新型コロナウイルス一色に染まってしまいそうな2020年も、ドローンやエアモビリティのフィルターを通して眺めると、話題の豊かな1年だったことに驚きます。そこでDroneTribuneは、2020年をおさらいし、2021年を展墓するために「ドローン10大ニュース」を選んでみました。掲載したもの、していないもの、あるいはトホホなものからアハハなものまで、数限りなくある出来事から、「ドローン前提社会の実現につながる」を軸に集めました。リモート忘年会や新年会のネタにもして頂けましたら幸いです。以下、カウントダウンでご紹介します。
ドローンの用途別資格を創設する動きが広がる中、JUIDAも石油化学プラント点検への活用技能を備えていることを証明する専門ライセンス「JUIDAプラント点検スペシャリスト」の授与を2020年12月、開始しました。国内の石化プラントの保守点検は、設備の老朽化、作業員の高齢化の進行で「新設するより難しい」と形容され、ドローン活用の布石となることが期待されます。
ドローンの大規模展示会「Japan Drone 2020」は、開催の是非、可否の検討が繰り返された末に2020年9月末に千葉・幕張メッセで開催された。当初の3月開催から半年の延期で、期間を3日間から2日間に短縮、規模も縮小した。講演などはインターネット回線で配信し、来場せずに参加する方法を模索した。、
株式会社エアロネクストと株式会社自律制御システム研究所(ACSL)が2020年8月31日、エアロネクストの機体が傾いても積み荷が傾かない重心制御技術「4D GRAVITY」などの特許群のライセンス契約を締結したと発表しました。当初からライセンスビジネスを志向していたエアロネクストにとって初のライセンス契約の実績となり、ドローン産業のビジネスの可能性を拓く展望を与えました。
大阪のキタとミナミを貫く御堂筋線などを運行する大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)が2020年1月31日、株式会社アイ・ロボティクス(東京)と協業したことを発表しました。大阪メトロの駅天井裏や構造物などを手のひらサイズのマイクロドローンで点検する内容。マイクロドローンのインフラ点検への実用時代幕開けを印象付けた。
新型コロナウイルスの感染対策として海水浴場の開設が見送られた神奈川県藤沢市の片瀬西浜で7月から8月の間、ドローンとライフセーバーとが連携して海岸をパトロールして安全を確保する全国初のプロジェクトが展開されました。ドローン研究に力を入れる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムが統括し、地元の藤沢市、神奈川県ライフセービング協会、藤沢市サーフィン協会などと幅広い連携で事故を防ぎました。
2020年5月、DJIが産業用途に向けて「MATRICE 300 RTK」を発表しました。最大飛行時間は55分、6方向の検知と即位が可能なビジョンシステム、条件次第で運用限界高度海抜7000m、3つのペイロードの同時装着、ライブミッション記録、ミッション中に制御権が切り替え可能なデュアル制御などの性能はいずれも圧倒的で、あっという間に利用者の間で「産業機の決定版」「革命的な進化」などの高い評価を獲得しました。
ドローンの動態展示、「富士山UAVデモンストレーション」が2020年11月3日、静岡県殿場市の陸上競技場で10組のデモフライトが行われました。慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアム主催の、いわゆるドローンの航空ショーで、カメラを機体の上に乗せた「ALTA-X」が安定の飛行を見せたほか、徳島大学のチームのダクト機が合体ロボットの足の部分のような見た目で異彩を放っていました。Dアカデミーチームは固定翼機discoの編隊飛行を披露し、最後の1機をチームメンバーがハンドキャッチをしてしめくくり会場の喝さいを浴びました。ドローンは動いている様子を見てこそ真価が分かる、という主催者の強い思いで実現させた展示会で今回が3回目の開催。BODUC、空撮技研、アドエアなども展示組もかなりの力の入りようで見ごたえ充分となり、今後の展示会のあり方に一石を投じそうです。
新型コロナウイルス感染対策として非対面、非接触が奨励される中、医師がオンラインで診察し、処方した医薬品をドローンで届け、オンラインで服薬指導をする取り組みが相次ぎました。中でも最初に話題になったのは2020年7月に北海道旭川市で行われた取り組みで、北海道経産局、旭川医科大学、ANAホールディングス株式会社、株式会社アインホールディングスなどが参加し、患者と医師、薬剤師が直接に対面することなく処方薬を受け取りました。
11月には、愛知県の三河湾に浮かぶ離島・篠島と約14キロ離れた本土側の愛知県知多郡美浜町との間での非対面医療に取り組み、株式会社プロドローン、日本調剤株式会社、JA愛知厚生連知多厚生病院が、オンライン診療、オンライン服薬指導、処方薬の配送を成功させました。このほか長崎県五島市などでも行われ、非接触が推奨される中での遠隔医療に展望の持てる成果を生み出しました。なお、愛知県の実験で使われたドローンはプロドローンの「PD6B-Type3」、オンライン服薬指導には、日本調剤の「日本調剤 オンライン薬局サービス」が使われました。
進行方向を自分で判断するAIドローンの米Skydioが2020年秋、日本法人Skydio Japan合同会社を登記し、本格始動しました。関係者の間では2年ほど前から「あのドローンより正確に追尾する」「ぶつからないから近寄れるドローン」として評判で、日本では株式会社NTTドコモ、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)、株式会社FLIGHTSをパートナーに滑動することを表明しています。日本通で日本語も堪能なトム・モスCEOは、「技術で選ばれる会社」を目指していて、当面は自治体や企業、団体向けに営業活動をする方針です。個人向けの機体販売をする予定はありません。
なお同社は産業用の新モデル「Skydio X2」や、機体をスマートに格納するボックス型の専用ドック「Skydio 2 Dock」などを2021年にも日本市場に投入する意欲を見せていて、日本国内のドローン産業に彩を添えそうです。
DRONE FUNDの創業代表パートナー、千葉功太郎さんが、自家用飛行機の操縦士免許を取得したというニュースが2020年に飛び込んで来ました。ドローンの普及を目指す立場から、空域利用に向けた提言に一層、重みを増すことになります。ドローンの普及への取組が技術面、産業面、制度面のそれぞれで加速することも確実です。ドローン産業で活躍しておられる方々の中には、航空機の操縦実績をお持ちの方がいらっしゃいますが、無人機を操っていて有人機を操るひとになった例は極めてレアで、説得力ある取り組みに期待がかかります。
千葉さんがドローンと出合ったのは2015年でした。当時株式会社コロプラに在籍していた千葉さんに、株式会社ORSOの坂本義親代表がドローンを紹介。すぐに可能性を見抜き、自身で操縦をマスターするとともに、普及活動に乗り出すことになります。2017年にはDRONE FUNDを設立し、官民協議会にも参画して提言し、2018年7月にはDRONE FUND2号設立を発表したさいには、自家用機「かなたちゃん号」もお披露目します。その年の末にはHondaJet Eliteの日本1号機も入手しました。このときすでに飛行機を自分で動かすつもりでいたことを後日語っています。ドローンと最初に出合ってから5年後に有人機の免許も取得した千葉さんから、2021年も目が離せません。
上記のほかにもさまざまな出来事がありました。いずれを上位にいれても不思議ではないものもありました。
そのひとつが、<5G・ドローン促進法の施行>です。次世代通信規格5Gや、サイバーセキュリティー対策を講じたドローンの開発、導入などを促進する「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(5G・ドローン促進法)」が8月31日に施行されました。要件を満たして「認定開発供給事業者」、「認定導入事業者」に認定されると、政府指定の金融機関から低利融資を受けられたり、租税特別措置法に基づいて30%の特別償却を受けられるなど、普及促進の後押しを受けられます。
また、「レベル4」実現に向けた制度設計の基本方針が3月31日の官民協議会で決定されたことも関係者全員の話題にのぼりました。<「機体認証」「操縦ライセンス」を創設>し、第三者上空などレベル4に該当する飛行については両方を取得し、国交相の許可・承認を受けた場合に可能となると整理されています。民間試験機関が実地試験、学科試験を行うことになる見込みで、今後、試験機関の選定方法などを詰めることになります。
このほか、エアロセンス株式会社が8月6日に<新型VTOL機「AEROBO wing(AS-VT01)=エアロボウイング」を発表>して話題になりました。1kg までの荷物を搭載して垂直離着陸し、最大時速100kmで航続距離は50kmです。
<ソニー株式会社は2020年11月9日、ドローンプロジェクト「Airpeak」の始動>を表明しました。「イメージング&センシング技術、リアリティ、リアルタイム、リモートの『3Rテクノロジー』を活用しドローンのさらなる発展や最高峰の価値創出に貢献する」と話していて、2021年春の事業開始を予定しています。
SkyDrive、東京で初のデモフライト 飛行中のヘリと音量差が歴然
新会社「GMO Preferred Security」設立発表 イエラエとPreferredが合弁、国産AI環境構築
NTT東のドローン、eスポーツ学校など多彩な事業紹介 「地域ミライ共創フォーラム2026」
「JUIDA新年の集い」東京會舘で開催 総選挙公示日と重なり政治家の姿なし
SkyDrive福澤代表、特派員協会の会見でコンパクトの優位性アピール 日本製へのこだわりも説明
エアロジーラボのG4-S、往復72㎞を無給油で飛行 九州整備局が南海トラフ対策の実験
ブルーがドーム屋根の漏水箇所特定にドローン活用 ELIOS3が内装側を飛行、外装はMatrice 3TD
音楽とドローンの2026年への期待 2025年には「RED LINE」や「ジ・エンプティ」話題
GMOインターネットグループは3月5日、サイバーセキュリティの分野で活躍する第一人者が登壇するカンファレンス「第3回GMO大会議・春・サイバーセキュリティ2026」を東京・渋谷で開催し、この中でAI半導体開発、生成AI開発の株式会社Preferred Networks(PFN、東京)とGMOインターネットグループ株式会社、GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)と合弁会社「GMO Preferred Security株式会社」を設立することに合意したと発表した。設立は3月27日。セキュリティが担保された国産AI開発環境を構築する。近くプレスリリースを公開する。
セキュリティの確保はドローンでも必要性が高まっている。ドローンは災害対応、点検など日本でも重要なインフラになりつつある一方、重要な技術や素材を海外からの供給に頼ることが多く、海外からの供給途絶や情報漏洩などさまざまなリスクに対応する必要が生じている。このため、国内での生産基盤構築が急務で、2025年12月には政府が経済安全保障推進法に基づき「ドローン(無人航空機)」を特定重要物資に追加指定した。ドローンの国産化、安定供給を強化するため、研究開発や設備投資費用を最大50%助成し、2030年に8万台の生産体制整備を目指す方針だ。
ドローン開発の国内化強化には、国産半導体、国産AIなどの開発が不可欠といわれ、このためサイバーセキュリティが担保された開発環境の必要性が高まっている。
合弁会社GMO Preferred Securityは、PFNのAI半導体開発力、生成AI開発力とGMOイエラエの脆弱性診断、セキュリティ評価技術に加え、GMOグローバルサインなどGMOグループ各社が持つインフラ基盤や電子認証技術を集め、ハードウェアからソフトウェアまで一貫したセキュリティが担保された国産AI環境を構築し、提供することを目指す。これにより海外技術に依存しない国産AI環境の信頼性向上を図る。
新しい合弁会社GMO Preferred Security設立の合意は3月2日で、3月27日に発足する。代表取締役には、GMOインターネットグループの専務執行役員で、GMO AI & ロボティクス商事株式会社の代表取締役社長である内田朋宏氏が就任する。3月5日の「第3回GMO大会議」では、代表に就任する内田氏が登壇し合弁会社の設立を発表したうえ、PFNの岡野原大輔代表取締役も登壇し、抱負を述べた。
合弁会社設立にあたっては、PFNが49%出資し、GMOイエラエとGMOインターネットが25.5%ずつ出資する。
GMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表は「日本が世界と戦っていくためには海外技術に依存しない信頼できる『日の丸AI』環境の確立が不可欠です。今回、反半導体からソフトまで一貫した安全が担保された国産AI環境を提供できることを大変うれしく思うとともに強い使命感を感じています。本定型は日本の経済安全保障を支えお客様に『笑顔』と『感動』を届ける最強の武器となります」とコメントしている。





NTT東日本グループは、多彩な取り組みを紹介する年次イベント「NTT東日本グループ地域ミライ共創フォーラム2026」をNTT中央研修センター(調布市<東京都>)で開催した。会場にはグループ各社のイノベーション人材が地域で課題解決や利便性向上に取り組むプロジェクトの展示ブースが設置され、担当者が来場者に直接、説明した。展示内容はドローンパイロット育成、e-Sports教育、ベニザケなどの陸上養殖、夏秋イチゴ、ボリュメトリックビデオシステムの新たな価値創出など多岐にわたり、各ブースでは来場者が実演に見入ったり、説明に聞き入ったりする姿がみられた。
設定されたテーマは「地域の未来を切り拓くソーシャルイノベーション人材」で、NTT東日本グループの多様な取り組みとともに、それを率いる人材やNTT東日本グループとしての人材育成にもスポットライトをあてた。
「ドローンパイロット育成×ICT活用を通じたDX人材の育成」のブースにはドローンの実機が置かれ、パイロット育成方針などがパネルで展示されていた。担当者は同社グループで500人規模のドローンパイロット育成する方針を持っていることや、競技会の開催などを通じた育成スキームなども紹介していた。NTT東日本グループは、グループにドローンの開発製造、運用受託、スクール事業などを担う株式会社NTT e-Drone Technology(朝霞市<埼玉県>)がある(4社による設立)などドローンの活用に積極的だ。
「NTT e-Sports高等学院・フリースクール開校」のブースでは、eスポーツに関心のある高校生に教育の場を提供するNTT e-Sports高等学院が、eスポーツのスキルアップのため、1人1台のゲーミングPCを備えるほか、教室が照明の切り替えで競技場になるなどの打ち込める環境をアピール。同時にゲーム制作や動画編集などのデジタルスキル、インターンシップ、業界研究などのキャリア教育ものカリキュラムを融合して提供する取り組みをパネル展示した。不登校問題の解決、協調性、戦略的思考を育み社会との接点を意識した教育方針も伝えている。2025年12月には中等部を設置。2026年6月には全国オンラインコースも開設する方針だ。このプロジェクトには元eスポーツプロ選手も関わっている。
「スマートシティ長井2.0の実現に向けたデジタルツイン活用」では、長井市(山形県)に非常勤職員として派遣されたNTT東日本ビジネス開発本部営業戦略推進部の小倉圭氏が、RFIDでバスの乗降データを取得しバス停や時刻表ダイヤを改善するなど行政のDX化で課題解決と利便性に取り組んでいる事例が紹介された。有害鳥獣対策にもデジタル機器を活用している。
「陸上養殖で切り拓く未来の水産業」では、NTTアグリテクノロジーの越智鉄美さんが、都農(つの)町(宮崎県)で取り組む陸上養殖事業を紹介した。海や河川ではなく陸上の閉鎖循環システムでICT技術の活用で塩分濃度や水温などの条件を魚種ごとに調整し最適な環境を提供する取り組みを進めている。養殖しているのはベニザケや高級魚とされるタマカイなどで、ベニザケは一般の2倍、タマカイは3倍の速さで成長すると報告した。ふるさと納税の返礼品にも「つのタマカイ(鍋用・ぶつ切り)2~3人前」などのラインナップがある。
ボリュメトリックビデオシステムの新たな活用シーン創出に向けた技術検証としてダンスパフォーマンスをリアリタイムで、自由な視点で鑑賞できる体験を公開した。NTT東日本は地域ミライ共創フォーラムの開催当日にキヤノン株式会社と「All-Photonics Connect powered by IOWNを活用したボリュメトリックビデオシステムの新たな活用シーンの創出に向けた協業」を発表していて、この日はキヤノンの川崎市(神奈川県)にあるスタジオとフォーラム会場とを遠隔接続した。ダンサーは川崎のスタジオでパフォーマンスをし、フォーラム会場で自由な視点で鑑賞することで価値創出の可能性を確認した。
このほか、本田技研工業製の一人乗りの次世代モビリティ「UNI―ONE」にARグラスを装着して乗車することで、グラスのナビゲーションで周囲を移動できる体験をデモンストレーションし、西松建設株式会社(東京)とは同社の栃木県にある重機を、約200㎞離れたフォーラム会場にある操作用コクピットから遠隔操縦して、ディスプレーに栃木県の重機が砂利を救う様子がうつるデモンストレーションが披露された。IOWNのオール・フォトニクス・ネットワーク(APN)とローカル5Gを活用して遅延は約100㍉/秒だという。秋田県湯上町で夏秋に収穫できるイチゴを生産する取り組みをすすめ、産地形成とブランド化に取り組む様子もインパクトがあった。
このあと、澁谷直樹代表取締役社長による基調講演
やパネルディスカッションが行われ人の果たす役割などについての議論を深めた。










一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、会員やドローンの関係者が新年のあいさつを交わす「JUIDA新年の集い2026」を1月27日、東京・丸の内の社交施設、東京會舘で開催した。当日が第51回衆議院選挙の公示と重なり政治家の姿はなかった。省庁からのあいさつでは、経済産業省が日本のドローン産業基盤整備に力を入れる姿勢を強調するなど、ドローンの役割が高まっていることを印象付けた。なお鈴木真二理事長はあいさつの中で新年のスローガンを「天馬行空」と掲げ、初めて「〇〇元年」以外の表現を使った。
新年の集いは東京會舘7階ロイヤルの間に多くの関係者が集まるなどにぎやかにあいさつをかわした。総選挙の公示と重なったため政治家の姿はなく、ドローンの促進活動に力を入れる「無人航空機普及・利用促進議員連盟」所属の国会議員らによるメッセージ供呈や秘書の代理出席に留まった。司会が代読したメッセージには「丙午は新たな挑戦が芽吹く1年。本年が飛躍の年となることを願っています」「次世代移動体産業の発展に尽力されているJUIDAのみなさまに敬意を表し、活躍に期待しています」など期待の言葉が並んだ。
関係省庁の各省からのあいさつでは、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)の小林弘史(ひろふみ)氏が、災害対策にとってのドローンの重要性について触れた。
「昨年12月の青森の地震、11月の大分の火災、8月の雨に伴う災害などでの対応でドローンという言葉を聞かないことがないほどになりました。災害が激甚化する中、内閣府防災として2026年度から『鳥の目プロジェクト』を開始しようと考えていて新年度予算案にも所要の額を計上しています。災害対応の高度化で一人でも多くの命を救いたいと思っています」
総務省総合通信基盤局電波部移動通信課長の五十嵐大和(ひろかず)氏は、電波利用への検討への協力を呼び掛けた。
「無人航空機は成長戦略の中でも大変重要な位置を占めています。昨年5G、5.2GHz帯の上空利用について制度化が行われました。5.8GHz帯についても使用可能地域の拡大の検討を進めています。有限な資源である電波をいかに有効に活用するかについて、今後もみなさまと連携しながら検討して参りたいと考えています」
日本のドローン産業の産業基盤強化についての取り組みを紹介したのは、経産省製造産業局航空機武器産業課次世代空モビリティ政策室長の古市茂氏だ。
「私は困ったときには鈴木代表理事に相談しています。昨年は検討会の座長もお務め頂き、成長戦略のワーキンググループの委員も務めて頂いています。ドローンが幅広い分野で貢献していることに感謝したうえで、経済産業の観点からみると、どう産業基盤を構築していくのか、産業としてどう発展させるのか、社会実装をどう進めるのか、ここが重要だと思っています。JUIDAは地方と連携協定を結んだり展示会を実施したり貢献は大きく感謝します。展示会は来場者が2万人を超えるということですが、これはなかなかの規模。これからも支援させて頂きたい」
「経産省の取組として、昨年の補正予算でドローンの産業基盤強化について、139億円の手当をしました。同じタイミングで経済安保物資にドローンを指定することもできました。(ドローンは)今日の日本の国民、経済になくてはならないものになっています。成長産業分野では高市内閣のもと、17分野が指定され、その中の航空宇宙のひとつが、民間航空機・無人機・空飛ぶクルマで、無人機も成長産業分野です。第1回のWGも開催され、成長戦略をまとめる中で、日本の成長産業分野に育てていけるよう、発展していただけるよう、経産省としても貢献していきたいと考えております」
国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長の江口真氏は、いわゆるUTM導入に関する取り組みを紹介した。
「昨年の2025年は航空法で無人航空機を定義してから10年の節目の年でした。2023年12月に創設したレベル3.5については約140の事業者、団体のみなさまにご活用頂いています。航空局としては技術革新に遅れないよう迅速、不断に制度を見直し、安全を確保しつつ利活用促進の環境整備を進めたいと考えています」
「ドローンの事業化促進のため、効率化のために多数機同時運航の取組を進めています。従来は操縦者1人が5機までのガイドラインを策定していますが、対象範囲や機数を拡大して効率化につながる検討を進めていきたい。今後さらにドローンが増え空域が混雑する中、高密度運航を実現するため運航管理、いわゆるUTMの段階的導入も進めたい。今年度はSTEP2の初期として、UTMサービス事業者認定制度の要件を整備し、段階的に導入を進めたい」
会場を親しみのある話し方で沸かせたのは防衛省陸上自衛隊東部方面総監部幕僚副長の竹内哲也氏(様制服)だ。
「(省庁あいさつの)トリをつとめさせていただき誠に光栄です。本来、上司の東部方面総監が来場予定だったが所要のため私が参りました。選挙もはじまっていますので『失言だけはするなよ』と言われていますので慎重に話したい」
「われわれは非常にお世話になっています。原則として協定に基づいて災害現場にドローンを派遣して頂いています。しかも無償です。先般は山梨県上野原市、大月市の火事も熱源を見つけて頂いて、自衛隊のヘリが消火する活動を支援して頂いております。災害に加え、海外の情勢も不安定になってきています。われわれは安全保障についてよく、『戦後最大の試練の年』、『新たな危機に突入していく』などと表現しています。不安をあおるつもりはありませんが、実際に防衛費も増額されています。とはいえ、ドローンは(有事と平時のいずれでも活用する)デュアルユースの時代です。軍事装備とはどこまでか、という線引きはほとんどありません。みなさんのお力をお貸しいただき、我が国の平和を守らせて頂きたいと思っています。これまでもいろいろなご協力を頂いております。また今年、今後もみなさまの協力で防衛力の抜本的な強化を図っていきたいと思っております。失言はなかったと思っております」
このあと、JUIDAが山梨県上野原市、大月市にまたがる火災現場でのドローンを用いた消火支援活動を報告。会員企業である、富士山ドローンベース、ブルーイノベーション株式会社、株式会社Prodroneの奮闘ぶりを紹介した。
JUIDAの公式サイトでは、火災発生からのJUIDAの対応を日々紹介しているほか、富士山ドローンベースの活動、ブルーイノベーションの活動は個別に取り上げている。
また会場には、JUIDAの顧問に就任した国際オリンピック委員会(IOC)副会長(現在は名誉委員)で、1956年のイタリアのコルティナ・ダンペッツォ五輪アルペンスキー回転競技で銀メダルを獲得し日本人初の冬季オリンピックメダリストとなった猪谷千春氏の姿もあった。











ブルーイノベーション株式会社(東京)が、開閉式屋根を持つドーム施設、「仙台市屋内グラウンド(通称:シェルコムせんだい)」の漏水箇所をドローンで特定したことを報告している。天井の外装側、内装側のそれぞれでドローンを使い分けて点検し、内装側を飛行したELIOS3が特定した。足場を組んで点検するより短時間で危険もなかったという。
仙台市屋内グラウンドは市民スポーツを中心にイベントなどに活用されている施設だ。仙台市が所有し公益財団法人が運営している。2000年7月に開場した開閉式屋根が特徴で、1050の観客席を備え、硬式野球、テニス、サッカー、フットサルなどに対応する。アイドルのコンサートで使われたこともある。
特徴的な屋根のため点検作業には難しさが伴う。内装では、グラウンド面から天井まで約51mの高さがあり、足場を組むと費用も時間もかかり危険も伴う。外装面だけを点検しても、開閉式の構造を持ち、点検しきれない。今回は漏水箇所の特定を目指したため、雨水の侵入経路となる屋根の外装面に加え、屋根から入った雨水が屋内にしたたる内装面側(天井側)からもそれぞれ別々のドローンを使って点検した。
作業にあたったブルーイノベーションは、外装側をDJI製の「Matrice 3TD」を使って屋外から飛行して点検し、内装側をスイスFlyability社製「ELIOS 3」を屋内グラウンドから飛ばして点検した。特に、内装面側からの点検では、天井裏の空間に入り込むなど細かく点検することができ、漏水箇所を発見につながった。発見した漏水箇所はその位置を3Dマップ上に表示するなどして、特定したという。
建物内側でのドローンの活用については、災害発生現場で倒壊家屋、道路陥没などの内部を点検などですでに使われている。ドローンという言葉は「空高く」など空や航空、空域などとともに使われがちだが、屋内イベントの空撮などに活用促進の余地が見込まれる。
2024年3月に大阪市内の木造モジュール施設「咲洲(さきしま)モリーナ」で行われたドローン体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会、実行委員長、増尾朗・株式会社奈良自動車学校代表取締役社長)では、施設の美しい木組みが特徴の天井の木組みの間を、狭小空間ドローンが飛行したり、FPVドローンで周回したりする様子を、一般来場者の目の前で披露し、屋内活用の可能性を示した。
仙台市屋内グラウンドでの点検に関するブルーイノベーションの報告はこちら




国土交通省九州地方整備局は、30年以内に高い確率で発生が予想される南海トラフ巨大地震を想定し、株式会社エアロジーラボ(箕面市<大阪府>)が開発したハイブリッドドローン「AeroRange G4-S」で、宮崎県内の沿岸部往復72㎞を無着陸で飛行させた。飛行は被災状況の新たな調査手法の実証実験として行われ、飛行中は約100mの高さから沿岸を撮影した。九州整備局は映像が被災状況の確認に寄与することを確認した。
実証実験は2月5日、延岡市<宮崎県>の五ヶ瀬川河口と日向岬(日向市<同>)の間の沿岸部で行われた。G4-Sは五ヶ瀬川河口を離陸し、遠海半島の周囲など沿岸部をたどりながら時速36㎞で飛行し、日向岬グリーンパークで折り返したあと、往路と同じルートで出発地に帰還した。G4-Sは燃料とバッテリーを併用するハイブリッド機で長距離飛行に強く、この日も途中でバッテリーの交換をすることなく無着陸のまま約2時間飛行した。
飛行中、高さ約100mから沿岸の港湾施設、河口部、海浜、半島映像を撮影、情報収集の可否などを確認した。
実験は南海トラフ巨大地震による津波被害を想定しており、九州整備局が得られた映像の実用性を確認した。今後、3次元点群データの精度も検証する。九州整備局は、今回の実験での飛行は無人地帯での補助者を配置しない完全目視外飛行(レベル3.5飛行)で、ハイブリッドドローンでの実施は国土交通省の取り組みの中で初めてと話している。



2026年の音楽シーンでも2025年に引き続きドローンが付加価値を引き出す役割を担う可能性がある。ステージとフロアとが一体となった会場の熱狂を保存するツールになり得るうえ、MVの活用法としてさらに効果的な方法の模索も期待される。
2025年中にリリース、または公開されたドローンが使われた音楽シーン関連映像では、2024年末に千葉・幕張メッセで開催された株式会社ジャパンミュージックシステム (JMS、東京・下北沢)主催のライブイベント「RED LINE ALL THE FINAL」の動画(2025年初頭に公開)がドローンの関係者の間で話題となった。
屋根のある屋内の大型会場で、アーティストと来場者の熱狂を通常のカメラのほかドローンがとらえたシーンもまじえた迫力ある映像に、エンタメ産業との共存共栄の模索や、ドローンの屋内活用促進を提案する声も大きくなった。
MVでは福岡県出身の4人組ロックバンド「ジ・エンプティ」の『俺たち大人になれるかな』(2025年8月発売の『覚醒少女』に収録)が話題を集めた。高校の敷地、教室、渡り廊下、屋上などでバンドの4人が力強く演奏、歌唱する様子を、全面的にドローンが印象的にとらえた作品だ。ドローンの操縦したのはドローンレーサーで、一般社団法人ジャパンドローンリーグ(三郷市<埼玉県>)の代表理事としても活躍する高橋亨氏だ。
ドローンはこれまでにもMVやライブ撮影など音楽にいろいろな角度から彩りを添えてきた。一方で、屋内でのイベントの撮影には、閉鎖空間での通信不全、会場や来場者などへの安全性確保、空調が飛行に与える影響、飛行音の音響に与える影響などの不安がつきまとい、主催者がカメラクレーンを使った撮影に切り替えるなどドローン以外の撮影を選択することもある。ドローンによるライブやMVに関する撮影も体系化されたノウハウが蓄積途上で、ドローンの活用がライブや音楽の付加価値をさらに引き出す可能性がある。いわば開拓途上だ。
はじまったばかりの2026年の音楽シーンとドローンとのかかわりにも期待したい。
