一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と展示会運営の株式会社コングレは、ドローンの大規模展示会「Japan Drone 2021」を2021年6月14日~16日の3日間、千葉・幕張メッセの展示ホール、国際会議場で開催する方針を決めた。11月中旬に出展の募集を始める。
「Japan Drone 2021」は引き続きJUIDAが主催し、コングレが共催する。同展示会にとって6回目の開催となる。開催期間は3日間と第4回までの期間に戻す。カンファレンス専用会場も展示会場とは独立して確保する。新型コロナウイルス感染症の流行状況もにらみながら、対策を講じることになるとみられる。300組の出展と15,000人の参加登録を見込んでいる。
開催の概要や方式は今後検討する。オンライン参加の対応なども今後検討する。新型コロナウイルス感染症の動向次第ではあるが、レセプションの開催も模索している。事前登録者や招待券持参者は入場が無料になる。
国内のドローン産業をとりまく環境は、居住エリア上空も肉眼確認なしで飛行させられる「レベル4」の実現への具体的準備に入り、第5世代移動通信システム(5G)活用や携帯電話の上空利用など電波利用環境の変化を見据えることになり、法的定義のない「ドローン」について無人移動ロボット全般を含んだとらえ方が浸透するなど解釈の広域化が進んでいる。空飛ぶクルマやエアモビリティなど人を運ぶことも想定した動きも具体化し、ドローン活用の議論も従来の専門家中心から急速に広く社会を構成する各層に広がり、「社会受容性」など浸透させるための議論が活発化するなどの変化も目覚ましい。
第6回の開催にあたっては、①ドローンを取り巻くこうした環境変化や産業内の構造変化に応じた展示環境の提供の可否、②第5回開催から8か月半の準備期間での出展需要、来場需要、参加意欲の掘り起こし、③新型コロナウイルス感染の動向に応じた対応、④海外勢の招聘ーなどが、注目点となりそうだ。
9月29、30日には、5回目となる「Japan Drone 2020」が開催された。新型コロナウイルスの感染対策に神経を使う逆風下で、期間を2日間に短縮したものの、出展は減ったとはいえ100組以上、来場者も8078人(登録ベース)を集めた。オンラインカンファレンスも併用し911人が利用した。会場内では来場者、出展者が情報収集、近況報告に笑顔をみせ、「同窓会のようだ」と、開催を決断した主催者の英断を称える声が聞かれた。初日の開幕前には数十人が列を作り、開催を待ちわびる関係者の姿勢も目立った。
主催者はすでに第5回の参加者、出展者からアンケート、ヒアリングなどを通じて情報を収集しており、改善要望の収集も進めている。DroneTribuneが第5回の出展者、来場者に確認したところ、準備期間中の問い合わせや相談などへの対応改善要望や、情報提供方法の改善要望、オンライン環境の充実要望などが挙がっている。今後こうした点もふまえながら開催の概要を積み上げることになるとみられる。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が、設立6周年を記念して企画した「JUIDA創立6周年記念ウェビナー」をインターネットで公開中だ。内閣府、経済産業省、国土交通省、農林水産省、総務省のドローン関係部局の代表者がそれぞれの取り組みを紹介していて、レベル4実現への展望を概観できる。JUIDAの最近の取り組みや、9月に発表した石油化学プラントのドローン点検に関する新資格などの説明も行われている。
「JUIDA創立6周年記念ウェビナー」は、新型コロナウイルスの流行に伴い、JUIDAが毎年開催している周年セミナーのかわりに企画した。ドローンにかかわる行政機関がのきなみ登壇しており、それぞれの現在の取り組みを概観することができる。
登壇した内閣官房小型無人機等対策推進室の長崎敏志内閣参事官は、レベル4を目指すうえでの課題のひとつに環境整備と技術開発の連携をあげた。制度整備では、所有者情報の把握、機体の安全性確保、操縦者の技能、運航管理の4点が重要と位置づけ、すでに法案が成立している所有者情報把握については法の律施行に向けた準備を進め、「残る3点については2021年度までに制度化を果たしていく」と述べている。またドローンの新たなユースケースと社会実装の論点には、物流、災害対応、医療、警備の4点を列挙し、それぞれの考え方について言及している。
また総務省総合通信基盤局の翁長久(おなが・ひさし)移動通信課長は、LTEの上空利用申請処理機関の短縮について、「2か月かかっている審査期間を短くすることについて制度化を進めている。今年中に制度設計し、簡便な手続きでドローンへの搭載ができるようにしたい。たとえばキャリアに申請することにより1週間程度で認めるなどを考えたい」と話している。
そのほか、セキュリティ強化の取り組みや、登録制度の1年半後の開始計画、農業利用のうち散布などでの利用手続きの簡素化への取り組みなどが披露されている。
JUIDAの鈴木真二理事長、ブルーイノベーション株式会社の熊田貴之社長が石油化学プラントのドローンによる点検を可能にする新資格を説明。ジャパンドローン運営事務局の管埜寛之ゼネラルプロデューサーが「Japan Drone 2020」(9月29、30日に開催)の開催概要を説明した。開催概要は、このセミナーが「Japan Drone 2020」開催前日に公開されたことから催事の予告もかねているが、当時の開催に向けた思いや準備を知ることができる。
JUIDAの熊田知之事務局長は最後のあいさつの中で、JUIDAの取り組みを概観している。熊田事務局長はこの中で、株式会社アフロとの連携、プラント点検新資格創設、ドロミングラボの本格スタート、技術論文集『テックニカルジャーナル』の発刊、海外との連携や21か国30機関とのMOU(覚書)締結などに触れており、網羅している範囲の広さがうかがえる。
ウェビナーの視聴はここから申し込める。
視聴は無料で、動画の公開は10月23日、午後5時に終了する。視聴の申し込みは10月20日、午後5時まで受け付ける。申し込み後、2営業日以内に事務局がウェビナー情報をメールで送付する段取りとなっている。メールが届かない場合には事務局で問い合わせを受け付ける。
事務局が公開している式次第は以下の通り。
◇◇◇JUIDA創立6周年記念ウェビナー◇◇◇ [1]主催者挨拶 JUIDA理事長 鈴木 真二 『空の産業革命に向けた取組発表』 [2]空の産業革命に向けたロードマップの改定について ~我が国の社会的課題の解決に貢献するドローンの実現~ ◇内閣官房 小型無人機等対策推進室 内閣参事官 長崎 敏志 様 [3]空の産業革命に向けた総務省の取組について ◇総務省 総合通信基盤局 移動通信課長 翁長 久 様 [4]ドローンの利活用促進に向けた経済産業省の取組について ◇経済産業省 製造産業局 産業機械課 次世代空モビリティ政策室長 川上 悟史 様 [5]無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組 ◇国土交通省 航空局 官房参事官(航空安全) 成澤 浩一 様 [6]農業分野におけるドローンの活用状況について ◇農林水産省 生産局 技術普及課長 今野 聡 様 [7]「プラント点検上級操縦技能証明証の創設」 ◇ブルーイノベーション株式会社 代表取締役社長 熊田 貴之 様 ◇JUIDA理事長/福島ロボットテストフィールド所長 鈴木 真二 [8]JUIDA主催「Japan Drone 2020」最新情報 ◇Japan Drone 運営事務局 ゼネラルプロデューサー 管埜 寛之 様 [8]閉会挨拶 ◇JUIDA理事・事務局長 熊田 知之
開催中のJapan Drone 2020では京セラが機体に搭載できる5Gコネクティングデバイスを紹介している。
紹介されている京セラの「5Gコネクティングデバイス」は有線、無線でさまざまなデバイスと接続しエッジコンピューティング環境を提供するデバイス。ドローンポートのわきにおいたり、機体に搭載したりといった使い方が想定できる。
高性能CPU(Qualcomm Snapdragon 865 Octa-core,with Snapdragon X55 5G Modem)によるエッジコンピューティング環境を提供することが特徴。監視・点検で活用するさいにドローンの映像から異常を自動検知したり、撮影した映像をリアルタイムでエンコードし5G回線を通して転送したりすることに役立つという。ブルーイノベーションのブースで展示されている。
ドローン議連(無人航空機普及利用促進議員連盟)会長代理の田中和徳前復興相は9月30日、開催中のJapan Drone 2020に登壇し福島ロボットテストフィールドの状況などについて講演した。田中氏は「地方物流網の維持に強く期待されている」などと指摘した。
Japan Drone 2020ではドローンや関連産業で活躍する論者らから、注目すべき発言が相次いでいる。
アーバンエアモビリティ開発を手掛ける独ボロコプター社(Volocoper Gmbh)のファビアン・ネストマン国際担当責任者は9月29日、千葉・海浜幕張で開催されているJapan Drone 2020で動画講演を公開し、日本で導入した場合の試算を公開した。
ボロコプター社はeVTOL型エアクシー、ボロシティ(VoloCity)を開発し、収益化することを前提に事業展開を進めている。ネストマン氏は、導入に適切なエリアについて、エリア内の「人口」「(人口」密度」「(人の)動き」の3点を重視していると説明。日本では東京、大阪圏に注目していると話した。
このうち、神戸空港と大阪沿岸部との間の移動にボロシティを導入した場合、現在利用可能な交通手段による平均的な移動時間より59%の短縮が可能と試算。東京では羽田・新宿間の移動で41%、田園調布・新宿間の移動で53%の短縮が可能との試算を示した。
ネストマン氏はボロシティについて、「欧州航空安全庁(EASA)の厳しい基準に基づいて開発された初の商用ライセンスを取得した機体。エアバスやボーイングなどの航空機と同程度の安全性を持ち、気にならないほど静かで、垂直離着陸をし、バッテリー交換に時間を無駄に費やすことがないほどに簡単で、都市部のための機体としての要素を兼ね備えている」とアピールした。 同社は都市部での商用飛行ビジネスを目指して2011年に設立された航空スタートアップ。垂直離着陸ができるため広大な敷地が必要となる滑走路が不要で、着陸パtッド「ボロポート(Voloports)の利用を想定している。
1 翼長8メートルの固定翼機で来場者の視線を集めている株式会社テラ・ラボ(愛知県春日井市)の松浦孝英代表取締役は、パネルディスカッション「長距離無人航空機による社会実装に向けた取り組み」にパネリストとして登壇し、展示している固定翼機は、垂直離着機を開発するための途中段階であることを明らかにした。さらにジェットエンジンの搭載計画も明らかにしており、それにより現在の設計で飛行高度が現在の想定である6000メートルから2万メートルになるという。
松浦氏はこの中で、11月に地上支援システムを福島県南相馬市で着工することも明らかにした。
テラ・ラボについては30日に登壇した前復興層・田中和則ドローン議連(無人航空機普利用促進議員連盟)会長代理が福島ロボットテストフィールドの産業集積に関連し、隣接する工業団地での建設計画を引き合いに出すなど活躍の注目度の高さを示した。
Japan Drone 2020の主催者であるJUIDAの鈴木真二理事長は、この日のウェルカムスピーしかしコロナ禍にあってもドローンは大きな影響を与えてきた。メッセージの垂れ幕を掲げて街を飛んだり、上空から市民にアナウンスをしたり、消毒液をまいたりと活躍をしてみせた。これからも使い方の可能性に満ちている。このJapan Droneでイノベーションのヒントを得てもらえれば」とあいさつした。
ドローンの大型展示会「Japan Drone 2020」は9月29日午前10時の開幕を前に、各ブースでの準備は着々と進んでいる。午前9時には元気なあいさつが始まったブース、大型展示の準備が整ったブースなどさまざまだ。新型コロナウイルスの影響で時期、規模、日程のすべてで影響を受けた中で、展示会として感染拡大を徹底しながら催事の開催ができるかどうか、ドローン産業の振興を下支え出来るか、さまざまな成果が試される。
ブルーイノベーション株式会社は午前9時にスタッフがブースに集まり朝礼で元気を注入した。ブルーにとってイベントでブース出展時の恒例行事で、拍手があがると周囲のブースの準備中のスタッフも様子を見守るなど、「元気」の拡散効果は会場中にゆきわたった。
株式会社テラ・ラボは直前まで整備していた翼長8メートルの長距離機「SKY DOLPHINE」を、中継車とともに設置。入場口に近い大きなブースで来場者を待つ。
一般社団法人ドローン大学校も、イベントでは入口付近にブースを構えることで知られる。今回は入場口に近いところにブースを構え、早朝から名倉真悟代表理事を筆頭にスタッフが準備に奔走する姿がみられた。このほか日本海洋、大型ゾーンなどがこれまでと違うJapanDroneの開幕を待つ。
ゲートが開く10分前にはJUIDAの鈴木真二理事長が会場に向けて「時期をずらし、1日短縮するなど時間も変更する中での開催となりますが、来場者やほかぼブースとの交流を深めて頂きたい」とあいさつした。