ドローン研究と社会実装に力を入れている慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムは11月3日、静岡県御殿場市の総合体育施設でドローンの実演展示会「第3回富士山UAVデモンストレーション」を開催した。国内初の一般公開となった「アストロ」、ソニーが技術の粋を集めた話題機「エアピークS1」など注目の新型機、話題機がデモフライトを披露したほか、ドラム缶3つの吊り下げ飛行も行われた。デモを実演した10組を含め、21組が関連技術やサービスを展示した。前回を上回る400人超が来場し飛行や展示を堪能した。御殿場市に展開する米海兵隊キャンプ富士の関係者も会場を訪れ、投稿サイトに「このようなイベントはテクノロジーの理解、地域のつながり維持、同盟関係の強化に重要」と絶賛した。
富士山UAVデモンストレーションは御殿場市が共催し、防衛省南関東防衛局が後援した。
2組のデモフライトのあと開会式が行われた。ドローン芸人の谷+1。(プラスワン)さんが進行役を務める中、古谷知之慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアム代表が「御殿場市とは2019年12月に連携協定を締結して以来、自動運転、STEM教育の取り組みでお世話になっている。本日も生活の中ではなかなか見ることのないドローンが飛ぶ様子を実際に見る機会なので、楽しんで頂けることを期待しています」とあいさつした。
御殿場市の勝又正美市長もあいさつに立ち、「富士山のまち御殿場、そしてドローンのまち御殿場にようこそおいでいただきました。富士山と箱根に囲まれ、空気が清く、水が豊かな高原都市、御殿場の魅力に触れて頂きながら、ドローンの飛行をご覧いただき、有意義な一日にしていただき、よい思い出を持ち帰って頂きたいと思います」と来場を歓迎した。
来賓として登壇した渡辺秀明・元(初代)防衛装備庁長官は「世界各国の防衛でドローンは主要な役割を果たしています。民間の技術向上は重要でこうしたデモンストレーションが開催されることを心強く思っています。ドローン産業の成長は間違いなく、さらに加速することを期待しています」と期待を寄せた。
同じく来賓の佐藤丙午・拓殖大学海外事情研究所副所長は「御殿場はドローンをはじめいろいろな取り組みがなされている町だと思っております。ドローンな産業として発展すると思います。御殿場でドローンの最先端をご覧いただき、盛り上げていけたらいいと思っております」と展望した。
御殿場市に展開する米海兵隊キャンプ富士の関係者も会場を訪れ、投稿サイトに「このようなイベントはテクノロジーの理解、地域のつながり維持、同盟関係の強化に重要」と絶賛した。






富士山UAVデモンストレーションで実演したのは、実演順に、株式会社空撮技研(香川県観音寺市)、ジオサーフ株式会社(東京)、有限会社森山環境科学研究所(愛知県名古屋市)、エアロセンス株式会社(東京)、株式会社ドローンママ(東京)、株式会社イデオモータロボティクス(東京)、イエロースキャンジャパン株式会社(東京)、株式会社 WorldLink&Company (京都府京都市)、サイトテック株式会社(山梨県南巨摩郡身延町)、株式会社エアロジーラボ(大阪府箕面市)の10組。それぞれの実演はENWA株式会社(大阪市)のテレビ会議システムを使って展示会場にリアルタイム配信された。
実演のトップバッター、空撮技研は「ライン」と呼ぶ極細のケーブルでドローンを係留する暴走防止装置であるドローンスパイダーを、実機にとりつけて実演した。ドローンの上昇とともにラインがスムーズに送り出され、反対にドローンが近づいてラインがたわみがちになると素早く巻き取られ、ドローンの飛行の自由度と暴走防止の安心感を両立させる様子を示した。この日はラインが100mの「004シリーズ」と、航空法改正に対応するためラインの長さを30メートルに抑えた新型機「005」シリーズを実演した。


二番手で登場したGNSS事業を手掛けるジオサーフは、マッピングに幅広く使われているスイスsensFly社製の固定翼機「eBee X」を飛ばした。プロペラを一つだけ備えた翼長116センチの機体はほぼ樹脂製で重さは1.4キログラム。標準バッテリーデ90分の飛行が可能だ。デモではオペレーターが、起動後ファンの回転を確認し、押し出すようにリリースすると機体は予め定められたルートをたどり滑らかな飛行を見せた。デモの間には「マルチスペクトルカメラを搭載し太陽光パネルの点検に使われることも多い」などの用途も説明された。


開会式をはさんで三番手で登場した森山環境科学研究所は、スイスに本社を構えるWingtra 社製のVTOL機、 WingtraOneの飛行を披露した。ロケットのように天を仰ぐ姿勢で待機しているが、離陸は姿勢を維持したまま、プロペラでふわりと浮かび上がった。上空30メートルでホバリングしたあと、姿勢を水平に変えると、進行方向に固定翼機のようにスイっと進んだ。珍しい動きを見せたうえ、よく晴れた青空に赤い機体が映えたこともあり、競技場の観客席ではカメラに納める姿が多く目についた。

エアロセンスは現時点でアピールしたい目玉機体2種のうち、この日はVTOL機、エアロボウイングの実演を披露した。広範囲を1フライトでカバーでき、災害調査、測量、スマート農業などに使われる機体だ。離陸前は直前のWingtraOneと異なり、水平状態で待機。起動すると、その姿勢でふわりと浮かび上がり、上空で方向を転換し滑るように進む。白と青の機体が富士山に映え、来場者にシャッターチャンスを提供した。


五番手で登場したドローンママはこの日唯一の、飛ばないドローンを実演した。競技場入り口前の広場に無人操縦装置を取り付けたトラクターを用意。周囲への配慮から運転手が乗車したが、動き出すとハンドルに触れずに直進した。飯原夏子代表は「直進は実は難しく、段差があるところでは小刻みなハンドル操作が求められます。このトラクターは自動で小刻みにハンドルを制御して直進に進めます」と解説した。さらにパイロンを立てた間を自動でS字走行する様子もみせ、囲んだ来場者をうならせた。システムは中型、小型にも取り付け可能で、同社は現在、割安なキャンペーンを打ち出して利用を呼び掛けた。

イデオモータロボティクスはこの日が国内初の一般公開となる小型空撮機ASTROの飛行を実演した。ASTROは米Freefly Systemsがこの秋に発表したばかりで、オープンソースのドローン用OS開発を手掛けるスイスのAuterionと協業した機体として知られ、次世代フライトコントローラーAuterion Skynodeを搭載している。4本アームの伝統的な回転翼機スタイルながら、この日のデモでは、軽やかなプロペラ音と俊敏な動きで観客先を魅了した。マニュアルモードの場合の最高速度は時速95㎞。ソニーのデジタル一眼カメラ「Sony α7R IV」用の専用ジンバルの搭載ができ、その場合でも28分の飛行が可能という。

イエロースキャンジャパンは、有人機にもUAVにも使えるLiDAR ソリューションYellowScanExplorerを実機に搭載して飛行。「センチメートル単位の精度で飛行できる」と説明した。また、全方位衝突回避が可能な非GPS環境下で自律飛行を可能にするHovermapを搭載した機体も披露。SLAMベースで「機体が自動で飛行すべきコースを探し当てて飛んでいきます」などと説明した。

WorldLink&Companyは、ドイツWingcopter(ウイングコプター)社製のVTOL機と、ソニーが開発したプロフェッショナル向けドローン「Airpeak S1」を飛行した。Wingcopter はテフィルトローターと呼ばれる向きを変えることのできるプロペラのアームが特徴で、この日のデモでは、プロペラが回転すると機体は待機中の姿勢のまま浮かび上がると、空中でアームが方向を変え、グライダーのようにスムーズに動き出した。飛行中には「ANAが取り組む離島輸送にもつかわれている」などと説明がされた。また、ソニーの「Airpeak S1」はフルサイズミラーレス一眼カメラを実際に搭載して離陸。上空で着陸用の脚を上げ、撮影の視野を広げると、一気に機体を傾けて力強く飛ぶ様子を見せるとともに「映像のためのドローンです」などと解説した。


この日、最も大きな機体を持ち込んだのはサイトテックだ。重い荷物を運ぶYOROIシリーズの最新作「Y12B1750」が幅3メートル、バッテリー込み総重量60㎏の赤い機体がフィールドに姿を現すとどよめきが起きた。6本のアームを備え、40㎏の荷物を運べる仕様だが、「実験では80キロを吊り上げたこともある」などとポテンシャルの高さを示唆した。
デモフライトでは、4mの単管パイプ2本、あわせて25㎏を吊り上げ、上空で機体を回転させて積み荷を揺らしながら安定した飛行を披露した。また荷物を地上1メートルまで降りたところで切り離して降ろし、安定を維持しながら積み荷を降ろした。さらにドラム缶3つ約40キロをぶらさげた飛行も披露。単管パイプのように揺らしながら安定して飛行できることを示した。同社は「すでに山や谷などで運用されている」と話した。なお大きな機体の準備や撤収などの一連の作業がすべて速やかで、鍛えられたオペレーションぶりも印象的だった。


また、日唯一のハイブリッド機を飛行させたのが国産ドローン開発を手掛けるエアロジーラボだ。デモ機は今年お目見えしたばかりのAeroRangeQUAD(エアロレンジクアッド)で、混合ガソリン4リットルを燃料に発電機で電気を起こし、4つのプロペラで飛行する。発電機から絶えずバッテリーに給電されるため、バッテリー消費の大きい回転翼機でありながら最大で140分飛行を続けることができる。機体には給油口があり、フィールドでも給油する光景が印象的だった。
デモフライトでは発電機を起動させるとフィールドにバイクのようなエンジン音が響き、その後オペレーターの指示で浮上すると、安定した飛行を見せた。積み荷がなければ2時間以上飛び続けることができる機体で、この日は10分の短時間飛行ながら、長時間飛行の潜在力を見せつけた。3月には石垣島でユーグレナバイオ燃料を使った輸送実験も成功させていて、クリーンエネルギーの活用を模索している。11月25日(木)には、飛行見学会の開催も予定している(12:00~、13:00~、14:00~、15:00~ 受付は先着順、場所は大阪府豊能郡能勢町宿野の能勢高原ドローンフィールド。希望者は、希望日程、参加者数を【Email:support@aerog-lab.com】まで連絡を)。谷紳一社長も会場を訪れデモフライトの様子を見守った。


競技場と道路を挟んで隣接する体育館では、ドローンの機体、技術、サービスなどを展示する展示会も開催され、多くの来場者がブースを訪れていた。中にはドローンの凄腕パイロットや、AGV、ドローン開発の先駆者などの姿も見られた。ドローン産業を応援し、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)のアンバサダーとして活躍するシンガーソングライターSaashaもブースをのぞき込んだり、出展者の話に耳を傾けたりしていた。陸上自衛隊東富士演習場自衛隊が立地することもあり、会場内では関係者の姿を見かけた。
出展していたのは、ENWA株式会社、菱田技研工業株式会社、エアロセンス株式会社、イエロースキャンジャパン株式会社、株式会社イデオモータロボティクス、株式会社エアロジーラボ、有限会社森山環境科学研究所、Pix4D株式会社、ジオサーフ株式会社、株式会社WorldLink&Company、有限会社ボーダック、株式会社ジェピコ、株式会社空撮技研、サイトテック株式会社、エアロファシリティー株式会社、株式会社トプテック、株式会社ドローンママ、ESRIジャパン株式会社、株式会社リヴィングロボ、株式会社NTTドコモなど。
御殿場市に展開する米海兵隊キャンプ富士の関係者も会場を訪れ、投稿サイトに「このようなイベントはテクノロジーの理解、地域のつながり維持、同盟関係の強化に重要」と絶賛した。
UAVデモンストレーションは、慶応義塾大ドローン社会共創コンソーシアムが2018年6月に神奈川県藤沢市の県立湘南海岸公園で「湘南UAVデモンストレーション」として開催したイベントが最初の取り組みとなった。このときは江ノ島を背景に国内外の機体の飛行をお披露目した。翌年の2019年以降、静岡県御殿場市に会場を移し、2019年9月に「富士山UAVデモンストレーション」を開催。以降、毎年の恒例行事となっている。すでに来年の開催も決まり、御殿場がドローンのまちとして毎年来場者を迎えることになりそうだ。





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【JapanDrone関西】イタリアTAKE OVER初出展、JIWは米Skydioの新モデル「R10」を告知 ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」は11月27日閉幕し、二日間の合計で3006人が会場を訪れた。事前に公開していた来場者目標の3200人には届かなかったが、期間中は来場者、出展者の笑顔がはじけた。機体メーカーなど主要プレイヤーの出展の上積みなどが、来場者拡大のカギとなりそうだ。
Japan Drone関西は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の主催、株式会社コングレの共催で11月26、27日の2日間、JR大阪駅直結の「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に開催され、26日に1604人、27日に1402人が足を運んだ。講演、パネルディスカッションなどのステージには2日間で1131人が参加した。来場者の中には出展者ではないドローン事業の経営者、関係者も見られ、会場内で知人を見つけてはあいさつをかわす光景や談笑する様子が多くみられた。
関係者や愛好家の間で話題になったのは初出展、初公開プロダクトだ。360度カメラの開発で知られる中国のテクノロジー企業Insta360がパートナー企業と設立したドローンブランド「Antigravity」が、日本の展示会に初出展し、機体やコントローラー、ゴーグルを紹介した。日本での発売計画は未確定だが、来場者の多くが足を止め、製品の仕様や今後の計画を担当者にたずねていた。
台湾の電気機器メーカーWistronも、系列のドローンメーカーGEOSATとブースを共同出展し、GEOSATの機体3種が初公開された。イタリアのモニタリングソリューションを展開するTAKE OVERも老朽インフラの課題と向き合う日本市場の調査をかねて初出展し、来場者と意見交換をしていた。米Skydioが9月に発表したふたつの新型ドローンについて、日本市場向けの公式アナウンスが出ていない中、JapanDrone関西に出展したジャパン・インフラ・ウェイマークは、二機種のうちの屋内向けドローン「R10」について独自のポスターを張り出したほか、チラシも用意し来場者に配布するなど関心を集めた。
会場では多くのブースで来場者と出展者が意見交換をしたり、説明を求めたりしている様子がみられ、あちこちで笑顔がはじけていた。ジュンテクノサービスやMizubiyoriは会場内に設置されたプールで水中ドローンを実演し、来場者に囲まれていた。
自治体の取り組みなどを紹介するパネルも多く設置され、じっくりと観察する来場者がいた一方、説明員のいるところは限られ、見学者が途切れる時間帯もあった。自治体の取り組みについては、「主催者テーマ展示ゾーン」と「ドローン×地方創生:自治自治体PRゾーン」とに分かれて展示されていて、来場者の利便性に合致していたかどうかの検討が加えられる可能性がある。
Japan Drone関西はJUIDAが10年前から毎年、千葉・幕張メッセで開催しているドローンの大規模展示会「Japan Drone」の地方開催版で、大阪で開催するのは2度目。一度開催した地域で二度目を開催したのは今回が初めてだ。JUIDAの鈴木真二理事長は初日の講演の中で、「アンケートで大阪での開催を求める声が大きかったことが今回の開催につながりました」と話している。今後も来場者の声が開催方針に反映されることになりそうだ。








11月26日に開幕した「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」では初公開、初出展を含め、多くの取り組みが披露されている。イタリアの保守、モニタリングソリューションを提供するTake Over社はFranz Lami CEO自身が来日して初出展。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は、日本市場向けには公式発表がない米Skydioの屋内用ドローン「Skydio R10」について独自のポスターを作成し公開している。セントラル警備保障は不審ドローン対策ソリューションを提案している。
イタリアのTake Over社は日本の老朽インフラが抱える課題に対しイタリア仕込みのソリューションを提案している。同社はイタリア国内で橋梁、鉄道、高速道路、ダムなどの保守点検などで実績を積んでいる。イタリアは歴史的な建造物から近代的な道路まで公共構造物の時代背景が幅広く、その知見が老朽インフラを多く抱える日本での需要を見込む。
来日し会場のブースにも立ったFranz Lami CEOによると、イタリアのインフラは近代のコンクリートと中世からの石でできたものなどとがある。課題の緊急性が高いのは重量のあるトラックなどを支える道路などコンクリート製のインフラで、内部の亀裂などをいち早く察知し対処する必要がある。同社はその点検やモニタリングなどで実績を積んできた。
データ取得のためDJIを中心としたドローン、3Dレーザースキャナ、モバイルマッピングシステムなどを機材として使っている。JapanDroneのブースではFranz Lami CEO自身が来場者に実績、技術などをアピールし、情報収集、市場調査を進める。来場者には。同社のロゴの入ったキャップを渡している。最近東京に開設したオフィスの人員の増強にもつとめていて、リクルートにも積極的だ。
JIW、日本向けアナウンスがされていないSkydio「R10」のポスター独自作成
ジャパン・インフラ・ウェイマークは米SkydioのAIドローン「Skydio X10」や、専用の格納庫「Dock for X10」など点検ソリューションを展示しているが、ブースにはもうひとつ、日本市場向けには正式なアナウンスがない機体のポスターがある。屋内向けドローン「Skydio R10」だ。
9月17日と18日に米国で開催されたSkydioの毎年恒例の発表会「Skydio Ascend 2025」では、「Skydio R10」が屋内向けドローンとして発表された。もうひとつ。長距離飛行に対応した固定翼ドローンのプロトタイプ「Skydio F10」も発表されているが、いずれも日本市場向けには公式の見解はない。
屋内の点検ソリューションを展開するJIWはR10について独自にチラシを作成し、ブースではポスターとして来場者に見せている。それによると、R10は785gでX10の2140gから大幅な軽量化が図られる。暗所飛行用の補助ライトを備え、自律飛行し、ライブ映像を配信し、点検を支援するという。市場導入の時期は公式発表を待つ必要があるが、関係者や愛好家の間で関心を喚起しそうだ。
セントラル警備保障が不審ドローン対策展示
セントラル警備保障株式会社(東京)は、不審ドローン対応のためのソリューションなどを展示している。会場にはカウンタードローンシステムのほかいくつもの緊急対応機能を備えた移動指揮所車両「CSP Drone Base Car」を車両ごと持ちこみ、中に搭載している映像監視システムや、電源機能、車内で指揮がとれる機能などを公開している。屋根にはドローンポートを備え、ここから離陸させることもできる。
また、不審ドローンを検知するためのソリューション「DS_005D」も展示してある。ブースではその機能や上位モデルの説明を求めて来場者が足を止めていた。
レッドクリフ、ジュンテクノ、ROBOZが存在感
このほか、開場では大阪・関西万博の協会企画催事プラチナパートナーとして連日ドローンショーを繰り広げた株式会社レッドクリフ(東京)が前面を赤、黒でペイントしたブースで来場者にドローンショーの特徴や効果を説明していた。また屋内ドローンショーを手がける株式会社ROBOZ(名古屋市)は、ドローンショーに使う機体の特徴や通信、飛行の安定性などについて石田宏樹代表取締役が率先して説明していた。会場の隣室でデモンストレーションも行い、手軽に運用できることを実践した。
ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)も水中ドローンを中心に展示。ダム堤体、取水口、吐口撮影からポンプ場撮影、流域下水道点検など多くの現場での点検実績などのノウハウをブースで展示しているほか、会場内のプールでデモンストレーションも実施し、来場者がその様子をみるために取り囲む様子もみられた。











アメリカのドローンメーカー、Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800 TOMCAT」「IF1200」が、「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」で公開されている。展示したのは株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)だ。リスクを回避するオペレーターへの提案として出展した。いずれのモデルも日本のドローンの展示会での出展は初めてだ。
栄光エンジニアリングが展示しているのはアメリカInspired Flight Technologies社のクワッドコプター「IF800 TOMCAT」とヘキサコプター「IF1200」だ。
IF800 TOMCATはバッテリーなし重量が4.2㎏、バッテリー搭載時で8.5㎏で、最大54分飛行する。インフラ点検、LiDAR調査などの用途を想定している。また「IF1200」は最大43分飛行、最大積載量8.6㎏だ。栄光エンジニアリングの大島健一社長は、取引先からよりリスクの低い機体を求める声を聞き、Inspired Flight社にゆきあたった。「IF800 TOMCAT」「IF1200」とも米国防省のサイバーセキュリティやサプライチェーンの健全性基準を見た居た場合に認定を与えるプログラム「Blue UAS」に認定されている。栄光は現在、Inspired Flight社の日本国内代理店だ。
ブースでは大島社長らが機体の特徴などを来場者に説明していた。ブースではそのほかExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」も展示している。




台湾の電子機器大手ウィストロン(Wistron)は、同社系のドローンメーカー、GEOSAT Aerospace & Technology Inc.(経緯航太科技)と共同でブースを構えた。GEOSATのドローンが日本の展示会で一般公開されるのは初めてだ。
初公開されたGEOSATのドローンは3機で、日本での展開は今回の反応をふまえるなどして今後検討するという。3機はいずれもスタイリッシュで、「スタイルは重視して作った」という。
ブースにはウィストロンでドローン部門を統括するAnn Liu氏も訪れ、来場者の反応などを確認していた。
展示会で製品を見る機会はそう多くなく、ブースを訪れた来場者の中にはこのブースに立ち寄ることを来場理由にあげる人もいた。
ブースの壁面にかけられていた薄型ディスプレイはウィストロンの製品で、その薄さに来場者が指をさしている様子もみられた。ディスプレイは投影する映像の切り替えや明るさの調整は遠隔で可能だという。




中国Insta360系のANTIGRAVITYが「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」に出展している。同社は8月に8Kで360度の映像が撮影できるドローン「Antigravity A1」の発表をし、話題を集めた。日本の展示会に出展するのは今回が初めてで、ブースのAntigravity A1にも多くの来場者が見入っている。
Antigravity 社は日本の展示会の出展は今回が初めてだ。出入口に近い場所に構えたブースにはひっきりなしに来場者が訪れた。8K360度全景ドローン「Antigravity A1」が今年8月に初の製品として発表され、ドローン愛好家や関係者に間で一気に話題が広がった。
全方位を捉える「デュアルレンズ設計」でドローン周囲のすべてを360度で記録し、ライブ映像や最終映像からはドローン本体を消すことができる。操作はレバー状のコントローラーで直感的な操作が特徴だ。
ブースでは機体重量がバッテリー含めて249gであることや、2026年1月に世界同時発売を目指していることなどが説明されていた。ただし日本での発売は、諸手続きの進み具合にもよるため未定で、今後正式に公表される見込みだ。
操作はゴーグルを装着して行うため、いわゆる目視外飛行の扱いとなる。価格は今後決まるが、現時点では標準型のセットで30万円台、最も基本的なセットで20万円台を想定しているという。
JapanDrone関西ではデモフライトを実施。開催2日目も行う予定だ。
