーライセンス契約を締結していて、プロドローンの汎用機体「PD4B-M」に4DGRAVITYを取り入れた。
エアロネクストの子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)が受託した「あいちモビリティイノベーションプロジェクト空と道がつながる愛知モデル2030」の物流ドローン社会実装モデル推進事業として近く、現場で飛行する予定だ。
千葉・幕張メッセで開催中の農業技術関連展示会「農業WEEK」で、株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、朝霞市<埼玉県>)が発表した鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の展示に来場者が集まっている。ブースでは担当者からこれまでの実験の様子や今後の展開などに聞くこともでき、来場者から「発表されていない現場での実験の様子なども聞くことができ、期待が高まった」などの声が聞かれた。農業WEEKでは株式会社石川エナジーリサーチ(太田市<群馬県>)や中国・上海のポジショニング技術のCHC Navigation(CHCNAV)などそのほかのドローン関連技術や自動操舵技術も展示されている。開催は10月3日まで。
NTTイードローンの鳥獣害対策専用ドローン「BB102」は農業WEEKの「NTTグループ」ブースで出展されている。取り回しのよさなどで農業関係者から評価の高い散布ドローン「AC102」を見にきた来場者が、その隣に展示してある「BB102」を見つけ、足をとめて説明に聞き入り、ひとだかりができていた。
展示ブースではBB102が黒い布に赤色と緑色をランダムに照射する様子が実演されていて、担当者から緑の色が鳥獣の痛点を刺激することや、赤い色がエサのようにみえることなどが説明された。
イードローンが9月30日に発表したプレスリリースには、効果が確認された鳥獣として、カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなどが示されていたが、ほかにも効果的な鳥獣があるなどの話を聞くこともできる。担当者に聞くと、全国で被害が広がっているクマも、このレーザー照射にいやがる様子を見せたと話していて、今後の検証次第ではさらなる効果が期待できそうだ。その場合、クマの出没現場にどのようにドローンを飛ばすか、など具体的な対応法も論点になる可能性がある。
このほか、ある湖で実験したらはっきりと鳥獣がいやがる様子を見せたことなどの実験現場の話も聞くことができる。
農業WEEKではイードローンのほかにも、石川エナジーリサーチの農業用ドローン、CHCNAVのリモートセンシング技術、自動操舵技術などが展示されている。
農業WEEKはRX Japan株式会社が主催し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、日本農業法人協会農業が後援する、「国際スマート農業EXPO」「次世代農業経営EXPO」など5つの農業関連展示会をまとめたイベントの総称で東京会場(幕張メッセでの開催)は今回が15回目。主催者は「J-AGRI(ジェイアグリ)」の呼び方の定着を目指している。九州でも同じ趣旨の展示会を開催していて、第4回九州農業WEEKが2026年5月27日から29日まで益城町<熊本県>の展示会場、グランメッセ熊本で開催される予定だ。
参考:イードローンが鳥獣害対策機BB102発表
AI、ロボティクスの社会実装推進事業を手掛けるGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR、内田朋宏代表取締役社長)は9月30日、「ロボット人材派遣型サービス」に中国・深圳のロボットスタートアップEngine AI社製のヒューマノイドロボット「PM01」をラインナップに加え、2026年1月から派遣を始めると発表した。
「PM01」は世界で初めて前方宙返りを達成した高い身体機能で話題になったヒューマノイド。イベント、研究など幅広い分野での活用が期待できる。GMO AIRは「ロボット人材派遣型サービス」として技術指導、ソフトウェア開発サポートも支援する。「PM01」を開発したEngine AIは、自動車と空クルを融合させた「Land Aircraft Carrier」を開発したシャオペンエアロ(XPENG AEROHT)のシャオペン系のテクノロジー企業グループの一員で、高い技術力で知られる。
GMO AIRは「PM01」について、ダイナミックな身体能力、柔軟なカスタマイズ性、アイアンマンに着想を得た洗練されたデザインの3点を主な特徴にあげ、「イベントや展示会で圧倒的な演出力を実現する」と説明している。
GMO AIRは、2025年4月から「ロボット人材派遣型サービス」を展開。4足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットの中国・Unitree社(宇樹科技)のヒューマノイド「G1」を中心にエンターテインメント、研究機関、実証実験などの現場に派遣している。2026年2月にはAIとヒューマノイドロボットを手がける中国・UBTECH Robotics社(優必選科技)の「Walker E」の派遣も予定している。「PM01」が追加することでラインナップが充実する。
■サービスURL:https://ai-robotics.gmo/lp/robot-haken/
■GMO AIRについて:https://ai-robotics.gmo/
■GMOインターネットグループ株式会社について:https://group.gmo/
株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、埼玉県朝霞市)は9月30日、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」を発表した。搭載したレーザーで赤色と緑色をランダムに照射して鳥獣に強い違和感を与え退避行動を促す。カラス、ハト、イノシシ、ハクビシンなど幅広い鳥獣への効果が確認されたという。イードローンは「BB102」を2025年10月1日に提供を始める。10月1日に千葉・幕張メッセで開幕する展示会「農業WEEK」では、NTTグループブースで公開する。価格は「オープン価格」としている。
鳥獣害対策専用ドローン「BB102」はレーザーを搭載していることが特徴で、一般社団法人地域総研(東京)が2018年1月に実用新案登録証と商標登録証を取得した「クルナレーザー」をドローンに活用した。ドローンは自動航行機能も備える。レーザーを搭載した鳥獣害対策専用ドローンは例がないとみられる。
仕組みは赤色と緑色のレーザーをランダムに照射するもので、これが鳥獣に強い違和感を与え退避を促すという。鳥獣が慣れてしまうことへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果を持続させる工夫もこらした。
農林水産省によるとイノシシ、シカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模にのぼるうえ、鳥インフルエンザ、豚熱など畜産業での防疫対策も深刻で、「BB102」で農作物被害抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減との両立を目指す。カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなど多くの鳥獣への効果が確認されていて、実験では水田、果樹園、山林、湖などさまざまな環境での有効性を示した。
イードローンによる発表は以下の通り。
株式会社NTT e-Drone Technologyは、全国的に深刻化する鳥獣害問題に対応するため開発・製造した、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の提供を2025年10月1日(水)より開始いたします。レーザー搭載の鳥獣害対策ドローン(国内初)による高い忌避効果と自動航行機能により、農作物被害の抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減を両立します。
1.背景と目的
イノシシやシカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模(※1)にのぼり、深刻な社会課題となっています。さらに、鳥インフルエンザや豚熱など畜産業における防疫対策も喫緊の課題です。
当社はこれまで農業用ドローン等の提供を通じて農業分野における省力化・効率化を支援してきましたが、今回新たに提供する「BB102」はこれまでの技術を応用し、鳥獣害対策に特化して開発した国産ドローンです。農作物の被害減少に加え、鳥獣害対策に要する人的・時間的負担の軽減を図ることで、第一次産業全体の持続可能性向上に寄与します。
※1:数値データは、農林水産省HPより出典
2.製品概要と特長
「BB102」は、上空から広範囲にレーザー照射を行えるため、地上設置型では難しかった屋上や高所を含む鳥害対策を実現します。
<特長1>「クルナレーザー(※2)」による忌避効果
赤色と緑色のレーザーをランダムに照射し、鳥獣へ強い違和感を与え退避を促進させます。また、慣れへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果の持続性を高めています。
※2:一般社団法人地域総研の登録商標
<特長2>自動航行機能
送信機の画面で飛行範囲を設定するだけで自動航行が可能です。養鶏場や牛舎など、広範囲のエリアを効率的に対策できます。
<特長3>FPVカメラ搭載
送信機の画面上で屋根や高所の確認が可能です。鳥獣害対策に加え、点検用途にも活用できます(目視外飛行不可)
<特長4>幅広い鳥獣への効果
カラス、ハトなどの鳥類、イノシシやシカ、さらにカワウ・サギ・ハクビシンなど、多様な鳥獣に対する忌避効果が確認されています。水田、果樹園、山林、湖など様々な環境での実証実験でも高い有効性を示しました。
4.受付開始日
2025年10月1日より開始
※デモ会、説明会、意見交換会等のご要望にも対応します。
5.価格
オープン価格
<参考>展示情報
第15回農業WEEK(会期:10月1~3日、会場:幕張メッセ)NTTグループブースにて「BB102」を展示します。